| 会社名 | 西日本鉄道株式会社 |
| 業種 | 陸運業 |
| 従業員数 | 連18956名 単4586名 |
| 従業員平均年齢 | 46.3歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 18.5年 |
| 平均年収 | 6339000円 |
| 1株当たりの純資産 | 3214.37円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 267.21円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 40円 |
| 配当性向 | 15.5% |
| 株価収益率(PER) | 8.05倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 8.7% |
| 営業活動によるCF | 156億円 |
| 投資活動によるCF | ▲745億円 |
| 財務活動によるCF | 392億円 |
| 研究開発費※1 | -円 |
| 設備投資額※1 | 32.17億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 365.47億円 |
| 株主資本比率※2 | 25.2% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 3581.6億円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 (1) 経営方針、経営戦略等① 会社の経営の基本方針当社グループは、「『出逢いをつくり、期待をはこぶ』事業を通して、“あんしん”と“かいてき”と“ときめき”を提供しつづけ、地域とともに歩み、ともに発展します。」という「にしてつグループの企業理念」に基づき、鉄道・バスの運輸業を軸に、地域に密着した多様な事業を展開しています。 ② 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、1908年の創業以来、様々な時代の変化を乗り越えながら今日に至りますが、今後の長期的な経営環境につきましては、国内人口減少の一方で新興国を中心とした世界人口増加、テクノロジーの急激な進歩、グローバル化に伴う社会の仕組みや顧客ニーズの変化、脱炭素社会の進展等、これまで以上に変化のスピードが急激で、不確実性の高い時代が続くものと認識しています。このような環境下においてもサステナブルな成長を実現するため、これまでの事業モデルの延長ではなく、想定した未来像から遡るバックキャストで、当社グループのありたい姿を描き、その達成に向けた長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2035」を2022年11月に公表いたしました。本長期ビジョンでは、ありたい姿を実現するための基本スタンスを「濃(こま)やかに、共に、創り支える ~Grow in harmony with you~」とし、「出逢いをつくり、期待をはこぶ」事業の進化と新領域への挑戦を両輪としたビジネスモデルの変革、従業員一人ひとりが自律的な成長やチャレンジを実現しながらいきいきと働き、最大のパフォーマンスを発揮できる環境の整備や、事業の効率性とサステナビリティを意識したポートフォリオの構築等を掲げております。 ※長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2035」の詳細は当社グループホームページでご確認ください。 https://www.nishitetsu.co.jp/ja/ir/management/vison.html (2) 経営環境ならびに優先的に対処すべき事業上および財務上の課題① 今後の経営環境の変化わが国においては、より一層の生産年齢人口の減少、デジタル化の加速、脱炭素社会の進展、アジアを中心とした新興国の経済成長と市場拡大等、経営環境が絶えず変化していくことが想定されます。また、各国の通商政策やウクライナ情勢等、国際情勢の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は極めて高く、当社グループにおいても金融・為替市場やわが国経済・物価への影響を注視しています。さらに、当社グループは、福岡都心部における地権者共働の開発プロジェクト等の推進や事業基盤となる人財の確保、デジタル技術活用等による生産性の向上等、様々な課題に直面しています。 ② 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当社グループでは、2023年3月に、「にしてつグループまち夢ビジョン2035」の実現に向けた第1ステップとして、第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)を策定いたしました。本計画では、テーマを「サステナブルな成長への挑戦~Challenge for sustainable growth~」とし、5つの重点戦略に基づき、将来に向けた持続可能な公共交通事業の構築、福ビル街区建替プロジェクトの完遂や、ノウハウを活用した固定資産に頼らない事業モデルの基盤構築、新領域事業への挑戦、多様な人財を確保するための待遇の見直し、サステナブルな成長を支える人財力強化等に向けて取り組みを進めてまいります。