シスメックス株式会社の基本情報

会社名シスメックス株式会社
業種電気機器
従業員数連10533名 単2876名
従業員平均年齢42.3歳
従業員平均勤続年数12.7年
平均年収9133000円
1株当たりの純資産439.55円
1株当たりの純利益(連結)86.07円
決算時期3月
配当金32円
配当性向79.7%
株価収益率(PER)70.14倍
自己資本利益率(ROE)(連結)18.73%
営業活動によるCF882億円
投資活動によるCF▲524億円
財務活動によるCF▲243億円
研究開発費※1314.55億円
設備投資額※162.13億円
販売費および一般管理費※1611億円
株主資本比率※275.3%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、創業以来の経営基本方針である「3つの安心」の価値観を受け継ぎ、内外環境変化に適応するために発展的に再定義したグループ企業理念「Sysmex Way」及び「Shared Values」を定めております。  当社グループの進むべき方向性と大切にすべき価値観を表した「Sysmex Way」をグループ全体で実践し、社会からのより厚い信頼と更なる飛躍を目指します。 (2) 経営環境の認識 世界経済全体の今後の見通しにつきましては、インフレ率の低下による実質所得の回復を原動力として、勢いは欠けるものの、今後も安定的に成長すると見込んでおります。一方で、経済成長の基盤やリスクは国によってまちまちであり、国内においては個人消費の増加と企業の設備投資に支えられた堅実な成長、米国においては金融引き締めの緩和や良好な金融環境による積極的な投資と底堅い個人消費による経済成長が持続し堅調に推移するものの、成長率の減速が予想されております。また、欧州では成長の加速が期待されますが依然としてドイツを中心とした製造業の不振や地政学的緊張によるリスクが存在し、中国においては不動産市場の低迷の継続と米国向け輸出に対する関税の影響がリスクになると予想されております。加えて、中東やロシア・ウクライナ問題の地政学的リスクや米国を中心とした世界的な貿易摩擦による景気低迷のリスク等、依然として世界経済の見通しは不透明な状況が続いております。 医療を取り巻く環境は、医療の質・サービス向上へのニーズの高まり、人工知能(AI)・情報通信技術(ICT)等の最先端技術のヘルスケア領域への実装が急速に進展しております。加えて、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大等、今後も継続した成長が期待されております。また、新型コロナウイルス感染症のグローバルなパンデミックを起点とし、医療提供体制の在り方や医療環境自体が大きく変化する可能性もあり、医療機能の分散化、医療アクセスの向上、セルフメディケーション領域における新たな価値の創出等、更なる成長機会が見込まれております。 こうした中、当社グループでは、2023年4月より新たな中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期まで)をスタートさせました。同期間中における重点アクションの推進により、持続的な成長の実現とそれを支える経営基盤の強化を図ってまいります。 2026年3月期の連結業績予想につきましては、製品ラインアップの拡充や販売・サービス体制の強化等により、売上・利益共に伸張することを想定しており、売上高535,000百万円、営業利益91,500百万円、税引前利益85,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益57,000百万円を予想しております。(注)算定にあたりましては、通期の為替レートを対米ドル142円、対ユーロ160円で想定しております。なお、上記予想は、現時点で入手している情報に基づき算定したものであり、様々な要因により変動する可能性があります。(3) 目標とする経営指標 グループ中期経営計画におきまして、2026年3月期を最終年度として、連結売上高560,000百万円、連結営業利益112,000百万円を達成することを目指します。 (4) 新たな長期経営戦略 今後、医療を取り巻く環境は大きく変化することが予測されております。医療資源を有効に活用するために、医療のデジタル化に加え、医療機能の分散化、予防や個人でのセルフメディケーションが更に重要になると見込まれております。また、医療の高度化による、再生細胞医療や遺伝子治療等、新たな治療法の実用化や医療現場におけるロボット技術の活用が期待されております。 このような中、当社グループでは、グループ企業理念「Sysmex Way」のもと、2033年度を最終年度とする新たな長期経営戦略 2033(VA33)を策定いたしました。 <長期ビジョン> 「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」 当社グループは、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添い、一人ひとりの身体状態を正確に捉え、個々に最適な医療・サービスが提供されることにより、生涯にわたり健康な状態が維持できる社会の実現を目指します。 「ヘルスケアジャーニー」は当社グループが新たに提唱する概念であります。人が一生の中(ライフステージ)で、自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関等を含む対応のプロセスを「旅路」として捉えるものであります。