| 会社名 | 株式会社フジ・メディア・ホールディングス |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 従業員数 | 連7302名 単43名 |
| 従業員平均年齢 | 49.6歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 19.1年 |
| 平均年収 | 16600000円 |
| 1株当たりの純資産 | 3943.8円 |
| 1株当たりの純利益(単体) | -95.74円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 50円 |
| 配当性向 | 560.6% |
| 株価収益率(PER) | 11.7倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | -2.4% |
| 営業活動によるCF | 584億円 |
| 投資活動によるCF | ▲374億円 |
| 財務活動によるCF | 24億円 |
| 研究開発費※1 | 4.45億円 |
| 設備投資額※1 | 10.65億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 279.75億円 |
| 株主資本比率※2 | 64.5% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 3508.94億円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】この度の当社子会社の㈱フジテレビジョンにおいて発生した人権・コンプライアンスに関する問題により、ステークホルダーの皆様にご迷惑・ご心配をおかけしていますことをお詫び申し上げます。人権はすべてに優先される基本的な権利であり、当社グループはあらゆる人権侵害を決して許容しません。当社グループは、今般の㈱フジテレビジョンにおける事案を受けた抜本的な企業風土改革・ガバナンス改革の施策を確実に遂行し、人権尊重を経営の中心に置く揺るぎない企業文化の構築に向けて、役員・社員ともに強い決意で取り組んでまいります。 当社は、本年3月31日に公表した「人権・コンプライアンスに関する対応の強化策」で公表した通り、取締役会・グループ社長会においてグループ各社のコンプライアンス事案の報告を必須化し、4月から実行しており、5月には、当社社長が委員長、人権分野を専門とする弁護士を副委員長とする「グループ人権委員会」の活動をスタートさせました。また、4月30日に公表した改革の具体策の中で、役員指名や意思決定プロセスの透明性向上によるガバナンス改革、人権・コンプライアンスの意識の向上を打ち出し、そのための施策を実行しております。こうした一連の取り組みを踏まえ、当社では、2023年5月に公表した「中期グループビジョン」に代わる新たな経営指針として、「改革アクションプラン」を策定しました。本プランは次期「中期グループビジョン」に先行するものとして位置付けており、人権尊重を最優先としたうえで、人権・コンプライアンスに対する意識改革、抜本的なガバナンス改革に強い決意で取り組むとともに、グループ成長戦略の推進及び資本収益性の向上により、当社グループの中長期な企業価値の着実な向上を目指してまいります。本プランをベースに、経営環境や業績の状況を見極めながら次期「中期グループビジョン」の検討を進め、改めて公表する方針です。 (1) 人権・コンプライアンスの意識改革当社はグループ全体で人権・コンプライアンス意識を高め企業風土を改革していくことが不可欠と考えており、人権の尊重を最優先としたうえで、人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営を推進してまいります。具体的には、人権デューデリジェンスを継続的に実施していくほか、従業員の「心理的安全性」を高めるため職場環境を整備し、研修やガイドラインの策定と徹底を図ります。また、多様な人材の活躍を促進し、ビジネスマインドをもった人材の育成・獲得を進めることで、持続的な成長を目指してまいります。こうした改革を確実に実現していくため、エンゲージメントスコアや人権・コンプライアンスへの理解度を数値化して経営目標指標に反映し、進捗度合いを定期的にチェックした上で、達成度を役員報酬と連動させる仕組みを導入してまいります。 (2) 抜本的なガバナンス改革当社は、独立性、客観性の高い意思決定体制とプロセスを導入するとともに、より強固なリスク管理体制を構築し、経営監視機能の強化に取り組んでまいります。6月の定時株主総会後の新体制では、取締役の総数を大幅に減らして過半数を独立社外取締役とするのに加え、多様性を確保し多角的な議論を促すため、取締役の女性比率を原則3割以上と定めました。また人権リスクをはじめとする重要リスクをグループ横断で監督する組織として、独立社外取締役と外部有識者で構成するリスクポリシー委員会を設置し、取締役会による執行部への牽制・監督機能を強化することで、リスクに強い経営体制の構築を目指します。