| 会社名 | 日本光電工業株式会社 |
| 業種 | 電気機器 |
| 従業員数 | 連6114名 単3893名 |
| 従業員平均年齢 | 42.5歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 15.8年 |
| 平均年収 | 9256947円 |
| 1株当たりの純資産 | 1101.11円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 84.88円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 31円 |
| 配当性向 | 30.4% |
| 株価収益率(PER) | 23.6倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 7.8% |
| 営業活動によるCF | 152億円 |
| 投資活動によるCF | ▲251億円 |
| 財務活動によるCF | 25億円 |
| 研究開発費※1 | 2.37億円 |
| 設備投資額※1 | 95.19億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 713.46億円 |
| 株主資本比率※2 | 71.4% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 260.76億円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針当社は、医用電子機器専門メーカとして、「病魔の克服と健康増進に先端技術で挑戦することにより世界に貢献すると共に社員の豊かな生活を創造する」ことを経営理念としています。そしてその実現に向け、商品、販売、サービス、技術、財務体質や人財などすべてにおいて、お客様はもとより、株主の皆様、取引先、社会から認められる企業として成長し、信頼を確立することを基本方針としています。 この基本方針の実現および当社グループの中長期的な企業価値向上のため、経営の健全性・透明性・効率性の向上を目指す経営管理体制の構築により、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な経営課題であると考えています。当連結会計年度において、ジェンダーや国際性の面を含む多様性の確保を検討する中、女性取締役2名、外国人取締役1名を選任しました。取締役会に占める独立社外取締役の比率は50%ですが、2025年6月26日開催の第74回定時株主総会での承認を前提として独立社外取締役の比率は過半数となる予定です。 当社は、監督機能の強化、経営の健全性・透明性の向上、経営の意思決定の迅速化を図るため、監査等委員会設置会社を選択するとともに、社外取締役3名で構成され社外取締役が委員長を務める指名・報酬委員会を設置しています。 (2) 目標とする経営指標当社は、企業価値・株主価値増大に向けて連結ROE(連結自己資本当期純利益率)を重要な経営指標としており、2024年度からスタートした3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」において、資本コストを上回る12%を目標としています。資本コストは毎年見直しており、現在8%前後と見ています。 中期経営計画の推進による利益率の改善を最優先としつつ、日本光電版ROICの導入、在庫圧縮や債権回収の早期化などキャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮による運転資本の改善、投資判断基準の設定、株主還元の充実等により、経営指標の達成を目指します。 2020年度以降、増加傾向にあった部品・製品在庫は減少したものの、2024年度のキャッシュ・コンバージョン・サイクルは目標の190日に対し225日となりました。2025年度は、需要予測の精度向上により需給バランスを最適化し、在庫管理を強化するとともに、債権回収を早期化し、2021年度水準である190日への回復を目指します。 また、成長投資による企業価値向上に向けて、2022年度に投資判断基準に正味現在価値(NPV)と内部収益率(IRR)を採用し、新規投資案件の評価を開始しています。Phase IIでは、資本コストを上回る12%をIRRの目標としています。一定額を超える投資案件の場合、投資後の進捗状況、効果を毎年取締役会で検証しています。 (3) 経営環境当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、欧米では金融政策が緩和傾向にあるものの、地政学リスクもあり景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、昨年4月に施行された医師の働き方改革および昨年6月の診療報酬改定を受け、各医療機関はタスクシフトや業務の効率化に取り組む一方、物価や賃金の上昇により厳しい経営環境となりました。