リンナイ株式会社の基本情報

会社名リンナイ株式会社
業種金属製品
従業員数連10908名 単3512名
従業員平均年齢40.7歳
従業員平均勤続年数18.9年
平均年収7142237円
1株当たりの純資産2885.72円
1株当たりの純利益(連結)209.66円
決算時期3月
配当金80円
配当性向50.1%
株価収益率(PER)16.48倍
自己資本利益率(ROE)(連結)7.5%
営業活動によるCF575億円
投資活動によるCF▲226億円
財務活動によるCF▲265億円
研究開発費※1149.39億円
設備投資額※12.61億円
販売費および一般管理費※1688.86億円
株主資本比率※281.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「品質こそ我らが命」を原点思想とし、「熱と暮らし」「健康と暮らし」をテーマとした商品・サービスの提供に努め、健全で心地よい暮らしの実現を目指します。 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2021年度から2025年度を計画年度とする中期経営計画「New ERA 2025」において、達成目標を定めており、2025年度 計画は以下の通りであります。 中期経営計画「New ERA 2025」における2025年度 達成数値目標2025年度 計画1.連結売上高4,500億円4,700億円2.連結営業利益500億円500億円3.連結営業利益率11.1%10.6%4.連結投下資本利益率(ROIC)19.0%12.0%5.総還元性向(5年平均)40.0%77.3%6.生活の質向上商品の売上高  地球環境貢献商品の売上高100%UP(2020年度比)70%UP(2020年度比)100%UP(2020年度比)70%UP(2020年度比)7.CO?削減貢献量820万t531万t8.自己資本当期純利益率(ROE)8.0%8.0%9.連結配当性向40.0%42.1%※生活の質向上商品=各国の生活水準に合わせて特に生活の質向上に貢献する商品 (生活の質向上項目) (1)利便性向上によるストレス低減 (2)住空間の安全性向上 (3)衛生改善・健康増進      (4)レジリエンス※地球環境貢献商品=温室効果ガスや大気汚染物質の排出量低減に貢献する商品※CO?削減貢献量=地球環境貢献商品の拡販により、削減したCO?排出量 従来機器使用時のCO?排出量 ― 地球環境貢献商品使用時のCO?排出量※「6.生活の質向上商品の売上高・地球環境貢献商品の売上高」および「7.CO?削減貢献量」は、2023年度までの進捗を踏まえ、2024年5月9日に2025年度の達成目標を以下のように上方修正しております。(修正前)生活の質向上商品の売上高 50%UP(2020年度比)地球環境貢献商品の売上高 50%UP(2020年度比)CO?削減貢献量 700万t(修正後)生活の質向上商品の売上高 100%UP(2020年度比)地球環境貢献商品の売上高  70%UP(2020年度比)CO?削減貢献量 820万t※「8.自己資本当期純利益率(ROE) 8.0%」および「9.連結配当性向 40.0%」は、2023年5月10日に新たな資本政策を公表し、2025年度の達成目標として新たに追加しております。 (3)経営環境及び経営戦略等今後の世界経済は、世界的な物価・金利上昇を背景とした景況感の悪化や金融システムの不安定化、通商政策を始めとするアメリカの政策動向や不動産問題等を抱える中国経済の停滞の長期化といった不確実性の高い状況下で、原材料・部品等の調達コストやエネルギーコストの高止まり、化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトなど、当社グループを取り巻く事業環境は引き続き厳しい状況が継続するものと想定しております。また人工知能やIoTなどの情報技術の急速な進化による生活様式や働き方の変容を通じ、人々の価値基準も大きく変化していくと考えられます。さらに地球温暖化に対する国際的な意識が高まる中、世界各国が脱炭素社会に向けた取り組みを強化しており、化石燃料を取り扱う企業は脱炭素社会を念頭に置いた長期的な事業内容の転換が求められてきております。このような状況のもと、当社グループは2021年度から2025年度を計画年度とする中期経営計画「New ERA 2025」を推進しております。生活の質の向上や地球環境に貢献する商品の普及を目指す「社会課題解決への貢献」、成長市場や未参入地域での販売拡大による地域面での拡大と新規事業創出による事業面での拡大を図る「事業規模の拡大」、人材育成やソフトウエア開発といった重点分野への投資や消費者志向の発想、収益力の強化を通じた「企業体質の変革」という3つの戦略ストーリーの実現に向けた取り組みをさらに強化してまいります。そして「熱と暮らし」「健康と暮らし」分野における世界の社会課題解決にあらゆるエネルギー源と当社コア技術を活用して貢献することで、お客様との約束である「Creating a healthier way of living(健全で心地よい暮らし方を創造します)」の体現と、持続的で堅実な長期成長を遂げてまいります。 <3つの戦略ストーリー>1.社会課題解決への貢献…「生活の質の向上」、「地球環境問題への対応」2.事業規模の拡大…「地域領域の拡大」、「事業領域の拡大」3.企業体質の変革…「消費者志向への変革」、「無形資産への重点投資」、「収益力の強化」 当社は、生産・販売体制を基礎とした6つの地域別セグメントを報告セグメントとしております。それぞれの事業戦略は以下になります。 〈日本〉日本国内は少子高齢化や人口減少が続いており、今後は世帯数の減少も予測されます。また脱炭素社会に向けた取り組みやデジタル化の動きも加速していくことも予測され、ガスコンロやガス給湯機器などの既存事業だけでは今後の成長は厳しくなることが予想されます。当社グループは、「熱と暮らし」「健康と暮らし」をキーワードに、ガス衣類乾燥機や食器洗い乾燥機、マイクロバブルバスユニット、ウルトラファインバブル給湯器などの当社の独自性が高い商品による市場拡大と将来の成長基盤となる商品・サービスに向けた研究開発を推進するとともに、ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」を中心とした環境・省エネ性に優れた給湯機器を、経済産業省の給湯省エネ事業での補助金制度を追い風にして普及を加速させることで低炭素社会、脱炭素社会実現に貢献してまいります。また、生活必需品としての側面を持つ当社商品の安定生産・安定供給を果たすべく強靭なサプライチェーン構築に努めてまいります。 〈アメリカ〉給湯器の販売台数が年間1,000万台にのぼるアメリカ市場では、その約9割がタンクに湯を貯めて使用する貯湯式給湯器となっておりますが、カーボンニュートラルに向け、省エネ志向の高まりから、より高効率な給湯器の需要が高まっております。当社グループの主力商品である瞬時にお湯を作るタンクレスガス給湯器は、湯切れの心配がなく省エネ性能も高いため、今後の市場拡大が見込まれます。2022年度にはアメリカ市場におけるタンクレスガス給湯器の需要拡大に対応するため、新工場を立ち上げ本格的な現地生産をスタートしております。通商政策において先行きが不透明でありますが、競合に先駆けて現地生産化を推進しているメリットを最大限、活用してまいります。 〈オーストラリア〉天然資源が豊富なオーストラリアは、一次エネルギー消費の多くを石炭や天然ガスなどの化石燃料に依存していますが、近年、脱炭素社会に向けた取り組みとして、化石燃料から再生可能エネルギーへの利用拡大の動きが見られます。当社グループは瞬間式ガス給湯器に加え、電気貯湯式給湯器、家庭用ルームエアコン、ダクト式冷暖房システム、業務用空調機器等、多様なエネルギーの利用環境に対応した給湯機器や空調機器を展開しております。今後も従来機器の省エネ性能を高めるとともに、電気式ヒートポンプ給湯器などの再生可能エネルギーを利用した機器の拡充を図り、現地社会に最適なエネルギー機器の提供に努めます。 〈中国〉不動産市場の不況に端を発する中国経済の停滞が続く見込みである一方で、社会インフラの拡大と所得水準の向上により、中国におけるガス機器市場は拡大が見込まれます。多くのガス機器メーカーが参入する競合市場となっております。当社グループはこれまで培ってきた制御技術により細やかな温度制御を実現した給湯器やセンサー機能を搭載したガスコンロなど、独自の価値提供を通し現地競合メーカーとの差別化を図るとともに現地開発・生産における原価低減を進め、収益性の向上を図ってまいります。成長著しいインターネット販売およびインターネットのプラットフォーマーが持つネット実店舗での拡販やマーケティングの強化を通じ、市場での優位性を高めていくとともに、給湯機器に次ぐ新たなコア事業創出を図ることで中国市場での事業拡大に努めてまいります。 〈韓国〉韓国経済は輸出依存度の高い中国経済の成長鈍化や少子高齢化の進行に伴い、韓国国内の景気は停滞が続いています。住宅関連事業の内需も厳しい状況にあり、特に主力であるボイラー市場においては、競合他社との価格競争が激化しています。当社グループは、コストダウンや生産性の向上、不採算商品の整理などの経営改善を着実に進めていくとともに、日本で好評を得ているウルトラファインバブル機能を搭載したボイラーを新発売するなど他社との差別化を推進してまいります。 〈インドネシア〉インドネシアでは2006年から政府主導によるLPガス普及の国家プロジェクトが進められ、多くの家庭にガスコンロが普及しております。当社グループは日本で培った高品質のガスコンロの販売を続け、現地ガスコンロ市場での高いシェア及びブランドを獲得しております。また現地では、所得水準の向上によりキッチン一体型のビルトインコンロやレンジフードなど高価格帯商品へのシフトに加速感が出てきております。当社グループは成長著しいビルトイン商材のラインアップ拡充や主力であるガスコンロ販売を通じ、今後も現地生活文化の向上への貢献と事業拡大を推進してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、対処すべき事業上の課題として、「生活の質向上」、「地球環境問題への対応」を掲げ、それぞれの課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。 ?生活の質の向上?当社グループは給湯機器、厨房機器及び空調機器など、人々の生活に密着した商品を展開しており、商品のさらなる価値提供により、健康、上質、心地よさなど、お客様の「楽しみ」や「ワクワク」の体現を図り、「生活の質」の向上に貢献してまいります。 ?地球環境問題への対応?当社グループの省エネ機器を通して、CO?排出量削減や大気汚染改善などを図り、「地球規模での環境課題の解決」に本業を通じて貢献してまいります。脱炭素社会実現に向けた長期企業方針「RIM 2050」のもと、当面の低炭素社会においては省エネ機器の販売拡大を推進するとともに、多様なエネルギーに対応する技術の深化を図り、脱炭素社会の実現に対応してまいります。 また当社グループは、健全でリスクに強い財務基盤を構築しつつ、未来への成長投資と株主への安定還元を図ることを資本政策の基本方針としております。健全で心地よい暮らしの実現と、持続的成長に向けた戦略的投資を行うとともに、安定配当および配当性向の段階的な引上げによる配当の拡充と機動的な自己株式の取得による株主還元を通し、企業価値の向上に努めてまいります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、引き続く世界的な物価上昇や金融引き締めによる景況感の悪化、通商政策を始めとするアメリカの政策動向や不動産問題等を抱える中国経済の停滞の長期化など先行きが不透明な状態が継続しております。また国内経済においても、原材料・エネルギーコストの高騰に加え、賃上げなどを背景とした物価上昇や急激な為替変動が続き、予断を許さない状況となっております。国内の住宅関連業界は、緩やかな減少が続く持ち家住宅を中心に新設住宅着工戸数が弱含みで推移する中、住宅設備機器業界はリフォームにおいて回復の動きが継続しております。このような状況の中、当社グループは中期経営計画「New ERA 2025」における3つの戦略ストーリーである「社会課題解決への貢献」、「事業規模の拡大」、「企業体質の変革」の実現に向けた取り組みを推進しております。具体的には、「社会課題解決への貢献」として定めた「生活の質向上」および「地球環境」貢献商品として、主に以下の商品の拡販を進めております。■ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」高い省エネ性能を誇るだけでなく、ガスと電気の2種類の熱源を持つことによるレジリエンスの高さに加え、ディマンド・レスポンスにも柔軟に対応が可能なため、カーボンニュートラルの実現への貢献が見込まれます。■タンクレス給湯器瞬間的に出湯するタンクレス給湯器は、事前に沸かしたお湯を貯湯するタンク式給湯器に比べて省エネ性能が高く、また湯切れのおそれがないことからさらなる拡販に努めております。■エアバブル商材(ウルトラファインバブル・マイクロバブル)微細な気泡を発生させたお湯への入浴による健康増進・美髪効果に加え、高い洗浄力によって日々の掃除の負担を軽減でき、日本をはじめとしたアジア圏で展開しております。■ガス衣類乾燥機ガスならではのパワフルな温風による短時間での乾燥を実現することで、家事の時短につながり、世界14ヵ国に展開し、普及に努めております。このように、当社グループのカーボンニュートラル宣言「RIM 2050」の達成に向け、重点商品の拡充に取り組むとともに、お客様との約束である「Creating a healthier way of living(健全で心地よい暮らし方を創造します)」の実現と持続的で堅実な長期成長に向けた取り組みも着実に進めております。当連結会計年度の業績は、販売面につきましては、主要国において濃淡はあるものの上期からの好調を維持し、過去最高の売上高となりました。損益面につきましては、世界的な物価上昇に伴う原材料・エネルギー価格の高騰などによる各種費用負担に加え、日本における浴室暖房乾燥機の無償点検費用を計上するなか、価格改定や原価低減活動効果によって過去最高益となりました。この結果、売上高は4,603億19百万円(前期比7.0%増)、営業利益は460億5百万円(前期比16.9%増)、経常利益は503億23百万円(前期比9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は296億91百万円(前期比11.3%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。日本は、売上高2,037億31百万円(前期比5.9%増)、営業利益223億9百万円(前期比24.2%増)となりました。アメリカは、売上高664億57百万円(前期比14.8%増)、営業利益21億30百万円(前期は営業損失11億97百万円)となりました。オーストラリアは、売上高366億5百万円(前期比20.7%増)、営業利益は11億19百万円(前期比10.2%減)となりました。中国は、売上高685億96百万円(前期比4.6%減)、営業利益は100億95百万円(前期比16.9%減)となりました。