キオクシアホールディングス株式会社の基本情報

会社名キオクシアホールディングス株式会社
業種電気機器
従業員数連15042名 単127名
従業員平均年齢46.5歳
従業員平均勤続年数14.5年
平均年収11485500円
1株当たりの純資産(単体)1568.12円
1株当たりの純利益(連結)519.96円
決算時期3月
配当金0円
配当性向0%
株価収益率(PER)
自己資本利益率(ROE)(単体)0.1%
営業活動によるCF4764億円
投資活動によるCF▲1730億円
財務活動によるCF▲3226億円
研究開発費※11328億円
設備投資額※12256億円
販売費および一般管理費※1-円
株主資本比率※272.3%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】  文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。なお、本書で記載する市場データは外部の調査会社の調査に基づくものであり、当社では正確性を独自に検証しておらず、現在及び将来における実際の市場の規模・状況と大きく異なる可能性があります。 (1)経営の基本方針 当社グループは、「『記憶』で世界をおもしろくする。『記憶』の可能性を追求し、新しい価値を創り出すことで、これまでにない体験や経験を生み出し、世界を変えていく。」とのミッションのもと「『記憶』の技術をコアとして、一人ひとりの新たな未来を実現できる製品やサービス、仕組みを提供する。」というビジョンを掲げ、「メモリ技術」で新しい時代を切り拓き、世界を変えていくことを目指しています。 ミッション・ビジョンを実現するために、従業員一人ひとりが取り込んでいく価値観を以下の行動方針としてまとめています。・ 一人ひとりが夢を持ち、語ることができる・ 制約を設けず、可能性を追求する・ 柔軟な発想で自ら考え、行動する・ 多様な価値観を尊重し、協力し合う・ 常に誠実さと、透明性をもって行動する (2)経営環境及び経営方針 世界中に広がるデータエコノミーの波の中で、人々が扱うデジタルデータの総量は増加の一途を辿っており、これまで、日々増加するデジタルデータの処理のために、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット端末、PC等においてフラッシュメモリが使用されてきました。今後も、AIの発展を筆頭にクラウド、5G、IoT等の普及により、世界における生成データ量は増加していくと言われております。当社は、オートモーティブ、エンターテインメント、ロボティクス、医療・ヘルスケア、インダストリーなど様々なシーンでメモリが果たす役割が重要になると考え、フラッシュメモリの利用も伸長すると見込んでおります。 また、フラッシュメモリの技術革新とそれによる記憶容量の増大は、様々なフラッシュメモリのアプリケーションへの採用と新しいマーケットの創出を牽引してきました。さらに、データ量の増加とフラッシュメモリの技術革新によって、HDDから、読み出し性能、衝撃・振動等の耐環境性、静寂性及び待機時の省消費電力性等により優れるSSDへの置き換えも進んでいます。データ量の増加とフラッシュメモリの技術革新の好循環によって、フラッシュメモリ市場は成長を続けるものと当社は考えております。 近年は、AI活用の普及やクラウドコンピューティング等ビッグデータビジネスの進展により、データセンター、エンタープライズ向けフラッシュメモリ需要の拡大傾向に加え、スマートフォン及びノートPC搭載メモリも大容量化傾向にあります。アプリケーション別では、SSD & ストレージ向けメモリ及びスマートデバイス向けメモリのそれぞれについて、記憶容量ベースでの市場規模は拡大傾向にあり、今後も記憶容量ベースでの市場規模の拡大傾向を当社は見込んでいます。 新型コロナウイルス感染拡大時においては、在宅勤務や在宅学習への移行によりスマートフォンやPCの需要が急増しましたが、今後はこれらの買替えサイクルが到来することが予想されます。また、かかる買替え需要においては、AI搭載製品の比率が高まると予想されており、これはフラッシュメモリの需要増加にさらにつながる可能性があります。また、生成AIが生成したデータは自動的にデバイスに保存されることとなるため、その結果、必要な1個当たりメモリ容量が増加することとなり、大容量のAI搭載製品がさらに普及することが予想されます。 さらに、データセンターからのフラッシュメモリ需要も、AIサーバーを中心に拡大すると予想されています。従来のサーバーとは異なり、AIサーバーには、電力効率が高く、高速なデータ転送ができるストレージが求められるところ、SSDは、DRAM及びHDDと比較して、性能、消費電力及びコストの面でバランスが良いことから、AIサーバーに不可欠なものとなると当社は考えています。 