ハウス食品グループ本社株式会社の基本情報

会社名ハウス食品グループ本社株式会社
業種食料品
従業員数連6666名 単480名
従業員平均年齢41.8歳
従業員平均勤続年数14.9年
平均年収8280916円
1株当たりの純資産3113.86円
1株当たりの純利益(連結)131.86円
決算時期3月
配当金48円
配当性向50.3%
株価収益率(PER)20.65倍
自己資本利益率(ROE)(連結)4.27%
営業活動によるCF265億円
投資活動によるCF▲122億円
財務活動によるCF▲90億円
研究開発費※147.76億円
設備投資額※1150.3億円
販売費および一般管理費※11000.78億円
株主資本比率※277.6%
有利子負債残高(連結)※3144.08億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは、次の3要素をグループ理念体系と位置づけております。グループ理念体系により、めざす方向性を明確にし、一貫性をもった事業活動による成長を図っております。『創業理念』日本中の家庭が幸福であり、そこにはいつも温かい家庭の味ハウスがある。~幸せな家庭のマーク~『グループ理念』食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。『ハウスの意(こころ)』社是(「誠意・創意・熱意を持とう。」)・ハウス十論で構成 (2)経営環境当社の経営環境は、各国のインフレ進行や金利変動による景気減速のリスク、事業コストの上昇、二極化する消費者嗜好、為替の大幅な変動など、先行き不透明な状況が増幅しました。また人的資本の面では、生産労働人口の減少など外部環境変化に対応すべく、人材の多様性を高めることや、様々な人材が集まることで生じる価値観の違いをシナジーに変換していくことが不可欠となってきております。さらに、気候変動など環境問題も世界規模で取り組むべき大きな課題であり、企業の対応強化が求められております。このような状況下において、当社グループは原材料価格を中心とする事業コストの上昇に対し、一部製品で価格改定を実施するなど足元の環境変化に対応するとともに、将来のあるべき姿を見据え、バックキャスト視点でクオリティ企業への変革を推進しております。 (3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題当社グループは、「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」というグループ理念の考え方となる、一企業市民として果たすべき「お客さまに対して」「社員とその家族に対して」「社会に対して」という「3つの責任」を企業活動の柱としております。2024年4月からスタートした第八次中期計画では、中期計画2個分の第九次中期計画までを見据え、“「食で健康」クオリティ企業への変革<第二章>グローバルなバリューチェーン(以下「VC」)構築で成長をめざす”をスローガンに掲げました。第八次から第九次中期計画までの6か年を成長に向けて礎を築く期間に据え、グローバルにプレゼンスあるクオリティ企業をめざし、バックキャスト視点で「3つの責任」の取組を推進しております。 ①お客様に対する責任当社グループは、「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4つのVCを自ら価値提供する領域と定め、「食で健康」をグローバルにお届けしてまいります。さらに第八次中期計画では、VC経営による成長加速や体制構築、共創による新価値創出に取り組んでおります。スパイス系VCでは、スパイス・カレーを取り扱うグループ各社が共創し、川上から川下までのVC全体で価値創出をめざす「VC統合」と、グローバル市場に視野を拡げた「顧客接点の拡大」を中長期的な戦略ストーリーの軸に据えています。「VC統合」では、川上から川下までを俯瞰した製品設計や調達・生産プロセスの変革に取り組むことで、原材料調達の柔軟性を確保するとともに収益基盤強化や生産性向上をめざしております。そうしたなか、成長領域である国内業務用事業では、ハウス食品グループ東北工場㈱を設立いたしました。当事業を推進するハウスギャバン㈱は、多様化するお客様ニーズに柔軟かつ迅速に対応するためDXも活用しながら製品提案のスピードおよび精度の向上を図っております。同社では、新製法を採用することで多品種変量の生産を実現し、製品開発・営業・生産まで一貫した事業体制を構築してまいります。「顧客接点の拡大」では、事業会社ごとに国内外で展開するカレー事業のマネジメント一本化にハウス食品㈱がチャレンジしてまいります。そうしたなか、日本・中国に次ぐ新たな顧客接点の拡大に向けて取り組むインドネシアカレー事業において、新たに工場建設用地の取得契約を締結するとともに、新生産会社を設立いたします。先行して2016年から展開している業務用事業は、同国における外食市場の拡大やカレーメニューの浸透などを背景に販売が伸長しているほか、2024年より開始した家庭用事業は、現地の嗜好に合った味づくりやルウ調理の簡便性が高く評価されるなど順調に事業が立ち上がっております。