近鉄グループホールディングス株式会社の基本情報

会社名近鉄グループホールディングス株式会社
業種陸運業
従業員数連44678名 単291名
従業員平均年齢44.8歳
従業員平均勤続年数16.6年
平均年収7969737円
1株当たりの純資産2861.25円
1株当たりの純利益(連結)245.65円
決算時期月3
配当金50円
配当性向37.6%
株価収益率(PER)13倍
自己資本利益率(ROE)(連結)8.8%
営業活動によるCF897億円
投資活動によるCF▲827億円
財務活動によるCF▲178億円
研究開発費※1-円
設備投資額※156.84億円
販売費および一般管理費※1291.65億円
株主資本比率※216.7%
有利子負債残高(連結)※311697.73億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1)経営の基本方針当社グループは、経営理念『「いつも」を支え、「いつも以上」を創ります。』のもと、誠実な企業活動により暮らしの安心を支え、果敢な挑戦により新たな価値を創出し、多様な人々との協働により社会に貢献することを経営の基本方針に、鉄道、不動産、国際物流、流通、ホテル・レジャーなど幅広い事業を営んでおります。それぞれの事業において、サステナビリティを重視して社会課題の解決に努めることにより、持続的な成長を目指すとともに、多様なステークホルダーの皆さまと「共創による豊かな社会」の実現に貢献してまいります。 (2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題今後の当社グループを取り巻く事業環境は、インバウンド需要の拡大に加え、大阪・関西万博、大阪IR等を契機とした地域経済の活性化が見込まれる一方、国内人口減少・少子高齢化、人財不足、さらなる物価・金利の上昇、地政学リスクの高まりなどの懸念材料があり、これらに加えて地球温暖化の影響を強く受けるものと予想されます。このような事業環境に適切に対応し、当社グループが将来にわたり顧客・地域社会・株主・取引先・従業員等のマルチステークホルダーの皆様から信頼され選ばれる存在となるため、「近鉄グループが目指す方向性」を明示したうえで、10年後の「ありたい姿」を「長期ビジョン2035」としてとりまとめ、その実現に向けてバックキャスト思考で目標・施策を設定した「中期経営計画2028」を策定いたしました。目指す方向性は、「地域社会のパートナー、そして新しい“時代”へ」としております。「近鉄グループにしかできないこと」にチャレンジし続け、幅広いフィールドで躍動し、強さとしなやかさを両立した、社会に貢献し続ける企業グループを構築するという将来像を描いております。沿線から沿線外、さらにグローバルへと幅を広げ、営業利益規模のイメージとして、沿線・沿線外・グローバルの割合を同じ水準に、また、BtoB事業とBtoC事業の割合を同程度にすることを目指します。当社グループは、各事業セグメントで高いプレゼンスがある会社を複数有しており、その有機的な連携に加えて、積極的な外部アライアンスを取り入れることで、コングロマリット・プレミアムを創造できると考えております。このような当社グループの強みを踏まえ、長期ビジョンを「グループ総力の結集と果敢なチャレンジにより、国内外での暮らし・交流を支えるビジネスを柱に、持続的に価値を創造する企業グループへ進化」と定めました。マルチステークホルダーとのエンゲージメントを持続的に高め、サービス・情報などにより「社会」を支える近鉄グループを目指してまいります。その具体化に向けた重点戦略として、「あべの・上本町・なんばの魅力拡充」「伊勢志摩のブランド力強化」「夢洲周辺ベイエリア開発による事業拡大」「インバウンド需要の取込み拡大」の4つのテーマにより沿線の価値深化・活性化を図るとともに、「首都圏等沿線外での事業基盤強化、事業ドメイン拡大」「グローバルでの事業の深化・拡大、プレゼンスの向上」の2つのテーマにより沿線外・グローバルでの事業深化・拡張に取り組んでまいります。また、「中期経営計画2028」では、2025年度から2028年度までの期間を「長期ビジョン2035」の「種まきと育成期」と位置づけております。これまでに培った信頼というブランドや成長余地の大きい事業群等を活かし、価値を創造する企業グループへの進化に向けた「新たな基盤構築」と「着実な成長」を実践してまいります。各部門別の中長期的な重点施策は以下のとおりであります。① 運輸運輸業におきましては、鉄軌道事業で、省エネ効果の高い新型一般車両の導入を拡大するとともに、DX・ITによる業務効率化や各種設備の更新を進めるなど、安全輸送を大前提とした効率的な事業体制の強化を図ります。また、沿線の魅力深耕による交流人口の拡大、地域共創を通じた定住人口の維持拡大、名阪特急増発など需要に応じたサービス強化、コンセプトやテーマ性の高い列車の導入検討等により、沿線活性化と需要喚起の取組みによる収入の拡大を目指してまいります。