| 会社名 | 兼松株式会社 |
| 業種 | 卸売業 |
| 従業員数 | 連8644名 単821名 |
| 従業員平均年齢 | 38.2歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 12.7年 |
| 平均年収 | 11434189円 |
| 1株当たりの純資産 | 1418.97円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 328.95円 |
| 決算時期 | 月3 |
| 配当金 | 105円 |
| 配当性向 | 44.9% |
| 株価収益率(PER) | 10.78倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 10.24% |
| 営業活動によるCF | 583億円 |
| 投資活動によるCF | 13億円 |
| 財務活動によるCF | ▲546億円 |
| 研究開発費※1 | 12.32億円 |
| 設備投資額※1 | -円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 736.39億円 |
| 株主資本比率※2 | 27.3% |
| 有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
| 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針常に時代を先取りし、果敢に新たな事業へと挑戦し続ける創業以来の開拓者精神と積極的な創意工夫を行う姿勢は、当社グループの行動指針となっております。お取引先との信頼関係を深め、事業を創造し、社会に価値ある企業となるため、当社グループの企業理念として掲げる、当社創業者である兼松房治郎による創業主意ならびに「われらの信条」(1967年制定)を経営の基本理念としております。 創業主意 「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」 「われらの信条」・伝統的開拓者精神と積極的創意工夫をもって業務にあたり、適正利潤を確保し、企業の発展を図る。・会社の健全なる繁栄を通じて、企業の社会的責任を果し、従業員の福祉を増進する。・組織とルールに基づいて行動するとともに、会社を愛する精神と、社内相互の人間理解を基本として、業務を遂行する。 (2) 経営環境および対処すべき課題当社グループは、2025年3月期から中期経営計画「integration 1.0」(2024年4月~2027年3月)を新たにスタートし、より一層の企業の成長を実現するとともに、当社グループを取り巻く経営環境における課題の解決を積極的に推進しております。具体的には、少子高齢化や2024年問題に起因した「労働力不足」、ESG・SDGsなどの倫理・環境に対する社会的な要請による「持続可能性への対応」、目まぐるしく変化する時代において変化を機微に捉え迅速に対応するための「経営のスピード化」、以上の3つの課題を解決していくことを起点に、目指す姿として「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」を掲げております。 (基本方針および当連結会計年度末における進捗状況)中期経営計画「integration 1.0」においては、以下の6つの基本方針を掲げ、着実に推進することにより、当社グループのすべてのステークホルダーに対する価値向上の実現とともに、中長期的な株主価値向上を実現いたします。① グループ一体経営の推進当社グループは、人材・知識・取引先などの経営資源を当社グループ全体で共有し、シナジーを最大限に発揮することを目指しております。2023年10月に新設した社長直轄の組織「グループ成長戦略推進室」が中心となり、当社グループの取引先ネットワークに対して、当社グループ各社の強みのある事業を横断的に展開しております。当連結会計年度においては、同室を中心に、主要取引先に対してクロスセルを実施し、複数の企業との間で新たな取引を実現しました。今後も、グループ一体となり、新規案件を創出する活動を推進して参ります。 ② 提供価値の拡充「DX」「GX」「イノベーション」の提供価値を重点的に強化することを目指しております。3つの提供価値を通して、現在そして未来に経済・社会が求めるニーズに応えて参ります。当連結会計年度における主な実績は、次のとおりであります。・DXの提供価値拡充としては、「日本サイバーセキュリティファンド1号(NCSF)」をパートナーと共同で設立いたしました。日本国内におけるサイバーセキュリティ分野の技術革新と産業基盤の強化を目指しており、業界全体の発展と社会課題の解決の両立を目指したプラットフォームとして機能しております。・GXの提供価値拡充としては、再生可能エネルギーや食品・農業分野を中心に具体的な案件化が進みました。・イノベーションの提供価値の拡充としては、宇宙やモビリティ、素材などに関する先進技術を軸とした新規事業を推進しております。 ③ 新たな価値創出に向けた組織能力の強化当社グループにおいては、経営資源である人材の連携を強化しており、知見とネットワークの共有が深まっております。当連結会計年度においては、各事業セグメントと兼松エレクトロニクス㈱との人材交流に加え、主要グループ会社の人材がグループ成長戦略推進室に参画してグループの知見を有効活用する体制を強化いたしました。 ④ 人的資本の強化中期経営計画「integration 1.0」で目指す姿の実現に向け、経営戦略と人材戦略の連動に取り組んでおります。当連結会計年度においては、人的資本委員会を新設し、新たな価値創出を支える人材ポートフォリオの構築に着手いたしました。