機能性素材系VCでは、国内事業の収益構造変革と健康戦略素材(ビタミン・ターメリック・乳酸菌)を軸としたグローバルシフトの推進に取り組んでまいります。国内においては、主要製品の売上拡大と効果的なコスト運用を図ることで収益力の維持・拡大に取り組んでまいります。海外においては、東南アジアにおけるビタミン飲料事業の拡大を進めており、特に既存事業エリアのタイでは、主力製品「C-vitt」のビタミンC配合量を1,000mgへリニューアルしたほか、マルチビタミン市場の創出に向けて新製品「One Day Vitamins」を上市いたしました。また、これに加え新規事業エリアのベトナム・フィリピンでは、ビタミンC飲料市場の開拓を加速してまいります。欧米では乳酸菌BtoB事業の拡大と収益力強化に注力してまいります。大豆系VCでは、中長期視点でPBF市場におけるプレゼンス拡大に取り組む一方、足元の収益性が低下していることから、収益構造改革による収益力の早期回復が喫緊の課題と捉え取り組んでまいります。主にTOFU事業を展開するハウスフーズアメリカ社は、競合他社による価格攻勢と対峙しており、営業提案力の強化による顧客接点の拡大を進めてまいります。一方、主にPBF事業を展開するキーストーンナチュラルホールディングス社は、高価格帯PBF製品を中心とした販売苦戦や製品ミクスの悪化により収益性が低下しています。製品別損益の見える化に基づく選択と集中を進めることで損益構造の立て直しを図ります。加えて両事業を束ねる大豆系VC全体では、生産・物流などのサプライチェーンや固定費の適正化を推進し収益力の早期回復に努めてまいります。なお、ハウスフーズホールディングUSA社を事業持株会社として機能させるべく、2025年1月に米国豆腐事業各社の戦略機能や販売・マーケティング機能を同社に統合するなど米国豆腐事業の組織再編を実施しました。今後は同体制のもと大豆系VCとしての経営基盤を確立してまいります。新規事業の位置づけである付加価値野菜系VCでは、引き続き社外パートナーとビジネスモデル構築に向けて取り組み、新規事業を次世代のグループの成長力へと変換してまいります。 ②社員とその家族に対する責任第八次中期計画のスローガンである「グローバルなVC構築で成長をめざす」を実現するため、高まりつつある多様性を社員とグループの成長に変換していく必要があります。これに加え、多様な人材がより個性を発揮しながら、組織の壁を超えて協働・共創することが求められることから、「ダイバーシティを力に変える」を取組テーマに据え、以下3つの観点から取組を実行しております。 1)多様な個人が集い働きがいを感じられる社内環境整備では、主要事業会社を中心に「役割等級・役割給」を軸とした新人事制度の導入を進めており、当社グループ内の人材流動性を高めると同時に、当社グループ外の労働市場との親和性を高め、キャリア採用の受け入れと活躍を促進する仕組みづくりに取り組んでおります。加えて、多様性を受け入れチャレンジを後押しする組織風土をめざし、組織風土診断結果に基づく改善取組を継続的に実施しております。2)個と組織の活性化では、女性活躍支援を推進することで女性管理職比率を高めるほか、障がい者雇用も法定雇用率を上回る水準としております。加えて、自律的なキャリア開発を可能にする仕組みを浸透させるなど、社員一人ひとりの「経験」と「適性」の多様性を高める多くの施策を進めております。3)グローバルなVC構築を実現するための人材ポートフォリオ構築では、4系列VC毎の事業戦略実現に向けて、人材流動性の確保、VC戦略推進においてキーとなるポジションの要件定義、自律的なキャリア開発促進を軸とした人材の充当、これら取組を支える人材データベースなどのインフラ構築を進めております。 ③社会に対する責任当社は、食に関わる企業として「人と地球の健康」の実現に向け、VC全体で社会課題の解決に取り組んでおります。第八次中期計画では、循環型モデルの構築への取組を加速するべく、「ハウス食品グループ長期環境戦略2050」を策定し、重要課題を「気候変動への対応」、「資源循環社会の実現」に定めております。気候変動への対応では、2050年カーボンニュートラルをめざすなか、Scope1・2では多拠点一括エネルギーネットワークサービスの運用開始やハウス食品㈱福岡工場におけるエネルギー由来のCO2排出量実質ゼロ化を達成するなど再生可能エネルギーの拡充に取り組んでおります。Scope3では、原材料調達時や家庭内調理時のCO2排出量削減に向けた重点テーマを設定し、サプライチェーン全体で排出量削減を図ります。排出量上位4カテゴリー(カテゴリ1:購入した財及びサービス、カテゴリ4:上流の輸送及び流通、カテゴリ11:販売した製品の使用、カテゴリ14:フランチャイズ)は、資材サプライヤーのみなさまと連携し、CO2排出量の見える化や製品ごとのCO2排出量算定(カーボンフットプリント)に取り組むなど、削減効果の見える化を進めてまいりました。今後は具体的テーマに落とし込み、第八次中期計画では5,000トンのCO2排出量削減をめざしてまいります。資源循環社会の実現では、廃棄物を「減らす」だけでなく、「活かす」「戻す」の方向も含め限りある資源を有効活用してまいります。