| 会社名 | 日本酸素ホールディングス株式会社 |
| 業種 | 化学 |
| 従業員数 | 連19754名 単112名 |
| 従業員平均年齢 | 43歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 16年 |
| 平均年収 | 10316000円 |
| 1株当たりの純資産 | 578.04円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 228.2円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 51円 |
| 配当性向 | 79.6% |
| 株価収益率(PER) | 70.43倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 8.7% |
| 営業活動によるCF | 2351億円 |
| 投資活動によるCF | ▲1429億円 |
| 財務活動によるCF | ▲732億円 |
| 研究開発費※1 | 32000000円 |
| 設備投資額※1 | 174.42億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 1185.45億円 |
| 株主資本比率※2 | 26.2% |
| 有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
| 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営方針当社グループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 (2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題当社では、グループビジョンの実現に向けた中期経営計画として2023年3月期から2026年3月期までの4ヶ年を対象期間とした「NS Vision 2026 – Enabling the Future」(以下、「NS Vision 2026」という。)を策定し、現在この中期経営計画に基づいた事業運営を行っております。当社グループを取り巻く事業環境においては、世界的な物価上昇圧力や地政学リスクの長期化、さらには主要国における選挙に伴う政策変動の不確実性といった、多様で複雑なマクロ経済環境の変化に直面いたしました。こうした外部要因によるコストの増加に対して、当社はグループ全体での製品の価格マネジメントの推進と生産性向上活動などの施策を積極的に行い対応してまいりました。今後は、長期化する地政学リスクやサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の変動に加えて、主要国における政策転換による通商政策の再構築や関税措置の強化といった構造的な変化に加え、それを起因とした全世界的な景気後退懸念による当社事業への影響について注視しながら、適切に対処してまいります。また、生成AIの活用促進などによるデジタル化のさらなる進展や、カーボンニュートラルへの取組みが地域によってその推進速度に変動がでる可能性なども想定され、中長期的視点に立った新たな事業機会の獲得や食品・飲料、医療、環境関連などのレジリエンス市場への取組みの強化、ガバナンス体制整備にも対処していく必要があります。NS Vision 2026では、以下5点を重点戦略として設定しておりますが、以上のような環境認識を踏まえ、個別の施策については、各々適宜見直しを行いながら中期経営計画の達成に向けて計画を遂行してまいります。 ① サステナビリティ経営の推進:2024年8月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムへ参画及び、TNFD提言の採用者として登録しました。環境分野では、引き続き当社グループの事業活動で排出される温室効果ガス削減に努めるほか、顧客への環境貢献製商品、サービス拡充に注力してまいります。また、保安・安全の確保、製品・サービスの品質向上、さらに社会から信頼される企業であり続けるための人権尊重の取組みや人財の多様性確保、コンプライアンス推進活動の充実と浸透に努め、持続可能な事業運営を推進しております。 ② カーボンニュートラル社会に向けた新事業の探求:当社グループは、環境貢献製商品やソリューションの提供により、顧客の温室効果ガス排出削減に貢献いたします。当期も引き続き、工業炉プロセスへの酸素燃焼技術適用に向けた技術開発を継続することに加え、新たに“CO2分離回収/貯蔵・貯留”(CCS)のバリューチェーン構築に欠かせないCCS用出荷タンク設備を新たに開発するなど、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する技術開発の促進を行っております。さらに、当社グループの取組みをまとめた専用のウェブサイトの拡充を継続しており、カーボンニュートラル社会に向けた当社グループの取組みのさらなる対外発信の強化に努めてまいります。 ③ エレクトロニクス事業の拡大:需要の回復とさらなる需要の拡大が期待される中、半導体材料ガス及び関連機器などの生産能力の拡充を図っております。また、日本での最先端半導体製造の量産化を目指す顧客のパイロットラインへのガス関連工事施工及びバルクガス供給を進めており、これらの旺盛な大規模半導体工場の新設に必要となる超高純度空気分離装置の製品化に向けた取組みも進めております。 ④ オペレーショナル・エクセレンスの追求:各事業会社では業務の生産性向上活動を強く推進し、利益の最大化を図ることに取り組んでおります。また当社のグローバル化を前進させ、グループ全体で生産性向上プログラムやベストプラクティスを共有させるため、推進プロジェクトのプロジェクトリーダーを指名し活動を推進しています。