また、従業員の健康を保持・増進する活動を促進し、健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門において、「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」の認定を受けました。 ⑤ 経営機能の強化ICTソリューション事業を各部門へ浸透し、一体化することを目的に組織を再編し、ICTソリューション部門を新設いたしました。この組織再編に伴い、当連結会計年度より、「電子・デバイス」セグメントに含まれていたICTソリューション事業を「ICTソリューション」セグメントとして新たに区分いたしました。また、「鉄鋼・素材・プラント」セグメントに含んでおりました工作機械・産業機械事業を「車両・航空」セグメントに区分し、「電子・デバイス」セグメントおよび「その他」に含んでおりました兼松サステック㈱の事業を「鉄鋼・素材・プラント」セグメントの環境関連事業として区分いたしました。 ⑥ 中長期的な株主価値の向上株主価値の向上の実現に向け、「資本収益性・効率性の向上」「資本コストの低減」「期待利益成長率の向上」に取り組んでおります。当連結会計年度においては、投下資本利益率(ROIC)管理の強化や政策保有株式(注)の縮減に取り組みました。政策保有株式の縮減については、2027年3月末までの中期経営計画期間において連結資本合計に対する政策保有株式の保有比率を2024年3月末の13.9%から10%以下とする目標に対し、当連結会計年度末における保有比率は8.9%となり、2年前倒しで目標を達成いたしました。(注)有価証券報告書における「保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式」の「貸借対照表計上額の合計額」からイノベーション投資目的の株式およびPT.CISARUA MOUNTAIN DAIRY TBKのような海外戦略事業パートナーへの投資を除いたものを「政策保有株式」と呼称しております。 (定量目標)中期経営計画「integration 1.0」における定量目標は次のとおりであり、中長期的な株主価値向上の実現へ取り組んでおります。 「integration 1.0」最終年度(2027年3月期)目標2025年3月期実績連結当期利益(注)350億円274億円ROE16%~18%程度16.5%ROIC8%以上7.6%ネットDER1.0倍程度0.69倍(注)連結当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益を億円未満を切り捨てて表示しております。 (資本配分方針)安定的な基盤事業と成長事業からの営業キャッシュ・フローを基に、更なる株主還元と成長投資を実行して参ります。キャッシュ・インは、中期経営計画「integration 1.0」の3年累計で、(調整後)営業キャッシュ・フロー(会計上の営業キャッシュ・フロー ± 運転資本増減 – リース負債の返済)1,100億円と資産入れ替えによる調達100億円に対して、キャッシュ・アウトとしては、累進配当による株主還元へ約270億円、ICTソリューションを中心とするDX関連へ約400億円、強みを有する事業分野などへ(GX含む)約200億円、基盤事業の持続的運営と発展へ約330億円を配分する方針としております。 (今後の見通し)翌連結会計年度においては、米国の関税政策、それを受けた世界各国・地域の対応の不確実性などにより、先行き不透明な情勢が続くと見込まれます。日本経済は、インバウンド需要など内需は引き続き堅調を維持すると見込まれる一方で、先行き不透明な海外経済の減速が下押し圧力となる懸念もあり、景気の回復は緩やかなものに留まる見込みです。2026年3月期の業績見通しについては、収益1兆1,000億円、営業活動に係る利益500億円、税引前利益460億円、親会社の所有者に帰属する当期利益300億円を見込んでおります。 2025年3月期実績2026年3月期見通し連結当期利益(注)274億円300億円配当性向(総還元性向)31.9%32.0%(注)連結当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益を億円未満を切り捨てて表示しております。 セグメントの業績見通しおよび成長戦略は、次のとおりであります。 ICTソリューション事業拡大や競争力強化を目的としたDXや重要性の高まるサイバーセキュリティ強化など、半導体関連を中心とした企業のデジタル投資需要は旺盛で、引き続き好調に推移する一方で、人的資本の強化を目的とした人件費などのコスト負担を見込むことから、収益は1,050億円、営業活動に係る利益は150億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は105億円を見込んでおります。技術革新とビジネスニーズの変化が速いビジネス環境の中で、兼松エレクトロニクス㈱を中心に、成長市場の動向を把握するとともに適切なソリューションを導入することで事業を拡大させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。・強固な顧客基盤と技術力に裏打ちされたマルチベンダーとしての強みを活かした、ITインフラ基盤の設計、構築から保守、運用まで一貫したサービスをワンストップで提供。・「セキュリティ」を中心とした当社グループ独自の「as a Service」を提供するサービスビジネスの更なる拡販。・当社グループの幅広い業種・業態の顧客基盤に対するクロスセルと顧客課題に応じたソリューションの提供。 