グローリー株式会社の基本情報

会社名グローリー株式会社
業種機械
従業員数連11392名 単3153名
従業員平均年齢43.2歳
従業員平均勤続年数19.1年
平均年収8942338円
1株当たりの純資産4214.94円
1株当たりの純利益(連結)287.75円
決算時期3月
配当金108円
配当性向24.7%
株価収益率(PER)9.1倍
自己資本利益率(ROE)(連結)6.9%
営業活動によるCF457億円
投資活動によるCF▲79億円
財務活動によるCF▲212億円
研究開発費※1113.59億円
設備投資額※1118.14億円
販売費および一般管理費※1649.26億円
株主資本比率※263.7%
有利子負債残高(連結)※3746.24億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、経営の基本方針として、「企業理念体系」を制定し、「企業理念」、「私たちの価値観」を定めております。これらを踏まえ、グループ全体の企業価値向上を実現するために、一人ひとりが個性を発揮してお客様の期待に応え、私企業としての利益を追求するとともに、社会の公器として社会に貢献してまいります。 《企業理念》私たちは「求める心とみんなの力」を結集し、セキュア(安心・確実)な社会の発展に貢献します 「求める心」には、「顧客、社会のニーズに不屈の精神で挑戦し、不可能を可能にしていく」という思いが込められています。そして、「求める心」を共有した「みんなの力」が結束してはじめて偉大な仕事ができるという、いつの時代も変わることのないグローリーの原点を表しています。 《私たちの価値観》「私たちの価値観」は企業理念の実現のために、当社グループが大切にする考え方であり、当社グループで働くすべての人々の行動や判断の基準となるものです。 キャッシュレス化や金融機関の店舗数減少など、当社グループを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化しています。このような環境のなか、当社グループが持続的に成長し続けるために、2026中期経営計画の策定に合わせ、当社グループの価値観と行動の原点である、企業理念体系の見直しを実施し、新たに「私たちの価値観」を定めました。 (2) 経営環境経営環境につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 (3) 目標とする経営指標当社グループは、すべてのステークホルダーの皆様との良好な関係に基づく企業価値向上を目指し、自己資本当期純利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、総資産利益率(ROA)、営業利益、売上高の向上を目標とする経営を実践してまいります。 (4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 長期ビジョン及び中期経営計画 当社グループは、2018年3月に創業100周年を迎え、次代を築くために10年後のありたい姿を描いた以下の『長期ビジョン2028』を定めました。 グローリーグループ長期ビジョン2028 『人と社会の「新たな信頼」を創造するリーディングカンパニーへ』 Confidence Enabled 当社グループは、長期ビジョンの実現に向けた第3ステップとして、2024年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2026中期経営計画』に取り組んでおります。本計画では、“GLORY TRANSFORMATION 2026 ~お客様と共に未来を創造するグローリー ~”をコンセプトに、「新たな収益源の獲得」、「コア事業の収益拡大」、「経営マネジメントの強化」「リスクマネジメントの強化」の4つを基本方針とし、世界最高品質の製品群とソフトウェアプラットフォームを融合し、店舗DXをサポートする企業となることを目指して、以下の重点施策を推進しております。 方針1:新たな収益源の獲得本方針では、当社グループの強みである顧客基盤や技術等を活かし、お客様の収益力強化に貢献するソリューションビジネスを新たな事業の柱として確立することを目指しております。特に、リテール、金融、飲食の3市場に狙いを定め、新領域事業の収益拡大を加速すべく、以下の施策を実施しております。リテール市場においては、店舗DXと売上拡大に貢献するソリューションの拡充や、Flooidグループが提供する小売業向けクラウドソリューションであるユニファイド・コマース・プラットフォームを活用した顧客層の拡大に注力いたします。金融市場においては、店舗運営の効率化に貢献する遠隔接客サービスなど新たなツールの提供や、金融サービスへのアクセスポイントを提供するためのシェアードサービスを推進いたします。飲食市場においては、人手不足と人件費高騰を背景とするDXの動きを追い風に、セルフサービスキオスクやモバイルオーダーサービスなど、次世代型飲食店舗創出プラットフォームの提供によるソリューション事業を展開してまいります。 方針2:コア事業の収益拡大本方針では、通貨処理機事業等のコア事業において、新たな機会の獲得による事業成長及び収益拡大を図ってまいります。リテール市場では、セルフ型つり銭機と新技術を掛け合わせ、人手不足対応や顧客サービスの向上に寄与するソリューションを提案してまいります。また、「UBIQULAR?」を始めとする各種ソリューションの販売を強化し、リカーリング売上の拡大を図ります。金融市場では、多様化する店舗形態に対応し、アシストセルフ機等の省人化ニーズに応える製品の販売拡大に取り組むとともに、新興国におけるシェア拡大を進めてまいります。 