小野薬品工業株式会社の基本情報

会社名小野薬品工業株式会社
業種医薬品
従業員数連4287名 単3464名
従業員平均年齢44.2歳
従業員平均勤続年数16.9年
平均年収10173024円
1株当たりの純資産1697.77円
1株当たりの純利益(連結)106.55円
決算時期3月
配当金80円
配当性向36.7%
株価収益率(PER)7.4倍
自己資本利益率(ROE)(単体)13.2%
営業活動によるCF824億円
投資活動によるCF▲1367億円
財務活動によるCF942億円
研究開発費※11500.07億円
設備投資額※180.61億円
販売費および一般管理費※1758.93億円
株主資本比率※276.9%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)企業理念および基本方針当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、いまだ満たされない医療ニーズに応えるため、真に患者さんのためになる革新的な新薬の創製を行う「グローバル スペシャリティ ファーマ」を目指して積極的な努力を続けています。また、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するため、財務と非財務の経営課題を統合的に捉えて価値創造につなげるサステナブル経営方針を定め、重点課題への取り組みを推進しています。そして、すべての事業活動において、人の生命に関わる医薬品を取り扱う製薬企業としての責任を深く自覚し、法令遵守はもとより、高い倫理観に基づき行動すべく、コンプライアンスの一層の強化に努めています。 (2)経営課題新薬開発型医薬品企業として永続的な発展を実現するため、次のとおり現状の課題を定め、対応に取り組んでいます。<現状における課題と取り組み>医薬品業界を取り巻く環境は目まぐるしいスピードで日々変化していますが、オープンイノベーションの活発化やデジタルを核とした異業種連携による新しい価値の創出、セルフメディケーションの重要性の高まりなど、新薬開発やヘルスケア領域において様々な成長機会が存在しています。当社では、あらゆる状況に柔軟かつ迅速に対応して世界で通用する企業となることを目指し、4つの成長戦略「製品価値最大化~患者本位の視点で~」「パイプラインの強化」「グローバル事業の拡大と加速」「事業ドメインの拡大」を定めて事業活動に取り組んでいます。さらに、これらの成長戦略を支える経営基盤であるデジタル・IT基盤、人的資本、企業ブランド等の無形資産の拡充に努めます。 成長戦略:製品価値最大化~患者本位の視点で~患者さんとそのご家族のウェルビーイング(心身的・社会的・生活満足度が満たされている状態)実現に、医療従事者とともに挑み、その結果として新薬が速やかに浸透している状態を目指して、スピーディーかつ効果的な開発、競争力のあるマーケティング、そして精緻な情報提供・収集に取り組みます。マーケティング、情報提供・収集においては、医療課題に対して医療従事者とともに患者視点で取り組むスペシャリティ人財を育成するとともに、デジタルを活用して効果的かつ効率的な情報提供・収集を実践し、製品のポテンシャルを最大限引き出せるよう取り組んでいます。開発においては現在、重要戦略分野であるオンコロジー領域を中心に、100近くに及ぶ多くの臨床試験を行っています。オンコロジー領域の主力製品の一つである「オプジーボ」では、パートナー企業である米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とともに、引き続き製品価値の最大化につながる開発を行ってまいります。プライマリー領域の主力製品の一つである「オンジェンティス」については、パーキンソン病患者さんのウェアリングオフ発症早期の有用性の浸透とウェアリングオフの顕在化に取り組み、最初に選択されるパーキンソン病補助薬の位置付けを目指しさらなる成長に挑戦します。 成長戦略:パイプラインの強化世界には現在も治療法のない病に苦しむ人が大勢います。当社は、いまだ満たされない医療ニーズに応えることができる「グローバル スペシャリティ ファーマ」を目指しており、医療ニーズの高いがんや免疫疾患、神経疾患、スペシャリティ領域を重点研究領域に定め、それぞれの領域で疾患ノウハウを蓄積し、医療現場に革新をもたらす新薬を創出していきます。世界をリードする大学や研究機関、バイオベンチャー企業との研究・創薬提携を強化・拡充し、ファーストインクラスが狙える独自性の高いパイプラインの充実を図ります。また、創薬シーズに応じて最適な創薬モダリティを選択し、独自性の高い自社創薬に挑み続けるとともに、ヒト試料を用いた非臨床データや臨床試験で得られたデータを積極的に用いた創薬標的の検証やトランスレーショナル研究の強化により、研究開発の確実性の向上に努めます。加えて、医療ニーズの高い分野での革新的な化合物の導入や新技術の獲得も、積極的に進めていきます。 成長戦略:グローバル事業の拡大と加速新薬を世界中に提供できるよう、グローバル事業の拡大に取り組んでいます。海外事業を拡大・加速させるために、デサイフェラ社を買収し、パイプラインと研究開発力を強化するとともに、米欧での販売基盤を獲得しました。