廃棄物・副産物においては、当社グループ内で発酵と堆肥化させ活用する「自社内資源循環」の取組を推進するほか、社外パートナーの技術活用の検討を進めております。また、食品メーカーとして影響が大きいプラスチックゴミの削減にも取り組んでおり、ハウス食品㈱が手掛ける家庭用製品においてバイオプラスチックを活用するほか、製品サイズ変更によるプラスチック使用量の削減などを推進しております。加えて、水枯渇リスク地域を中心に、生産拠点での水の効率的な使用に努め、節水に配慮した設備の導入や、各国の法律や地域の仕組みに準じ、きれいな状態にして自然環境に戻す取組にも注力してまいります。④財務資本政策(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて)第八次中期計画では、資本コスト(当社方針6%)や株価を意識した経営を推進するべく、ROICマネジメントの導入、資源配分の明確化、株主のみなさまとの価値共有を高める仕掛けに取り組んでまいります。 ・ROICマネジメントの導入当社グループは、グループ理念の実現に向けて様々なステークホルダーとつながり「3つの責任」を果たしていきたいという想いを財務資本政策にも反映させており、マルチステークホルダーの観点から、「あるべきプロポーション」として「5つの経営指標」(ATO、ROS、ROA、自己資本比率、ROE)を掲げています。第八次中期計画では、あるべきプロ―ションの実現に向けてこれまで以上にB/S志向の取組を強化していくことや、資本コストをより意識した経営を推進していくためにROICマネジメントを導入しております。ROICは、「事業ROIC」と「事業性資本割合」に分解し、その双方を改善することで当社グループ全体の投下資本に対する収益性の向上をめざしてまいります。「事業ROIC」の課題は、コア事業の資本収益性の向上にあることから、限界利益、稼働率、設備効率の視点で資本収益性改善に取り組んでまいります。これに加え、事業及び投資計画精度・モニタリングの強化、設備効率視点の追加、資本コストを上回るハードルレートの設定等、従来の投資判断基準を見直すことで新規投資の収益性及び生産効率の改善にも取り組んでまいります。「事業性資本割合」の改善に向けては、非事業性資産の縮減に取り組んでおり、特に政策保有株式は第八次中期計画3か年において150億円の縮減を進めてまいります。 ・資源配分の明確化第八次中期計画では、営業キャッシュ・フローに加えて新たな資金調達方法を活用し、VC構築に向けて積極投資を継続するほか、資本コストを意識した経営を推進するべく、政策保有株式の縮減など資本効率を高めるとともにその原資を株主還元に充当いたします。事業投資は、4系列VCの成長領域へ500億円、既存領域へ150億円、デジタル変革・環境領域へ50億円の、総額700億円を計画しております。株主還元は、当連結会計年度より利益配分の基本方針を「総還元性向40%以上」「安定配当として年間配当金額1株当たり46円以上を継続的に配当」に変更しております。特に、第八次中期計画3か年においては、政策保有株式の縮減を原資とした自己株式取得による株主還元を進めることから、総還元性向50%以上をめざしてまいります。 [ご参考]経営指標推移投資領域2025年3月期第八次中期計画最終年度目標ROIC4.5%6.0%以上事業ROIC5.4%6.7%事業性資本割合83.7%90.0%超ATO0.73回0.83回ROS6.3%7.5%EBITDAマージン10.8%11.4%ROA4.6%6.2%ROE4.3%7.0% [ご参考]政策保有株式の縮減および自己株式の取得状況投資領域2025年3月期第八次中期計画最終年度目標政策保有株式の縮減額55億円150億円自己株式の取得金額60億円150億円 [ご参考]事業投資目標・実績投資領域2025年3月期第八次中期計画最終年度目標成長領域49億円500億円既存領域42億円150億円DX・環境領域14億円50億円合計105億円700億円 ⑤コーポレート・ガバナンスの強化当社グループは、内部統制システムをコーポレート・ガバナンス体制の充実と企業理念・経営目標の実現・達成のための仕組みととらえ、企業価値のさらなる向上と持続的な発展をめざし、グループ経営の視点でリスクマネジメント、コンプライアンスを含めたガバナンス体制の構築と運用の強化を図っております。当社は、監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を有することにより、監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることを目的としております。監査等委員会は、監査等委員である取締役5名(うち、社外取締役4名)で構成され、取締役の職務の執行および取締役会の決議の適法性、妥当性の監査・監督を行っております。取締役会は、取締役12名(うち、社外取締役4名)で構成され、当社グループの重要な業務執行を決定するとともに、他の取締役およびグループ会社の業務執行を監視・監督しております。なお、取締役会の運営強化と実効性向上を目的として、全取締役へのアンケート形式による取締役会実効性評価を実施しております。