海外では、中国において反腐敗運動や景気減速の影響により医療機器の設備投資に慎重な姿勢が続いたものの、米国においては検査・手術件数の増加に伴い病院経営に改善傾向が見られました。国内外ともに、医療機関における医療の質向上と効率化が急務であり、データヘルス、遠隔医療、AI、ICTの活用など医療DXが推進されました。米国の関税政策により世界経済の不確実性が高まるとともに、地政学リスクもあり景気の先行きは不透明な状況にあります。国内では、物価や賃金の上昇により医療機関の経営が悪化しており、政府による緊急支援が進められるとともに、2040年を見据えた地域医療構想に関する議論が本格化する見込みです。海外では、相互関税に伴うサプライチェーンの混乱が見込まれます。北米、中南米、東南アジアを中心に医療機器の需要は底堅く推移すると見込まれるものの、新興国では保護主義的政策や医療機器に関する法規制が強化されています。医療機器業界においては、こうした環境の変化と医療の質向上や効率化といった医療機関のニーズへの迅速かつ柔軟な対応が求められ、厳しい経営環境が続くと予想されます。 (4) 会社の対処すべき課題と中長期的な経営戦略当社グループは、2020年に10年後の2030年に向けた長期ビジョン「BEACON 2030」を策定し、「グローバルな医療課題の解決で、人と医療のより良い未来を創造する」ことを目指しています。そして、3つの変革「グローバルな高付加価値企業への変革」「顧客価値を追求するソリューション型事業への変革」「オペレーショナルエクセレンスを軸とするグローバル組織への変革」に取り組んでいます。 <第2フェーズである中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」(2024~2026年度)> 激変する世界情勢の中、厳しい経営環境にありますが、前中期経営計画の成果と課題を踏まえ、「BEACON 2030 Phase II」では、全社収益改革を実行し成長領域への投資を本格化するとともに、新たな事業モデルの構築および既存事業との連携を強化します。1. 3つの指標と6つの重要施策成長性、収益性、資本効率性の強化に取り組み、サステナビリティ経営を実践します。(成長性)売上高CAGR 5%(2024/3期~2027/3期):製品競争力の強化、北米事業の成長に注力(収益性)営業利益率 15%(2027/3期):全社収益改革の実行、グローバルサプライチェーンの進化(資本効率性)ROE 12%(2027/3期):日本光電版ROICの導入、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮(1)(成長性)製品競争力の強化主力の生体情報モニタリング事業の強化、高成長が期待できる人工呼吸器を含む治療機器事業、消耗品・サービス事業、DHS(デジタルヘルスソリューション)を含むソリューション事業の拡大に注力。設計プラットフォームの共通化、マルチプラント設計、サイバーセキュリティの高度化、QA/RA体制の強化。PLM/MESシステムの導入に加え、開発プロセス改革を推進し、新製品開発期間を短縮。※ QA(Quality Assurance):品質保証、RA(Regulatory Affairs):規制関連業務。PLM(Product Life-cycle Management):製品ライフサイクル管理、MES(Manufacturing Execution System):製造実行システム。(2)(成長性)北米事業の成長に注力日本、北米、その他の海外の3地域における市場戦略を強化。成長ポテンシャルの高い北米事業に優先的に資源を配分し、シェア拡大と収益改革を推進。[日本]顧客価値提案の高度化による、顧客基盤の強化と持続的な成長[北米]大手IDN/GPO市場、DoD/VA市場深耕によるブランド認知度向上と収益改革[海外]医療機器に関する法規制対応、現地開発・生産・販売・サービス体制の強化※ IDN(Integrated Delivery Network):総合医療ネットワーク、GPO(Group Purchase Organization):グループ購買組織。DoD(Department of Defense):米国国防総省、VA(Veterans Affairs):米国退役軍人省。(3)(収益性)全社収益改革の実行商品ミックス、生産性、サプライチェーンの改善に向けた各種施策を実行(4)(収益性)グローバルサプライチェーンの進化PSI(生産・販売・在庫)管理を高度化、グローバルQMS(Quality Management System:品質管理システム)の強化、マルチプラント生産の推進(5)(資本効率性)日本光電版ROICの導入利益率改善と投資対効果のモニタリング強化(6)(資本効率性)キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮新設した生産本部を中心に、調達・生産管理機能を強化。債権回収の早期化 2.サステナビリティ経営 サステナビリティ経営の実践に向けては、Phase Iのマテリアリティ・KPIを一部見直し、医療課題、環境課題、社会課題の解決に取り組みます。 