| 会社名 | DMG森精機株式会社 |
| 業種 | 機械 |
| 従業員数 | 連13951名 単1546名 |
| 従業員平均年齢 | 43.1歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 17.1年 |
| 平均年収 | 9030000円 |
| 1株当たりの純資産 | 1216.22円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 43.6円 |
| 決算時期 | 12月 |
| 配当金 | 100円 |
| 配当性向 | 522.3% |
| 株価収益率(PER) | 132.8倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 14.4% |
| 営業活動によるCF | 445億円 |
| 投資活動によるCF | ▲381億円 |
| 財務活動によるCF | ▲56億円 |
| 研究開発費※1 | 59.56億円 |
| 設備投資額※1 | 438.06億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 313.49億円 |
| 株主資本比率※2 | 34.8% |
| 有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
| 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社の経営方針は、工作機械メーカーとして「独創的で、精度良く、頑丈で、故障しない機械、自動化システム、デジタル技術を、最善のサービスとコストでお客様に供給すること」です。コネクテッド・インダストリーズ(IoT、インダストリー4.0)の高まりを背景に、工作機械(マシニングセンタ、ターニングセンタ、複合加工機、5軸加工機、アディティブ・マニュファクチャリング機及びその他の製品)、ソフトウエア(ユーザーインタフェース、テクノロジーサイクル、組込ソフトウエア等)、計測装置、修理復旧サポート、アプリケーション、エンジニアリングを包括したトータルソリューションの提供を行い、全世界のお客様にとってなくてはならない企業を目指しております。 (2) 経営戦略及び経営環境2024年の連結受注高は、2023年比4.6%減の4,960億円となりました。第3四半期(7-9月)、第4四半期(10-12月)の連結受注高がボトムだと考えています。機械の受注台数は、20%減となりましたが、平均単価が71百万円/ 433千ユーロ(2023年度:62百万円/ 407千ユーロ)へ上昇しました。工程集約、自動化、GX(グリーン・トランスフォーメーション)をデジタルで管理・効率化するMX(マシニング・トランスフォーメーション)が値引率の低下も含め単価上昇に寄与しています。スペアパーツ、メンテナンス・リペア・オーバーホール、エンジニアリング事業は7%増となり、連結受注高に占める構成比は25%(2023年度:22%)へ上昇しました。地域別の受注は、アジア・インドが伸長し、米州が横這い、日本、欧州、中国は減少しました。業種別には、航空、宇宙、メディカル、金型、エネルギー関連が好調でした。2024年12月末の機械受注残高は2,180億円(2023年12月:2,470億円)へ減少しました。2025年は連結受注高を7%増の5,300億円と予想しています。機械の受注高は、現在の水準を底にして2025年度後半から回復することを期待しています。宇宙、航空、メディカル、エネルギー産業からの需要は好調に推移する見込みです。半導体製造装置産業からの需要は、2025年度後半から増加に転じることを期待しています。工作機械産業は、需要サイクルによる影響を受けます。従来の3カ年の時間軸での事業計画では、需要サイクルの影響を避けられないことから、2022年12月に公表した「中期経営計画2025」を2030年目標に移行することといたしました。20年以上工作機械を使用するお客様の視点に立ち、2030年までという5年の時間軸の中で2030年目標を設定いたします。当社は、国内外の複数の企業が供給するNC装置を使いこなし、多企業の周辺装置をDMG MORIの工作機械との接続に最適なDMQP(DMG MORI Qualified Products)として推奨しています。そして、これらの要素をデジタル技術により加工工程の最適化を図るMXを推進しています。このMXをお客様に理解していただいた上で、安心して機械・自動化システムを使用していただくための直販・直メンテナンス・リペア・オーバーホール体制は当社の大きな強みになっています。2030年目標では戦略の中核をなすMX推進に向けて社内体質の強化を図り、目指すべき業績・財務構造の達成を実現したいと考えています。MX推進に向けての設備投資は一段落しており、2030年に向けては投資の回収期、収益率の改善期と位置付けています。2030年には、DMG MORIのオーガニック資源(現在の経営戦略・自社経営資源)をベースに、売上収益8,000億円、営業利益1,200億円(営業利益率15%)、当期利益800億円(当期利益率10%)を目指します。