株式会社LIXILの基本情報

会社名株式会社LIXIL
業種金属製品
従業員数連48660名 単14930名
従業員平均年齢46歳
従業員平均勤続年数20.3年
平均年収7087320円
1株当たりの純資産1410.19円
1株当たりの純利益(連結)6.97円
決算時期3月
配当金90円
配当性向328.6%
株価収益率(PER)63.1倍
自己資本利益率(ROE)(連結)-3.3%
営業活動によるCF1000億円
投資活動によるCF▲281億円
財務活動によるCF▲724億円
研究開発費※1253.23億円
設備投資額※1635.82億円
販売費および一般管理費※1786.66億円
株主資本比率※233.9%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営方針及び経営環境私たちを取り巻く世界や日々の暮らしは変化を続けています。しかし、より豊かで快適な住まいで暮らしたいという人びとの願いは、いつの時代も変わりません。LIXILのPurpose(存在意義)は、持続的な成長に向けて、よりアジャイルで起業家精神にあふれた企業になるための取り組みを続け、意思決定を行う際に指針となるものです。従業員は、当社における価値創造の原動力であり、LIXIL Behaviors(3つの行動)を日々の業務の中で実践することで存在意義の実現につなげています。 上記のPurposeのもと、当社グループは、人びとの住まいの夢を実現するために、先進的な技術と製品を開発、提供しています。水の可能性を広げるシャワーや水栓、料理の創作意欲を高めるキッチン。清潔さと快適さを兼ね備えたトイレ。家の中と外の世界をつなぐドアや窓。空間に彩りを添える内装や外装。長い一日の疲れを癒すお風呂。住まいをより豊かで快適にするのは、実は意外とシンプルなことです。当社は、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー5社が統合して誕生しました。以後、GROHE、American Standardといった世界的ブランドを傘下に収め、日本のものづくりの伝統を礎に、世界をリードする技術やイノベーションで、日々の暮らしの課題を解決する高品質な製品をグローバルで幅広く提供しています。 現在、当社グループは、世界150カ国以上で約48,600人の従業員を擁するグローバル企業となり、毎日10億人以上の人びとに当社グループの製品をご愛用いただいています。今後も生活者視点に立ち、考え抜いた、意味のある製品デザインにこだわり、世界中のあらゆる人びとのより豊かで快適な住まいと暮らしの実現に向けて、さらなる可能性を追求し、責任ある事業成長を推進していきます。 この数年間、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化し、世界的なインフレーションや物流危機、サプライチェーンの寸断などさまざまな課題に直面しながらも、逆境を乗り越えることで、さらに強い組織へと変革を推進してきました。経営の基本的方向性を示したLIXIL Playbookに基づき、持続的な成長の実現に向けて、着実に前進しています。 直近において、グローバル市場は国際政治や経済情勢が複雑さを増し、不透明な経営環境が続いています。そのような中、当社は成長軌道への回帰を果たすべく当期を「足固めの一年」として位置づけ、アセットライト化の推進を含めた構造改革の推進と海外事業の回復、環境変化に左右されにくい事業基盤の構築、を取り組むべき課題として掲げ対応を進めてきました。海外事業の構造改革を進めたことにより、資産の最適化、生産性の向上の両面で着実に成果が出ています。特に米国の浴槽事業について、米国浴室事業大手のAmerican Bath Group(ABG)社への事業の一部譲渡を含む戦略的パートナーシップを締結したことは、米国事業の回復にとって大きな意味を持つものであり、両社のネットワークを通じて販売拡大を目指すとともに、より収益性の高い事業領域に注力することが可能になります。欧州市場では、主力である西ヨーロッパでの景気低迷にもかかわらず、販売数量が増加し、堅調な業績回復が見られました。特にシャワーと水栓金具の分野では、競合他社を上回り売上を拡大したことは大きな成果です。また、成長著しい中東・インドでも大幅な売上成長を達成しました。地域の特性やニーズに的確に対応できるよう事業運営体制の見直し強化を進め、今後も需要の継続的な拡大が期待できる状況です。 日本国内では、新築需要の減少が見込まれる中で、かねてより事業モデルの転換に取り組んできました。当期においてリフォーム需要の取り込みは順調に進み、高断熱窓をはじめ、リフォーム向けの水まわり製品などの開発とプロモーションを強化することで、リフォーム売上比率が拡大しました。このように、構造改革の推進とイノベーションによる差別化に取り組んできたことで、売上収益、事業利益ともに前年同期比で増収増益と業績を改善させることができました。対処すべき課題はなお残っているものの、中長期的な財務目標の達成に向けた道筋を進むことができていると考えています。 次期について、足元では関税をはじめとする政策転換によって米国経済が大きく変化する可能性もあり、先行きが見通しづらい部分もありますが、状況変化には柔軟に対応していきます。国内・海外ともに市場環境は当期と大きくは変わらないと見ているものの、これまでの構造改革を弾みに、本格的な成長軌道への回帰に向けて、引き続き変革を推進していきます。当社はこれまで、より機動的な事業運営とコア事業への戦略的な投資を強化するためのアセットライト化を推進してきました。当期までで海外事業の構造改革は概ね完了したと考えていますが、資産に見合った収益を生んでいない事業については、引き続き最適化に取り組んでいきます。