さらに、2025年3月に、第16次中期経営計画の最終年度目標の達成に向け、必要な施策の追加・修正を反映した2025年度計画を策定いたしました。本計画では、第16次中期経営計画に掲げた基本方針・重点戦略のもと、今春に開業した「ONE FUKUOKA BLDG.」をはじめとする福岡都心部の再開発、福岡空港の増設滑走路供用開始、九州における半導体関連産業の集積等、福岡・九州における事業環境の変化を適切に捉え、企業価値を高める成長戦略を推進してまいります。 〈2025年度計画〉 「にしてつグループまち夢ビジョン2035」に掲げる、モビリティサービス、「リアルな場」提供サービス、BtoC物販サービス、BtoB物流サービスおよび新領域事業への挑戦、の5つの事業領域、人財・組織戦略および財務・資本戦略における重点戦略に即した主な取り組みは以下のとおりです。 ■収益改善ならびに運営コストの削減 ・運賃改定に向けた検討 ・完全キャッシュレスバスの実証運行を踏まえた本格導入 ・駅遠隔監視制御システム導入に向けた準備 ■持続可能な組織体制・事業運営体制の構築 ・西鉄バス宗像㈱・西鉄バス二日市㈱の西日本鉄道㈱への吸収合併(2025年10月予定) ・天神大牟田線・貝塚線における朝ラッシュ等に対応したダイヤ設定 ■お客さまの利用シーンにあわせた濃やかでシームレスな移動サービスの提供 ・九州MaaSの活動推進による移動の利便性向上・活性化 ■国内外の観光・MICE需要の獲得・受入環境の整備 ・インバウンド増加に向けた対応 福岡空港への高速バス路線新規乗り入れ 鉄道沿線の観光需要取込み施策の実施(企画乗車券の造成・PR強化等) ■新技術を活用したサービス・事業への挑戦 ・自動運転バス実証実験への積極的な参画 ・nimocaのチャージ等、窓口機能のアプリ化検討 ■ノウハウ等を活用した新たな収入源の獲得拡大・新たなスキームづくり ・AI活用型オンデマンドバス「のるーと」の外販強化 ・レトロフィット電気バスの外販強化・事業化検討 ■2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み ・レトロフィット電気バスの導入拡大(約30台) ・水素バスの研究 ■安全性確保に向けた取り組み ・事故防止に向けた取り組み VRおよびアイマークレコーダー(視線測定器)を活用した安全確認手順教育の推進 ・安全マネジメントの取り組み継続 鉄道総合訓練、災害復旧訓練およびバスジャック対応訓練の実施 ■「ONE FUKUOKA BLDG.」 ・開発コンセプト「創造交差点」の実現 ・集客施策の展開■福岡都心部における地権者共働の開発プロジェクト等の推進 ・(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト ・(仮称)天神一丁目15・16番街区プロジェクト ・福岡家庭裁判所跡地における複合開発(2030年開業目標) ・九州大学箱崎キャンパス跡地地区土地利用事業■沿線開発、地域拠点を中心としたまちづくり ・ソラリアプラザ リニューアル(2025年2月~順次オープン) ・連続立体交差事業による周辺開発・店舗開発 白木原駅商業施設 開業(2025年12月予定) 春日原駅商業施設「レイリア春日原」 開業(2026年1月予定) 高宮駅改札外コンコース リニューアル(2026年春オープン予定) 沿線高架下の開発計画の推進 ・柳川駅前にぎわい交流施設の企画・整備 ・地域活性化を目指した他社との協業組織(「Good Local 九州」)による施策推進■国内の事業・業容の拡大 ・分譲マンション等開発事業の拡大(岐阜、京都等) ・新規ホテル出店計画の着実な推進 ソラリア西鉄ホテル大阪本町(仮称)の開業準備(2026年度冬開業予定) ソラリア西鉄ホテル福岡エアポート(仮称)の開業準備(2027年夏開業予定) ・賃貸用物流不動産事業の拡大■不動産ソリューション事業の強化 ・次期私募ファンドおよび私募REIT組成に向けた準備 ・安定した開発利益やプロパティマネジメント・ビルマネジメント受託機会の獲得■海外でのまちづくりに向けた事業の拡大 ・パートナー連携による既進出国での着実な事業推進(東南アジア・アメリカ) ・技術提案・支援による提供商品の品質向上■2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み ・既存施設への再生可能エネルギーの採用 ・環境に配慮した開発の推進 ■収益性の向上・改善 ・物流の効率化による配送コスト低減 ・キャッシュレス決済比率向上による生産性向上 ・惣菜製造拠点集約に向けた検討■新規店舗出店・リニューアルの実施 ・スーパーマーケット レガネット天神 リニューアル(2025年6月) ・スーパーマーケット レガネット春日原(仮称)開業(2026年1月予定) ・飲食店ブランドの海外展開 ・雑貨館インキューブ させぼ五番街店 リニューアル(2025年9月予定)■デジタルを活用した事業拡大 ・新アプリ「ユナイトアプリ」のリリース ・プラットフォーマーとの連携や移動販売による店舗外売上の拡大 ■DX推進による業務効率化および営業力強化 ・顧客ポータルサイトの活用による生産性の向上 ・貿易情報プラットフォームとの連携■海外ネットワークの拡大 ・支店開設、各駐在員事務所の現地法人への格上げの検討・推進 2025年度末海外目標拠点数:28カ国 地域120拠点 (開設:トルコ イスタンブール、メキシコ モンテレ)■重点品目の選択と集中 ・航空宇宙、自動車、半導体、食品、アパレルにおける航空輸出入の取扱重量の拡大■フォワーディング事業の拡大(スケールメリットの獲得) ・物量の拡大を目指した機動的な入札対応の推進■九州での事業強化 ・半導体産業の集積が進む熊本地区での事業拡大 ・食品ビジネスの拡販 ■2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み ・グリーンロジスティクスへの取り組み モーダルシフト[鉄道輸送活用]の推進 SAF(Sustainable Aviation Fuel)プログラムの利用促進 ※SAF:主にバイオマス由来の原料から製造された航空燃料のことであり、CO2排出量を削減可能 ■エネルギー領域における事業拡大 ・再生可能エネルギー電源開発事業の拡大 沿線自治体との連携 ・系統用蓄電池事業の事業拡大の検討■新たな事業・サービスの創出 ・新規事業創出プログラム「X-Dream(クロスドリーム)」提案内容の実証実験および事業化 ・オープンイノベーションプログラム「Join up with Nishitetsu」におけるスタートアップ企業との連携 ■事業拡大を見据えた多様な人財の確保 ・鉄道・バス乗務員をはじめとした全従業員の待遇改善(基本給・初任給の引き上げ、各種手当の改定等) ・戦略実現に必要な人財の計画的な創出 人財ポートフォリオ、人財定義の作成 次世代経営者候補の選抜・育成方法検討 ・職種や専門性に応じた人事賃金制度の検討 ・定年延長の実施(現行:60歳 改定後:65歳) ・従業員の自己成長・チャレンジを実現する仕組みづくり キャリア研修の拡大 資格取得支援施策の拡充 キャリア開発手当(自己啓発支援手当)の導入 1on1ミーティングの強化 ・デジタル人財の育成(生成AI利活用による生産性向上に資する研修の実施等) ・にしてつグループまち夢ビジョン2035の実現に向けた未来洞察志向の浸透・アップデート にしてつ未来創造プロジェクト「NIT」(Nishitetsu Innovation Team)の継続実施■多様な価値観、ライフステージに寄り添った施策の拡充 ・男性育児休業取得率向上に向けた施策の推進 ・企業価値向上に向けた健康経営推進の取り組み(グループ推進体制の整備、推進計画の実施等) ・本社におけるABW(Activity Based Working)導入による働きやすい環境の構築 ※ABW:その時々の仕事の内容に合わせて働く場所を自由に選択する働き方 ■資本効率を意識した経営の実践 ・事業ポートフォリオマネジメントの推進 ・ROEの向上を意識した規律あるBSマネジメント・CFマネジメントの実施■投資家・株主への情報開示の充実 ・経営トップとの対話機会の拡充 ・個人投資家向け会社説明会の強化■株主への利益還元 ・政策保有株式の保有目的に応じた保有規模見直し ・機動的な資本政策の遂行および資本効率向上を目的とした自己株式の取得 ・安定的・継続的な配当の実施 ※ 第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)、2024年度計画および2025年度計画の詳細は、 当社グループホームページでご確認ください。 https://www.nishitetsu.co.jp/ja/ir/management/managementplan.html (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、持続的な成長と企業価値向上のため、収益力を高めると共に、経営の効率化を図ってまいります。達成状況を判断するための客観的な指標として、収益力の成長性を示す「連結事業利益」、「連結EBITDA」、財務健全性を示す「NET有利子負債/EBITDA倍率」、資産効率を示す「ROA」、資本効率を示す「ROE」を採用しております。 第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)における経営数値目標(連結)は次のとおりです。 2026年3月期計画連結事業利益(注)1263億円連結EBITDA (注)2498億円NET有利子負債/EBITDA倍率6.6倍ROA(総資産事業利益率) (注)33.3%ROE(自己資本当期純利益率)8.4%(参考)連結営業収益4,700億円(参考)連結営業利益250億円 (注) 1 連結事業利益=連結営業利益+事業投資に伴う受取配当金・持分法投資損益等2 連結EBITDA=連結事業利益+減価償却費+のれん償却費(営業費)3 総資産は鉄道の受託工事前受金相当額を除いて算出しています。 |
経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。(1) 経営成績(連結経営成績)当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や、インバウンド需要の増加などもあり、緩やかな回復基調の中で推移しました。一方で、物価上昇の継続に加え、米国の通商政策による影響など先行き不透明な状況が続いています。このような情勢のなか、当社グループでは、長期ビジョン「まち夢ビジョン2035」の実現に向けた第1ステップである第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)の目標達成に向け、各施策に取り組みました。