株式会社JVCケンウッドの基本情報

会社名株式会社JVCケンウッド
業種電気機器
従業員数連15151名 単3061名
従業員平均年齢51歳
従業員平均勤続年数24.8年
平均年収8537869円
1株当たりの純資産634.74円
1株当たりの純利益(連結)135.17円
決算時期年3
配当金15円
配当性向10.5%
株価収益率(PER)8.81倍
自己資本利益率(ROE)(連結)6.6%
営業活動によるCF314億円
投資活動によるCF▲215億円
財務活動によるCF▲187億円
研究開発費※117億円
設備投資額※118億円
販売費および一般管理費※1232.39億円
株主資本比率※243.4%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針当社グループは企業理念※として「感動と安心を世界の人々へ」提供することを掲げています。経営方針、行動指針は以下のとおりです。※当社グループの企業ビジョン「感動と安心を世界の人々へ」を企業理念として再定義しています。 (2)目標とする経営指標当社は、2023年度を開始年度とする中期経営計画「VISION2025」を2023年4月に策定しました。「VISION2025」の中間年度にあたる当連結会計年度(2024年度)は、売上収益、事業利益、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)、ROIC(投下資本利益率)の最終年度目標を上回る実績を前倒しで達成しました。2025年度は、関税影響により減収予想も、売上収益以外の目標達成を見込んでいます。 *上記目標数値は、当社が現在入手している情報をもとに、本有価証券報告書提出日現在における当社の判断に基づいて作成されたものであり、また、一定の前提(仮定)の下に作成されています。当社は、上記目標数値の達成を保証するものではなく、実際の結果は上記と大幅に異なる可能性があります。*ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)= 親会社の所有者に帰属する当期利益÷期中平均親会社の所有者帰属持分×100*ROIC(投下資本利益率)= (税引き後事業利益+持分法損益)÷投下資本(株主資本+有利子負債) (3)経営環境・成長戦略① 中期経営計画「VISION2025」について地政学リスク増大によるサプライチェーンの見直しや世界経済動向の不透明化等、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。当社はこうした事業環境の変化を踏まえて、今回新たに企業価値最大化の観点から2023年4月に「変革と成長」の基本戦略を強化した、2025年度を最終年度とする新中期経営計画「VISION2025」を2023年4月策定しました。 ② 中期経営計画「VISION2025」の位置付け当社は企業理念として「感動と安心を世界の人々へ」提供することを掲げており、この理念の実現に向けて「たくましさ」と「したたかさ」を併せ持つエクセレント・カンパニーへの飛躍を目指しています。「VISION2025」では「VISION2023」で掲げた基本戦略「変革と成長」をさらに進化させ、事業ポートフォリオを最適化することで成長モメンタムを加速し、企業価値最大化を目指していきます。 ③ 中期経営計画「VISION2025」の基本戦略:「変革と成長」<基本戦略>「VISION2025」では、「変革と成長」を基本戦略とした事業ポートフォリオとキャピタル・アロケーションの最適化を図るとともにサステナビリティ経営を推進し、企業価値の最大化に向けて取り組んでいきます。 ④ 企業価値の最大化に向けた事業ポートフォリオの最適化「VISION2025」では企業価値最大化の観点で、中期的な事業の成長性※と自社の資本効率性を考慮した資源配分を行い、事業ポートフォリオの最適化をさらに進め、持続的な企業価値と株主価値の向上に取り組んでいます。※2023年度~2025年度の3カ年における売上成長率 *「VISION2025」中間年度の振り返り「VISION2025」の中間年度にあたる当連結会計年度(2024年度)は、モビリティ&テレマティクスサービス分野、セーフティ&セキュリティ分野、エンタテインメント ソリューションズ分野の3分野全てが前連結会計年度比で増収となったことから、事業利益以下、親会社の所有者に帰属する当期利益までの段階損益は過去最高益となりました。これに伴い、全社の売上収益、事業利益、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)、ROIC(投下資本利益率)などの「VISION2025」で掲げた主要な経営指標については、最終年度の目標を上回る結果となりました。 「無線システム事業」 北米公共安全市場は引き続き堅調当連結会計年度(2024年度)は、成長牽引事業である無線システム事業が、世界的な需要増や新商品投入効果を主因とした受注高拡大により、受注残増加とともに受注残の出荷が進み、売上高は順調に拡大しました。2025年度は、前年度を上回る受注を獲得し、引き続き成長軌道を維持する見込みです。 ⑤ 財務戦略<キャピタル・アロケーションの考え方>「VISION2025」では、資本コストを上回る資本収益性の達成に向けて、利益成長を実現する営業キャッシュ・フロー創出に重点を置いた上で、成長投資、戦略投資等の使途を明確化して、キャピタル・アロケーションの最適化を図ります。成長投資には設備投資や経営基盤強化に向けた投資を、戦略投資には新規事業等への投資や株主還元、有利子負債返済を織り込んでいき、戦略的なキャピタル・アロケーションを実行していきます。 <株主還元方針について>当社は、安定的な利益還元及び今後の成長に向けて経営資源を確保することを経営上の最重要課題の一つと考え、収益力及び財務状況を総合的に考慮して、総還元性向を株主還元の指標としました。業績に応じた株主還元策とした配当に加え、中長期的な利益成長に向けた資本活用、資本効率性改善効果のバランスを踏まえつつ、機動的に自己株式取得を行い、総還元性向30~40%を目安に株主への安定的な利益還元を実施していく方針です。上記配当政策に基づき、当事業年度の中間配当は、2024年10月31日開催の取締役会で、2008年の経営統合以降初めての実施となる1株当たり5円(普通配当)といたしました。期末配当は、利益実績を踏まえ、2025年5月14日開催の取締役会で、1株当たり10円(普通配当)とすることを決議しました。なお、1株当たり15円の年間配当(約22.6億円)と約65億円(2025年6月完了分の約20億円を含む)の自己株式取得により、総還元性向は約43%となりました。2025年度は、業績及び財務状況の向上に努め、年間配当予想を1株当たり18円(中間配当金:6円、期末配当金:12円)としています。 ⑥ サステナビリティ戦略当社グループは、企業理念「感動と安心を世界の人々へ」に基づき、事業を通じてあらゆるステークホルダーの期待に応えていくことが重要だと考えます。社会から信頼され、社会に貢献する企業であり続けることは、企業としての持続的な成長にもつながると考えています。「VISION2025」では、「利益ある成長」と「グローバルでの社会課題解決」を両輪とするサステナビリティ経営の推進活動をさらに深化させ、企業価値向上を目指します。 <サステナビリティ戦略の方向性>E:環境への取り組み環境負荷削減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献S:社会への取り組みイノベーションを実現する人材の育成及び組織能力強化と、サステナビリティ調達の推進G:ガバナンスサステナビリティ経営を確実に実行する推進体制持続的な企業価値向上に向けた取締役会実効性評価の継続的な取り組み 当社グループのサステナビリティ戦略についての詳細は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 (4)事業上及び財務上の対処すべき課題当社は前述の経営環境のもと、中期経営計画「VISION2025」で掲げた各種施策を継続推進することにより、最終年度である2025年度の経営目標達成を目指し、持続的な企業価値向上を強化していきます。上記の成長戦略を進めるにあたり当社が認識している対処すべき課題は以下のとおりです。2025年度は、セーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業については、北米公共安全市場の堅調な需要の継続が見込まれ、当社は同市場での事業拡大を図るため人員増強などの先行投資を継続的に実施します。加えて、無線システム事業では2024年度の第4四半期連結会計期間に引き続き、2025年度の第1四半期連結会計期間以降にも部品供給不足による影響の発生が見込まれるため、この影響のミニマイズを図るべく様々な対策を実施していきます。また、モビリティ&テレマティクスサービス分野では、海外OEM事業、国内用品事業の堅調な販売を見込み、エンタテインメント ソリューションズ分野ではエンタテインメント事業のコンテンツビジネスの堅調な販売に加え、メディア事業で2024年度に実施した損失引当による効果の発現を見込んでおります。一方で米国の関税措置が当社グループの事業及び業績への影響を及ぼす可能性があります。当社の2025年3月期の全社売上収益に占める米国向けの比率は約25%であり、主に以下の事業・製品で構成されています。 モビリティ&テレマティクスサービス分野 ディスプレイオーディオオーディオスピーカー セーフティ&セキュリティ分野無線システム事業 業務用無線機付属品 エンタテインメント ソリューションズ分野メディア事業 ヘッドホンイヤホンプロジェクター 当社は、当該関税措置が当社グループの事業及び業績へ与える影響を最小限とするべく、米国相互関税緊急対応プロジェクトを設置しました。このプロジェクトを軸に、短期的な施策として製品への価格転嫁や中国産品の販売抑制などを実施していきますが、モビリティ&テレマティクスサービス分野やエンタテインメント ソリューションズ分野においては、これらの施策による生産・販売数量の減少や米国及び中国の景気減速によるマイナス影響が想定されます。