電子・デバイスモバイル事業は販路拡大や販売台数の回復により堅調なことに加え、電子機器・電子材料事業におけるのれんの減損損失の一過性要因の剥落により、収益は2,750億円、営業活動に係る利益は137億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は89億円を見込んでおります。業界再編や法改正による販売体制の変化などの影響を受けるモバイル事業や、高い性能を備えた製品とグローバルな市場展開が求められる半導体部品・製造装置事業などは、複数の要因を受けやすいビジネス環境の中で、高度な技術革新の追求に加え、製品販売のみならずソリューション提供へ発展させることにより事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。・全国販売ネットワークを活用し、モバイル関連商品の販売から管理、運用、回収までのトータルサービスを提供するとともに、SaaSなどのリカリングサービス、次世代半導体・次世代電池用の材料提案など、幅広いサービスの展開とソリューション提供。・半導体装置や半導体製品、電子部品・素材、プリンター、バッテリーなどを含むエレクトロニクス産業全般において、革新的なソリューションと高度な技術力を組み合わせたグローバルな事業展開。 食料食糧事業は大豆などの取引が堅調なことに加え、飲料原料を中心に販売が堅調に推移した食品事業も引き続き堅調に推移する一方で、海外市況高や円安によるコスト増加、国内市況の低迷の影響を受けた畜産事業の反動により、収益は3,850億円、営業活動に係る利益は81億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は35億円を見込んでおります。食品事業は、消費者の人口動態やライフスタイル、健康志向などの価値観の変化、オンライン販売の拡大など、市場ニーズが多様化し、また、海外市場の成長を見込むビジネス環境にあり、マーケットインによるグローバルなアプローチで成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。 ・「食の安全・安心」をテーマに、メーカーの視点で原料の調達から製品加工までの一貫供給体制を構築。・農産物、水産物、コーヒー、飲料・酒類、調理食品など幅広い商品ラインナップで市場の多様なニーズに対応。・顧客のニーズを先取りした市場性の高い原料や製品の開発推進や、市場が拡大するインドネシアなどアジア諸国におけるバリューチェーンの横展開を通じたビジネス拡大。畜産事業は、安定供給を目的とした海外サプライヤーの確保および特にアジアを中心とした海外市場の成長を背景に、国内外のビジネスパートナーとの信頼関係の維持・深化により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。・原料から畜産加工品まで幅広い商品群を取り扱い、加工・物流機能を組み合わせ、顧客ニーズに合った付加価値の高い商品とソリューションの提案。・商品の安定確保を目的とした、国内外のパートナー企業との提携・出資によるバリューチェーン(生産・加工・物流・販売)の横展開と強化。食糧事業は、年々、世界的な穀物需要は増大する一方、天候リスクや地政学的リスクなどにより安定供給へのリスクが高まっております。これらの課題を機会と捉え、供給においては、産地の多様化、持続的な生産体制の構築、生産性向上のためのデジタル化などを進めて参ります。需要においては、日本市場に加えて中国・アセアン市場への参入を進めて参ります。また、持続的生産体制の構築において、魚粉・魚油などの水産養殖原料については、近年、特に資源管理や環境負荷に配慮した原料の供給が求められており、各種認証プログラムへの参画を含め供給体制の強化に力を入れております。 鉄鋼・素材・プラント市況の影響を受ける鋼管事業やエネルギー事業により、収益は2,000億円、営業活動に係る利益は75億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は38億円を見込んでおります。GXに代表される世界的な環境問題への意識の高まりの影響を受けるビジネス環境にあり、顧客の「脱炭素」への様々な支援により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。・社会インフラを支える部門として、幅広い分野において高い専門知識を備えた人材による、GXを中心としたバリューチェーンへのソリューションの提供。・サーキュラーエコノミーの実現に向けた持続可能な原料・素材や環境配慮商品の取扱い。 車両・航空航空宇宙事業は、航空業界や宇宙・防衛産業の需要の増加を見込んでおります。車両・車載部品事業は、部品需要が堅調に推移する見通しで、工作機械・産業機械事業では、自動車向け工作機械や産業機械の需要に一定の回復が見られます。これらにより、収益は1,300億円、営業活動に係る利益は58億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は34億円を見込んでおります。次世代モビリティや空飛ぶクルマ、ドローンの普及、モビリティ関連製品全般の軽量化や電動化などの技術革新による脱炭素化の動きも加速するビジネス環境にあり、新たなモビリティ事業の創造で事業を成長させて参ります。また、民間宇宙産業の勃興に伴い、地球低軌道を利用した商用宇宙ステーションの事業開発などにも取り組んで参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。・「環境」「安全」「快適」をテーマにし、次世代モビリティや素材、宇宙、データビジネスなどの領域で事業創造を推進。・幅広い製品ラインナップと様々な機械関連サービス、さらに環境ビジネスから海外進出支援までをカバーし、顧客の多様なニーズにお応えするエンジニアリング・ソリューションの提供。 (業績見通し算定にあたっての前提条件)・為替レート : 1米ドル=150円・金利水準 : 円金利:上昇を見込む 外貨金利:下落を見込む (注意事項)上記の見通しなどの将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。 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経営者による財政状態の説明