取締役会の任意の諮問機関として、委員の過半数を独立した社外取締役で構成し、独立社外取締役を委員長とする指名諮問委員会および報酬諮問委員会を設置し、取締役の選任・解任、報酬決定の手続きにおいて、客観性と透明性を確保しております。また、経営会議の諮問機関である投資委員会は、4系列VCの構築に欠かせない資本提携を目的とした合併や買収等において、成長投資資源をより有効に活用するために案件起案時の審議フェーズと、投資実行後のモニタリングフェーズの両面でチェック機能の役割を果たし、企業価値向上につなげております。取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬等に係る制度および取締役の報酬等の額については、2024年6月25日開催の定時株主総会における承認を経て、業務執行取締役の報酬構成比率(報酬総額に占める各報酬額水準の割合)の見直しを行いました。業績連動部分の割合を高めることで、短期および中長期の目標達成に向けた動機づけを強化しております。また、譲渡制限付株式報酬については、その比率を高めることに加え、新たに業績達成条件を付すことにより、中期計画達成の意欲を喚起すると同時に、株主のみなさまをはじめとしたステークホルダーのみなさまとの一層の価値共有を図ってまいります。 [ご参考]取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬構成概要報酬の種類報酬に占める割合業績連動月例報酬(固定報酬)60%-短期インセンティブ単年度業績連動報酬会社業績評価25%対象個人業績評価中長期インセンティブ事前交付型譲渡制限付株式報酬10%-業績連動型譲渡制限付株式報酬5%対象(注)1.監査等委員である取締役の報酬は固定報酬のみとしております。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 (1)経営成績当社グループは、2024年4月よりスタートした第八次中期計画において、“「食で健康」クオリティ企業への変革<第二章>グローバルなバリューチェーン(以下「VC」)構築による成長” をテーマに掲げ、グローバルにVC体制を構築し、将来に向け持続的に成長できる礎を築くと同時に、資本コストを意識した経営に向けてROIC(投下資本利益率)を新たな経営指標として導入するなど、企業価値向上に向けた取組を進めております。こうしたなか当連結会計年度の経営環境は、各国のインフレ進行や金利変動による景気減速のリスク、事業コストの上昇、二極化する消費者嗜好、為替の大幅な変動など、先行き不透明な状況が増幅しました。当連結会計年度は香辛・調味加工食品事業が前期価格改定の残存効果やコストダウンの取組により全体をけん引したことで営業利益・経常利益ベースでは増収増益を確保いたしましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した退職給付制度改定益の反動や、第4四半期連結会計期間に計上したキーストーンナチュラルホールディングス社ののれんに関する減損損失により減益となりました。 これらの結果、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。 2025年3月期金額(百万円)前期比(%)売上高315,418105.3営業利益20,004102.7経常利益21,388101.4親会社株主に帰属する当期純利益12,49371.1 当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。 2024年3月期2025年3月期ROIC(投下資本利益率)4.6%4.5%ATO(総資産回転率)0.72回0.73回ROS(売上高営業利益率)6.5%6.3%ROA(総資産営業利益率)4.7%4.6%ROE(自己資本当期純利益率)6.2%4.3%  セグメント別の経営成績の概況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりであります。事業の種類別セグメント売上高営業利益(セグメント利益又は損失(△))金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)香辛・調味加工食品事業131,402104.112,816118.3健康食品事業17,043101.12,43798.9海外食品事業62,407110.73,04499.2外食事業60,986110.63,604106.2その他食品関連事業54,40598.81,23564.0小計326,242105.323,136106.7調整(消去)△10,824-△3,132-合計315,418105.320,004102.7(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。 <香辛・調味加工食品事業>ハウス食品㈱を中心とする当事業セグメントの家庭用事業は、前期、前々期と二度行った価格改定後の販売数量の回復に努めるとともに、コストダウンテーマの推進による持続的な収益力強化に取り組みました。売上高は、スナックが物流効率改善のため価格改定を行うも販売面で苦戦しましたが、ルウカレー、レトルトカレーを中心に堅調に推移し増収となりました。