また、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会を設置し、今後は同委員会において取締役候補者の選任について審議し、候補者案を取締役会に答申するとともに、サクセッションプラン(後継者育成計画)の策定も行います。取締役報酬は基準を明確化し、意識改革に向けた責任を明確化するためエンゲージメントスコアなどの経営目標とも連動させるほか、ステークホルダーとの利益共有のため株式報酬の比率を高めます。さらに、より実効性・透明性の高い指名・報酬制度を目指して、新たな取締役体制において、指名委員会等設置会社への移行について検討してまいります。加えて、特定の者に長期間権限が滞留しないよう、常勤取締役の定年制及び社外取締役の在任期間制限の規定を導入したほか、本定時株主総会での定款変更により、取締役会議長を独立社外取締役が務められるようにすること、また相談役制度を廃止することを決定しました。併せて取締役経験者等が就任していた顧問制度も廃止しました。 (3) グループ成長戦略の推進当社グループが主力としてきた地上波テレビ事業は事業環境の変化が続いており、㈱フジテレビジョンは、放送などメディア中心の事業構造から、コンテンツの力を基軸に多様な収益を獲得できる事業構造への抜本的な改革を進めていく必要があります。併せて、放送の周辺で収益を獲得してきた㈱フジテレビジョン以外のメディア・コンテンツの各事業についても新たな成長戦略の策定を進め、事業ポートフォリオ全体で進化と変革を推進していく方針です。㈱フジテレビジョンは組織と事業構造を再編し、コンテンツやIPを基軸とした「コンテンツ・カンパニー」への進化を目指します。番組やその周辺のコンテンツ・IPの価値を最大化すると共に、新たな収益機会を生むIPの創出サイクルの実現を目指します。そのために、ドラマや映画・アニメ等の増強、配信関連事業の販路拡大を促進するのに加え、コンテンツのサプライチェーンにおける新領域へ戦略的に投資していきます。また、コンテンツの制作効率の向上のため生成AIの活用やDX強化を図るほか、コンテンツ単位でKPIを用いて投資効率を管理運用する体制を構築する等の施策を進めてまいります。このほか、グループの事業ポートフォリオの改革・成長策としては、非効率・不採算部門への対応を加速し、成長が期待できるビジネス領域に経営資本を集中的に投下していきます。また、都市開発分野では、財務の健全性に配慮しつつ多様なアセットへの投資を行い投資効率の向上を目指すと共に、観光分野では旺盛なインバウンド需要の取り込みにより、成長を加速させてまいります。 (4) 資本収益性の向上中長期的な企業価値の向上にむけ、最適な資本構成を実現するためのキャピタルアロケーションを進めます。政策保有株式は、3年以内に1,000億円超を売却し、2027年度末までに純資産の15%未満としたうえで、さらなる縮減を進めます。営業キャッシュフローと柔軟な有利子負債の活用で創出したキャッシュは、IPやコンテンツ事業など成長を期待する分野への集中投資と新規領域の開拓に重点的に振り向け、業績基盤の拡大を目指します。人的資本投資やDX投資、また都市開発・観光事業の基盤拡大を含めた成長のための投資全体は、5年間で2,500億円規模を想定しています。資本効率の改善は重要な経営課題と認識しており、足元の業績の回復を前提として、2029年度までに1,000億円超の自己株式取得を想定しています。また、特殊要因を除き連結配当性向50%を目途とする安定した高い水準の配当を継続し、株主還元を強化してまいります。以上の取り組みにより業績の向上及び資本収益性の改善を図り、ROE8%以上の達成を目指してまいります。 「改革アクションプラン」につきましては、当社ホームページに掲載しております。[掲載ページ] https://www.fujimediahd.co.jp/ir/pdf/actionplan2025.pdf |
経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の概況)当社および㈱フジテレビジョンは今回の事案に関し、事実関係および㈱フジテレビジョンの事後対応やグループガバナンスの有効性を客観的かつ独立した立場から調査・検証するため、利害関係を有しない弁護士で構成し、日本弁護士連合会が策定した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠する「第三者委員会」を1月23日に設置し、3月31日に第三者委員会から調査報告書を受領いたしました。調査報告書では、㈱フジテレビジョンの元従業員に対する重大な人権侵害が認定され、また、被害申告を受けた際の㈱フジテレビジョンの対応について、被害者の心情に十分に配慮されたものではなく、人権問題への認識が欠如していた点が厳しく指摘されています。当社はこうした指摘を重く受け止め、人権侵害リスクの防止・対応の強化が急務であると強く認識いたしました。3月31日に、当社は「人権・コンプライアンスに関する対応の強化策」を、㈱フジテレビジョンは「ガバナンス体制・人権・コンプライアンスに関する対応の強化策」を公表し、改革を着実に実行に移しております。