不二製油株式会社(旧会社名 不二製油グループ本社株式会社)の基本情報

会社名不二製油株式会社(旧会社名 不二製油グループ本社株式会社)
業種食料品
従業員数連5654名 単131名
従業員平均年齢43歳
従業員平均勤続年数15年
平均年収9951890円
1株当たりの純資産2448.4円
1株当たりの純利益(連結)25.95円
決算時期3月
配当金52円
配当性向0%
株価収益率(PER)118.01倍
自己資本利益率(ROE)(連結)1.01%
営業活動によるCF▲506億円
投資活動によるCF▲217億円
財務活動によるCF1149億円
研究開発費※112.9億円
設備投資額※123.43億円
販売費および一般管理費※12043.95億円
株主資本比率※225.6%
有利子負債残高(連結)※32887.8億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、2025年4月1日を効力発生日として、当社を吸収合併存続会社、当社の完全子会社であった不二製油株式会社(以下、「旧不二製油㈱」)を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行いました。また、同日付で商号を「不二製油グループ本社株式会社」から「不二製油株式会社」へ変更しております。 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが入手可能な情報に基づき作成したものです。実際の成果や業績は、今後様々な要因によって、記載されている内容とは異なる可能性があります。 (1)経営の基本方針 当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を経営の基本方針として掲げております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を会社運営の基本方針としています。 当社グループは創業以来、植物性素材のもつ可能性を追求し、おいしいもの、体によいものをお届けしたいという想いで製品を生み出し、価値を提供してきました。「不二製油グループ憲法」のミッションの下、当社グループが目指す姿として「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します。」をビジョンとし、社会課題の解決と持続的な成長を目指しています。 社員一人一人が本憲法に示されているバリュー(価値観)を共有し、プリンシプル(行動原則)を実践することで、ビジョンを実現し、全てのステークホルダーに対する貢献を果たしてまいります。 <不二製油グループ憲法> (2)ビジョン実現に向けた考え方 食が消費者に届くまでには、複雑なサプライチェーンと多くのステークホルダーが関与しています。食の社会課題の解決には、一社のみならず消費者も含めたバリューチェーン全体で価値向上に取り組むことが重要です。不二製油グループは食のバリューチェーンにおける川中の機能を担い、研究開発や生産活動を通して、顧客とその先の消費者の困りごとに対するソリューションの提供に努めています。 当社グループは心身の健康・地球環境問題・人権等、食のバリューチェーン上の社会課題を機敏に捉え、当社の提供価値につながるESGマテリアリティを特定し、経営戦略の立案・推進に活用しています。 経営戦略に基づき、財務資本、製造資本、人的資本等、当社グループが有する経営資本を活用し、4つの事業が持つ強みを組み合わせて、当社グループならではの植物性素材を創出しています。この植物性素材により食の選択肢を広げ“おいしさと健康”“サステナブルな食のバリューチェーン”を構築することが、当社グループの提供価値であると考えています。 そして、当社グループの提供価値が顧客価値=消費者価値となり、獲得した利益やキャッシュ・フローは食のバリューチェーン全体のサステナビリティ向上に寄与する当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資しています。  不二製油グループは価値創造プロセスの循環を通じ、持続的な成長を果たし、「サステナブルな食の未来」の実現を目指しています。  当社グループの経営資本は以下のとおりです。  “財務資本”とは、当社グループの事業活動により獲得した利益やキャッシュ・フローを持続的な企業価値向上へ向けて再投資することで構築される財務基盤です。2024年度において株主資本は1,749億98百万円、有利子負債は2,839億75百万円、営業キャッシュ・フローは506億31百万円の支出となりました。詳細は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「第5 経理の状況」に記載のとおりです。  “製造資本”とは、当社グループの安全・安心で安定した品質の製品を生産、顧客に提供するための製造拠点・製造能力です。2025年3月末時点においては、連結子会社38社、持分法適用会社3社がグループの生産を支えています。また、2024年度の設備投資額は257億43百万円となりました。 詳細は「第1 企業の概況 3事業の内容」、「第1 企業の概況 4関係会社の状況」及び「第3 設備の状況」に記載のとおりです。  “人的資本”とは、当社グループの企業活動を支え、持続的な成長を支える人材です。2025年3月末時点で連結従業員5,654名となり、うち約7割が海外エリアの従業員となりました。