株式会社ツムラの基本情報

会社名株式会社ツムラ
業種医薬品
従業員数連4272名 単2765名
従業員平均年齢42.6歳
従業員平均勤続年数16.5年
平均年収7950000円
1株当たりの純資産3968.05円
1株当たりの純利益(連結)427.15円
決算時期3月
配当金136円
配当性向39.77%
株価収益率(PER)10.1倍
自己資本利益率(ROE)(連結)11.35%
営業活動によるCF338億円
投資活動によるCF▲249億円
財務活動によるCF▲198億円
研究開発費※183.55億円
設備投資額※1286.5億円
販売費および一般管理費※1650.85億円
株主資本比率※269.2%
有利子負債残高(連結)※3703.36億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営方針当社グループは、究極的に成し遂げようという事業の志である「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を起点とし、基本的な価値観である経営理念「自然と健康を科学する」、社会から必要とされる存在意義である企業使命「漢方医学と西洋医学の融合により、世界で類のない最高の医療提供に貢献します」を基本理念として掲げ、理念に基づく経営を継続的に実践しています。 (2) 経営戦略等当社グループでは、2022年4月1日、TSUMURA Group DNA Pyramidを刷新し、プリンシプル「順天の精神」及び究極的に成し遂げる事業の志であるパーパス「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を新たに制定しました。また、サステナビリティビジョン「自然と生きる力を、未来へ。」と、3つの“P”(PHC:Personalized Health Care 一人ひとりに合ったヘルスケア提案、PDS:Pre-symptomatic Disease and Science “未病”の科学化、PAD:Potential-Abilities Development 潜在能力開発)を通じて、心と身体、個人と社会が「“Cho-WA”(調和)のとれた未来を実現する企業へ」を掲げた、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031」を策定しました。 ツムラグループのサステナビリティビジョンは、長期経営ビジョンの上位に位置づけられるものであり、漢方バリューチェーンを通じてツムラグループだからこそできる、持続可能な社会の実現を目指しています。そのために、ツムラグループが優先的に取り組む必要のある重要課題(マテリアリティ)を特定し、事業を通じた社会課題の解決と経営基盤の強化の両面から取り組みを行っています。 ツムラグループのマテリアリティ(3)資本政策の基本方針当社は、ROEを持続的な株主価値向上に関わる重要な経営指標として捉え、収益力や資産効率を高めることで、資本コストを上回るROEを目指してまいります。また、財務の健全性を確保しながら経営効率を高め、営業活動によるキャッシュ・フローや負債の活用、最適資本構成から許容される資金を、成長投資と株主還元へ適切に分配してまいります。なお、株主還元においてはDOE(株主資本配当率)を指標として設定し、堅牢なバランスシートに依拠して、長期的な配当拡充を目指してまいります。 指標2031年度に目指す水準経営効率ROE10%財務基盤の健全性自己資本比率50%以上配当DOE(株主資本配当率)5% (上記の業績見通し等の将来に関わる記述は、2031年度に目指すべき方向性のビジョンであり、今後さまざまな要因により上記数値と異なる可能性があります。) (4)中期経営計画2025年5月12日に公表した、第2期中期経営計画(2025年度-2027年度)は、5 つの戦略課題に取り組み、長期経営ビジョン実現に向けた積極的な設備および事業への投資を推進し、日本事業の安定成長と中国事業の拡大に努めてまいります。また、事業を通じた社会課題解決への貢献により、企業価値を高めてまいります。第2期中期経営計画 戦略課題① 漢方の標準治療の拡大と個別化治療の推進による漢方市場のさらなる成長② KAMPOmicsによる新たな価値の創造、エビデンスに基づいた「未病三防」の市場展開と漢方のグローバル化への挑戦③ 中国における中成薬事業への参入、飲片の付加価値サービスの展開と中薬研究開発体制の確立④ 最高の顧客体験価値の創造を目的とした漢方バリューチェーンの DX 化による安定供給・ローコストオペレーション体制の確立と製品価値の向上⑤ ビジョン実現に資する人的資本の充足と漢方薬的組織の開発推進による組織・人的資本価値の向上 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等第2期中期経営計画(2027年度)数値目標は以下のとおりです。 2027年度売上高2,340億円営業利益430億円ROE8% 前提条件:薬価改定(2025年度、2026年度、2027年度)為替レート 20.1円/元(2025年度-2027年度) -戦略課題達成のための重点施策- ① 漢方の標準治療の拡大と個別化治療の推進による漢方市場のさらなる成長・医療ニーズの高い処方に対するエビデンスとプロモーションの強化により漢方治療の標準化を拡大する。