4月30日には、その進捗状況と再発防止のための抜本的な企業風土改革・ガバナンス改革の具体策を取りまとめ、当社および㈱フジテレビジョンのホームページにて公表し、同時に総務省にも報告を行いました。今後もお示しした改革案を確実に実行し、その進捗状況を随時公表してまいります。 当連結会計年度における業績概要に関しましては、第3四半期までは、㈱フジテレビジョンにおいて地上波広告収入は前年を上回り、好調な視聴実績に支えられた配信広告収入も好調に推移していたことに加えて、2024年6月にグランドオープンを迎えた神戸須磨シーワールドや拡大するインバウンド需要に支えられた観光事業が貢献し、2024年5月9日に公表した業績予想を上回る業績推移となっておりましたが、今回の事案の影響により、㈱フジテレビジョンにおける広告収入が大きく落ち込む見通しとなり、1月30日に業績予想を下方修正いたしました。また、㈱フジテレビジョンの当期及び今後の業績動向を踏まえ、当社及び㈱フジテレビジョンの固定資産の減損損失の計上並びに㈱フジテレビジョンの繰延税金資産の取り崩しを行ったことにより、4月30日に再度業績予想の修正を行いました。この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、メディア・コンテンツ事業は減収、都市開発・観光事業は増収となり、全体では前年同期比2.8%減収の550,761百万円となりました。営業利益は、メディア・コンテンツ事業は減益、都市開発・観光事業は増益となり、全体では前年同期比45.4%減益の18,293百万円となりました。経常利益は、受取配当金の増加や、持分法投資損益の大幅な改善もありましたが、前年同期比35.7%減益の25,180百万円、親会社株主に帰属する当期純損益は、特別損失の増加等で前年同期比57,216百万円減となり、20,134百万円の損失となりました。 報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。 売 上 高セグメント利益又は損失(△)前連結会計年度当連結会計年度増減前連結会計年度当連結会計年度増減 (百万円)(百万円)(%)(百万円)(百万円)(%)メディア・コンテンツ事業433,663404,376△6.815,706△4,085-都市開発・観光事業128,316140,9909.919,53724,49025.4その他事業19,81820,0571.2944876△7.1調整額△15,355△14,661-△2,667△2,989-合 計566,443550,761△2.833,51918,293△45.4 (メディア・コンテンツ事業)当社グループの中核子会社である㈱フジテレビジョンは、第3四半期までは主力の地上波テレビ広告収入が前期を上回り、またコンテンツ・ビジネスでの粗利益率の改善などもあり、増収増益と好調に推移しておりましたが、今回の事案の影響で主力の地上波テレビ広告収入が1月以降に大きく落ち込んだため、通期業績において売上高は減収となり、営業損失を計上しました。売上高のうち放送・メディア収入は、161,269百万円と前年同期比12.1%の減収となり、売上総利益は減益となりました。全国放送を対象とするネットタイムセールスは、単発番組においては「MLBワールドシリーズ中継 ドジャースvsヤンキース」や「パリオリンピック」などで前期を上回ったものの、今回の事案によりレギュラー番組が前期を下回り減収となりました。その結果、ネットタイムセールスの売上高は54,117百万円で前年同期比14.8%の減収となりました。関東地区への放送を対象とするローカルタイムセールスは9,353百万円で前年同期比7.7%の減収となりました。スポットセールスは、今回の事案の影響により、業種別で前年を上回ったものは19業種のうち「エネルギー・機械」、「事務・精密・光学機器」、「自動車・関連品」の3業種に留まりました。その結果、スポットセールスの売上高は60,280百万円で前年同期比18.2%の減収となりました。一方、民放公式テレビポータル「TVer」などを通じた配信広告セールスは、月9ドラマ「海のはじまり」や木曜劇場「わたしの宝物」などの新作ドラマに加え過去作品も多く視聴され、1月以降今回の事案の影響を受けたものの、配信広告収入は8,406百万円で前年同期比6.9%の増収となりました。コンテンツ・ビジネス収入では、FOD課金収入や国内外への配信権販売収入が増加したデジタル事業収入及び海外番販事業収入、キャラクターのロイヤリティ収入が増加したアニメ開発事業収入が好調に推移しました。一方、前期のシルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア-新たなる光-」公演の反動が大きかった催物事業収入は減収となりました。また、映画事業収入も「ミステリと言う勿れ」や「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて」などの過去作品の配信権販売など二次利用が好調だったものの、「室井慎次 敗れざる者」や「室井慎次 生き続ける者」などの劇場収入がヒット作のあった前期規模に及ばず、減収となりました。