詳細は「第1 企業の概況 5従業員の状況」及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(6)人的資本・多様性」に記載の、人的資本に関する当社の考え方及び取組をご覧ください。 “知的資本”とは、当社グループの技術革新と社会課題に貢献する製品の創出を支える研究成果と技術力です。2024年度の研究開発費は64億57百万円となりました。特許ポートフォリオ等の研究開発活動に関する情報は「6研究開発活動」に記載のとおりです。  “社会・関係資本”とは、食のバリューチェーンの川中に位置する存在として構築してきた、ステークホルダーとの共創関係です。ステークホルダーとの共創の詳細は「(3)会社の経営戦略・経営目標とその進捗 ③ サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)」に記載のとおりです。  “自然資本”とは、エネルギーや水、生態系サービス(注)に依拠した農産物であるパーム、カカオ、大豆、シアカーネル等の原料であり、当社グループの事業活動はこうした自然や生態系サービスの恩恵を受けると同時に負の影響を与える可能性があります。当社グループは環境負荷の低減や、持続可能な調達等の取組により、自然資本の保全と回復に努めています。 詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(5)指標及び目標」に記載のとおりです。(注)生態系サービス:食料や水の供給、気候の安定等、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵み ① 不二製油グループの強み  当社グループは創業当初から、南方系油脂と大豆たん白を中核に「植物性素材」にこだわり、パーム、カカオ、大豆を主原料とした技術の深掘りと横展開で植物性油脂事業、業務用チョコレート事業、乳化・発酵素材事業、大豆加工素材事業を発展させてきました。当社グループは、その歴史の中で培った各事業固有の技術で製品を創出するのみならず、各事業の持つ技術の融合により事業の垣根を越えた新しい、安全・安心な品質の製品を生み出しています。 また、創業の精神「挑戦と革新」の下、BtoBの食品素材メーカーとして、顧客の課題、困りごとに共に挑み、当社グループの製品・取組による解決策を提案するとともに、多様化する消費者の食シーンに貢献する‘食’を顧客と共に創造し、社会課題解決に取り組んでいます。 さらには、当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決するべく、事業活動全体を通じて、環境や人権等を尊重するサプライヤー等との信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める取組を進めるとともに、これらサプライヤーから主要な原料を調達するサステナブル調達を進めています。 主要事業で培ってきた「技術の融合」、「顧客との課題解決力」、「サステナブル調達」は当社グループの歴史の中で育んできた、大きな強みであり、当社グループビジネスモデルの核となっています。 ② ビジネスモデルと競争優位性 当社グループのビジネスモデルは、「植物性油脂事業」、「業務用チョコレート事業」、「乳化・発酵素材事業」、「大豆加工素材事業」から構成されています。 当社グループは当社グループと関わる顧客・消費者・社会等のステークホルダーが直面する食の課題解決に取り組む課題解決型ビジネスを展開しています。 a.植物性油脂事業 ―南方系油脂を軸とした高度な利用技術(注1)・サステナブル原料のサプライチェーン―  当社グループは創業当初から、南方系油脂の加工、チョコレート用油脂(CBE:注2)に活路を見出し、南方系油脂を軸として、様々な油脂の高度な利用技術の革新を進め、植物性油脂事業を基盤事業として展開してきました。また、限りある資源の中で、自然との共生によるサステナブルな社会・事業活動を指向しており、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決すべく、早くから農園・農家との協働に取り組み、信頼関係を構築しています。このような取組で構築してきた‘サステナブル原料のサプライチェーン’も植物性油脂事業の差別化戦略につながる強みとなっています。(注)1.高度な利用技術:多様なニーズに合わせて、油脂加工技術と様々な油脂種の組み合わせにより油脂原料を余すことなく利用し、製品化する技術。2.CBE:Cocoa Butter Equivalentの略。ココアバターと同等の物性を持ったチョコレート用油脂。 b.業務用チョコレート事業 ―油脂技術の融合による多様化する価値を実現する機能性とおいしさの提供―  業務用チョコレート事業は、技術革新を進めてきた当社グループのチョコレート用油脂技術に支えられています。顧客の多様化する商品価値を具現化でき、価値を高める機能性と、口溶けのよさや豊かな風味といった消費者が求める‘おいしさ’を兼ね備えた高品質なコンパウンドチョコレートに強みを有しています。 c.乳化・発酵素材事業 ―乳化・発酵技術により「おいしさと使いやすさ」を提供―  乳化・発酵素材事業は、顧客の商品製造過程における加工安定性や流通過程での保形性等の‘使いやすさ’を実現できる油脂を使用した乳化技術と、消費者にとっての‘おいしさ’につながる風味を生む発酵技術の融合により、製菓・製パン・調理用途等にクリーム、マーガリン、フィリングといった幅広い素材を提供しています。 d.