・診療領域基本処方※1すべてを処方する医師が4人に1人以上となる医療現場を実現し、漢方治療の個別化を推進する。・情報提供のデジタル化を DX 化へ発展させ、医療従事者一人ひとりがいつでも必要な情報を取得できる体制を実現する ② KAMPOmics※2による新たな価値の創造、エビデンスに基づいた「未病三防※3」の市場展開と漢方のグローバル化への挑戦・漢方治療の標準化をさらに拡大させるため、重点3領域のアンメットメディカルニーズに密接に関与する処方を中心としたエビデンス創出に注力する。・未病の科学的解明により未病マーカーを創出し、エビデンスに基づいた未病改善サービスの開発に注力する。・個人に合わせた最適なヘルスケアサービス、漢方治療(個別化医療)を提供するため、KAMPOmicsRをベースとした健康状態の可視化とともに、漢方処方のレスポンダーマーカー※4のエビデンス構築をする。・個人の状態に合わせた最適な漢方治療(個別化医療)の提供のため、アライアンスの強化により、漢方診断サポートシステムの開発をさらに推進し、一般消費者向けサービスへの横展開を図る。・漢方のグローバル展開を目指し、米国における TU-100(大建中湯)の開発活動を強化する。・生薬から製剤までの一貫した製造および品質管理手法をグローバルスタンダードにする。 ③ 中国における中成薬※5事業への参入、飲片※6の付加価値サービスの展開と中薬研究開発体制の確立・古典処方を保有する中成薬企業との事業展開を図り、ツムラの生薬およびノウハウを活用した中成薬を提供する。・公立病院チャネルを有する飲片企業との連携、保険適用外の民間病院チャネルの拡大、ならびにオンライン販売の拡大により、付加価値サービス「一人一方※7」を展開し、飲片の外販を拡大する。・飲片事業の拡大とともに、医療用漢方製剤の原料生薬の価格安定化を図ることも踏まえ、品質や取扱量、価格などにおいて優位性のある生薬の品目数を増やす。・中国の研究機関との連携により、生薬・製剤の国際標準化を目指し、研究開発・品質評価体制を確立する。 ④ 最高の顧客体験価値の創造を目的とした漢方バリューチェーンの DX 化による安定供給・ローコストオペレーション体制の確立と製品価値の向上・安定供給と適正在庫の両立のため、販売・生産・調達計画の高精度化などにより迅速な意思決定体制を構築する。・最高の顧客体験価値の創造のために製品剤形・包装形態最適化のグランドデザインを描き、ロードマップを策定し推進する。・ローコストオペレーションや組織間の知識共有・連携を実現するために、データ一元化・標準化と生成 AIの活用を連動させ推進する。・工場における医薬品製造の生産性および品質の向上のため、スマートファクトリー化を加速する。・AI を活用した生薬選別自動化の拠点拡大のために、選別可能な品目を増やし、設備コストパフォーマンスを向上させる。 ⑤ ビジョン実現に資する人的資本の充足と漢方薬的組織※8の開発推進による組織・人的資本価値の向上・理念浸透・コーチングの継続により理念経営を昇華させるとともに、漢方薬的組織を目指し、組織開発を実施する。・経営人財養成機能を最適化するとともに、理念経営を支える多様性に富んだグローバル経営人財の輩出を推進する。・動的な人財ポートフォリオ実現に向けて、スキルマップ(管理職・専門人財)を策定・更新し、それに基づいた人財の採用、配置、育成を実施する。・ツムラ流“養生”健康経営を実践する。 ※1 診療領域基本処方各診療領域において、患者数が多い疾患・症状に対して、適正に使用することができる(適用を有する)処方を当社独自に設定※2 KAMPOmicsRツムラの強みである先端技術(メタボローム・遺伝子・腸内細菌・システムバイオロジーなど)の研究を組み合わせ、日本の伝統医学である漢方医学と、多成分で複雑な漢方薬を統合的に理解するためのツムラ独自の研究パッケージ。当社の登録商標。※3 未病三防治未病(未病先防)、重症化抑制(既病防変)、再発抑制(癒後防復)※4 レスポンダーマーカー治療に対して効果がみられる可能性が高い患者様(レスポンダー)を層別化するための生理学的指標※5 中成薬中医学の理論に基づいた処方を顆粒や丸剤等の形にした薬剤。※6 飲片原料生薬を切裁したもの。刻み生薬。※7 一人一方患者様の代わりに、スマートファクトリー設備で処方箋どおりに飲片を煎じ、煎液、流エキス、エキス顆粒に加工・包装したのものを、直接患者様に郵送するスマートサービス※8 漢方薬的組織生薬を「人」「部門」に、漢方薬を「部門」「会社」に例え、成果を創出する調和した組織のこと (6) 経営環境① 国内市場超高齢社会において、医療費の増大に伴う各種制度変更、地域医療のあり方や、生活者のセルフメディケーション意識の向上など、製薬会社が直面する課題は少なくありません。国の施策においては漢方への期待と役割が大きくなっています。2015年に厚生労働省より公表された「医薬品産業強化総合戦略」の中の一つに、漢方薬は「我が国の医療において重要な役割を担っている」と明記されています。また、「がん対策加速化プラン」では、支持療法の開発・普及のために実施すべき具体策として、「漢方薬を用いた支持療法」があげられています。当社は、このような政策に準ずる施策に加え、「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」や総合診療医・在宅医療の推進などを含む「地域包括ケアシステム」の構築などの医療政策、人口動態に伴う疾病構造の変化(高齢者疾患、女性特有の疾患など)を踏まえた取り組みを進めてまいります。