国内市場においても、今後の新設住宅着工戸数の継続的な減少などの市場環境の変化を見据えると、リフォーム需要の取り込み拡大は日本事業において最も重要なテーマです。成長分野であるリフォーム市場において事業間の相乗効果をより高め、幅広い商材を扱う当社ならではの強みを発揮できるよう「リビング事業部」を設置し、製品の総合的な提案を可能にする体制を構築するとともに製造面でもシナジー発揮に向けて努めていきます。また、AI等のデジタル技術の活用などにより生産性を高め、顧客とのより良い関係の構築や業務の効率化につなげていきます。これに加え、差別化された製品の開発や事業環境の変化への対応により、成長機会を着実に捉えていくための準備を進める必要があります。これまでも社会や環境にインパクト(良い影響)を生み出す差別化製品のラインナップ拡充を図っており、すでに新たなコア事業の芽として期待できるものも出てきています。次期においても、将来に向けたイノベーションの創出に一段と力を入れ、高付加価値で差別化された、革新的な製品の投入、拡販を進めていきます。なお、当社は持続可能な成長と価値創造を実現していくための長期目標として、事業利益率10%、ROIC10%を掲げています。その長期的な経営指標を達成するための方向性として、2028年3月期までに事業利益1,100億円以上、事業利益率6.5%の達成を目指していきます。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は、すべての事業の軸となるPurpose(存在意義)達成の道筋として、2021年3月期に経営の基本的方向性を示すLIXIL Playbookを策定し、取り組むべき優先課題を設定しました。Purposeを追求し、当社グループの特長をさらなる強みへと進化させ、持続的な成長の実現につなげていくロードマップを明確化したものです。先行きが不透明で将来の予測がしにくい事業環境においても、目指すべき方向を明確に示すことで、従業員が一丸となって優先課題に注力することができています。(なお、策定日以降の事業環境の変化に対応させるため、2023年に優先課題の一部改訂を実施しています。) [LIXIL Playbookにおける5つの優先課題]① インフレーションとサプライチェーンにおける課題への対応資材や物流費の高騰による影響を踏まえ、販売価格の最適化や、素材の変更によるコストダウンとコスト安定の両立を図るとともに、付加価値の高い差別化製品へのシフトにより収益性改善を進めます。また、グローバルサプライチェーンが寸断されるリスクに備え、調達先の冗長化や生産のプラットフォーム化といった従来からの施策に加え、地域内における調達、生産体制への移行を進めていきます。 ② 日本事業の最適化と新たな事業成長の追求日本事業の収益性と機動力を高めるための施策を継続し、従来は水回り製品が中心であったリフォーム商材を窓や壁といった断熱改修にまで広げることで、拡大するリフォーム需要の取込みを強化します。さらに、全ての製品群に関して環境配慮型の製品を導入し、差別化につなげていきます。 ③ ウォーターテクノロジー事業における海外事業の成長促進付加価値の高い製品の販売拡大、販売チャネルの多角化、戦略的なブランド・ポートフォリオの構築といった施策を通じて、コモディティビジネスからの脱却を図り、海外市場の成長を着実に取り込むための基盤を強化します。 ④ 環境戦略の事業戦略への統合当社グループの環境戦略は、「気候変動対策を通じた緩和と適応」「水の持続可能性を追求」「資源の循環利用を促進」という3つの重点領域を設定しています。環境戦略を事業戦略に統合し、各領域における中期目標の実現に向けて取組みを強化しており、持続的成長と地球環境や社会へのインパクトの拡大を目指します。 ⑤ 新たなコア事業の創出将来の成長に向けて、インパクトのある新しい技術、製品、ビジネスモデルの創造を通じて、新たな収益の柱になるようなコア事業の確立を目指しリソースを投入していきます。 LIXIL Playbookで掲げた優先課題に沿って、複雑化していた組織の簡素化、基幹事業への注力、サプライチェーンの強化といった取り組みは順調に進捗し、外部変化への対応力を着実に強化してきたという実感があります。しかしながら、海外事業を中心に、取り組むべき課題はまだ残されています。引き続き構造改革を推進し、外部環境に対する組織の弾力性を高めていきます。 事業環境は引き続き厳しい状況が続きますが、縮小が見込まれる国内市場の売上比率の高さ、資本効率の改善、利益率の低下といった課題は、企業努力で対処可能な課題であり、経営者として克服に努めていきます。最終的には、私たちの提供する商品すべてが、社会・環境にインパクトを創出し、それらの商品を迅速かつ効率的に、低コストで生み出していくことができる、強靭な事業基盤の構築を目指します。中長期で目指すのは、「LIXILから商品を買うこと自体が、世の中にとって良い」と認知される、そういう世界を創ることであり、その中核を担うのが、社会・環境にインパクトを生み出す商品群です。2030年には、売上の半分以上をこれらの商品群が占める姿を目指します。LIXIL Playbookの優先課題に沿ってこうした取り組みを中長期的に進めていくことで、目標とする事業利益率10%、ROIC10%は達成できると確信を強めています。長期的に、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まい」を実現する企業になるための絵は描けています。今はまず、将来の利益成長につなげる準備期間として、しっかりと足固めを行いながら、新たな暮らしの可能性を広げるイノベーションの創出に注力し、競争力の強化を図ります。事業活動を通じて社会・環境課題の解決に貢献することは、企業として果たすべき役割です。こうした活動は社会全体に利益をもたらすだけでなく、当社グループの事業の持続可能性を高める上でも、非常に重要です。