さらに、デサイフェラ社を米欧事業における拠点として、従来、米国および英国に有していた機能を再編し、集約します。これにより、当社グループ一体となってグローバル事業を一層加速させていきます。短期的には、QINLOCKとROMVIMZAの適応追加や販売地域拡大を通じて製品価値を最大化し、ONO-4059(ベレキシブル錠)の米国での上市に向けた活動を推進します。また、グローバルでの開発体制の強化に取り組み、既存のがん領域に加えて他の疾患領域においても、米欧での開発を推進します。今後も革新的医薬品を世界中のより多くの患者さんに速やかに届けられるよう取り組んでまいります。 成長戦略:事業ドメインの拡大拡大するヘルスケア分野のニーズを捉え、新たな価値を提供し続けるため、事業ドメインの拡大に取り組んでいます。小野薬品ヘルスケア株式会社では、これまでの医療用医薬品の研究開発で当社が培ってきた資産を最大限に生かした商品の開発に取り組んでおり、第1弾となる機能性表示食品 睡眠サプリメント「REMWELL(レムウェル)」については、継続的に顧客の拡大を進めています。脂質研究のパイオニアとしてリピドサプリ事業を通じて、今後さらに様々な健康課題の解決に取り組みます。また、デジタルを活用し、顧客の未解決課題と向き合い、新たな価値創出に挑戦するため、株式会社michitekuにおいては、がん(大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん)患者さんの告知直後の心のケアや医師の話を理解するためのヘルスリテラシー向上をサポートするツール「michiteku」β版を提供しています。加えて、2025年1月には、日常と治療の両立を支援する通院日管理アプリ「michiteku YOHA」の提供を開始しました。さらにこれらの活動と並行して、小野デジタルヘルス投資合同会社による、ヘルスケア分野でのベンチャー企業への投資活動を通じて新たな事業の創出・拡大を目指します。 成長戦略を支える経営基盤:無形資産の拡充4つの成長戦略を支え、飛躍的な成長を果たすため、人的資本、企業ブランド、デジタル・IT基盤等の無形資産の拡充に取り組みます。人的資本の拡充では、事業の成長を推進するための人財の確保・育成を進めるとともに、高い従業員エンゲージメントを実現するための組織風土・カルチャーの醸成を推進していきます。また、企業認知の向上については、グローバルでの企業ブランドの浸透をデサイフェラ社とともに進めることで、企業価値の向上に取り組みます。さらに全社で、デジタル・ITによる企業変革に取り組み、グローバル化や変化に対応したセキュアなIT基盤を構築・維持するとともに、創薬バリューチェーンの変革をはじめとしたデジタルトランスフォーメーションを推進します。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりとなりました。 ① 財政状態及び経営成績の状況(財政状態) 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,504億円増加の1兆640億円となりました。 流動資産は、現金及び現金同等物の増加などから415億円増加の4,551億円となりました。 非流動資産は、その他の金融資産が減少する一方で、デサイフェラ社買収に伴う無形資産の増加やのれんを計上したことなどから1,089億円増加の6,089億円となりました。 負債は、デサイフェラ社買収の資金調達のために金融機関から借入を実施したことなどから1,608億円増加の2,758億円となりました。 親会社の所有者に帰属する持分は、当期利益の計上があった一方で、その他の資本の構成要素の減少や剰余金の配当などがあったことから105億円減少の7,825億円となりました。 (経営成績)業績の概況<コアベース>(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度対前年度増減額対前年度増減率売上収益502,672486,871△15,802△3.1%コア営業利益180,925112,667△68,258△37.7%コア当期利益142,54590,361△52,184△36.6% *コアベースの定義コア財務指標はIFRSの財務ベースの指標から、当社事業の本質的な業績と関連がない項目や単年度の発生など一過性の項目を控除して算出します。調整項目には、買収や導入により獲得した無形資産から生じる償却費、減損損失、訴訟等による賠償または和解費用、災害による損失などが含まれます。[売上収益] 売上収益は、前連結会計年度比158億円(3.1%)減少の4,869億円となりました。・国内製品売上抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」は、薬価引き下げの影響等により、前連結会計年度比で252億円(17.3%)減少の1,203億円となりました。糖尿病、慢性心不全および慢性腎臓病治療剤「フォシーガ錠」は、慢性腎臓病での使用が拡大したことにより、前連結会計年度比135億円(17.7%)増加の896億円となりました。