エア・ウォーター株式会社の基本情報

会社名エア・ウォーター株式会社
業種化学
従業員数連5236名 単693名
従業員平均年齢43.6歳
従業員平均勤続年数10.3年
平均年収7954000円
1株当たりの純資産1004.12円
1株当たりの純利益(連結)214.57円
決算時期3月
配当金75円
配当性向65.9%
株価収益率(PER)16.6倍
自己資本利益率(ROE)(連結)5.3%
営業活動によるCF932億円
投資活動によるCF▲621億円
財務活動によるCF▲273億円
研究開発費※111.06億円
設備投資額※1348.17億円
販売費および一般管理費※1486.76億円
株主資本比率※234.9%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループの経営理念は、次のとおりであります。「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」当社グループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことが当社グループの使命であります。当社グループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。 (2) 前中期経営計画の振り返り当社は、2030年度に目指す姿として「terrAWell30」を定め、当社グループが有する多様な事業領域と、気候変動や超高齢化といった社会課題を踏まえた2つの成長軸である「地球環境」と「ウェルネス」に沿って、事業活動を通じた社会課題の解決に貢献し、持続的な成長と企業価値の向上を図ってまいりました。前中期経営計画「terrAWell30 1st stage」では2010年からグループ全社を挙げて取り組んできた「売上収益1兆円」を2022年度に達成し、新たな企業ステージに立ちました。グループ経営資源の最適化によってシナジーを創出し、成長領域である海外およびデジタル・半導体関連事業の拡大とともに国内事業の収益力強化を図り、社会課題解決に貢献する新事業の創出を推し進めた結果、1st stageにおける売上収益、営業利益の年平均成長率(CAGR)はそれぞれ6.6%、4.9%と着実に伸長しました。 中期経営計画「terrAWell 30 1st stage」2022年度2023年度2024年度2024年度実績実績計画 (注)3実績売上収益(億円)10,04910,24511,00010,759営業利益(億円)621683780752営業利益率(%)6.26.77.17.0親会社の所有者に帰属する当期利益(億円)401444500491海外売上収益比率(%)9.310.9-11.3ROE(%) (注)19.79.710.09.8ROⅠC(%) (注)25.65.4-5.5親会社所有者帰属持分比率(%)39.440.039.841.4ネットD/Eレシオ0.750.770.810.72 (注) 1 親会社所有者帰属持分当期利益率 (親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分(期首期末平均)) 2 投下資本利益率=(営業利益×(1-税率))÷(資本合計+有利子負債)(期首期末平均) 3 2024年5月9日公表の通期業績予想 (3) 「terrAWell30 2nd stage」の位置づけ2025年度を起点とする新中期経営計画「terrAWell30 2nd stage」においては、売上収益1兆円に向けた「規模の拡大」から「収益性の追求」へと経営をシフトしていきます。既存事業を徹底的に見直し、生み出した経営資源を効率的に成長事業へ投資するとともに、低成長・低収益事業を中心に改善・合理化を実践し、事業ポートフォリオを変革していきます。3rd stage(2028~2030年度)での「持続的成長への進化」につなげ、2030年に向けて時価総額1兆円規模(現状の2倍水準)を目指してまいります。詳細につきましては、当社WEBサイトをご参照ください。https://www.awi.co.jp/ja/ir/management/plan.html (4)経営環境、経営方針及び対処すべき課題世界経済は、米国の関税政策動向を中心に不確実性が高く、景気後退、金融市場への影響などが懸念されます。一方で我が国経済においても経済影響への不透明感があるものの、所得環境の改善が継続することに伴う個人消費も底堅く推移する見込みであること、またデジタルや脱炭素、サプライチェーンの強化を中心とした設備投資が堅調に推移する見通しです。このような事業環境のもと、当社グループは、「terrAWell30 2nd stage」にて掲げる下記の5つの経営方針のもと、さらなる成長を目指してまいります。 当社は持続可能な成長と企業価値の向上を達成するために、以下の課題について取り組みを推進してまいります。