さらに、データセンター向けフラッシュメモリ需要は、AI学習サーバー及びAI推論サーバー向けフラッシュメモリ需要の増加により加速しており、今後もAI推論サーバーを中心に成長することが見込まれます。 他方で、フラッシュメモリ製造事業者においては競合他社が大容量化を推し進め供給を増やすことが予想され、価格競争が見込まれることから、単位記憶容量あたりの販売価格は一定レベルで継続的に下落していく傾向が見込まれます。また、SSDはフラッシュメモリを主記憶デバイスとして使っている製品であるため、今後もフラッシュメモリの価格に連動してSSDの単位記憶容量あたりの販売価格も下落していく傾向が見込まれると当社は考えております。 加えて、フラッシュメモリ市場は、一般に、急速な技術革新と生産性の向上、顧客からの需要の変動と継続的な価格下落圧力、競合他社との市場シェア獲得競争等により、需給の循環的変動傾向が顕著であり、周期的に市況の改善と悪化が繰り返されていると考えております。 当社グループとしては、このようなマーケット環境において、当社グループの強みと考える高成長市場にアクセス可能な幅広い製品ポートフォリオをもって、規模が大きく高成長が見込めるエンドマーケットにて、これらのアプリケーションにおける各主要顧客との強固な関係構築を継続してまいります。また、業界をリードする技術競争力を有するフラッシュメモリ業界におけるテクノロジーリーダーとして、市場リーダーの求める製品の開発を推進するとともに、世界最大級(注)のフラッシュメモリ工場を活用し、生産規模及び生産効率を最大化することで高いコスト競争力を実現してまいります。(注) TechInsights Inc.“NAND Market Report Q2 2025”による。2024年4月から2025年3月におけるビット生産量ベース(Sandiskグループの生産量を含む。) 足元の世界経済は、先進国においては一部において物価上昇が頭打ちを示していますが、労働市場と個人消費が引き続き堅調であることから、主要国の高金利政策が続いています。新興国の多くにおいては製造業の回復が見られる一方で、不動産市場低迷の影響から個人消費は弱含んでいます。また、米国政府による各種関税など、地政学リスクは引き続き高い状況にあり、これらの要因により世界経済における不透明な見通しが続いています。 フラッシュメモリ市場においては、2022年後半から継続した需要低迷に伴い、顧客の在庫水準が上昇し、需給バランスが急激に悪化し、販売価格の大幅な下落を招きました。2023年後半からフラッシュメモリ製造業者各社の減産及び投資抑制が効果を表し始め、また顧客における在庫水準が適正化に向かったため、需給バランスの改善と販売価格が上昇しましたが、足元のフラッシュメモリ市場は、PC・スマートフォン顧客の在庫調整等により、価格や物量の下落が発生しています。アプリケーション別では、SSD & ストレージにつきましては、PC向け需要は回復が弱含みましたが、データセンター・エンタープライズSSDの需要は、AI需要により堅調に伸長しました。中期的にもAI用途での大容量のSSDの伸長が見込まれています。スマートデバイスにつきましては、スマートフォン向け需要は足元では軟調も、今後はオンデバイスAIの普及や顧客在庫の正常化による、需要回復も期待されます。 このような経営環境において、当社グループは、次の経営方針・経営戦略によりビジョンを実現していきます。 [SSD & ストレージ] SSDは高成長が期待されるアプリケーションですが、その中でもクラウドサービスの普及に伴うデータセンター向けの需要や、エンタープライズ向けストレージ機器の組み込み容量の増加等を受けて、データセンター・エンタープライズSSD市場について成長が見込まれると当社は考えております。 データセンターからのフラッシュメモリ需要は、今後AIサーバーを中心に拡大すると予想されており、AIサーバーの増加に伴い、より大きな記憶容量のSSDの需要が喚起されると考えられます。 かかる市場環境を踏まえ、当社グループは、中期的には大手データセンター、エンタープライズ顧客向けを中心としたデータセンター、エンタープライズSSDのより高いシェアの確保に取り組み、長期的にはSSD市場におけるより高いシェアの獲得を目指します。具体的には、2023年8月にエンタープライズ・データセンター向けPCIeR 5.0対応NVMe? SSDのサンプル出荷、また2023年12月には当社最新SSDがPCIeR 5.0とNVMe? 2.0の認証を取得するなど、最新のインターフェースに対応した製品を早期に市場投入しており、それを起点として、CBA(CMOS directly Bonded to Array)とOPS(On Pitch SGD)技術を適用した第8世代BiCS FLASH?の市場投入等により、今後拡大する市場においてシェア拡大を目指します。 さらに、一般消費者向け市場をターゲットとするSSDであるクライアントSSD(PC、ラップトップ、タブレットコンピュータ等の一般消費者向け市場をターゲットとするSSD)についても、当社は成長が見込まれると考えております。 