ハウスギャバン㈱が推進する業務用事業に関しても大手外食向けを中心に売上が拡大したことから、事業セグメントとして原材料価格の上昇を増収効果と価格改定効果で吸収し、増収増益となりました。以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は1,314億2百万円、前期比4.1%の増収、営業利益は128億16百万円、前期比18.3%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は9.8%となり、前期より1.2pt向上いたしました。 <健康食品事業>当事業セグメントを担うハウスウェルネスフーズ㈱は、国内事業の更なる収益基盤強化とグローバルでの機能性素材系バリューチェーンの構築に取り組んでおります。ビタミン事業は「1日分のビタミンゼリー」の販売が国内ゼリー市場の競争激化もあり前期並みで推移した一方、「C1000」の販売がプロモーションの強化や第4四半期連結会計期間に発売したバラエティ品の貢献により売上が拡大した結果、当事業セグメントは増収となり、原材料価格の上昇はあったものの前期並みの営業利益を確保しました。以上の結果、健康食品事業の売上高は170億43百万円、前期比1.1%の増収、営業利益は24億37百万円、前期比1.1%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は14.3%となり、前期より0.3pt減少いたしました。 <海外食品事業> 連結対象期間:主として2024年1月~12月当事業セグメントは、主要3エリア(米国・中国・タイ)の持続的成長に向けた基盤強化および課題解決に取り組んでおります。米国の豆腐事業は、ハウスフーズアメリカ社の販売がチャネル別営業施策により伸長したものの、キーストーンナチュラルホールディングス社の販売苦戦に伴う収益性低下をカバーするには至らず、増収減益となりました。中国のカレー事業は、家庭用事業がコロナ禍の影響で膨らんだ社内在庫・流通在庫の適正化に注力したことにより、減収減益となりました。なお、下期より流通チャネルの変化に対応した配荷型の営業戦略へ転換し、業績は回復傾向にあります。業務用事業は外食を中心に新規顧客開拓が進み増収増益となりました。以上により、中国カレー事業全体では減収減益となりましたが、日本円換算では為替影響により増収減益となりました。東南アジアで展開する機能性飲料事業は、タイ国内のビタミン飲料市場の再構築に取り組み、主力製品「C-vitt」の販売が回復したことから増収増益となりました。なお、下期は「C-vitt」のビタミンC配合量の増量および新フレーバーの発売、マルチビタミン領域の新製品発売など、今後の市場活性化に向けた製品施策の展開に注力しております。以上の結果、海外食品事業の売上高は624億7百万円、前期比10.7%の増収、営業利益は30億44百万円、前期比0.8%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は4.9%となり、前期より0.6pt減少いたしました。<外食事業> 連結対象期間:㈱壱番屋は2024年3月~2025年2月、海外子会社は2024年1月~12月当事業セグメントは、国内既存事業の収益力強化、海外事業の拡大、新業態の育成に取り組んでおります。売上高は、㈱壱番屋が推進する国内事業において各種営業施策に加え、8月に価格改定を実施したことなどから増収となりました。利益面は、米をはじめとする食材の価格高騰や人件費、物流費など本部販管費が増加したものの、価格改定効果により吸収して増益を確保しました。以上の結果、外食事業の売上高は609億86百万円、前期比10.6%の増収、営業利益は36億4百万円、前期比6.2%の増益となりました。結果、売上高営業利益率は5.9%となり、前期より0.2pt減少いたしました。 <その他食品関連事業>㈱デリカシェフは、総菜・デザートの販売が減少する一方で労務費などの増加により大幅な減収減益となり、赤字に転落しております。㈱ヴォークス・トレーディングは、当上期に発生した一部商材のコスト増加影響が大きく減収減益となりました。以上の結果、その他食品関連事業の売上高は544億5百万円、前期比1.2%の減収、営業利益は12億35百万円、前期比36.0%の減益となりました。結果、売上高営業利益率は2.3%となり、前期より1.2pt減少いたしました。  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)香辛・調味加工食品事業114,705106.4健康食品事業16,618104.1海外食品事業43,736110.7外食事業14,702104.7その他食品関連事業21,26098.4合計211,021106.1(注)1.金額は販売価格により算出しております。 ② 受注状況主要製品の受注生産は行っておりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)香辛・調味加工食品事業131,402104.1健康食品事業17,043101.1海外食品事業62,407110.7外食事業60,986110.6その他食品関連事業54,40598.8小計326,242105.3調整(消去)△10,824-合計315,418105.3(注)1.