具体的には、各事業会社のベストプラクティスをオペレーショナル・エクセレンス・デイというイベントで紹介し、各社の生産性向上の意識を高めており、併せてプロジェクトの水平展開をより活性化するために個別のワーキンググループを設けてグループ一丸で活動を推進しております。ワーキンググループは今後拡張を図ってまいります。 ⑤ 新しい価値創出へとつながるDX戦略:各事業会社では、各生産性向上活動や、製品価格マネジメントを推進するためにデジタルデータを活用した事業モデルの高度化に取り組んでおります。今後さらにグループ全体としても各事業会社の取組みを統括して強化してまいります。 4極の産業ガス事業では上記5つの重点戦略に共通して取り組む一方、地域固有の経営課題にも取り組んでおります。 ・日本:収益性向上を重要施策として推進すべく、事業ポートフォリオの見直しや各種収益率向上プログラムを実施するとともに、国内エレクトロニクス産業の拡大を受けた各種需要の獲得と安定供給に向けた設備拡張を進め、トータルソリューションの提供で力強い成長の実現を図ってまいります。また、顧客のGHG排出量削減や生産性向上に資するガスアプリケーションを基点としたイノベーションを実現し、新たな事業領域の探索・拡大を目指してまいります。・米国:新政権による相互関税発動などの政策が米国内産業に及ぼす影響など不確実性が増す中ではありますが、引き続き新規オンサイト事業の探索、物価の上昇に伴うプライシング活動の継続、コールドチェーンにおけるドライアイス需要獲得に向けた生産拠点の拡充などによる事業密度向上を目指します。また既に立ち上げている大型プロジェクトについては円滑な遂行を図ってまいります。・欧州:食品・飲料、医療、環境関連などのレジリエンス市場に注力するとともに、欧州エレクトロニクス市場の拡大を受け、関連製品の需要獲得に向けた対応を進めます。当期においては、エンジニアリング会社への戦略的投資を実行し、スペインにおける在宅医療事業の拡充を発表しました。今後もグループのエンジニアリング能力の強化を図るとともに、引き続き環境関連でのビジネス機会の獲得や酸素燃焼技術領域の拡大とバイオメタン市場の拡大に向けた案件獲得活動を促進してまいります。・アジア・オセアニア:当期は豪州において産業ガス、LPガスの販売を拡大するため、2件の買収について合意いたしました。豪州における当社のプレセンスの向上に加えて、アジア各国における大型オンサイト案件の獲得や空気分離装置の能力増強、成長拡大余地の大きいエレクトロニクス市場に対する製品の拡充に取り組んでおります。同地域の今後の経済成長を前提に、引き続き新商材や事業エリアの拡大に注力するとともに、各事業会社の収益力強化に向けた生産性向上活動の浸透を図ってまいります。 また、当社グループ唯一のB to Cビジネスであるサーモス事業では、新商品を積極的に投入するとともに、機動的な広告宣伝並びに店頭プロモーションを実施することにより需要の拡大を目指します。また、販売チャネルの多角化を図るため、直営店拡大と電子商取引を拡大しており、メンバーズサイトの拡充やお客様サポートにおけるAI活用など、顧客満足度、従業員満足度を向上する取組みにおいてDXを推進しております。 財務目標 実績(2025年3月期)NS Vision 2026最終年度目標(2026年3月期)売上収益1兆3,080億円9,750億~1兆円コア営業利益1,891億円1,250~1,350億円EBITDAマージン(注1)グループ:23.3%各セグメント:15.1~31.3%グループ:≧24%各セグメント:≧17~33%調整後ネットD/Eレシオ(注2)0.71倍≦0.7倍ROCE after Tax(注3)7.2%≧6%(注)1.EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)コア営業利益に減価償却費及び償却費を加えて算出される利益です。国・地域により、金利水準、税率、減価償却費などに差異がありますが、この指標ではその差異を最小限に抑え、利益額を表示します。2.調整後ネットD/Eレシオ財務の安全性を示す指標であり、(純有利子負債-資本性負債)÷(親会社の所有者に帰属する持分+資本性負債)で算出する比率です。なお、格付機関により、ハイブリッドファイナンスで調達した金額(調達時2,500億円)のうち各連結会計年度末における残高の50%を「資本」として認められており、当社内ではこれを資本性負債と呼称しております。 3.ROCE after Tax(Return on Capital Employed after Tax:使用資本税引き後利益率)[NOPAT:税引き後コア営業利益(+受取配当金)]((コア営業利益-コア営業利益に含まれる持分法による投資損益)×(1-実効税率)+コア営業利益に含まれる持分法による投資損益+受取配当金)÷[使用資本](有利子負債+親会社の所有者に帰属する持分)で算出する資本効率性指標です。 非財務目標 実績(2024年3月期)NS Vision 2026最終年度目標(2026年3月期)ご参考:長期目標(2031年3月期)GHG総排出量削減(注4)15.3%18%32%GHG排出量に関する考え方7,454>5,667千t-CO2e当社グループが販売する環境貢献製商品によるGHG削減量>当社グループGHG総排出量-休業度数率(連結)(注5)2.09≦1.6-女性従業員比率20.2%≧22%25%女性管理職比率15.4%≧18%22%コンプライアンス研修受講率99.4%100%-(注)4.欧州事業買収が完了した2019年3月期の実績を補正し基準年度として、該当年度の削減目標を設定します。5.休業度数率労働災害の発生頻度を表す指標であり、休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間で算出します。6.詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 ④ 指標及び目標」をご参照ください。2025年3月期実績は、2025年9月以降に当社ウェブサイト上で公表する「統合報告書2025」をご参照ください。 当社はグループ理念に「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げており、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現に貢献することを目標にしています。その実現の第一歩として、上記に掲げた課題に取り組んでまいります。 |