クライアントSSDについては、2020年7月に台湾・LITE-ONテクノロジー社から買収したSolid State Storage Technology Corporationの開発リソースと当社開発リソースを融合し、技術力の強化と開発の効率化によって、お客様の要求にタイムリーに応えていきます。 さらに、急速に普及しているAIの活用に伴い、大規模言語モデルの開発、学習、推論用途でデータセンター、エンタープライズ向け大容量ストレージの需要の高まり、AIを搭載したエッジデバイスの登場によるクライアントSSD市場の更なる拡大も期待されております。当社グループはこのような新たな市場の変化を逃すことなく、業界主要企業との関係性構築に努めながら、新たな需要の喚起、創出、販売の拡大を目指します。 [スマートデバイス] スマートフォン市場は依然として規模が大きく、成長しているアプリケーションであり、当社グループにとって引き続き重要なマーケットとなっています。今後、スマートフォン出荷台数については、これまでと同様の伸長は期待できないと考えられるものの、スマートフォン1台当たりのフラッシュメモリ搭載量は成長を続けると予想され、スマートフォン向けのフラッシュメモリの需要を牽引していくと見込んでおります。 スマートフォン市場において、当社グループは、これまで培ってきた技術力、生産能力、生産性等に基づき、グローバルな主要企業と強固な関係性を長年に亘って構築しており、当該顧客のみが有する最先端のテクノロジーニーズに対応した信頼性の高い高品質な製品やサポートを提供しております。当社グループのかかる強みを活かして、記憶容量ベースでの市場拡大に合わせて、「BiCS FLASH?」の大容量化・積層化・量産化を推進することで、今後もスマートフォン市場におけるシェアを維持してまいります。 [生産・販売] 当社グループが製造合弁契約を締結しているSandiskグループと合わせたフラッシュメモリのビット生産量は世界最大級となる29%(注)のシェアを有しております。さらに、拡大するフラッシュメモリ市場に対応すべく、四日市工場及び北上工場の生産能力の強化により、更なる出荷量の拡大を図ります。また、フラッシュメモリの製造は、材料となるシリコンウエハー上に微細な集積回路を作りこむため、工程は数百に及び、製造プロセスの効率化が重要になります。当社グループは、製造過程におけるAIの活用や、四日市工場において製造棟間を繋ぐ棟間搬送を駆使し、製造棟全体の設備の稼働率を高めることで生産性を向上させる総合生産体制を採用することにより、各工場の知見とデータを相互に活用することで、高い生産効率の実現を図っていきます。今後も継続して生産効率の向上を図り、フラッシュメモリ市場の需要成長に見合う出荷量成長率(メモリ容量単位の前年比成長率)を維持することを目指しております。また、設備投資についても引き続き規律あるアプローチを採用した上で、投資の効率化を図ります。加えて、ギガバイト当たりのコストの削減も図ってまいります。 販売に関しては、海外現地法人リソースを充当するとともに、効率的な顧客管理(CRM)等、顧客のニーズに対応した販売インフラの拡充を進めます。(注) TechInsights Inc.“NAND Market Report Q2 2025”による。2024年4月から2025年3月におけるビット生産量ベース(Sandiskグループの生産量を含む。) [研究開発] データ処理量の増大に伴い、フラッシュメモリに代表される不揮発性半導体メモリについても、特にSSD用途において高速動作が要求される傾向にあります。当社グループは、フラッシュメモリ業界のパイオニアとして1987年に世界初のNAND型フラッシュメモリを発明し、1991年には世界で初めてNAND型フラッシュメモリを量産しました(注1)。また、2024年には当社グループのSSDが、国際宇宙ステーション(ISS)での科学実験を行うサーバーのストレージに使われました。本書提出日時点では、CBA技術・OPS技術や218層積層プロセスを用いた第8世代BiCS FLASH?を製品化するなど、コスト効率を高めながらメモリ容量を拡大する技術革新を行ってきました。直近2連結会計年度における当社グループの売上収益に占める研究開発費並びに販売費及び一般管理費(注2)の割合(平均)はそれぞれ10.4%及び5.5%(合計15.9%)であり、他社の公表情報も踏まえれば同業他社と比べて売上収益に比して低い水準に留めていると認識しており、コスト管理に対して規律あるアプローチを維持しています。 更なる技術革新に向けて、2023年6月に横浜市内に新たな研究・技術開発施設の稼働を開始しました。これにより分散していた技術開発機能を集結し、フラッシュメモリ、SSDの研究開発の効率性を高めます。