グローバル共通価値基準に基づき、Phase Iで導入したBEACON人事制度の浸透および運用定着・強化を図るとともに、働き方改革・人員生産性の向上に取り組みます。ダイバーシティ&インクルージョンの推進に加え、グローバル人財やDX人財の育成などキャリア支援の充実により、医療への貢献にやりがいと誇りを持てる組織風土の醸成に取り組みます。 グループガバナンスの一層の強化に向け、取締役会の多様性を確保するとともに、CxO体制の導入による意思決定の迅速化を図ります。また、株主価値との連動性を高めることを目的として、役員報酬制度の見直しを進めます。3.経営目標値 (億円)2027年3月期経営目標値売上高2,560 国内売上高1,570 海外売上高990営業利益営業利益率38515%親会社株主に帰属する当期純利益250ROIC12%ROE12% |
経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ① 経営成績の状況当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、欧米では金融政策が緩和傾向にあるものの、地政学リスクもあり景気の先行きは不透明な状況で推移しました。国内では、昨年4月に施行された医師の働き方改革および昨年6月の診療報酬改定を受け、各医療機関はタスクシフトや業務の効率化に取り組む一方、物価や賃金の上昇により厳しい経営環境となりました。海外では、中国において反腐敗運動や景気減速の影響により医療機器の設備投資に慎重な姿勢が続いたものの、米国においては検査・手術件数の増加に伴い病院経営に改善傾向が見られました。国内外ともに、医療機関における医療の質向上と効率化が急務であり、データヘルス、遠隔医療、AI、ICTの活用など医療DXが推進されました。 このような状況下、当社グループは、2024年度からスタートした3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」を推進し、3つの指標「成長性」「収益性」「資本効率性」の目標達成に向け、「製品競争力の強化」「北米事業の成長に注力」「全社収益改革の実行」など6つの重要施策に取り組みました。商品面では、ミドルローエンドベッドサイドモニタ、医科向け除細動器を国内外で発売しました。また、患者容態把握ダッシュボードソフトウェア、中小病院向けクリニカルアシスタントサービスを国内で上市するとともに、現地開発した遠隔ICUソリューションの提供を米国で開始するなど、顧客価値の高い新製品・サービスを相次いで投入しました。さらに、昨年5月に日本光電ベトナム㈲を設立、9月にインドで検体検査試薬の新工場が稼働開始、11月に米国アドテック㈱の親会社の株式71.4%を取得し子会社化するなど、海外事業の基盤強化を図りました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は前期比1.5%増の2,254億2千4百万円となりました。利益面では、在庫評価減の減少、売価アップ、商品構成の良化により売上総利益率が改善したことから、営業利益は前期比5.7%増の207億1千3百万円となりました。一方、経常利益は、為替差損益が差損に転じたことから、前期比20.4%減の203億7千3百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益に計上した一方で、投資有価証券評価損を特別損失に計上した結果、前期比17.2%減の140億9千8百万円となりました。 <市場別の状況> 国内市場においては、急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化するとともに、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案を推進、消耗品・サービス事業の強化に注力した結果、売上を伸ばすことが出来ました。市場別には、PAD市場(※1)でAEDの販売が好調でした。大学、診療所市場は堅調に推移し、官公立病院市場も前期並みを確保しました。一方、私立病院市場は大口商談の受注もあり好調だった前期実績を下回りました。商品別には、治療機器が二桁成長となり、生体計測機器も堅調に推移しました。一方、生体情報モニタ、その他商品群は、前期実績を下回りました。この結果、国内売上高は前期比2.0%増の1,452億3千7百万円となりました。 海外市場においては、前期の米国子会社再編に伴うデフィブテック LLCの決算期変更の影響(※2)に加え、アジア州他、中南米で低調に推移したことから、現地通貨ベースでは前期実績を下回りました。円ベースでは、為替の影響により増収となりました。北米では、AEDは減収となった一方、生体情報モニタ、人工呼吸器、脳神経系群が二桁成長となりました。中南米では、ブラジルは好調に推移したものの、前期に大幅増収となったコスタリカ、コロンビアを中心に減収となりました。欧州では、ドイツ、イタリアは増収となりましたが、イギリス、オランダが減収となり、前期実績を下回りました。