売上収益の成長は、MX推進による機械単価の上昇と、スペアパーツ、メンテナンス・リペア・オーバーホール、エンジ二アリング事業の拡大が貢献する予定です。収益率の改善により、フリーキャッシュフローの最大化を図り、そのフリーキャッシュフローにより財務体質の強化と株主還元として増配の継続に努めて参ります。財務体質については、総資産回転率1回転程度、ハイブリッド資本を除く株主資本比率50%以上を目標にします。外部資金を利用する管理指標として、Net Debt/Equity比率(純有利子負債株主資本比率)を0.3程度とし、純有利子負債残高を1,000億円程度とします。この収益及び財務構造をベースにROE(株主資本当期利益率)15%を計画しています。また、当社は業界のリーディング・カンパニーとして、幅広いステークホルダーの期待に応えるべく、持続可能な社会を目指し、サステナビリティへの取り組みを強化しております。環境面においては、2023年より稼働している自家消費型太陽光発電システムが、3月に伊賀事業所で第2期(約5,200kW)、奈良事業所で第1期(約354kW)の発電を開始し、今後の発電ターム開始後には各事業所の年間電力需要量の約30%を賄います。さらに、6月には当社およびグループ会社のドイツDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFTが、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の目標において、国際的な環境団体のSBTイニシアチブから認定を取得しました。これら、当社の温室効果ガス排出削減に向けた取り組みや実績が高く評価され、2025年2月に国際環境非営利団体CDPによる調査「CDP2024」において、気候変動分野で最高評価の「Aリスト企業」に認定されました。人的資本経営の面では、2021年に「DMG森精機健康経営宣言」*を発表し、2025年3月には経済産業省と日本健康会議により、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人 2025」の大規模法人部門「ホワイト 500」に3年連続で認定されました。加えて、健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄 2025」にも2年連続で選定されました。コーポレート・ガバナンスにおいては、引き続き取締役の多様性を強化しております。2025年3月27日開催の株主総会での承認により、取締役会の構成は、取締役12名中、社外取締役が5名(構成比:42%)、女性取締役が3名(同:25%)、外国人取締役が3名(同:25%)となっております。取締役会及び執行役員会において、より多様な意見を反映させ、企業価値向上につながることを期待しております。以上のように、顧客価値創造と社会との共生を実現し、事業規模、収益性、財務基盤において、継続的な企業価値向上に努めてまいります。* 『健康経営』は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。 (3) 目標とする経営指標需要変化の激しい工作機械業界の事業環境や市場動向に迅速に対応し、工作機械業界におけるグローバルワンの地位を維持・継続するためには、利益率の向上、財務体質の強化、資本収益性の向上が最重要課題であると考えております。2030年目標に向け、来期は連結受注高5,300億円、売上収益5,100億円、営業利益380億円(営業利益率:7.5%)、当期利益200億円(当期利益率:3.9%)を、それぞれ計画しております。当社グループでは、顧客価値創造並びに企業価値のさらなる向上のために、たゆまぬ努力を継続してまいります。 (4) 優先的に対処すべき課題①製品開発 当社が推進するMXは、高精度な5軸マシニングセンタや複合加工機により、ワンチャッキングでワークピースの5面もしくは6面を加工し、自由曲面加工、ギヤ加工、研削加工、そして付加加工なども実現します。さらに加工物を高精度に機上で計測することにより、従来複数台の工作機械で製作していたプロセスを1台の機械に工程集約します。機械台数が少なくなることで自動化が容易になり、オペレーターをワークピースの脱着作業という、単純な重労働から解放します。これを実現するためには複合加工機にロボットを取り付けるだけでなく、切りくずの除去作業、工具の監視や交換作業、ワークの精度測定さらに補正の作業、機械の稼働監視などをセンシング、モニタリング機能などのDX(デジタル・トランスフォーメーション)のサポートにより自動化することが必要です。この取り組みにより世界中で稼働していると予想される500万台の従来機を100万台のMXシステムに置き換えることを当社のミッションとしています。 MXを導入することで人手不足の解消、省エネ、省スペース、仕掛品の削減が可能となり、GXを実現します。高精度の5軸加工機、複合加工機による部品の複合化や部品精度の向上も達成されます。高精度、高品質、高機能の工作機械、自動化などの周辺機器、工具・クーラントなどの消耗品、システム構築、立上も含めたエンジニアリング、そしてサービスをワンストップでライフサイクルに渡って提供します。 