小林製薬株式会社の基本情報

会社名小林製薬株式会社
業種化学
従業員数連3615名 単1665名
従業員平均年齢41歳
従業員平均勤続年数12.8年
平均年収7569688円
1株当たりの純資産2862.28円
1株当たりの純利益(連結)135.42円
決算時期12月
配当金102円
配当性向71.9%
株価収益率(PER)46倍
自己資本利益率(ROE)(連結)4.8%
営業活動によるCF112億円
投資活動によるCF▲184億円
財務活動によるCF▲77億円
研究開発費※118.11億円
設備投資額※173.1億円
販売費および一般管理費※11675.56億円
株主資本比率※277.8%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針および経営環境(経営方針) 当社紅麹関連製品に関して、健康被害にあわれたお客様をはじめ、株主の皆様、当社を取り巻くすべてのご関係の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。健康被害にあわれたお客様への補償について真摯に対応し、再発防止に向けた取り組みを進めることで、信頼回復に努めてまいります。 当社は、2023年2月14日に2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を公表し、これを実現すべく様々な施策に取り組んでまいりました。しかしながら、紅麹関連製品の回収事案(以下「本件事案」といいます)の発生により、2024年12月期の連結業績は2023年2月14日に公表した中期経営計画において想定した前提条件からの乖離が大きく、中期経営計画で定めた業績数値、戦略課題/KPIについて、新たな状況を加味して設定すべきと判断したことから、中期経営計画を取り下げることといたしました。新たな経営方針は、現在議論中であり、適切なタイミングにて公表する予定でございます。 (経営環境) 当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴って多くの国で経済活動が再開し、国・地域を越えた移動も増加傾向になる中、原材料価格の高騰やエネルギーコスト上昇に伴う消費低迷の懸念、地政学リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が続きました。 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 現在、健康被害にあわれたお客様および損害を受けられた企業様への補償について誠心誠意対応するとともに、原因の究明や再発防止に向けた取り組みを進めております。 補償の状況 当社は、本件事案の発生直後から、当社の紅麹関連製品を摂取されたお客様がご自身の健康状態の確認のために医療機関をご受診して頂くようお願いをし、その初診料・検査費用等のお支払いをするとともに、製品の摂取と症状との間に相応の関連性があると疑われるお客様に対して、暫定的に医療費等の実費のお支払いを進めてまいりました。その後、被害にあわれたお客様への補償対応を着実に進めるべく、2024年7月1日付で本件事案の補償を専門に取扱う「補償対応本部」を設置し、健康被害への補償の方針を定めて、同年8月19日からは医療費・交通費に加えて、慰謝料、休業補償、後遺障害による逸失利益の補償も本格的に開始しています。 また、当社の紅麹原料又は紅麹原料を使用した製品を取り扱っている企業様においては、同年3月25日より、お客様の健康被害が拡大することを防ぐための予防的措置として自主回収をお願いしており、その回収に要した費用等に関する補償の受付も進めております。 再発防止策の策定及び進捗状況 本件事案の発生直後から、見出された課題についてはこれを解決するべく随時対応しておりましたが、2024年9月17日付当社ニュースリリース「再発防止策の策定に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、事実検証委員会による調査報告書を通じて提言された内容を踏まえ、①品質・安全に関する意識改革と体制強化、②コーポレート・ガバナンスの抜本的改革、③全員が一丸となって創り直す新小林製薬、を3本の柱とする再発防止策を取締役会にて決議し、公表いたしました。 改めまして、再発防止策の概要につきまして、以下に3本柱に沿って記載いたします。 再発防止策の概要(3本柱)①品質・安全に関する意識改革と体制強化・「品質・安全ファースト」を徹底して当社の役職員の品質・安全に関する意識改革を図る・品質・安全責任部署の役割と責任を明確にし、品質保証体制とマネジメント体制を強化する②コーポレート・ガバナンスの抜本的改革・新小林製薬の経営を監督する取締役会構成を刷新する・ステークホルダーの皆様からの信頼回復と、新小林製薬の実現を目的として、正しいことを正しく行う会社となるための体制の確立を図る③全員が一丸となって創り直す新小林製薬・リスク感度を高め、新たな価値を作り出す力を高めるため、当社が抱える同質性を排除し、多様性を確保する施策を実行する・全役職員が力を合わせて一丸となり、新しい小林製薬を創り直す  当社としては、これまでにいただいた社外からの厳しいご指摘も踏まえ、再発防止策の具体化を検討し、また、実施済みの再発防止策についても不断に見直しを行う必要があると考えております。