アジア州他では、中国での減収に加え、前期にモロッコでの大口商談の受注もあり大幅増収となった中近東・アフリカも前期実績を下回りました。商品別には、その他商品群が好調に推移し、生体情報モニタも前期実績を上回りました。一方、治療機器、生体計測機器は減収となりました。この結果、海外売上高は前期比0.7%増の801億8千7百万円となりました。※1 PAD(Public Access Defibrillation):一般市民によるAEDを用いた除細動。PAD市場には公共施設や学校、民間企業などが含まれる。※2 前連結会計年度において、米国子会社再編に伴い、デフィブテック LLCの決算日を12月31日から3月31日に変更しています。前連結会計年度は、2023年1月1日から2024年3月31日までの15ヵ月決算を連結しています。 <商品群別の状況>[生体計測機器]国内では、脳神経系群が二桁成長となり、心臓カテーテル検査装置群、心電計群も堅調に推移しました。一方、診断情報システムは好調だった前期実績を下回りました。海外では、脳神経系群、心電計群ともに、アジア州他、特に中国での減収が影響し、前期実績を下回りました。この結果、売上高は前期比0.8%増の468億7千4百万円となりました。[生体情報モニタ]国内では、センサ類など消耗品は堅調に推移したものの、臨床情報システムが好調だった前期実績を下回りました。海外では、北米で二桁成長となり、欧州も前期実績を上回りました。一方、アジア州他、中南米では減収となりました。この結果、売上高は前期比1.0%増の849億6千5百万円となりました。[治療機器]国内では、更新需要が回復したAEDに加え、人工呼吸器もマスク型人工呼吸器がけん引し、二桁成長となりました。海外では、決算期変更影響に加え代理店での在庫調整もあり、デフィブテック LLCのAEDが減収となりました。一方、人工呼吸器は、北米で大幅増収となり、アジア州他、中南米でも好調に推移しました。この結果、売上高は前期比2.9%増の531億8千4百万円となりました。[その他]国内では、検体検査装置・試薬、医療機器の保守サービスは好調に推移した一方、現地仕入品が減収となりました。海外では、欧州、中南米で検体検査装置・試薬が二桁成長となりました。この結果、売上高は前期比1.8%増の404億円となりました。 売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。 金額(百万円)対前期増減率(%)生体計測機器46,874+ 0.8生体情報モニタ84,965+ 1.0治療機器53,184+ 2.9その他40,400+ 1.8合 計225,424+ 1.5 機器113,304△ 2.0 消耗品・サービス112,119+ 5.4 (参考)地域別売上高 国内売上高145,237 + 2.0 海外売上高80,187+ 0.7 北米41,900+ 13.1 中南米5,388△ 10.8 欧州12,554△ 4.2 アジア州他20,344△ 13.1 区 分内 容生体計測機器脳波計、筋電図・誘発電位検査装置、心電計、心臓カテーテル検査装置、診断情報システム、関連の消耗品(記録紙、電極、電極カテーテルなど)、保守サービスなど生体情報モニタ心電図、呼吸、SpO2(動脈血酸素飽和度)、NIBP(非観血血圧)等の生体情報を連続的にモニタリングする生体情報モニタ、臨床情報システム、関連の消耗品(電極、センサなど)、保守サービスなど治療機器除細動器、AED(自動体外式除細動器)、人工呼吸器、心臓ペースメーカ、麻酔器、人工内耳、自動心臓マッサージ装置、関連の消耗品(電極パッド、バッテリ、アブレーションカテーテルなど)、保守サービスなどその他血球計数器、臨床化学分析装置、超音波診断装置、消耗品(試薬、衛生用品など)、設置工事・保守サービスなど 報告セグメント別の経営成績は次のとおりです。(日本)売上高は1,465億2千5百万円(前期比1.8%増)、セグメント利益は219億2千6百万円(同6.4%増)となりました。(北米)売上高は448億9千9百万円(同6.9%増)、セグメント損失は9億4千1百万円(前期は22億3百万円の損失)となりました。(その他の地域)売上高は339億9千9百万円(同5.7%減)、セグメント利益は18億6千9百万円(同19.1%減)となりました。 ② 財政状態の状況 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ250億4千2百万円増加し、2,582億7千6百万円となりました。 流動資産は前連結会計年度末に比べ12億4千8百万円減少し、1,830億8千5百万円となりました。これは、在庫が減少したことなどによるものです。 固定資産は前連結会計年度末に比べ262億9千1百万円増加し、751億9千1百万円となりました。これは、保有銘柄の売却により投資有価証券が減少した一方で、ニューロアドバンスド㈱を取得したことにより、のれんおよびその他無形固定資産が増加したことや、鶴ヶ島新工場建設のための建設仮勘定が増加したことなどによるものです。