| 会社名 | 株式会社ダイフク |
| 業種 | 機械 |
| 従業員数 | 連11042名 単3691名 |
| 従業員平均年齢 | 41.6歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 14.7年 |
| 平均年収 | 8228038円 |
| 1株当たりの純資産 | 966.98円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 154.21円 |
| 決算時期 | 年1 |
| 配当金 | 55円 |
| 配当性向 | 45% |
| 株価収益率(PER) | 29.5倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 15.1% |
| 営業活動によるCF | 371億円 |
| 投資活動によるCF | ▲295億円 |
| 財務活動によるCF | 227億円 |
| 研究開発費※1 | 3.39億円 |
| 設備投資額※1 | 155.32億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 538.63億円 |
| 株主資本比率※2 | 61.6% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 24.37億円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。(1) 経営方針当社は、日一日と常に進化し続ける姿勢を表現した「日新(ひにあらた)」を社是とし、経営理念「モノを動かし、心を動かす。」のもと、マテリアルハンドリングを核とした「モノを動かす技術」で、心豊かに生きられる社会の創造を目指し、事業活動を展開しています。グループの役員・従業員が実践すべき行動のあり方を示した「グループ行動規範」を含めた理念体系は以下のとおりです。 <理念体系> <長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」及び「2027年中期経営計画」の概要>次なる成長と企業価値向上を目指すため、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)を、その中間点となる2027年12月期を最終年度とする「2027年中期経営計画」(以下、2027中計)を策定し、達成に向けた取り組みを進めています。なお、当社は2024年12月期より決算期(事業年度の末日)を毎年3月31日から毎年12月31日に変更しました。詳細は、「第6 提出会社の株式事務の概要」をご参照ください。 <「Driving Innovative Impact 2030」について>『未来を見据えた新たな発想での取り組みを強化し、ステークホルダーへ革新的な影響を生み出すことにより、目指すべき経済・社会価値を実現する』との強い想いを込めています。 <策定のコンセプト>1.短期志向から長期・バックキャスト志向へ 未来の社会像や課題を想起し、まず2030年のありたい姿を2030長期ビジョンとして設定した上で、その中間点として2027中計を策定しました。2.経済価値と社会価値の両立へ 経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、その実現に向けた施策・ロードマップを策定しました。 <2030年のありたい姿・2027年経営目標> <注力する領域・枠組み・マテリアリティ>経済価値及び社会価値向上の実現に向け、前中期経営計画「Value Transformation 2023」(2022年3月期~2024年3月期)の課題や事業環境・社会の持続可能性を考慮し、事業領域と事業・経営基盤領域それぞれで注力する枠組み、マテリアリティを設定し、各種施策を実践しています。 2030長期ビジョン及び2027中計の詳細は、『長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」、および「2027年中期経営計画」策定のお知らせ』(2024年5月10日公表)をご覧ください。https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/20240510_3.pdfマテリアリティへの取り組みの詳細は、2027年中期経営計画におけるマテリアリティ及びKPI又は当社ウェブサイトをご覧ください。https://www.daifuku.com/jp/sustainability/management/materiality/ <2024年12月期 経営目標に対する進捗状況> 2024年12月期期初予想2024年12月期実績2027年12月期2027中計最終年度目標連結売上高5,500億円5,632億円8,000億円営業利益率9.5%12.7%11.5%ROE-15.1%13.0% 豊富な受注残を背景とした売上の進捗により、連結売上高は期初予想を上回りました。また、前中期経営計画期間より進めてきた生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与したことや、中国におけるレガシー半導体向け売上の増加もあり、営業利益率は期初予想を大きく上回りました。ROEについても、国内9カ月の変則決算による影響があったものの、収益性の大幅な改善や、資本効率性向上のために実施した自己株式100億円の取得により、2027中計の最終年度目標を超過する水準になりました。 <2024年12月期 成果と課題>成果・生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みによる収益性の改善・生成AI半導体関連投資の増加や、ガソリン車からxEV※へのシフトに伴う生産ラインへの投資需要等、市場ニーズを的確に捉えた受注の獲得・成長戦略の実現に向けた日本・米国・インドにおける設備投資の実行・次世代経営体制構築へ向け、代表取締役COOを新たに選任※BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称 課題・海外プロジェクト管理の高度化等による収益性の更なる改善・M&Aを含めたグローバル成長戦略の着実な実行・米国通商政策への対応・新たに創出する事業領域の具体化・先端技術を活用した開発の加速・DX/AI人材をはじめとする人的資本の拡充 <2027年中期経営計画におけるマテリアリティ及びKPI> 枠組み:既存事業の進化、新領域への挑戦、次世代事業の創出先端技術を取り込んだ製品・ソリューションの開発や新たな市場・ニーズに向けた提案を強化しています。