韓国は、売上高347億19百万円(前期比8.9%増)、営業利益は9億30百万円(前期は営業利益16百万円)となりました。インドネシアは、売上高170億10百万円(前期比14.1%増)、営業利益は38億42百万円(前期比39.9%増)となりました。(注)売上高についてはセグメント間の取引を相殺消去した数値によっております。 ②キャッシュ・フローの状況 キャッシュ・フローの状況について、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて124億70百万円増加し、1,363億円(前期比10.1%増)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 主に営業利益の確保による資金の増加、法人税等の支払による資金の減少等の結果、営業活動によって得られた資金は575億2百万円(前期比32.7%増)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 主に有形固定資産の取得による支出等により、投資活動の結果支出した資金は226億85百万円(前期比13.6%増)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 主に自己株式の取得による支出や配当金の支払い等により、財務活動の結果支出した資金は265億3百万円(前期比12.0%増)となりました。③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)日本 (百万円)225,841112.30アメリカ (百万円)17,885132.28オーストラリア (百万円)12,373108.67中国 (百万円)66,748100.19韓国 (百万円)31,722108.91インドネシア (百万円)17,691124.77 報告セグメント計 (百万円)372,263110.81その他 (百万円)19,985106.22 計 (百万円)392,249110.57 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 b.商品仕入実績 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)日本 (百万円)26,081111.67アメリカ (百万円)78658.16オーストラリア (百万円)14,308131.52中国 (百万円)3,198119.63韓国 (百万円)2,769175.68インドネシア (百万円)-0.00 報告セグメント計 (百万円)47,145114.83その他 (百万円)6,368114.26 計 (百万円)53,513114.76 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 c.受注実績 当社グループは受注見込による生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。d.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)日本 (百万円)203,731105.91アメリカ (百万円)66,457114.83オーストラリア (百万円)36,605120.66中国 (百万円)68,59695.42韓国 (百万円)34,719108.93インドネシア (百万円)17,010114.06 報告セグメント計 (百万円)427,120106.98その他 (百万円)33,198107.29 計 (百万円)460,319107.00 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループは2021年度から2025年度を計画年度とする中期経営計画「New ERA 2025」を推進しております。計画遂行の達成状況を判断するための客観的な指標として、中期経営計画の最終年度である2025年度における連結売上高営業利益率11.1%および連結ROIC19.0%の達成を重要な数値目標としております。また、2023年5月に連結ROEを重要な経営指標として定め、「中長期的な利益の持続的成長」という基本方針のもと、2025年度の目標を8.0%と設定いたしました。 当連結会計年度においては、世界的な物価の上昇や金利の高止まりにより販売が低調に推移したことに加え、原材料・エネルギー価格の高騰を始めとした各種コスト増により収益性が鈍化した結果、連結売上高営業利益率は10.0%(前期比0.8ポイント増)、連結ROICは、供給遅延対策として実施した棚卸資産の増加や設備投資の進捗、成長投資の実行により投下資本が増加したことで低調に推移しておりますが、改善に向けた生産体制の見直しなどにより、11.1%(前期比0.6ポイント増)となりました。また、連結ROEは過去最高益を計上したことに加え、配当性向の段階的な引上げおよび自己株式取得により7.5%(前期比0.4ポイント増)となりました。中期経営計画に掲げた戦略の実現に向け、今後もグループ全体の連携を図り収益性と資本効率を高めてまいります。 