加えて、二度と本件事案のような事態を起こさぬよう、今後も誠実かつ着実に再発防止策を実施し、「品質・安全ファースト」の風土を体現した企業となるべく、歩みを進める所存でございます。  以下、上記の3本柱それぞれについて、現在実施または検討している再発防止策の概要を説明します。 ①品質・安全に関する意識改革と体制強化 本項目における活動の概要は図表①のとおりです。これまでの主な活動としては、まず、全社員教育や経営幹部と現場従業員との双方向の対話の増加を通じて、「品質・安全ファースト」の意識改革を推進してまいりました。次に、品質・安全責任部署の役割と責任の明確化を図り、より専門性を発揮できる品質管理体制とするべく、2025年1月1日付で関連する組織再編を行いました。また、工場のマネジメント体制の強化に加え、製造部門及び研究開発部門との連携を加速させ、ものづくりの協働体制及びガバナンス体制の強化を進めております。 今後は、ものづくりの現場の力を強化し、品質マネジメント体制を再構築していくとともに、品質管理基準や製品検査等の精緻化も図ってまいります。 図表①1品質・安全に関する意識改革と体制強化(1)意識改革:「品質・安全ファースト」(1)-ア品質・安全に関する教育・研修 品質・安全に関する教育・研修の全役職員向け実施(1)-イ品質・安全に関する代表取締役社長メッセージの発信 代表取締役社長が旗手となっての定期的なメッセージ発信(1)-ウ従業員との対話の機会の増加 経営幹部と品質・安全の維持・管理に従事する従業員との定期的対話(1)-エ「品質・安全ファースト」を最重要視した事業計画の策定 事業計画への「品質・安全ファースト」の組み込み中期経営計画への品質・安全に関する施策の中軸的配置品質・安全性向上に必要な投資を行える環境整備必要な事業の選択と当該事業へのリソースの集中(2)体制強化①:品質保証体制(2)-ア責任部署の明確化 信頼性保証本部の役割の明確化(2)-イ品質管理体制の改善 第1線の専門性強化機能別本部制への移行品質管理部署の品質管理専任化人事ローテーションの見直し第1線と第2線の双方向的連携の強化品質関連の組織の整理品質関連の会議体の整理(2)-ウ専門部署の新設 製品の開発・製造関連法規を専門的に扱う部署の新設(3)体制強化②:マネジメント体制(3)-ア工場のガバナンス体制の充実(3)-ア-(ア)品質マネジメント部および第三者による定期監査 製造本部による工場の定期監査の実施品質総点検(自主点検)※経口製品、肌に触れる製品社内定期監査の実施第三者機関によるチェックの仕組みの構築第三者機関による工場の監査の実施第三者機関による定期的な監査の継続(3)-ア-(イ、ウ)「ものづくり推進室」の新設 工場の統括機能の強化(ものづくり推進室の新設)製造本部と工場の連携/コミュニケーション強化(3)-ア-(エ)統括的な衛生管理基準の策定 経口製品群(医薬品以外)での衛生管理基準の策定肌に触れる製品群(医薬品以外)での衛生管理基準の策定全製品カテゴリーでの衛生管理基準の策定(3)-イ関連ルールの整備 製品カテゴリーに応じた法令・各種ガイドラインの一元化品質保証方針の浸透の徹底製造・研究・品質部門の品質活動同期化ものづくり品質行動方針の明文化(3)-ウ業務フローの見直し(3)-ウ-(ア)開発部門と工場の協働 「量産化見直し会議」の定期開催開発部門と製造本部の部門横断的な品質強化チームの立ち上げ(3)-ウ-(イ)新規技術領域における製造管理・維持管理等の向上 新規技術領域への進出や事業拡大時におけるPMIプロセスの再考取得事業に関わる人材の育成・外部専門家の意見聴取体制の構築取得事業に係る継続生産開始後における製造管理・品質維持管理体制の強化(3)-ウ-(ウ)製品検査の強化 製品特性に応じた複数検査・特定成分以外の成分混入の検出手順の検討・導入(3)-エ人事評価制度の刷新 品質・安全に貢献する活動を評価対象とすることを軸とした人事制度の改定 ②コーポレート・ガバナンスの抜本的改革 本項目における活動の概要は図表②のとおりです。これまでの主な活動としては、当社の現状を鑑み、あるべき取締役会構成の見直しを行い、社内外から様々な知見を有する人材を選定し、本株主総会で取締役候補者として株主の皆様にお諮りしております。また執行体制としては、専門性を高め意思決定の質とスピードを向上させる目的で、執行会議体の見直しを行っております。 併せて、危機管理体制強化の観点から、有事の対応組織及びリスク情報のエスカレーション体制を強化いたしました。 