| 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当連結会計年度の世界経済は、米国は堅調な景気を維持した一方、長期化する中国の景気低迷や中東情勢の悪化など地政学リスクの高止まりによって先行き不透明な情勢が続きました。米国では、個人消費が堅調に推移したものの、関税引き上げをはじめとした第2次トランプ政権の政策の不確実性に対する警戒感の高まりにより、景気を下押しするリスクが高まっている状況です。欧州では、インフレ鈍化を受けた実質所得の増加により個人消費が持ち直し、景気は緩やかな回復の動きが見られたものの、米国の関税政策を巡る先行き不透明感が景気回復の重石となることが懸念されます。中国では、長期化する不動産不況や個人消費の減速などにより低調な景気が続いていることに加え、米中間の関税引き上げによる内外需の悪化が懸念されます。日本経済は、堅調な企業収益や雇用・所得環境の改善などを背景に景気は緩やかに回復した一方で、利上げや米国の関税政策による直接的・間接的な影響など先行きは注視が必要な状況です。 このような環境のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、次のとおりとなりました。 販売が好調なモバイル事業や、航空機・防衛関連の取引が好調に推移した航空宇宙事業を中心に増収となりました。市況の低迷の影響や減損損失を計上した鋼管事業などが減益となった一方、モバイル事業や前期に持分法投資の減損損失を計上した鉄鋼事業などが増益となりました。 その結果、収益は、前連結会計年度比649億43百万円(6.6%)増加の1兆509億36百万円となり、売上総利益は、前連結会計年度比124億50百万円(8.7%)増加の1,550億7百万円となりました。営業活動に係る利益は、当連結会計年度はのれんの減損損失の計上などにより、前連結会計年度比18億19百万円(4.1%)減少の420億51百万円となりました。一方、税引前利益は、前連結会計年度に計上した持分法による投資の減損損失が無くなったことなどにより、前連結会計年度比9億92百万円(2.7%)増加の382億33百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比42億51百万円(18.3%)増加の274億69百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)は、16.5%、投下資本利益率(ROIC)※は、7.6%となりました。※ROIC = 当期利益 ÷ 投下資本(有利子負債 + 自己資本) ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが583億29百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが13億63百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが546億58百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は567億79百万円となり、前連結会計年度末比33億48百万円の増加となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げなどにより、583億29百万円の収入(前連結会計年度は355億82百万円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や子会社の取得等の事業投資の実行などによる支出があった一方で、政策保有株式(その他の投資)の売却などにより、13億63百万円の収入(前連結会計年度は124億23百万円の支出)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金およびリース負債の返済や配当金の支払いなどにより、546億58百万円の支出(前連結会計年度は501億2百万円の支出)となりました。 ③ 仕入、成約及び販売の実績(ⅰ) 仕入実績仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 (ⅱ) 成約実績成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 (ⅲ) 販売実績「(1) 経営成績等の状況の概要」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記6 セグメント情報」に記載しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債、偶発資産・偶発負債の開示および報告期間における収益・費用の金額を認識する際に、必要に応じて会計上の見積りおよび仮定を用いることが必要となります。この会計上の見積りや仮定は、決算日時点で入手可能な合理的な情報等に基づき設定しておりますが、不確実性を伴うため、その変動により将来の実績との間で差異が生じる可能性があります。