この結果、当社グループにおける当連結会計年度の営業収益は、物流業における国際物流事業で輸出入取扱高の増加や、レジャー・サービス業におけるホテル事業で客室単価の上昇に加え、運輸業におけるバス事業で運賃改定効果などもあり4,434億9千5百万円(前期比 7.7%増)となり、営業利益は266億5千5百万円(前期比 3.0%増)となりました。経常利益は、持分法による投資損益の改善などもあり287億3千9百万円(前期比 17.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益の減少などにより208億1千万円(前期比 15.8%減)となりました。その結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)営業収益411,649443,49531,8467.7営業利益25,87726,6557773.0経常利益24,53828,7394,20017.1親会社株主に帰属する当期純利益24,72320,810△3,913△15.8 なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は、次のとおりです。 ① 営業収益及び営業利益当連結会計年度の営業収益は、物流業における国際物流事業で輸出入取扱高の増加や、レジャー・サービス業におけるホテル事業で客室単価の上昇に加え、運輸業におけるバス事業で運賃改定効果などもあり、前連結会計年度から318億4千6百万円増加し、4,434億9千5百万円(前期比 7.7%増)となりました。営業利益は、前連結会計年度から7億7千7百万円増加し、266億5千5百万円(前期比 3.0%増)となりました。セグメントごとの営業収益及び営業利益は、次のとおりです。 セグメントの名称営業収益営業利益前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)運輸業77,72180,9404.13,7664,97932.2不動産業85,94587,7772.111,1589,736△12.7流通業70,90871,9811.5965654△32.3物流業128,818148,02314.94,5283,849△15.0レジャー・サービス業45,04752,71717.04,6325,93228.1計408,441441,4408.125,05225,1510.4その他30,39130,9561.91,7852,36432.5調整額△27,183△28,901-△960△861-連結411,649443,4957.725,87726,6553.0 ② 営業外損益及び経常利益営業外収益は、持分法による投資利益の計上等により、前連結会計年度から7億5千1百万円増加し、52億6千4百万円となりました。営業外費用は、持分法による投資損失の減少等により、前連結会計年度から26億7千1百万円減少し、31億8千万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度から42億円増加し、287億3千9百万円(前期比 17.1%増)となりました。 ③ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益特別利益は、不動産流動化における信託受益権や西新パレスの売却等による固定資産売却益の減少などにより、前連結会計年度から134億9千6百万円減少し、115億7千5百万円となりました。特別損失は、固定資産除却損の減少などにより、前連結会計年度から7億5千6百万円減少し、94億2千6百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度から85億3千9百万円減少し、308億8千8百万円(前期比 21.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から39億1千3百万円減少し、208億1千万円(前期比 15.8%減)となりました。 (セグメント別概況)① 運輸業鉄道事業では、天神大牟田線・貝塚線が開業100周年を迎えました。より一層地域の足として愛される西鉄電車を目指して、新たな公式キャラクター「ガタンコとゴトンコ」を起用し、ラッピング電車の運行、CM放映やグッズ販売等の各種施策を実施しました。また、雑餉隈~下大利駅間連続立体交差事業を推進し、春日原駅の新駅舎の供用を開始しました。さらに、より安全・あんしんな輸送サービスを提供していくため、西鉄福岡(天神)駅のホームドア整備、高宮駅周辺の耐震補強工事を進めました。そのほか、駅集中管理方式を貝塚線に導入し、天神大牟田線においても対象駅を拡大するなど、駅運営体制の見直しを行い、駅業務の省力化を推進しました。 バス事業では、持続可能な公共交通ネットワークを提供するため、西鉄バス大牟田㈱、西鉄バス久留米㈱および西鉄バス佐賀㈱において運賃改定を実施したほか、定時性確保や乗務員の負担軽減に向け、国土交通省が主導する「完全キャッシュレスバス実証運行」に参画しました。また、長期休暇限定で実施していた「こども50円バス」をすべての土曜・日曜・祝日に拡大し、公共交通の利用促進に努めました。さらに、カーボンニュートラルの実現に向けて、レトロフィット電気バスの製作・導入を進めました。 経営成績については、バス事業で、運賃改定(2024年1月実施)の効果などにより増収となりました。鉄道事業で、旅客人員の回復などにより増収となりました。これらの結果、運輸業の営業収益は809億4千万円(前期比 4.1%増)、営業利益は49億7千9百万円(前期比 32.2%増)となりました。 