② 不動産不動産業におきましては、大阪上本町駅等の沿線主要駅前での再開発や首都圏等沿線外の開発プロジェクトを推進するとともに、アセット事業およびマンション事業に加えて仲介・リフォームなどのハウジング事業の強化を図り、これらを3本柱として確立してまいります。また、米国・豪州等における多様なアセットタイプの不動産ファンドへの投資により情報ネットワークの拡大を図り、これを基盤に実物投資など海外での業容拡大に取り組んでまいります。③ 国際物流国際物流業におきましては、㈱近鉄エクスプレスが掲げる長期ビジョン「“Global Top 10 Solution Partner”~日本発祥のグローバルブランドへ~」の実現に向けて、グローバルに事業展開する大手顧客を中心とした販売強化のほか、競争優位性のあるアジア市場でのさらなる販売強化や、成長領域であるアジア・欧米間の航空・海上レーンの強化を図ることで、取扱物量の拡大を通じた成長に努めます。また、コーポレート部門の機能強化を図り、成長を支えるグループ・プラットフォームの構築による経営基盤の強化にも取り組んでまいります。 ④ 流通流通業におきましては、百貨店業で、あべのハルカス近鉄本店および周辺施設のリモデルを通じたあべの・天王寺エリアの魅力向上に取り組むとともに、地域店においては、駅前の立地を活かし地域のインフラ機能も担う存在として、地域の価値向上に貢献してまいります。ストア・飲食業では、お客様のニーズに合わせた売場づくりに注力するほか、駅ナカの活性化に向けた取組みや地元の産地連携商品の開発・拡充により、地域振興のコアとして地域の価値向上に努めてまいります。⑤ ホテル・レジャーホテル・レジャー業におきましては、ホテル業で、外資ブランドとの協業により積み重ねてきたグローバルスタンダードに準拠した運営ノウハウをもとに、世界水準のサービスクオリティを追求し、国際的にも確固たる評価の獲得を目指します。また、国内外を問わず、直営型と運営受託型の両軸で運営ホテルの拡大を図り、収益力とブランド力の向上に取り組んでまいります。旅行業では、クラブツーリズム㈱と近畿日本ツーリスト㈱がもつ強みを掛け合わせ、地元関係者との連携を通じた地域共創モデルの構築や訪日ツアーの誘致等により、成長領域である地域共創事業および訪日事業の拡大に取り組むとともに、両社の事業運営基盤の共通化を進めてまいります。 (3)目標とする経営指標これらの施策を推し進めることにより、「中期経営計画2028」の最終年度である令和10年度には、営業利益1,000億円以上を目指します。また、新たにROIC(投下資本利益率)を経営指標として導入し、回転型不動産ビジネスへの参入を含め、資本効率性をより強く意識した経営を実装するとともに、有利子負債の圧縮と着実な成長投資、株主還元のバランスがとれたキャッシュアロケーションを実現してまいります。 [中期経営計画2028における目標指標] 令和6年度実績令和10年度計画収益性営業利益843億円1,000億円以上資金調達純有利子負債1兆255億円1兆円未満でコントロール経営効率ROE8.8%更なる向上 ROIC(新指標)4.2%4.5%以上財務規律自己資本比率21.7%25%以上 純有利子負債/EBITDA倍率6.8倍6.0倍程度(注)純有利子負債=有利子負債(借入金+社債)+リース債務(IFRS第16号による計上分を除く)-現預金ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本ROIC=税引後営業利益(営業利益×(1-実効税率))÷(純有利子負債+株主資本)EBITDA=営業利益+減価償却費(IFRS第16号による計上分を除く)+のれん償却費 近鉄グループが目指す方向性のもと、長期ビジョンの実現に向けて、グループの総力を結集して本中期経営計画に取り組むとともに、マルチステークホルダーの皆様とのエンゲージメントを一層充実させ、企業価値と株主価値の向上を目指してまいります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度(以下、4において「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、4において「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当期の世界経済は、米国をはじめ一部地域が成長を牽引したものの、資源価格の高止まりや中国の景気低迷、中東等における地政学リスクの継続に加え、米国新政権における政策動向の不透明感など、予断を許さない情勢が続きました。わが国経済についても、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などにより緩やかな回復基調にあったものの、人手不足や物価上昇が継続したほか、為替相場をはじめとする金融資本市場の変動などの懸念材料もあり、先行き不透明な状況で推移しました。