経営者による財政状態の説明
| 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1) 経営成績① 業績全般 当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における当社グループの事業環境は、引き続き、先行きを見通すことが困難な状況でした。 このような状況の下、グループ全体における製商品の出荷数量は微減でしたが、主力製品であるセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は前期並みでした。グループ全体としては、コスト上昇による販売価格への転嫁等の価格マネジメント、そして地域ごとに生産性向上プログラムに取り組みました。一方、米国で建設を進めていた水素生産設備の建設計画中止に伴い、258億42百万円の減損損失が発生しました。これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上収益1兆3,080億24百万円(前連結会計年度比 4.2%増加)、コア営業利益1,891億49百万円(同 13.9%増加)、営業利益1,659億6百万円(同 3.6%減少)、親会社の所有者に帰属する当期利益987億79百万円(同 6.7%減少)となりました。 為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べ、米ドルで145円31銭から152円57銭へと7円26銭(同 5.0%増加)の円安、ユーロで157円72銭から163円66銭へと5円94銭(同 3.8%増加)の円安となるなど、売上収益は全体で約353億円、コア営業利益は全体で約55億円多く表示されています。 なお、コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率(%)売上収益1,255,0811,308,02452,9434.2コア営業利益165,996189,14923,15313.9 非経常項目6,044△23,243△29,287-営業利益172,041165,906△6,134△3.6 金融収益4,3913,886△504- 金融費用△25,711△24,5201,191-税引前利益150,720145,272△5,448△3.6 法人所得税△41,356△43,326△1,970-当期利益109,364101,945△7,419△6.8 親会社の所有者に帰属する当期利益105,90198,779△7,121△6.7 非支配持分に帰属する当期利益3,4633,166△297- ② セグメント業績 セグメント業績は、次のとおりです。 なお、セグメント利益はコア営業利益で表示しております。 〔日本〕 産業ガス関連では、セパレートガス及び炭酸ガスの出荷数量は減少しました。また、電子材料ガスは減収でした。一方、機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の工事の進捗に伴う売上等により、増収となりました。なお、前期の特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化及び民生用LPガス事業を担う子会社の非連結化による減収影響がありました。セグメント利益は、電力代の落ち着きや、機器・工事における売上収益の増加が寄与し、増益となりました。 以上の結果、日本セグメントの売上収益は、4,100億9百万円(前連結会計年度比 1.1%減少)、セグメント利益は、470億90百万円(同 9.5%増加)となりました。 〔米国〕 産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は微増であったことや価格マネジメントの効果により、増収となりました。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に販売が軟調でした。セグメント利益は価格マネジメントの効果に加え、生産性向上に取り組んだ結果、増益となりました。 以上の結果、米国セグメントの売上収益は、3,602億0百万円(前連結会計年度比 3.8%増加)、セグメント利益は、597億61百万円(同 19.5%増加)となりました。 〔欧州〕 産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は前期並み、炭酸ガスは軟調でしたが、価格マネジメントの効果もあり、増収となりました。機器・工事では、ガス関連機器及び医療関連機器の販売が好調で増収となりました。セグメント利益は、売上収益の増加に加え、生産性向上活動が寄与し、増益となりました。 以上の結果、欧州セグメントの売上収益は、3,286億1百万円(前連結会計年度比 8.6%増加)、セグメント利益は、624億19百万円(同 17.2%増加)となりました。 〔アジア・オセアニア〕 産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は堅調に推移しました。