イ 業種別営業成績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)営業収益77,72180,9403,2194.1 鉄道事業21,78422,5958113.7 バス事業52,57255,2882,715※ 5.2 タクシー事業3,2143,137△76△2.4 運輸関連事業10,56311,0885245.0 消去△10,414△11,169△755-営業利益3,7664,9791,21232.2 ※バス事業の内部取引を除くと5.5%の増となります。 ロ 提出会社の鉄道事業の運輸成績種別単位前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)営業日数日366365△0.3営業キロキロ106.1106.1-走行キロ千キロ38,08938,3110.6旅客人員定期千人55,98957,9793.6定期外千人43,05345,0404.6計千人99,042103,0194.0旅客収入定期百万円7,6637,9283.4定期外百万円12,34912,8514.1計百万円20,01320,7793.8手小荷物・その他収入百万円00△51.1運輸雑収百万円8598893.5運輸収入合計百万円20,87321,6693.8乗車効率 (注)%27.229.6- ハ 提出会社のバス事業の運輸成績種別単位前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)営業日数日366365△0.3営業キロキロ4,271.44,267.9△0.1走行キロ千キロ70,14166,433△5.3旅客人員定期千人58,99858,808△0.3定期外千人95,89392,980△3.0計千人154,891151,788△2.0旅客収入定期百万円7,0627,5747.2定期外百万円23,89025,0154.7計百万円30,95232,5895.3手荷物・その他収入百万円00△1.9運輸雑収百万円3,0323,0641.1運輸収入合計百万円33,98635,6554.9乗車効率 (注)%20.120.8- (注)乗車効率算出方式延人キロ×100 1車平均定員×走行キロ ② 不動産業賃貸事業では、福ビル街区建替プロジェクトにおいて、「ONE FUKUOKA BLDG.(ワン・フクオカ・ビルディング)」(2025年4月24日開業)の開業に向け、九州初出店の店舗等魅力あるテナントの誘致に努めました。また、西鉄久留米駅ビル内商業施設「エマックス久留米」を「レイリア久留米」としてリニューアルしたほか、雑餉隈~下大利駅間連続立体交差事業に伴う駅周辺開発および店舗開発を進めるなど、沿線の活性化と収益の拡大を図りました。さらに、ソラリアステージビル1階の「ステージ広場ビジョン」のリニューアル工事を行い、名称を「SOLARIA DAIGAMEN」とし、新たに運用を開始しました。そのほか、天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト、天神一丁目15・16番街区プロジェクト等、福岡都心部における地権者共働の開発プロジェクト等の取り組みを着実に推進しました。住宅事業では、「ウエリス八千代村上」、「つくばグランヴィラ」等、マンションの供給・販売に努めました。また、東南アジア、アメリカにおいて現地デベロッパーと共同で住宅開発を行うなど、海外における不動産事業の拡大を図りました。その他不動産事業では、「西鉄アセットマネジメント株式会社」を設立し、不動産流動化による資本効率の向上や事業機会の創出に努めました。 経営成績については、住宅事業で、分譲販売区画数は増加したものの、前期に比べ販売単価は減少し減収となりました。一方、賃貸事業で、「ONE FUKUOKA BLDG.」の竣工(2024年12月)や商業施設での賃貸収入の増加などにより増収となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は877億7千7百万円(前期比 2.1%増)となりました。営業利益は、賃貸事業での「ONE FUKUOKA BLDG.」竣工による費用の発生などにより97億3千6百万円(前期比 12.7%減)となりました。 イ 業種別営業成績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)営業収益85,94587,7771,8312.1 賃貸事業31,50632,8411,3354.2 住宅事業44,77143,606△1,165△2.6 その他不動産事業14,24116,2552,01414.1 消去△4,573△4,926△353-営業利益11,1589,736△1,422△12.7 ロ 分譲販売区画数 単位前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)分譲販売区画数区画832 885 53 6.4 マンション(うち一棟売却 賃貸マンション)戸701 (115)695 (149)△6 (34)△0.9 (29.6) 戸建区画117 175 58 49.6 リノベーション戸14 15 1 7.1 ③ 流通業ストア事業では、「レガネット砂津」をリニューアルオープンするなど、収益力の強化に努めました。 生活雑貨販売業では、「雑貨館インキューブイオンモール直方店」を開業するなど、収益の拡大を図りました。 