(成長領域及び収益力の磨き上げ)産業ガス、医療ガスなどの高収益事業から創出したキャッシュは、インド・北米の産業ガス事業や、半導体関連分野、カーボンニュートラル分野(グリーン産業ガス、バイオメタン、液化水素プラントなど)の当社の成長事業へ重点的に配分します。併せて、低成長・低収益の事業の効率化を目指すことにより、収益力の強化に取り組みます。 (バランスシートのスリム化による資金創出)適正在庫管理やキャッシュコンバージョンサイクルの改善をはじめとした運転資本効率の向上に取り組むとともに、政策保有株式や不動産・遊休資産の売却を推進することによりバランスシートをスリム化し、資金効率の最大化を図ります。 (社会課題解決への貢献)当社の中長期的な注力テーマである「カーボンニュートラル」と「アグリ」領域で、社会課題解決に向けた新たな事業の創出を目指します。カーボンニュートラル領域については、カーボンニュートラル達成のために、自社の温室効果ガス(GHG)排出量を減らす「責務」を果たすことと、製品・事業を通じて社会のGHG排出削減に「貢献」することの両面から取り組みを推進しています。特に、社会のGHG排出削減に「貢献」することは、当社にとって大きなビジネスチャンスであり、当社独自の攻めの取り組みと言えます。今後、拡大する脱炭素市場に対し、産業ガス事業で培った水素やCO2回収をはじめとするGHG排出を削減する商材や技術・ノウハウを組み合わせることにより、市場の先駆者になることを目指して取り組んでまいります。アグリ領域については、日本の農業は、食料安全保障や食料自給率の問題に加えて、異常気象により本州の作物が育ちにくくなっていることや、高齢化による農業の担い手不足といった課題があります。また、インフレや円安などによる物価上昇なども含めて、食料事情は刻一刻と変化をしております。当社は、契約農家からの直接購入や、収穫などの農作業を機械化して代行するアグリサポート事業を伸ばし、一大農産地である北海道での調達力を強化しています。また、アグリ関連の資本業務提携先との連携強化とともに、当社独自のガスを用いた鮮度保持技術、食品加工技術を磨くことで、今後、さらに深刻になるであろう食の課題に対応しつつ、事業としても成長させていきます。 (新規事業創出に向けた研究開発体制の刷新)当社は、新規事業の創出等を目的として、2025年4月1日付にて、3つの研究開発部門を新設いたしました。○海水技術研究所海水からの有価物回収技術、淡水化システム、および海水成分を利用した機能性素材等それぞれの研究を通じて、カーボンニュートラルや資源循環型社会の実現に貢献します。○再生医療研究所幹細胞を用いた再生医療(歯髄再生治療)技術確立のための細胞培養関連技術及び細胞バンク関連技術の研究により、先進的な再生医療技術及び神経系の新たな治療法等の発展に貢献します。○ガス技術研究所当社の競争力の源泉であるガス基幹技術を深化させるとともに、医療や食品分野等へのさらなる応用を研究し、新たなガスアプリケーションの可能性を追求します。 (人的資本投資の強化)グローバル人材、エンジニアの育成に資する人的資本投資を強化するほか、優秀な若手層の早期抜擢や女性管理職比率の向上に継続して努め、グループの成長を牽引する次世代経営人材の育成に注力します。また、人材確保の難易度が高まる中、従業員のエンゲージメント向上のための施策、環境整備が急務です。優秀な人材の確保に向けて、中長期的な賃金政策に基づくグループ全体の賃上げを行うほか、AI・DX領域を中心にリスキリングを促進し、従業員全体のスキルの底上げを図ります。 (AI・DXの活用)経営・事業・業務など、あらゆる分野においてAIとDXを活用することにより、営業効率向上、運転資本効率向上、生産効率向上に取り組みます。また、会計情報等の様々なデータを共通データ基盤に統合し、的確な経営判断と実行に活かす仕組みを構築します。 (株主還元の一層の充実)当社は、継続的な企業価値の向上を図るべく経営基盤の強化を進めていくと同時に、株主の皆様への利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置付けております。その一層の充実を図ることを目的として、原則として減配しない「累進配当」の導入及び配当性向については、親会社の所有者に帰属する当期利益の35%を基準とし(現行は30%)、業績に見合った安定的な配当を行うといった剰余金の配当等の決定に関する方針を変更することといたしました。 なお、対処すべき課題を踏まえた各セグメントの取り組みは、次のとおりであります。 (デジタル&インダストリー)エレクトロニクス分野は、デジタル・半導体の製造拠点の増強に対応した大型プラント投資や新規取引先の開拓によってガス需要を獲得すると同時に、特殊ケミカルやガス精製装置、関連工事といった半導体製造を支えるグループ商材・サービスを総合的に提供できる当社グループの強みを活かして、最先端ニーズから周辺分野まで幅広い需要に対応し事業拡大を図ります。