その他の主要製品では、関節リウマチ治療剤「オレンシア皮下注」は266億円(前連結会計年度比3.0%増)、2型糖尿病治療剤「グラクティブ錠」は183億円(同13.4%減)、抗悪性腫瘍剤「ベレキシブル錠」は105億円(同3.1%増)、多発性骨髄腫治療剤「カイプロリス点滴静注用」は86億円(同5.9%減)、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療剤「パーサビブ静注透析用」は84億円(同2.5%増)、パーキンソン病治療剤「オンジェンティス錠」は76億円(同21.0%増)となりました。・海外製品売上デサイフェラ社が販売する消化管間質腫瘍治療剤「キンロック」の売上(7月-3月の9か月)は、255億円となりました。また、2025年2月より腱滑膜巨細胞腫(TGCT)治療剤「ロンビムザ」の販売を開始しました。・ロイヤルティ・その他ロイヤルティ・その他は、前期にアストラゼネカ社との特許関連訴訟の和解に伴う一時金収入170億円を計上した反動減や、メルク社などからのロイヤルティ収入がロイヤルティ料率の低下に伴い減少し、前連結会計年度比296億円(15.9%)減少の1,561億円となりました。 [コア営業利益] コア営業利益は、前連結会計年度比683億円(37.7%)減少の1,127億円となりました。・売上原価は、前連結会計年度比27億円(2.5%)減少の1,069億円となりました。・研究開発費は、臨床試験に係る開発費用の増加やLigaChem Biosciences社との創薬提携契約に係る費用に加え、買収したデサイフェラ社の研究開発に係る費用を計上したことなどにより、前連結会計年度比349億円(32.1%)増加の1,433億円となりました。・販売費及び一般管理費(研究開発費を除く)は、「フォシーガ錠」の売上拡大に伴うコ・プロモーション費用の増加に加え、買収したデサイフェラ社の事業運営に係る費用を計上したことにより、前連結会計年度比219億円(21.8%)増加の1,222億円となりました。 [コア当期利益]コア当期利益は、前連結会計年度比522億円(36.6%)減少の904億円となりました。 業績の概況<IFRS(フル)ベース>(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度対前年度増減額対前年度増減率売上収益502,672486,871△15,802△3.1%営業利益159,93559,747△100,188△62.6%税引前当期利益163,73459,328△104,406△63.8%当期利益(親会社の所有者帰属)127,97750,047△77,930△60.9% [売上収益] 売上収益は、コアベースの売上収益に記載のとおりです。 [営業利益]営業利益は、前連結会計年度比1,002億円(62.6%)減少の597億円となりました。・売上原価は、前連結会計年度に販売権の減損損失を111億円計上した反動減があった一方で、デサイフェラ社買収に係る無形資産の償却費および公正価値評価された棚卸資産の費用化分を合計215億円計上したことに加え、アストラゼネカ社とのコ・プロモーション契約に基づき販売している「フォシーガ錠」の販売達成マイルストン136億円を費用計上したことなどにより、前連結会計年度比208億円(16.4%)増加の1,479億円となりました。・研究開発費は、臨床試験に係る開発費用の増加やLigaChem Biosciences社との創薬提携契約に係る費用に加え、デサイフェラ社の研究開発に係る費用を計上したことなどにより、前連結会計年度比377億円(33.6%)増加の1,499億円となりました。・販売費及び一般管理費(研究開発費を除く)は、「フォシーガ錠」の売上拡大に伴うコ・プロモーション費用の増加に加え、デサイフェラ社の事業運営に係る費用および買収に係る費用を計上したことにより、前連結会計年度比254億円(25.3%)増加の1,257億円となりました。 [当期利益](親会社の所有者帰属)親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前当期利益の減少に伴い、前連結会計年度比779億円(60.9%)減少の500億円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度対前年度増減額現金及び現金同等物の期首残高96,135166,141 営業活動によるキャッシュ・フロー110,66082,459△28,200投資活動によるキャッシュ・フロー48,077△136,785△184,862財務活動によるキャッシュ・フロー△89,84894,299184,147現金及び現金同等物の増減額(△は減少)68,88939,974 現金及び現金同等物に係る為替変動による影響額1,116△1,548 現金及び現金同等物の期末残高166,141204,567  当連結会計年度における現金及び現金同等物の増減額は、400億円の増加となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益593億円や減価償却費及び償却費269億円などがあった結果、825億円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入2,035億円などがあった一方で、子会社の取得による支出3,648億円などがあった結果、1,368億円の支出となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額375億円や長期借入金の返済による支出150億円などがあった一方で、長期借入れによる収入1,500億円などがあった結果、943億円の収入となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円) セグメントの名称生産高対前年度増減率医薬品事業281,24710.3%合計281,24710.3% (注) 1 金額は、売価換算額によっております。