JX金属株式会社の基本情報

会社名JX金属株式会社
業種非鉄金属
従業員数連10413名 単3267名
従業員平均年齢41歳
従業員平均勤続年数12.3年
平均年収7645291円
1株当たりの純資産474円
1株当たりの純利益(連結)73.53円
決算時期3月
配当金109.55円
配当性向273.1%
株価収益率(PER)22.2倍
自己資本利益率(ROE)(単体)8.1%
営業活動によるCF2154億円
投資活動によるCF▲221億円
財務活動によるCF▲1722億円
研究開発費※113.12億円
設備投資額※1100.73億円
販売費および一般管理費※1170.15億円
株主資本比率※258.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社グループは、2019年6月にJX金属グループ2040年長期ビジョンを策定し(2023年5月に一部改定)、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」への転身により、激化する国際競争の中にあっても高収益体質を実現し、半導体材料・情報通信材料のグローバルリーダーとして持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針といたしました。この方針のもと、半導体材料セグメントと情報通信材料セグメントからなるフォーカス事業を成長戦略のコアとして位置づけ、先端素材分野での技術の差別化や市場創造を通じて、市場成長以上の利益成長を目指しています。基礎材料セグメントからなるベース事業は、最適な規模の事業体制のもとで、銅やレアメタルの安定供給を通じてフォーカス事業を支えるとともに、ESG課題の解決に貢献してまいります。 (2) 経営環境近年、デジタルトランスフォーメーションの進展、脱炭素社会形成に向けた動きの加速、資源不足・枯渇懸念の深刻化、企業に求められる社会的責任の高まりなど、当社グループを取り巻く社会環境、事業環境は大きな変化に直面しています。当社グループを取り巻く経営環境について、報告セグメント別の状況は以下のとおりです。 ① フォーカス事業:半導体材料セグメント半導体ロジック・メモリ市場は、2023年は市況の調整が続いたものの、今後は生成AIの伸長による市場牽引が本格化するとともに、電気自動車等の普及拡大により、2023年から2027年にかけて年率7.1%(出所:TechInsights Inc. “Worldwide Silicon Demand History and Forecast” (2025年3月時点、シリコンウエハ出荷面積ベース))の成長が予想されています。特に半導体製造技術の世代における最先端ロジックについて、5nm世代以降は2023年から2027年にかけて年率36.9%(出所:同上)の高い成長が見込まれており、多層化・微細化の進展は継続するものと思われます。半導体の成膜方法であるPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法)に用いられる当社の主力製品である半導体用スパッタリングターゲットはロジック・メモリをはじめとした各種の半導体デバイスの製造に用いられていますが、最先端ロジックほど配線層数が多くなり、半導体用スパッタリングターゲットの使用量が増加する傾向にあることから、その販売量は半導体ロジック・メモリ市場の成長を上回ることが期待されます。また、最先端ロジックほど配線が細かくなり、PVDが適さない微細な配線に対するCVD/ALDによる薄膜形成ニーズも高まることが見込まれます。さらに、データ演算需要の飛躍的な増加及び生成AIの伸長を背景に、生成AIを搭載したサーバを大量に運用できるAIデータセンターの建設も進んでいます。これに伴いAIサーバの出荷台数の増加も見込まれており、2023年から2028年にかけて年率30.2%(出所:Prismark Partners LLC 「2025 Prismark Workshop, February2025」、出荷台数ベース)の成長が予想されています。AIサーバにはチップ内の配線材料としての半導体用スパッタリングターゲットをはじめとして、光通信向け材料としてのInP基板、タンタルキャパシタ向けの高純度タンタル粉、大容量HDD向けの磁性材用ターゲットなど、半導体材料セグメントの当社製品が多く用いられていることから、このような傾向は本セグメントの収益拡大の追い風になることが見込まれます。加えて、AIサーバには高速の並列演算を担うために多数のGPUが搭載されており、データセンター向けGPUの出荷数量も2023年から2027年にかけて年率42.4%(出所:富士キメラ総研「2024 データセンター・AI/キーデバイス市場総調査」、出荷数量ベース)の成長が予想されています。GPUに対して高機能を付与するためには多層化・微細化に加えてパッケージング分野における技術革新が必要であり、パッケージングにおいてはチップ間の配線材(TSV・RDL)やチップレット間をつなぐ配線等の用途における成膜機会の拡大からも、当社の半導体用スパッタリングターゲットの需要の増加を見込んでいます。 ② フォーカス事業:情報通信材料セグメント2025年3月期においては、エレクトロニクス製品のサプライチェーンにおける在庫調整が一巡し、当社主力製品であるFPC向け圧延銅箔の販売は、再び成長軌道に回帰しています。電子機器製品等に搭載されるFPCの面積は、2024年から2029年にかけて年率7.8%(出所:Prismark Partners LLC “The Printed Circuit Report Fourth Quarter / March 2025”)の成長が予想されています。今後は、AI搭載等によるスマートフォンやパソコン向け部材の更なる小型化・高機能化に加え、スマートウォッチやスマートグラスといったウェアラブル等の周辺機器の市場成長により圧延銅箔の使用拡大が見込まれます。また、世界的なEV販売台数の増加に伴い、配線用や誤作動防止のために用いられるシールド材用の圧延銅箔の採用・使用量の拡大が期待されるとともに、中長期的には産業機械、ロボット等の分野において小型化、軽量化が進み、複雑な動きに対して疲労耐性の強い圧延銅箔の使用量拡大が見込まれています。 積層セラミックコンデンサの内部電極に使用される超微粉ニッケルについては、AIを搭載する高機能通信機器の普及や、EVや自動運転の普及に伴う電装化の進展、データサーバやAIサーバ等の成長が需要を牽引し、市場は次第に成長軌道に回帰していくものと想定しています。また、半導体材料セグメントが属する市場環境において記載しているAIサーバの導入拡大は本セグメントの収益拡大の追い風になることも見込まれており、特にAIサーバ向けのコネクタにおいては高耐熱・高強度などの特性が求められ、要求ニーズに応えるチタン銅の採用が急速に拡大しているほか、高温となるAIサーバ内における冷却液の漏液を検知するための漏液センサーの需要拡大も見込まれます。 ③ ベース事業:基礎材料セグメント脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が拡大するとともに、様々な産業や領域において電化が進行しており、中長期的に銅素材の需要拡大が見込まれます。例えば、電気自動車では、モーターコイルやバッテリーなどにガソリン車の約4倍の銅が使用されています。銅需要拡大の一方で、既存鉱山からの銅鉱石の供給量には限界があり、銅の需給はひっ迫することが見込まれており、銅価は堅調に推移していくものと考えられます。技術革新、製品寿命の短期化、人口増加等の要因により電気・電子機器の廃棄物であるE-Wasteの発生量が増加傾向にあり、2022年に62百万トンであったものが2030年には82百万トンに達する見通しです(出所:UNITAR “The Global E-waste Monitor 2024”)。一方で、脱炭素に向けた世界的な環境意識の高まりにより、リサイクル原料確保への動きが加速していることに加えて、環境規制強化の流れもあり、リサイクル原料の調達コストは上昇することが予想されます。また、アジア域内での製錬所建設が進むことにより、銅地金のサプライヤーが増加し、銅地金の販売環境の悪化が見込まれています。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 経営の基本方針-長期ビジョン 当社グループは、長期ビジョンに基づき、「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」への転身により、激化する国際競争の中にあっても高収益体質を実現し、半導体材料・情報通信材料のグローバルリーダーとして持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針としています。フォーカス事業を成長戦略のコアとして位置づけ、先端材料分野での技術の差別化や市場創造を通じて、市場成長以上の利益成長を目指します。また、ベース事業は、最適な規模の事業体制のもとで、銅やレアメタルの安定供給を通じてフォーカス事業を支えるとともに、サステナブルな社会の実現に向けて貢献していきます。 ② 半導体の市場成長を捕捉するグローバルな生産体制の構築半導体の多層化・微細化の進展及び生成AIの普及に伴うデータ転送の高速・大容量化を背景に、半導体ロジック・メモリ市場は引き続き拡大することが見込まれています。このような市場成長を捕捉すべく、半導体用スパッタリングターゲットの生産設備への積極的な拡張投資を推進しており、2028年3月期には2024年3月期対比で約1.6倍の生産能力とすることを目指しています。上工程(注1)については、既存の磯原工場に加えて、茨城県ひたちなか市において新工場の建設を進めています。下工程(注2)については、日本に加えて台湾、韓国及び米国に生産拠点を構え、主要顧客である半導体メーカーに近接して製造を行っています。特に米国においては、複数の先端半導体メーカーが拠点の新設・拡張を進めていることから、アリゾナ州メサにおいて新工場の建設を進め、2024年11月にこれを竣工しました。この工場では生産能力を拡張するとともに、最新鋭設備の導入による工程の自動化を実現することにより、生産性の向上を見込んでいます。