| 会社名 | 住友ゴム工業株式会社 |
| 業種 | ゴム製品 |
| 従業員数 | 連37995名 単7636名 |
| 従業員平均年齢 | 40.8歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 14.6年 |
| 平均年収 | 6472000円 |
| 1株当たりの純資産 | 1744.59円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 37.51円 |
| 決算時期 | 12月 |
| 配当金 | 58円 |
| 配当性向 | 34.4% |
| 株価収益率(PER) | 10.6倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 11.7% |
| 営業活動によるCF | 1043億円 |
| 投資活動によるCF | ▲646億円 |
| 財務活動によるCF | ▲356億円 |
| 研究開発費※1 | 16.64億円 |
| 設備投資額※1 | 14.99億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 869.52億円 |
| 株主資本比率※2 | 48.1% |
| 有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
| 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針及び経営戦略等当社は2023年にスタートした中期計画に基づき、構造改革の推進および成長事業の基盤づくりを進めてまいりました。1月には米国「Goodyear」社より、欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤの「ダンロップ」商標権等を取得することを発表、一部の地域や商材を除き、当社がグローバルに「ダンロップ」ブランドでタイヤ事業を展開することが可能となります。また、中期計画で掲げた経営目標の前倒し達成も見えてきており、2025年をターニングポイントとして、将来の環境変化も見据え、当社が向かうべき道筋を明確にする長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」を策定しました。「R.I.S.E. 2035」では、当社が長年の事業活動で培ってきた、ゴムを起点とした価値創造プロセスで高機能商品を作り出す「ゴム・解析技術力」と、お客様に喜びを感じてもらえる複数のブランドを立ち上げ育ててきた「ブランド創造力」を強みに、「ゴムから生み出す新たな体験価値をすべての人に提供し続ける」を目指す姿とします。目指す姿の実現に向け、3つの成長促進ドライバー「ゴム起点のイノベーション創出」「ブランド経営強化」「変化に強い経営基盤構築」をベースとした戦略を実行していきます。2027年までに、タイヤプレミアム化による収益体質の改革と成長事業の仕込みを行い、「ダンロップ」をさらに強くしていきます。2030年までに、創出キャッシュを最大化・既存事業で確固たるポジションを築き、成長事業への挑戦を通じて確立したブランドで飛躍します。そして、2035年までに、イノベーティブな商品・サービスを継続的に創出し、成長事業の拡大を通じたポートフォリオ変革により、持続可能な事業体質を実現します。これにより、2035年の目指す姿を達成および「Our Philosophy」の具現化につなげてまいります。 長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」 ロードマップ 当社は中期計画における財務目標を前倒し達成する見通しを踏まえ、2027年度の目標を改定することを決定しました。2030~35年に向けて、事業利益率15%、ROE12%、ROIC10%の目線で取り組みます。 引き続き、更なる改善を目指し中期計画を推進することで、2027年目標の前倒し達成を目指してまいります。 また、当社グループは、「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」という「Our Philosophy」の「Purpose(存在意義)」そのものである、サステナビリティ経営を推進しております。サステナビリティ経営の推進にあたっては、サステナビリティ統括役員を委員長、各部門担当役員を委員とする「サステナビリティ推進委員会」を開催し、各種テーマごとに設置された部会において実施している活動を継続的にフォローしているほか、本年1月より外部ステークホルダーと経営層とが対話する「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設置し、ステークホルダーとの連携を進めております。また、2024年10月のマテリアリティ(重要課題)見直しに合わせ、マテリアリティごとのありたい姿の達成に向けた想いを「当社の意志」として設定しておりますが、これを実現させるべく、事業を通じた社会課題の解決に向けて価値創造につながる活動を推進してまいります。 [Environment(環境)]当社の環境に対する取組みについては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般」に記載のとおりであります。 [Social(社会)]「Our Philosophy」の「Purpose」である「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」の体現のため、「Vision」に掲げた「多様な力をひとつに、共に成長し、変化をのりこえる会社になる。」を実現すべく人的資本経営を進めております。 