今後は、新しい取締役会のもと、監査役との連携をさらに強化して内部統制や品質管理の監督を充実させてまいります。 図表②2コーポレート・ガバナンスの抜本的改革(1)創業家依存経営からの脱却 代表取締役会長・社長の辞任社外取締役が過半数を占める取締役会による監督機能の更なる強化(2)機関設計の再検証 指名委員会等設置会社等への移行の検討取締役会構成の刷新・社外取締役増員、取締役会長外部招聘による監督機能強化(3)取締役会による監督強化(3)-ア社外取締役による監督の強化 取締役会の運営の見直し取締役会議長体制の変更取締役会アジェンダの見直し社外取締役と監査役間の情報共有の仕組みの充実社外取締役の任期ルールの制定(3)-イ取締役会と執行サイドの連携強化(定例会議の新設等) 取締役会への適時適切な情報提供の仕組み作り取締役会と執行サイドの連携強化リスク情報のエスカレーション体制の構築(3)-ウ監査役への適時の情報共有 監査役会と取締役会・執行サイドのコミュニケーションの促進(4)執行部の会議体の見直し(グループ執行審議会:GOMの廃止等) 会議体の再構成経営執行会議の新設(執行の意思決定機関の明確化)グループ協議会の新設(多様な意見の収集)各種専門委員会の新設(専門協議強化/第三者視点採用)(5)危機管理体制の整備(5)-ア代表取締役社長を責任者とする対応体制 専門性をもって迅速に意思決定を行う仕組み構築(品質安全専門委員会・品質安全緊急会議の設置)(5)-イ有事を想定したリスクマネジメント 組織再編によるリスクマネジメント部門と取締役会事務局の連携強化平時におけるリスクマネジメント体制の構築(5)-ウ有事の際の社内情報共有体制 有事におけるリスク情報のエスカレーションフローの再整備取締役会にエスカレーションすべきリスク情報の考え方の策定(6)リスク・コンプライアンス体制の強化(6)-アガバナンス推進会議の再整理 リスク・コンプライアンス専門委員会の設置(6)-イ誠実さを行動準則とした組織運営 インテグリティ経営の推進インテグリティ経営推進の専門部署の新設役員向けインテグリティ研修実施インテグリティ経営の風土の醸成(7)対外的なコミュニケーション・情報発信の改善 専門性を高めた組織編成による社内・対外コミュニケーションの活性化(8)品質・安全を最優先とした事業運営 事業ポートフォリオ戦略の再構築・やめるべきことの決定(事業の選択とリソースの集中)SKU数の削減の検討 ※SKUとは、Stock Keeping Unit(商品最小単位)を指します必要な人員や予算等のリソースの再分配 ③全員が一丸となって創り直す新小林製薬 本項目における活動の概要は図表③のとおりです。まずは、専門性と多様性を重視した人材の確保や配置、育成に向けた人事制度改革に着手しております。次に、今後の当社のあるべき姿と、それを実行できる組織風土の構築を目指した全社横断のプロジェクトを発足いたしました。 また、本件事案を公表した3月22日を「品質・安全の日」とし、本件事案を決して風化させることなく、全員が一丸となって新たな小林製薬を創り直してまいります。 図表③3全員が一丸となって創り直す「新小林製薬」 専門性と多様性を重視した人材の確保・配置・育成組織風土の見直し(組織風土改革プロジェクトの推進)本件事案を風化させない取り組みの継続3月22日(本件事案公表日)を「品質・安全の日」と制定 中長期の成長に向けた取り組み 現在は、上記の再発防止策を推し進めつつ、新小林製薬に向けたアクションプランとして、①構造改革の推進、②成長回帰に向けた開発基本方針、を定め進捗させてまいります。 ①構造改革の推進a. ポートフォリオマネジメント経営の推進 これまでの事業拡大を最優先とした経営により、限られたリソースを多数の事業に対して配分しなければならず、投資が分散されてしまう実態がありました。その結果、品質への投資といった事業拡大への寄与が見えにくい事項への投資が劣後する状況が顕在化してきていました。中長期の事業成長を実現するためには、中核領域と変革領域を整理し、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、ポートフォリオを変えていくことが不可欠です。そこで、ポートフォリオマネジメント経営を積極的に推進してまいります。 今後、ポートフォリオマネジメント経営を通じてカテゴリーごとにメリハリをつけた戦略とすることで、製品構成も再編していきます。この取り組みにより、収益構造を回復し、粗利率の向上を図ってまいります。 短期的なアクションとしてはSKU数の最適化、広告効率の改善が急務であると考え、下記のとおり実践してまいります。 1)SKU数の最適化・生産性の向上、製品品質の向上、利益率改善を目的として、SKU数25%の削減をターゲットとする・今後の当社のビジネスモデルとして適切なSKU数を見極める 2)広告効率の改善・Web広告へシフトすることで各ブランドのユーザー層(ターゲット)への訴求力を強める (広告を再開した後に実行)・2割程度の広告効果の改善を目標に、ブランドごと、媒体ごとの広告投資を最適化させるb. 