今後も全社一丸となり、次世代へとつなぐ住まいと暮らしの向上に取り組んでまいります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は、次のとおりです。 ① 経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、企業収益が堅調に推移し、雇用・所得環境にも改善の兆しが見られる中、設備投資や個人消費の持ち直しの動きなどもあり、景気は緩やかな回復傾向となりました。しかしながら、エネルギー価格の高止まりに加え、継続的な物価上昇や住宅ローン金利上昇による消費動向への影響など、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、住宅投資に関しても、大規模な政府の住宅省エネ支援策により断熱製品を中心としたリフォーム市場の需要が創出されたものの、新築市場における建築資材価格の高止まりなどに起因した住宅価格高騰による住宅取得マインドの低下などから、新設住宅着工戸数は持家・分譲住宅を中心に低調に推移しました。世界経済に関しては、欧州での政策金利の段階的な引き下げや中東・インドなどの成長市場における堅調な需要が見られた一方で、米国における高金利水準の継続や不動産市場の停滞の継続を受けた中国経済の先行き懸念などにより、全体的には景気は不透明な状況で推移しました。今後も金利の高止まりや人件費高騰などの継続が想定されることに加え、米国の通商政策の動向や為替変動、長期化するロシア・ウクライナ紛争や中東情勢などの地政学リスクなどによる海外景気への影響については引き続き状況を注視していく必要があります。 このような環境のもと、当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」)における当連結会計年度の業績は、国内事業においては、新設住宅着工戸数の低迷により新築向けの売上が伸び悩んだものの、水回り製品を中心としたリフォーム売上は堅調に推移しました。海外事業においても、米国における需要低迷の継続や中国における不動産市況の低迷があった一方で、欧州における売上改善や中東・インドの成長拡大に加え、為替換算の影響などもあり、売上収益が増加しました。これらの結果、当社グループにおける売上収益は1兆5,046億97百万円(前年同期比1.4%増)と増収となりました。利益面については、資材・エネルギー及び部品価格の高止まりによるコスト増加があったものの、主に国内において販売価格の適正化に努めたことや欧州を中心とした売上の改善、構造改革によるコスト削減効果などもあり、事業利益は313億37百万円(前年同期比35.3%増)と増益となりました。また、構造改革の実施に伴う一時的なその他の費用の発生が前連結会計年度に比べて減少したことなどから、営業利益は296億87百万円(前年同期比81.6%増)、継続事業からの税引前利益は201億50百万円(前年同期比3.0倍)とそれぞれ大幅な増益となりました。また、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は、一部の連結子会社の収益性の低迷などに起因する税負担率の上昇があったこと等から、20億1百万円(前年同期は139億8百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。 (注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。 セグメント別の概況は次のとおりです。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前です。 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)増減額増減率ウォーターテクノロジー事業売上収益896,924927,84430,9203.4%事業利益22,71740,94118,22480.2%利益率2.5%4.4% ハウジングテクノロジー事業売上収益596,448586,819△ 9,629△ 1.6%事業利益35,88729,172△ 6,715△ 18.7%利益率6.0%5.0% 消去又は全社売上収益△ 10,148△ 9,966182 事業利益△ 35,442△ 38,776△ 3,334 合 計売上収益1,483,2241,504,69721,4731.4%事業利益23,16231,3378,17535.3%利益率1.6%2.1% [ウォーターテクノロジー事業]主に水回り製品を手がけるウォーターテクノロジー事業においては、国内事業はこれまで取り組んできた価格改定の効果の発現に加え、リフォーム関連製品の売上が引き続き堅調に推移したことなどもあり、新築需要の減退による影響が続いている中でも対前年同期比で増収となりました。海外事業も、米国・中国においては需要低迷が継続した一方で、欧州・中東において売上が堅調に推移したことや為替換算影響があったことなどにより、対前年同期比で増収となりました。その結果、同事業の売上収益は9,278億44百万円(前年同期比3.4%増)と増収となりました。また、事業利益は、国内事業では資材価格の高騰や為替の影響をリフォーム売上の増加や価格改定による効果でカバーし、海外事業においても売上増加による影響のほか構造改革効果の発現により販管費が削減されたことなどから、409億41百万円(前年同期比80.2%増)と大幅な増益となりました。 [ハウジングテクノロジー事業]主に国内で住宅建材製品を展開するハウジングテクノロジー事業においては、低炭素社会の実現に向けた国策による大規模な補助金制度の導入を背景に、窓を中心とした断熱製品のリフォーム向け売上が大きく伸長したものの、ウォーターテクノロジー事業と同様に新築需要の減退による影響を大きく受けたことに加え、前年に売却した事業に係る売上剥落などにより、同事業の売上収益は5,868億19百万円(前年同期比1.6%減)と僅かながら減収となりました。事業利益についても、新築向けの売上低迷による影響を大きく受けたことに加え、引き続き資材・エネルギー価格の高止まりによるコスト増加の影響もあり、291億72百万円(前年同期比18.7%減)と減益となりました。 (注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。2.「国内事業」「海外事業」については、当社グループの連結業績管理にて定義しているマネジメントベースの区分を使用しており、所在国による区分とは一部異なります。具体的には、ウォーターテクノロジー事業及びハウジングテクノロジー事業において、国内で管轄している一部の海外子会社を「国内事業」に含めています。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて557億91百万円減少の1兆8,308億4百万円となりました。流動資産は、為替換算に伴う減少影響に加え、前連結会計年度末が期末休日であったことに伴う営業債権及びその他の債権の減少、事業再編に伴う棚卸資産やその他の金融資産の減少などもあり、前連結会計年度末に比べて295億37百万円減少の7,012億41百万円となりました。一方、非流動資産は、主にのれん及びその他の無形資産に係る為替換算に伴う減少や、有形固定資産及び無形資産の減少があったことなどから、前連結会計年度末に比べて262億54百万円減少の1兆1,295億63百万円となりました。また、資本は6,200億70百万円、親会社所有者帰属持分比率は33.7%(前連結会計年度末比0.4ポイント低下)です。 (億円) ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額です。 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,000億2百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて520億12百万円の増加となり、この主な要因は、継続事業からの税引前利益水準の上昇に加え、営業債権及びその他の債権、棚卸資産、営業債務及びその他の債務などの運転資本の変動に伴う影響があったことなどによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による収入や吸収分割による支出など事業再編に伴う一時的な収支があったものの、主に設備投資に伴う有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったことなどから281億27百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて17億49百万円の支出減少です。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期、長期とも有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことに加え、配当金やリース負債の支払があったことなどから724億70百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて687億97百万円の支出増加です。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて9億58百万円減少の1,235億27百万円です。 ④ 生産、受注及び販売の実績生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円) 前年同期比(%)ウォーターテクノロジー事業500,246102.5ハウジングテクノロジー事業265,562101.9合計765,808102.3 商品仕入実績 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円) 前年同期比(%)ウォーターテクノロジー事業98,78994.4ハウジングテクノロジー事業130,83693.9合計229,62594.1 受注実績 ハウジングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っています。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)ハウジングテクノロジー事業86,985108.2122,637108.2 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円) 前年同期比(%)ウォーターテクノロジー事業927,844103.4ハウジングテクノロジー事業586,81998.4報告セグメント計1,514,663101.4セグメント間取引△9,96698.2合計1,504,697101.4 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しています。 ① 重要な会計上の見積り及び判断、重要性がある会計方針重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。また、当社グループを取り巻く市場の動向や為替変動等の経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要性がある会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及びセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりです。 [当連結会計年度の業績に対する評価]当連結会計年度は、国内事業では新築着工数低迷の影響を受けたものの、新商品やリフォーム重要の高まりに応じた商材の販売強化による売上が下支えし、海外事業では米国及び中国において需要の低迷があった一方で欧州における売上改善と中東・インドの成長がドライバーとなりました。その結果、引き続き厳しい事業環境ながら売上収益は215億円増の1兆5,047億円と増収を達成することができました。売上総利益率は33.1%と1.2pt改善しました。国内では、新設住宅着工戸数は当初の予測よりも減少したものの、新築向け売上減少をリフォーム向け売上にてカバーした結果、ウォーターテクノロジー事業は好調に推移しました。一方で、窓リフォームの政府補助金消化率が想定より低調に推移した結果、ハウジングテクノロジー事業は窓リフォーム向け売上が想定を下回ったことにより、計画比低調に推移しました。海外では、欧州は景気低迷が続き需要が弱い中でも販売数量が増加し売上改善、成長市場である中東・インドにおける売上拡大、ならびに構造改革効果により、前期比で増収増益となりました。米国は構造改革による事業ポートフォリオの最適化を進めましたが、需要低迷の継続、第三者の不正アクセスによるシステム停止の影響があり減収減益となりました。今後は収益性の改善を目指し、高付加価値商材の拡販に向けたリソースの配置ならびに販売先のシフトを加速していきます。コストの削減については、当連結会計年度は本社費などの販管費削減努力の継続に加え、海外事業における構造改革を推進してきました。欧州及び米国における人員配置の最適化、サプライチェーンの再構築、事業ポートフォリオの最適化等に取り組みました。海外事業の構造改革は概ね当期で完了であり、次期以降に大きな利益成長を実現するための、足固めの一年となりました。次期は、米国における関税政策の動向を注視しながら、サプライチェーンの一部再構築など見極めが必要ですが、大きな費用は発生しない見通しです。事業環境が厳しい時期だからこそ、変化への対応力を高め、強固な事業基盤を築いていきます。 当社グループを取り巻く事業環境の厳しさは続いており、迅速かつ適切な対応が迫られています。上記にて説明した対応策を着実に取り組むことにより、財務の安定性を確保しつつ、当社の持続的な成長とPurpose(存在意義)の実現に努めてまいります。 [資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応]当社は、中期目標の指標として事業利益率7.5%、ネット有利子負債EBITDA倍率3.5倍以下、親会社所有者帰属持分比率35%以上の実現を掲げています。また、長期の財務指標として事業利益率10%、投下資本利益率(ROIC)10%を達成することを目指しています。 (注)1.ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷{(親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2}2.ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務) また、当連結会計年度末時点でのPBRは0.8倍にとどまっており、ROEの向上に繋がる利益率の改善を推進していきます。そのために事業利益率の改善策として、価格の適正化、アセットライト化に加え、海外事業の収益性改善に取り組みます。加えて当期利益の拡大に向けて、構造改革遂行後の効果発現により収益性を高めていきます。 [キャピタルアロケーション・株主還元に対する考え方]当社は、期間収益並びにキャッシュ・フロー、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、利益配分を決定することを方針としています。具体的には、その時点でのキャッシュ・フローの状況を勘案し、財務体質の強化に加え、競争力の強化を目的とした設備投資(新商品開発、合理化、IT投資等含む)等の成長投資を優先することを前提に内部留保の使途を決定します。株主還元については、長期にわたり安定した配当を実施することを基本とし、中期的なEBITDAの水準に基づき年間配当金額を決定するとともに、自己株式の取得は機動的に行う方針です。この方針のもと、次期の配当は1株当たり90円を予想しています。 (注)調整後EBITDA:事業利益 + 減価償却費(IFRSにおけるリース会計適用による現金の流出を伴う減価償却費の計上額の補正) [財務の安定性確保]現時点では、将来成長の基盤であるイノベーションを優先事項ととらえ、大型のM&Aや設備投資は検討していません。また、当面、大型の借入れや増資計画はありませんが、資本的支出については長期的かつ持続的な成長につながるITや人材、デザイン・ブランドなどの無形資産も含む成長投資により営業キャッシュ・フローの増加を図るとともに、保有資産の最適化を通じて成長投資に必要な資金の創出を図ります。当社では、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下に、また親会社所有者帰属持分比率を35%以上に改善することを中期目標の指標として、アセットライト化の推進に基づく資本効率の向上と固定費の削減に取り組んでいきます。 [次期の見通しと通期業績予想値]次期の見通しについては、国内においては経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、金利の上昇による新築需要のさらなる縮小や、為替変動、物価上昇の動向によっては依然として先行きが不透明な状況が続くと見込まれます。