このような情勢のもと、当社グループでは、回復傾向にある旅客需要、消費需要や、円安継続に伴い拡大するインバウンド需要の取込みに努めるなど、各事業で収益向上に取り組みました。また、運輸業のうち鉄軌道事業では定期運賃改定の効果が期首から寄与したことや、国際物流業で取扱物量の増加と販売価格の上昇が進んだことなどから、連結営業収益は前期に比較して6.9%増の1兆7,417億87百万円となりました。しかしながら、国際物流業で運賃原価の高騰により利益率が低下したこともあり、営業利益は3.5%減の843億99百万円、経常利益は3.7%減の815億38百万円、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は2.3%減の467億16百万円となりました。 各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。なお、令和6年10月1日を効力発生日とするグループ内組織再編を実施し、人材不足への対応のみならずグループとしての人事戦略に取り組む新たな人材会社として㈱近鉄HRパートナーズを組成しました。これに伴い、当連結会計年度より、「ホテル・レジャー」業に含まれていた人材派遣業を、「その他」の事業に変更しております。前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。 a.運 輸運輸業におきましては、鉄軌道事業で引き続き人流の回復が進み、インバウンドが増加傾向にあることに加え、「わたしは、奈良派。」や「志摩へおいなーい!」などの積極的なキャンペーン宣伝活動により、奈良・伊勢志摩方面への観光旅客が増加しました。昨年10月に運行を開始した新型一般車両では、ベビーカーのお客様などがご利用しやすいスペース「やさしば」を配備し、従来車両と比較して消費電力を約45%削減するなど、お客様と地球環境に優しい施策を推進しております。また、増加するインバウンド需要のさらなる取込みのため、クレジットカードのタッチ決済による乗車サービスを開始したほか、「大阪・関西万博」の需要獲得のため、本年3月に大阪上本町駅バスターミナルを整備しました。当期の営業収益は前期に比較して5.3%増の2,232億25百万円、営業利益は7.3%増の346億64百万円となりました。 業   種単 位当   期(令和6年4月~令和7年3月)前期比(%)鉄軌道事業百万円160,5144.9バス事業百万円34,7456.8タクシー業百万円10,0462.4鉄道施設整備業百万円25,8910.4その他運輸関連事業百万円12,9460.6調整百万円△20,918-営業収益計百万円223,2255.3 (近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表)区   分単 位当   期(令和6年4月~令和7年3月)前期比(%)営業日数日365△0.3営業キロ程キロ501.1-客車走行キロ千キロ272,8160.3旅客人員定期千人318,334△0.6定期外千人207,7633.0計千人526,0970.8旅客運輸収入旅客収入定期百万円50,0324.0定期外百万円103,4955.4計百万円153,5274.9荷物収入百万円7△18.2合計百万円153,5354.9運輸雑収百万円6,9784.4営業収益計百万円160,5144.9乗車効率%28.42.5(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。 b.不動産不動産業におきましては、不動産販売業で、関西圏を中心にマンション分譲が好調に推移したほか、中古住宅等の買取再販ビジネスが伸長したことで増収となり、不動産賃貸業でも、オフィスビルで空室解消等が進んだ結果、増収となりました。さらに、米国や豪州の不動産を投資対象としたファンドへの出資や、アウトドア体験型複合施設「志摩グリーンアドベンチャー」の開業など、新たな事業機会の創出に努めました。当期の営業収益は前期に比較して5.0%増の1,653億59百万円となりましたが、分譲マンションにおける原価の上昇や、各事業における物件費・経費の増加等の影響により、営業利益は8.3%減の138億64百万円となりました。 業   種単 位当   期(令和6年4月~令和7年3月)前期比(%)不動産販売業百万円83,0666.2不動産賃貸業百万円40,0592.4不動産管理業百万円46,3174.9調整百万円△4,084-営業収益計百万円165,3595.0 c.国際物流国際物流業におきましては、航空貨物輸送で半導体や電子部品を中心に物量回復の兆しが見られたほか、中国発Eコマース貨物の輸送需要増加に端を発する運賃原価の上昇に伴う販売価格の引上げなどにより増収となったものの、競合他社との競争の激化や、荷主のコスト抑制意識が強く、販売価格への転嫁にタイムラグが生じたため、利益面では厳しい状況が続きました。