「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」において、医療関連のオーソリティによって、漢方医療を取り巻く課題と対応策が「提言書」として2017年に取りまとめられました。その後、健康寿命の延伸に資する観点から個別化医療が重要視され、漢方薬の必要性がより一層見直されてきている現状を踏まえ、2021年に提言書が更新されています。当社は、日本漢方生薬製剤協会の活動を通じて、この提言を実現するために、産官学共同の課題として取り組んでいます。外部環境としては、インフレに伴う物価上昇等の影響による原資材価格の高止まりや為替変動など、厳しい事業環境が継続しています。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少が予測されており、少ない労働量でも成果を生み出せる企業体質への転換を図るべく、デジタル・ロボット技術を用いた自働化投資や従業員のエンゲージメントの向上に継続的に取り組んでいます。 ② 中国市場中医学の理論に基づき製剤化された中成薬や飲片(刻み生薬)などの中薬は中国において長年使われている薬ですが、近年は中薬の発展を促進する政策が発表されています。2016年に国務院が発表した「健康中国2030計画綱要」では、現代医学と中国医学の双方を重視し、中薬生産の規範化、規模化を推進するとともに、理論研究と薬品開発に取り組むという方針が発表されています。また、2022年1月に「第14次五カ年医薬工業発展計画」が発表され、中薬の研究開発、技術と品質、製造レベルなど多方面から計画を行っていく方針が示されています。また、中国では急速な高齢化が進行しており、高齢者人口は2022年現在で2.1億人を超え、2035年には4億人を超えると予測されています。中国における中薬の市場規模は、中成薬、飲片(刻み生薬)を合わせて2023年時点で約15.9兆円と日本の漢方市場と比較して約60倍と大きな規模ですが、このような環境の変化を踏まえると、さらに拡大するとみられています。当社は、これまで国内事業で積み上げてきた技術・ノウハウを最大限活用し、中国平安保険グループとの協業のもと、中薬業界の発展と中国国民の健康に貢献する企業を目指しています。 (7) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 第2期中期経営計画に基づく取り組み「(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しています。 ② 製商品の品質と安全性の追求1) 品質保証当社は、製商品の品質と安全性の追求を最も重要なテーマであると考えています。この品質重視の考え方「ツムラクオリティカルチャー」を漢方バリューチェーンの基盤とし、品質保証における継続的な改善と強化に取り組んでいます。「ツムラ品質マネジメントシステム」当社は、「品質方針」のもと品質保証システムのさらなる充実を目指した「ツムラ品質マネジメントシステム」の体制を整え、品質を重視する取り組みを推進しています。このシステムは、当社グループ全体を取り込む包括的なものであり、これによって経営陣の責務をさらに明確にしました。また、グローバル化(PIC/S※対応を含む)や法改正などにも適正に対応できる仕組みとなっています。 品質方針当社およびグループ会社は、価値創造企業を目指し、“KAMPO”で人々の健康に寄与するため、以下の品質方針を定めています。・高品質かつ安全で信頼される製品を安定的に供給します・医薬品に関する薬事関連法規を遵守します・お客様の声を聴き、継続的な品質改善に努めます・安全な生薬の安定確保を実現します・研究の信頼性を確保し、研究成果を適切に提供します・全役職員に対し、適切な教育を実施し、高い意識を持つ人財を育成します・これらを実現するため、経営資源を適正に配分します ツムラ品質マネジメントシステムに関する規程のもと、生薬栽培から最終製品のデリバリーまでのサプライチェーン全般を対象として法令遵守や当社として守るべき基準を明記した文書をそれぞれ社規として体系的に構築しています。これは当社独自の「品質システム」であり、当社及びグループ会社のすべての事業における品質重視体制を構築し、高品質な漢方製剤を患者様に提供するための活動となっています。 ※ PIC/S:Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Schemeの略称。医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキームのことであり、GMP基準などの国際化を推進する枠組み。 2) 「ツムラ生薬GACP※」当社は、「ツムラ生薬GACPポリシーに関する規程」を制定し、運用しています。この規程は、「ツムラ品質マネジメントシステムに関する規程」に基づき、当社およびグループ会社による生薬生産の管理において、生薬の安全及び品質を保証するために遵守すべき基本的要求事項を定めることを目的としています。ツムラ生薬GACPは、「ツムラ生薬GACPガイドライン」「生薬生産標準書」「生薬トレーサビリティ」「教育・監査・認証」で構成されています。その一つである生薬トレーサビリティは、生薬の生産地から生薬製造所に納入される各段階で、生産団体・生産者の情報や栽培・加工などの記録を収集・保管し、情報の追跡と遡及を可能とする仕組みであり、漢方製剤の製造工程、流通過程の履歴情報と併せ、医療機関から生薬生産地までの全履歴情報の追跡・遡及を可能としています。今後も、生薬の安全性・品質保証体制をより強固なものにし、安全で安心できる生薬の安定確保のために、ツムラ生薬GACPを継続的に強化し運用していきます。 ※ GACP:Good Agricultural and Collection Practice(生薬生産の管理に関する基準)