調整(消去)の内容は、セグメントに配分していない損益およびセグメント間取引に係る相殺消去であります。2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)加藤産業㈱34,78811.636,29311.5三菱食品㈱17,1235.717,4445.5 (2)財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて32億38百万円増加し4,350億74百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて185億94百万円増加し1,898億2百万円、固定資産は、前連結会計年度末に比べて153億56百万円減少し2,452億72百万円となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が167億21百万円、商品及び製品が11億36百万円増加したことなどによるものです。固定資産の減少の主な要因は、建設仮勘定が29億70百万円、退職給付に係る資産が15億57百万円増加した一方で、投資有価証券が173億46百万円、のれんが55億62百万円減少したことなどによるものです。当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて19億69百万円増加し1,121億96百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて26億57百万円減少し631億21百万円、固定負債は、前連結会計年度末に比べて46億26百万円増加し490億75百万円となりました。流動負債の減少の主な要因は、未払金が19億10百万円減少したことなどによるものです。固定負債の増加の主な要因は、繰延税金負債が28億97百万円減少した一方で、長期借入金が63億56百万円増加したことなどによるものです。当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金が減少したほか、「信託型社員持株インセンティブ・プラン(E-ShipR)」の導入に伴う自己株式の取得により自己株式が増加した一方で、為替換算調整勘定が増加したことや、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末と比べて12億69百万円増加の3,228億78百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.7%から67.3%となり、1株当たり純資産が3,016円19銭から3,113円86銭となりました。なお、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、前連結会計年度については、取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額を使用しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。 (3)キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー265億68百万円に対し、「有形固定資産の取得」「定期預金の預入」などの投資活動によるキャッシュ・フロー△122億81百万円、「自己株式の取得」「配当金の支払」などの財務活動によるキャッシュ・フロー△90億60百万円を減じました結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は883億57百万円となり、期首残高より81億92百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の増加は265億68百万円(前期比+9億97百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益201億98百万円、減価償却費129億40百万円などによるものであります。また、前連結会計年度に比べての増加は、売上債権の増減額の減少(前期比+40億51百万円)、税金等調整前当期純利益の減少(前期比△70億78百万円)、投資有価証券売却損益の増加(前期比△20億9百万円)、退職給付制度改定益の減少(前期比+69億88百万円)などが要因であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の減少は122億81百万円(前期比△99億83百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出131億56百万円によるものであります。また、前連結会計年度に比べての減少は、定期預金の預入による支出の増加(前期比△65億86百万円)、有価証券の取得による支出の増加(前期比△37億2百万円)などが要因であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の減少は90億60百万円(前期比△16億78百万円)となりました。