方針3:経営マネジメントの強化本方針では、経営管理の強化、経営資源の適正な確保・分配、サステナビリティへの取組み強化を推進してまいります。具体的には、収益力の向上を目指したROIC経営を推進するとともに、社内におけるDX推進を加速し、タイムリーな経営判断に活用できるデータの整備及び可視化や業務の抜本的効率化を図ってまいります。また、グループ再編を含む組織改革の推進や人材育成、社員エンゲージメントの向上に取り組むとともに、カーボンニュートラル実現や人権方針に基づく活動を推進し、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。 方針4:リスクマネジメントの強化本方針では、急激な外部環境変化に備えたBCP(事業継続計画)の改善やサイバーセキュリティの強化を推進してまいります。特に、お客様への安定的な製品供給を行うため、当社グループ全体の適正な在庫水準の見直し・確保を行うとともに、地政学的リスク、自然災害の発生等各種リスクの軽減・低減及び事業の継続・早期復旧を可能とする体制の充実に努めてまいります。また、サイバーセキュリティ対策強化のため、情報システム及び人的リソースの拡充を図ってまいります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。  ①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、米国の通商政策の不透明感や欧米を中心とした高い金利水準の継続による影響が懸念されましたが、景気は回復基調となりました。日本経済においては、為替が大きく変動し、物価上昇が続きましたが、企業収益や雇用情勢の改善を背景に、設備投資及び個人消費に持直しの動きが見られました。当社グループを取り巻く事業環境は、国内外での人件費高騰や人手不足に伴う省人化及び業務効率化のニーズが継続し、セルフ型製品への需要が堅調に推移いたしました。こうした状況のなか、当社グループは、2024年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2026中期経営計画』をスタートし、「GLORY TRANSFORMATION 2026 お客様と共に未来を創造するグローリー」をコンセプトに、世界最高水準の製品群とソフトウェアプラットフォームを融合し、お客様の店舗DXをサポートする企業を目指し事業活動に取り組んでまいりました。海外市場につきましては、金融市場では、主要製品の販売は米州を中心に減少いたしましたが、欧州では、製品・サービスへの堅調な需要を背景に販売が増加いたしました。また、保守売上高は市場全体で増加いたしました。リテール市場では、大手グローバルリテーラーとの間で大口案件が増加するなど、省人化や業務効率化ニーズに対応した製品・サービスへの需要が堅調で、販売が増加いたしました。2024年1月に買収したFlooidグループの売上高も堅調に推移いたしました。また、米州では、連結子会社間の合併に伴う事業統合作業や保守事業の内製化の進展等により、収益性が改善傾向にあります。飲食市場においても、セルフサービスキオスクをはじめとしたAcrelecグループの販売が順調でした。国内市場につきましては、金融市場では、新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業が増加した前期からの反動により、販売は減少いたしました。また、流通・交通市場でも、新紙幣対応に伴う需要の収束により販売が減少しましたが、金融市場及び流通・交通市場ともに、新紙幣発行前である2023年3月期の売上高を上回る結果となりました。遊技市場では、遊技機向けカードシステムの売上高は高水準を維持し、周辺機器の販売も好調に推移いたしました。また、飲食市場向けソリューションの拡大を目的に、次世代店舗創出プラットフォーム「O:der Platform」を提供するShowcase Gig社に追加出資し、2024年10月に子会社化いたしました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は、369,017百万円(前期比 0.9%減)となりました。このうち、製品及び商品売上高は、236,322百万円(前期比 1.9%増)、保守売上高は、132,695百万円(前期比 5.6%減)でありました。利益につきましては、営業利益は、35,173百万円(前期比 31.2%減)、経常利益は、28,414百万円(前期比 41.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、16,053百万円(前期比 45.7%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 (金融市場)主要製品である「オープン出納システム」及び窓口用「紙幣硬貨入出金機」の販売は、新紙幣対応に伴う需要が急増した前期と比較すると減少したものの、大口受注による販売が増加したため、売上高は高水準を維持いたしました。また、新紙幣発行に伴う改造作業の一巡により、保守売上高は減少いたしました。この結果、当セグメントの売上高は、54,432百万円(前期比 30.6%減)、営業利益は、8,664百万円(前期比 64.2%減)となりました。 (流通・交通市場)主要製品である「レジつり銭機」の販売は、新紙幣対応に伴う需要の収束により減少したものの、売上高は高水準を維持いたしました。一方、「券売機」の販売は好調でありました。また、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高は前期並みでありました。