| 会社名 | デクセリアルズ株式会社 |
| 業種 | 化学 |
| 従業員数 | 連1888名 単1369名 |
| 従業員平均年齢 | 43.9歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 16年 |
| 平均年収 | 7658918円 |
| 1株当たりの純資産 | 554.93円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 162.04円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 110円 |
| 配当性向 | 28.57% |
| 株価収益率(PER) | 18.14倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 30.53% |
| 営業活動によるCF | 404億円 |
| 投資活動によるCF | ▲223億円 |
| 財務活動によるCF | ▲212億円 |
| 研究開発費※1 | 21.7億円 |
| 設備投資額※1 | 26.89億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 614.32億円 |
| 株主資本比率※2 | 61.4% |
| 有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
| 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」 当社は、経営理念として「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」を掲げ、卓越した独自の技術を組み合わせて新しい機能性材料及び技術ソリューションを開発・提供することでお客さまのニーズや課題に応え、その期待を超える価値を創造し、社会課題を解決することを目指しており、その結果、当社の持続的な事業成長や業績向上が実現し、企業価値の向上につながると考えています。 企業ビジョン「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」 当社は、顧客のニーズや課題に応え、卓越した独自の技術を組み合わせて新しい機能性材料を開発・提供することで顧客の期待を超える価値を創造することを常に目指しており、その結果として当社の事業成長や業績向上が実現し、企業価値の向上につながると考えています。 この企業ビジョンのもと、「高付加価値製品および技術ソリューションの提供による社会課題の解決を通じて持続的に成長する企業」を目指しています。 パーパス「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」 当社は、社会の効率化を実現するデジタル・テクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・デバイス・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することが自社の存在意義であると定義しています。 (2)経営戦略当社は、中期経営計画2023「進化への挑戦」において、様々な施策への取り組みを通じてキャッシュ・フローの安定的な創出が可能となり、最終年度となる2024年3月期においては、4期連続となる過去最高の営業利益を更新し、持続的成長の礎を築くことができたと考えていますが、一方で、同計画で取り組んでいた事業ポートフォリオ拡大はまだ途上であり、地政学リスクの高まり等、ますます複雑化する事業環境において、変化を先取りする速度で進化を続ける必要があると認識しています。 こうした状況を踏まえ、2025年3月期から2029年3月期の5ヵ年を、会社としての進化を実現するステージと位置づけ、中期経営計画2028「進化の実現」(以下、「本計画」)を策定いたしました。事業ポートフォリオ拡大をさらに推し進め、変化に強い経営基盤の構築に向けて、3つの基本方針に沿った施策に取り組んでまいります。 そのうえで、持続的成長と株主還元の両立を通じて企業価値の最大化に取り組みます。具体的には、本計画期間のキャピタル・アロケーションにおいて、持続的成長のための成長投資と高水準の株主還元の両立を実現し、その計画の下で、投資の性質に応じた資本コスト管理を通じて最適資本構成を実現します。また、株主還元方針においては、安定的な配当と資本効率を念頭に、DOE(株主資本配当率)を導入しております。 さらに、当社ではROEを持続的な企業価値向上に関わる指標として位置づけており、事業成長と資本効率化を通じて、高水準のROEの維持に努めてまいります。あわせて、事業ポートフォリオの拡大による持続的な成長と、為替感応度低減など業績のボラティリティを下げることの両面で株主資本コストの低減を図り、中長期にわたりポジ ティブなエクイティスプレッドの維持・拡大を目指します。 1.3つの基本方針 事業ポートフォリオの拡大と環境変化に強い経営基盤づくりに向けて、以下の3つの基本方針に基づき、施策を展開します。①成長領域での事業拡大今後成長が見込まれる「自動車」「フォトニクス」の領域において、これまで培った強みを活かして新たな価値創造に挑戦し、成長領域事業の売上高構成を2023年度の約20%から2028年度には30%まで引き上げます。②既存領域における事業の質的強化収益ドライバーの幹をさらに太くするために、高付加価値製品の拡大を通じて既存事業の深掘と質的強化を図ります。③経営基盤の進化今後も変化が激しく、先行きが見通しづらい事業環境が続く前提のもと、変化に左右されない持続的成長を支 える、強固な経営基盤を持つ会社に進化する取り組みを進めます。 2.経営目標 前中期経営計画リフレッシュ(アップデート)では、2024年3月期の経営目標として、売上高852億円、営業利益168億円、EBITDA239億円、ROIC15.0%程度、ROE15.0%程度と設定しておりましたが、2022年3月期に2年前倒しで達成しました。最終年度となる2024年3月期においても、売上高1,051億円、営業利益334億円、EBITDA400億円、ROIC22.3%、ROE27.1%となり、4年連続で最高益を更新しました。2025年3月期を初年度とする中期経営計画では、2029年3月期の経営目標として、売上高1,500億円、事業利益500億円、EBITDAマージン43.0%程度、EPS626円、ROIC14.0%程度、ROE25.0%程度を設定しております。 (注意事項) 中期経営計画に関する上記記述中の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、将来に関する記述の正確性・完全性に関する責任を負うものではありません。