産業ガス分野では、鉄鋼・化学などの素材分野をはじめ国内の産業ガス需要が減少基調となる中、各種ガスの安定供給体制を構築するとともに、低採算案件の見直しを含めた価格マネジメントを徹底するとともに、生産性の向上をはじめとした収益強化策に取り組みます。 (エネルギーソリューション)低・脱炭素需要が高まる中、工業用向けエネルギー供給分野は、顧客に対して重油から液化天然ガス(LNG)への燃料転換を積極的に進めるとともに、輸送機器や供給設備の拡販に取り組みます。社会のカーボンニュートラルの実現へ向け、2024年5月に家畜ふん尿由来のクリーンエネルギー「液化バイオメタン」の商用利用を開始しました。その他、垂直ソーラー発電システム「VERPA」の販売拡大、小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」など、脱炭素ソリューションの社会実装化に注力していきます。北海道を中心とした家庭向けLPガス供給事業は、販売店の商権取得等による直販体制拡大、IoT技術を活用した配送の効率化など、収益力の強化に取り組みます。 (ヘルス&セーフティー)医療用ガスの供給基盤を活かして、医療機関のニーズを把握し、医療機器の開発をするとともに、中長期の成長に向けては、健康寿命の延伸や在宅医療体制の構築といった社会的ニーズを踏まえ、人々の健康増進、リハビリによる予後の改善、在宅患者様のQOL(生活の質)向上につながる医療機器や介護用製品の開発体制を強化していきます。医療分野では、SPD(病院物品物流管理)や病院向け滅菌受託といった医療現場のサポートに関して、低収益取引の見直し、更なる効率化を目指していきます。また、手術室の改修など病院設備工事においては、直接受注による収益力強化に取り組みます。防災分野では、旺盛な需要が続くデータセンター向けガス消火設備工事の案件獲得による事業拡大を図ります。コンシューマーヘルス分野では、グループリソースの最大化、サプライチェーン拡充など体制強化を進め、衛生材料、注射針の販売拡大、化粧品・エアゾール受託増により事業拡大や収益局強化に取り組みます。 (アグリ&フーズ)持続可能な農業と食料安定供給システムの実現を目指し、スマート農業・鮮度保持関連の技術開発の強化や農産品の取扱量拡大に取り組んでいます。当社の物流基盤を活かし、原料野菜の調達や青果流通・加工・販売におけるサプライチェーンプラットフォームの構築も進め、事業拡大を図っていきます。また、フーズ分野においては、原料高影響を受け、価格マネジメントや、低採算取引の見直し、飲料製造の紙容器充填ライン増強による生産性向上などで収益性改善もすすめていきます。 (その他の事業)グローバル&エンジニアリング事業は市場の拡大に伴う成長と高い収益性が見込めること、また既存事業とのシナジーによって新たな需要創出ができると判断した以下3つの事業分野を成長領域として事業拡大に取り組んでいます。インドの産業ガス分野については、政府による積極的なインフラ投資政策を背景に、鉄鋼をはじめとしたガス需要の拡大が見込まれます。オンサイト供給案件の新規獲得、自社液化ガス工場の稼働によるローリー・シリンダー事業の拡充を進めていきます。北米での産業ガス及び低温機器分野は、現地産業ガスディストリビューターの連携・M&Aを通じて事業展開エリアを拡大し、自社のオンサイトプラントを設置し、産業ガスの製造から販売まで一貫した事業インフラを構築してまいります。高出力無停電電源装置(高出力UPS)分野は、データセンターや半導体工場のBCPに不可欠な「バックアップ電源ソリューション」を提供しており、需要拡大を背景とした新規受注獲得による成長を目指します。物流事業は2025年2月に「千葉低温センター」開設するなど低温物流ネットワークの拡充を図るなど、食品物流や一般貨物、協業による青果物等の荷扱量の増加により、事業拡大を図ります。電力事業はFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)により売電価格が保証されている一方、発電燃料となるPKS(パームヤシ殻)や木質ペレットなどは海外から輸入しており、為替を含むコスト変動が収益に影響を与えます。そのため、為替予約に取り組み、リスクを低減するとともに、荷揚港湾施設の運用改善などによりコストの低減を図っていきます。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度の売上収益は1兆759億2千9百万円(前期比105.0%)、営業利益は752億4千6百万円(同110.2%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は490億7千4百万円(同110.6%)となり、過去最高業績を更新いたしました。