栗田工業株式会社の基本情報

会社名栗田工業株式会社
業種機械
従業員数連8151名 単1661名
従業員平均年齢43.1歳
従業員平均勤続年数17年
平均年収9316000円
1株当たりの純資産2131.8円
1株当たりの純利益(連結)180.66円
決算時期年3
配当金92円
配当性向0%
株価収益率(PER)41.1倍
自己資本利益率(ROE)(連結)6.3%
営業活動によるCF877億円
投資活動によるCF▲520億円
財務活動によるCF▲254億円
研究開発費※142.69億円
設備投資額※181.59億円
販売費および一般管理費※134.31329億円
株主資本比率※262.8%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、2023年度において新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、従来の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムとの相互影響を踏まえた持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した企業ビジョンの実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①価値創造ストーリー当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 ②Value Pioneering Path当社グループは、マテリアリティへの取り組みを中期経営計画PSV-27の戦略と有機的に融合させております。この全容をPSV-27計画における価値開拓および企業ビジョン実現の道筋として「Value Pioneering Path」に示し、グループ一体の取り組みによって企業ビジョンの実現を目指しております。 ③中期経営計画当社グループは、2023年4月より5カ年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせました。マテリアリティの課題解決に繋がる社会価値を起点とした新事業の創出やCSVビジネスの展開に加え、顧客価値を起点とした既存ビジネスの深化・変革により、強固な社会価値・経済価値の創出基盤を確立することを目指しています。PSV-27 計画最終年度(2027年度)の目標は次の通りとしております。 (財務指標)売上高 4,700億円売上高事業利益率※ 16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上投下資本利益率(ROIC) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標です。IFRSで定義されている指標ではありませんが、財務諸表利用者にとって有用であると考え、自主的に開示しております。 (主要な非財務指標)CSVビジネスによる節水貢献量            250百万?CSVビジネスによる温室効果ガス(GHG)削減貢献量   3,000千t-CO2以上CSVビジネスによる資源化貢献量・資源投入削減貢献量 300%増(2022年度比) 「PSV-27」では「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」を基本方針とし、次の重点施策に取組んでいきます。 (重点施策)・電子産業への重点化超純水供給事業で蓄積した「水に関する知」をバリューチェーン全体で活用し、併せて営業・設計・調達の変革を実現することにより、圧倒的なスピードで深い顧客理解に基づくソリューションを提供し、世界の電子産業市場に対する事業展開を加速していきます。・多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開各国・地域の顧客動向やニーズを一元的に把握し、CSVビジネスをはじめとした社会との共通価値を創出するソリューションをグローバルに展開します。また、サーキュラーエコノミーの視点で、企業と企業、企業と地域をつなげるソリューションを開発し提供していきます。・社会課題を解決するイノベーションの推進GHG排出削減、節水、資源循環などで社会に貢献する新たな領域の開発に中長期的な視点で取り組みます。また、外部機関との協業を推進し、新たな領域で確固たる競争優位性を確立していきます。・技術立社としての基盤強化技術立社を支える多様な分野の人材の獲得と育成を強化するとともに、世界の知財のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、デジタル技術を駆使した「水に関する知」の蓄積と利活用を進めていきます。・グループ経営基盤のさらなる強化当社の経営体制を変革し、コーポレート・ガバナンスの水準を一層高めていきます。また、多様な人材の育成と活躍の支援によるエンゲージメントの向上、生産プロセスの変革とサプライヤーとの共存共栄に基づく強固なサプライチェーンの構築、デジタル技術の早期確立と業務プロセスの変革によるデータドリブンな経営に取り組んでいきます。 (3) 会社の対処すべき課題当社グループが2023年度にスタートした5ヵ年の中期経営計画 Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)は、人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓くことを基本方針としており、「顧客価値起点のトランスフォーメーションの実現」と「社会価値起点のイノベーションの創出」の2軸の競争戦略を通じて、企業ビジョンが目指す、社会に高い価値を提供するとともに、クリタグループが高収益企業へと成長することを目指しています。そのため、PSV-27計画には、企業ビジョン実現のための重要課題であるクリタグループのマテリアリティ解決の取り組みが有機的に組み込まれており、その全容は前項の②Value Pioneering Pathのとおりです。PSV-27計画の2年目である当期は、電子産業における事業基盤の強化とグローバル展開の推進に取り組み、世界四極(日本、アジア、北南米、EMEA)での電子事業戦略の基本方針に基づいた活動を推進し、米国および欧州での案件を受注したほか、精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更を受けて、サービス事業の拡大を図りました。社会との共通価値の創出の取り組みにおける重点施策であるCSVビジネス(注1)の拡大については、新規CSVビジネスの創出に向けた業務プロセスの運用を開始したほか、既存CSVビジネスを中東・アフリカ・インドでも展開しました。