大豆加工素材事業 ―大豆のおいしさと栄養を活用した多様な製品群―  当社グループでは創業時から油脂とともに、大豆の豊富な栄養と大豆たん白の特性に着目し、研究を進め、用途拡大と技術革新を進めてきました。また大豆本来の‘おいしさ’を引き出す研究開発とともに、大豆たん白に含まれる機能性成分の研究により製品を創出し、多様な製品群を展開しています。大豆に含まれる植物性のタンパク質は食の未来を見据える中で、重要な食資源の一つです。大豆加工素材事業において社会課題の解決と消費者の要望に応える多様な高付加価値製品を創出、提供することで、社会貢献を果たしてまいります。 ③ 不二製油グループの提供価値 持続可能な社会の実現に向けて、また食と健康への意識の高まりに伴い、消費者からはウェルビーイングにつながるおいしくて心と身体に良いものを食べること、つまり「おいしさと健康」の両立と「サステナブルな食のバリューチェーン」への貢献が求められています。当社グループは4つの事業の強みを活かした事業活動を通じ、「社会価値」と「経済価値」を創出し、ステークホルダーへの貢献を果たしてまいります。 「社会価値」 当社グループの事業活動では、創業以来培ってきた技術、顧客の課題や困りごとを解決する課題解決力、環境や人権等に配慮した原料の調達、そしてそれらを元に、様々なステークホルダーとの共創によって付加価値の高い製品を生み出しています。当社グループは、事業活動を通じ、自然環境への負荷低減に取り組むとともにサステナブルな食資源の供給により、消費者の食の歓び、健康増進、雇用、人権尊重等のウェルビーイングの実現に貢献してまいります。 「経済価値」 当社グループの事業活動により得られた利益やキャッシュ・フローは当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資してまいります。 (3)会社の経営戦略・経営目標とその進捗 当社グループは不確実性が高まる事業環境のもと社会変容に対応し、新しい価値を生み出せる企業グループとして生まれ変わっていくため、2022年度から2024年度までの3年間を現有資産、事業からの収益力を回復することと財務体質を強固にすることを優先事項とし、経営基盤を強化する期間と定め、中期経営計画「Reborn 2024」を実行してまいりました。  財務KPI 中期経営計画目標(2024年度)実績(2024年度)連結営業利益235億円99億円ROE(株主資本利益率)8.0%1.0%FUJI ROIC(投下資本利益率)(注)5.0%1.6%株主還元 配当性向30.0%-40.0%200.4%(注)FUJI ROIC=税引後営業利益 ÷(運転資本+固定資産)当社グループでは本指標を各事業で把握・管理可能な項目とすべく、分母となる投下資本を運転資本と固定資産に置き換えて使用しております。  非財務KPI 目標(2024年度)実績(2023年度)(注3)CO2排出量の削減(Scope1+2)(注1)総量23%削減総量29%削減サステナブル調達(パーム油TTP比率(注2))85%比率95%(注)1.基準年:2016年度(全連結子会社)2.パーム油TTP:パーム油の農園までのトレーサビリティ(Traceability to Plantation)3.2024年度実績は2025年9月発行予定のサステナビリティレポートにて開示予定。  当中期経営計画期間における当社グループを取り巻く経営環境は、日本においては円安の進行や、原材料の値上がりが続いたものの、国内外からの観光客の増加等により、消費が回復し、景気は底堅く推移しました。一方、海外で安全保障問題に関連する経済的な影響、食糧、エネルギーコストの上昇に伴う世界的なインフレや金融引き締めによる景況感の悪化、特に中国経済の停滞と内需の不振等の影響を受けました。また、カカオ豆をはじめとする原材料価格の高騰、相場の急変、安定的な原料調達課題等に直面しました。 財務KPIにおいては、気候変動による不作を背景としたカカオ豆相場急騰及び関連費用の増加により、チョコレート製品並びにカカオ加工品製造を行うBlommer Chocolate Company, LLC (米国、以下「Blommer」)の収益性が悪化した一方、コンパウンドチョコレートの需要拡大を受けて、業務用コンパウンドチョコレート事業を展開する拠点では、チョコレート用油脂(CBE)を配合・設計することでカカオ豆相場急騰に対応するとともに、おいしさと機能性提案を進め、収益性を改善しました。 また、植物性油脂事業においても、コンパウンドチョコレートに使用するチョコレート用油脂(CBE)需要拡大による販売増加が収益に寄与しました。 しかしながら、上述のとおりカカオ豆相場の急騰に伴うBlommerの収益悪化の影響を受けて営業利益、ROE、FUJI ROICは当初目標に対して未達となりました。 非財務KPIについては、各グループ会社による積極的な省エネルギー活動の推進や、再生可能エネルギーの導入によるCO2排出量削減を進め、中期経営計画当初に掲げた2024年度目標 CO2排出量削減(Scope1+2)を上回る見込みです。さらに、TTPシステムを導入する等のパーム油のサステナブル調達に取り組んだ結果、中期経営計画当初に掲げた2024年度目標 サステナブル調達(パーム油TTP比率)も上回る見込みです。  当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び、2025年3月期 決算説明会資料をご参照ください。