事業部門ごとに設定した目標に対し、順調に取り組みが進捗しています。マテリアリティKPI(実績評価指標)スコープ2024年12月期目標実績AI等を含む先端技術を活用した開発製品・サービスへの先端技術の導入グローバル・AIやバッテリー技術などを活用したシステムの効率化・省電力化・AI、IoT技術による予知保全の確立・XY-ピッキングロボットの開発・納入・AIを活用した予知保全システムの開発を継続・回生エネルギーの有効活用により、環境負荷の少ない保管システムを開発・AIを活用した運行制御により搬送効率を向上・EV生産工場向け次世代組み立てラインを提案・画像認識技術を組み込んだ新たな装置の開発 ・高効率モーターを搭載した搬送システムを提供・航空機搭載用コンテナへの手荷物自動積み付け機の開発に着手・画像認識技術を活用した洗車機の基礎開発に着手サービスビジネスの拡充サービス売上高グローバル1,500億円1,497億円新領域開拓と新規事業創出新業態・新市場への進出、新商品の上市グローバル・新領域向けのシステム開発・新規顧客の開拓、グローバルでのビジネスエリア拡大・次世代事業の創出・ピッキングロボット、無人搬送車の開発を継続・冷蔵倉庫向けにさらなる自動化ソリューションを提案・二次電池、半導体製造向けの対象工程を拡大し、自動化ソリューションを提案・半導体製造における後工程(ウェハーの積層化、直接接合など)への自動化ソリューションの提供・多様なモビリティを利用した、貨物輸送・搬送の開発・次世代の車造りに合わせた搬送設備・自動化設備構築・北米にて、TSA※1認証を取得したスマートセキュリティレーンを空港向けに納入・日本市場へ空港向けデジタル製品の納入開始・アフリカ市場へ空港向け製品を納入・ゴミ収集車内部洗浄装置の発売ならびに受注 枠組み:成長を支える仕組みの構築当社グループの更なる成長をけん引できる人材の育成や、将来を見据えた技術開発などの取り組みを進めています。また、日本・米国・インドにおける設備投資や、デジタル化や人的資本の拡充に向けた投資を継続しています。マテリアリティKPI(実績評価指標)スコープ2024年12月期目標実績イノベーション創出に向けた投資・基盤づくり成長分野への投資額※2グローバル・1,600億円程度の投資を実施(2024年12月期~2027年12月期累計)・成長分野への投資額:264億円AI・DX人材の育成・eラーニングをはじめとした全社的なトレーニングの実施(全社員に順次展開)・データサイエンティスト等の専門人材育成(2024年12月期~2027年12月期累計:180名)・AI・DXに関するeラーニングを実施し、2,400名が受講を開始(3期に分けて展開し、うち800名が受講完了)・データサイエンティスト・データエンジニア育成プログラムを実施し、62名が受講(滋賀、東京、大阪で展開、滋賀13名が受講完了) 産官学連携・M&A・アライアンス等の推進・M&A・アライアンスの継続検討・大学・企業との共同研究や協業による開発・複数の大学や研究機関、企業と次世代技術に関する研究開発を検討・実施・半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)へ参画 枠組み:事業を支える財務戦略詳細は「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 資本の財源及び資金の流動性 ①財務戦略の基本的な考え方」をご参照ください。 枠組み:業務全体の刷新当社グループの「サステナブル調達ガイドライン」を周知し、サプライチェーンにおけるリスクを把握・軽減するため、国内の取引先に対して本ガイドラインに基づく自己評価アンケート(SAQ)を開始しました。その回答結果に基づく監査や、海外子会社へのヒアリングなどを通じて、調達リスクの管理を強化しています。マテリアリティKPI(実績評価指標)スコープ2024年12月期目標実績サプライチェーンにおける社会的責任の遂行サプライチェーンマネジメントの強化 グローバル・国内:サプライヤーのリスク特定・監査実施・海外グループ会社:訪問及び実態把握、リスクへの対応実施・国内サプライヤー66社にサステナブル調達ガイドラインに基づくアンケートを行い、結果に基づき監査を実施・海外グループ会社4社(韓国・台湾)へ訪問し、調達に関するヒアリングを実施製品品質、製品安全の追求製品・システムの安全に関する重大事故発生件数※3グローバル0件0件 枠組み:継続した安全活動国内、海外ともに休業災害件数は前年同期比同水準で推移しています。類似災害の再発を防ぐため、過去の災害事例を周知するなど、国内外で安全教育を強化していきます。マテリアリティKPI(実績評価指標)スコープ2024年12月期目標実績労働安全衛生の徹底度数率:日本(海外)※4グローバル0.261(0.6) 0.460(0.7)強度率:日本(海外)※40.006(0.020)0.026 (0.009)重篤災害※5発生件数※40件1件 枠組み:環境負荷ゼロに向けた活動「ダイフク環境ビジョン2050」の達成に向け、サプライチェーン全体でのCO2削減や再生可能エネルギー由来の電力導入に取り組むほか、生物多様性保全に関する活動をグローバルへと拡げています。マテリアリティKPI(実績評価指標)スコープ2024年12月期目標実績気候変動への対応自社CO2排出量削減率(2019年3月期比)(スコープ1+2)グローバル51%56.4%データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。再生可能エネルギー由来の電力比率60%66.6%データの信頼性向上のために第三者機関による検証を受ける前の速報値です。検証後の確定数値は、2025年5月に当社ウェブサイトで開示予定です。購入した製品・サービスに伴うCO2排出量削減率※6(スコープ3 カテゴリ1)・サプライチェーンCO2削減プログラム※7の拡大・浸透・国内主要サプライヤー150社を対象にCO2削減に向けたオンライン説明会を実施し、サプライヤーのCO2排出量データの収集を開始販売した製品の使用に伴うCO2排出量削減率※6(スコープ3 カテゴリ11)・製品・システムの省エネ性能向上・全ての新規製品・システム開発におけるLCA(ライフサイクルアセスメント)の実施・顧客の再生可能エネルギー導入状況の調査手法検討資源循環の促進廃棄物の埋立率グローバル国内:1%未満海外:5%未満国内:0.9%海外:8.7% 廃棄物排出量売上高原単位※8削減率(2024年3月期比)4%6.8%水使用量売上高原単位※9削減率(2019年3月期比)40%37.6%自然との共生主要拠点※10における生物多様性保全活動実施率グローバル10%36.4%サステナビリティアクション※11のグローバル展開・プログラムの拡充・啓発・グループ全拠点を対象とした環境への啓発イベントを2種実施し、延べ557名が参加 枠組み:経営体制の強化、管理の高度化取締役会の実効性向上を通じて経営体制の強化を図るとともに、グローバルでの経営管理の高度化に向けて、経営理念やグループ方針、経営戦略等の浸透活動や重要リスクへの対応強化に取り組んでいます。