不採算事業の見直し 固定費の軽量化だけでなく、人的資本の活用を含む品質・安全投資のリソースの拡充を目的に、不採算事業の整理も視野に入れた抜本的な経営改革を実践してまいります。 ②成長回帰に向けた開発基本方針a. 新製品開発 お客様にリピートされる確かな品質と機能にこだわった新製品開発を推し進めてまいります。加えて、新製品販売後もお客様目線での改良と製品コミュニケーションを徹底することで、お客様の生活に根づき、5年を越えて愛される、なくてはならない製品として価値を高めていくことを目指します。b. 海外事業成長 今後も海外事業を成長の柱として位置付け、グローバルブランドを定めて、引き続き投資を拡充させてまいります。一方、今後は限られたリソースを効率よく資本循環させるため、成長国を見極めた上で各地域の戦略を明確にし(例えば、東南アジアでは、タイ、マレーシアに続く成長国へ積極的に展開)、メリハリをつけた投資により期待されるリターンを最大化させていく方針とします。c. 新規事業への布石 新規事業の進め方を再考するべく、当期より既存事業と切り離した組織として、「新規事業準備室」を設けています。今後は、当社の戦うべき新規事業領域を定め、リソースを集約して推し進めてまいります。 以上の取り組みにより、およそ3年後には本件事案発生前の利益水準に戻したいと考えております。 ? 業績目標業績予想の前提 国内の広告は第2四半期から再開する前提となっております。 インバウンド需要は前年並みの想定で織り込んでおります。 品質・人材への投資も強化してまいります。 将来の需要増や事業拡大に対応すべく、国内外の大型設備投資(新棟投資)を実施していきます。 原材料価格やエネルギーコストなど、様々なものが値上がりしていますが、今後も高止まりが続くと見込んでおります。 2024年12月期2025年12月期金額金額対前期増減率売上高利益率売上高1,656億円1,710億円3.3%-営業利益248億円140億円△43.7%8.2%経常利益268億円153億円△43.0%8.9%親会社株主に帰属する当期純利益100億円105億円4.3%6.1%EBITDA(※)328億円228億円△30.5%13.3%EPS135.42円141.25円4.3%-ROE4.8%5.0%--配当102円(中間43円、期末59円)104円(中間44円、期末60円)--国内事業売上高1,199億円1,200億円0.1%-国際事業売上高451億円505億円11.8%-※ EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 (2)経営成績 当連結会計年度における当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴って多くの国で経済活動が再開し、国・地域を越えた移動も増加傾向になる中、原材料価格の高騰やエネルギーコスト上昇に伴う消費低迷の懸念や、地政学リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が続きました。 その結果、売上高は165,600百万円(前連結会計年度比4.5%減)、営業利益は24,860百万円(同3.6%減)、経常利益は26,861百万円(同1.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,067百万円(同50.5%減)となりました。  セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 国内事業 当事業では、お尻などのブツブツ治療薬「ヒプキュア」や、香りで気持ちを整えることを目指して調香した機能性芳香剤「Sawaday+ &Emotion(サワデーアンドエモーション)」、10大悪臭に効く香りでごまかさない無香料の消臭剤「消臭元ZERO(ゼロ)」や、バリア機能の低下により繰り返す、顔の乾燥荒れや炎症などのトラブルを肌の奥から改善する乾燥荒れ治療薬「キュアレアドライ」など、春に15品目、秋に17品目の新製品を発売し、売上に貢献しました。 また、訪日外国人数の増加に伴い、インバウンド需要も増加し、売上に貢献しました。 しかしながら、紅麹関連製品の自主回収の影響で、特にサプリメントを含む食品カテゴリーが苦戦し、ヘルスケアが減収となりました。 一方、紅麹関連製品の自主回収を発表しました2024年3月22日以降、国内は全製品の広告を停止している中でも、特に芳香消臭剤が牽引し、日用品は増収となりました。カイロについては、今シーズンは気温低下により好調に推移したものの、昨シーズンの暖冬により返品が増えたため、減収となりました。また、通販においては、定期購入の解約が増えた影響で減収となりました。 