MXを実現するにはDXが最も重要となり、非常に開発工数のかかる課題です。当社では日独のソフトウェアエンジニアが数年間注力し、ERGOline X with CELOS Xを開発しました。ERGOlineは工作機械のヒューマンマシンインタフェース(HMI)のハードウェアで、搭載されるソフトウェアCELOSと合わせDMG MORIの顔として、日独共通の操作システムをお客様に提供しています。工作機械のHMIは非常に重要な役割を果たしています。DMG MORIでは複数メーカーの制御装置を機械特性やお客様の要望に合わせて使い分けています。CELOS Xにより各メーカーの制御装置の特徴を生かしながら、共通のソフトウェアとしてHMIだけではなく、自動化システムソフトウェア、シミュレーション、独自のテクノロジーサイクルをはじめとするプログラム作成支援、加工状況や工具のモニタリング、機上計測、そしてAIを積極的に応用して工作機械や周辺装置に組み込みMXの高度化を推進しています。 CELOS Xの大きな特徴としてオンラインアップデートがあります。工作機械は約20年の長期間に渡りお客様の工場で使用されます。お客様が製品を導入した時点では最新であっても使用を続けるうちにソフトウェアモデルは更新され最新機との性能差が出ていました。今後はオンラインアップデートにより常に最新のソフトウェアに進化するメリットを得ることができます。これらのソフトウェアは概ね年に2回程度の頻度で更新されます。例えば新しいテクノロジーサイクルにより、これまで専用機でしか実現できなかった加工がDMG MORIの5軸加工機や複合加工機で実現できるようになり、それを既存の納入機にオンラインで導入しお試し加工ができるようになるのです。DMG MORIはソフトウェアの開発を最優先で進めています。 また2024年はMXを実現するための加工機として19機種をリリースし、自動化、ソフトウェア、機械コンポーネンツ、省エネ機能など33機能をリリースしています。2025年にはこれを上回る、25機種、38機能を開発する所存です。グローバル生産・販売を大規模で実現することで、日本とドイツを中心に強力な開発組織を維持・発展を可能にしています。②品質 当社が提唱するMXは多軸の加工機に自動化周辺機器とそれを支えるためのDXの仕組みが含まれており、従来の単体機よりも複雑で高度な技術が含まれています。無人・省人での長時間連続運転を行うため機械が停止した時の損失が大きくなることから、機械の安定稼働と連続運転を行いながら精度を維持すること、すなわち高い品質が非常に重要です。品質本部ではMX製品の品質を担保するため、これまで以上に高いレベルの取り組みを実施中です。 当社の品質の取り組みとして最も重要で広く使用されているものが1996年に開始した製品プロブレムレポート(以降PPRと呼びます)です。お客様で発生した製品品質に関するプロブレムを従来は担当部署間が電話等で対応していましたが、それをすべてワークフロー化し、さらに2000年にはデジタル化し、問題発生から対策、設計変更、製造方法変更などによる品質改善、効果の確認、横展開までを見える化し改善を実施してきました。このデータを20年以上も継続して活用してきたことで、品質部門・開発部門では製品の品質モニタとして利用し製品の改善改良を図っており、修理復旧部門では類似の不具合から原因を特定するための重要参考資料として利用しています。 2024年は製造と品質保証が協力して納入直後のPPRの撲滅に取り組み、目に見える効果が出始めました。同様に開発でも納入直後の不具合削減に取り組んでおり、これも成果が出始めています。また製品検査のデジタル化を予定通り完了しました。当社では製造工程のデジタル化にはアプリ作成のプラットフォームとしてTULIPを用いており、TULIPで作成したデジタルチェックシートを100%用いることで手書き工程や人間による目視の合否判断を撲滅し、デジタル測定器で取得したデータを自動取り込みすることでヒューマンエラーを撲滅する所存です。TQM手法を用いて改善活動を続けたことが認知され2024年のデミング賞受賞にも貢献しました。当社では顧客要求に合わせて最適なシステムを提供するため、かなりの割合で要求仕様に合わせた特別設計が含まれます。すなわち多くのカスタマイズされた製品が日常的に生産されており、カスタマイズに合わせた検証と評価が実施されています。このようなケースでTQM活動を実践しデミング賞を受賞した例はあまりないと評価いただきました。 品質向上の取り組みは日本工場がリードしながら、日本だけでなく欧州、米国、中国の各工場にも展開をしており、出荷前の検査、ソフトウェアの品質強化、カスタマイズ品の検証など重要な共通テーマに取り組んで高い顧客満足を得るためのチャレンジを続けています。 DMGMORIでは高度なMXを最高の品質でお客様に提供し、効率よい生産を実現することでGXに貢献いたします。③安全保障貿易管理 2024年も前年同様、世界各地で紛争が続くなど情勢は混とんとしており、こうした環境に対応するために、各国が軍事防衛力を強化する方向に向かっております。 