| 会社名 | インフロニア・ホールディングス株式会社 |
| 業種 | 建設業 |
| 従業員数 | 連8076名 単102名 |
| 従業員平均年齢 | 42.8歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 14.2年 |
| 平均年収 | 11055000円 |
| 1株当たりの純資産 | 1561.42円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 124.15円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 60円 |
| 配当性向 | 185.1% |
| 株価収益率(PER) | 13.1倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 7.4% |
| 営業活動によるCF | 396億円 |
| 投資活動によるCF | ▲275億円 |
| 財務活動によるCF | ▲48億円 |
| 研究開発費※1 | 3.75億円 |
| 設備投資額※1 | 171億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 1285.26億円 |
| 株主資本比率※2 | 49.3% |
| 有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、2021年10月1日に、前田建設工業(株)、前田道路(株)及び(株)前田製作所の完全親会社として設立されました。「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現をビジョンに掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」を果たすべき使命と定め、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をバリューとし、当社グループ共通の価値観を醸成するとともに、企業が果たすべき社会的責任についての理解を共有し企業施策を実行していくことで、ステークホルダーの皆様の理解と共感が得られる開かれた経営に努めます。また、当社は、ステークホルダーの皆様の権利を尊重し、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することにより経営の公正性・透明性を確保するとともに、適切な情報開示とステークホルダーの皆様との対話を通じ、良好かつ円滑な関係を維持しながら信頼関係を構築していくことで、共同の利益や長期的な価値を協創し、社会価値の創造に貢献します。 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社は、当社グループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、事業会社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組んでいます。また、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指しています。今後も、社会・地域・お客様とともにインフラの可能性を広げ、最適なサービスを提供していきます。これらの実現のため、当社設立時に『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』(以下、中長期経営計画)を策定しています。中長期経営計画において定める当社グループの「目指す姿」、それを実現するための中長期経営ビジョンの内容は以下のとおりです。 ①会社概要商号インフロニア・ホールディングス株式会社(英文名 INFRONEER Holdings Inc.)設立2021年10月1日資本金200億円機関設計指名委員会等設置会社証券コード5076(東京証券取引所プライム市場)Visionどこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。Missionインフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。Value社会・地域の安全安心とサステナビリティ ②経営環境認識当社グループを取り巻く現状の経営環境については、以下のとおりと認識しています。・今後、国内の新規建設の請負市場は、財政上の制約から縮小していくと予測・その解決策として、官民連携によるインフラの維持管理・更新や新規建設の新たな市場が拡大すると予測・さらにカーボンニュートラルに向けた政策推進により、再生可能エネルギー市場も急速に拡大すると予測・担い手不足に対して、働き方改革、抜本的な生産性改革の推進が必須・長期的な企業成長のためには、ESG経営の更なる推進、より高い水準のガバナンス体制が必須・デジタル技術の急激な進展による社会変化の加速に対し、迅速かつ機動的な経営体制の確立が急務 ③我々が目指す姿当社グループが「目指す姿」は、以下のとおりです。・外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、インフラ運営の上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として強力に推進する・グループ各社のエンジニアリング力の集結と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化し、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立する・さらに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指す ④戦略三本柱と重点施策当社グループが「目指す姿」の実現にむけた戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は、以下のとおりです。