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、販売数量が堅調に推移し、増収となりました。エレクトロニクス関連では、ガス・機器共に増収となりました。一方、セグメント利益は、豪州における人件費及び物流費の上昇、ヘリウムの供給過多による一部地域での販売価格の軟化もあり、減益となりました。また、公表した豪州における買収事業の取得関連費用を第4四半期に計上したことも減益の要因となりました。 以上の結果、アジア・オセアニアセグメントの売上収益は、1,765億38百万円(前連結会計年度比 10.1%増加)、セグメント利益は、150億47百万円(同 5.6%減少)となりました。 〔サーモス〕 日本では、機能的でスタイリッシュなデザインの新製品の上市もあり、ケータイマグの販売は堅調で、また、韓国の販売は前期並みで増収となりました。セグメント利益は、引き続き円安に伴う製造コストの増加の影響を受けましたが、コスト低減に努め、増益となりました。 以上の結果、サーモスセグメントの売上収益は、325億93百万円(前連結会計年度比 5.9%増加)、セグメント利益は、62億86百万円(同 12.9%増加)となりました。 各セグメントの売上収益及びセグメント利益の状況は以下のとおりです。(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減売上収益セグメント利益売上収益セグメント利益売上収益増減率(%)セグメント利益増減率(%)日本414,36542,998410,00947,090△4,355△1.14,0919.5米国347,05450,004360,20059,76113,1463.89,75619.5欧州302,47753,259328,60162,41926,1238.69,16017.2アジア・オセアニア160,32715,948176,53815,04716,21110.1△900△5.6サーモス30,7655,56632,5936,2861,8285.972012.9調整額90△1,78080△1,455△10-325-合計1,255,081165,9961,308,024189,14952,9434.223,15313.9(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③ 経営成績 当連結会計年度における売上収益は1兆3,080億24百万円となり、前連結会計年度に比べ529億43百万円の増収となっております。為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べ米ドルで7円26銭の円安、ユーロで5円94銭の円安、豪ドルで3円95銭の円安となるなど、売上収益は全体で約353億円多く表示されております。 売上原価は7,625億81百万円(前連結会計年度比 184億78百万円増加)、販売費及び一般管理費は3,593億18百万円(同 129億13百万円増加)、その他の営業収益は114億39百万円(同 24億24百万円減少)、その他の営業費用は366億71百万円(同 262億69百万円増加)、持分法による投資利益は50億14百万円(同 10億7百万円増加)となっております。以上の結果、営業利益は1,659億6百万円となり、前連結会計年度比で61億34百万円の減益となりました。また、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いたコア営業利益は1,891億49百万円となっており、前連結会計年度比で231億53百万円の増益となりました。非経常的な要因により発生した損益の主な内容は、減損損失271億40百万円、固定資産売却益53億40百万円などとなっております。 金融収益は38億86百万円(同 5億4百万円減少)、金融費用は245億20百万円(同 11億91百万円減少)、これにより税引前利益は1,452億72百万円となり、前連結会計年度に比べて54億48百万円の減益となりました。主な内容は、受取利息が27億32百万円(同 54百万円増加)、受取配当金が10億15百万円(同 1億37百万円増加)、支払利息が243億89百万円(同 12億41百万円減少)などとなっております。 これらの結果、法人所得税と非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は987億79百万円となり、前連結会計年度比で71億21百万円の減益となりました。 (2) 財政状態 当連結会計年度末の資産合計は2兆4,181億97百万円で、前連結会計年度末比で91億14百万円の増加となりました。為替の影響については、前連結会計年度末に比べて米ドルで1円89銭の円高、ユーロで1円16銭の円高となるなど、約207億円少なく表示されております。 当連結会計年度では、設備投資の進行により、有形固定資産が増加したほか、財務健全性を意識した有利子負債の計画的な返済を進めました。不透明な事業環境下においても、債券市場や金融機関との適切なコミュニケーションを続け、資金流動性と調達力を向上してまいります。 また、2019年1月及び同年3月に調達したハイブリッドファイナンスは合計2,500億円であり、格付機関(㈱日本格付研究所及び㈱格付投資情報センター)から、この調達額の50%を「資本」として認められており、当社では資本性負債と呼称しています。2019年1月に調達した公募ハイブリッド社債のうち1,000億円を2024年1月に期限前償還し、2019年3月に調達したハイブリッドローンについても750億円を2024年12月に期限前弁済しましたため、当連結会計年度末時点でハイブリッドファイナンスは合計750億円となっております。このハイブリッドファイナンスを考慮した財務安全性指標として、当社では調整後ネットD/Eレシオ(※)を重要業績指標の1つとして定めており、負債及び資本の最適な構成を意識しています。