a.財政状態(資産合計) 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ294億97百万円増加し6,065億86百万円(前連結会計年度末は5,770億88百万円)となりました。 流動資産は、3,624億82百万円(前連結会計年度末は3,414億37百万円)となりました。これは主に、現金及び預金が232億45百万円増加したことによるものであります。 固定資産は、2,441億3百万円(前連結会計年度末は2,356億50百万円)となりました。これは主に、有形固定資産が48億68百万円増加したことによるものであります。(負債合計) 当連結会計年度末の負債合計は、電子記録債務等の減少と、支払手形及び買掛金等の増加により、前連結会計年度末に比べて52億16百万円増加し1,448億67百万円(前連結会計年度末は1,396億50百万円)となりました。(純資産合計) 当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び為替換算調整勘定が増加した一方で、自己株式の取得及び消却をしたこと等により、前連結会計年度末に比べて242億80百万円増加の4,617億18百万円(前連結会計年度末は4,374億38百万円)となり、自己資本比率は66.9%となりました。 b.経営成績(売上高) 売上高は、国内では通年で市場環境は正常化し、ハイブリッド給湯器などの重点商品の販売が大きく伸長しました。海外では主要国において濃淡はあるものの上期からの好調を維持し、前連結会計年度に比べ7.0%増の4,603億19百万円となりました。(売上原価、販売費及び一般管理費) 売上原価は、原材料価格やエネルギー費の高騰などにより、前連結会計年度に比べ4.1%増の3,042億57百万円となりました。販売費及び一般管理費は、日本における浴室暖房乾燥機の無償点検費用を計上するなどにより、前連結会計年度に比べ11.8%増の1,100億56百万円となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益) 親会社株主に帰属する当期純利益は、海外子会社における競争法違反の嫌疑に関連して独禁法関連損失を計上する一方で、政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益を計上するなどして、前連結会計年度に比べ11.3%増の296億91百万円となりました。 c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容〈日本〉 実需に連動した正常な事業環境が継続するなか、高効率給湯器に対する補助金の追い風を受けたハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」や当社の独自性の高いガス衣類乾燥機、エアバブル商材などの重点商品の販売が大きく伸長しました。この結果、日本の売上高は2,037億31百万円(前期比5.9%増)となりました。損益面では、浴室暖房乾燥機の無償点検にかかる費用などを約27億円計上し、営業利益は223億9百万円(前期比24.2%増)となりました。 セグメント資産は、建物及び構築物等の有形固定資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ1億82百万円増加し、3,612億36百万円となりました。 〈アメリカ〉 住宅設備市場における消費マインドは低調であるなか、省エネ意識の高まりからタンクレス給湯器市場が伸長しました。加えて、期初に発売した主力であるコンデンシング給湯器の販売が好調に推移したことで、アメリカの売上高は、664億57百万円(前期比14.8%増)営業利益は21億30百万円(前期は営業損失11億97百万円)となりました。 セグメント資産は、連結子会社の買収に伴う資産の増加などによって、前連結会計年度末に比べ80億13百万円増加し、533億17百万円となりました。〈オーストラリア〉 新築住宅に回復の兆しがあるものの住宅市場としては依然として低調に推移しました。一方で、厳冬によって主力のガス機器販売が堅調に推移したことに加え、電化に向けた企業買収も行った結果、オーストラリアの売上高は、366億5百万円(前期比20.7%増)となりました。損益面では、増収効果はあるものの期中に買収した企業ののれんの償却等によって、増益には至らず、営業利益は11億19百万円(前期比10.2%減)となりました。 セグメント資産は、連結子会社の買収に伴う資産の増加などによって、前連結会計年度末に比べ42億55百万円増加し、372億42百万円となりました。〈中国〉 下期にかけて消費マインドが急激に冷え込み、流通在庫が高水準となったものの、近年、販売構成比率が高まっているEC販売においては、底堅く推移しました。この結果、中国の売上高は685億96百万円(前期比4.6%減)となりました。損益面では、減収影響があるなか、原価を作り込んだ主力の給湯器(PF2.0)の販売構成比率向上や経費削減などの経営努力を実施するも、営業利益は100億95百万円(前期比16.9%減)となりました。 