そのため、以前にも増して軍事関連事業を行う企業や軍事目的と思われる引合いも増えてきており、軍事転用可能な高性能工作機械を製造・販売している当社グループとしても、今まで以上に身を引き締めて厳格な輸出管理を行うべく、日々努めております。 具体的には、2006年10月から日本製造機に搭載を始めた移設検知装置(不正な輸出を防止する目的で、据付場所からの移設を検知すると稼働できないようにする装置)搭載の工作機械を欧州製造機にまで広げ、2023年12月までに全世界で製造する工作機械に対してこの装置を搭載し、厳格な管理をする体制を整えることができました。これにより、以前より増して、事前連絡のない転売等による不正使用や軍事用途への使用を未然に防ぐことができるようになりました。 また、2023年はドイツDMG MORI AG社の輸出管理審査運用を日本側で行うように変え、グループとして統一の基準・判断・管理を行うように改善しましたが、今年2024年については海外生産拠点及び海外販社への訪問監査を行い、実務上の問題点の改善指導をするなど、厳格な輸出管理体制の維持のために動いてきました。同時に2024年から当社グループとなったDMG MORI Precision Boring株式会社(旧 倉敷機械株式会社)をはじめ、日本国内のグループ会社にも研修を行うなど、グループ全体の輸出管理意識の向上のための活動も行いました。 現在の混とんとした世界情勢のなか、世界各国でグローバルに製造・販売をする当社グループは、今まで以上に、各国の法令順守、販売先管理、技術管理が必要となりますが、たゆまぬ努力を続け、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆様に安心していただけるよう、引き続き厳格な輸出管理体制の維持・強化を、重点課題として取り組んでまいります。④法令遵守 経営者自ら全従業員に対し法令及び企業倫理に基づいた企業活動の徹底を指示し、役員・従業員のコンプライアンス意識の向上と浸透を図っております。当社グループでは、グローバルな事業展開に対応したコンプライアンス体制を構築するために、日本を含む各国においてコンプライアンス担当者を選任し、これらを連携させることにより、各国の制度に適応しながら統制の取れた体制の確立に取り組んでおります。また、コンプライアンスに関する問題の予防、早期発見・対策のため、2020年より多言語対応の通報窓口を設置し、海外グループ企業も含めたグローバルでのコンプライアンス体制を強化、さらに2024年からは全・国内子会社に対して外部のハラスメント相談窓口の利用を可能といたしました。以上のほか、内部監査部を主管部署とした定期的な法令遵守活動のモニタリングも継続しております。 勤務間インターバル制度については、当社では2018年より導入し、2020年度からは在社時間の制限を原則10時間、勤務間インターバルを12時間として従業員の健康維持、ワークライフバランスの適正化に取り組んでおります。 |
経営者による財政状態の説明
| 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次の通りであります。①経営成績の状況当連結会計年度(当期)における業績は、売上収益は5,409億円(3,298百万EUR)(前期比0.3%増)、営業利益は437億円(267百万EUR)(前期比21.0%減)、税引前当期利益は371億円(226百万EUR)(前期比24.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は77億円(47百万EUR)(前期比77.3%減)となりました。(ユーロ建表示は2024年1月から12月の期中平均レート164.0円で換算しております。)当連結会計年度の連結受注額は4,960億円となり、前年度比4.6%減となりました。工程集約機、自動化をはじめとするお客様への価値提案力が向上し、機械1台当たりの受注単価が、2023年度平均の61.9百万円(40.7万ユーロ)から71.0百万円(43.3万ユーロ)へと、円安の影響を除くユーロ換算ベースでも伸長しています。また、連結受注の25%(前年度22%)を占めるスペアパーツ、メンテナンス・リペアの受注額が前年度比7.4%増と、受注の安定に寄与いたしました。3カ月(四半期)ベースの受注額は、年間を通じて前年同期比でマイナスとなりましたが、当10-12月の連結受注額は1,145億円と、当7-9月期の1,148億円から前四半期比で横ばいとなり、受注の底打ち感がみえてきました。地域別受注額は、前年度比、中国を除くアジア(構成比:6%)が8%増、米州(同:22%)は同水準となりました。欧州(同:55%)は4%減、日本(同:11%)は8%減とやや弱含んでいます。中国(同:6%)は、前年度から輸出管理をより強化した影響もあり、24%減となりました。産業別の需要は、民間航空機、宇宙、メディカル、金型、発電関連向け受注は堅調に推移しています。機械本体の受注残高は、2024年12月末時点で2,180億円と、2023年12月末の2,470億円から約300億円減少しています。2025年度(1-12月)の売上収益計画5,100億円達成のために、この受注残を確実に売上収益の計上につなげることに加え、期中受注・期中売上の積み増しを図ってまいります。