一方で、米国向けの構成比が大きいセーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業については、価格転嫁を中心とした施策によって現時点で想定される関税影響はほぼ吸収できる見込みです。これらの結果、2025年4月25日時点の当該関税措置による次期のマイナス影響額は、売上収益で130億円、事業利益で50億円と見込んでおります。 <ご参考>2025年4月25日時点の米国関税国別中国145% メキシコ25%3月4日発動 一部除外中品目別自動車関連25%4月3日発動(部品は5月3日発動予定)全世界相互関税(一律関税10%を含む)日本24%、マレーシア24%、インドネシア32%、タイ36%(一律関税10%を除き)90日間停止 (5)環境保全・社会貢献活動に向けた取り組み当社グループは、2021年度に環境ビジョンと環境基本方針を策定し、地球環境保全に対する基本的な考え方を示しました。2023年度には、環境基本方針の見直しを行い「JKグリーン2030」を策定し、「気候変動への対応」「資源の有効活用」「環境保全・管理」「生物多様性の保全」の4項目でそれぞれ目指すべきゴールを再設定しました。特に、気候変動への対応については、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、2030年に向けたScope1+2と3でそれぞれCO?排出量削減の目標を設定しています。「気候変動への対応」「資源の有効活用」の目標達成に向けた活動として、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001認証取得を継続するとともに、CO?の排出量削減進捗管理、資源利用に関する目標達成進捗を定期的に評価し、事業活動における環境への影響を軽減または回避するために努力を続けています。「環境保全・管理」「生物多様性の保全」に対して、自社及びサプライチェーンにおいて環境に配慮した方針の実現に向けて積極的に活動しています。活動事例として従業員に対する定期的な環境研修による啓発活動、環境法規制遵守に基づいた飛散性アスベストの除去及び保管している高濃度PCB汚染廃棄物も計画的に無害化処理を進める等の環境リスクの低減を推し進めています。製品開発においては、要素技術開発や商品設計に際してアセスメントを行う事によってRoHS(電気・電子機器における特定有害物質の使用規制)やREACH(化学物質の登録・評価・認可・制限・情報伝達に関するEU規則)等製品の有害化学物質管理や各国の法規制に対応しています。さらに、バリューチェーン全体におけるScope3(購入品の製造、輸送、販売した製品の使用等)のCO?排出量削減及び環境負荷の低減を目指して製品の消費電力低減、プラスチック使用量削減、個装箱の小型化による積載効率の向上等にも取り組んでいます。また、社会貢献活動については、取り組みを通じて得られた知見や社会とのつながりが事業活動のさらなるレベルアップにつながると考えており、当社グループが有する社会課題を解決する製品を有効に活用しつつ、活動を展開しています。このような考えのもと持続可能な社会づくりのため、「災害対策への貢献」「健康と豊かな心や生活への貢献」「次世代育成への貢献」「地域コミュニティへの貢献」等の社会貢献活動の重点テーマとしています。これらの重点テーマは、当社グループの企業理念、中期経営計画「VISION2025」における事業戦略やマテリアリティの考え方と連動しており、社会貢献活動が当社グループの事業戦略と相乗効果を発揮できるよう取り組んでいます。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は以下のとおりです。 ① 財政状態及び経営成績の状況1)経営成績当連結会計年度における当社及び連結子会社の全社売上収益は、モビリティ&テレマティクスサービス分野、セーフティ&セキュリティ分野、エンタテインメント ソリューションズ分野の3分野全てが増収となったことから、前年同期比で増収となりました。これにより、全社事業利益※以下、親会社の所有者に帰属する当期利益までの段階損益は前年同期比で大幅増益となり、過去最高益を更新しました。なお、第3四半期連結会計期間に製品ミックスの悪化影響などを受けたセーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業の事業利益は、当第4四半期連結会計期間には想定以上に回復しました。さらに業務用システム事業も堅調に推移したことから、セーフティ&セキュリティ分野全体の事業利益は、四半期として過去最高益を更新しました。当連結会計年度の連結経営成績のサマリーは以下のとおりです。(単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期前年同期比増減率売上収益359,459370,308+10,849+3.0%事業利益※19,71025,307+5,597+28.4%営業利益18,22621,792+3,565+19.6%税引前利益18,24523,490+5,244+28.7%親会社の所有者に帰属する当期利益13,01620,276+7,259+55.8%※売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除することにより算出され、主として一時的な要因からなるその他の収益、その他の費用、為替差損益などを含みません。