その結果、売上高は123,924百万円(前連結会計年度比9.2%減)、セグメント利益は23,217百万円(同5.4%増)となりました。 売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では6,041百万円当連結会計年度では4,023百万円となっております。 (外部顧客への売上高の内訳)(単位:百万円) 前連結会計年度(2023年12月期)当連結会計年度(2024年12月期)増減金額増減率(%) ヘルスケア67,01259,194△7,818△11.7 日用品49,06050,1611,1012.2 カイロ6,9176,039△878△12.7 通販7,5074,505△3,001△40.0 合計130,497119,901△10,596△8.1 国際事業 当事業では、米国・中国・東南アジアを中心に、カイロや額用冷却シート「熱さまシート」、外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」などを販売しており、広告や販売促進など積極的に投資することで、売上拡大に努めました。 米国では、サプリメント・一般医薬品を販売しているFocus社を2023年10月に買収し、それによる売上貢献がありました。また、為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。 中国では、紅麹関連製品の自主回収を発表しました2024年3月22日から8月まで広告を停止していたことによる売上不振の影響や、例年に比べインフルエンザなどの感染症が流行せず、熱さまシート需要が低迷したことにより、減収となりました。 東南アジアでは、主力の「熱さまシート」と「アンメルツ」が好調に推移し、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。 その結果、売上高は46,841百万円(前連結会計年度比6.1%増)、セグメント利益は1,272百万円(同60.5%減)となりました。 売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では1,837百万円、当連結会計年度では1,659百万円となっております。(外部顧客への売上高の内訳)(単位:百万円) 前連結会計年度(2023年12月期)当連結会計年度(2024年12月期)増減金額増減率(%) 米国17,05721,2464,18824.6 中国13,65211,082△2,569△18.8 東南アジア7,9328,5756438.1 その他3,6534,27662217.0 合計42,29545,1812,8856.8 その他 その他には、運送業、合成樹脂容器の製造販売、不動産管理、広告企画制作等を含んでおり、各社は独立採算で経営し、資材やサービス提供についてその納入価格の見直しを適宜行いました。 その結果、売上高6,511百万円(前連結会計年度比7.8%減)、セグメント利益は264百万円(同46.3%減)となりました。 売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では6,398百万円、当連結会計年度では5,993百万円となっております。 (3)経営上の目標の達成状況について 当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針および経営環境 (経営方針)」に記載のとおり、中期経営計画を取り下げることといたしました。 新たな連結目標数値は、現在議論中であり、適切なタイミングにて公表する予定でございます。 (4)生産、受注及び販売の実績①生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)前年同期比(%)国内事業130,13993.3国際事業46,243104.6 報告セグメント計176,38296.0その他13101.1合計176,39696.0 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。②受注実績 当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。③販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)前年同期比(%)国内事業123,92490.8国際事業46,841106.1 報告セグメント計170,76594.5その他6,51192.2セグメント間の内部売上高又は振替高△11,67681.8合計165,60095.5 (注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は 次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)株式会社PALTAC78,67145.471,75343.3 (5)資本の財源及び資金の流動性①財政状態 当連結会計年度の財政状態は以下のとおりです。 