社会課題を解決するイノベーションの推進に向けては、1件の新規事業を開始しました。また、技術立社としての基盤強化に向けた「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用について、当期は国内で製紙工場の紙製品製造工程における水質データなどを活用し、製造品質の低下やそれに伴う操業障害などを事前に予測して、その原因の推定を可能にする予兆診断サービスの本格展開を開始し、中国・ASEANでは遠隔支援サービスを拡大しました。2025年度には、世界四極共通のデータ基盤の本格稼働を見込んでいます。さらに、グループ経営基盤の更なる強化として、取締役会による「長期的な方向付け」の策定に向け、取締役会およびサステナビリティ諮問会議において、長期的な外部環境の変化や当社グループの価値提供のあり方について検討を行ったほか、タレントマネジメントプラットフォーム構築に向けた取り組みを進めました。これらの取り組みの結果、多くの重点施策で一定の成果が見られ、2024年度までの計画は次のとおり順調に進捗しています。しかしながら、前述の精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更等の影響を踏まえて、2025年度以降は計画達成に向けて中期的な視点で重点施策を推進する必要があります。PSV-27計画の3年目にあたる2025年度は、当社グループの対処すべき課題として、次の5つの重点施策に取り組んでまいります。1) 電子産業での重点化競合他社との差別化を推進し、海外および主要顧客における顕在・潜在案件の投資情報を事前に把握して確実に確保するとともに、EPC(注2)およびEP+モジュールを起点としたサービス事業の拡大に取り組みます。また、精密洗浄事業の選択と集中により収益性改善を図るとともに、連携して事業拡大を推進していきます。2) 多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開CSVビジネスの既存展開および新規創出のさらなる加速を目指すとともに、PFAS需要への高まりに対してグローバルに対応していきます。また、低収益ビジネスの見直し、リカーリングビジネスの獲得による顧客生涯価値の最大化に取り組み、収益性と営業効率の向上を目指します。3) 社会課題を解決するイノベーションの推進新規事業創出の事業化テーマについて、社会価値と経済価値の両面から検証を行うとともに、顧客および社内外との意見交換を通じた大型化の検証と見直しを図ることで、新規事業立ち上げを目指します。また、既存事業の強化に向けて、新たな市場開拓・価値創出、シェア拡大に貢献する製品・サービスの競争力を生み出すコア技術の開発に取り組みます。4) 技術立社としての基盤強化新規事業案や開発テーマの中から、特許網構築やIPランドスケープの活用により競争優位性を強化できる対象を選定し、PSV-27計画達成への貢献を高める事業開発・市場展開策を具体化します。また、「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用に向け、データ基盤を本格活用する範囲を拡大していきます。5) グループ経営基盤の更なる強化中長期視点での戦略的取り組みおよび企画力の強化に向けて、サステナビリティに関する社内外の情報やIPランドスケープを活用した洞察により、中長期的な経営戦略の核となる社会価値起点の新規事業の構想を立案するプロセスを構築していきます。また、タレントマネジメントプラットフォームにおいて、クリタグループ全体を対象にグループ人材の適所適材に向けた運用を開始します。 (注)1 社会価値が高い水処理に係る事業の中でも、従来に比べ節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量の削減に大きく貢献する製品、技術、ビジネスモデルを「CSV(Creating Shared Value)ビジネス」として定めています。2 Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 (2) 経営成績当期における世界経済は、ウクライナおよび中東情勢の悪化が長期化していることに加え、米国の通商政策変更の影響により先行き不透明な状況が続き、一部の国・地域では景気回復の動きに力強さを欠きましたが、持ち直しの動きが継続しました。国内では、製造業の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止解除や半導体などの電子部品の在庫調整の進展から持ち直しの動きがみられましたが、年度後半にかけて回復の動きが鈍化しました。設備投資は、高水準の企業収益を背景に底堅い動きが続きました。海外では、米国経済は、堅調に推移しましたが、欧州および中国は、内需に力強さが見られず、回復の動きに停滞感がみられました。中国を除くアジア諸国は、一部に弱さがみられたものの、持ち直しの動きが続きました。このような中、当社グループは、5か年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)の2年目である当期において、「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」という基本方針のもと、電子産業市場分野では、デジタル技術を活用して、安全運転、環境負荷低減、コストダウンに係るノウハウやデータを蓄積し、可視化した「水に関する知」を駆使しお客様の多様な課題の解決に貢献するサービスラインアップを拡充し、顧客接点の拡大を図りました。また、グローバルに電子産業のパートナーとなることを目指す中、欧米における新たな事業基盤構築に取り組み、米国および欧州において半導体工場向けの水処理装置案件の受注を獲得しました。韓国では、主に同国の電子産業に対するサービスの提案・提供力を強化し、社会との共通価値を創造するCSVビジネスの展開を加速するため、水処理装置の製造・販売およびメンテナンス・サービス事業を展開してきた韓水テクニカルサービス株式会社と水処理薬品の製造・販売事業を展開してきた株式会社韓水を統合し、栗田韓水株式会社として事業を展開しております。一般産業市場分野では、各国・地域において多様な事業に取り組む顧客の動向やニーズをグループ共通のデータ基盤により一元的に把握し、グループ横断的に利活用することでCSVビジネスの拡大に取り組みました。また、事業基盤の強化に向けた取り組みとして、国内では、水処理薬品とメンテナンス・サービスを一体化したワンストップ営業を実現し、顧客現場との接点を強化するため、国内販売事業会社等11社をクリタ東日本株式会社とクリタ西日本株式会社の2社に再編しました。海外では、世界有数の経済規模を有し、水処理需要が高まっているインドにクリタ・アクアケミ・インディア・プライベート・リミテッドを設立し、同国のお客様の水や環境に係る課題に応えるソリューションを迅速に提供するための体制整備に取り組みました。