・「インフロニアのビジネスモデルに基づく収益基盤の確立」・「付加価値の最大化」・「体質強化・改善」 ⑤マルチステークホルダーに対する付加価値分配方針当社が生み出す付加価値を、社会からの要請に応えつつあらゆるステークホルダーへバランスよく配分することで、付加価値を最大化するサイクルを構築し、持続的な成長を実現していきます。・人財投資:モチベーション向上や人財の成長や豊かさに繋がる従業員への還元策の推進・成長投資・恒常的投資:安全で質の高いインフラサービス、M&A、IT・DX投資等への「攻めの投資」と、生産設備投資の最適化や重複資産の統廃合等の「守りの投資」の両輪により、付加価値を最大化・事業パートナー(連携企業、協力会社など):パートナーのニーズに合わせて付加価値を分配し、競争力の強化、事業領域の拡大、経営の安定化、生産性向上をともに目指し、質の良い供給力・体制を確立・株主・市場:タイムリーな情報開示や対話といった「定性的な還元」と、配当や資本政策に応じた戦略的自社株買い等の「定量的な還元」により、市場からの信頼を獲得し当社株価の継続的な上昇を目指す 2030年度の目標数値及び2021年度からの配当性向を以下のように定めています。 2030年度目標 2021年度以降事業利益1,000億円以上 配当性向(注2)30%以上当期利益700億円以上 ROE12%以上 (注)1.上記数値は、IFRSに基づいています。2.2025年度から2027年度までの3か年を対象期間とする『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』においては、中長期経営計画で定めた目標を上回る40%以上を目標としています。 (3) 『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』の振り返り当社は、2021年10月の当社設立に伴い、2024年度までの3年間を対象期間とする『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』(以下、前中期経営計画)を策定し、公表しました。業績については、国内のバイオマス発電事業の動向等に鑑み、予定していた再生可能エネルギー事業の売却を延期しましたが、建築、土木、舗装事業における高水準な受注時利益率の確保、施工管理の徹底、設計変更の確実な獲得により、計画からは未達となったものの、3年間において堅調な成長を達成しています。また、重要指標としていた付加価値額も順調に増加しており、前中期経営計画の最終年度となる2024年度においては、計画を上回る1,777億円となりました。資本戦略・還元方針に係る計画の達成状況については、日本風力開発(株)の完全子会社化による影響で一部計画未達となったものの、配当性向は増配により30%を上回る水準で推移し、自己株式の取得も目標である累計400億円を早期に達成しました。政策保有株式については、2027年度までに保有ゼロとする目標を新たに掲げました。2024年度においては株式52銘柄を売却(内、29銘柄は保有する全株式を売却。売却金額合計約240億円)する等、政策保有株式の縮減に向けた取り組みを加速しています。 <業績数値> (単位:億円) 2022年度(2023年3月期)2023年度(2024年3月期)2024年度(2025年3月期)前中期経営計画計画対比売上高7,1187,9338,4758,750△275付加価値額(注3)1,5981,7421,7771,550+227売上総利益9771,1191,1551,145+10事業利益464515485590△105当期利益(注4)335326324400△76EBITDA805845839-- (注)1.億円未満を四捨五入して表示しています。 2.計画対比は2024年度(2025年3月期)との比較により表示しています。3.加算法または控除法により算出します。加算法による場合、事業利益、総人件費、減価償却費、研究開発費の総和により算出される額とします。控除法による場合、売上高から外部購入費用を控除して算出される額とします。 4.親会社の所有者に帰属する当期利益です。 <資本戦略・株主還元> 2022年度(2023年3月期)2023年度(2024年3月期)2024年度(2025年3月期)前中期経営計画計画対比ROE9.4%8.6%7.1%9.5%△2.4%自己資本比率37.0%28.4%35.8%30%以上+5.8%D/Eレシオ0.4倍1.1倍0.8倍0.6倍以下△0.2倍配当性向42.5%46.0%48.3%30%以上+18.3%自己株式の取得累計300億円累計400億円-累計400億円以上早期達成政策保有株/純資産割合19.8%25.8%14.7%20%以下+5.3%保有資産の売却46億円非効率な資産の売却・統合を検討 (注)計画対比は2024年度(2025年3月期)との比較により表示しています。 (4) 経営環境と対処すべき課題、新中期経営計画の概要①経営環境と対処すべき課題当連結会計年度末現在における当社グループを取り巻く経営環境においては、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政がますます厳しくなる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足の更なる深刻化や、デジタル化への変革、地球環境問題等への対応が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えられます。