総資産は、前連結会計年度末に比べ2,105百万円減少し、265,368百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少(20,663百万円)、受取手形及び売掛金の減少(3,585百万円)、有価証券の増加(6,572百万円)、商品及び製品の増加(1,835百万円)、建物及び構築物(純額)の増加(21,850百万円)、機械装置及び運搬具(純額)の増加(1,323百万円)、建設仮勘定の減少(5,273百万円)、投資有価証券の減少(7,507百万円)等によるものです。 負債は、前連結会計年度末に比べ10,759百万円減少し、51,896百万円となりました。主な要因は、電子記録債務の減少(2,135百万円)、未払金の減少(7,920百万円)、未払法人税等の減少(2,145百万円)、製品回収関連損失引当金の増加(3,970百万円)等によるものです。 純資産は、前連結会計年度末に比べ8,654百万円増加し、213,471百万円となり、自己資本比率は80.2%となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(2,559百万円)、為替換算調整勘定の増加(5,896百万円)等によるものです。 ②キャッシュ・フローの状況(単位:百万円) 前連結会計年度(2023年12月期)当連結会計年度(2024年12月期)増減 営業活動によるキャッシュ・フロー18,36011,246△7,113 投資活動によるキャッシュ・フロー△19,576△18,4151,161 フリー・キャッシュ・フロー△1,216△7,168△5,952 財務活動によるキャッシュ・フロー△19,463△7,76811,695 現金及び現金同等物期末残高59,69045,973△13,717 営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動の結果獲得した資金は11,246百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が13,914百万円、減価償却費が6,615百万円、製品回収関連損失引当金の増加額が3,970百万円、売上債権の減少額が4,780百万円、仕入債務の減少額が2,931百万円、未払金の減少額が6,060百万円、法人税等の支払額が7,471百万円あったためです。 投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動の結果使用した資金は18,415百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が30,293百万円、定期預金の払戻による収入が35,405百万円、有形固定資産の取得による支出が26,056百万円あったためです。 財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動の結果使用した資金は7,768百万円となりました。これは主に、配当金の支払額が7,505百万円あったためです。  以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度より13,717百万円減少し45,973百万円となりました。 (注)フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー ③資金需要 当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費及び販売費などの運転資金のほか、競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資、製品導入等に主たる資金需要が生じます。これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローの創出による調達を基本としております。 手許の運転資金は、国内連結子会社の余剰資金を当社へ集中し、グループ管理を行うことで資金効率の向上を図っており、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めております。また、緊急時における資金需要は、金融機関との当座貸越契約で対応することとしております。 株主還元の方針としましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

※本記事は「小林製薬株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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