セグメントの業績評価は「事業利益」を使用して説明します。 また、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。 第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期損益為替レート米ドル約156円約150円約152円約153円 ユーロ約168円約164円約163円約161円前期(参考)米ドル約137円約145円約148円約149円 ユーロ約150円約157円約159円約161円 * 売上収益当連結会計年度における売上収益は、モビリティ&テレマティクスサービス分野、セーフティ&セキュリティ分野、エンタテインメント ソリューションズ分野の3分野全てで増収となったことから、前年同期比で約108億円増(3.0%増収)となる3,703億8百万円となりました。 *事業利益当社は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除したものを「事業利益」としています。当連結会計年度における事業利益は、増収効果に加えて前期に実施した構造改革効果が発現したことなどから、前年同期比で約56億円の大幅増(28.4%増益)となる253億7百万円となりました。 *営業利益当連結会計年度における営業利益は、事業利益が増益となったことなどから、前年同期比で約36億円の大幅増(19.6%増益)となる217億92百万円となりました。 * 税引前利益当連結会計年度における税引前利益は、営業利益が増益となったことに加え、持分法適用関連会社の利益が増加したことなどから、前年同期比で約52億円の大幅増(28.7%増益)となる234億90百万円となりました。 * 親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益が増益となったことに加え、繰延税金資産を計上したことなどから、前年同期比で約73億円の大幅増(55.8%増益)となる202億76百万円となりました。 2)財政状態*資産資産合計は、営業債権及びその他の債権は増加しましたが、現金及び現金同等物や棚卸資産などの流動資産が減少したことなどから、前連結会計年度末比で約35億円減となる3,133億36百万円となりました。 *負債負債合計は、営業債務及びその他の債務の減少に加えて、銀行借入金の返済を進めたことなどから、前連結会計年度末比で約137億円減となる1,819億37百万円となりました。 *資本資本合計は、自己株式の取得による減少はありましたが、利益剰余金が約181億円増加したことなどから、前連結会計年度末比で約102億円増となる1,313億99百万円となりました。 なお、親会社所有者帰属持分比率は、親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したことから、前連結会計年度末比で3.7ポイント増加し39.9%となりました。 ② セグメントごとの売上収益及び損益セグメントごとの売上収益及び事業利益は以下のとおりです。(百万円) セグメントの名称2024年3月期2025年3月期前連結会計年度比 モビリティ&テレマティクス売上収益199,435203,243+3,807サービス分野事業利益3,8714,881+1,009セーフティ&セキュリティ分野売上収益93,755100,008+6,252 事業利益16,48518,579+2,093エンタテインメント売上収益55,97857,936+1,957ソリューションズ分野事業利益△2571,849+2,106その他売上収益10,2899,120△1,168 事業利益△389△1+387合計売上収益359,459370,308+10,849 事業利益19,71025,307+5,597 * モビリティ&テレマティクスサービス分野当連結会計年度におけるモビリティ&テレマティクスサービス分野の売上収益は、前年同期比で約38億円増(1.9%増収)となる2,032億43百万円、事業利益は同約10億円の大幅増(26.1%増益)となる48億81百万円となりました。なお、事業利益には為替ヘッジによるマイナス影響として約6億円が含まれています。(売上収益)OEM事業は、車載用スピーカー、アンプ、アンテナ、ケーブル、レンズなど海外OEM事業の販売が好調に推移したことや、国内の用品事業が堅調に推移したことなどから、前年同期比で増収となりました。アフターマーケット事業は、第1四半期連結会計期間に国内において自動車販売減の影響を受けたものの、中間連結会計期間以降は回復傾向となり、前年同期並みの実績となりました。テレマティクスサービス事業は、損害保険会社向け通信型ドライブレコーダーなどのテレマティクスソリューション関連商品の販売が大幅に減少したことから、前年同期比で大幅な減収となりました。 (事業利益)OEM事業が増収効果により増益となったことに加え、アフターマーケット事業が流通在庫正常化にともなう生産回復により増益となったことから、テレマティクスサービス事業の減収影響や為替ヘッジによるマイナス影響を受けたものの、モビリティ&テレマティクスサービス分野全体では、前年同期比で増益となりました。 * セーフティ&セキュリティ分野当連結会計年度におけるセーフティ&セキュリティ分野の売上収益は、前年同期比で約63億円増(6.7%増収)となる1,000億8百万円、事業利益は同約21億円増(12.7%増益)となる185億79百万円となり、過去最高の売上収益及び事業利益となりました。(売上収益)無線システム事業は、北米の公共安全市場向け業務用無線機の販売が好調に推移したことに加え、一部出荷の前倒し影響などから、前年同期比で約76億円の増収となりました。業務用システム事業は、医用画像表示モニターの販売が減少したことなどから、前年同期比で約13億円の減収となりました。(事業利益)無線システム事業は、当第4四半期連結会計期間に部品供給不足による影響を受けたものの、北米の公共安全市場向けの販売が好調に推移したことなどにより増益となり、業務用システム事業も固定費削減効果の発現などにより損益が改善したことなどから、セーフティ&セキュリティ分野全体でも、前年同期比で増益となりました。 * エンタテインメント ソリューションズ分野当連結会計年度におけるエンタテインメント ソリューションズ分野の売上収益は、前年同期比で約20億円増(3.5%増収)となる579億36百万円、事業利益は同約21億円の大幅増となる18億49百万円となり、黒字に転換しました。(売上収益)メディア事業は、プロジェクター、ポータブル電源などの販売が堅調に推移したことなどから、前年同期比で約20億円の増収となりました。エンタテインメント事業は、有力アーティストの新譜などコンテンツビジネスの販売が堅調に推移したことなどから、前期に引き続き堅調な売上収益を確保しました。(事業利益)メディア事業の業務用カメラ事業において、当第4四半期連結会計期間に追加で部材の損失引当約5億円を計上したものの、前期に実施した構造改革効果に加え、固定費削減効果が発現したこと及びエンタテインメント事業が前期に引き続き堅調な利益を稼ぎ増益となったことなどから、エンタテインメント ソリューションズ分野全体では前年同期比で大幅な増益となり、黒字に転換しました。 ③ キャッシュ・フロー* 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度において営業活動により増加した資金は314億52百万円となり、前年同期比で約17億円収入が減少しました。主な要因は、税引前利益は増加しましたが、運転資金が増加したことなどによるものです。 * 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度において投資活動により減少した資金は215億45百万円となり、前年同期比で約55億円支出が増加しました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入は増加したものの、設備投資による支出が増加したことなどによるものです。 * 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度において財務活動により減少した資金は187億93百万円となり、前年同期比で約6億円支出が減少しました。主な要因は、銀行借入金の返済は進めたものの、自己株式の取得による支出が減少したことなどによるものです。 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比で約93億円減となる485億97百万円となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績* 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)モビリティ&テレマティクスサービス分野200,6703.46セーフティ&セキュリティ分野98,6980.09エンタテインメント ソリューションズ分野58,3757.61その他9,120△11.36合計366,8642.73(注)金額は販売価格で計上しており、消費税等は含まれていません。 * 受注実績当社グループの製品のうち、モビリティ&テレマティクスサービス分野、セーフティ&セキュリティ分野、エンタテインメント ソリューションズ分野、その他については原則として見込生産によっています。ただし、エンタテインメント ソリューションズ分野におけるエンタテインメント事業の一部は受注生産によっていますが、これらは受注と同時に生産・引渡しを行うため受注高と販売高はほぼ同額です。 * 販売実績当連結会計年度における販売実績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②セグメントごとの売上収益及び損益」に、セグメントごとに記載しています。