セグメント資産は、建物及び構築物等の有形固定資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ64億4百万円増加し、997億57百万円となりました。〈韓国〉 主力であるボイラー市場において、景況感の悪化による価格競争が継続するなか、他社との差別化を意識したウルトラファインバブル搭載ボイラーを新発売しました。その結果、韓国の売上高は347億19百万円(前期比8.9%増)、営業利益は9億30百万円(前期は営業利益16百万円)となりました。 セグメント資産は、棚卸資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ4億98百万円増加し、236億94百万円となりました。〈インドネシア〉 物価上昇に伴い消費マインドが低調に推移するなか、高いシェアを維持する主力のテーブルコンロでの価格改定や高価格帯であるビルトインコンロやレンジフード販売が伸長しました。その結果、インドネシアの売上高は170億10百万円(前期比14.1%増)、営業利益は38億42百万円(前期比39.9%増)となりました。 セグメント資産は、営業活動によるキャッシュ・フローの獲得により現金及び預金等などが増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ31億55百万円増加し、199億18百万円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、主に営業利益の確保により、営業活動によって575億2百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)を獲得した一方で、投資活動においては、連結子会社の買収の実施などによって226億85百万円、また、財務活動においては、継続的な増配と自己株式の取得による株主還元を実施したことなどによって265億3百万円の資金をそれぞれ支出しました。これらの結果、当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度に比べて124億70百万円増加し、1,363億円となりました。また、今後の資本政策については基本方針に基づき、生活必需品としての要素が高い当社グループ商品の安定供給を図るべく、健全な財務基盤を構築するとともに、持続的成長に向けた研究開発や設備投資、無形資産への戦略的投資と、安定配当および配当性向の段階的な引上げによる配当の拡充と機動的な自己株式の取得を通じた総還元性向の向上による株主還元の充実に努めてまいります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、原材料や部品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資等によるものであります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 短期運転資金、設備投資及び長期運転資金について、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金を基本としております。 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は35億32百万円となっております。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。 当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に製品保証引当金及び繰延税金資産に関する見積り及び判断が連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすと考えております。a.製品保証引当金当社及び一部の連結子会社は、製品の無償修理費用の支出に備えるため、製品保証引当金として製品に関する保証費発生見積額を計上しております。当該会社の保証費発生見積額は、過去の発生実績率に基づいて計算した額を計上しておりますが、実際の発生実績率又は製品保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要になる可能性があります。 b.繰延税金資産の回収可能性当社グループは、課税所得の将来の見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき繰延税金資産を計上しております。今後、経営環境の悪化等により課税所得の見積りを減額された場合等には繰延税金資産を取り崩す必要が生じ、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

※本記事は「リンナイ株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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