当社グループは、グローバルで多様な顧客基盤に対応するため、今後も市場の成長を捕捉する強力なグローバル生産体制の構築を目指します。 (注) 1.上工程とは、半導体用スパッタリングターゲット製造プロセスにおける溶解~熱処理工程を指します。2.下工程とは、半導体用スパッタリングターゲット製造プロセスにおける加工・ボンディング工程を指します。3.生産拠点は、2025年3月時点における状況を反映しています。 ③ 次世代のグローバルトップシェア製品の開発次世代半導体材料として期待されているCVD・ALD材料の本格供給に向け、東邦チタニウム株式会社茅ケ崎工場の敷地内及び当社日立事業所への生産設備及び開発設備投資を決定しています。さらに、TANIOBIS GmbHにおいては近年の市場環境の変化を捉えた生産拠点の再編に取り組んでいますが、当該再編の一環として、ドイツの拠点にCVD・ALD材料の開発・生産が可能な設備を導入し、稼働を開始しています。また、当社は、長年培った高純度化、表面制御、組成、分析評価等の技術を活かした次世代の収益の柱の確立に取り組んでいます。具体的には、データセンターやモバイル通信量の増加により成長が予想されているInP(インジウムリン)や防衛・メディカルなどの分野での成長が期待されるCdZnTe(カドミウムジンクテルル)といった結晶材料の事業規模拡大を目指しています。今後も、次世代のグローバルトップシェア製品を創出する取組みを継続していきます。CVD・ALD材料InP基板CdZnTe基板 ④ サーキュラーエコノミー実現に向けた取組み脱炭素化社会の進展に伴い、再生可能エネルギー導入の拡大や、様々な産業・領域における電化が進行しており、銅やレアメタルなどの金属資源の需要は今後さらに拡大していくことが見込まれています。こうした中、自動車業界や家電・電子機器業界を中心に、使用済み製品を回収・再資源化し、同一素材として再利用するクローズドループ・リサイクルへの関心が高まっていますが、その処理は必ずしも容易ではなく、実現にあたっては、製品ライフサイクルに関わるサプライチェーン全体が連携して資源効率性を高める仕組みを整備することが不可欠です。当社は、台湾、米国、カナダ、ドイツ、シンガポールに集荷拠点・営業拠点を有し、世界規模のリサイクル原料集荷体制を整えています。さらに、2024年7月に事業を開始した三菱商事との合弁会社であるJXサーキュ―ラーソリューションズ株式会社(以下、JXCS)を通じ、三菱商事の有する産業横断型のグローバルなネットワーク・知見を活用することで、リサイクル原料の集荷強化や、国内外リサイクラーと協働したリサイクルプロセス変革・デジタル化等を推進し、サーキュラーエコノミーの実現を目指します。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営成績等の状況の概要当社グループを取り巻く環境世界経済は、地域によって景気の推移が異なり、全体では緩やかな拡大にとどまりました。米国では個人消費が堅調に推移し景気の拡大を牽引する一方、中国では不動産不況が長引き成長の鈍化が継続、欧州ではドイツ経済の減速などもあって景気が低迷しました。国内経済は、物価の上昇などもあった一方で賃金の上昇などもあったことで個人消費に持ち直しが見られたほか、設備投資の増加や好調なインバウンド需要などもあり、景気は緩やかに回復しました。円の対米ドル相場は、日米の金利差拡大を背景に円安が進行し、2024年6月には約38年ぶりとなる161円台の水準に達しましたが、米国経済指標の悪化や日銀の政策金利引き上げ等により円高が進行しました。その後、日米金利差拡大により再び円安が進行し、期平均では前年同期比8円安の153円となりました。半導体市場は前期までの在庫調整が一巡し、AI関連が牽引した回復の動きがみられました。生成AIの学習や推論に使われるAIサーバ向けの高価格帯製品の需要が堅調で半導体の出荷金額は高い伸びを維持する一方、出荷数量は緩やかな回復となりました。エレクトロニクス市場において、スマートフォンやパソコン・タブレットは、在庫調整一巡後の回復が見られましたが、端末へのAI機能搭載は十分に広がっておらず、買換え需要の促進にまでは至りませんでした。自動車や産業機械向けエレクトロニクス市場は力強さに欠け、分野ごとに濃淡が見られました。銅の国際価格(LME〔ロンドン金属取引所〕価格)は、期初は1ポンド当たり405セントから始まり、前年度から続く一部銅鉱山の操業停止による供給懸念等に起因して、2024年5月に492セントと史上最高値を更新しました。その後相場は落ち着くも、2025年初以降、米国による銅への関税賦課の懸念により期末にかけて上昇し、期末には439セントとなり、期平均で前期比46セント高の425セントとなりました。このような経営環境の中、当社の成長戦略のコアであるフォーカス事業の成長をさらに加速させる取り組みや、ベース事業における効率的な資産運用を意識した事業の強靭化など、「JX金属グループ2040年長期ビジョン」の実現に向けた各施策を推進しました。また、次世代半導体向けCVD・ALD材料の本格生産に向けた能力増強や先端半導体材料パッケージの早期事業化などに取り組んできました。 ① 財政状態及び経営成績の状況a. 