「より良いヘルスケアジャーニーの実現」は世界の人々のQOL向上という重要な社会的課題の一つであります。当社グループは、一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、様々な協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指します。 当社が、創業以来取り組んでいるダイアグノスティクス事業はヘルスケアジャーニーの中で重要な役割を担うものであります。高い成長と収益性を実現すると共に、更に強化することによる「イノベーションの創出」や新たな価値提供を目指す「新興国市場へのフォーカス」、一人ひとりの最適な治療に不可欠な「個別化診断」、健常・未病・予防のための「個別化予防」、慢性疾患等を持ちながらも日常生活を続けるための「予後モニタリング」に取り組んでまいります。 またダイアグノスティクス事業とは異なる領域である手術支援ロボットや再生細胞医療の治療領域への挑戦等、価値創出できる領域を選択・追加し、当社の成長につなげてまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループでは、2023年4月より新たな中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期まで)をスタートさせております。2033年に向けた長期ビジョンの実現を目指し、今後3年間で取り組むべき重点アクションを設定し、具体的施策の実行を継続して推進いたします。今後の成長が期待される免疫検査分野への注力、グループ最大の収益源であるヘマトロジー分野における競争力の再強化に取り組みます。また、新興市場においては、市場ニーズに適応した新製品・サービスの開発により、成長機会を確実に獲得いたします。更に、非連続な成長を実現するため、メディカルロボット事業、再生細胞医療事業等を新たに加え、事業領域の拡大に向けた取り組みを推進いたします。 また、新たな価値創造及び企業体質強化に向けたビジネスプロセス改革をグローバルに推進するため、次世代基幹システムやデジタル基盤刷新への取り組みを継続いたします。グループ全体の生産性を向上すると共に、お客様に対する新たなソリューションの創出に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指します。 加えて、地球環境の持続可能性が喫緊の課題となっている中、グローバルに事業を展開する企業として、事業活動における環境への負荷低減が重要な課題の一つだと認識しております。長期的な環境マネジメントの指針として「シスメックス・エコビジョン2033」を策定しており、製品ライフサイクルにおけるCO2排出量や水消費量の削減、環境に配慮したグリーン調達等を継続して推進いたします。このように製品・サービスの提供を通じた医療課題解決に取り組むと共に、環境への配慮や魅力ある職場の実現等、優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)をグループ全体で推進し、多様なステークホルダーの皆様へ安心をお届けすると共に、サステナビリティ経営の実現を目指します。 なお、中期経営計画2年目の2024年度には、目標完遂に向けて経営計画のレビューを行い、実行計画の更なる具体化と、新たな機会獲得に向けた施策として、「DXによる企業・社会変革の推進」を追加いたしました。 経営戦略の実行における重要な課題は以下のとおりであります。 <長期ビジョンの実現に向けた取り組み> ① 既存事業領域のイノベーションによる競争力の強化と市場の拡大免疫検査分野において、全自動免疫測定装置 HISCL?-5000/HISCL?-800シリーズの試薬項目の拡充、アルツハイマー型認知症の診断支援を目的としたビジネスの早期事業化を推進いたします。ヘマトロジー分野では、「多項目自動血球分析装置 XR?シリーズ」のグローバル展開を加速させることで、成長性・収益性の向上を目指します。また、人口増加及び経済成長、医療品質の向上が大きく期待される新興国において、市場ニーズに適した製品の導入を進め、医療アクセスの向上や医療インフラ強化に貢献いたします。特に、インドを重要市場と位置付け、事業企画・製品開発・市場導入を加速させ、新興国における市場シェアの拡大に取り組みます。また、血液凝固検査分野においては、シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティックス社とのグローバルOEM契約締結により、機器・試薬を相互に供給する協業体制のもと、顧客価値の更なる向上を目指します。 ② 個別化医療領域における、遺伝子検査を中心とした事業化の加速 今後、大きな成長が期待される個別化医療領域において、当社が強みを持つリキッドバイオプシー技術(遺伝子、細胞、タンパク)を活用した新規項目開発に取り組みます。すでに当社が有する研究用製品・技術を活用し、個別化医療領域を牽引する技術の商品化及び市場導入への移行を目指します。加えて、既存の検査技術の組み合わせやデータサイエンスの活用により、造血器腫瘍、癌、遺伝性疾患、加齢関連疾患等を対象とした新たな診断ソリューションの創出に取り組みます。 ③ 予防・セルフメディケーション領域における新たなビジネスモデルの創出 社会的ニーズが更に高まる予防・セルフメディケーション領域において、より個人を主体とする医療への移行、医療の分散化を背景に、在宅検査・高齢者向け低侵襲検査を可能とする製品・サービスの開発を推進いたします。個人の時系列データ、集団の統計学的データの両面からの初期医療支援、ヘマトロジー等の既存アセットを活かした集団感染の予防やマラリア等の感染症向け検査の充実に取り組み、ユニバーサルヘルスカバレッジを実現してまいります。 ④ 治療領域における、メディカルロボット事業を中心とした事業成長の加速 手術支援ロボット「hinotori?」による外科領域のビジネスを日本で着実に拡大させると共に、グローバル展開に向け、海外薬事承認取得に向けた活動を推進いたします。また、当社が検体検査領域で培った技術やノウハウを活かすことで、再生細胞医療や遺伝子治療等、診断と治療の境界に位置する領域での新たな事業の創出や、革新的なデジタル技術の社会及び医療への実装を見据えたオープンイノベーションを推進し、医療データを利活用した新たな事業の創出にも取り組みます。 ⑤ 資源循環型バリューチェーン実現と社会課題解決に向けた変革 2040年のカーボンニュートラルの達成に向け、包装材、消耗品をターゲットに環境配慮材料へと切り替え、脱プラスチックを推進いたします。また、全てのバリューチェーンで4R※によるグリーンイノベーションを創発し、顧客、アライアンスパートナー、他社、サプライヤー等とのオープンイノベーションと共に、資源の無駄を出さない循環型バリューチェーンの変革を行います。また、医療課題の解決、品質の向上、環境配慮への対応強化、ガバナンスの強化等、当社の持続的成長に向けた優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)やサステナビリティ目標に基づき、事業活動を通じた社会課題解決への貢献を通じて、サステナビリティ経営を推進してまいります。 ⑥ 人的資本及び経営基盤強化を通じた企業価値の向上 持続的な成長を支える次世代リーダーと高度専門人材の獲得及び育成を通じ、経営戦略に合わせた人的資本ポートフォリオの拡充を図ります。また、スマートワークの推進や公正で魅力的な企業カルチャーの醸成によるエンゲージメントの向上に取り組みます。引き続き、内部統制の仕組み強化とリスクマネジメント機能の最適化によるグループ管理の高度化に取り組みます。また、経営基盤強化の一環として、ROIC及び主要関連指標の分析、モニタリングを行い、改善施策を立案・実行する等、資本コストを意識した取り組みを強化してまいります。 ⑦ DXによる企業・社会変革の推進 これまで進めてまいりましたDXによる企業業務プロセスの改善と生産性の向上に加え、革新的なソリューションを通じて社会全体の変革を進めるため、AIを活用した医療DXを推進します。医療分野における高い専門性を持った当社独自のAIの開発を進め、疾患マネジメント、検査室支援、検査受診等の行動変容支援を通じて、診断の精度向上や治療の最適化を実現し、医療従事者の負担軽減と人々の生活の質向上に貢献します。※ 4R:Reduce、Reuse、Recycle、Replace
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】1.経営成績等の概要(1) 経営成績の分析 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。 当連結会計年度における世界経済は安定性を保っているものの、一部の国ではインフレ率が高止まりし、更に米国における新たな関税政策により、経済政策の不確実性が、貿易と財政面を中心に急激に高まりました。この中で、米国では個人消費や設備投資が堅調に推移する一方、欧州では製造業や財の輸出の弱含み等による経済成長の抑制、中国では国内需要の低迷が見られました。加えて、中東やロシア・ウクライナ問題の地政学的リスクが残る等、世界経済の先行きに対する不透明な状況が継続しております。我が国では、一時的な供給混乱によりGDPが小幅に縮小したものの、内需の下支え等により緩やかな回復基調となりました。 医療面におきましては、新興国の経済成長や世界的な高齢化に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりにより、医療機能の分散が進み、予防や早期診断、セルフメディケーションが重要になる一方、医療格差や医療アクセスの問題は今後も継続すると想定しております。また、遺伝子解析、超高感度測定、小型化等の技術革新と医療への実装が進展すると共に、個別化医療へのニーズは増加、再生細胞医療や遺伝子治療等新たな治療法が実用化され始めております。加えて、人工知能(AI)の普及をはじめ医療分野のDXは加速し、ロボット技術の実装・用途拡大も進展する予測であり、更なる成長機会が見込まれております。 このような状況のもと、全地域・事業・分野で増収となった結果、5,000億円を超える売上を達成し、売上高、営業利益、当期利益いずれも過去最高となりました。今後は、手術支援ロボットや、グループ初の試薬・機器両方の生産機能を持つ拠点を設立したインドを含む新興国での事業展開の加速等、更なる成長を目指してまいります。 <参考>地域別売上高 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)前期比(%)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)国内62,18413.567,78613.3109.0 米州118,78225.7131,14825.8110.4 EMEA125,34927.2140,39827.6112.0 中国109,95223.9117,97023.2107.3 アジア・パシフィック45,2419.851,33910.1113.5海外計399,32586.5440,85786.7110.4合計461,510100.0508,643100.0110.2  国内販売につきましては、ヘマトロジー分野における機器及び試薬や血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、国内売上高は67,786百万円(前期比9.0%増)、構成比13.3%(前期比0.2ポイント減)となりました。 海外販売につきましては、為替相場が円安に推移したことに加え、ヘマトロジー分野における試薬及び保守サービスや血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、海外売上高は440,857百万円(前期比10.4%増)、構成比86.7%(前期比0.2ポイント増)となりました。 また、販売費及び一般管理費につきましては、主に事業規模拡大に伴う人員増加や販売促進活動の結果、150,848百万円(前期比12.7%増)となりました。研究開発費につきましては、31,455百万円(前期比0.2%増)となりました。 この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は508,643百万円(前期比10.2%増)、営業利益は87,583百万円(前期比11.7%増)、税引前利益は79,221百万円(前期比6.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は53,669百万円(前期比8.1%増)となりました。  セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。 ① 本社統括 日本における需要増加により、ヘマトロジー分野、血液凝固検査分野における機器及び試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は93,988百万円(前期比9.7%増)となりました。 利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収や売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は59,104百万円(前期比8.8%増)となりました。 ② 米州統括 北米では、ヘマトロジー分野、尿検査分野における試薬及び保守サービスの売上が増加いたしました。また、中南米では、ブラジル市場を中心に、ヘマトロジー分野の機器及び試薬や尿検査分野の試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は122,916百万円(前期比9.7%増)となりました。 利益面につきましては、増収した一方、事業規模拡大に伴う人員増加等により販売費及び一般管理費が増加し、セグメント利益(営業利益)は6,743百万円(前期比8.9%減)となりました。 ③ EMEA統括 サウジアラビアにおける直販化拡大の効果も寄与し、ヘマトロジー分野における機器及び試薬の売上や、血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は135,671百万円(前期比11.6%増)となりました。 利益面につきましては、インフレの影響等により販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収や売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は10,583百万円(前期比2.5%増)となりました。 ④ 中国統括 検査数の増加により、ヘマトロジー分野及び血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は117,828百万円(前期比7.3%増)となりました。 利益面につきましては、増収に加え、売上原価率の改善や販売費及び一般管理費の減少により、セグメント利益(営業利益)は10,646百万円(前期比35.6%増)となりました。 ⑤ AP統括 インド市場での成長も寄与し、ヘマトロジー分野における機器及び試薬の売上や、血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は38,239百万円(前期比17.6%増)となりました。 利益面につきましては、増収や、売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は3,579百万円(前期比50.7%増)となりました。 (2) 財政状態の分析 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて46,348百万円増加し、665,268百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が14,062百万円、有形固定資産が13,517百万円、流動資産の営業債権及びその他の債権が5,940百万円、非流動資産の営業債権及びその他の債権が5,543百万円増加したこと等によるものであります。 