その結果、コンテンツ・ビジネス収入は52,916百万円で前年同期比3.3%の減収となりましたが、デジタル事業収入、アニメ開発事業収入、海外番販事業収入が牽引し、売上総利益は増益となりました。以上により、㈱フジテレビジョン全体の売上高は、前年同期比10.1%減収の214,186百万円となり、利益面では放送・メディアの減益が大きく、前年同期から19,462百万円減少し、14,029百万円の営業損失となりました。㈱ビーエスフジは、タイム収入、スポット収入ともに減少し放送事業は減収となりました。イベント事業は大型案件もあり増収でしたが、放送事業の減収を補えず全体では減収減益となりました。㈱ニッポン放送は、タイム収入が好調で放送事業の増収を牽引、前期に開催された大型イベントの反動減が大きく売上高は減収となりましたが、イベント事業の原価率改善もあり増益となりました。㈱ポニーキャニオンは、配信が堅調に推移し、新譜発売により音楽パッケージも好調でしたが、アニメのヒット作品数減少により番組販売、映像パッケージ販売が前期の規模に及ばず減収となり、イベントの原価や販管費の増加で営業損失を計上しました。㈱フジパシフィックミュージックは、前期主力となったヒット映画関連楽曲の反動で著作権使用料収入が減収となり売上全体で減収となりました。利益面では販管費の増加も加わり減益となりました。㈱DINOS CORPORATIONは、テレビ通販の売上が好調に推移しましたが、リビング・美容健康・ファッションのカタログ通販が振るわず、全体として減収となりました。利益面では、カタログ発行の効率化等による徹底した費用コントロールに努め、前期に損失を計上した営業損益は黒字化しました。㈱クオラスは、WEB関連の広告取扱い、クリエイティブやイベント関連収入が好調で売上高は増収となりました。利益面では原価率の上昇により減益となりました。以上の結果、メディア・コンテンツ事業全体の売上高は、前年同期比6.8%減収の404,376百万円となり、利益面では前年同期から19,791百万円減少し、4,085百万円のセグメント損失となりました。 中核子会社である㈱フジテレビジョンの経営成績等の推移は以下の通りです。 ㈱フジテレビジョン (単位:百万円、%表示は対前年同期増減率) 2023年3月期2024年3月期2025年3月期売上高237,400△0.4%238,2190.3%214,186△10.1% 放送収入160,381△6.6%147,348△8.1%123,750△16.0% ネットタイム69,253△3.6%63,551△8.2%54,117△14.8% ローカルタイム10,621△4.1%10,135△4.6%9,353△7.7% スポット80,506△9.4%73,662△8.5%60,280△18.2%営業利益又は営業損失(△)7,677△31.9%5,433△29.2%△14,029- (都市開発・観光事業)㈱サンケイビルは、オフィスビル、ホテル、賃貸レジデンスの賃料収入が引き続き好調に推移しましたが、保有・開発物件の売却規模が前期に及ばず減収減益となりました。㈱グランビスタホテル&リゾートは、昨年6月1日にグランドオープンした神戸須磨シーワールドが寄与した他、過去最多の水準となった訪日観光客需要の追い風も受け、インターゲートホテルシリーズをはじめとした運営ホテルの稼働も引き続き好調に推移し、大幅な増収増益となりました。以上の結果、都市開発・観光事業全体の売上高は、前年同期比9.9%増収の140,990百万円となり、セグメント利益は同25.4%増益の24,490百万円となりました。 (その他事業)その他事業全体の売上高は前年同期比1.2%増収の20,057百万円となり、セグメント利益は同7.1%減益の876百万円となりました。 持分法適用会社では、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱、フジテレビ系列局、㈱産業経済新聞社、日本映画放送㈱などが持分法による投資利益に貢献しました。 (財政状態の概況)当期末の総資産は1,440,296百万円となり、前期末比8,536百万円(0.6%)減少しました。流動資産は398,592百万円で、前期末比6,345百万円(1.6%)減少しました。これは主に、棚卸資産が9,311百万円、現金及び預金が8,220百万円それぞれ増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が25,470百万円減少したこと等によります。固定資産は1,041,704百万円で、前期末比2,190百万円(0.2%)減少しました。これは主に、土地が8,088百万円、退職給付に係る資産が4,577百万円それぞれ増加した一方で、建設仮勘定が8,120百万円、ソフトウェアが3,471百万円、機械装置及び運搬具が3,323百万円それぞれ減少したこと等によります。負債は610,273百万円で、前期末比31,068百万円(5.4%)増加しました。流動負債は186,939百万円で、前期末比34,501百万円(22.6%)増加しました。