この結果、当セグメントの売上高は、69,791百万円(前期比 6.7%減)、営業利益は、9,808百万円(前期比 7.4%減)となりました。 (遊技市場)主要製品である「カードシステム」の販売は、スマート遊技機の導入が本格化した前期と比較すると減少したものの、売上高は高水準を維持いたしました。一方、周辺機器である「両替機」の販売は好調でありました。また、新紙幣発行に伴う改造作業の一巡により、保守売上高は減少いたしました。この結果、当セグメントの売上高は、27,737百万円(前期比 1.6%減)、営業利益は、8,503百万円(前期比 15.2%減)となりました。 (海外市場)米州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<GLRシリーズ>」の販売は低調でしたが、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、100,874百万円(前期比 12.8%増)となりました。欧州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<GLRシリーズ>」及びリテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、90,013百万円(前期比 13.2%増)となりました。アジアでは、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI-Xシリーズ>」の販売は堅調であり、売上高は、19,163百万円(前期比 17.3%増)となりました。また、Acrelecグループの売上高は、33,208百万円(前期比 11.0%増)でありました。Flooidグループの売上高は、12,120百万円でありました。この結果、当セグメントの売上高は、210,051百万円(前期比 13.4%増)、営業利益は、8,486百万円(前期比 31.0%増)となりました。 その他の事業セグメントにつきましては、売上高は、7,004百万円(前期比 19.9%増)、営業損益は、288百万円の損失(前期は 173百万円の損失)となりました。 また、当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。総資産は、前連結会計年度末に比べ27,577百万円減少し、441,655百万円となりました。主な要因は、現金及び預金16,355百万円の増加、及び、受取手形、売掛金及び契約資産19,713百万円、棚卸資産15,427百万円、のれん5,505百万円の減少であります。負債は、前連結会計年度末に比べ34,984百万円減少し、205,588百万円となりました。主な要因は、社債14,200百万円の増加、及び、短期借入金23,168百万円、未払法人税等10,042百万円、賞与引当金3,650百万円の減少であります。純資産は、前連結会計年度末に比べ7,406百万円増加し、236,067百万円となりました。主な要因は、利益剰余金8,278百万円の増加であります。この結果、自己資本比率は53.3%(前連結会計年度末は48.5%)となりました。  ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ16,295百万円増加し、51,468百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、45,752百万円の収入となりました(前期は41,854百万円の収入)。これは、主に法人税等の支払18,978百万円等による資金の減少があった一方、売上債権の減少20,458百万円、減価償却費15,339百万円、のれん償却費8,694百万円、棚卸資産の減少15,497百万円等の資金の増加があったためであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、7,911百万円の支出となりました(前期は33,577百万円の支出)。これは、投資事業組合からの分配金1,756百万円の収入があった一方、製品の製造に係る金型・治工具類にかかる有形固定資産の取得による5,093百万円の支出、ソフトウェア等の無形固定資産の取得による2,537百万円の支出、Showcase Gig社の株式取得による2,655百万円の支出があったためであります。 以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは37,841百万円の収入となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、21,275百万円の支出となりました(前期は13,957百万円の支出)。これは、主に社債発行による14,125百万円等の収入があった一方、借入金の純増減額による25,931百万円の支出、配当金の支払い7,017百万円等の支出があったためであります。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 なお、当社グループ(当社及び連結子会社)の生産実績のうち、当社及び主な海外連結子会社の金額を記載しております。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)金融市場(百万円)20,45677.7流通・交通市場(百万円)27,27292.5遊技市場(百万円)5,22445.5海外市場(百万円)38,95678.4報告セグメント計(百万円)91,91078.6その他(百万円)1,122162.4合計(百万円)93,03379.1 (注)金額は当社及び主な海外連結子会社の製造原価によっております。 