以上の結果、当社グループ全体の受注高は432,953百万円(前年同期比11.0%増)、売上高は408,888百万円(前年同期比6.3%増)となりました。利益につきましては、事業利益は、49,184百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益は、31,275百万円(前年同期比24.1%減)、税引前利益は、31,821百万円(前年同期比23.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、20,305百万円(前年同期比30.4%減)となりました。当連結会計年度においては、その他の収益3,140百万円、その他の費用21,050百万円を計上しております。その他の収益は、一部顧客との超純水供給契約(電子市場)解約に伴う前受金取崩益1,653百万円を計上したことなどにより前年同期比で1,172百万円増加しております。その他の費用には、主に米国および欧州において精密洗浄事業を展開している米国子会社ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産(建物使用権資産含む)の減損損失15,522百万円、同社ののれんの減損損失967百万円、主に水道管等の劣化予測ソフトウエアサービスを提供している米国子会社クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)ののれんの減損損失2,501百万円が含まれており、前年同期比で18,259百万円増加しております。この結果、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は減益となりました。のれんを含む固定資産は、減損兆候が存在する場合はその都度、のれんについては減損兆候の有無にかかわらず、毎年定期的に減損テストを実施しており、減損損失は使用価値と会計上の簿価を比較することにより算出しております。ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産(建物使用権資産含む)の減損損失は、一部の主要顧客の半導体工場の稼働率低迷や工場建設計画の変更、遅延の影響により建設中のアイルランドと米国アリゾナ州の精密洗浄工場の使用価値が著しく低下したため認識しております。なお、アイルランドの精密洗浄工場の建設は中止し、撤退することを決定しております。のれんの減損損失を測定する際に必要となる使用価値は、予測される将来キャッシュ・フローを適切な割引率で割り引くことによって算出します。ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)については、主要顧客の半導体工場稼働率回復の動きが想定を下回ったことにより影響を受けた当連結会計年度を含めた過去の業績達成状況を踏まえ、慎重に見積りを行い、前連結会計年度末における将来キャッシュ・フローの見積りの基礎である事業計画を下方修正しました。クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)についても、事業体制整備の遅れにより想定した収益獲得の早期実現が困難となったことや当連結会計年度を含めた過去の業績達成状況を踏まえ、前連結会計年度末の事業計画を下方修正しました。これらの結果、両社ののれんの使用価値が会計上の簿価を下回ったため、減損損失を認識しております。 (電子)受注高は、194,994百万円(前年同期比17.6%増)となりました。水処理装置は、主に欧州向けの大型案件を受注したことにより増加しました。継続契約型サービスは、新規に稼働した超純水供給事業案件の売上や一過性の収益計上の貢献により増加し、メンテナンスも主に中国および台湾の顧客からの需要をとりこみ増加しました。精密洗浄は、半導体市況の回復を背景に増加しましたが、海外顧客の洗浄ニーズが本格的な回復には至っておらず、増加は緩やかなものとなりました。売上高は、181,194百万円(前年同期比4.9%増)となりました。水処理装置は、前年同期の国内大型案件の売上計上の反動で減少しましたが、継続契約型サービス、メンテナンスおよび精密洗浄は増加しました。利益につきましては、継続契約型サービスの伸長や比較的原価率が高い装置案件が減少したことによる売上原価率改善の影響を受け、事業利益は、24,216百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益は、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.ののれんを含む固定資産の減損損失16,490百万円計上があり、8,945百万円(前年同期比55.7%減)となりました。 (一般水処理)受注高は、237,958百万円(前年同期比6.1%増)となりました。水処理装置は、国内および米国における大型案件の受注計上などにより増加し、メンテナンスおよび継続契約型サービスも増加しました。水処理薬品は、欧州、中国および東南アジアの一部において、製造業の生産活動回復の動きに弱さがみられ、円安による円換算額増加の影響を除くと減少しました。売上高は、227,693百万円(前年同期比7.3%増)となりました。水処理装置は、主に米国大型案件の工事進捗による売上計上で増加し、メンテナンス、継続契約型サービスも増収となりました。水処理薬品は、受注高と同様に、為替影響を除くと減収となりました。利益につきましては、増収影響に加え、付加価値の高いCSVビジネスの伸長もあり原価率が改善したことから、事業利益は24,969百万円(前年同期比13.0%増)となり、営業利益は、クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.ののれんの減損損失2,501百万円を計上したことなどにより22,331百万円(前年同期比6.2%増)となりました。 生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日) 前年同期比(%)電子市場(百万円)181,770105.5一般水処理市場(百万円)226,609106.5合計(百万円)408,380106.0(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 ②受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)電子市場194,994117.678,392121.4一般水処理市場237,958106.169,586117.3合計432,953111.0147,978119.4(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日) 前年同期比(%)電子市場(百万円)181,194104.9一般水処理市場(百万円)227,693107.3合計(百万円)408,888106.3(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3) 財政状態①資産合計 548,949百万円(前連結会計年度末比8,458百万円減少)流動資産は220,950百万円となり、前連結会計年度末比7,068百万円減少しました。