中期経営計画でも掲げているとおり、当社は工程集約・自動化・DX・GXにより、お客様へより付加価値の高い製品、システム、サービスを提供すること、これにより環境負荷を低減させ循環型社会にも貢献するといった、MX(マシニング・トランスフォーメーション)戦略による持続的な成長を目指しております。MX推進によるお客様の生産性向上とサステナブルな社会の実現を目指して邁進してまいります。当社は、連結子会社である株式会社太陽工機(証券コード:6164、東京証券取引所スタンダード市場上場、以下「同社」)を100%グループ会社とすることを目的として2024年11月から12月にかけて同社普通株式の公開買付けを行った結果、当社の所有割合が92.84%となりました。2025年1月7日には、同社の非支配株主の全員に対する株式売渡請求を決議し、2025年第1四半期中に同社の発行済株式の全部を取得いたしました。100%グループ化により当社のノウハウやグローバルでの経営資源・ネットワークを迅速かつ柔軟に共有可能となります。また、当社が2024年1月に連結グループ化したDMG MORI Precision Boring株式会社は、同社と同様に新潟・長岡エリアに本社工場を構えており、同エリアでのシナジーを高めることができます。今後も、DMG MORIグループ全体における持続的な成長と企業価値向上のため邁進してまいります。また、当社は2026年に欧州統括会社DMG MORI Europe Holding GmbHの本社をドイツ・ミュンヘンに新設することとし、2024年9月に起工式を執り行いました。ミュンヘンは欧州の中心に位置し、当社欧州最大の開発・生産拠点であるドイツ・フロンテン工場をはじめ世界各地へのアクセスも良いことから、国際的な交流の場となります。さらに、グループ最大の生産拠点である三重県伊賀事業所が2024年度のデミング賞*1を受賞いたしました。当社は2017年からTQM*2を導入後「顧客志向」の重要性を再認識し、MX実現に向けTQMを推進してまいりました。今後もグローバルでTQM推進と品質向上を徹底し、継続的な成長を実現してまいります。技術面では、当社ベストセラー機NLX2500シリーズに最新技術を結集させた「NLX 2500 | 700 2nd Generation」の販売を開始しました。従来ではマシニングセンタとターニングセンタの2台で行う加工を当機1台で可能にし、オプションを用いることで多品種加工や専用機加工の工程集約も可能となるほか、自動化システムの併用による夜間無人運転も可能となります。また、最大32パレット、500 kgの搬送重量に対応するモジュール式パレットハンドリングシステム「PH Cell 500」の発売を開始いたしました。当機は加工エリアへの高い接近性と作業性を実現しており、お客様ごとに設計可能なモジュラー設計により1つのシステムでサイズが異なるパレットを使用可能です。さらに、5軸加工機や複合加工機を歯車加工機にするソリューション「Gear Production+(ギヤプロダクションプラス)」の第一弾として、歯車研削ユニットを開発いたしました。5軸加工機に歯車研削ユニットを搭載することで、ミーリング、旋削、歯車荒切りから歯車研削までを1台に工程集約しサイクルタイムを短縮します。そして、複合加工機にレーザ金属積層造形技術を融合したレーザ金属積層造形機 LASERTEC DED hybridシリーズに、最大加工長さが 3,018 mmの「LASERTEC 3000 | 3000 DED hybrid 2nd Generation」がラインアップに加わりました。今後も当社はハード・ソフトの両面からお客様の生産性向上とMX実現に貢献いたします。販売面では、2024年11月に東京ビッグサイトで開催された「JIMTOF2024」に出展し、当社グループ会社及びDMQPパートナー企業の最新技術やMX実現に向けたトータルソリューションをご紹介いたしました。同時に、当社の東京グローバルヘッドクォータでのオープンハウス「東京テクノロジーウィーク」も開催し、お客様に最新機種を含む12台の機械と自動化システムをご覧いただきました。人材育成の面では、全国のお客様や地域の学生に対し、当社実機を用いた加工に関するトレーニングを提供する場として2024年5月にDMG MORI ACADEMY岡山を開所いたしました。本研修施設の新設は浜松、金沢、仙台に続く4拠点目となり、2025年以降には九州地方での開所も予定しております。サステナビリティの面では、2024年2月に当社の温室効果ガス排出削減に向けた取り組みや水リスクの管理体制が高く評価され、国際環境非営利団体CDPによる調査「CDP2023」において、気候変動部門および水セキュリティ部門でリーダーシップレベル「A-」の評価を獲得いたしました。また、2023年より稼働している自家消費型太陽光発電システムについては、3月に伊賀事業所で第2期(約5,200kW)、奈良事業所で第1期(約354kW)の発電を開始し、今後の発電ターム開始後には各事業所の年間電力需要量の約30%を賄います。