また、2024年4月に先端技術研究所を新設し、AI技術の基礎研究からその応用、また次世代メモリ等の研究開発、新規事業につながる技術創出を強化していきます。 当社グループは今後も技術力を武器に、大容量、低コスト、高性能化による市場競争力のあるフラッシュメモリの開発を進めるとともに、信頼性、安定性も備えた、フラッシュメモリ新製品に代わる次世代メモリの開発も進めていきます。そして、これら将来のビジネスに必要な研究開発投資を積極的に行います。(注)1.上記における発明、開発、量産及びサンプル出荷に関する記述については、それぞれ出願又は発表時点における当社グループ調べによります。2.販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費を控除し、PPA影響額を調整したものです。 [財務施策] 当社グループは、中長期的に、想定されるフラッシュメモリ市場の需要成長に見合う出荷量成長率(記憶容量ベース)を維持すること、メモリ製品の販売価格が過去と同程度の下落傾向となること、及び当社グループが過去と同程度のギガバイト当たりのコストの削減を実現することを前提に、フラッシュメモリ市場の周期的市況におけるトレンドとして、高いNon-GAAP営業利益率(Non-GAAP数値については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で定義される「Non-GAAP指標」をご参照ください。)を実現していくことを目指しております。 また、当社グループは、当連結会計年度末において、1兆990億円の有利子負債(IFRSにおいて負債と認識される社債型優先株式を含みます。)に対し、1,679億円の現預金を有しており、ネット有利子負債は9,310億円となります。当社グループは、事業活動等により生じるフリー・キャッシュ・フローを将来の成長資金として使用すると共に有利子負債の返済に充当し、財務体質を改善し、中長期的にはネット・キャッシュ(有利子負債の額を現預金の額が上回る状況)を目指します。 なお、当社のネット有利子負債/Non-GAAP EBITDA(注)(倍)の過去の推移は以下のとおりです。2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期1.383.5114.151.22(注)Non-GAAP EBITDAは、営業利益(△損失)に減価償却費及び償却費を加算し、不純物を含む部材を起因とする操業影響額を調整したものです。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 拡大する市場についての対応 中期的なフラッシュメモリ市場は引き続き拡大が見込まれており、当社は競争力のある第8世代BiCS FLASH?の早期立ち上げ、市場要求に合った新製品の投入、特に市場伸長が見込まれるデータセンター・エンタープライズSSDの新製品の投入により、市場伸長に合わせた成長率を目指します。また、クライアントSSD市場で拡大が見込まれる4ビット/セル(QLC)製品の開発及び市場展開を進めます。さらに、急速に普及しているAIの活用に伴い、大規模言語モデルの開発、学習、推論用途でデータセンター、エンタープライズ向け大容量ストレージの需要の高まり、AIを搭載したエッジデバイスの登場も期待されており、当社グループはこのような新たな市場の変化を逃すことなく、業界主要企業との関係構築に努めながら、新たな需要の喚起、新規創出によるビジネス拡大を積極的に推進します。 ② 開発競争力の強化 3次元フラッシュメモリは高積層化に伴い開発難易度が高まり、競争は激化しています。その中でコストや性能における競争力を維持していく技術開発が重要と考えています。CBA技術等を生かし、高ビット密度化、高速インターフェース向けの技術開発を推進し、最先端の規格や市場要求に対応していきます。新メモリの研究開発や、BiCS FLASH?応用製品の開発、新材料やAI、システム技術の研究にも積極的に取り組みます。これらの研究開発を強化するため、2023年6月に横浜市内に新たな研究・技術開発施設の稼働を開始しました。神奈川県内に分散していた機能を集結し、研究開発の効率性を高めます。2024年4月に先端技術研究所を新設し、次世代メモリ等の研究開発、新規事業につながる技術創出を強化していきます。 ③ 財務健全性の確保 引き続き財務の健全性を高めてまいります。資本構成の最適化並びにより有利な条件の実現及び財務コストの削減に取り組み、全体的な財務の安定性を高めていきます。また、強固な財務指標を維持し、財務管理を慎重に行うことにより、信用力の向上に努めます。 財務健全性の確保のため、弾力的なキャッシュ・フローの創出に注力します。具体的には、現在の投資効率を維持しつつ、設備投資については政府からの補助金も活用しながら引き続き規律あるアプローチを採用した上で、在庫管理のベストプラクティスを導入し、需要と供給のバランスの維持を図ります。 ④ 生産能力拡大及び地政学リスクへの対応 拡大するフラッシュメモリ市場に対応し、需要に沿った生産能力の拡大を図ります。今後、適切なタイミングで北上工場の拡張を行います。また、競争力のある最先端のBiCS FLASH?製品を市場に投入することでコスト競争力を維持しながら、投資効率を改善し、設備投資額の最適化を行います。後工程拠点は、米中対立や台湾有事等の地政学リスクを見据えた後工程拠点計画を推進し、リスク低減を図ります。2024年2月には、キオクシア四日市工場及びキオクシア北上工場における第8世代及び第9世代BiCS FLASH?を生産する設備投資計画が、経済産業大臣により、「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律」に基づく「特定半導体生産施設整備等計画」に認定(注)されました。半導体は情報通信技術やエネルギー、国防など多くの分野で必要不可欠であり、当社は、日本国内における最先端フラッシュメモリの開発・生産の強化を通じて、半導体関連産業の発展に貢献してまいります。(注) 特定半導体生産施設整備等計画認定番号「2022半経第002号-2」(2022年7月26日付認定及び2024年2月6日付変更の認定)並びに「2023半経第002号-1」(2024年2月6日付認定)。 ⑤ サプライチェーンの強靭化 米中対立、中東情勢悪化、各国関税等の地政学リスクや地震等の自然災害によるサプライチェーンへの影響が、当社の調達コストの増加や製品供給網に影響を与える可能性があります。これらに対応すべく、複数の調達先確保や部品の共通化及び部品点数の削減により調達コストの改善や強靭なサプライチェーンの構築を進めます。 ⑥ サステナビリティの取り組み 当社グループは、中長期的な事業活動を支える基盤を強化し、国際社会の一員としてステークホルダーの皆さまからの要請に応えていくため、サステナビリティ経営に取り組んでおります。 昨今、環境・社会に関する様々な課題が深刻化する中、当社グループは気候変動への取り組みを経営の最重要課題の一つと位置付けております。当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」という。)提言賛同の表明をしています。当社グループはこのTCFD提言に基づき、気候変動に対して、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの視点から分析を行い、TCFDに沿った取り組みと情報開示を積極的に進めています。2023年度においては、2050年度までに当社グループのグローバルな事業活動に伴う温室効果ガス排出量をネットゼロにするという新たな目標を設定しました。当社グループはこの目標を達成するため、地球温暖化係数の高いPFC等ガスの除害装置を対象設備に2011年度以降100%設置しています。また、2040年度までに再生可能エネルギー由来の電力比率を100%とする長期目標の達成に向け、自家消費型太陽光発電システムの導入や、再生可能エネルギー証書の市場調達を進めるなど、今後も最適かつ安定的な再生可能エネルギーの調達に努めます。 また、多様化し続ける事業環境と市場ニーズに迅速に対応していくためには、技術者をはじめとした様々な人材を確保することが必須となります。当社グループは、多様な人材がそれぞれの力を十分に発揮することが、イノベーションを創出し、企業の成長や社会への新しい価値創造につながるという考えから、女性の経営参画の推進等、ダイバーシティ(多様性)への取組みを積極的に進めています。 当社の具体的な取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」もご参照ください。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、メモリ市場におけるシェアの獲得状況及び物量と売価の状況を適切にとらえる観点及び適切なコスト管理を実現していく観点から売上収益と営業利益を重要な経営指標と考えております。またPPA(Purchase Price Allocation)(注)を含む非経常的な項目を控除したNon-GAAP営業利益も経営者の意思決定に使用しております。なお、Non-GAAP営業利益を含むNon-GAAP数値については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で定義される「Non-GAAP指標」をご参照ください。(注) PPA(Purchase Price Allocation)については、株式会社Pangeaによる旧東芝メモリ株式の買収等に伴い実施した資産の公正価値を基礎とした取得金額の配分手続を指します。以下同じです。