負債合計は、前連結会計年度末と比べて14,711百万円増加し、200,734百万円となりました。この主な要因は、非流動負債のリース負債が5,046百万円、長期借入金が3,759百万円、未払賞与が2,098百万円増加したこと等によるものであります。 資本合計は、前連結会計年度末と比べて31,637百万円増加し、464,534百万円となりました。この主な要因は、その他の資本の構成要素が5,388百万円減少した一方で、利益剰余金が36,835百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の69.8%から0.1ポイント減少して69.7%となりました。 (3) キャッシュ・フローの分析 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より14,062百万円増加し、89,570百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。<営業活動によるキャッシュ・フロー> 営業活動の結果得られた資金は、88,246百万円(前期比24,340百万円増)となりました。この主な要因は、税引前利益が79,221百万円(前期比4,620百万円増)、減価償却費及び償却費が39,033百万円(前期比3,144百万円増)、法人所得税の支払額が27,723百万円(前期比1,250百万円減)となったこと等によるものであります。<投資活動によるキャッシュ・フロー> 投資活動の結果使用した資金は、52,488百万円(前期比2,481百万円減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が29,226百万円(前期比3,616百万円増)、無形資産の取得による支出が20,733百万円(前期比3,847百万円減)となったこと等によるものであります。<財務活動によるキャッシュ・フロー> 財務活動の結果使用した資金は、24,322百万円(前期比15,308百万円増)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入が4,700百万円(前期比24,300百万円減)、配当金の支払額が18,081百万円(前期比502百万円増)、リース負債の返済による支払額が10,561百万円(前期比1,492百万円増)となったこと等によるものであります。 (4) 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメント毎に示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)本社統括68,484102.5米州統括5,240122.0EMEA統括3,506102.8中国統括5,856152.9AP統括2,176176.7合計85,263107.1(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 b.受注実績 見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメント毎に示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)本社統括93,988109.7米州統括122,916109.7EMEA統括135,671111.6中国統括117,828107.3AP統括38,239117.6合計508,643110.2(注)セグメント間の内部売上高は相殺消去しております。 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。(1) 当連結会計年度の経営成績の分析 当連結会計年度の売上高は前期比47,133百万円増加(10.2%増)の508,643百万円、営業利益は前期比9,201百万円増加(11.7%増)の87,583百万円、税引前利益は前期比4,620百万円増加(6.2%増)の79,221百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比4,030百万円増加(8.1%増)の53,669百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度の12.1%から当連結会計年度は12.0%へと低下いたしました。 こうした中、当社グループは、長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」の実現を目指して引き続き重要な課題に取り組み、2026年3月期の連結業績として、売上高535,000百万円、営業利益91,500百万円を予想しております。 ① 売上高 当連結会計年度は、国内販売につきましては、ヘマトロジー分野における機器及び試薬や血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、国内売上高は67,786百万円(前期比9.0%増)、構成比13.3%(前期比0.2ポイント減)となりました。海外販売につきましては、為替相場が円安に推移したことに加え、ヘマトロジー分野における試薬及び保守サービスや血液凝固検査分野における試薬の売上が増加いたしました。