b.受注実績 当社グループの製品は、大部分が見込生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)金融市場(百万円)54,43269.4流通・交通市場(百万円)69,79193.3遊技市場(百万円)27,73798.4海外市場(百万円)210,051113.4報告セグメント計(百万円)362,01398.7その他(百万円)7,004119.9合計(百万円)369,01799.1 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 (経営成績等の概要)     ■売上高  : 3,690億円(前期比 34億円減) 国内市場におきましては、上半期まで新紙幣発行に伴う製品の更新及び改造作業が増加いたしました。また、海外市場におきましては、リテール市場向けソリューションの販売が堅調に推移いたしました。これらの結果、全社の売上高は概ね前期並みの水準となりました。 ■営業利益 :  351億円(前期比 159億円減)  経常利益 : 284億円(前期比 198億円減)親会社株主に帰属する当期純利益 : 160億円(前期比 135億円減) 営業利益につきましては、金融市場における新紙幣発行に伴う製品の更新及び改造作業の反動減の影響を受け減益となりました。主な減益要因といたしましては、売上高の減少による影響が15億円、販売費及び一般管理費の増加の影響が95億円でありました。なお、販売費及び一般管理費の主な増加要因といたしましては、円安に伴う海外のコスト増加及び新紙幣発行への対応に伴う物流コストの増加が挙げられます。 当社グループは、2026中期経営計画期間(2025年3月期から2027年3月期)において、目標とする経営指標を、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、総資産利益率(ROA)、営業利益、売上高、新領域事業売上高としております。中期経営計画の初年度にあたる当期におきましては、上記の図に示すとおり、すべての指標において目標を達成いたしました。   *売上高、新領域事業売上高を除く各指標につきましては、いずれも「のれん償却前」の数値を目標値として設定しております。 (企業価値向上への取り組み)  当社の株価純資産倍率(PBR)は、2017年度頃までは海外事業の成長に対する市場の期待を背景に、概ね1.2倍の水準で推移しておりました。しかしながら、2018年度以降は、PBR 1倍を下回る水準で推移しております。これは、2018年4月に日本国政府(経済産業省)より発表された「キャッシュレス・ビジョン」等を契機として、国内外においてキャッシュレス決済の拡大が見込まれる中、当社の将来性に対する懸念が市場に広がり、結果として株価の下落したことが一因であると推測しております。企業価値の向上は、当社グループにとって最も重要な経営課題の一つであると認識しており、その実現に向けて継続的に取り組んでまいります。具体的には、成長エンジンとして位置付ける海外事業及び新領域事業の成長促進、株主還元の強化、ならびに中期経営計画における財務目標である自己資本利益率(ROE)、及び投下資本利益率(ROIC)の改善等に注力してまいります。 当社グループは、海外事業を中長期的な成長エンジンと位置付けておりますが、上記の図の示すとおり、近年著しい成長を遂げております。売上高は、2013年度から2020年度にかけて約1,000億円で横ばいに推移しておりましたが、直近5年間で倍増し、2,000億円を超える水準に成長いたしました。営業利益率につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、半導体の供給不足、部品価格の高騰、ならびに海外子会社におけるセキュリティインシデント等により一時的に低下いたしましたが、現在は回復基調にあります。また、先行投資を行ってまいりましたAcrelec社及びFlooid社においても、売上高、営業利益ともに順調に拡大しており、2025年度の海外事業全体では、売上高2,160億円、のれん償却前営業利益240億円(営業利益率 11.1%)を見込んでおります。 当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題と位置付け、「将来への事業成長への投資、財務体質の維持・強化を図りつつ、安定した配当を継続すること」を基本方針としております。この基本方針のもと、「2026中期経営計画」期間(2025年3月期から2027年3月期)における目標として① 2024年3月期の配当金額(1株につき年間106円)を基準とした累進配当② 株主資本配当率(DOE)3%以上を掲げてまいりましたが、成長エンジンと位置付ける海外事業、及び飲食店向けソリューションや流通店舗向けプラットフォーム等の新領域事業が成長し、収益性も改善していることから、株主還元の一層の強化を図るべく、2026年3月期及び2027年3月期の両会計年度におきましては、上記目標に加え③ 総還元性向 100%以上を新たな目標として追加いたしました。 加えて、「利益配分に関する基本方針」の変更に伴い、「2026中期経営計画」のキャッシュ・アロケーションにつきましても上記の図に示すとおり見直しを行いました。これにより、借入金の返済額を当初計画より200億円減額する一方で、株主還元額を300億円増額しております。