当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記2 作成の基礎」および「同 注記3 重要性がある会計方針」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。収益収益は、電子・デバイスセグメント、車両・航空セグメントを中心に前連結会計年度比649億43百万円増加の1兆509億36百万円となりました。 売上総利益売上総利益は、電子・デバイスセグメントを中心に前連結会計年度比124億50百万円増加の1,550億7百万円となりました。 営業活動に係る利益営業活動に係る利益は、のれんの減損損失の計上などにより、前連結会計年度比18億19百万円減少の420億51百万円となりました。 税引前利益税引前利益は、前連結会計年度に計上した持分法による投資の減損損失が無くなったことなどにより、前連結会計年度比9億92百万円増加の382億33百万円となりました。 親会社の所有者に帰属する当期利益税引前利益から法人所得税費用117億95百万円を控除した結果、当期利益は264億38百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比42億51百万円増加の274億69百万円となりました。 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比360億10百万円減少の6,893億37百万円となりました。有利子負債については、前連結会計年度末比356億45百万円減少の1,789億1百万円となりました。現預金を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末比390億89百万円減少の1,203億36百万円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めておりません。資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分については、親会社の所有者に帰属する当期利益の積上げなどにより、前連結会計年度末比146億24百万円増加の1,739億42百万円となりました。その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は25.2%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.69倍となりました。 親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)1,739億42百万円に対して、親会社の所有者に帰属する当期利益274億69百万円となったためROEは前連結会計年度末比0.4ポイント上昇の16.5%となりました。 セグメントの業績は、次のとおりであります。 ICTソリューション収益は、セキュリティ関連の案件や、製造業向けを中心としたネットワークやストレージ関連の案件が堅調に推移したことにより、前連結会計年度比107億13百万円増加の995億28百万円、営業活動に係る利益は、7億45百万円増加の146億79百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、6億34百万円増加の99億70百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益についての概況は、次のとおりであります。ICTソリューション事業は、人件費やオフィスリニューアル費用などの経費が増加した一方、セキュリティ関連の案件や、製造業向けを中心としたネットワークやストレージ関連の案件が堅調に推移しました。 電子・デバイス収益は、モバイル事業や半導体部品・製造装置事業などの増収により、前連結会計年度比349億88百万円増加の2,713億73百万円、営業活動に係る利益は、モバイル事業などの増益により、27億80百万円増加の113億95百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、17億13百万円増加の70億31百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益についての概況は、次のとおりであります。モバイル事業は、直営店舗の増加や販路拡大の効果、販売台数増加に加え、法人向け事業の伸長もあり、店舗再編などにかかるコストが先行した前期と比較すると好調に推移しました。半導体部品事業は、好調に推移した前期と比較すると減速した一方で、半導体製造装置事業は、半導体市況の回復の遅れに伴い苦戦したもののM&Aによる効果もあり堅調に推移しました。電子機器・電子材料事業は、のれんの減損損失を計上したため、前期と比較すると低調に推移しました。 食料収益は、畜産事業や食品事業の増収により、前連結会計年度比158億40百万円増加の3,575億36百万円、営業活動に係る利益は、畜産事業の減益により、1億26百万円減少の78億42百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、4億17百万円減少の30億63百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益についての概況は、次のとおりであります。食品事業は、リテール向け取引や飲料原料などの販売が堅調に推移しました。畜産事業は、海外市況高や円安によるコスト増加、国内市況の低迷などの影響を受け低調に推移しました。食糧事業は、大豆の販売などが堅調に推移しました。 