https://www.fujioil.co.jp/ir/library/hosoku/  当連結会計年度(2025年3月期)を最終年度とする中期経営計画「Reborn 2024」の基本方針の進捗結果は以下のとおりです。 ① 事業基盤の強化(収益力復元と新しい価値創造) 「Reborn 2024」の柱の一つ「事業基盤の強化」では、「基礎収益力の復元」、「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入替え」、「成長・戦略分野への経営資源の集中」、「挑戦領域への展開」を進めてまいりました。  「基礎収益力の復元」では、適正な販売価格政策や原価管理を強化することで、事業別に運営・管理両面からの体制を強化することの一例として、乳化・発酵素材事業において、為替の影響を受けてシンガポール拠点からの日本市場向け粉乳調製品輸出のコスト競争力が低下したことに対して、東南アジア及び近隣諸国の経済成長と食生活の多様化を背景とした製菓・製パン市場の需要拡大をふまえ、日本市場向けから東南アジア及び近隣諸国向けへビジネスモデルを再編しております。 また、アプリケーションを含む商品提案、各国の地場市場での顧客・販売網、価格戦略の見直しを図り、基礎収益性の回復を図りました。 植物性油脂事業では、東南アジアを世界で求められるサステナビリティやトレーサビリティ基準に対応した油脂のグループサプライチェーン体制における中間原料供給の重要拠点としてビジネスモデルの転換を図り、植物性油脂事業の基礎収益力の向上を図りました。さらにグループ共通の生産性指標を導入し、各社の工場生産性の改善を推進してまいりました。  「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入替え」において、コモディティ製品から差別化された付加価値の高い製品への展開を行うことで、競争優位性の確立に取り組むとともに、「成長・戦略分野への経営資源の集中」で、植物性油脂事業と業務用チョコレート事業を成長分野として優先的に経営資源を再配分することで、グループの収益拡大に向け取り組んでまいりました。  カカオ原料高騰を背景に、チョコレート用油脂(CBE)の需要が拡大する中、グループの植物性油脂事業会社間でのシナジーの創出を図るとともに各国の顧客に対して、複数製法・原料によりコスト優位性、安定供給性を確保した製品販売を行うことに加え、当社グループのおいしさと機能性を両立させるチョコレート製造技術を駆使した高付加価値なコンパウンドチョコレート製品としての拡販を図り、グループの競争優位性の確立に取り組みました。 成長・戦略分野の一つとして植物性油脂事業では、近年のトレーサブルで環境・人権に配慮したサステナブル調達に加え、油脂中に含まれる微量成分を低減した製品の欧州等での需要の高まりへの対応として、東南アジアでのサステナブル認証油の供給体制を強化し、グループ全体での顧客要望への対応・拡販を進めています。 さらに、今後需要の増加が見込まれる市場にもトレーサブルで持続可能なパーム油製品の提供を通じた社会課題解決に取り組むべく、前期にはマレーシアのパーム油・パーム核油の製造会社 Johor Plantations Group Berhadと持続可能なパーム油を原料とした高付加価値な油脂製品を製造・販売する合弁会社を設立し、2026年度の事業開始を予定しています。 業務用チョコレート事業においては、HARALD INDUSTRIA E COMERCIO DE ALIMENTOS LTDA(ブラジル)で2023年4月に新工場の稼働を開始し、工場内にお客様と共創でアプリケーションを開発・提案する施設を新設し、新製品創出、新市場の開拓を進め、ブラジルで高まるチョコレート需要に対応しております。 また、東南アジア・オセアニア市場においてもカカオ価格高騰を背景としたコンパウンドチョコレートの需要が高まっており、PT.FREYABADI INDOTAMA(インドネシア)では国内市場のベーカリーや冷菓メーカー向けを中心として問屋施策等の推進により販路を拡大、INDUSTRIAL FOODSERVICES PTY LIMITED(オーストラリア)ではMade in Australiaが主流の国内市場のベーカリーや冷菓メーカー向けにグループの技術と知見を活かした高付加価値なコンパウンドチョコレート製品の提案、顧客対応を実施し、グループの収益改善に寄与しました。  「挑戦領域への展開」においては、当社グループの各事業固有の技術の組み合わせを行い、新たな市場アプローチにより、消費者視点での時代に合った製品を提供しています。また、新市場・新規顧客開拓を行うことにより新しい価値の創造への挑戦に取り組んでおり、コモディティ製品から高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替えを図ってきました。 「新たな価値の提供」として、当社がこれまで培った植物性油脂とチョコレートの知見を活用し、ミルクチョコレートタイプながらカカオマスやココアバター等のカカオ豆由来の原料を全く使用せず、「おいしさ」、ミルクチョコレートと同様に取り扱える「簡便さ」、遜色のない「くちどけ」が特徴の当社初のチョコレート代替製品、「アノザM」を当期に上市し、新たな価値を提供しています。 日本においては、挑戦領域を牽引するフラッグシップとして、植物性に特化したブランド‘GOODNOON’を展開し、食が多様化する中、当社グループの植物性素材ですべての人にとって「おいしい」の食の選択肢を広げる提案をしてまいりました。