さらに、6月には当社およびグループ会社のドイツDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFTが、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の目標において、国際的な環境団体のSBTイニシアチブから認定を取得しました。今後も再生可能エネルギーの活用を拡大し、循環型社会に貢献してまいります。人的資本経営の面では、2021年に「DMG森精機 健康経営宣言」*3を発表いたしました。2024年3月に経済産業省と日本健康会議により、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人 2024」の大規模法人部門「ホワイト 500」に2年連続で認定されました。加えて、健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄 2024」に初めて選定されました。今後も全社的な健康増進施策を推進し、従業員が健康に個々の能力を発揮できるよう取り組んでまいります。 *1 戦後の日本に統計的品質管理を普及させ、日本製品の品質を世界最高水準に押し上げた故ウイリアム エドワーズ デミング博士の業績を記念して1951年に創設されたTQMに関する世界最高ランクの賞。(日本科学技術連盟ホームページより)*2 経営管理手法の一種。Total Quality Management の頭文字をとったもので、日本語では「総合的品質管理」と言われる。企業活動における「品質」全般に対し、その維持・向上をはかっていくための考え方、取り組み、手法、しくみ、方法論などの集合体と言える。そして、それらの取り組みが、企業活動を経営目標の達成に向けて方向づける形になる。(日本科学技術連盟ホームページより)*3 『健康経営』は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。 前連結会計年度当連結会計年度売上収益(億円)5,3955,409営業利益(億円)554437親会社の所有者に帰属する当期利益(億円)33977基本的1株当たり当期利益(円)256.6643.60(注)当連結会計年度より、ロシアの事業拠点であるUlyanovsk Machine Tools oooに係る事業を非継続事業に分類しております。これにより、売上収益及び営業利益は非継続事業を除外した継続事業の金額のみを表示し、親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業の損益を含んだ金額を表示しております。なお、前連結会計年度についても同様に組み替えて表示しております。 セグメントの動向及び業績は以下のとおりであります。なお、以下の売上収益には、セグメント間の取引については相殺消去しております。マシンツールセグメントでは民間航空機、宇宙、メディカル、金型、発電関連向けの業績が好調に推移いたしました。その結果、売上収益は363,158百万円(前期比1.5%増)となり、セグメント損益は18,759百万円(前期比54.6%減)のセグメント利益となりました。インダストリアル・サービスセグメントでは、補修部品販売、修理復旧の業績が堅調に推移いたしました。その結果、売上収益は177,742百万円(前期比2.1%減)となり、セグメント損益は42,846百万円(前期比12.8%増)のセグメント利益となりました。 ②財政状態の状況(ⅰ)資産流動資産は317,711百万円(前期比6,061百万円の減少)となりました。これは、主として営業債権及びその他の債権が3,800百万円増加した一方で、棚卸資産が10,833百万円減少したことによります。非流動資産は479,855百万円(前期比37,822百万円の増加)となりました。これは、主として有形固定資産が23,478百万円、その他の無形資産が9,676百万円、それぞれ増加した一方で、その他の金融資産が6,949百万円減少したことによります。この結果、資産合計は797,567百万円(前期比31,760百万円の増加)となりました。(ⅱ)負債流動負債は399,420百万円(前期比22,786百万円の増加)となりました。これは、主として社債及び借入金が43,504百万円増加した一方で、引当金が10,188百万円、契約負債が8,853百万円、営業債務及びその他の債務が7,794百万円、それぞれ減少したことによります。非流動負債は81,667百万円(前期比34,960百万円の減少)となりました。これは、主としてその他の金融負債が12,205百万円増加した一方で、社債及び借入金が50,715百万円減少したことによります。この結果、負債合計は481,087百万円(前期比12,173百万円の減少)となりました。(ⅲ)資本資本合計は316,480百万円(前期比43,934百万円の増加)となりました。これは、主として資本金が20,114百万円、資本剰余金が18,287百万円、その他の資本の構成要素が14,524百万円、それぞれ増加したことによります。 ③キャッシュ・フローの状況 前連結会計年度当連結会計年度営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)51,60844,579投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△36,730△38,195財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△16,371△5,664現金及び現金同等物の増減額(△は減少)(百万円)2,2192,534現金及び現金同等物の期末残高(百万円)39,21241,747当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ2,534百万円増加し、当連結会計年度末は41,747百万円となりました。(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、44,579百万円の収入(前期は51,608百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益37,138百万円、減価償却費及び償却費31,494百万円、棚卸資産の減少23,927百万円であり、主な減少要因は、契約負債の減少14,159百万円、引当金の減少13,963百万円、法人所得税の支払額12,534百万円であります。(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、38,195百万円の支出(前期は36,730百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入5,713百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出27,168百万円、無形資産の取得による支出16,637百万円であります。(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、5,664百万円の支出(前期は16,371百万円の支出)となりました。主な増加要因は、短期借入金の増加20,243百万円、長期借入れによる収入10,000百万円であり、主な減少要因は、配当金の支払額13,346百万円、リース負債の返済による支出6,525百万円であります。 ④生産、受注及び販売の状況(ⅰ)生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) 前年同期比(%)マシンツール(百万円)370,619△19.1インダストリアル・サービス(百万円)27,362△5.5合計(百万円)397,981△18.3(注)1.上記金額は販売価格によっております。2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。(ⅱ)受注実績当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。 受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)受注実績495,948△4.6218,007△11.8(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。(ⅲ)販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) 前年同期比(%)マシンツール(百万円)363,1581.5インダストリアル・サービス(百万円)177,742△2.1全社(百万円)4316.2合計(百万円)540,9450.3(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①重要性がある会計方針及び見積りIFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 11.のれん及びその他の無形資産」に記載のとおりであります。②経営成績の分析経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。なお、2024年度の目標とした経営指標に対しては、全社受注4,960億円(目標5,000億円)で未達、売上収益5,409億円(目標5,500億円)で未達、営業利益437億円(目標440億円)で未達となりました。③資本の財源及び資金の流動性当社は、主に工作機械の製造及び販売事業を行うため、事業活動における資金需要に基づき、必要な資金の一部を新株発行、社債発行、銀行からの借入金及び売掛債権流動化により調達しております。なお、効率的な資金調達を行うため、主要取引金融機関と総額97,000百万円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。当期末における当該借入残高は、21,800百万円であります。当期末における当社グループの有利子負債の残高は、106,450百万円(前期末比7,211百万円の減少)となっております。 |
※本記事は「DMG森精機株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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