経営成績については、ストア事業で、前期に改装した店舗等が寄与し増収となりました。生活雑貨販売業で、「イオンモール直方店」の開業(2024年4月)などにより増収となりました。これらの結果、流通業の営業収益は719億8千1百万円(前期比 1.5%増)となりました。営業利益は、ストア事業での人件費などの費用が増加したことなどにより6億5千4百万円(前期比 32.3%減)となりました。 業種別営業成績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)営業収益70,90871,9811,0731.5 ストア事業65,36765,9275600.9 生活雑貨販売業5,5416,0545129.3 消去△0△0△0-営業利益965654△311△32.3 ④ 物流業国際物流事業では、「関東ロジスティクスセンター」や台湾現地法人(NNR GLOBAL LOGISTICS TAIWAN INC.)初のロジスティクス拠点となる「桃園ロジスティクスセンター」を開設するなど、物流拠点の拡充、域内物流ネットワークの強化を図りました。また、半導体産業の集積が進む熊本地区において、熊本営業所を開設し、九州全域のセールス強化に努めました。さらに、「りんくうロジスティクスセンター」、「成田ロジスティクスセンター」において太陽光発電設備および蓄電池を導入するなど、カーボンニュートラルの実現のための取り組みを実施しました。経営成績については、国際物流事業で、荷動きの回復による取扱数量の増加や為替変動による円換算額の増加などにより増収となりました。その結果、物流業の営業収益は1,480億2千3百万円(前期比 14.9%増)となりました。営業利益は、仕入価格の上昇などにより38億4千9百万円(前期比 15.0%減)となりました。 イ 業種別営業成績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)営業収益128,818148,02319,20514.9 国際物流事業138,653154,94116,28811.7 国内物流事業10,59510,9483533.3 消去△20,429△17,8662,563-営業利益4,5283,849△679△15.0 ロ 国際貨物取扱高 単位前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%) 航空輸出千トン9510388.8 航空輸入千件31432162.2 海運輸出千TEU ※991121313.1 海運輸入千TEU ※1291461612.8 ※TEU:20フィートの海上輸送コンテナを1単位とした換算個数 ⑤ レジャー・サービス業ホテル事業では、タイ・バンコク2店舗目となる「西鉄ホテル クルーム バンコク シーロム」を開業するなど、収益の拡大を図りました。また、「ONE FUKUOKA HOTEL」の運営会社として「株式会社Nishitetsu One Style」を設立し、開業準備を進めました。 飲食事業では、「ONE FUKUOKA BLDG.」内において、「天神福食堂」の開業準備を進めました。 経営成績については、ホテル事業で、客室単価の上昇や前期に開業した「ソラリア西鉄ホテル台北西門」(2023年8月)の寄与などにより増収となりました。その結果、レジャー・サービス業の営業収益は527億1千7百万円(前期比 17.0%増)、営業利益は59億3千2百万円(前期比 28.1%増)となりました。 業種別営業成績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)営業収益45,04752,7177,66917.0 ホテル事業26,40131,8545,45220.7 旅行事業2,9393,1802418.2 娯楽事業4,9055,3504449.1 飲食事業2530520.9 広告事業2,9422,833△108△3.7 その他サービス事業9,16310,9621,79819.6 消去△1,330△1,496△165-営業利益4,6325,9321,29928.1 ⑥ その他ICカード事業では、nimocaバスシステムを導入している交通事業者のキャッシュレス化支援に取り組んだほか、車両整備事業等の各事業において積極的な営業活動に努めました。経営成績については、車両整備関連事業で受注が増加したことなどにより、その他の営業収益は309億5千6百万円(前期比 1.9%増)となりました。営業利益は、建設関連事業での粗利の増加などにより23億6千4百万円(前期比 32.5%増)となりました。 業種別営業成績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)営業収益30,39130,9565641.9 ICカード事業1,3461,60926319.5 車両整備関連事業14,52815,3688395.8 建設関連事業10,32510,198△127△1.2 金属リサイクル事業4,8274,491△336△7.0 消去△637△711△73-営業利益1,7852,36457932.5 (2) 財政状態 前連結会計年度2024年3月末(百万円)当連結会計年度2025年3月末(百万円)増減額(百万円)資産合計727,002782,12655,123負債合計491,163526,08634,922純資産合計235,839256,03920,200有利子負債316,838366,16049,321 (注)有利子負債は、借入金 + 社債により算出しています。 