このような社会課題を解決するため、当社は、前田建設工業(株)、前田道路(株)、(株)前田製作所、日本風力開発(株)をはじめとしたグループ各社が有する従来の事業における強みを活かしつつ、グループのシナジーを発揮することが重要と考えています。当社グループは引き続き、インフラに関わる事業の企画提案、施工、運営・維持管理、再投資等のインフラのライフサイクル全体をマネジメントする「総合インフラサービス企業」への転換に挑戦し、「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現を目指してまいります。 ②『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』の概要前中期経営計画における取り組みと成果を踏まえ、当社は、2025年度から2027年度までの3年間を対象期間とする『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』(以下、新中期経営計画)を策定し、2025年3月に公表しました。新中期経営計画では、2030年度までを対象期間とする『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』で掲げている目指す姿の実現に向けて、前中期経営計画での成長を基盤に今後3年間を「投資事業拡大フェーズ」と位置付け、財務規律に則り、バリュー思考に基づく積極的な成長投資を推進します。EBITDAを重要指標として収益力を正確に把握し、特にインフラ事業における持続的成長を目指します。また、当社は、2021年10月の設立時から機関設計として「指名委員会等設置会社」を採用していますが、経営の監督と執行の機能を明確に分離し、透明・公正かつ果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスのあるべき体制をさらに進化させ、未来志向の事業戦略と実行力で企業価値向上と社会貢献の両立を実現してまいります。 ビジネスモデル当社は、インフラの上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」を目指し、グループ全体が外的要因に左右されずに持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。請負事業の強化と脱請負事業の拡大により、成長サイクルの好循環を目指してまいります。 新中期経営計画の位置付け当社は、新中期経営計画の3年間を、「投資事業拡大フェーズ」と位置付けています。官民連携事業や再生可能エネルギー事業への投資拡大や、請負を活かした新事業の実行、M&Aの更なる推進に注力してまいります。 業績目標 2027年度の業績目標について、以下のとおり定めています。 事業利益700億円EBITDA(注1)1,100億円当期利益430億円付加価値額(注2)2,250億円 (注)1.事業利益に減価償却費を加算して算出します。2.加算法または控除法により算出します。加算法による場合、事業利益、総人件費、減価償却費、研究開発費の総和により算出される額とします。控除法による場合、売上高から外部購入費用を控除して算出される額とします。 資本戦略・還元方針資本戦略・還元方針について、以下のとおり定めています。資産の効率化と収益性の向上を通じてROEを9.0%まで引き上げるほか、自己資本比率30%以上を維持し、D/Eレシオを1.0倍以下に抑えることで、財務健全性を確保します。また、年間配当金の下限を普通株式1株当たり60円とし、配当性向の目標を前中期経営計画の30%以上から引き上げ40%以上とすることで、安定かつ成長に連動した還元を維持してまいります。政策保有株式については2027年度までに保有ゼロを目標とし、保有不動産については新中期経営計画期間中に100億円以上の売却を推進します。これらの売却により得られる経営資源を官民連携事業や再生可能エネルギー事業等の成長投資に振り向け、事業領域の拡大と利益の最大化を目指します。 ROE9.0% 配当性向40%以上自己資本比率30%以上 下限配当60円/株D/Eレシオ1.0倍以下 政策保有株/純資産割合0% 保有不動産の売却100億円以上 |
経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復してきました。一方で、通商政策等のアメリカの政策動向、物価上昇や為替相場の変動等による影響を十分注視すべき状況が続いています。 建設業界においては、設備投資は堅調な企業収益等を背景に持ち直しの動きがみられ、住宅建設は概ね横ばいで推移しており、公共投資はインフラ老朽化対策や国土強靭化の推進等の関連予算の執行により底堅く推移しています。 このような状況の中、当社は、グループ全体が永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を、インフラ運営の上流から下流をワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な収益基盤」を確立し、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取り組みを行ってきました。 当連結会計年度の経営成績は、売上高は前期比542億円(6.8%)増の8,475億円、事業利益は前期比29億円(5.7%)減の485億円となり、税引前利益は前期比3億円(0.6%)増の497億円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、前期比1億円(0.5%)減の324億円となりました。 ※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、当社の経常的な事業の業績を測る利益指標です。