また、連結財務諸表「注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、自己株式の取得(取得価額の上限:150億円/取得株式の上限:600万株)につき、2025年5月13日開催の取締役会において決議いたしました。本決議に基づき取得した自己株式につきましては、取得終了後、その全数を消却する予定です。 当社は、財務目標である自己資本利益率(ROE)の達成に向け、以下の取り組みを着実に推進してまいります。 まず、ROEの分子にあたる「親会社株主に帰属する当期純利益」(IFRS会計基準においては「当期利益」)の向上につきましては、Acrelec社、Flooid社、Showcase Gig社とのシナジーを最大限に活用し、収益拡大の早期実現を図るとともに、成長エンジンと位置づける米州事業の高収益化に注力してまいります。 一方、分母にあたる自己資本につきましては、株主還元の強化に加え、最適な資本構成を踏まえた負債水準の見直しを進めることで、資本の適正化に取り組んでまいります。 また、投下資本利益率(ROIC)につきましては、以下の取り組みを推進することにより、目標の達成を目指してまいります。 まず、ROICの分子にあたる税引後営業利益の増大については、前述の「親会社株主に帰属する当期純利益」の向上施策と同様の取り組みにより、収益力の強化を図ってまいります。 一方、分母にあたる投下資本(有利子負債及び純資産)につきましては、不採算事業の改善・撤退や高収益事業への戦略的投資を通じた事業ポートフォリオの最適化を進めるとともに、棚卸資産や売掛債権などの運転資金の圧縮による資本効率の向上を推進してまいります。加えて、株主還元の強化を通じて、投下資本の適正化にも取り組んでまいります。 ②経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析1)財務戦略の基本的な考え方 当社グループは、財務の安全性を維持しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。 財務の安全性の維持に関しては、信用格付(R&I)「A」以上の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。 同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用を進めることにより、資本コストの低減及び資本効率向上にも努めてまいります。 設備投資及び事業投資に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。これらの方針のもと、2024年4月より新たにスタートした2026中期経営計画の3年間累計では総額500億円の投資を計画しており、その内200億円を新領域事業への機動的な戦略投資(M&A等)とDX基盤整備やコア事業の生産性向上に向けた投資に充当する計画であります。 その初年度である2024年度においては長期ビジョン2028達成に向けた戦略的投資が41億円、DX基盤整備やコア事業の生産性向上を目的とした設備投資が119億円、総額160億円を実施しました。 なお、各年度の設備投資は減価償却費の範囲内とすることを原則とし、財務の安全性を維持し、妥当な水準の手元流動性を確保してまいります。 2)経営資源の配分に関する考え方 当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。2026中期経営計画期間、イベントリスク耐性を十分に備えるべく、売上高の約2ヵ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、企業価値向上に資する戦略投資及び株主還元に配分するように考えております。 3)資金需要の主な内容 当社グループの資金需要は、コア事業に係る資金支出では、部品・原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費(賃借料、手数料、人件費など)などがあります。 また、長期ビジョン2028に掲げる事業ドメインの拡大に向けた戦略投資に係る資金支出は、新領域事業の創出・拡大に向けた業務提携及びM&Aなどがあります。 4)資金調達 当社グループの事業活動維持及び拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部留保資金及び外部調達を有効に活用しております。 コア事業の基盤強化を目的とした設備投資には、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を活用することを基本とし、戦略投資については、設備投資に配分後の営業キャッシュ・フローを充当することを基本とした上で、資金調達手段の多様化、資本コストの低減、資本効率向上を企図し、金融機関からの借入れや社債発行等有利子負債も積極的に活用しております。 また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要経営課題と認識しており、当社グループの本報告書提出時点におけるR&Iの格付は「A(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実現可能と認識しております。 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

※本記事は「グローリー株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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