また、あらゆるステークホルダーとの対話を継続し、得られた示唆を施策へ反映しています。マテリアリティKPI(実績評価指標)スコープ2024年12月期目標実績ガバナンスの強化取締役会の実効性向上単体・取締役会の実効性評価の実施と課題への取り組み・取締役会としての経営管理高度化への取り組み実施(資本コスト経営に関する検討会、IFRS適用への取り組み推進等)・CEO等の後継者育成について、経営戦略に適合した役員・幹部層トレーニングの充実、諮問委員会でのCEO等の後継者計画に関する集中討議経営理念・経営戦略等の浸透グローバル・役員・従業員向けの周知活動の継続実施・国内外の全従業員を対象に、長期ビジョン・中期経営計画に関するeラーニングを実施・動画コンテンツを拡充し、CxOからのメッセージを配信コンプライアンスの徹底・重要なコンプライアンスリスクに関する教育研修などの実施・コンプライアンス強化月間において、「企業間取引とカスタマーハラスメント」をテーマに講義を開催・さまざまな職層のニーズに即したコンプライアンス研修(動画研修3回を含む合計15回)を実施・コンプライアンス推進のための組織体制構築重要リスクへの対策実施・リスクアセスメント・モニタリングの実施・エマージングリスク(新興リスク)を含むリスク予兆情報の収集と影響の分析・危機管理体制の見直しと有事対応力の強化・経営層インタビューを実施し、認識された重要リスク(テーマ:サイバーセキュリティ、人材関連リスク等)についてリスクマネジメント委員会で議論、対応方針を決定・各リスク項目の精緻化及び想定シナリオの策定を開始・リスクマネジメント委員会で改めてBCM・BCPについて議論し、危機管理体制再構築の検討を開始ステークホルダーコミュニケーションの充足株主・投資家との対話社数(年間延べ)グローバル900社以上1,190社ステークホルダーとのコミュニケーション活性化・情報開示(財務・非財務)の充実・ステークホルダーダイアログを通じた経営課題等の把握・幅広い層へのブランド認知度向上施策の実施・社会貢献活動への積極的な参画・長期ビジョンの実現に向けた成長ストーリーを統合報告書などの各種媒体で訴求・国内外の株主・機関投資家向けIRイベントを実施し、エンゲージメント機会を継続的に創出・若年層の知名度向上のためYouTube広告を実施 ・TV-CMや新聞・電車内の広告などで当社事業や理念を訴求・「国際物流総合展」など展示会出展によるブランド訴求・記者懇談会を開催し、メディアを通じた認知訴求・古着・古本の寄付や周辺地域の清掃活動などを継続的に実施外部評価機関からの評価維持・向上・CDP気候変動 A-以上・FTSE4Good 銘柄採用継続・MSCI ESG Rating AA以上・CDP気候変動 A(最高評価)を獲得・FTSE4Good への採用継続・MSCI ESG Rating AAを獲得 枠組み:組織の強化更なる成長を実現するために必要な人的資本の拡充や、一人ひとりが「働きがい」「働きやすさ」を実感できる環境づくりに取り組んでいます。また、人権尊重のための取り組みも強化しており、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施しているほか、そのプロセスを支える苦情処理メカニズムの導入に向けて検討を開始しました。マテリアリティKPI(実績評価指標)スコープ2024年12月期目標実績人材の確保・育成キーポジションにおける後継候補充足率グローバル・人材プールの整備(経験・スキルの見える化)・後継候補充足率 2027年12月期100%を目指す(2024年3月期:68%)・経験、スキルの収集項目と方法の検討(2025年12月期より収集開始)・グループ人材委員会:2回開催、事業部門人材委員会:11回開催・後継候補充足率:73%専門人材確保に対応した人事制度の複線化単体・新たな制度・施策(高度専門人材向けの処遇・勤務制度・勤務場所・採用施策)の検討及び導入・導入した制度の改善・技術系人材確保に向けた新拠点設置プロジェクトを組成・一部職種において地域限定型社員制度の検討開始人権の尊重人権デュー・ディリジェンスの仕組み構築グローバル・人権デュー・ディリジェンスのPDCA実施・国内・海外におけるインパクトアセスメントの実施・苦情処理メカニズムの構築・サプライチェーンにおける外国人労働者(技能実習生、特定技能)の雇用状況調査を継続・日本国内のサプライヤー3社へのインパクトアセスメントを実施・サステナビリティ推進委員会傘下に「グリーバンスメカニズム導入プロジェクト」を発足し、グリーバンスメカニズムに関するシステム導入を検討人権に関する研修実施・人権に関する教育・研修体制の構築・グループ社員への教育コンテンツの展開・日本国内は階層別研修において、人権やハラスメントに関する講義、グループワークを実施・グループ人権教育コンテンツの検討ダイバーシティ&インクルージョン女性管理職数(比率)単体・女性管理職数 2027年12月期60名(7.6%)を目指す40名(5.4%)多様な人材が活躍できる環境整備・ダイバーシティに関する社内啓発の推進・マイノリティに配慮した職場環境整備・女性活躍推進企業として厚生労働省が認定する「えるぼし」(☆☆2段階目)を取得・D&I分科会及び労使専門委員会で育児関連の改善ニーズを確認し、育児介護休業法改正(2025年4月)に合わせて制度見直しを実施予定エンゲージメントの向上エンゲージメントサーベイスコアグローバル・国別平均スコア以上日本国内・働きがい56%(日本平均58%)・働きやすさ51%(日本平均58%)エンゲージメントサーベイ実施と課題対応・結果からの課題抽出と対策実施・前年度サーベイを実施した現地法人を訪問し施策フォローを実施(13社) ※1 Transportation Security Administration(米国運輸保安庁)※2 設備投資、研究開発費、人的資本への投資等※3 