海外においても、欧州・米国を中心に予想される金利の低下、欧州における着実な売上拡大や中東・インドなどの成長市場における需要取込みが期待されるものの、米国の相互関税措置の動向や国際紛争の長期化などの地政学的リスクに起因する世界的な情勢不安に加え、不動産市場の低迷やインフレーションなど、引き続き不透明な状況が続くと見込まれます。このような厳しい事業環境のもと、当社グループにおいては経営の基本的方向性を示したLIXIL Playbookの優先課題に基づき、これまでも積極的な対策を講じてきました。特に喫緊の課題である海外事業の収益性の回復に向けては継続して構造改革に取り組むとともに、利益率の高い商品へのシフト並びに流通経路のシフト、不採算事業の整理などによる事業ポートフォリオのさらなる見直し、サプライチェーンの再構築などを推進していきます。一方で、業績の向上と持続的成長に向けて、差別化商品の拡大と、社会や環境へのインパクト(良い影響)創出を同時に実現することを目指しています。これまでも機動的で起業家精神にあふれた組織へと変革する取組みを続けてきましたが、今後も引き続き、デジタル化の加速とインクルーシブな企業文化の醸成を通じてイノベーションを推進し、新たな成長機会の確立につなげていきます。これまで取り組んできた事業基盤の強化による成果は見え始めており、長期的な成長への道筋は変わっていません。ステークホルダーの皆様に提供する価値をさらに高め、ひいては、『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』という当社グループの存在意義を実現するために前進してまいります。 このような中、次期の通期業績予想値につきましては、上記のような事業環境・経営戦略を考慮し反映させた結果、売上収益は1兆5,400億円(前年同期比2.3%増)、事業利益は350億円(前年同期比11.7%増)、営業利益は300億円(前年同期比1.1%増)、継続事業からの税引前利益は210億円(前年同期比4.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は80億円(前年同期比4.0倍)と、増収増益を見込んでいます。 なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。 (注)1.EPS(基本的1株当たり当期利益)の2026年3月期予想値の算定上の基礎となる期中平均株式数については、2025年3月31日現在の発行済株式数(自己株式数を除く)を使用しています。2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。また、各指標は、以下により算出しています。ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)ROA :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))÷2)ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物3.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。 資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めています。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っています。なお、新型コロナウイルス感染症拡大のような想定外の事象により経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しています。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めています。 当連結会計年度においては、税引前利益水準の上昇に加え運転資本の増減などにより営業キャッシュ・フローが大きく改善したことから、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて184億円減少し5,343億円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,235億円となりました。次期においても、引き続きフリー・キャッシュ・フローの改善を通じて有利子負債の圧縮と財務体質の健全化を図ります。 なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりです。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期売上収益事業利益率(%)4.24.51.71.62.1親会社所有者帰属持分比率(%)31.734.333.734.133.7ネット有利子負債/EBITDA(倍)3.52.94.85.34.7(注)1.各指標は、連結ベースの財務数値により算出しています。なお、各指標は、以下により算出しています。ネット有利子負債:有利子負債-現金及び現金同等物EBITDA     :事業利益+減価償却費及び償却費2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としています。また、EBITDAの算出に用いた減価償却費及び償却費には、非継続事業に分類したPermasteelisa S.p.A.及び同社子会社並びに株式会社LIXILビバに係る金額を含めていません。

※本記事は「株式会社LIXIL」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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