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ248億3千万円増加し、769億8千1百万円となりました。これは、未払法人税等が減少した一方で、ニューロアドバンスド㈱の株式取得のための短期借入金が増加したことなどによるものです。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億1千2百万円増加し、1,812億9千4百万円となりました。これは、利益剰余金の増加、自己株式の取得などによるものです。 これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ21.91円増加して1,101.11円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の77.6%から8.1ポイント減少し69.5%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ68億1千6百万円減少して430億6千1百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は、前期比3億2千1百万円減の152億8千6百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益215億7千万円、棚卸資産の減少24億5千2百万円、売上債権の減少7億1千6百万円、仕入債務の減少2億7千1百万円などです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は、前期比199億3千万円増の251億3千8百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得71億2千6百万円、無形固定資産の取得15億8千3百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出188億6千9百万円(株式の取得対価の支払159億9千5百万円、取得に伴う新規連結子会社の借入金の返済32億3千6百万円、新規連結子会社の現金および現金同等物の増加3億6千2百万円)などです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果得られた資金は、25億5千万円(前期は69億6千8百万円の支出)となりました。主な内訳は、短期借入金の増加253億7千4百万円、自己株式の取得による支出100億1百万円、配当金の支払51億円などです。 ④ 生産、受注及び販売の状況 当連結会計年度における生産、受注および販売の状況をセグメントごとに示すと次のとおりです。 イ. 生産実績区分金額(百万円)前期比(%)日本78,752105.5 北米9,88179.8 その他の地域1,73253.5合計90,365100.1 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。 2 上記金額には、商品購入高が合計で32,163百万円含まれています。 3 上記金額は、製造原価によっています。 ロ.受注実績当社グループの商品は、需要予測による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 ハ.販売実績区分 金額(百万円)前期比(%)日本146,525101.8 北米44,899 106.9その他の地域33,99994.3合計225,424101.5 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。 2 上記金額は、販売価格によっています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る資産であり、見積りおよび判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容イ.当連結会計年度の経営成績および「BEACON 2030 Phase II」の進捗状況 当連結会計年度においては、日本では、物価や賃金の上昇により医療機関の経営が厳しい中、顧客価値提案を推進、消耗品・サービス事業の強化に注力した結果、売上を伸ばすことが出来ました。消耗品・サービス、AEDが想定を上回って推移した一方、自社品販売に注力し現地仕入品の抑制が進んだことから、期初計画を下回りました。北米では、決算期変更影響に加え代理店での在庫調整もありAEDは減収となった一方、生体情報モニタ、人工呼吸器、脳神経系群が二桁成長となり、期初計画を上回ることが出来ました。その他の地域においては、中国での減収に加え、中近東・アフリカにおける前期の大口商談の反動もあり、前期実績および期初計画を下回りました。以上の結果、2025年3月期の業績は、国内売上高、海外売上高ともに、前期実績を上回ったものの計画未達となりました。 商品群別では、生体計測機器は、国内で脳神経系群が二桁成長となり、心臓カテーテル検査装置群、心電計群も堅調に推移した一方、海外では中国を中心に脳神経系群、心電計群が低調だったことから、前期比0.8%の増収となりました。