これは主に、「その他」に含まれる未払金が3,873百万円、未払費用が3,453百万円それぞれ減少した一方で、短期借入金が41,527百万円増加したこと等によります。固定負債は423,333百万円で、前期末比3,433百万円(0.8%)減少しました。これは主に、繰延税金負債が8,859百万円増加した一方で、長期借入金が11,985百万円減少したこと等によります。純資産は830,023百万円で、前期末比39,605百万円(4.6%)減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により20,134百万円、剰余金の配当により10,582百万円利益剰余金が減少し、自己株式の取得等により自己株式が14,942百万円増加したこと等によります。 ②キャッシュ・フローの状況当期における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、58,449百万円の収入となり、前期比10,647百万円(22.3%)の収入増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(△)が54,530百万円減少した一方で、売上債権の増減額が26,313百万円の収入増加となり、減損損失が27,543百万円増加、投資有価証券売却損益が10,553百万円減少したこと等によります。投資活動によるキャッシュ・フローは、37,492百万円の支出となり、前期比69,042百万円(64.8%)の支出減少となりました。これは、投資有価証券の売却及び償還による収入が11,168百万円減少した一方で、有形固定資産の取得による支出が36,465百万円、有価証券の取得による支出が28,700百万円、投資有価証券の取得による支出が8,169百万円それぞれ減少したこと等によります。財務活動によるキャッシュ・フローは、2,463百万円の収入となり、前期比22,776百万円(90.2%)の収入減少となりました。これは、短期借入金の純増減額が11,600百万円の収入増加となり、長期借入金の返済による支出が10,568百万円、社債の償還による支出が10,000百万円それぞれ減少した一方で、長期借入れによる収入が31,000百万円、社債の発行による収入が19,911百万円それぞれ減少し、自己株式の取得による支出が5,000百万円増加したこと等によります。上記の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、123,112百万円となり、前期末に比べ24,130百万円(24.4%)の増加となりました。 (参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率(%)57.959.760.659.256.8時価ベースの自己資本比率(%)22.619.519.229.636.8キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)6.35.14.56.86.1インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)33.535.843.827.322.2 (注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 ③生産、受注及び販売の実績(a) 生産実績該当事項はありません。(b) 受注実績該当事項はありません。(c) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)メディア・コンテンツ事業404,376△6.8都市開発・観光事業140,9909.9その他事業20,0571.2調整額△14,661-計550,761△2.8 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)㈱電通77,46613.768,80512.5㈱博報堂DYメディアパートナーズ50,7899.041,1327.5 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。当連結会計年度においては、2024年6月にグランドオープンを迎えた神戸須磨シーワールドや拡大するインバウンド需要に支えられた観光事業が業績に寄与しましたが、㈱フジテレビジョンにおける今回の事案の影響により、2025年1月以降の広告収入が大幅に減少し、営業利益は連結全体で、前年同期比45.4%減益の18,293百万円となりました。計画対比では、メディア・コンテンツ事業は、第3四半期までは㈱フジテレビジョンにおいて地上波広告収入が前年を上回り、好調な視聴実績を背景に配信広告収入も好調に推移しましたが、今回の事案の影響により、第4四半期にその広告収入が大きく落ち込み、営業利益は期初の目標を大きく下回り、営業損失を計上しました。