その結果、海外売上高は440,857百万円(前期比10.4%増)、構成比86.7%(前期比0.2ポイント増)となりました。以上により、売上高は前連結会計年度に比べて47,133百万円増加(10.2%増)の508,643百万円となりました。 国内での売上高は67,786百万円と5,602百万円の増加(9.0%増)となり、海外での売上高は440,857百万円と41,531百万円の増加(10.4%増)となった結果、海外売上高比率は前期比0.2ポイント増加の86.7%となりました。 海外の地域別では、米州が131,148百万円(前期比12,365百万円増、10.4%増)、EMEAが140,398百万円(前期比15,048百万円増、12.0%増)、中国が117,970百万円(前期比8,017百万円増、7.3%増)、アジア・パシフィックが51,339百万円(前期比6,098百万円増、13.5%増)となりました。 ② 売上原価 売上原価は、前期比17,652百万円増加(8.1%増)の236,665百万円となりました。また、売上原価率は46.5%(前期比1.0ポイント減少)でありました。 ③ 販売費及び一般管理費 販売費及び一般管理費は、主に事業規模拡大に伴う人員増加や販売促進活動の結果、前期比17,050百万円増加(12.7%増)の150,848百万円となりました。また、売上高に対する比率は29.7%(前期比0.7ポイント増加)でありました。 ④ 研究開発費 研究開発費は、主に短中期的業績に関わらないテーマの見直しや効率化の結果、前期比52百万円増加(0.2%増)の31,455百万円となりました。また、売上高に対する比率は6.2%(前期比0.6ポイント減少)でありました。 ⑤ 損益の状況 営業利益は売上高の増加による売上総利益の伸張等により前期比9,201百万円増加(11.7%増)の87,583百万円、売上高営業利益率は17.2%(前期比0.2ポイント増加)となりました。なお、為替の影響は、前連結会計年度と比較して10,564百万円の増益要因となりました。 税引前利益は、為替差損が3,850百万円(前期は為替差益が516百万円)となりましたが、営業利益が増益となったこと等によって、前期比4,620百万円増加(6.2%増)の79,221百万円となりました。 親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用が前期比819百万円増加(3.3%増)の25,645百万円となり、前期比4,030百万円増加(8.1%増)の53,669百万円となりました。 (2) 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループが事業を展開していく上で、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性のある事項については、「3 事業等のリスク」に記載しておりますので、ご参照ください。 (3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 ① 資金調達と流動性マネジメント 運転資金は必要に応じて短期銀行借入等で調達いたします。各連結子会社については、運転資金確保のために必要に応じて銀行借入を行いますが、国内の子会社については、2003年10月より当社と各社との資金決済にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金の調達・運用を一元化して効率化を図っております。更に、海外の一部の地域統括会社についても、2024年1月より当社と各社間でCMSによる資金融通を開始し、グループ内の流動性確保、資金効率向上に努めております。 また、当社は、現在、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりAA-(ダブルAマイナス)の発行体格付を取得しており、毎年レビューを受けて格付を更新しております。高い格付は資本市場から資金調達する際の調達コストを低減するだけではなく、ステークホルダーや世間一般からの信用向上にも貢献します。今後も格付を維持・向上していくために、売上高・利益と資産及び負債・資本のバランスに考慮してまいります。 設備投資等の長期資金需要に関しては、投資回収期間とリスクを勘案した上で調達方法を決定しております。なお、当連結会計年度は、設備投資及び研究開発活動等の資金について、主に営業活動の結果得られた資金から充当しておりますが、一部の長期資金需要に関しては銀行から長期借入を実施の上充当しております。 ② 財政状態の分析 財政状態の分析については、「1.経営成績等の概要 (2) 財政状態の分析」に記載しておりますので、ご参照ください。 ③ キャッシュ・フローの分析 キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の概要 (3) キャッシュ・フローの分析」に記載しておりますので、ご参照ください。 (4) 重要な会計方針及び見積り 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 3.重要性がある会計方針」に記載しておりますので、ご参照ください。

※本記事は「シスメックス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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