経営成績当連結会計年度における当社グループの売上高は、SCM Minera Lumina Copper Chile(以下、MLCC)及びパンパシフィック・カッパー株式会社(以下、PPC)の一部株式譲渡によって両社が連結子会社から持分法適用会社へ変更となり、両社の売上高が連結範囲から外れたことを主因として、714,940百万円(前年同期比52.7%減)となりました。一方、営業利益は、円安基調の継続、金属価格の高止まり、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔等の主力製品の増販等により、112,484百万円(同26,312百万円増)となり、税引前利益は107,476百万円(同28,762百万円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は68,271百万円(同34,353百万円減)となりました。セグメントごとの経営成績は次のとおりです。 (半導体材料セグメント)当第3四半期にTANIOBIS GmbHにおいてのれんの減損損失を計上したものの、AI関連需要の拡大を受けた半導体用スパッタリングターゲットなどの製品の増販や円安を主因に増収となり、営業利益は前年同期並みとなりました。半導体材料セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比20.2%増の148,041百万円となりました。営業利益は前年同期比328百万円増益の26,738百万円となりました。 (情報通信材料セグメント)サプライチェーンにおける在庫調整の一巡による圧延銅箔の増販、AIサーバ用途での当社高機能銅合金の採用拡大等による増販を主因に、前年同期比増収増益となりました。これに加えて、収益性向上、生産性改善等を目的に推進した収益構造改革も増収増益に寄与しています。なお、2024年8月にタツタ電線株式会社の公開買付が成立し、同社は当社の連結子会社となり、同年11月に完全子会社となりました。情報通信材料セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比41.0%増の265,112百万円となりました。営業利益は前年同期比24,152百万円増益の25,085百万円となりました。 (基礎材料セグメント)円安や銅価上昇に伴う増益要因はあるものの、2023年7月に実施したMLCC株式の一部譲渡に伴い生じた為替差益や2024年3月に実施したPPC株式の一部譲渡による同社売上高及び利益の剥落を主因として、前年同期比減収減益となりました。基礎材料セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比75.0%減の306,504百万円となりました。営業利益は前年同期比2,723百万円減益の74,517百万円となりました。 b. 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、1,283,002百万円となり、前連結会計年度末と比べ42,885百万円減少しました。主な内容は、グループ通算制度に基づきENEOSホールディングス株式会社に対して計上していた通算税効果額に関する未収金の入金があり、これを借入金の返済に充当したことによるものです。負債合計は、571,248百万円となり、前連結会計年度末に比べ33,837百万円減少しました。主な内容は、2024年7月に実施したMLCC株式の一部譲渡に対する受取額を借入金の返済に充当したことによるものです。資本合計は、711,754百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,048百万円減少しました。主な内容は、親会社の所有者に帰属する当期利益を計上した一方で、配当を実施したこと等による利益剰余金の減少によるものです。なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比0.7ポイント増加し48.0%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ21,537百万円増加し、58,316百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、資金は215,431百万円増加しました(前期は38,400百万円の増加)。これは、税引前利益や法人所得税の還付及び配当金の受取等によるものです。法人所得税の還付については、グループ通算制度に基づきENEOSホールディングス株式会社に対して計上していた通算税効果額に関する未収入金の入金があったものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、資金は22,118百万円減少しました(前期は90,241百万円の増加)。これは、MLCC株式の一部譲渡等による収入要因があったものの、有形固定資産の取得やタツタ電線株式会社の子会社化のための株式取得等の支出要因が上回ったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、資金は172,249百万円減少しました(前期は154,360百万円の減少)。