一方、都市開発・観光事業は、㈱グランビスタホテル&リゾートが神戸須磨シーワールドの寄与に加え、過去最多の水準となったインバウンド需要の追い風を受け、運営ホテルの稼働も引き続き好調に推移したことで営業利益は期初の目標を上回りましたが、メディア・コンテンツ事業の営業損失が大きく影響し、連結営業利益は期初の目標を大きく下回る結果となりました。当社は、今回の事案が2026年3月期の業績にも影響を及ぼす見通しであることから、2023年5月に公表した「中期グループビジョン」で掲げた連結営業利益目標(2026年3月期・400億円)を取り下げ、これに代わる新たな経営指針として「改革アクションプラン」を本年5月に策定いたしました。本プランは、次期「中期グループビジョン」に先行するものとして位置づけており、人権尊重を最優先としたうえで、人的資本経営の推進、抜本的なガバナンス改革に加え、事業改革を通じた成長戦略の促進及び資本収益性の向上により、当社グループの中長期的な企業価値の着実な向上を目指してまいります。また、政策保有株式については、2015年12月以降合計28銘柄の上場株式の全株を売却し、5銘柄の上場株式の一部を売却しております(2025年3月末時点)。なお、2025年4月にも約192億円の売却を実施しております。2025年3月末時点の政策保有株式の投下資本(連結純資産及び有利子負債の合計)に対する割合は18.6%、連結純資産に対する割合は26.6%となっております。今後は改革アクションプランで示した通り、2027年度末までに政策保有株式1,000億円超を売却、連結純資産の15%未満とし、さらに縮減することを目指してまいります。 (セグメント区分別の分析)(メディア・コンテンツ事業)メディア・コンテンツ事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。メディア・コンテンツ事業は、今回の事案を受けて2025年1月以降、中核子会社㈱フジテレビジョンの広告収入が大幅に減少し、セグメント全体で減収減益となりました。一方で、㈱フジテレビジョンの配信プラットフォーム「FOD」や配信権販売などのデジタル事業、海外番販事業やアニメ事業等が好調に推移したほか、㈱グレイプではウェブメディアの閲覧数が増加し大幅な増収増益となるなど、これからの成長領域と位置付けている「コンテンツを核にしたビジネス」は一段と成長しております。今後は「改革アクションプラン」に基づき、グループの成長戦略を推進するため、各事業で改革を進めてまいります。㈱フジテレビジョンは、地上波テレビの事業環境の変化に対応して組織と事業構造を再編し、抜本的な改革を進めます。コンテンツ・IPの強化に向けて投資や販路を拡大するほか、コンテンツ単位での収支管理体制を構築して投資効率の向上を図ります。併せて、グループ全体で非効率・不採算部門の見直しを進め、成長領域に経営資源を集中的に投下してまいります。 (都市開発・観光事業)都市開発・観光事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。㈱サンケイビルは賃料収入が引き続き好調に推移しましたが、保有・開発物件の売却規模が前期に及ばず減収減益となりました。㈱グランビスタホテル&リゾートは、2024年6月に開業した神戸須磨シーワールドが盛況だったのに加え、旺盛なインバウンド需要によって各地のホテルも好調に推移し、売上高・営業利益ともに連結子会社化後の過去最高を達成しました。都市開発・観光事業は、一定の財務規律の中で資産の規模を拡大し成長を図ってまいります。今後も需要の変化に応じて物流施設やデータセンターなど開発する資産の幅を拡充するとともに、大規模な開発案件の発掘を進めてまいります。観光事業では、2025年5月に来館者数200万人を達成した神戸須磨シーワールドによる収益拡大に加え、旺盛な国内及びインバウンド需要を取り込み、高い成長を目指します。観光事業は、引き続き高い伸びが期待できる成長産業と位置付け、リスクとのバランスを見極めながら投資を行ってまいります。 (その他事業)その他事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。 ② 資本の財源及び資金の流動性に関する情報(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、グループ各社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、成長分野への投資を推進し、株主還元の充実を図っていくことを財務戦略の基本方針としています。メディア・コンテンツ事業の中核をなす㈱フジテレビジョンは、事業上のリスクにより大幅な収入減が長期間生じた際にも、社会的なインフラとして放送を継続する役割を担っており、それを可能とする強固な財務体質と十分な手元流動性の確保が必要です。一連の事案を受けて、㈱フジテレビジョンの放送収入の減少が続いておりますが、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は連結で123,112百万円と十分な手元流動性を確保しており、日々の資金繰り管理によるモニタリング強化を図っております。