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 a 財政状態総資産は、前連結会計年度末に比べて36,126百万円増加し、464,380百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べて1,381百万円増加し、134,270百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べて34,745百万円増加し、330,110百万円となりました。 b 経営成績当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ、20.1%増加の181,093百万円となりました。利益につきましては、営業利益40,125百万円(前連結会計年度比100.5%増)、経常利益42,446百万円(前連結会計年度比80.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益32,428百万円(前連結会計年度比94.1%増)となりました。売上原価率は、50.0%(前連結会計年度比4.4ポイント低下)となりました。また、販管費率は、27.9%(前連結会計年度比4.5ポイント低下)となりました。これらの結果として、営業利益率は、22.2%(前連結会計年度比8.9ポイント上昇)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、73,135百万円となり、前連結会計年度末と比べて4,899百万円減少しました。当連結会計期間のキャッシュ・フローの状況と、前年同期に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。営業活動によるキャッシュ・フローは、33,823百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益45,559百万円、売上債権の減少額434百万円、棚卸資産の増加額9,646百万円であります。前年同期との比較では、28,215百万円収入が増加しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、24,974百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出27,591百万円、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入8,414百万円であります。前年同期との比較では、5,622百万円支出が増加しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、19,871百万円の支出となりました。主な内訳は、短期借入れによる収入26,610百万円、短期借入金の返済による支出31,638百万円、配当金の支払額9,021百万円であります。前年同期との比較では、15,453百万円支出が増加しております。 ③ 生産、受注及び販売の実績a 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業180,897+23.1合計180,897+23.1 (注) 金額は、販売価格によっています。 b 受注実績当社グループは、見込生産を主体としているため記載を省略しています。 c 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業181,093+20.1合計181,093+20.1 (注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。 相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)アルフレッサ ホールディングス㈱34,32722.842,17823.3㈱メディパルホールディングス29,28719.435,55619.6㈱スズケン22,04114.626,88914.8東邦ホールディングス㈱16,60311.019,50110.8 2 上記の相手先のうち、持株会社制を採用している会社は当該持株会社の名称を付すとともに、属する関係会社の取引高を集計して記載しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a 財政状態当連結会計年度末における財政状態は以下のとおりであります。当連結会計年度末における資産合計は464,380百万円で、前連結会計年度末に比べ36,126百万円の増加となりました。流動資産は、原材料及び貯蔵品の増加等により、前連結会計年度末に比べて14,417百万円の増加となりました。