国内では診断情報システムが減収となり、海外では特に中国での減収が影響し、計画を下回りました。生体情報モニタは、国内で臨床情報システムが好調だった前期実績を下回ったものの、海外では北米が二桁成長となり、欧州も前期実績を上回ったことから、前期比1.0%の増収となりました。一方で、国内において臨床情報システムやベッドサイドモニタが減収となり、海外ではアジア州他、中南米で減収となったことから、計画を下回りました。治療機器は、国内でAED、人工呼吸器が二桁成長となりました。海外ではAEDは低調だった一方で人工呼吸器が大幅増収となりました。この結果、前期比2.9%の増収となり、概ね計画どおりに推移しました。その他商品群は、国内で現地仕入品が減収となった一方、国内、海外ともに検体検査装置・試薬が好調に推移したことから、前期比1.8%の増収となりました。国内で現地仕入品の抑制が進んだことから、計画を下回りました。 営業利益については、在庫評価減の減少、売価アップ、商品構成の良化により売上総利益率が改善したことから、増益を確保することが出来ました。一方、海外実質売上の計画未達に加え、為替影響や賃上げ対応により販管費率が上昇したことから、計画を下回りました。 2025年度は、国内において顧客価値提案の推進、消耗品・サービスの強化に取り組みます。海外では、為替およびアドテック㈱の連結影響を除く実質ベースでは、二桁の売上成長を見込みます。利益面では、国内外での価格政策の見直しを継続し、売上総利益率の改善を想定しています。販管費は、賃上げ等による人件費の増加を見込んでいますが、全社収益改革プロジェクトにおいて人員生産性の向上に注力します。 ロ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 事業への資源配分については、新製品の投入による売上、利益の成長に資する投資を最優先としながら、研究開発や設備投資、M&A・提携、人財育成など将来の企業成長のために必要な資源配分を安定的かつ継続的に実施します。設備投資は94億円程度、研究開発費は72億円程度を計画しています。 株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しています。 資金調達については、当社グループの主な運転資金および設備資金として自己資金を充当しており、M&Aや新規事業など資金調達が必要になった場合には、資金需給のバランスを見ながら、借入を資金調達の有効な手段として検討し、負債コストも考慮した加重平均資本コストの最適化を図ります。 また、当社グループでは、財務健全性を維持した持続的成長と企業価値の向上を目指して、資金の効率化と流動性の確保に努めています。資金の効率化については、キャッシュ・コンバージョン・サイクルを指標とし、売上債権回収の早期化や棚卸資産の適正化により、運転資金の効率化を図っています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。安定的な経営に必要な手元現預金の水準は、概ね月商の3ヵ月程度と考えています。当連結会計年度末における流動比率は、253.2%となっており、十分な流動性を確保しています。なお、資金の流動性を確保するため、複数の取引金融機関と当座貸越契約を締結しています。 ハ.経営指標の分析 当社は、企業価値・株主価値増大に向けて連結ROE(連結自己資本当期純利益率)を重要な経営指標としており、2024年度からスタートした3ヵ年中期経営計画「BEACON 2030 Phase II」において、資本コストを上回る12%を目標としています。資本コストは毎年見直しており、現在8%前後と見ています。 中期経営計画の推進による利益率の改善を最優先としつつ、日本光電版ROICの導入、在庫圧縮や債権回収の早期化などキャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮による運転資本の改善、投資判断基準の設定、株主還元の充実等により、経営指標の達成を目指します。 2020年度以降、増加傾向にあった部品・製品在庫は減少したものの、2024年度のキャッシュ・コンバージョン・サイクルは目標の190日に対し225日となりました。2025年度は、需要予測の精度向上により需給バランスを最適化し、在庫管理を強化するとともに、債権回収を早期化し、2021年度水準である190日への回復を目指します。 また、成長投資による企業価値向上に向けて、2022年度に投資判断基準に正味現在価値(NPV)と内部収益率(IRR)を採用し、新規投資案件の評価を開始しています。Phase IIでは、資本コストを上回る12%をIRRの目標としています。一定額を超える投資案件の場合、投資後の進捗状況、効果を毎年取締役会で検証しています。 |
※本記事は「日本光電工業株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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