資産は、現金及び預金が減少した一方、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ551億2千3百万円増加し、7,821億2千6百万円となりました。 負債は、支払手形及び買掛金が減少した一方、有利子負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ349億2千2百万円増加し、5,260億8千6百万円となりました。 純資産は、自己株式の取得による減少の一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ202億円増加し、2,560億3千9百万円となりました。 (3) キャッシュ・フロー 前連結会計年度2024年3月末(百万円)当連結会計年度2025年3月末(百万円)増減額(百万円)現金及び現金同等物の期末残高68,74550,441△18,303 通期増減額(百万円)2024年3月期(百万円)2025年3月期(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー62,21315,611△46,602投資活動によるキャッシュ・フロー△42,028△74,546△32,517フリー・キャッシュ・フロー(営業活動+投資活動)20,184△58,935△79,119財務活動によるキャッシュ・フロー△25,95939,22865,187 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ183億3百万円減少し、504億4千1百万円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益308億8千8百万円、減価償却費201億3千2百万円、棚卸資産の増加額(支出)121億6千4百万円等により156億1千1百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ466億2百万円の収入減となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出832億5千2百万円、投資有価証券の売却による収入53億5千2百万円等により、745億4千6百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ325億1千7百万円の支出増となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の純増による収入277億8千4百万円、社債の純増による収入200億円等により、392億2千8百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ651億8千7百万円の収入増となりました。 当社グループの資金調達については、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら行っています。 なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しています。 資金の流動性については、当社グループは、運輸業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 資金の配分方針については、手許現金及び現金同等物は、売上高の約1ヶ月分程度を安定的な経営のための適正な水準としています。 成長投資については、2024年度は「第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)」に沿って、ONE FUKUOKA BLDG.新築工事や「(仮称)台東区柳橋1丁目計画新築工事」等を進めました。2025年度は「第16次中期経営計画2025年度計画」に沿って、春日原駅商業施設「レイリア春日原」開発工事や佐賀県鳥栖市永吉用地における賃貸用物流施設開発等について着実に進めてまいります。投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。株主還元については、経営における重要課題の一つと考えており、当社は、株主の皆様への安定した利益還元を重視し、適切な内部留保の確保による財務体質及び経営基盤の強化を図りながら、安定的・継続的な配当を実施することを利益配分についての方針としています。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 (5) 生産、受注及び販売の実績当社グループの各事業において提供するサービスや製品は多種多様であり、同じセグメント内のサービスや製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではないため、生産、受注及び販売の実績について、セグメントごとに生産規模あるいは数量で示すことはしていません。そのため、生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績」における各セグメント業績に関連付けて示しています。 |
※本記事は「西日本鉄道株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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