当連結会計年度の我が国の経済は、雇用・所得環境の改善が進み、企業の設備投資も堅調に推移する一方で、物価上昇や大幅な為替変動に加え、経済活動における不確実性が世界的に高まるなど、先行き不透明な状況が続きました。このような中、当社グループは、成長領域と位置付けるデジタル・半導体関連事業やインド、北米等の海外の産業ガス関連事業の強化を図ってまいりました。国内既存事業においては、低採算案件の見直しを含めた価格マネジメント、生産性向上や効率化など、収益力の強化に取り組みました。成長戦略実現のため、北海道の社会課題解決に関わる新事業の創造、開発、発信拠点「エア・ウォーターの森」を2024年12月に開業。2025年1月には、半導体・電池材料開発の中核拠点となる新研究棟「湘南イノベーションラボ」を開所いたしました。オープンイノベーションの推進により、地域課題解決に貢献する新事業の創出に取り組むとともに、技術者を集約し育成を強化することでグループ各社が保有している知見・技術のシナジーを最大化し、新製品開発を加速してまいります。また、2024年5月には、カーボンニュートラルの実現へ向け、家畜ふん尿由来のクリーンエネルギー「液化バイオメタン」の商用利用を開始するなど、製品・事業を通じた取り組みを推進いたしました。  売上収益営業利益親会社の所有者に帰属する当期利益2024年3月期(百万円)1,024,54068,27244,3602025年3月期(百万円)1,075,92975,24649,074前期比(%)105.0110.2110.6 セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。 <デジタル&インダストリー>当セグメントの売上収益は3,510億9千4百万円(前期比102.9%)、営業利益は362億6千7百万円(同108.0%)となりました。鉄鋼・化学などの素材分野をはじめ国内の産業ガス需要が減少基調となる中、デジタル・半導体産業における製造拠点の増強に対応した大型プラント投資や新規取引先の開拓によってガス需要を獲得するとともに、特殊ケミカルやガス精製装置、関連工事といった半導体製造を支えるグループ商材・サービスを総合的に展開しました。売上収益は、機能材料分野で無水フタル酸等の有機酸製品やシール材の需要低迷による影響を受けた一方、半導体工場向けガス供給の他、特殊ケミカルおよび同供給装置や半導体製造装置向け熱制御機器などデジタル・半導体関連事業が好調に推移したことで前期を上回りました。営業利益は、機能材料分野やヘリウム調達コストの影響を受けましたが、デジタル・半導体関連事業が好調に推移したことに加え、産業ガスの価格マネジメント効果やプラント稼働における生産性の向上も寄与し、順調に推移しました。 <エネルギーソリューション>当セグメントの売上収益は709億1千8百万円(前期比106.5%)、営業利益は45億1千万円(同111.6%)となりました。低・脱炭素需要が高まる中、顧客に対して重油から液化天然ガス(LNG)への燃料転換を積極的に進めた他、社会のカーボンニュートラル化に寄与する共同実証などに取り組みました。北海道を中心とした家庭向けLPガス供給事業は、販売店の商権取得等による直販体制拡大、IoT技術を活用した配送の効率化など、収益力の強化に取り組みました。LPガス、灯油、LNG等製品全般が市況価格に連動し、年間を通して販売価格が高水準で推移したこと、LNG関連機器の拡販が寄与したことにより売上収益は、前期から大きく伸長しました。営業利益は、LPガス販売における低採算取引の見直しなども加わり、増益となりました。 <ヘルス&セーフティー>当セグメントの売上収益は2,460億8千3百万円(前期比106.6%)、営業利益は150億9千9百万円(同100.1%)となりました。医療用ガスの供給基盤を活かして医療機関のニーズを把握し、医療機器の開発、病院業務のアウトソーシング受託に注力しました。手術室の改修案件など病院設備工事の直接受注による収益力強化に取り組みました。コンシューマーヘルス分野では、事業拡大に向け、グループリソース最大化、サプライチェーン拡充など体制強化を進めました。国内における病院向けの新規工事案件やエアゾールの受託製造が前期に比べて減少したものの、医療機器や医療消耗品の販売拡大や衛生材料の価格改定効果がありました。また、一酸化窒素吸入療法の症例数が増加した他、介護用シャワー入浴装置の販売が好調に推移しました。防災分野は、海外での病院向け工事案件、国内でのデータセンター向け工事案件が堅調に進展しました。これらの結果、売上収益、営業利益は前期を上回りました。 <アグリ&フーズ>当セグメントの売上収益は1,744億8千万円(前期比107.3%)、営業利益は62億1千9百万円(同89.9%)となりました。