当社グループの製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故及び重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故※4 工事における請負事業者を含めて算出※5 自社の業務中における死亡災害や身体の一部に永久損傷を伴う災害※6 スコープ3カテゴリ1及びカテゴリ11については、2030年12月期に2019年3月期比30%削減を目指し、定性目標に取り組む※7 調達先におけるCO2排出量削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社グループ独自の枠組み※8 廃棄物排出量(t)/売上高(億円)※9 水使用量(千m3)/売上高(億円)※10 従業員数100人以上の拠点※11 サステナビリティに関する啓発・教育のための当社グループ独自の社員参加型プログラム (2) 経営環境① 事業環境日本においては人口減少と物流2024年問題に伴う労働力不足が深刻化する一方、北米を中心とする海外においては人件費が上昇し、生産・物流現場における自動化・無人化ニーズがグローバルで拡大しています。また、生成AIの普及に伴い半導体需要が飛躍的に増加すると同時に、経済安全保障の観点から各国政府が自国内での生産基盤の確保を促進しているため、各地域で半導体投資が活発化しています。モビリティの変革期にある自動車産業では、より柔軟な生産体制を構築するためのxEV関連投資の継続が見込まれます。これまで、限定的な自動化投資しか行われてこなかった空港においては、慢性的な労働力不足に伴う各種課題が顕在化しており、「スマート化」が求められています。これらの事業環境を踏まえると、当社グループが提供するマテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす」技術への期待がますます高まっていくことは確実であり、ビジネス機会を着実に捉え、更なる成長に繋げていきます。② 競争環境生成AIに代表される先端技術の革新が急速に進展し、特定の技術力・製品を持った新興企業が参入してきています。また、低価格を強みとする中国企業も台頭しています。日本においては、国内競合企業が自社の製品と海外企業の先端製品を組み合わせることで提案力を強化するなど、競争は激化しています。次世代技術に重点を置いた開発力を強化すると同時に、DX/AIリテラシーの向上に向けた人材育成に注力し、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝っていきます。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題2027中計の2年目を迎える2025年12月期においては、以下の事項を主な課題として取り組みます。 <海外プロジェクト管理の高度化等による収益性の更なる改善>2030長期ビジョンで掲げる持続的な成長と高い収益性を両立させるためには、海外における更なる収益性の改善が必要です。前中期経営計画期間より、地域毎の特性を踏まえ、調達、生産といったあらゆるプロセスを見直し、各種コスト削減に取り組んできた結果、北米を中心に成果が現れていますが、一部の海外子会社は改善途上にあります。このため、各海外子会社でコスト削減計画を着実に実行していきます。また、受注案件の大型化、工期の長期化が進んでいるため、海外でのプロジェクト管理の重要性が増しています。進捗状況をリアルタイムで把握できる仕組みを構築し、プロジェクト管理の更なる高度化を図ります。 <M&Aを含めたグローバル成長戦略の着実な実行>成長ドライバーと位置付ける海外での事業拡大に向け、一般製造業・流通業向けシステムの米国における生産拠点(Daifuku Intralogistics America Corporation)で、生産能力を倍増させるべく工場増設を進めるとともに、2025年4月竣工予定のインドの生産拠点(Daifuku Intralogistics India Private Limited)の早期立ち上げを進めていきます。また、M&Aも視野に入れ、成長戦略を加速させていきます。 <米国通商政策への対応>関税引き上げを中心とした米国の通商政策が、お客さまの投資動向へ及ぼす影響を注視する必要があります。特に自動車・半導体産業では、各国における投資計画が見直される可能性があります。お客さまとのコミュニケーションを深め、計画の見直しに対しても、最適な提案活動を進めていきます。また、当社は、お客さまにより近い場所で調達・生産を行う、いわゆる「地産地消」を基本戦略としています。今後も、米国をはじめとする各国で「地産地消」を推進し、通商政策の影響を受けない体制を構築していきます。 <新たに創出する事業領域の具体化>2030長期ビジョンでありたい姿として掲げる「連結売上高1兆円」の達成には、既存事業での拡大にとどまらず、新たな事業領域の創出が必須です。その達成に向けた取り組みとして、オープンイノベーションによる新たなパートナーとの共創活動や、M&A等のインオーガニック戦略、新規事業に関する社内公募制度の活用等により、成長機会を追求していきます。2030長期ビジョンでは、新領域への挑戦として「食」「環境」といった分野を掲げ、社会課題解決に繋がる価値提供を目指していきます。 <先端技術を活用した開発の加速>より生産性の高いマテリアルハンドリングシステムを提供し続けるためには、生成AIをはじめとする先端技術を活用した製品・サービスの開発が不可欠です。各事業部門での取り組みに加え、事業部門横断での技術開発や、新規ビジネスへの展開を担う「ビジネスイノベーション本部」が中心となり、取り組みを加速させていきます。また、マテリアルハンドリングの未来像として、2030年までに「物流の完全無人化」を実現することを目指していきます。 <DX/AI人材をはじめとする人的資本の拡充>当社の強みは、マテリアルハンドリングにおいて、お客さまへのコンサルティングから、技術開発、製造、エンジニアリング、アフターサービスまでをトータルで提供できる点にあります。これらすべてのプロセスで高い付加価値を提供し続けるためには、専門性の高いスキルを持った人材の採用、育成が欠かせません。特にAI等の先端技術を活用した技術開発や、お客さまとの長期にわたる信頼関係を構築する役割を果たすアフターサービスの人材の拡充・強化は、当社の競争力を維持・強化するための重要な要素となります。人的資本の更なる拡充に向け、各種制度の再構築や、従業員エンゲージメントの向上など、包括的な取り組みも進めていきます。 <コンプライアンス、安全の徹底>「コンプライアンス」及び「安全」は、当社グループにおけるすべての事業活動を支える根底にあるものとしてグループ全体で徹底を図っていきます。 (コンプライアンスの徹底)当社では、コンプライアンスを「事業活動のあらゆる局面において、法令や会社規程など社内外のルールにとどまらず、社会規範を遵守し、誠実に行動すること」と定義付け、各種の教育・研修を通じてグループ全体で価値観の共有を図っています。一人ひとりが高い倫理観を持ち、責任ある行動を積み重ねていくことで、社会からの期待や信頼に応え続けていくことを目指していきます。 (「安全専一※」の徹底)一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていく上で、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することがなによりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という意識をグローバルに浸透させ、引き続き、グループ一体となって災害や不安全行為の撲滅に取り組んでいきます。※「安全専一」は、古河機械金属株式会社の登録商標です。 |
経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当社の決算期(事業年度の末日)は、2024年6月21日に開催した第108回定時株主総会での決議をもって、毎年3月31日から12月31日に変更となりました。決算期変更の経過期間となる当連結会計年度(2024年12月期)は、株式会社ダイフク並びに国内を中心とした従来の3月末決算子会社は2024年4月1日から12月31日までの9カ月間を、海外を中心とした子会社は2024年1月1日から12月31日までの12カ月間を連結対象期間とした変則決算となっています。このため、参考値として、当連結会計年度と同一期間となるように組み替えた前年同期(以下「調整後前年同期」)による比較情報を記載しています。 当連結会計年度(2024年4月1日~12月31日)における世界の経済は、中国経済の低迷や米国経済の減速懸念に伴う下振れリスクはあったものの、総じて順調に推移しました。事業環境としては、日本においては物流2024年問題を背景として、物流関連投資が回復基調にあります。半導体産業では、中国におけるレガシー半導体投資が高水準で継続すると同時に、生成AI向け半導体の需要が急増し、先端半導体投資が前倒しで回復してきました。また、半導体後工程における自動化投資も具現化してきました。自動車産業では、ガソリン車とxEV(BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称)の混流生産を可能とするラインへの投資が高水準で継続しています。航空旅客数の回復に伴い空港における自動化投資も北米を中心に伸長しています。このような経済・事業環境の下、当連結会計年度の受注は、アジアにおける半導体生産ライン向けシステムや、北米における空港向けシステムを中心に順調に推移しました。売上は、豊富な前期末受注残高をベースに全体として計画に対し、順調に推移しました。この結果、受注高は5,947億69百万円(調整後前年同期比5.8%増)、売上高は5,632億28百万円(同6.1%増)となりました。利益面では、前中期経営計画期間より進めてきた生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与しました。また、中国におけるレガシー半導体向け売上の増加もあり、利益率が大きく改善しました。この結果、営業利益は715億46百万円(同36.3%増)、経常利益は744億98百万円(同37.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は570億86百万円(同50.6%増)となりました。なお、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、国内が9カ月間の変則決算にもかかわらず、3期連続で過去最高を更新しました。なお、当連結会計年度の当社グループの平均為替レートは、米ドルで152.27円(前連結会計年度141.20円)、中国元で21.13円(同19.87円)、韓国ウォンで0.1113円(同0.1080円)等となりました。為替の変動により、前連結会計年度比で受注高は約284億円、売上高は約213億円、営業利益は約25億円、それぞれ増加しました。 現時点での2025年12月期の業績予想は、受注高7,000億円、売上高6,500億円、営業利益815億円、経常利益850億円、親会社株主に帰属する当期純利益650億円、営業利益率12.5%としています。米国の通商政策が世界経済へ与える影響を注視する必要があるものの、製造業・流通業における労働力不足や人件費上昇を背景とした自動化投資及び生成AI向け先端半導体と後工程投資が拡大する見込みです。また、自動車産業におけるxEV関連投資や、空港における自動化投資も高水準が継続する見込みであり、受注に結び付けていきます。売上高は、豊富な前期末受注残高をベースに順調に推移する見込みです。 利益面については、半導体生産ライン向けシステムの地域別売上構成比の変化や、日本を中心とした人件費上昇と、これに付随するサプライチェーンにおけるコスト増加の影響を見込んでいますが、生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みにより更なる収益性の改善を進めていきます。 2025年12月期の為替レートは対米ドル148 円(2024年12月期実績レート152.27円)を前提としています。 上記の業績予想は、主に受注済の案件の進捗見込みや今後受注が見込まれる案件の確度や時期、期中の進捗度合いを想定し算出していますが、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の顧客の動向・競合状況、「3 事業等のリスク」に記載している各種リスク要因などのさまざまな不確定要素により、実際の業績は記載の見通しと異なる可能性があります。 2024年12月期 連結業績受注高5,947億69百万円 (調整後前年同期比5.8%増)売上高5,632億28百万円 ( 同 6.1%増)営業利益715億46百万円 ( 同36.3%増)経常利益744億98百万円 ( 同37.0%増)親会社株主に帰属する当期純利益570億86百万円 ( 同50.6%増) セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。