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 以下では、当社グループにおける財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の分析並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容の記載をしております。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 (1)経営成績等の状況の概要 当社グループ並びに関連会社及び共同支配の取決めに対する持分を含む経営成績等の状況の概要は次のとおりです。 当社グループはメモリ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略していますが、売上収益を製品の用途に応じたアプリケーション別に区分しています。「SSD & ストレージ」には主にPC、データセンター、エンタープライズ向けSSD製品及びメモリ製品が含まれています。「スマートデバイス」にはスマートフォン、タブレット、テレビ等の民生機器、車載、産業機器等の用途で使用される制御機能付きの組み込み式メモリ製品が含まれています。「その他」にはSDメモリカード、USBメモリ等のリテール向け製品及び製造合弁会社3社経由で計上されるSandiskグループ向けの売上等が含まれています。 なお、当社グループが属する半導体メモリ業界では事業環境が短期間に大きく変化する特徴等があることから、投資者にとって有用な情報を提供するために、四半期での連結業績予想について幅を持たせたレンジ形式にて開示しており、年度計画値及び当該達成状況に係る記載は省略しています。 また、当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」という。)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。 Non-GAAP指標は、IFRSに基づく利益から、非経常的な項目としてPPA(Purchase Price Allocation)影響額及び2022年1月下旬に発生した3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH?」の特定の生産工程における不純物を含む部材を起因とする四日市工場と北上工場での操業影響額並びに重要な税制の変更影響額を調整したものです。 経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。Non-GAAP指標は、当社グループの経営上の社内指標であり、IFRSに基づく会計項目ではなく、また、監査法人の監査又は期中レビューを受けた数値ではありません。そのため、当社グループの実際の財政状態や経営成績を正確に示していない可能性があります。なお、非経常的な項目とは、一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。 当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における世界経済は、先進国において、良好な雇用、物価上昇の鈍化、株高などが堅調な個人消費を支え、活発な設備投資もあり、景気は堅調な拡大を維持しました。新興国においては、政府による景気刺激策の継続と輸出の復調がありましたが、不動産市況低迷の影響が根強く、個人消費に回復が見られず景気の停滞が続いています。また、ウクライナや中東地域をはじめとした地政学リスクは引き続き高く、関税を巡る通商政策の変化もあり、世界経済における不透明な見通しが続いています。当連結会計年度の米ドルの平均為替レートは前年度と比較して円安に推移しました。 フラッシュメモリ市場は、出荷量(記憶容量ベース)及び販売単価ともに回復を続けてきました。アプリケーション別では、データセンター及びエンタープライズ向けSSD製品はAIのインフラ構築から市場が拡大し、堅調な需要が継続しています。PC、スマートフォンにおいては年度前半は需要が堅調に推移したものの、年度後半には顧客の在庫調整により、出荷量の伸び悩みが見られました。 ① 経営成績の状況  前連結会計年度(自2023年4月1日  至2024年3月31日) 当連結会計年度(自2024年4月1日  至2025年3月31日)前期比(+:増加、-:減少)売上収益1兆766億円1兆7,065億円+6,299億円SSD & ストレージ5,164億円9,911億円+4,748億円スマートデバイス3,743億円5,011億円+1,268億円その他1,859億円2,142億円+282億円Non-GAAP営業利益(△損失)△2,540億円4,530億円+7,070億円不純物を含む部材を起因とする操業影響額(△損失)76億円-億円-76億円PPA影響額等(△損失)△63億円△13億円+50億円営業利益(△損失)△2,527億円4,517億円+7,044億円税引前利益(△損失)△3,433億円3,707億円+7,140億円当期利益(△損失)△2,437億円2,723億円+5,160億円Non-GAAP親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)△2,446億円2,660億円+5,106億円親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)△2,437億円2,723億円+5,160億円Non-GAAP基本的1株当たり当期利益(△損失)△472.63円507.89円+980.52円基本的1株当たり当期利益(△損失)△470.97円519.96円+990.93円米ドル平均為替レート144円153円+9円 (注)本表における億円単位表記箇所については、Non-GAAP数値、PPA影響額及び停電影響額を除き「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に記載の数値から億円未満を四捨五入した数値を記載しております。  当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の売上収益は1兆7,065億円(前期比6,299億円増加)となりました。この大幅な増収は主に、販売単価の大幅な上昇や出荷量(記憶容量ベース)が増加したこと並びに為替の好影響によるものです。 営業利益は4,517億円(前期比7,044億円改善)となりました。この大幅な改善は、前述の増収の影響に加えて、前期に生産調整による未稼働製造費用の影響1,882億円があったことなどによるものです。税引前利益は3,707億円(前期比7,140億円改善)となりました。 なお、2025年度のわが国の税制改正により2026年4月以降の法定実効税率が変更になり、その結果、当連結会計年度の法人所得税費用が72億円減少しています。 親会社の所有者に帰属する当期利益は2,723億円(前期比5,160億円改善)となりました。この改善は主に、前述の営業利益の計上によります。 また、PPA影響額等(△13億円)を除くNon-GAAP営業利益は4,530億円(前期比7,070億円改善)、さらに前述の税率変更による影響額(72億円)を除くNon-GAAP親会社の所有者に帰属する当期利益は2,660億円(前期比5,106億円改善)となりました。 ② 生産、受注及び販売の実績 当社グループはメモリ及び関連製品を製造・販売していますが、同種の製品であっても性能、構造、形式等が異なること、また、受注生産形態を取っていないため、品目ごとの生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については、前記「① 経営成績の状況」に含めて記載しています。 なお、最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。  顧客の名称 前連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日) 当連結会計年度(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日)金額(億円)割合(%)金額(億円)割合(%)Appleグループ2,25320.93,00517.6Sandiskグループ1,70515.81,98611.6Dellグループ9408.71,71210.0 (2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況① 財政状態の状況 前連結会計年度(2024年3月31日)当連結会計年度(2025年3月31日)前期末比増減(+:増加、-:減少)資産合計2兆8,649億円2兆9,197億円+547億円負債合計2兆4,152億円2兆1,820億円-2,332億円資本合計4,498億円7,377億円+2,879億円親会社の所有者に帰属する持分4,496億円7,376億円+2,879億円親会社所有者帰属持分比率15.7%25.3%+9.6ポイント (注) 本表における億円単位表記箇所については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に記載の数値から億円未満を四捨五入した数値を記載しております。 (資産) 当連結会計年度末の資産は2兆9,197億円となり、前期末に比べて547億円増加しました。 これは、主に営業債権及びその他の債権が888億円、棚卸資産が811億円増加したことによるものです。他方で、有形固定資産が686億円減少しました。 (負債) 当連結会計年度末の負債は2兆1,820億円となり、前期末に比べて2,332億円減少しました。 これは、主にタームローン及びリボルビング・クレジット・ファシリティの返済等により借入金(流動負債及び非流動負債)3,336億円が減少したことによるものです。 (資本) 当連結会計年度末の資本は7,377億円となり、前期末に比べて2,879億円増加しました。 これは、主に当期利益2,723億円を計上したことによるものです。この結果、親会社所有者帰属持分比率は25.3%となり、前期末に比べて9.6ポイント増加しました。 ② キャッシュ・フローの状況  前連結会計年度(自2023年4月1日  至2024年3月31日) 当連結会計年度(自2024年4月1日  至2025年3月31日) 前期比増減(+:増加、-:減少)営業活動によるキャッシュ・フロー1,951億円4,764億円+2,813億円投資活動によるキャッシュ・フロー△2,749億円△1,730億円+1,018億円財務活動によるキャッシュ・フロー32億円△3,227億円-3,259億円 (注) 本表における億円単位表記箇所については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に記載の数値から億円未満を四捨五入した数値を記載しております。  当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,679億円となり、前期末に比べて197億円減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、獲得した資金は4,764億円となりました。 その内容は、税引前利益3,707億円(前期は税引前損失3,433億円)、減価償却費及び償却費3,123億円(前期は3,461億円)などです。また、獲得した資金が前期比2,813億円増加した主な要因は、前期は税引前損失を計上していたところ、当期は税引前利益を計上したことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、使用した資金は1,730億円となりました。 その内容は、有形固定資産の取得による支出2,238億円などです。また、使用した資金が前期比で1,018億円減少した主な要因は、設備投資の抑制に伴う有形固定資産の取得による支出の減少によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、使用した資金は3,227億円となりました。 その内容は、長期借入金の返済による支出2,659億円、短期借入金及びリボルビング・クレジット・ファシリティ実行残高の純減少額1,264億円(前期は短期借入金の純増加額911億円)などです。また、前期の資金の獲得から当期の支出に転じた主な要因は、前期は資金調達額が借入金返済額を上回っていたのに対し、当期は借入金返済額が資金調達額を上回ったことによるものです。 ③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの主な資金需要は、製品製造のための設備投資です。これらの資金需要に対しては、営業活動によるキャッシュ・フローに基づく自己資金を充当することを基本としていますが、市況が大幅に悪化する局面等においては、金融機関からの借入金や種類株式発行の払込金額も充当してきました。当社グループの当連結会計年度末における借入金の総額は7,777億円、親会社所有者帰属持分比率は25.3%、ネット有利子負債/Non-GAAP EBITDAは1.22倍となっており、また社債型優先株式の残高は3,213億円となっております。また、当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,679億円となっており、当社グループの足元の資金繰りは確保されているものの、今後急速にフラッシュメモリの市況が悪化する場合等においては、金融機関からの追加的な借入や種類株式の発行、その他の資金調達が困難となる可能性があります。なお、現在予定している設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。 (3)経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しています。 (4)重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積り 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。連結財務諸表の作成に当たって、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で、見積り及び判断を行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。

※本記事は「キオクシアホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

スポンサーリンク

連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント