| 会社名 | ニプロ株式会社 |
| 業種 | 精密機器 |
| 従業員数 | 連39168名 単4563名 |
| 従業員平均年齢 | 40.8歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 13.3年 |
| 平均年収 | 6592000円 |
| 1株当たりの純資産 | 1547.82円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 31.36円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 25円 |
| 配当性向 | 21.6% |
| 株価収益率(PER) | 43.33倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 2.1% |
| 営業活動によるCF | 684億円 |
| 投資活動によるCF | ▲718億円 |
| 財務活動によるCF | 53億円 |
| 研究開発費※1 | 91.28億円 |
| 設備投資額※1 | 84.84億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 1983.31億円 |
| 株主資本比率※2 | 23.5% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 5891.61億円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針・経営戦略等当社は、1954年(昭和29年)の設立以来「技術革新」をコンセプトとし、事業活動を通して社会に貢献したいとする経営理念のもと、つねに患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や医療現場の課題などのユーザーニーズに応える製品開発を推進しております。製品競争力・市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもと、グローバルに事業展開を行っております。当社グループは、医療現場におけるニーズ、シーズを積極的に捉えながら、現場の要望に応える商品開発を行いつつ、製造工程の改善によって製品の生産能力を高め、品質の安定とコスト競争力のある製品を提供することによってグローバル市場でシェアを獲得し、販売を拡大することを基本戦略としてまいりました。また、医療、医薬、医薬用包装材料(ファーマパッケージング)の3事業にまたがる当社内の独自技術やその他の経営資源を有効に活用して、ユーザー目線に立ったより安全性の高い価値ある製品の開発に取り組んでおります。ますます先行きが不透明な今の状況においても、製品競争力、市場シェアともに世界トップを目指し、「地産地消」のコンセプトのもとにグローバルで存在感のある企業グループへ発展し、全世界的に総合医療メーカーとしての供給責任を果たしてまいります。医療関連事業(国内)につきましては、各領域において新規販路の開拓を推進し、シェア拡大を図ります。製品ラインナップの整理による生産効率の向上、安定生産・安定供給体制の強化にも取り組みます。また、医療従事者の働き方改革やオンライン診療・服薬指導に資するシステムの提案を通じて、医療DXを推進し、地域医療への貢献を目指します。後発医薬品事業につきましては、安定供給を使命とし、患者さん目線を基本理念に、品質確保と安定供給に真摯に取り組みます。重点卸との連携を強化し、医療機関・調剤薬局での活動を通じて、患者さんへの貢献を継続します。医療関連事業(海外)につきましては、学術活動や技術営業を通じて基幹商品の価値とサービスを高め、患者さん・医療従事者への付加価値を創出し、収益性の向上を図ります。商品戦略商品別販売組織の強化と新規治療分野への展開により、売上高拡大と付加価値の向上を目指します。バスキュラー商品:新年度より組織体制を明確化・強化。感染対策商品(イオンレスR次亜塩素酸水):現地生産体制を拡大し、販売強化を推進。地域戦略米州:新たな透析治療領域の提案により、ワンストップソリューションの提供を強化し、市場シェアの拡大を図ります。アジアパシフィック:ブランド強化と付加価値商品の販売への転換を推進。中南米・アジア:自社透析センターでの高品質な治療提供とショールーム化による差別化を継続。グローバル:製品開発からサービス提供までのエコシステムを確立・強化し、世界の医療サービス向上に貢献。その他〇市場動向と変化新型コロナウイルス感染症の影響により透析市場は一時的に縮小しましたが、当社は安定生産体制の構築や新製品投入を進めてまいりました。2026年3月期は、ダイアライザのラインナップ拡充や高機能透析装置のフルモデルチェンジ、米国大手透析プロバイダーとの契約更新など、飛躍の年となる見込みです。〇NephroFlow?透析装置の情報管理システム「NephroFlow?」を販売開始。クラウド型で装置間通信を可能とし、業務の安定化を支援。世界各地への展開を進め、QOL向上と透析センターの経営健全化に寄与します。〇バスキュラー事業将来性のある分野として本格展開を開始。2026年3月期には、国内で高評価を得ているスコアリングバルーンの導入、米国での臨床担当者増員、KOLとのネットワーク構築を進め、成長を加速します。〇アフリカ事業人口12億人を擁する有望市場として、7か国9拠点を展開。2026年3月期にはエジプト新拠点開設、ケニア拠点の法人化を予定。EMEA地域としての統括体制を強化し、欧州リソースの活用を進めます。 医薬関連事業につきましては、供給不安への対応として、近江工場およびベトナム工場の新製造サイトから抗菌薬の早期出荷を進めます。基礎的医薬品や安定確保医薬品の製造に注力し、先発メーカーとの連携による海外展開も視野に入れた体制を構築します。 ファーマパッケージング事業につきましては、バイオ医薬品対応の高機能容器の供給体制を整備し、シェア確立を目指します。地産地消を基本理念とし、低コスト・高品質な製品供給体制を構築。「One Stop Solution」として、研究開発から投与までを支える製品群を提供します。再生医療等製品につきましては、条件及び期限付承認に基づく使用成績比較調査を通じて本承認取得を目指し、国内外での適応拡大に取り組みます。 (2) 目標とする経営指標当社は、2030年度に連結売上高1兆円の達成を目指し、製品開発および成長投資を積極的に継続してまいりました。今後も事業の価値を高め成長に挑戦しますが一方、円安の継続、世界的なインフレーション、物流費の高騰など、外部環境の変化に対応するためには、財務基盤の強化と利益体質への転換も不可欠です。そのために、営業利益率の向上、フリーキャッシュ・フローの改善、債務償還年数の短縮を図ります。具体的には、以下の3点に重点を置き、2027年度までに以下の経営指標の達成を目指します。・海外では市場シェアの拡大、国内では収益基盤の強化により、売上高成長と利益率改善の両立を図ります。・利益確保に加え、運転資本の改善と投資額の適正化を通じてキャッシュ・フロー重視の経営を推進し、財務健全化を加速します。・投資に伴うリスクマネジメントを強化し、経営資源投入の選択と集中を実行します。成長性売上高成長率 年平均6%以上収益性営業利益率 7%以上財務健全性純有利子負債/EBITDA倍率 4倍未満資産効率ROE(自己資本利益率) 10%以上 また、2030年度に向けた新中期経営計画における経営方針と重点課題は、次のとおりであります。経営方針未来に向けて、世界の人々の健康を支える商品・技術・事業の創造と革新を通じて社会に貢献し、自己実現を図る。重点課題① 売上単価の向上と営業利益率9%以上の実現② 全商品における改良・品揃え・DX化による競争力強化③ 生産の自動化、全自動検査・全数全自動化の推進④ 事務・物流・生産のDX化による効率化と省力化⑤ 成果に応じた専門職への適切な評価と処遇⑥ 意欲ある人材にチャンスを与える企業文化の継続⑦ 危機管理の徹底と自然災害・人災への備え⑧ PDCAの情報共有の徹底⑨ 「三方良し」「地産地消」の理念の堅持優先順位は、売上高より営業利益、営業利益より全自動化、全自動化より危機管理、危機管理よりコンプライアンス。強化項目① ダイアライザを中心とした透析商品の安定供給② バスキュラー商品の生産性向上とグローバル展開③ 赤字商品の黒字化④ 開発商品の早期事業化と市場導入の促進⑤ 全商品における品揃え・システム化・DX化の推進と、技術営業力強化による競争力向上 当社グループは、引き続きユーザー目線に立った新商品・新技術の開発を進め、技術革新を通じて社会に貢献する事業展開を継続し、医療関連・医薬関連・ファーマパッケージングの各事業において着実な成長を目指します。 (3) 経営環境および対処すべき課題医療機器および医薬品業界は、人々の生命や健康に直接係わる事業を展開していることから、メーカーにあっては高品質の製品を安定的に供給することが最大の使命です。昨今の世界的なインフレトレンドは製造コストの急騰を招来し、適正価格での供給を困難にしております。また国内の薬価制度や中国の集中購買制度に代表される医療費抑制策は世界的な潮流となっています。受注の増加に対応するとともに生産効率を向上させることで、如何にコスト競争力を確保して行くかがグループ横断的な課題です。供給面については、国内のジェネリック医薬品業界が供給不安問題を依然抱えているほか、輸出ビジネスにおいては紛争やパンデミックによる物流リスクが払拭できません。適時適切に製品を供給するとともに製品在庫を含めたコスト面においても費用対効果に優れたサプライチェーンマネジメントの構築が喫緊の課題です。 最後に品質の向上と確保ですが、引き続き品質最優先の社内風土づくりの推進、ハード、ソフト両面における品質保証システムの継続的改善に取り組んでまいります。各事業における具体的な内容は以下の通りです。医療関連の国内事業におきましては、メディカル営業部門では、各領域において、市場ニーズ・シーズに応えられる製品の開発及び積極的な市場展開、販売強化を行い、業績拡大の取り組みを継続してまいります。また、昨今の原材料や人件費、物流費用等の高騰に対しては、製品の原材料の見直し、生産性の向上、物流の効率化など、徹底したコスト削減をすると共に、継続的な安定生産、安定供給を果たして行く為にも適正価格販売を推進してまいります。さらに、医療従事者の働き方改革をDXで支えるニプロ総合医療ネットワークシステムを普及してまいります。医薬営業部門では、毎年の薬価改定と原材料の高騰により後発医薬品業界はもちろん、製薬業界全体が非常に厳しい経営環境となるなか、適正価格販売により薬価維持に努め、適正利益を確保しつつ設備投資を行い、安定供給に努めてまいります。医療関連の海外事業におきましては、これまで築いたグローバル製造・販売組織全体をエコシステムとして捉え、さらにリーガルマニュファクチャラーの活動と協働しながら品質と安全性、効率化によるコストダウンによって医療社会への貢献度を高める責務があると認識しております。医薬関連事業におきましては、国内では昨今、多くの医薬品の供給不安が続く環境にあり、医薬品の安定供給を対処すべき課題と捉えています。この課題に対応するために、新規の生産サイトの設立や既存サイトの生産体制の強化に取り組んでまいります。このような取り組みを進めるためにはコストを要しますが、新薬の受託製造案件の獲得や、基礎的医薬品や安定確保医薬品といった医療上の必要性の高い医薬品の生産に注力することにより、必要な利益を確保いたします。また、安定供給を行うために必要な設備投資については、厚生労働省等からの補助金を活用しながら進めてまいります。さらに、BCPの観点からは、災害時にも医薬品の安定供給を継続させるために複数の生産サイトでの製造を行うことや、海外での生産も視野に入れます。高成長を続ける海外市場への展開という課題に対しては、先発医薬品メーカーと提携することによって、海外に通用する工場を設立し、新規受託品目の欧米市場への出荷を目指してまいります。ファーマパッケージング事業におきましては、バイオ医薬品やワクチンを中心とした注射剤の開発が全世界規模で今後ますます拡大することが予想されますので、それらに対応した製品の開発と供給を行うことが第一の課題となります。日本国内におきましては今後ますます高齢化が進むと同時に医療従事者の減少が深刻な問題となってまいります。それに伴い在宅医療化が進んでいくことになると、注射剤の自己投与システム等、安全で正確な薬剤投与が医療従事者以外に求められることとなります。これらの製品を患者さん目線、あるいは医療従事者の目線で開発し、供給していくことがさらなる課題となります。同グループ内に医療機器、医薬品の製造販売の機能を有し、医療従事者の皆様や患者さんと医薬品メーカーの間に立って医薬品容器を含めた様々なニーズを吸収し、各事業のノウハウを駆使してそれらを満足する製品の提供ができるのは当社を置いて他にありません。その責任を十分に果たすため、各国でますます増大する医療費抑制のニーズにこたえるためにも、より機能的で品質の良い製品をより安く提供していくことも我々の対処するべきもう一つの課題となります。 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経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における経済情勢は、欧米のインフレの鈍化と金利低下、貿易摩擦の激化による中国経済の先行き懸念、ウクライナや中東を巡る地政学的リスクを内包しながらの遷移となりました。わが国経済においては、雇用情勢や所得環境の改善、インバウンド需要の拡大等を背景に、緩やかな回復が見られました。他方で製造コストの高騰や政策金利の引き上げに加え、トランプ政権による関税政策への懸念など、先行きは不透明感な状況が続きました。このような環境の下、当社グループは患者さんや医療従事者の方の目線に立脚し、医療関連、医薬関連、ファーマパッケージング、それぞれの事業で培った技術やソリューションを最適な形態で提供することを通じ、世界中の人々の「健康でありたい」という願いの実現に注力してまいりました。当連結会計年度の連結売上高は、医療関連、医薬関連、ファーマパッケージング、いずれの事業においても増収となりました。国内市場では、販売価格の適正化に加え、顧客ニーズにきめ細やかに対応したことで出荷量が伸長しました。また新規製造ラインの稼働が生産量、引いては販売の増加に寄与しました。海外市場においては、重点市場に対し積極的なプロモーションを展開、旺盛な需要を取り込んだことから、各地域における販売は堅調に推移しました。これらにより、連結売上高は前期比9.9%増加の6,445億86百万円となりました。生産活動においては、原材料や労務費単価の上昇が継続する中、生産効率の改善や操業度の向上を通じて、単位当たり製造コストの低減に取り組みました。併せて、市場の需要を見据えた生産能力の増強にも引き続き尽力しました。加えてジェネリック医薬品については、安定供給体制の強化に向け製品在庫の確保に努めたほか、販売子会社の統合を控えた準備活動を推進しました。これらに関して未実現利益の控除処理や関連費用の計上が発生しております。また、販売費及び一般管理費においては、運送費の高騰による影響に加え、海外事業拡大に伴う販売拠点の人員増強や関連費用の発生、医薬品製造工場に係る操業準備費用の計上等により増加しました。以上から、営業利益は前期比19.1%増加の265億98百万円となりました。事業別では、ファーマパッケージング事業の下半期における市中在庫の過剰による需要の急減速があったものの、積極的な海外展開が奏功した医療関連事業のほか、増産体制構築の下、低コスト生産を促進した医薬関連事業が大きく収益を牽引しました。これに対し経常利益は、前期において25億55百万円の為替差益が発生したのに対し、当連結会計年度は53億81百万円の為替差損を計上しました。このほか支払利息の増加や持分法による投資損失が拡大したことから、前期比44.6%減少の108億17百万円で推移しました。特別項目においては、保険金の受領や投資有価証券の売却益が発生した一方、ファーマパッケージング事業においては市況の急変を受け、各生産拠点の事業性再評価を実施しました。その結果、複数の海外工場について減損損失や製造所整理に伴う費用の計上をすることとしました。また法人税等については、減損損失等、税効果を認識できない取引が多かったことから、法人税等の実効税率が大幅な上昇となりました。これらを踏まえ、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比54.0%減少となる51億13百万円となりました。なお、当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。 <医療関連事業>(国内事業)メディカル営業部門におきましては、注射針類、輸液関連製品、バスキュラー関連製品、SD関連製品が好調に進捗しました。これに対し透析関連製品は、血液透析濾過器の一部製品を出荷制限した影響から低調な推移となりました。なお、該当品については、出荷制限の解除に向けた増産体制を現在構築しております。医薬営業部門におきましては、昨年12月に追補収載された新製品について、シェア拡大に向けた販売促進に努めたこと、長期収載品の選定療養による販売増や一部商品に係る薬価の引き上げが増収に寄与したものの、全体的な薬価改定の影響、およびジェネリック医薬品事業再編に伴う品目整理等の影響により低調な推移となりました。また供給問題は依然、解消しておらず厳しい対応が続いております。安定供給への取り組みを加速し、限定出荷品の解除対象を更に拡大してまいります。また引き続きMR(医薬情報担当者)による得意先への丁寧な説明と真摯な対応を通じ、ニプロへの信頼および存在感の向上につなげてまいります。 (国際事業)国際事業におきましては、各国の腎臓医学会への参加を精力的に進めるとともにKOL(キー・オピニオン・リーダー)と連携し、高機能ダイアライザを始め、透析器械を含む幅広い透析関連製品のPRに注力しました。併せて主要代理店および病院施設に対して学術活動および技術営業活動に専心、高付加価値(バリューソリューション)製品の拡大を積極的に推し進めました。・販売活動透析関連製品については、米国における大手透析プロバイダーとの大型契約の履行に加え、カナダ・中南米・欧州・アジア・インドにおける高性能ダイアライザの上市と増販に尽力しました。またインドネシアではシングルユース市場の拡大、フィリピンではリユース回数制限を伴った保険償還価格の上昇が追い風となったほか、タイにおいては啓蒙活動によりシングルユース施設が増加しました。これらを含めダイアライザおよび透析器械の販売は全世界で堅調に推移しました。透析装置の開発においては、新型個人用透析装置「DIAMAX WOW」を中南米エルサルバドルで上市しました。また、透析情報管理システム「NephroFlow」は、インド国内で販売を開始し、テランガーナ州政府病院グループ85施設で採用となりました。引き続き、トレーサビリティシステム「GTS」の拡大を進め、AI分析を活用することで、患者さんのQOL向上に貢献してまいります。ホスピタル関連製品は、米国の対中関税政策により、非中国産である当社のディスポーザブルシリンジおよび注射針の販売が引き続き好調でした。また静脈留置針については、需要増に伴い、タイ、インドネシア、ブラジルの製造拠点で増産を進めております。高付加価値品であるディスポーザブル加圧式医薬品注入器は増産効果および品種拡大により、欧州・中南米・インドで販売が伸長しました。植込みポート用医薬品注入器具や針刺し事故防止機構付静脈留置針などの関連製品も順次投入しております。OEM(他社のブランド商品を製造する事業)関連では採血関連製品、糖尿関連製品、いずれも順調に推移し、販売数の増加につながりました。バスキュラー関連製品は、各国における販促活動が功を奏し、主要製品の血管内イメージングカテーテルの販売が続伸、NIRS-IVUS装置は設置国数が30か国を超えました。末梢スコアリングバルーンAperta NSE PTAは米国での品種追加の申請を実施、2025年度第1四半期の承認取得を見込んでおります。同製品の欧州向けのMDR認可も2025年度第3四半期に計画しており、更なる製品拡充による事業拡大に取り組んでまいります。感染対策関連製品に関しては、中南米を中心に、KOLと連携し自社セミナーを実施、加えて感染症対策学会への出展と販売促進に努めました。新たに中南米ホンジュラス、コスタリカにおける販売を開始し、販売地域は既に10か国となりました。製造に関しては、中国の合肥工場において本年2月から次亜塩素酸水の希釈化作業を開始、インドネシア、タイ、ブラジルの工場でも生産準備を鋭意進めております。このほか、自社透析センター事業は引き続き世界各国で展開しており、当第4四半期においてはタイに1施設を開設しました。新興国を中心に質の高い治療を提供できる環境を整え、地域医療に貢献してまいります。・生産、ロジスティクス等の活動生産拠点については、ベトナム工場の増改築工事が2024年末に完工、ダイアライザ生産設備の導入に向けたファシリティ工事が進行中です。大館工場では2025年度第1四半期にダイアライザ4号ラインの稼働を予定、さらに米国での地産地消プロジェクトを推進するなど、医療機器の供給能力を拡大し、品質・供給の安定を第一に生産活動を推進してまいります。ロジスティクス面では、昨年比では比較的落ち着いているものの欧州線では不安定な状況が継続しています。安定供給を確実にするため、中国で新たな倉庫運用に向けた取り組みを加速しております。またグローバルQMS(品質マネジメントシステム)の構築と推進に加え、リーガルマニュファクチャラーとしての位置づけを明確にすべく全社的なタスクフォースを発足させました。この結果、当事業の売上高は5,050億78百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益(営業利益)は466億32百万円(前期比10.2%増)となりました。 <医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、生産数量の増加が収益拡大に大きく寄与しました。注射剤については、ニプロファーマ伊勢工場(製造子会社)における新規受託品が堅調であったことに加え、昨年操業したシリンジ棟での基礎的医薬品の大幅増産を通じ、当該工場の製品出荷数は前年同期比で47%増となりました。また同社大館工場では抗菌薬やシリンジ製剤の増産体制を構築したことで生産数量が22%増となったほか、ニプロファーマ・ベトナム・リミテッドにおいても生産効率向上の結果、生産数量が前期比13%伸長しました。 経口剤においては長期収載品が減少した一方で、ニプロファーマ鏡石工場での新規受託品の出荷開始や、全星薬品工業(製造子会社)において、2023年に導入した包装設備が本格稼働に至ったため、経口剤全体としての出荷数量は前期比7%増加しました。この結果、当事業の売上高は791億25百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益(営業利益)は106億25百万円(前期比139.7%増)となりました。 <ファーマパッケージング事業>ファーマパッケージング事業におきましては、国内外で引き続き滅菌済シリンジの生産体制を整備するとともに、グローバル規模での生産効率改善や海外各地でのプロモーション活動を行いました。日本市場においては、ガラス関連製品に加え、溶解液注入針やインジェクションセット、プラスチックパーツ等の販売が増収に寄与しました。併せて製薬会社向けのシングルユース品の開発と販売促進、価格競争力に優れた製品の技術営業を強化した結果、日本市場では前期比で大きく増収増益となりました。海外市場においては、アフターコロナの在庫調整期間が長引いており、ガラス管と医療用包装容器の需要低下が依然厳しい状況です。他方で滅菌済シリンジは前年対比で増収基調を維持していることから、当該品を中心にバイオ製剤向けのガラス製容器や滅菌済Ready to use品(顧客である製薬会社において、薬剤充填時に洗浄・滅菌作業が省力化できるタイプの商品)の販促を重点的に進めております。既存品需要の回復に備え、次世代の需要を見越したガラス関連品のトレーサビリティシステムなど、付加価値の高い新商品の開発、さらには投与デバイス、調製デバイスの海外導出にも注力してまいります。この結果、当事業の売上高は592億62百万円(前期比2.1%増)、セグメント損失(営業損失)は2億72百万円(前年同期は24億52百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。 <その他事業>その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が11億19百万円(前期比37.1%増)、セグメント利益(営業利益)は2億45百万円(前期比205.2%増)となりました。 また、財政状態の状況は次のとおりであります。(資産)当連結会計年度末の資産合計は、1兆1,705億64百万円(前期比5.5%増)で、前連結会計年度末に比べて607億42百万円の増加となりました。このうち流動資産は502億52百万円の増加、固定資産は104億90百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、商品及び製品が204億65百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、機械装置及び運搬具(純額)が139億75百万円増加したことによるものであります。(負債)当連結会計年度末の負債合計は、8,589億42百万円(前期比2.3%増)で、前連結会計年度末に比べて189億10百万円の増加となりました。このうち流動負債は159億29百万円の減少、固定負債は348億39百万円の増加となりました。流動負債の減少の主な要因は、コマーシャル・ペーパーが200億円減少したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、社債が210億円増加したことによるものであります。(純資産)当連結会計年度末の純資産合計は、3,116億21百万円(前期比15.5%増)で、前連結会計年度末に比べて418億32百万円の増加となりました。このうち株主資本は4億60百万円の増加、その他の包括利益累計額は193億15百万円の増加となりました。 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は1,016億61百万円と前連結会計年度末に比べ50億78百万円(前期比5.3%増)の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、684億61百万円(前期比6.1%減)となりました。収入の主な項目は、減価償却費625億4百万円、税金等調整前当期純利益190億87百万円であり、支出の主な項目は、棚卸資産の増加額173億37百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、718億76百万円(前期比17.5%減)となりました。支出の主な項目は、固定資産の取得による支出765億94百万円であり、収入の主な科目は、投資有価証券の売却による収入が137億26百万円であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は、53億76百万円(前期比75.7%減)となりました。収入の主な項目は、長期借入れによる収入886億12百万円であり、支出の主な項目は長期借入金の返済による支出903億78百万円であります。 ③ 生産、受注及び販売の状況a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)対前期増減率(%)医療関連257,45419.5医薬関連164,4900.5ファーマパッケージング52,2246.6合計474,16810.8 (注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。 b.受注実績当社グループは、見込生産形態を採っておりますので、該当事項はありません。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)対前期増減率(%)医療関連505,07811.3医薬関連79,1256.5ファーマパッケージング59,2622.1その他1,11937.1合計644,5869.9 (注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)売上高は前連結会計年度に比べ578億円増加し、6,445億86百万円(前期比9.9%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比3.2%、海外販売が17.0%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が78.3%、医薬関連事業が12.3%、ファーマパッケージング事業が9.2%、その他が0.2%となりました。(営業利益)営業利益は前連結会計年度に比べ42億63百万円増加し、265億98百万円(前期比19.1%増)となりました。これは主に、売上高の増加に加え、ROEを基準とする業績連動賞与の支給額の影響によるものであります。(経常利益)営業外収益は前連結会計年度に比べ33億97百万円減少し、55億42百万円(前期比38.0%減)、営業外費用は前連結会計年度に比べ95億58百万円増加し、213億23百万円(前期比81.2%増)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ86億92百万円減少し、108億17百万円(前期比44.6%減)となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益)親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税および法人税等調整額を計上したことにより、51億13百万円(前期比54.0%減)となりました。なお、財政状態の分析内容及びセグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③ 当社グループの資本の財源および資金の流動性当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額(有形固定資産)は,2025年3月期の実績は740億円、2026年3月期は707億円を予定しております。次期以降の配当に関しましても業績連動の利益配当方針は維持しつつも、長期的な視点に立った安定的な配当を継続する方針で現在検討をおこなっております。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。 ④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 |
※本記事は「ニプロ株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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