当社グループのうち、海外子会社については、そのほとんどが12月末決算のため2024年1月1日から12月31日までの期間の状況を記載しています。また、株式会社ダイフク並びに国内を中心とした従来の3月決算子会社を含むセグメントの対前年比較については、参考値として、調整後前年同期による比較情報を記載しています。 ① 株式会社ダイフク受注は、半導体生産ライン向けシステムを中心に順調に推移しました。売上は、豊富な前期末受注残高をベースに全体としては順調に推移しました。セグメント利益は、生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与しました。また、中国におけるレガシー半導体向け売上の増加もあり、利益率が大きく改善しました。この結果、受注高は1,777億70百万円(調整後前年同期比10.7%増)、売上高は1,880億97百万円(同14.1%増)、セグメント利益は292億50百万円(同53.3%増)となりました。 ② コンテックグループ日本市場・海外市場ともに顧客の在庫調整の影響を受け受注は減少しました。一方、為替変動の影響等により北米市場で増収となり売上は増加しました。セグメント利益は、国内での売上減少が影響し減益となりました。この結果、受注高は172億13百万円(調整後前年同期比5.2%減)、売上高は169億82百万円(同2.0%増)、セグメント利益は2億69百万円(同58.0%減)となりました。 ③ Daifuku North America, Inc.(DNA)グループ受注は、空港向けシステムが好調に推移したものの、一般製造業・流通業、半導体生産ライン向けシステムにおいて、前年の実績には及びませんでした。売上は、豊富な前期末受注残高をベースに計画に対し概ね順調に推移しました。セグメント利益は、生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与し、一般製造業・流通業、自動車生産ライン向けシステムにおいて、増加しました。この結果、受注高は1,833億5百万円(前年同期比9.3%減)、売上高は1,724億84百万円(同1.9%減)、セグメント利益は162億86百万円(同46.6%増)となりました。 ④ Clean Factomation, Inc.(CFI)受注は、低調だった前年からは回復基調にあるものの、売上・セグメント利益ともに低調に推移しました。この結果、受注高は317億61百万円(前年同期比28.0%増)、売上高は258億86百万円(同15.5%減)、セグメント利益は14億14百万円(同25.1%減)となりました。 ⑤ 大福自動搬送設備(蘇州)有限公司(DSA)受注は、好調だった前年からの反動の影響はあるものの、レガシー半導体向け投資が高水準で継続しました。売上・セグメント利益ともに、豊富な前期末受注残高をベースに好調に推移しました。この結果、受注高は318億95百万円(前年同期比31.7%減)、売上高は533億79百万円(同77.4%増)、セグメント利益は122億43百万円(同122.9%増)となりました。 ⑥ その他「その他」は、当社グループを構成する連結子会社66社のうち、上記②③④⑤以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・洗車機等の製造・販売・工事・サービスを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。国内子会社:株式会社ダイフクプラスモアは、各種洗車機の販売等を行っています。海外子会社:中国、台湾、韓国、タイ、インドなどにマテリアルハンドリングシステム・洗車機の生産拠点があり、最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。また、北中米、アジア、欧州、オセアニアには販売・工事・サービスを行う子会社を幅広く配置しています。受注は、半導体生産ライン向けシステムを中心に好調に推移しました。売上は、前期末受注残高をベースに概ね計画通りに推移しました。セグメント利益は、オセアニアにおける一部案件で一過性コストを計上した前期から大きく増加しました。この結果、受注高は1,528億23百万円(調整後前年同期比39.3%増)、売上高は1,021億52百万円(同11.0%減)、セグメント利益は40億51百万円(同274.4%増)となりました。 業種別や仕向地別の詳細については、「[表]業種別受注高・売上高及び[表]仕向地別受注高・売上高」をご参照ください。 [表]業種別受注高・売上高 エレクトロニクス:受注は、先端半導体向けが好調。売上は、レガシー半導体向けが好調。 空港:受注・売上ともに北米向けが好調。 (億円) 受注高売上高2024年3月期2024年12月期2024年3月期2024年12月期受注高構成比受注高構成比売上高構成比売上高構成比自動車及び自動車部品92815.0%83414.0%81413.3%75113.4%エレクトロニクス1,91430.9%2,05734.6%2,03533.2%1,97135.3%商業及び小売業1,39522.5%90915.3%1,47524.1%1,09819.7%運輸・倉庫2864.6%3766.3%2484.0%2694.8%機械1131.8%651.1%1031.7%871.6%化学・薬品2864.6%1873.1%2514.1%2284.1%食品4246.8%1622.7%2063.4%2183.9%鉄鋼・非鉄金属681.1%400.7%540.9%390.7%精密機器・印刷・事務機400.6%380.6%430.7%380.7%空港5318.6%1,10218.5%65810.7%71812.9%その他2143.5%1723.1%2393.9%1672.9%小計6,203100.0%5,947100.0%6,131100.0%5,589100.0%連結調整等----△16-42-合計6,203-5,947-6,114-5,632- [表]仕向地別受注高・売上高 中国:受注は、半導体生産ライン向けが減少。売上は、半導体生産ライン向けが増加。 韓国・台湾:受注は、半導体生産ライン向けが増加。 (億円) 受注高売上高2024年3月期2024年12月期2024年3月期2024年12月期受注高構成比受注高構成比売上高構成比売上高構成比日本1,74628.2%1,19620.0%2,00432.7%1,44625.9%海外4,45671.8%4,75180.0%4,12667.3%4,14374,1% 北米2,22635.9%1,88631.7%1,81629.6%1,74131.1% アジア1,84229.7%2,40740.5%1,81029.5%2,01936.1% 中国1,09517.7%64810.9%85714.0%1,10519.8%韓国3355.4%4217.1%3916.4%3756.7%台湾1001.6%80313.5%2834.6%3085.5%その他3105.0%5339.0%2774.5%2294.1% 欧州1923.1%1873.2%1823.0%1452.6% 中南米570.9%581.0%1061.7%661.2% その他1372.2%2113.6%2113.5%1713.1%小計6,203100.0%5,947100.0%6,131100.0%5,589100.0%連結調整等----△16-42-合計6,203-5,947-6,114-5,632- (2) 財政状態の状況資産は、前連結会計年度末に比べ425億52百万円増加し、6,887億7百万円となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金等及び契約資産が467億85百万円、投資有価証券が100億32百万円減少したものの、現金及び預金が794億77百万円、有形固定資産が83億24百万円、繰延税金資産が86億1百万円それぞれ増加したことによるものです。負債は、前連結会計年度末に比べ28億82百万円増加し、2,902億82百万円となりました。これは主に短期借入金が70億90百万円、未払費用等の流動負債その他が32億91百万円、未払法人税等が39億84百万円減少したものの、賞与引当金が107億88百万円、契約負債が54億33百万円それぞれ増加したことによるものです。純資産は、前連結会計年度末に比べ396億69百万円増加し、3,984億24百万円となりました。これは主に自己株式の取得に伴う98億37百万円の減少があったものの、利益剰余金が388億98百万円、為替換算調整勘定が134億45百万円増加したことによるものです。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ839億49百万円増加し、2,203億95百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金の増加は、1,161億29百万円となりました(前連結会計年度は371億17百万円の増加)。これは主に、仕入債務の減少が34億82百万円、法人税等の支払額が257億33百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が744億88百万円、売上債権及び契約資産の減少額が556億39百万円あったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金の減少は、23億93百万円となりました(前連結会計年度は295億82百万円の減少)。これは主に、定期預金の払戻による収入が58億56百万円、投資有価証券の売却による収入が33億6百万円あったものの、固定資産の取得による支出が118億82百万円あったことによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の減少は、368億20百万円となりました(前連結会計年度は227億32百万円の増加)。これは主に、短期借入金の減少額が64億21百万円、自己株式の取得による支出が100億3百万円、配当金の支払額が174億77百万円あったことによるものです。 連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。 2024年3月期2024年12月期自己資本比率(%)55.557.8時価ベースの自己資本比率(%)205.6176.2キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)1.90.5インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)83.2405.2 自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い (注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金、転換社債型新株予約権付社債を対象としています。5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。 (4) 資本の財源及び資金の流動性① 財務戦略の基本的な考え方当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A(シングルAフラット)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めます。2027年中期経営計画(以下、2027中計)では、資本効率のさらなる向上を目指し、ROICを活用した事業評価・分析を進めています。とりわけ、受注・売上の拡大に伴って運転資金が大きく増加する傾向にある事業特性に鑑み、新たにキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を指標と定め、2024年3月期実績の100日から、最終年度の2027年12月期には75日に短縮する目標を設定し、各種施策を進めています。2024年12月期におけるCCCの実績は、99日となりました。 ② 経営資源の配分に関する考え方当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約1.5~2.0カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要事項と位置づけ、剰余金の配当については、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金については内部留保金として、今後の成長に向けた投資資金に充てる方針です。設備投資・研究開発に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進します。2027中計では総額1,600億円を予定してます。 ③ 資金需要の主な内容当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。 ④ 資金調達当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。グループ内では資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため信用格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「シングルA+(安定的)」となっています。一方、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。なお、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。 (6) 生産、受注及び販売の実績①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)株式会社ダイフク220,286-コンテックグループ18,947-Daifuku North America, Inc.グループ163,886-Clean Factomation, Inc.25,448-大福自動搬送設備(蘇州)有限公司48,088-その他72,740-合計549,398- (注) 1 金額は販売価格によっています。2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。3 決算期変更により、2024年12月期は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。 ②受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)株式会社ダイフク177,770-210,844-コンテックグループ17,213-9,040-Daifuku North America, Inc.グループ183,305-201,403-Clean Factomation, Inc.31,761-27,190-大福自動搬送設備(蘇州)有限公司31,895-33,024-その他152,823-147,032-合計594,769-628,536- (注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。3 決算期変更により、2024年12月期は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)株式会社ダイフク188,097-コンテックグループ16,982-Daifuku North America, Inc.グループ172,484-Clean Factomation, Inc.25,886-大福自動搬送設備(蘇州)有限公司53,379-その他106,398-合計563,228- (注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。3 決算期変更により、2024年12月期は9カ月間の変則決算となるため、前期比については記載していません。 (7) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の受注高は、アジアにおける半導体生産ライン向けや、北米における空港向けシステムが牽引し、期初計画の5,750億円を上回る5,947億円となりました。売上高についても、豊富な前期末受注残高を背景に順調に推移したことにより、期初計画5,500億円を上回る5,632億円となりました。また、利益面では、前中期経営計画期間より進めてきた生産の効率化をはじめとする各種コスト削減への取り組みが寄与したことや、中国レガシー半導体向け売上の増加もあり、期初予想の営業利益520億円、営業利益率9.5%を大きく上回る、営業利益715億円、営業利益率12.7%となりました。国内が9カ月間という変則決算にもかかわらず営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも3期連続で過去最高を更新すると同時に、当期純利益率が初めて10%台となるなど、2027中計1年目の結果としては、順調なスタートが切れたと評価しています。一方で、長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」(以下、2030長期ビジョン)や2027中計で掲げる成長戦略を実現するためには、一部地域で収益性改善の途上にある海外での事業拡大が必須となります。グローバルでの労働力不足、人件費上昇を背景とした自動化投資や、生成AI向け半導体投資といった成長機会を受注・売上に着実に結び付けるとともに、海外子会社を中心に収益性の更なる改善を進め、成長と収益性向上の両立を図っていきます。当社グループの経営成績の分析の詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要」、課題分析や今後の施策などの詳細は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 ② 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2027年中計では、成長性、収益性、資本効率性の3つの観点から、最終年度となる2027年12月期に向けた経営目標として、連結売上高8,000億円、営業利益率11.5%、ROE13.0%を設定しています。これに対し、2024年12月期における実績は、連結売上高5,632億円、営業利益率12.7%、ROE15.1%となり、収益性及び資本効率性の目標を大きく上回る結果となりました。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための分析の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 (8) 今後の経営方針について社是・経営理念の下、更なる成長に向け、ありたい姿を描いた2030長期ビジョンとその中間点となる2027年中計の達成に向け、各種施策を実践していきます。今後の経営方針の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 |
※本記事は「株式会社ダイフク」の令和6年年1期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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