未来を切り拓く人材の育成を目指す教育施策の推進や、社員が心身ともに健康な状態でやりがいをもって自分らしく活躍できる土壌の整備などを通し、社員一人ひとりが互いを尊重し合い、新たな価値創造ができる風土づくりを進めております。 なお、詳細については「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本」に記載のとおりであります。 [Governance(ガバナンス)] 当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。「Our Philosophy」を全ての企業活動の基盤とし、業務の執行状況について取締役会や監査役会で適宜監督を行うことで、変化の大きい社会情勢やグローバルな事業拡大等に適切に対応できる体制としております。 2024年は、従来から実施していた取締役会の実効性評価において3年ぶりに第三者機関によるアンケートおよびインタビューを実施し、総じて取締役会は実効的に機能しているとの意見が多い結果となりました。インタビューにおいては、これまでの取締役会運営に関する改善取り組みにより実効性が高まっている旨の意見や、社外取締役である取締役会議長の的確かつ公正な議事運営のもとで自由闊達な議論や意見交換が出来ているという意見が多くみられました。その一方で、各取締役や下位の会議体に対する権限委譲、過去に取締役会で決議された案件の進捗状況のフォローアップ等については、まだ課題があることが見えてきました。今後は、時間をかけた議論が必要な案件について十分な時間が確保できるように、取締役会付議基準の見直しを行う等、種々の施策に取り組むことで取締役会の実効性を高め、更なる企業価値の向上につなげてまいります。 また当社では、任意の委員会として指名・報酬委員会を設置しており、その委員長は社外取締役が務め、委員の過半数は社外役員としております。2024年から、指名・報酬委員会での十分な審議時間を確保する目的で、会議時間を伸ばしたうえで、開催回数も従来までの3回から4回に増やしました。2024年の委員会においては、従来から議論してきたテーマに加え、取締役の任期や業績連動報酬の拡大等について具体的な議論を行うことができました。今後も、中期計画達成に向けて取締役がグループ全体を主導できる体制づくりを、引き続き進めてまいります。 加えて当社では、2022年以降、定例の取締役会とは違った雰囲気で意見交換が行えるオフサイトミーティングを実施しております。2024年は、計8回のオフサイトミーティングを実施し、米国工場の生産終了および解散や「ダンロップ」商標権の取得等の重要議題について、社内外の役員で十分時間をかけて意見交換を行いました。今後も、適宜オフサイトミーティングを開催し、重要議題についての議論の充実を図ってまいります。 (2)経営環境及び対処すべき主な課題今後の経営環境につきましては、世界経済の先行きや地政学的リスクなど不確実性が高い状況が続くものと思われます。このような情勢のもと、当社グループは、中期計画の着実な推進と欧州・北米・オセアニア地域での「ダンロップ」商標権活用を見据えた取り組みを加速するとともに、「Our Philosophy」の具現化を図りつつ、企業の経済的価値・社会的価値向上を目指し、次のような課題に取り組んでまいります。 (タイヤ事業)将来のCASEやサステナビリティなどの社会のニーズや期待に応えていくため、独自技術のアクティブトレッドの実用化とセンシングコアの事業化を引き続き進めてまいります。 2024年10月、次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」を国内市場において発売し好評を得ました。「SYNCHRO WEATHER」は、水や温度に反応し路面状態に合わせてゴム自ら性質が変化する当社独自の新技術アクティブトレッドを搭載した第一弾タイヤです。ドライ・ウェット・氷上・雪上などの様々な路面で高い性能を発揮します。また、夏冬のタイヤ履き替え回数を減らすことによる環境負荷軽減も期待できる商品で、今後さらに販売増を図ってまいります。将来的には、欧州・北米でもアクティブトレッド技術搭載の新商品投入を計画しており、そのための商品開発も加速してまいります。 車輪の回転速度からタイヤ周りの状態・状況を検知するセンシングコアは、将来のモビリティ社会に貢献できる当社独自の技術であり、成長事業の柱として取り組んでおります。2023年12月、車両部品の故障予知で実績のある米国「Viaduct社」に出資し、同社と連携して故障予知の実証実験を重ねており、2024年11月には、北米に拠点を新設し、顧客へのアプローチ強化を進めています。本年からは、タイヤ交換最適化・車両全体の故障予知サービスを開始し、事業化を進めてまいります。 また、「ダンロップ」商標権取得後は、欧州・北米・オセアニア地域はもとより、従来から「ダンロップ」タイヤを販売していた日本、中国、その他地域においても、「ダンロップ」商標権のグローバル(インドなど一部を除く)展開が可能となったメリットをいかし、「ダンロップ」タイヤの拡販に注力してまいります。 さらに、「ファルケン」タイヤでも、これまで培ってきた特徴ある商品力を軸に、差別化できる商品開発を進め、順次市場に投入することで高付加価値品の増販につなげ、ブランド価値最大化と収益向上に取り組んでまいります。 (スポーツ事業)ゴルフ用品では、世界最大市場である北米においてマーケティングおよび営業体制を強化するとともに、日米2拠点での開発体制により、市場ニーズに応じた他社と差別化した魅力のある商品を投入することで、一層の拡販と新たな価値創出につなげてまいります。 