これは主に現金及び現金同等物が8,942百万円増加したものの、営業債権及びその他の債権が13,051百万円、その他の金融資産が1,769百万円それぞれ減少したことによるものであります。非流動資産は327,998百万円となり、前連結会計年度末比1,390百万円減少しました。これは主に有形固定資産が4,458百万円、繰延税金資産が3,837百万円、それぞれ増加したものの、のれんが4,654百万円、使用権資産が3,070百万円、その他の金融資産が1,453百万円、それぞれ減少したことによるものであります。有形固定資産の増加は、減価償却費の計上26,070百万円と前述のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産の減損損失計上による減少があったものの、超純水供給事業(電子市場)用設備の取得などの設備投資45,953百万円があったためであります。のれんの減少は、主に第4四半期連結会計期間において、クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)の「のれん」2,501百万円とペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の「のれん」967百万円を減損損失計上したことによるものであります。 ②負債合計 210,444百万円(前連結会計年度末比13,551百万円減少)流動負債は132,567百万円となり、前連結会計年度末比13,947百万円増加しました。これは主に社債及び借入金が14,796百万円増加したことによるものであります。社債及び借入金の増加は、コマーシャル・ペーパーの償還による減少があったものの、2025年12月に償還予定の社債30,000百万円を非流動負債から流動負債に振替したことによるものであります。非流動負債は77,877百万円となり、前連結会計年度末比27,498百万円減少しました。これは主に社債及び借入金が22,388百万円、その他の非流動負債が2,821百万円それぞれ減少したためであります。社債及び借入金の減少は、長期借入金による資金調達10,000百万円増加があったものの、前述の社債の流動負債への振替によるものであります。 ③資本合計 338,504百万円(前連結会計年度末比5,093百万円増加)資本合計の増加は主に年度末にかけての円高外国通貨安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の減少によりその他の資本の構成要素が5,594百万円減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により利益剰余金が11,320百万円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 報告セグメント調整額(注)連結財務諸表計上額電子市場一般水処理市場計セグメント資産261,586218,126479,71369,235548,949(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。 (4) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は62,951百万円(前連結会計年度末比8,942百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動で得られた資金は87,760百万円(前年同期比36,886百万円増加)となりました。これは主に法人所得税の支払額11,170百万円で資金が減少したものの、税引前利益31,821百万円、減価償却費、償却費及び減損損失54,689百万円、営業債権及びその他の債権の増減額(△は増加)9,803百万円で資金が増加したためであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は52,074百万円(前年同期比16,273百万円増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出49,859百万円、無形資産の取得による支出3,827百万円などで資金を使用したためであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で使用した資金は25,448百万円(前年同期比10,111百万円増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入9,962百万円で資金が増加したものの、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)15,143百万円、配当金の支払額9,956百万円、リース負債の返済による支出6,290百万円で資金を使用したためであります。 当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を実施しております。なお、当連結会計年度末において、当社は取引金融機関2社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。 (5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等中期経営計画「PSV-27」に対する達成状況については、以下のとおりであります。 2024年3月期実績2025年3月期実績2028年3月期目標売上高(百万円)384,825408,888470,000売上高事業利益率(%)10.9%12.0%16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)9.3%6.1%12%以上投下資本利益率(ROIC)7.2%8.8%10%以上

※本記事は「栗田工業株式会社」の令和7年年3期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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