持続可能な農業と食料安定供給システムの実現を目指し、スマート農業・鮮度保持関連の技術開発の強化や農産品の取扱量拡大に取り組みました。協業強化に取り組み、当社の物流基盤を活かし、原料野菜の調達や青果流通・加工におけるサプライチェーンプラットフォームの構築も進めました。野菜・果実系飲料等の受託製造が増加したことに加え、北米市場での冷凍ブロッコリーや北海道産馬鈴薯や人参等の販売が拡大、青果仲卸事業を展開する丸進青果㈱を前期に新規連結したことが寄与しました。これらの結果、売上収益は前期を上回りました。一方、営業利益は、ハム・デリカにおける豚肉の原料高やスイーツにおけるコンビニエンスストア向けの採用が減少した影響、一過性費用を計上したことから前期を下回りました。 <その他の事業>当セグメントの売上収益は2,333億5千3百万円(前期比104.5%)、営業利益は125億8千6百万円(同115.8%)となりました。 物流事業は一般貨物及び食品輸送が堅調に推移する中、受託料金適正化の取り組みやデジタル技術活用による業務効率化を進めました。加えて、協業による青果物等の荷扱量、産業廃棄物の取扱量が増加したことから前期を大きく上回りました。 ㈱日本海水は電力事業における燃料ガス価格上昇の影響がありましたが、塩事業における融雪塩や食品事業における海苔・ふりかけの販売が好調に推移したことで前期を上回りました。 電力事業は小名浜バイオマス発電所は、大規模点検により例年に比べ稼働日が減少した影響がありましたが、発電燃料であるPKS(パーム椰子殻)の市況低下やコスト低減の取り組みが寄与したことから営業利益は前期を上回りました。 グローバル&エンジニアリング事業はインド市場は、鉄鋼向けオンサイト供給が堅調に推移した他、新規顧客に対してローリー・シリンダー供給による産業ガスの拡販が順調に推移いたしました。北米市場は、建設中の自社ガスプラント稼働に向け、新規取引先獲得に努めました。また、前期に新規連結した産業ガス関連2社が収益に貢献しました。高出力UPS(無停電電源装置)分野はデータセンター及び半導体メーカーの設備投資の増加を背景に、引き続き好調に推移しました。これらの結果、その他の事業セグメントは売上収益・営業利益ともに前期を上回りました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 ① 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)デジタル&インダストリー159,543107.7エネルギーソリューション3,339136.0ヘルス&セーフティー49,693109.0アグリ&フーズ105,569104.0その他75,77199.4合計393,917105.4 (注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。  ② 受注状況製品のほとんどが見込生産であります。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)デジタル&インダストリー351,094102.9エネルギーソリューション70,918106.5ヘルス&セーフティー246,083106.6アグリ&フーズ174,480107.3その他233,353104.5合計1,075,929105.0 (注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。 (2) 財政状態(資産の部)総資産は、有形固定資産及び棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて274億5千2百万円増加し、1兆2,501億4千9百万円となりました。 (負債の部)負債は、社債及び借入金の減少などにより前連結会計年度末に比べて9億1千9百万円減少し、7,132億9千万円となりました。 (資本の部)資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の積み上げなどにより前連結会計年度末に比べて283億7千2百万円増加し、5,368億5千8百万円となりました。以上の結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の2,140.68円から2,256.72円に増加しております。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の40.0%から41.4%となりました。なお、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度9.7%から9.8%となっております。 (3)キャッシュ・フロー① 資本政策の基本的な考え方当社は、持続的な成長を通じた中長期的な企業価値の向上のため、財務の健全性を維持しながら資本効率性と収益性を意識した財務運営を行っており、2030年度における資本効率性に関する目標水準をROE12%以上、ROEIC8%以上に設定し、目標達成にむけた取組を強化しております。当連結会計年度では、既存事業の収益性改善や運転資本の最適化で営業キャッシュ・フローの最大化に取り組んだほか、投資有価証券や有形固定資産売却などのアセットライトの徹底で、フリー・キャッシュ・フローが大幅に増加しました。今後もより一層、効率性と収益性を重視し、キャッシュ・フローの創出に取り組んでまいります。資金配分の方針については、規律ある投資判断を前提とした成長投資を最優先した上で、業績に見合った安定的な株主還元を行ってまいります。なお、株主に対する利益還元の一層の充実を図る目的として、これまで親会社所有者に帰属する当期利益の30%を配当性向の基準としておりましたが、当連結会計年度の期末配当金から35%へ引き上げをすると同時に累進配当を導入いたしました。 ② キャッシュ・フローの状況(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益及び減価償却費などから法人所得税の支払などを差し引いた結果、前連結会計年度に比べ136億1千1百万円収入が増加し、932億3千6百万円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が減少したこと及び投資有価証券や有形固定資産の売却による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ358億円支出額が減少し、621億6千6百万円の支出となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が減少したことや有利子負債の返済などによる支出が増加したことから、前連結会計年度に比べて420億5千9百万円減少し、273億3千5百万円の支出となりました。 (現金及び現金同等物)当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ56億3千4百万円増加し、706億9百万円となりました。 ③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報中長期的に企業価値を高めていくために必要な成長投資の資金については、事業で創出されるキャッシュ・フローを充当し、不足する分は銀行借入或いは社債発行による負債調達を基本としております。手元資金については、資金効率を重視し事業継続に必要な適正水準を維持する方針としております。なお、資金の機動的かつ安定的な調達に向け、取引銀行3行との間に総額200億円のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。成長投資については、経済活動の停滞が長期化した局面に備えて十分な財務の安全性を維持するため、今後のM&A投資及び設備投資は、事業環境の変化を慎重に見極めながら厳選してまいります。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。翌連結会計年度の事業環境については、インフレや大幅な為替変動に加え、米国関税政策の動向を中心に経済活動における不確実性が世界的に高まるなど、不透明な経済環境が当面の間継続することを仮定しております。その前提に基づき、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要性がある会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。 ① 非金融資産の減損当社グループは決算日において、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としており、資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、 当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ② 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。当社グループは、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用及び計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

※本記事は「エア・ウォーター株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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