固定資産は、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて21,709百万円の増加となりました。負債合計は134,270百万円で、前連結会計年度末に比べて1,381百万円の増加となりました。流動負債は、短期借入金の減少、1年内償還予定の社債の減少等により前連結会計年度末に比べて6,643百万円の減少となりました。固定負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて8,025百万円の増加となりました。純資産合計は330,110百万円で、前連結会計年度末に比べて34,745百万円の増加となりました。株主資本は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べて22,545百万円の増加となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べて7,182百万円の増加となりました。また、非支配株主持分は、前連結会計年度末に比べて5,017百万円の増加となりました。以上の結果、自己資本比率は1.5ポイント増加して、64.7%となりました。 b 経営成績売上高は、前連結会計年度と比べ20.1%増加し、181,093百万円となりました。国内事業の売上高は、前連結会計年度と比べ21.5%増加し、160,459百万円となりました。医療用漢方製剤129処方の売上高は、2024年4月の薬価改定において66処方が不採算品再算定の適用を受け、薬価が上昇したことにより、前連結会計年度と比べ21.9%増加し、154,072百万円となりました。大建中湯、抑肝散、牛車腎気丸の売上高は、不採算品再算定の適用を受け薬価が上昇した影響もあり、大きく増加しました。五苓散の売上高は、頭痛・めまいなどのニーズに沿った情報提供活動により増加しました。六君子湯、補中益気湯、加味逍遙散、加味帰脾湯、人参養栄湯の売上高については、薬価改定にともない2024年3月に発生した前倒し注文の影響が残り、前連結会計年度と比べ減少しました。 [育薬・Growing処方の売上高] (単位:百万円) 売上順位製品No./処方名2023年度2024年度前年同期比育薬処方 1100大建中湯 9,85114,769+4,918+49.9%254抑肝散 7,44711,147+3,699+49.7%543六君子湯 7,4547,199△254△3.4%7107牛車腎気丸 3,6985,583+1,885+51.0%2514半夏瀉心湯 1,4481,464+15+1.1%育薬処方合計29,89940,163+10,263+34.3%Growing処方 341補中益気湯 7,9567,597△358△4.5%417五苓散 6,8697,376+506+7.4%1024加味逍遙散 5,1174,917△200△3.9%18137加味帰脾湯 2,2902,238△51△2.3%19108人参養栄湯 2,3052,234△71△3.1%Growing処方合計24,53924,364△175△0.7%育薬・Growing処方以外の119処方合計 71,91889,545+17,626+24.5%医療用漢方製剤129処方合計126,357154,072+27,715+21.9% また、国内事業の一般用漢方製剤等の売上高は、取り扱い店舗数が拡大したことにより、前連結会計年度と比べ18.8%増加し、5,284百万円となりました。中国事業の売上高は20,633百万円となりました。原料生薬と飲片(刻み生薬)の販売を中心とする生薬プラットフォーム(平安津村薬業有限公司、深セン津村薬業有限公司等)において、前連結会計年度と比べ、原料生薬の売上高は8.4%増加し、飲片(刻み生薬)の売上高は37.4%増加しました。売上原価は、売上高の伸長と加工費および為替影響を含む生薬調達コストの上昇等により前連結会計年度と比べ10.3%増加し、90,509百万円となりました。売上原価率は、加工費および生薬調達コスト等の上昇はあったものの、医療用漢方製剤66処方が不採算品再算定の適用を受け薬価が上昇したこと等により、前連結会計年度と比べ、4.4ポイント低下し、50.0%となりました。販売費及び一般管理費は、主に統合基幹システムの稼働にともなう費用の増加および円安の影響により、前連結会計年度と比べ3.4%増加し、50,458百万円となりました。販管費率は売上高の増加により、前連結会計年度と比べ4.5ポイント低下し、27.9%となりました。以上の結果、営業利益は、前連結会計年度と比べ100.5%増加し40,125百万円となり、営業利益率は、前連結会計年度と比べ8.9ポイント上昇し、22.2%となりました。経常利益は、前連結会計年度と比べ80.7%増加し、42,446百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却にともなう特別利益を計上したこともあり、前連結会計年度と比べ94.1%増加し、32,428百万円となりました。 c 経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。なお、当連結会計年度において、経営成績に重要な影響を与える要因はございません。 d 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」「親会社株主に帰属する当期純利益」「EPS」「ROE」を、目指すべき方向性等を示す数値目標として設定しています。