テニス用品では、全豪オープンとのオフィシャルパートナー契約やATPツアーとのグローバルパートナーシップ契約の継続、全米大学テニス協会とのオフィシャルパートナー契約、世界有数のアカデミーとの協業等での若手育成およびトッププロ選手との契約強化といった「ダンロップ」ブランドの価値向上施策を基盤に、ボールやラケットのシェアアップを図ります。また、今後のタイヤ事業における「ダンロップ」のグローバル展開に伴い、スポーツ事業とのクロスマーケティングなどシナジーを創出する取り組みも強化してまいります。 今後もスポーツ関連用品やサービスを通じて、お客様に感動と「ヨロコビ」を、引き続き提供してまいります。 (産業品他事業)2024年までに、医療用ポンプ、ガス管、欧州の医療用ゴム製品事業の撤退を決め、事業の選択と集中、構造改革を進めてきましたが、2025年をターニングポイントとして今後さらに成長・拡大路線を進めてまいります。特に、医療用ゴム製品事業は、中長期的な生産能力の増強によってグローバルな事業拡大を目指し、制振事業は、シェアNo.1(※)の国内新築木造戸建て住宅用制震ダンパーを中心に、自然災害への対策強化を進めます。 今後も各事業で、時代のニーズに適応する付加価値の高い商品を開発・提供することにより、暮らし・街づくりに関わる社会課題解決に引き続き貢献してまいります。 ※㈱未来トレンド研究機構調べ(2023年1月~12月における国内の新築木造戸建て住宅用制震ダンパーに 関する市場調査) |
経営者による財政状態の説明
| 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況 前連結会計年度当連結会計年度増減率 百万円百万円%売上収益1,177,3991,211,8562.9 タイヤ事業1,006,3811,046,3944.0 スポーツ事業126,647125,650△0.8 産業品他事業44,37139,812△10.3事業利益77,67087,94113.2 タイヤ事業63,57276,18119.8 スポーツ事業12,4827,878△36.9 産業品他事業1,6033,725132.3 調整額13157-営業利益64,49011,186△82.7親会社の所有者に帰属する当期利益37,0489,865△73.4(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。 為替レートの前提 前連結会計年度当連結会計年度増減1米ドル当たり141円152円11円1ユーロ当たり152円164円12円 当期の経済環境は、一部では足踏みも見られるものの緩やかに回復してきています。我が国においては雇用や所得の環境が改善するなかで消費者物価が上昇しています。今後も経済の緩やかな回復が続くことが期待されますが、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクがあり、金利や物価の動向などに加え、中東地域をめぐる情勢でも不確実性が高い状況です。当社グループを取り巻く情勢につきましては、一部自動車メーカーの生産停止に伴う影響を受けたことや、インフレ等の影響による市況停滞もあり、当期のタイヤ販売本数は前期を下回りました。一方で為替変動の影響などもあり、前期に引き続き利益状況が大幅に改善しました。そのようななか、当社グループは2027年を目標年度とする中期計画の実現に向けて経営基盤強化を目指す全社プロジェクトを強力に推進するとともに、顧客ニーズに対応した高機能商品を開発・増販するなど、競争力の強化にグループを挙げて取り組みました。また、米国タイヤ工場について生産終了および当該子会社の解散の意思決定を行ったことに加え、欧州の医療用ゴム事業と国内フィットネス事業の売却を完了するなど、構造改革を強力に推進しました。この結果、当社グループの連結業績は、売上収益は1,211,856百万円(前期比2.9%増)、事業利益は87,941百万円(前期比13.2%増)、営業利益は11,186百万円(前期比82.7%減)となり、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は9,865百万円(前期比73.4%減)となりました。 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。 (タイヤ事業)タイヤ事業の売上収益は、1,046,394百万円(前期比4.0%増)、事業利益は76,181百万円(前期比19.8%増)となりました。国内新車用タイヤは、一部自動車メーカーにおける減産の影響に加え、8月末の台風の影響などもあり、販売量は前期を大きく下回りました。国内市販用タイヤは、夏タイヤの販売本数が前期を上回りましたが、冬タイヤについては前年を下回りました。低採算品を戦略的に減らしたこともあり、全体の販売本数は前期を下回りました。当社独自の新技術「アクティブトレッド」を搭載した次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」を10月に発売し、市場で高い評価をいただくとともに、初年度販売目標を上回りました。海外新車用タイヤについては、アジア圏における日系自動車メーカー向けを中心に大きく減少しました。海外市販用タイヤは、前期を若干下回る販売となりました。アジア・大洋州地域において、中国では市況低迷の影響で低水準にとどまっています。東南アジアでも総じて市況が低調でしたが、アジア・太平洋地域全体では前期並みの水準となりました。欧州地域においてはFALKENブランドの強みであるオールシーズンタイヤ等の拡販を進めたことの効果はありましたが、一時的な供給不足もあり、前期を下回りました。米州地域においては、北米では前期より微減となったものの、主力商品のワイルドピークシリーズを中心に増販したほか、二輪車用タイヤも堅調に推移しました。