これは主に自己株式の取得による支出80億89百万円、配当金の支払額45億95百万円、長期借入れによる収入66億57百万円などによるものであります。また、前連結会計年度に比べての減少は、自己株式の取得による支出の増加(前期比△60億87百万円)、短期借入金の純増減額の減少(前期比△17億52百万円)、長期借入れによる収入の増加(前期比+66億57百万円)などが要因であります。 (4)資本の財源及び資金の流動性について(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、財務体質の健全性の維持と資金効率の向上を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に配分することを財務戦略の基本方針としております。財務体質の健全性の維持に関しては、「シングルA(安定的)」以上の信用格付の取得・維持を目指し、信用力及び透明性の向上を図ります。資金効率の向上に関しては、当社及び国内子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、国内子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。企業価値向上に関しては、第八次中期計画では、営業キャッシュ・フローに加えて新たな資金調達方法を活用し、VC構築に向けて積極投資を継続する他、資本コストを意識した経営を推進するべく、政策保有株式の縮減など資本効率を高めるとともにその原資を株主還元に充当いたします。事業投資は、4系列VCの成長領域へ500億円、既存領域へ150億円、デジタル変革・環境領域へ50億円の、総額700億円を計画しております。株主還元は、当連結会計年度より利益配分の基本方針を「総還元性向40%以上」「安定配当として年間配当金額1株当たり46円以上を継続的に配当」に変更しております。特に、第八次中期計画3か年においては、政策保有株式150億円の縮減(2024年3月期比30%縮減)を原資とした自己株式取得による株主還元を進めることから、総還元性向50%以上を目指してまいります。なお、各国のインフレ進行や金利変動による景気減速のリスク、事業コストの上昇、二極化する消費者嗜好、為替の大幅な変動など、先行き不透明な状況が増幅しております。また人的資本の面では、生産労働人口の減少など外部環境変化に対応すべく、人材の多様性を高めることや、様々な人材が集まることで生じる価値観の違いをシナジーに変換していくことが不可欠となってきております。さらに、気候変動など環境問題も世界規模で取り組むべき大きな課題であり、企業の対応強化が求められております。このような状況下で、当社グループは原材料価格を中心とした事業コストの上昇に対し、一部製品で価格改定を実施するなど足元の環境変化に対応するとともに、将来のあるべき姿を見据え、バックキャスト視点でクオリティ企業への変革を推進しております。食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすため、今後も当社グループの企業価値向上に努めてまいります。 (経営資源の配分に関する考え方)当社グループは、適正な手元資金の水準について、事業上の資金を回収するまでの運転資金調達期間の観点と不測の事態に対応できる安全資産の額の観点から検証し、適正な水準として売上高の2.0か月分を設定しております。適正な水準を超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上のために既存領域での生産性向上による収益力強化と国内外の成長事業領域への経営資源の重点配分に取り組んでまいります。 (資金需要の主な内容)当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などがあります。投資活動に係る資金支出では、香辛・調味加工食品事業において、業務用レトルト食品新工場の建設(ハウス食品グループ東北工場㈱)や工場増築(ハウスギャバン㈱)などがあり、海外食品事業において、堅調な豆腐需要に応えるための工場生産設備更新(ハウスフーズアメリカ社)などがあります。また、持続的な成長の実現のため、既存領域だけでなく、4系列バリューチェーンによる成長実現を目指し、成長領域や新規領域についても、投資を行ってまいります。 (資金調達)当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローを内部的な資金の源泉と考えており、設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金や社債の発行等により充当することとしております。 (5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

※本記事は「ハウス食品グループ本社株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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