なお、調整後ネットD/Eレシオは0.71倍で前連結会計年度末に比べ0.03ポイント改善しております。(※)調整後ネットD/Eレシオ=(純有利子負債-資本性負債)÷(親会社の所有者に帰属する持分+資本性負債) 〔資産〕 流動資産は、前連結会計年度末比で24億25百万円減少し、5,657億76百万円となりました。これは主に為替の影響によるものです。為替影響除外後の実質的な金額で比較すると、主に現金及び現金同等物が増加、また営業債権が減少しております。 非流動資産は、前連結会計年度末比で115億39百万円増加し、1兆8,524億21百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加や、無形資産の減少によるものです。〔負債〕 流動負債は、前連結会計年度末比で1,027億34百万円減少し、3,952億85百万円となりました。これは主に社債及び借入金やその他の金融負債の減少によるものです。 非流動負債は、前連結会計年度末比で370億30百万円増加し、1兆19億82百万円となりました。これは主に社債及び借入金やその他の金融負債の増加によるものです。〔資本〕 資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加や、利益剰余金の配当による減少、在外営業活動体の換算差額の減少等により、前連結会計年度末比で748億17百万円増加し、1兆209億30百万円となりました。 なお、親会社所有者帰属持分比率は40.5%で前連結会計年度末に比べ2.5ポイント高くなっております。 (3) キャッシュ・フロー〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕 税引前利益、減価償却費及び償却費、法人所得税の支払額又は還付額等により、営業活動によるキャッシュ・フローは2,351億47百万円の収入(前連結会計年度比 8.9%増加)となりました。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕 有形固定資産の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは1,429億26百万円の支出(前連結会計年度比 14.7%増加)となりました。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕 長期借入金の返済による支出、長期借入れによる収入、配当金の支払額等により、財務活動によるキャッシュ・フローは732億87百万円の支出(前連結会計年度比 33.4%減少)となりました。 これらの結果に、為替換算差額等を加えた当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、1,445億28百万円(前連結会計年度比 14.6%増加)となりました。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期 親会社所有者帰属持分比率(%)27.931.833.538.040.5 時価ベースの親会社所有者 帰属持分比率(%)49.651.147.885.480.8 債務償還年数(年)6.46.25.04.33.8 インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍)12.913.714.79.39.4(注)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により、以下の定義で算出しております。親会社所有者帰属持分比率 = 親会社の所有者に帰属する持分 ÷ 資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率 = [株式時価総額] ÷ 資産合計債務償還年数 = [有利子負債] ÷ [キャッシュ・フロー]インタレスト・カバレッジ・レシオ = [キャッシュ・フロー] ÷ [利払い]・[株式時価総額]は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。・[キャッシュ・フロー]は、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。・[有利子負債]は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。・[利払い]は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 (4) 生産、受注及び販売の実績 セグメントごとの販売実績については、「(1) 経営成績 ② セグメント業績」に記載のとおりであります。 なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 及び 3.重要性がある会計方針」に記載しております。 (6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金又は金融機関からの借入金、社債等により調達しております。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。 資金の流動性については、安定的な営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関とのコミットメント・ライン契約の締結やコマーシャル・ペーパー発行枠の設定等により十分な手元流動性を確保しております。 |
※本記事は「日本酸素ホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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