2 連結会社間の取引は相殺消去しております。3 当社グループのセグメントは、「医薬品事業」単一であります。 (2) 受注状況当社グループでは、主に販売計画に基づいて生産計画を策定し、これに基づき生産を行っております。受注生産は一部の連結子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 (単位:百万円) セグメントの名称販売高対前年度増減率医薬品事業486,871△3.1%合計486,871△3.1% (注) 1 連結会社間の取引は相殺消去しております。2 当社グループのセグメントは、「医薬品事業」単一であります。3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。  (単位:百万円) 相手先前連結会計年度当連結会計年度金額割合金額割合ブリストル・マイヤーズ スクイブ社およびそのグループ会社108,08221.5%124,43125.6%㈱メディパルホールディングスおよびそのグループ会社72,71414.5%71,87614.8%㈱スズケンおよびそのグループ会社65,21813.0%60,67412.5%アルフレッサホールディングス㈱およびそのグループ会社50,45110.0%48,81910.0% (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容医薬品業界においては、新薬創製の成功確率は年々低下し、研究開発費負担が増大するとともに、医療制度改革による種々の医療費抑制政策が強化されるなど、新薬開発型企業にとっては厳しい経営環境が続いています。このような経営環境の中、当社グループでは「製品価値最大化~患者本位の視点で~」「パイプラインの強化」「グローバル事業の拡大と加速」「事業ドメインの拡大」および経営基盤であるデジタル・IT基盤、人的資本、企業ブランド等の無形資産の拡充を経営上の重要課題と捉え、これらの課題を達成していくことにより、持続的な成長に努めています。当社グループの収益は、医薬品事業の単一セグメントですが、売上収益の内訳としては、「製品商品」「ロイヤルティ・その他」に区分しています。「製品商品」については、抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注」の売上収益が、経営成績に重要な影響を与えるものと認識しています。「オプジーボ点滴静注」については、これまでの薬価の引き下げに加え、今後も競合他社製品との競争は激化すると予想されるものの、これまで承認取得したがん腫での使用拡大に加え、製品価値の最大化につながる開発等により使用対象患者数の拡大を見込んでおり、持続的に伸長できると考えています。「ロイヤルティ・その他」については、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社やメルク社、ロシュ社等からの「オプジーボ点滴静注」および「抗PD-1/PD-L1抗体」に関する特許に係るロイヤルティ収入等が、経営成績に重要な影響を与えるものと認識しています。海外における「オプジーボ点滴静注」の発売以来、ロイヤルティ収入等は持続的に伸長してまいりましたが、ロイヤルティ料率の変更や各国における当該特許の満了等に伴い、今後も段階的に減少していくものと考えています。また、「オプジーボ点滴静注」の価値最大化に加え、「オプジーボ点滴静注」のような革新的新薬を継続的に創出できるような研究開発力の強化に取り組んでおり、研究開発費の増大が、経営成績に重要な影響を与えるものと認識しています。いまだ満たされない医療ニーズの高いがんや免疫疾患、神経疾患、スペシャリティ領域を重点研究領域に据えて、経営資源を集中させ、効率的な経費支出に努めることで、利益の確保も図っていきます。短期的には研究開発費率は増加するものの、中期的には売上収益の拡大により売上収益の20~25%程度を投資しつつ、かつ営業利益率25%以上を目指していきたいと考えています。また、これらの水準を目標としつつ、売上収益の拡大によって利益拡大を図ることがROEの水準を高めていくことにつながるものと考えています。なお、当連結会計年度は、売上収益に対する研究開発費率(コアベース)29.4%(前連結会計年度21.6%)、営業利益率(コアベース)23.1%(前連結会計年度36.0%)、ROE6.4%(前連結会計年度16.7%)でありました。 ② 資本の財源及び資金の流動性に関する状況当社グループは、円滑な事業活動に必要となる流動性の確保と財務の健全性および安全性の確保を資金調達の基本方針としており、市場環境等を考慮した上で、有効かつ機動的な資金調達を実施しています。資金需要としては、研究開発投資に加え、有形・無形の固定資産への投資が中心となります。