これは、主に短期借入金の返済や配当金支払いによるものです。 (2) 生産、受注及び販売の実績a.生産実績及び受注実績当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注実績を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「(1) 経営成績等の状況の概要」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しています。 b.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称売上高(百万円)前年同期比(%)半導体材料148,041120.2情報通信材料265,112141.0基礎材料306,50425.0その他8,860113.6調整額△13,57740.3連結財務諸表計上額714,94047.3 (注) 1.セグメント間の取引については、各セグメントに含めて表示しています。2.基礎材料セグメントにおける販売実績は、前連結会計年度対比で大幅に下落しています。これは、2024年3月31日をみなし売却日として当社が67.8%を保有していたPPC株式の持分のうち20%を丸紅株式会社に譲渡したことに伴いPPCが当社の持分法適用会社となり、以降の基礎材料セグメントにおける販売実績にPPCの事業活動の影響が反映されなくなったことによるものです。3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)PPC--204,47928.6% (3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針及び見積もり当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。連結財務諸表の作成に当たって、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と考えられる様々な要因を考慮したうえで、見積り及び判断を行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。 ② 経営成績等の状況に関する分析・検討内容(売上高)MLCC及びPPCの株式一部譲渡によって両社が連結子会社から持分法適用会社へ変更となり、両社の売上高が連結範囲から外れたことを主因として、714,940百万円(前年同期比52.7%減)となりました。(営業利益)売上高が減少した一方で、円安基調の継続、金属価格の高止まり、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔等の主力製品の増販等により、営業利益は112,484百万円(対売上収益比率15.7%)となりました。(税引前利益)受取利息や受取配当金、為替差益、デリバティブ利益等の金融収益の発生(2,407百万円)及び支払利息や為替差損、デリバティブ損失等の金融費用の発生(7,415百万円)等により、当連結会計年度の税引前利益は107,476百万円(対売上高比率15.0%)となりました。 (親会社の所有者に帰属する当期利益)法人所得税費用26,089百万円の計上となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は68,271百万円(対売上高比率9.5%)となりました。 財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。 ③ 資本の財源及び資金の流動性について当社はENEOSグループ金融制度に基づいてENEOSファイナンス株式会社等からの借入れを行っておりましたが、2024年9月までに外部金融機関への借換えを完了することによってこれを離脱し、当社独自のグループ金融制度に移行しています。当該制度の下、当社グループでは、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、自己資金や必要に応じ金融機関からの借入等で資金調達を行っています。また、子会社の資金調達については、グループ資金の効率性確保の観点から原則として当社が実施し、当社から当社グループ子会社に貸付けを実施いたします。当社グループでは、グループ資金を当社が集中して管理し、グループ全体としての資金の効率的な調達・運用を実現しています。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。 ⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。 ⑥ 経営者の問題意識と今後の方針経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

※本記事は「JX金属株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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