代表商品の一つとして当社独自の大豆加工と油脂技術を融合した豆乳クリームバター(ソイレブール)の拡販、また、当社が開発したMIRACORER(注)技術を駆使した植物性ダシ製品群のMira-Dashiシリーズ等の上市により、国内のインバウンド需要への対応のみならず、動物原料不使用による海外展開の可能性を広げる等当社グループの植物性素材の知見を活かした新たなビジネスへの取組を進めるとともに、グループ会社での小売商品の展開により、消費者との接点をより増やし、「おいしい」の体験機会の提供を加速させています。(注)MIRACORER:当社研究所が開発した動物性食品ならではのおいしさを植物性素材で実現する技術。 ② グローバル経営管理の強化 「グローバル経営管理の強化」では、高収益な事業ポートフォリオの実現に向け、事業や経営単位ごとの資本効率の把握・管理を可能とする指標としてFUJI ROICを導入し、定期的に重要会議においてFUJI ROICの重要要素である運転資本や投資進捗をレビューし、各グループ会社によるFUJI ROIC改善施策の進捗をモニタリングし、資本効率を意識した経営を推進しました。 また、事業軸運営を強化し、各事業固有のリスク管理及びグループ各社の連携を強化し、各エリア共通の課題に横断的に対応するとともに、研究開発においては、事業戦略と一体となった運営体制を推進し、グローバルで求められる社会課題に対応する研究への取組、製品開発スピードの向上を図る等、グローバルでの経営管理の強化を図りました。 ③ サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略) 当中期経営計画期間では、当社グループとして特定したESGマテリアリティに基づき、各グループ会社のサステナビリティへの取組を加速させ、グループ全従業員による自律的な活動へ深化させてきました。また、パーム油やカカオ等の主原料のサステナブル調達、並びに気候変動や生物多様性への対応として、グループ全体のCO2排出量・水使用量原単位・廃棄物量原単位の削減や原料産地での森林保全・再生等各種施策に取り組んできました。 サステナブル調達においては、持続可能なパーム油への需要の高まりに対して、マレーシアのアブラヤシ栽培会社であるUnited Plantations Berhad(ユナイテッドプランテーション社)との合弁会社であるUNIFUJI SDN BHD(マレーシア)の生産能力を維持し、十分なパーム油供給量を確保する等、東南アジアでのサステナブル認証油の供給体制を確立しました。 生物多様性においては、2022年度に「不二製油グループ生物多様性方針」を制定し、世界各地の原料産地や事業拠点で、ステークホルダーとともに、生物多様性の保全と回復に向けた取組を推進しました。また、TNFDが提唱するLEAPアプローチに基づき、「不二製油グループのバリューチェーン上の自然関連リスク・機会」や「パーム及びカカオの自然関連リスク分析結果」を開示しました。(注1) CO2排出量においては、各グループ会社での省エネ活動、再生可能エネルギー導入により、スコープ1+2の中期経営計画当初に掲げた目標を達成する見込みです。水使用量の削減については、生産ラインにおける水使用量の最適化や水の再利用の促進により削減が進みました。廃棄物量の削減についても、廃棄物の再資源化や副産物の高付加価値化により削減が進みました。また「環境ビジョン2030」を改定し、2050年度ネットゼロ目標及び1.5℃水準のGHG削減目標を策定、並びに水使用量削減目標も改定しました。(注2) (注)1.詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)リスク管理」に記載のとおりです。2.「環境ビジョン2030/2050」の詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(5)指標及び目標」に記載のとおりです。  不二製油グループの持続的成長を支えるのは人材です。「Reborn 2024」におけるサステナビリティの深化のテーマの一つを「人材活用」とし、3つの方針「グローバル経営を支える人材の確保・育成・適正配置」「DE&Iの推進」「コミュニケーションの強化」のもと、取組を進めてまいりました。 当中期経営計画期間においては、世界的なインフレの進行とそれに伴う金利水準の高止まりに加え、パーム油やカカオ等の主原料の高騰に伴う運転資本の増加等により、目標として定めた財務KPIを下回る結果となった一方で、より強固な財務体質に生まれ変わるための施策を着実に実行いたしました。 FUJI ROICの導入により事業別ROIC管理・評価を進め、各事業の資本効率が可視化することで、投資の厳選及び優先的な経営資源の配分を行い、グループ全体の事業ポートフォリオの最適化を図りました。その一環として、前連結会計年度以前に実施したFuji Oil New Orleans, LLC(米国)の固定資産譲渡に加え、当連結会計年度に実施したBlommerが保有するシカゴ工場の閉鎖及び大豆たん白食品事業の国内連結子会社の譲渡等、収益性の改善のための施策を実行いたしました。2025年3月に公表しましたとおり、当社グループは、2026年3月期第1四半期連結会計期間より国際財務報告基準(IFRS)の任意適用を予定しております。事業別ROIC管理に加え、IFRSでのグループ統一の財務報告に基づき比較可能性を高め、さらに実効性の高い事業評価を行う体制の構築に向け、準備を進めております。 