なお、主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討事項は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1) 経営成績当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりとなりました。なお、当社グループは、2024年10月31日付で2025年3月期通期連結業績予想の修正を行っています。(百万円) (参考)2025年3月期通期連結業績予想(2024年4月26日付期初業績予想)2025年3月期通期連結業績予想(2025年10月31日付修正業績予想)2025年3月期通期連結実績(参考)2025年3月期通期連結業績予想比(2025年4月26日付期初業績予想比)2025年3月期通期連結業績予想比(2025年10月31日付修正業績予想比)売上収益362,000364,000370,308102.3%101.7%営業利益18,20022,00021,792119.7%99.1%税引前利益18,00023,00023,490130.5%102.1%親会社の所有者に帰属する当期利益12,50017,00020,276162.2%119.3% 当連結会計年度の経営成績は、モビリティ&テレマティクスサービス分野、セーフティ&セキュリティ分野、エンタテインメント ソリューションズ分野の3分野全てが増収となったことから、売上収益は3,703億8百万円、営業利益は217億92百万円、税引前利益は234億90百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は202億76百万円となり、全社営業利益以下、親会社の所有者に帰属する当期利益までの段階損益は、過去最高益を更新しました。 2) 財政状態財政状態の分析の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の概要 2)財政状態」に記載しています。 3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析*キャッシュ・フロー当社は、円滑な事業活動に必要な資金について、主として銀行等金融機関から借入金により資金調達を行っており、借入金の年度別返済額を平準化することで借り換えリスクの低減を図っています。また、一時的な資金需要の増加にも対応できるように銀行とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性を確保しています。なお、当社は、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動で支出されたキャッシュ・フローの合計をフリーキャッシュ・フローとして定義し、当社はこの指標を戦略的投資又は借入金返済に充当可能な資金、或いは資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、有用な指標と考えており、以下のとおりフリーキャッシュ・フローを算出しています。 また、これらの分析の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。(百万円) 2024年3月期2025年3月期営業活動によるキャッシュ・フロー33,17231,452投資活動によるキャッシュ・フロー△16,062△21,545フリーキャッシュ・フロー17,1109,906 *資金需要当社の運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び宣伝販促費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。 *財務政策当社は、株主への安定的な利益還元を図っていくとともに、今後の成長に向けた投資、財務基盤の強化を図り、大きな成長を実現する事業の構築を推進して行き、その時々の経営状況に鑑みて、株主還元、有利子負債の返済、投融資に配分して資金を使用します。この2年間での資金配分は以下のとおりとなっています。(百万円) 2024年3月期2025年3月期株主還元8,9637,066投融資22,40226,460有利子負債の返済10,28311,155※1. 投融資は、投資キャッシュ・フローから定期預金の増減、資産売却及び分配による収入を除外した額。※2. 有利子負債は、借入金純増減額の減少額とリース負債の返済額の合計額で、合計額がマイナスの場合は「-」(増加(収入)となる。)となります。 4) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析当社グループにおいては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載した各種の要因が、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

※本記事は「株式会社JVCケンウッド」の令和7年年3期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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