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 (建築事業) 建築事業は、集合住宅や工場・物流施設を中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、国内建築工事において大型工事を含む手持工事の順調な進捗に加え新規工事の受注も伸び、売上高は前期比469億円(17.2%)増の3,206億円となりました。セグメント利益は、期首手持工事の順調な利益率改善と適正な利益を確保した新規工事の受注などにより、前期比96億円(220.5%)増の139億円となりました。 (土木事業) 土木事業は、橋梁やトンネルを中心とする建設工事及び付帯する事業を展開しており、今年度完工案件における設計変更の獲得及び施工効率化・工期短縮により売上高、セグメント利益ともに堅調に推移したものの、前期に計上した大型工事における設計変更の獲得反動減により、売上高は前期比204億円(12.6%)減の1,419億円、セグメント利益は前期比135億円(46.6%)減の155億円となりました。 (舗装事業) 舗装事業は、舗装工事等の建設工事及びアスファルト合材等の製造・販売を中心に展開しており、売上高は堅調に推移した結果、前期比113億円(4.5%)増の2,631億円となりました。セグメント利益は建設工事における受注時利益率の向上、及びアスファルト合材販売における原材料費高騰分の転嫁がさらに進んだことにより、前期比45億円(30.2%)増の198億円となりました。 (機械事業) 機械事業は、建設機械の製造・販売を中心に展開しており、建設機械関連商品及びクレーン等自社製品の販売が堅調に推移したことにより、売上高は前期比12億円(3.1%)増の410億円となり、セグメント利益は前期比1億円(4.8%)増の22億円となりました。 (インフラ運営事業) インフラ運営事業は、再生可能エネルギー事業及びコンセッション事業を中心に展開しており、大洲バイオマス発電(株)が新たに営業運転を開始、また愛知道路コンセッション(株)をはじめとする事業会社の業績が引き続き堅調に推移したものの、再生可能エネルギー事業案件の売却を先送りしたことにより、売上高は前期比122億円(66.5%)増の305億円となり、セグメント損失は22億円(前期はセグメント損失10億円)となりました。 (その他) その他の事業は、リテール事業、建設用資材製造・販売、ビル管理及び不動産事業等を中心に展開しており、売上高は前期比29億円(6.3%)増の501億円となり、セグメント利益は前期比3億円(14.1%)増の24億円となりました。 (2) 財務状態 当連結会計年度における資産は、売却目的で保有する資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ401億円(2.8%)増加し、1兆4,507億円となりました。負債は、社債及び借入金の減少などにより前連結会計年度末に比べ835億円(8.4%)減少し、9,078億円となりました。また資本は、第1回社債型種類株式を発行したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,236億円(29.5%)増加し、5,428億円となりました。なお、当該社債型種類株式の発行によって調達した資金については、全額を2024年8月末までに日本風力開発(株)の株式の取得(子会社化)に伴い金融機関から借り入れた借入金2,184億円の返済資金の一部に充当しています。 以上の結果、親会社の所有者に帰属する持分は5,191億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の28.4%から35.8%となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益を497億円計上した一方、営業債権及びその他の債権の増加が314億円あったことなどにより396億円(前期は389億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が378億円、その他の金融資産の売却による収入が244億円あったことなどにより△275億円(前期は△2,792億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少や株式の発行による収入などにより△48億円(前期は2,613億円)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末の1,134億円から60億円増加し、1,195億円となりました。 (4) 資本の財源及び資金の流動性 当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、建設工事の立替資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要のうち、主なものは、M&A、設備投資等によるものです。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入・社債の発行、インフラ運営事業については、ノンリコースでの資金調達を基本としています。 なお、当連結会計年度末における有利子負債(リース負債及び公共施設等運営権に係る負債を除く。)の残高は、前連結会計年度末の4,815億円から863億円減少し、3,951億円となりました。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。 なお、連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。 (6) 生産、受注及び販売の実績 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建築事業及び土木事業では請負形態をとっているため、生産を定義することが難しく、生産実績及び販売実績を正確に示すことは困難です。 