当連結会計年度末の流動資産は、4,551億円(内、現金及び現金同等物は2,046億円)、流動負債は1,483億円であり、必要な流動性は十分に満たしていると認識しています。なお、2024年6月米国デサイフェラ社の買収により生じた資金需要の一部については、金融機関からの借入による資金調達を実施しています。 ③ 重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、収益および費用、資産および負債の測定に関する経営者の見積りおよび仮定を含んでおります。これらの見積りおよび仮定は過去の実績および決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積りおよび仮定とは異なる結果となる可能性があります。見積りおよびその基礎となる仮定は経営者により継続して見直されております。これらの見積りおよび仮定の見直しによる影響は、その見積りおよび仮定を見直した期間およびそれ以降の期間において認識しております。当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積りおよび仮定は以下のとおりであります。 (1)無形資産およびのれんの減損当社グループは、無形資産について、各報告期間末日に減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、減損テストを実施しております。また、耐用年数が確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産、のれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず毎年一定の時期に、減損テストを実施しております。減損テストは、各資産の回収可能価額を算定し、帳簿価額と比較することにより実施しております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。回収可能価額は、見積り将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しております。回収可能価額の算定には、研究開発の進捗状況に基づく販売可能期間、想定販売単価、想定患者数および割引率といった経営者による仮定が使用されております。使用する割引率は、貨幣の時間価値と当該資産に固有のリスクのうち、将来キャッシュ・フローの見積りを調整していないものを反映した利率を用いております。将来の事象によって、減損テストに用いられた仮定が変更され、その結果、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)繰延税金資産の回収可能性当社グループは、資産および負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、繰延税金資産を回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において、当該一時差異に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しております。当社グループは、事業計画等に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期およびその金額を合理的に見積り、課税所得が生じる可能性を判断しています。 (3)退職給付会計の基礎率当社グループは確定給付型を含む複数の退職給付制度を有しております。確定給付債務の現在価値および関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率や利息の純額等の変数についての見積りおよび判断が求められます。当社グループは、これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、外部の年金数理人からの助言を得ております。数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。 (4)デサイフェラ社の企業結合により取得した無形資産当連結会計年度において、当社グループは、デサイフェラ社の株式を取得し、連結子会社としております。当該企業結合により取得した取得日時点の無形資産の公正価値は、外部の専門家を利用し、企業価値評価で用いられた事業計画を基礎に、無形資産から生み出すことが期待される将来キャッシュ・フローを割り引くインカム・アプローチ(超過収益法)により算出しております。公正価値の測定に用いた主要な仮定は、研究開発の進捗状況に基づく販売可能期間、想定販売単価、想定患者数および割引率であります。将来の事象によって、公正価値の測定に用いられた仮定の見直しが必要となった場合には、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

※本記事は「小野薬品工業株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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