南米においては海上運賃の下落などを背景にマーケットに輸入品が増加し厳しい販売環境となるなか、当社は販売代理店と連携しながら拡販に努め、前期を上回りました。以上の結果、タイヤ販売本数は前期を下回ったものの、為替影響もありタイヤ事業の売上収益は前期を上回り、事業利益についても増益となりました。 (スポーツ事業)スポーツ事業の売上収益は、125,650百万円(前期比0.8%減)、事業利益は7,878百万円(前期比36.9%減)となりました。ゴルフ用品はSRIXONゴルフクラブの健闘や為替の円安効果があったものの、韓国の市況悪化や北米での競争環境激化などの影響を受け、売上収益は前期を下回りました。テニス用品は欧州で減収となりましたが、日本・北米での増販により、売上収益は前期を上回りました。ウェルネス事業は、ゴルフスクール・テニススクールを除き、対象会社の全株式を12月上旬に新たな株主へ譲渡いたしました。以上の結果、スポーツ事業の売上収益は前期を下回り、事業利益についても主力のゴルフ事業が日本・北米・韓国など主要市場で減速したことなどにより減益となりました。 (産業品他事業)産業品他事業の売上収益は、39,812百万円(前期比10.3%減)、事業利益は3,725百万円(前期比132.3%増)となりました。医療用ゴム製品については、欧州の製造・販売子会社株式の譲渡を1月末に実施したことや、国内の生産能力増強工事に伴う工場の稼働一時停止により減収となりました。その他、生活用品なども減収となりましたが、インフラ事業、OA機器用ゴム部品、制振ダンパーは増収となりました。以上の結果、産業品他事業の売上収益は前期を下回りましたが、欧州の医療用ゴム製品子会社の株式譲渡の影響を除くと前期を上回りました。事業利益については前期の2倍以上と、大幅な増益となりました。 ②財政状態の状況 前連結会計年度当連結会計年度増減 百万円百万円百万円資産合計1,266,7321,341,12374,391負債合計625,302665,31340,011資本合計641,430675,81034,380親会社の所有者に帰属する持分624,114656,13432,020親会社所有者帰属持分比率(%)49.348.9△0.4ROE(%)6.31.5△4.8ROA(%)6.26.70.5有利子負債310,932331,21820,286D/E レシオ(倍)0.50.5-1株当たり親会社所有者帰属持分2,372円90銭2,494円54銭121円64銭(注)ROAは連結ベースの事業利益に基づき算出しております。 当連結会計年度末の資産合計は、1,341,123百万円と前連結会計年度末に比べて74,391百万円増加しました。棚卸資産などの増加などにより流動資産が45,043百万円増加しました。また、繰延税金資産の増加などにより非流動資産は29,348百万円増加しました。当連結会計年度末の負債合計は、665,313百万円と前連結会計年度末に比べて40,011百万円増加し、有利子負債残高は、331,218百万円と前連結会計年度末に比べて20,286百万円増加しました。 当連結会計年度末の資本合計は675,810百万円と前連結会計年度末に比べて34,380百万円増加しました。うち親会社の所有者に帰属する持分は656,134百万円と前連結会計年度末に比べて32,020百万円増加しました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は48.9%、1株当たり親会社所有者帰属持分は2,494円54銭となりました。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10,131百万円増加し、当連結会計年度末には100,382百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、104,325百万円(前連結会計年度比65,475百万円の収入の減少)となりました。これは主として、法人所得税の支払27,474百万円などの減少要因があったものの、減損損失45,124百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上83,168百万円などの増加要因によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、64,659百万円(前連結会計年度比2,429百万円の支出の増加)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出56,797百万円などによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、35,623百万円(前連結会計年度比59,945百万円の支出の減少)となりました。これは主として、短期借入金で43,997百万円増加したものの、長期借入金及び社債の返済で35,000百万円減少したほか、配当金の支払21,561百万円、リース負債の返済20,267百万円を行ったことなどによるものであります。 (2)生産、受注及び販売の実績①生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)タイヤ事業875,446108.8スポーツ事業64,09593.6産業品他事業28,03472.1合計967,575106.1(注)1.金額は、販売価格によっております。 2.当連結会計年度において、産業品他事業の生産実績に著しい変動がありました。これは、欧州の製造・販 売子会社株式の譲渡を1月末に実施したことや、国内の生産能力増強工事に伴う工場の稼働一時停止等に よるものであります。 ②受注実績 当社グループの製品は、大部分が見込生産であり、ごく一部の製品(防舷材等)についてのみ受注生産を行っております。 ③販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)タイヤ事業1,046,394104.0スポーツ事業125,65099.2産業品他事業39,81289.7合計1,211,856102.9(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの中期計画における数値目標は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載のとおりですが、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与えた主なものは、直接原価の増加と為替円安による影響であります。主力のタイヤ事業において、当連結会計年度においては、人件費の上昇により直接原価が増加したことや、原材料面では、天然ゴム価格が高騰したことが減益要因となりました。販売面では、新車用タイヤでは国内において自動車メーカーの減産の影響があったことや、海外においても東南アジアや中国での自動車メーカーへの納入減少の影響により販売数量は前連結会計年度を下回りました。市販用タイヤでは国内市場において夏タイヤの増販や10月に発売した「SYNCHRO WEATHER」の好調な売れ行きがあったものの、年初の暖冬影響による冬タイヤの販売数量の減少や低採算品を戦略的に減らしたことにより、販売数量が前連結会計年度を下回りました。また、海外市場でも市販用タイヤは前連結会計年度を若干下回る販売となりました。一方で、高機能商品の更なる拡販、北米事業の構造改革の効果など、収益力の向上を目指して様々な対策に取り組んだことから、構成の良化が増益要因となりました。また、北米アンチダンピング関税や北米アロケーション益がプラスとなり数量・構成他は増益要因となりました。そのほか、固定費での人件費増加や、経費ではDX推進費用や広告宣伝費が増加したことなどの影響によりそれぞれ減益要因となりました。為替については、円安傾向に推移したため、増益要因となりました。この結果、前連結会計年度に対し、数量・構成他で約273億円、為替で約135億円がそれぞれ増益要因となったものの、原材料で約78億円、販売価格で約17億円、直接原価で約116億円、固定費で約41億円、経費で約30億円の減益要因となり、タイヤ事業全体で事業利益は前連結会計年度に比べ約126億円の増益となりました。スポーツ事業及び産業品他事業の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。 当連結会計年度 事業利益の増減要因以上の結果、売上収益は1,211,856百万円と前連結会計年度に比べ34,457百万円(2.9%)の増収、事業利益は87,941百万円と前連結会計年度に比べ10,271百万円(13.2%)の増益となり、事業利益率は前連結会計年度に比べ0.7ポイント上昇し、7.3%となりました。その他の収益及び費用では、減損損失や事業再構築費用を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ63,575百万円の減益となりました。この結果、営業利益は11,186百万円と前連結会計年度に比べ53,304百万円(△82.7%)の減益となり、営業利益率は前連結会計年度に比べ4.6ポイント低下し、0.9%となりました。金融収益及び費用では、前連結会計年度での為替差損が為替差益に転じたことにより、前連結会計年度に比べ6,788百万円の増益となりました。以上の結果、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は9,865百万円と前連結会計年度に比べ27,183百万円(△73.4%)の減益となりました。中期計画における目標達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載の施策に取り組んでまいります。 ③キャッシュ・フローの状況の分析、資本の財源及び資金の流動性についての分析キャッシュ・フローの分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローは39,666百万円のプラスとなり、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載の方針に基づき、配当金の支払21,561百万円を行いました。今後、主に世界各地での増販に合わせた高機能タイヤの生産能力増強のための設備投資を引き続き行っていきますが、販売数量の増加と採算性の改善により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を実現しながら、必要に応じ金融市場や金融機関からの調達も活用するなど、「成長」と「流動性の確保並びに財務体質の向上」との両立を図りながら、2023年2月14日公表の中期計画で目標としているD/Eレシオ0.6の達成を目指す中で、当連結会計年度ではD/Eレシオ0.5を達成しました。なお、当社と国内子会社、当社と一部の海外子会社との間でCMS(キャッシュマネジメントシステム)による資金融通を行っており、当社グループ内での資金効率向上を図っております。また、当連結会計年度末現在において、日本格付研究所(JCR)より「A+(長期)、J-1(短期)」の信用格付を取得しております。 |
※本記事は「住友ゴム工業株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)



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