また、連結子会社が営んでいるインフラ運営事業等のように、受注生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。 以上の理由で、生産、受注及び販売の実績を示すことはできませんが、当社グループの受注及び施工等の大半を占める事業会社である前田建設工業(株)、前田道路(株)の受注及び売上等の実績は次のとおりです。 a.事業会社別受注高・売上高及び次期繰越高 前田建設工業(株)(単位:百万円) 期別区分前期繰越高当期受注高計当期売上高次期繰越高前事業年度自2023年4月1日至2024年3月31日建築工事439,958299,878739,837274,368465,469土木工事278,539152,076430,615161,454269,161計718,498451,9551,170,453435,823734,630当事業年度自2024年4月1日至2025年3月31日建築工事465,469393,810859,279344,899514,380土木工事269,161166,418435,579148,399287,180計734,630560,2281,294,859493,298801,560 前田道路(株)(単位:百万円) 期別区分前期繰越高当期受注高計当期売上高次期繰越高前事業年度自2023年4月1日至2024年3月31日舗装工事他59,988176,239236,227167,31468,913当事業年度自2024年4月1日至2025年3月31日舗装工事他68,913190,265259,179177,16982,010 (注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。 b.事業会社別受注工事高の受注方法別比率 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。 前田建設工業(株)(単位:%) 期別区分特命競争計前事業年度自2023年4月1日至2024年3月31日建築工事56.943.1100.0土木工事56.343.7100.0当事業年度自2024年4月1日至2025年3月31日建築工事54.046.0100.0土木工事49.750.3100.0 前田道路(株)(単位:%) 期別区分特命競争計前事業年度自2023年4月1日至2024年3月31日舗装工事他12.387.7100.0当事業年度自2024年4月1日至2025年3月31日舗装工事他16.783.3100.0 (注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額を除いて算出しています。 c.事業会社別完成工事高 前田建設工業(株)(単位:百万円) 期別区分官公庁民間計前事業年度自2023年4月1日至2024年3月31日建築工事55,944218,423274,368土木工事85,33576,118161,454計141,280294,542435,823当事業年度自2024年4月1日至2025年3月31日建築工事55,899289,000344,899土木工事87,09861,300148,399計142,997350,300493,298 (注)1.当事業年度の完成工事のうち、主なものは次のとおりです。発注者工事名称工事場所十条駅西口地区市街地再開発組合十条駅西口地区第一種市街地再開発事業 施設建築物等 新築工事東京都高崎市高崎市高浜クリーンセンター建設工事群馬県(株)ウェルファムフーズ株式会社ウェルファムフーズ宮城事業所新工場建設計画宮城県国土交通省近畿地方整備局大野油坂道路東市布トンネル工事福井県日本下水道事業団石巻市石巻中央幹線管渠復興建設工事その4宮城県国土交通省近畿地方整備局野洲栗東バイパス七間場高架橋P32 橋脚他工事滋賀県 (注)2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。 前田道路(株)(単位:百万円) 期別区分官公庁民間計前事業年度自2023年4月1日至2024年3月31日舗装工事他16,372150,941167,314当事業年度自2024年4月1日至2025年3月31日舗装工事他20,867156,301177,169 (注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。 d.事業会社別手持工事高(2025年3月31日現在) 前田建設工業(株)(単位:百万円) 区分官公庁民間計建築工事109,771404,608514,380土木工事153,069134,110287,180計262,840538,719801,560 (注) 手持工事のうち、主なものは次のとおりです。発注者工事名称工事場所南池袋二丁目C地区市街地再開発組合南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物等の新築工事(北街区)東京都天神一丁目761プロジェクト(同)、福岡地所(株)(仮称)天神ビジネスセンター2期計画新築工事福岡県桑名市多度地区小中一貫校整備事業三重県岐阜県公共内ケ谷ダム建設事業 内ヶ谷ダム本体工事岐阜県国土交通省北陸地方整備局大町ダム等再編土砂輸送用トンネル工事長野県東日本高速道路(株)首都圏中央連絡自動車道 阿見工事茨城県 前田道路(株)(単位:百万円) 区分官公庁民間計舗装工事他31,54550,46582,010 (注) アスファルト合材等の製造・販売に係る金額は含みません。 |
※本記事は「インフロニア・ホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)



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