ロジスティクスでは、自動車関連品において米国系主要顧客の販売台数の伸び悩みにより取扱いが低調に推移するなど、米国で需要が減少した影響を強く受けました。当期の営業収益は前期に比較して8.6%増の7,969億41百万円、営業利益は26.3%減の129億67百万円となりました。 区   分単 位当   期(令和6年4月~令和7年3月)前期比(%)日台韓百万円217,16210.5米州百万円95,6352.7欧州・中近東・アフリカ百万円53,291△1.9東アジア百万円110,84911.6東南アジア・オセアニア百万円110,18827.9APLL百万円229,8433.9その他百万円6,71111.6調整百万円△26,740-営業収益計百万円796,9418.6 d.流 通流通業におきましては、百貨店業で、旗艦店である「あべのハルカス近鉄本店」は、国内外問わず広域から多くのお客様にご来店いただける都市型総合百貨店を目指し、特選ブランドの強化を図るとともに、収益力向上策の一つとして強化しているフランチャイズ事業による店舗展開も進めました。一方、地域店においては、生活機能、商業機能、コミュニティ機能を融合した「タウンセンター化」への変革を推進すべく、各店の地域特性に応じた改装を実施しました。ストア・飲食業では、近商ストア天美店を建替リニューアルするなど、お客様のニーズに合わせた売場づくりに努めたほか、鵜方駅前にオリジナルクラフトビール醸造所「志摩醸造」をオープンするなど、新規事業の拡大も進めました。当期の営業収益は前期に比較して1.6%増の2,153億59百万円、営業利益は21.6%増の70億22百万円となりました。 業   種単 位当   期(令和6年4月~令和7年3月)前期比(%)百貨店業百万円115,6731.8ストア・飲食業百万円99,6861.3調整百万円–営業収益計百万円215,3591.6 e.ホテル・レジャーホテル・レジャー業におきましては、ホテル業で、サービスの向上やインバウンド需要の着実な取込みを図り、客室単価及び稼働率の上昇につなげました。シェラトン都ホテル東京やシェラトン都ホテル大阪、都シティ 近鉄京都駅等の主要ホテルでは、競争力の確保に向けて順次客室改装工事を進めました。観光施設業では、30周年を迎えた志摩スペイン村で、人気VTuberとのコラボイベントを前年に続き実施したほか、『ポケットモンスター』とのスペシャルイベントを新たに実施するなど、認知度の向上、新規顧客の獲得に努めました。旅行業では、海外の個人のお客様が直接予約できる訪日旅行者向けグローバルサイト「YOKOSO JAPAN TOUR」での商品販売を開始したほか、団体旅行でスポーツの大規模な国際大会に関する商品を取り扱うなど、旺盛なインバウンド需要の取込みに注力しました。また、「大阪・関西万博」や本年7月に開業する沖縄北部テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」のチケット付き商品の販売を開始するなど、今後の収益確保に向けた取組みも推進しました。水族館業では、海遊館で「グレート・バリア・リーフ水槽」のリニューアルを実施するとともに、増加するインバウンド需要の取込みに努め、前年を上回る入館者数を確保しました。当期の営業収益は前期に比較して8.6%増の3,449億5百万円、営業利益は4.0%増の139億84百万円となりました。 業   種単 位当   期(令和6年4月~令和7年3月)前期比(%)ホテル業百万円45,91711.8旅行業百万円273,9357.7映画業百万円3,5710.0水族館業百万円10,5185.8観光施設業百万円11,20830.5調整百万円△246-営業収益計百万円344,9058.6 f.その他その他の事業におきましては、ケーブルテレビ業で、積極的な営業活動によりサービス加入者数は増加しましたが、同軸ケーブルから光ケーブルへの切替え工事の開始に伴う費用の増加等がありました。当期の営業収益は前期に比較して0.1%増の451億26百万円、営業利益は35.0%減の23億43百万円となりました。 資産合計は、前期末に比較して529億39百万円増加し、2兆5,072億55百万円となりました。これは、棚卸資産や有形固定資産が増加したことによるものであります。負債合計は、前期末に比較して248億65百万円増加し、1兆8,935億31百万円となりました。これは、資金調達により借入金が増加したことによるものであります。純資産合計は、前期末に比較して280億73百万円増加し、6,137億23百万円となりました。これは、利益剰余金が純利益の計上から配当を差し引き増加したことによるものであります。 ② キャッシュ・フローの状況当期における現金及び現金同等物の期末残高は2,317億48百万円で、前期末に比較して99億9百万円減少しました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加したものの、棚卸資産、売上債権及び契約資産が増加したことなどにより、前期に比較して607億83百万円収入が減少し、897億28百万円の収入となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得が増加したことなどにより、前期に比較して264億93百万円支出が増加し、827億89百万円の支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払が増加したものの、借入金の返済額が減少したことなどにより、前期に比較して541億20百万円支出が減少し、178億74百万円の支出となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき仮定及び見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。なお、会計上の見積りを行う上で、当社グループの主要な事業で用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 a.固定資産の減損当社グループは、運輸業、不動産業、国際物流業、流通業、ホテル・レジャー業等、多くの事業を展開する特性上、多額の固定資産を保有しており、これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき見積もっております。このうち賃貸施設、百貨店店舗、ホテルやレジャー施設等につきましては、不動産市況の著しい下落や消費環境の悪化による収益性の低下等のリスクをはらんでおります。従って、当初見込んでいた収益が得られない、あるいは正味売却価額が下落したことにより、将来キャッシュ・フローが減少するなど前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。また、当社グループは、過去の企業買収時に発生したのれんを含む固定資産を保有しており、これらの将来キャッシュ・フローにつきましては、営業収入の成長率、販売費及び一般管理費の見込みを主要な仮定として用いております。将来の不確実な経済条件や市場価格の変動などによって影響を受ける可能性があり、今後、実際の結果が見積りと乖離した場合、のれんの減損を実施する可能性があります。b.繰延税金資産の回収可能性当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もり、タックスプランニングを行った上で、税務上の繰越欠損金や将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものについて繰延税金資産を認識しております。従って、今後、経営環境の変化や将来の収支予測の変更などにより将来の課税所得の見積額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。c.退職給付債務及び費用の計算当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は数理計算上の差異や過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、年金資産の運用結果が長期期待運用収益率と乖離した場合のほか、割引率や長期期待運用収益率の見直しあるいは退職給付制度の変更がなされた場合には、退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。 ② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(経営成績に重要な影響を与える要因)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (経営成績の状況に関する分析)経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当期の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。a.営業収益及び営業利益営業収益は、アフターコロナの旅客需要、消費需要の回復や円安進行によるインバウンド需要の増加に伴い運輸業、流通業およびホテル・レジャー業で増収となったことに加え、国際物流業で取扱物量が増加したものの、不動産業でマンションの売上原価等が増加したほか、国際物流業でも運賃原価の高騰により利益率が低下したことにより、連結営業収益は前期に比較して6.9%増の1兆7,417億87百万円、営業利益は3.5%減の843億99百万円となりました。運輸業では、好調なインバウンド需要に加え、名阪特急や伊勢志摩方面への観光需要が堅調に推移したほか、2023年4月に実施した定期運賃改定の効果が本年度は期首から寄与したため、運輸業全体の営業収益は、前期に比較して5.3%増の2,232億25百万円、営業利益は7.3%増の346億64百万円となりました。 