また、金利水準の上昇に伴う金融費用の増加や原料高騰による運転資本の増加への対策として、グループファイナンスを活用したグループ資金の最適配分を行うことにより、当社グループを取り巻く厳しい状況においても安定的なキャッシュ・フローを創出するための施策を実行いたしました。持続的な事業成長のための投資を行うとともに、「Reborn 2024」において定めた配当性向30%~40%という水準を維持し、安定的かつ継続的な配当を実施してまいりました。 当社グループは、更なる企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼される企業グループとなることを目指してまいります。 (4)対処すべき課題と今後の対応方針 近年の気候変動を一因とした不作等による当社グループ主要原料の一つであるカカオ原料の価格高騰、各国の金利政策による為替の変動等、世界的な経済・社会環境の変化、地政学リスクの影響を受けうる当社グループの事業環境では、サプライチェーン全体に及ぶ課題や、サステナビリティ課題への対応強化等は、事業ごとに各グループ会社の状況精査・対応検討をし、より迅速に推進する必要性があると認識しています。このため、2015年からの約10年間の純粋持株会社(グループ本社)体制下で培った財務経理やESG等の機能軸による管理強化は継続しつつ、人材をはじめとする経営資源の一元管理や最適配分、高利益なポートフォリオへの入れ替え、当社バリューチェーン上での事業戦略の立案・実行等を事業軸で推進・強化することを企図し、2025年4月1日付で、当社は事業持株会社制へ移行しました。  新体制の下、世界が直面するカカオをはじめとする原料ボラティリティに対しては、複数の製法・原料で供給が可能であり、コスト面、供給安定性で強みを有するチョコレート用油脂(CBE)のグループ供給体制の強化と油脂技術・チョコレート製造技術の融合による高品質なコンパウンドチョコレートの提供でカカオ豆高騰に対応するとともに、機能性を兼ね備えたコンパウンドチョコレートの更なる拡販等、バリューチェーン全体を俯瞰した適正な商品戦略立案と実行により成長戦略を実行してまいります。また、カカオ原料の価格高騰や金利の上昇及びインフレに伴う固定費増加等の大きな影響を受けたBlommerの構造改革の実行による収益性改善、欧州でのEU森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulation:EU-DR)の適用が2025年12月に開始される見込みであることを受け、グローバルに展開する大手取引先とのビジネスのための当社グループ全体での環境・人権に配慮したトレーサビリティを確保した原料調達体制の強化等、グループ一体となり重要な経営課題に取り組んでまいります。 新しい価値を生み出せる企業グループに生まれ変わるという覚悟の下、2030年までのPhase1~Phase3の各3年間のうち、Phase1として「基盤の強化」に取り組んだ中期経営計画「Reborn 2024」でしたが、当初目標からのギャップがあることを強く認識しております。 現有資産、事業における収益力の強化は引き続き継続しつつ、グループ会社管理体制については今後とも強化を図ってまいります。現在の世界で起きているカカオ豆等原材料の需給バランスのギャップ、先進国での健康課題を抱える人口増加等、当社グループの事業環境における様々なリスクは、課題解決型ビジネスを展開する当社グループにとっての事業機会であると捉え、成長戦略に繋げてまいります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが入手可能な情報に基づき作成したものです。実際の成果や業績は、今後様々な要因によって、記載されている内容とは異なる可能性があります。 (1)重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。 なお、当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (繰延税金資産) 繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。 (有形・無形固定資産の減損処理) 減損の兆候のある資産又は資産グループについて、減損の認識を判定の上、回収可能価額に基づき減損処理を行っています。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方により測定しております。回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。 (退職給付費用及び退職給付債務) 当社グループは、退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 経営成績の状況の分析 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、米国の関税政策を巡る不透明感や、安全保障問題に関連する経済的な影響、中国の景気動向等が懸念要素としてありつつも、堅調な雇用・所得環境を背景として、欧米を中心に景況は底堅く推移しました。日本においては、物価指数の上昇は続いておりますが、雇用・所得環境の改善等により、個人消費は緩やかな拡大傾向が続いています。 パーム油の原材料価格は2024年前半と比較すると高値水準が続いており、2024年12月に再び高騰したカカオ豆の原材料価格についても、2025年1月以降は下落する傾向にあるものの、高値水準が継続する等、原材料相場は不安定に推移しています。 