2024年度修正計画との比較では、売上高は181,093百万円(計画比0.7%減)、営業利益は40,125百万円(計画比0.3%増)、売上高営業利益率は22.2%(計画比0.3ポイント増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は32,428百万円(計画比4.6%減)となりました。EPSは427.15円(計画比20.64円減)となり、ROEは11.4%(計画比0.6ポイント減)となりました。 e セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは医薬品事業の単一セグメントです。(医薬品事業)売上高は、前連結会計年度に比べ20.1%増の181,093百万円となりました。セグメント利益は、前連結会計年度に比べ100.5%増の40,125百万円となりました。セグメント資産は、前連結会計年度に比べ36,126百万円増加の464,380百万円となりました。 f 今後の見通し2026年3月期の業績予想につきましては、売上高は主に国内医療用漢方製剤の販売数量増加に加え、中国事業の伸長により188,000百万円を見込んでおります。このうち中国事業の売上高は20,100百万円の見込みです。利益につきましては、主に償却費負担の大きい中国生産拠点における製造加工費の増加や生薬費の増加、人件費の増加などの影響で営業利益34,200百万円(14.8%減)、経常利益34,000百万円(19.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益23,000百万円(29.1%減)を見込んでおります。国内事業においては、製品の安定供給体制の強化や将来の漢方市場の持続的拡大を目指し、今期においても設備投資、研究開発、情報提供活動に対して重点的に資金を投入いたします。設備投資に関しては、生産能力増強や生産性向上を目的とした積極的な投資を実施いたします。研究開発に関しては、漢方治療の標準化拡大のためのエビデンス構築、最先端技術による漢方の個別化治療への取り組み、一人ひとりのライフステージにあった健康への貢献(治療・未病・養生(予防))に関する研究を強化してまいります。情報提供活動については、医療ニーズの高い処方に対するプロモーションの強化により漢方治療の標準化を推進するとともに、診療領域ごとの基本的な医療用漢方製剤を処方する医師の増加を目指した個別化治療を推進いたします。また、情報提供のDX化により、医療従事者一人ひとりがいつでも必要な情報を取得できる体制づくりに取り組んでまいります。中国事業においては、生薬プラットフォームにおける原料生薬、飲片(刻み生薬)の販売を拡大するとともに、製剤プラットフォームにおける中成薬事業展開を目的とした古典処方の研究開発や中成薬企業との協業を含む市場開拓活動等に取り組んでまいります。(単位:百万円) 売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益翌連結会計年度2026年3月期(増減率)188,000(3.8%)34,200(△14.8%)34,000(△19.9%)23,000(△29.1%) ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、社債、金融機関からの借入金により資金調達を行っています。運転資金は自己資金及び短期借入金を基本としており、設備投資資金は社債及び長期借入金を基本としています。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は70,795百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は73,135百万円となっています。 c 資金使途当社グループは2025年度からスタートしている第2期中期経営計画を長期経営ビジョン実現のための成長戦略、投資推進のステージとして位置づけ、成長(事業規模の拡大)と収益力(利益率の向上)による企業価値の向上を目指し、適切なリスクをとりながら将来のために必要な投資を行ってまいります。国内事業関連投資において、国内でのエキス末製造工程、顆粒製造工程、包装表示工程及び天津工場でのエキス末製造工程への投資を計画しており、中国事業関連投資においては、中薬研究やIT基盤構築への投資を計画しています。また、中薬企業との提携等を実施し、中国国民の健康に広く貢献できる企業になるべく事業の拡大を進めてまいります。なお、当社グループの2025年度設備投資金額は41,000百万円、研究開発費は8,800百万円を計画しています。今後もさらなる安定成長と事業拡大に向けて、適切な資金調達及び中長期的な視点から経営の意思を反映した資源配分を行ってまいります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っています。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

※本記事は「株式会社ツムラ」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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