鉄鋼・素材・プラント収益は、鋼管事業やエネルギー事業の減収により、前連結会計年度比133億35百万円減少の1,984億8百万円、営業活動に係る利益は、鋼管事業やエネルギー事業などの減益により、49億26百万円減少の35億24百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、20億88百万円増加の40億15百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益についての概況は、次のとおりであります。鉄鋼事業は、北米鋼管取引が減速した一方で、持分法で会計処理されている投資の減損損失を計上した前期と比較すると好調に推移しました。エネルギー事業は、需要の低迷により、好調に推移した前期と比較すると低調に推移しました。 車両・航空収益は、航空宇宙事業などの増収により、前連結会計年度比165億29百万円増加の1,219億12百万円、営業活動に係る利益は、車両・車載部品事業や工作機械・産業機械事業などの減益により、50百万円減少の48億2百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、2億33百万円増加の31億84百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益についての概況は、次のとおりであります。航空宇宙事業は、航空・防衛関連取引が好調に推移しました。 その他収益は、前連結会計年度比2億8百万円増加の21億77百万円、営業活動に係る損失は、2億30百万円悪化の2億6百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は、2億4百万円悪化の27百万円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容および資本の財源および資金の流動性についての分析キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 資金調達当社グループは、中期経営計画「integration 1.0」の基本方針のひとつに掲げる「株主価値の向上」を実現するために必要な、低コストで安定的な資金調達を基本方針として資金調達活動に取り組んでおります。当社グループの資金調達については、各取引銀行、生損保等の金融機関との良好な関係を背景とした間接金融をベースとしております。また、長期資金の調達手段のひとつとして普通社債を発行し、資本市場からの調達も実施しております。当連結会計年度では、120億円の普通社債を発行し、連結有利子負債に占める直接金融からの負債調達割合は12%となりました。これらの円滑な資金調達を行うため、㈱日本格付研究所(JCR)、ならびに㈱格付投資情報センター(R&I)の2社から格付けを取得しており、当連結会計年度末の当社グループに対する格付け(長期)は、JCRが前年からワンノッチ格上げとなるA(安定的)、R&IがA-(安定的)となっております。加えて、手元流動性の確保を図るため、十分な規模の現金及び現金同等物を保有するほか、主要金融機関においてコミットメントラインを設定しており、当連結会計年度末における流動比率は142%となりました。連結ベースでの効率的な資金調達を実施するために、国内主要関係会社の資金調達を親会社に集中したうえで、資金需要に応じて配分を行うキャッシュマネジメントシステムを導入しております。当連結会計年度末では、連結有利子負債に占める当社の有利子負債の割合は74%と、資金調達の大半を親会社に集中しております。このような資金調達活動の結果、当連結会計年度末におけるグロス有利子負債残高は1,789億1百万円で、前連結会計年度末と比べ356億45百万円減少いたしました。現金及び現金同等物の残高が前連結会計年度末に比べ増加したため、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は1,203億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ390億89百万円減少いたしました。その結果、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.69倍となりました。また、当連結会計年度末の有利子負債残高に占める社債および長期借入金(1年以内に返済予定の社債および長期借入金を含む。)の比率は70%(当社では90%)であり、長期資金を中心とした資金調達により、安定した調達基盤を維持しております。 配当性向(総還元性向)当社グループは、中期経営計画「integration 1.0」期間の中で、年間配当金を下限90円から105円に引き上げることを定め、累進配当を実施いたします。総還元性向は30%~35%として、親会社の所有者に帰属する当期利益の成長に応じて増配を行う方針です。これを達成するために、創出される営業キャッシュ・フローおよび金融機関や資本市場から調達する財務キャッシュ・フローを重点分野への成長投資に充てるとともに、安定的かつ継続的に株主還元を実施し、資本の効率性と財務バランスにも目を配って参ります。なお、当連結会計年度における配当性向(総還元性向)は31.9%となりました。 (注意事項)上記の見通しなどの将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。 |
※本記事は「兼松株式会社」の令和7年月3期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)



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