カカオ豆価格の高騰に伴い当社グループでは、当社グループの強みであり技術力を有するチョコレート用油脂及びコンパウンドチョコレート等の販売拡大の機会と捉え、顧客に対する提案・販売を強化しています。Blommer Chocolate Company, LLC(米国、以下「Blommer」)では、2024年3月22日に公表した構造改革の実行を進めており固定費の削減効果の顕在化が見られるものの、主原料であるカカオ豆の調達価格の上昇及び関連費用の増加に伴う採算の悪化により、当連結会計年度において営業損失となりました。 2024年度は、2022年に発表いたしました3か年の中期経営計画「Reborn 2024」の最終年度となります。カカオ豆価格の高騰に伴う外部環境の急激な変化の影響等により中期経営計画の財務KPIは未達となりましたが、中期経営計画の基本方針として掲げた「事業基盤の強化」、「グローバル経営管理の強化」、「サステナビリティの深化」は着実に成果を残せたと考えております。 「事業基盤の強化」においては、植物性油脂事業を中心に収益力の改善が進んだことに加え、コンパウンドチョコレートの販売数量は着実に増加しています。「グローバル経営管理の強化」においては、FUJI ROICの導入による資産効率の向上に加え、パーム油等の原材料ポジション管理の強化がグループ内に浸透出来たと考えております。また、「サステナビリティの深化」においては、トレーサビリティ等の非財務KPIは達成できる見通しです。サステナブル調達による差別化戦略を着実に実行しています。  以上の結果、当連結会計年度における連結経営成績は、売上高は6,712億11百万円、営業利益は98億95百万円、経常利益は53億4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は22億30百万円となりました。 (単位:百万円) 売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益2025年3月期671,2119,8955,3042,2302024年3月期564,08718,21316,7916,524前期比 増減(前期比 増減率)+107,124(+19.0%)△8,318(△45.7%)△11,487(△68.4%)△4,293(△65.8%)  セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。(単位:百万円) 売上高前期比増減前期比(%)営業利益前期比増減前期比(%)植物性油脂207,274+21,923+11.8%26,270+10,831+70.2%業務用チョコレート334,696+81,287+32.1%△15,833△17,674△960.3%乳化・発酵素材94,175+4,320+4.8%3,444△349△9.2%大豆加工素材35,065△407△1.1%656△383△36.9%連結消去・グループ管理費用---△4,642△742-合 計671,211+107,124+19.0%9,895△8,318△45.7% (植物性油脂事業) 売上高は米州における販売数量の減少はありましたが、東南アジアでの販売数量の増加及び円安の影響等により増収となりました。営業利益は、人件費等の固定費の増加はあるものの、東南アジアや日本を中心としたチョコレート用油脂の販売伸長等により増益となりました。 (業務用チョコレート事業) 売上高は、原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、日本や東南アジア等での販売数量増加、円安の影響等により増収となりました。営業利益は、日本や東南アジア、中国等において価格改定による採算性の改善が進みましたが、Blommerにおけるカカオ豆の調達価格の上昇及び関連費用の増加に伴う採算性の悪化により、減益となりました。 (乳化・発酵素材事業) 売上高は、日本での製パン向けの堅調な販売や東南アジアでの販売数量の増加、円安の影響等により増収となりました。営業利益は、人件費等の固定費の増加や中国での原材料価格の上昇に伴う採算性の悪化により、減益となりました。 (大豆加工素材事業) 売上高は、大豆たん白食品の販売数量の減少等により減収となりました。営業利益は販売数量の減少等により減益となりました。 ② 財政状態の状況の分析 当連結会計年度末における連結財政状態は、以下のとおりです。(単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期増減 流動資産236,858354,830+117,972 有形固定資産150,750156,505+5,755 無形固定資産55,22151,185△4,036 その他資産27,39034,042+6,652資産 470,221596,564+126,343 有利子負債130,286283,975+153,689 その他負債95,64398,064+2,421負債 225,929382,040+156,110純資産 244,291214,524△29,767 (資産) 当連結会計年度末の資産は、現金及び預金並びにカカオ豆等の原材料価格の上昇に伴う売掛金と棚卸資産の増加等により流動資産が増加しました。また、繰延税金資産の増加によりその他資産が増加しました。 以上の結果、前連結会計年度末に比べ1,263億43百万円増加し、5,965億64百万円となりました。 (負債)当連結会計年度末の負債は、運転資本の増加等に伴う短期借入金等の有利子負債の増加により、前連結会計年度末に比べ1,561億10百万円増加し、3,820億40百万円となりました。 (純資産) 当連結会計年度末の純資産は、米ドル、ブラジルレアル等の円高影響による為替換算調整勘定の減少及び利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末に比べ297億67百万円減少し、2,145億24百万円となりました。 1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べ252円56銭減少し、2,448円40銭となりました。自己資本比率は前連結会計年度末比14.1ポイント減少し、35.3%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析 当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。(単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期増減営業活動によるキャッシュ・フロー48,242△50,631△98,873投資活動によるキャッシュ・フロー8,803△21,738△30,541フリー・キャッシュ・フロー57,045△72,369△129,415財務活動によるキャッシュ・フロー△50,007114,931+164,938現金及び現金同等物27,48069,846+42,365 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、506億31百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、運転資本の増加等により、988億73百万円収入が減少しております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、217億38百万円の支出となりました。Fuji Oil New Orleans, LLC(米国)において有形固定資産の売却による収入が発生していた前連結会計年度と比べ、当連結会計年度は業務用チョコレート事業において設備投資額が増加していること等により、305億41百万円支出が増加しております。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,149億31百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、短期借入金の増加等により、1,649億38百万円収入が増加しております。 (3)資本の財源及び資金の流動性 当社グループは円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務規律の維持及び財務健全性の向上を基本方針とし、中長期的な企業価値向上を実現すべく、資本コストを意識した経営を実践しております。 当社グループの主な資金需要は、生産活動及び販売活動に必要な運転資金、生産性向上のための設備投資、成長基盤強化のための事業投資等です。資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー並びに社債の発行等による資金調達です。 短期運転資金は営業キャッシュ・フローとコマーシャル・ペーパー発行及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資及び事業投資の資金は金融機関からの長期借入のほか、社債発行による資金調達を行っております。 当社グループは複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しているほか、コマーシャル・ペーパー発行枠及び国内社債発行枠の登録により資金調達手段の多様化を図り、事業運営に必要な資金の流動性を十分に確保しております。 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は2,839億75百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は698億46百万円となっております。 (4)生産、受注及び販売の実績① 生産実績 当社グループの生産品目は広範囲、多種多様であり、かつ、製品のグループ内使用(製品を他のグループ会社の原材料として使用)が数多くあるため、セグメント別(連結ベース)に生産実績を、金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 経営成績の状況の分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。 ② 受注実績 当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 ③ 販売実績 当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 経営成績の状況の分析」に記載のとおりです。

※本記事は「不二製油株式会社(旧会社名 不二製油グループ本社株式会社)」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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