都市開発・観光事業では、様々なアセットタイプへの戦略投資のほか、国内旅行やインバウンド需要が旺盛な観光需要をさらに取り込むための成長投資資金の確保が必要になると考えております。自己資本比率、有利子負債残高、ROE等の指標を注視して、一定の財務健全性を確保しながら資本効率を高め、グループ全体の企業価値向上に努めてまいります。(資金需要の内容)当社グループの資金需要は、営業活動に関わる支出として、放映権の取得費用、番組制作のための人件費、外注費、著作権等の使用料、通信販売商品の仕入、新規不動産の取得ならびに開発費、既存ビルの設備改修ほか、販売費及び一般管理費(代理店手数料、宣伝広告費、人件費等)があります。また投資活動に関わる支出として、コンテンツ制作力の増強を図るための放送用設備・機器等の設備投資、メディア戦略強化のための投資資金、グループの資本政策に伴う株式の取得資金等があります。(資金調達)当社グループの事業活動を維持し拡大していくためには資金の安定的な確保が求められますが、そのために内部資金を中心に外部資金も有効に活用しております。直近では2023年12月に20,000百万円の社債を発行し、長期安定資金を調達しました。更に機動的な資金調達を可能にするために50,000百万円の社債発行登録枠を確保、維持することで今後の資金調達に効果的に活用して参ります。都市開発・観光事業では建物及び土地の調達にあたり、一定の財務規律の下、金融機関からの借入を活用しています。また、環境問題への取り組みとして、借入条件がCARBON HALF(2030年度までに2013年度比でScope1・2のCO2総排出量50%削減)中間目標の達成状況と連動したサステナビリティ・リンク・ローンによる借入を実行しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループにおいて、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えている会計上の見積りに係る項目は、以下の通りであります。なお、会計上の見積りに係る項目のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響に重要性があると判断している棚卸資産評価損につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に算出方法や主要な仮定等の詳細を記載しております。(繰延税金資産)当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、課税主体ごとに将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性がないと判断した部分については評価性引当額を計上しております。将来の課税所得の見積りは、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来課税所得見込額とタックスプランニングに基づいておりますが、今後の業績の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、繰延税金資産の取崩等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。(退職給付に係る資産及び負債)当社及び一部の連結子会社では確定給付型の退職金制度を採用しており、退職給付債務算定において原則法を採用しています。退職給付債務算定における数理計算は、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率などの計算基礎に基づいており、割引率は安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。また、年金資産の長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。これらの前提条件の見積りと実績の差異は、数理計算上の差異として計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。(固定資産の減損)固定資産の減損損失計上の検討において、都市開発・観光事業においては原則として個別の物件ごとに、または管理会計上の事業所区分別にグルーピングを行っております。回収可能価額の算定にあたり、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等を見積もっておりますが、今後の業績や事業環境の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、追加の減損損失計上が必要になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。 |
※本記事は「株式会社フジ・メディア・ホールディングス」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)



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