不動産業では、不動産販売部門でマンション販売価格の上昇や買取再販事業の拡大により増収となりましたが、マンション売上原価や費用が増加したほか、不動産賃貸部門でオフィスなど賃貸物件の稼働率が向上したこと等により増収となりましたが、新規施設の開業による費用が増加したことにより、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して5.0%増の1,653億59百万円、営業利益は8.3%減の138億64百万円となりました。国際物流業では、取扱物量の増加と販売価格の上昇が進んだため増収となったものの、運賃原価の高騰により利益率が低下したことにより、国際物流業全体の営業収益は、前期に比較して8.6%増の7,969億41百万円、営業利益は26.3%減の129億67百万円となりました。流通業では、百貨店部門であべのハルカス近鉄本店における特選ブランドの強化やフランチャイズ事業の拡充に加え、免税売上や外商売上が高額商品を中心に好調に推移したほか、ストア・飲食部門で観光需要の回復により駅ナカ店舗で利用客が増加したこともあり、流通業全体の営業収益は、前期に比較して1.6%増の2,153億59百万円、営業利益は21.6%増の70億22百万円となりました。ホテル・レジャー業では、ホテル部門でインバウンド需要の増加等により宿泊利用が大きく増加したため増収となりました。また、旅行部門では海外旅行を中心に旅行需要が回復したほか、観光施設部門では各種コラボイベントが好調に推移し志摩スペイン村の入場者数が大幅に増加したこと等により、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して8.6%増の3,449億5百万円となり、営業利益は4.0%増の139億84百万円となりました。b.経常利益当期における経常利益は、営業外収益で為替差益が増加した一方、営業外費用で金利上昇に伴い支払利息が増加したため、前期に比較して3.7%減の815億38百万円となりました。c.親会社株主に帰属する当期純利益当期における親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益で投資有価証券売却益が増加し、特別損失で減損損失等が減少したため、前期に比較して2.3%減の467億16百万円となりました。 (経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由)当社は、令和3年度から令和6年度までの4カ年を計画期間とする「近鉄グループ中期経営計画2024」に基づき、グループ経営を推進しておりました。本経営計画の基本方針は「コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革」であり、「営業利益」、「純有利子負債残高」、「純有利子負債/EBITDA倍率」、「自己資本比率」を重要な指標として位置付けておりました。 当期実績(令和7年3月期)経営指標目標(令和7年3月期)営業利益843億円860億円以上純有利子負債残高1兆255億円1兆700億円未満純有利子負債/EBITDA倍率6.8倍7.0倍程度自己資本比率21.7%21%以上 ③ キャッシュ・フローの状況の分析内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループでは、令和6年度を最終年度とする「近鉄グループ中期経営計画2024」において、コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革をおこなうことを基本方針としております。事業継続のための投資、将来を見据えた成長投資を、投資規律・効率を重視しながら厳選して行うとともに、原則としてグループ各社の事業活動に必要な資金を当社が一元的に調達することで、資金調達の安定と最適な財務バランスの実現を図ってまいりました。資金需要の主なものは、各事業の運営資金、販売用不動産など棚卸資産の取得に加え、既存設備の維持更新、安全関連投資及び所有不動産の建替や改装といった設備投資に関するものであります。これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手段を採用しております。さらに、返済年限の長期化を図り、原則として固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。

※本記事は「近鉄グループホールディングス株式会社」の令和7年月3期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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