実際の業績等は様々な要因により異なる可能性があり、当社として将来計画の達成を約束する趣旨のものではありません。なお、実際の結果等にかかわらず、当社は本資料の日付以降において、本資料に記載された内容を随時更新する義務を負うものではなく、かかる方針も有していません。 これらの記述は投資家の皆様の判断のための参考情報の公開のみを目的としており、投資に関する最終決定はご自身の責任においてご判断ください。これらの記述に全面的に依拠して投資判断を下すことによって生じうるいかなる損失に関しても、当社は責任を負うものではありません。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、持続的な企業価値向上に関わる指標としてROE(株主資本利益率)を位置づけており、EBITDAを当社の稼ぐ力、ROICを投資効率性を測る指標としてそれぞれを用いています。 (4)経営環境 当期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における世界経済は、半導体供給不足を主な要因とするサプライチェーン問題の解消などにより回復の兆候が見られた一方で、ロシア・ウクライナ情勢に加え中東紛争などによる地政学リスクの更なる高まりや、世界的な金融引き締めの継続などにより、依然不透明な状況が続いています。 当社の製品が関わるコンシューマーIT製品市場において、スマートフォンでは欧米で出荷台数の停滞が続いていますが、中国では回復基調となりました。ノートPC・タブレットでは前期から続く在庫調整が完了したものの、最終需要の戻りは弱く厳しい状況が続きました。 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題 当社は、中期経営計画2028「進化の実現」において、基本方針のもと各種施策に取り組み持続的な成長を目指してまいります。現中期経営計画の初年度となる、2025年3月期については、特に以下の課題あるいは施策に重点的に取り組んでいきます。 1.成長領域での事業拡大 コンシューマーIT製品向けの事業で培った技術とビジネスモデルを活かし、成長が見込まれる自動車及びフォトニクス領域においても、デジタル・テクノロジーの進化を支え、価値創出を推し進めます。自動車領域では、先進運転支援システム(ADAS)の進化に伴う車載ディスプレイの枚数の増加や面積の拡大が続いており、当社は、新ラインを稼働させて生産能力を増強し、今後も拡大が見込まれる需要を着実に取り込んでいきます。フォトニクス領域では、生成AIの浸透によるデータセンターの増加に伴い関連デバイスの需要が拡大しており、当社は、2024年4月にフォトニクス領域での事業をリードするデクセリアルズフォトニクスソリューションズ株式会社を発足させ、増産投資を実行して足元の需要拡大に対応するとともに、次世代の高速通信を見据えた光トランシーバー向け高速PD(フォトダイオード)の開発を加速してまいります。 2. 既存領域における事業の質的強化 当社の強みである、技術トレンドを先回りした開発により生み出す高付加価値製品の拡大を通じて、既存事業の収益を最大化します。スマートフォンのフレキシブルOLEDディスプレイで既にデファクトスタンダードとなった粒子整列型異方性導電膜(ACF)は、今後も需要拡大が見込まれ、2025年3月期より増産投資を実行し、中長期にわたる事業成長を目指します。また、リチウムイオン電池を搭載するアプリケーションに二次保護回路を搭載する流れが世界的に強まっており、当社は、付加価値の高い大電流製品向け表面実装型ヒューズにおいて、電動工具向けや電動バイク向けに、顧客基盤のグローバルな拡大を通じた事業成長を図ってまいります。 3.経営基盤の進化今後も変化の激しい事業環境が続く前提で、持続的に成長できる組織基盤づくりを進めてまいります。(a)営業機能強化策としては、当社のビジネスモデルを更に強化するため、海外におけるデザイン・イン、スペック・インの強化に取り組みます。また、戦略的パートナーシップを通じてディストリビューション機能の強化とともに、為替変動への対応力の向上、及び運転資本圧縮に取り組みます。(b)当社にとって最も重要な経営課題(マテリアリティ)である、人と技術の強化を通じ、技術で差異化を図ることができる会社への進化に継続的に取り組みます。フォトニクス領域を中心に研究開発活動を加速させるとともに、ジョブ型人事制度のグループ展開による技術人財とグローバル人財の獲得力及びリテンション力向上を図ります。(c)製造機能強化策としては、今後日本において生産年齢人口が減少するという前提のもと、新たに投資を決めた鹿沼第2工場において、DX化を通じたスマートファクトリーの構築を進め、人的資本の価値を最大化する戦略を推進いたします。さらに、各拠点におけるBCP機能の強化を図ってまいります。 |
経営者による財政状態の説明
| 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における世界経済は、半導体供給不足を主な要因とするサプライチェーン問題の解消などにより回復の兆候が見られた一方で、ロシア・ウクライナ情勢に加え中東紛争などによる地政学リスクの更なる高まりや、世界的な金融引き締めの継続などにより、依然不透明な状況が続いています。 当社の製品が関わるコンシューマーIT製品市場において、スマートフォンでは欧米で出荷台数の停滞が続いていますが、中国では回復基調となりました。ノートPC・タブレットでは前連結会計年度から続く在庫調整が完了したものの、最終需要の戻りは弱く厳しい状況が続きました。 このような経営環境のなか、中期経営計画に基づき事業環境の変化の影響を受けにくい事業ポートフォリオへの転換に取り組みました。新規領域においては、自動車向け製品の販売を拡大するなど、コンシューマーIT製品以外の事業拡大を進め、フォトニクス領域では次世代高速通信を実現する光トランシーバ向けの新規顧客を開拓し、製品の出荷を開始しました。また、既存領域においても、テクノロジーの進化を先回りした製品の開発・提案に取り組み、精密接合用樹脂や粒子整列型異方性導電膜(ACF)などの高付加価値製品の販売が拡大しました。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は105,198百万円(前連結会計年度比0.9%減)となり、営業利益は33,421百万円(前連結会計年度比3.5%増)となりました。 経常利益は、為替差損の増加などにより、30,028百万円(前連結会計年度比0.5%減)となりました。 税金等調整前当期純利益は、特別損失の固定資産除却損の減少などにより、29,935百万円(前連結会計年度比1.0%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、21,382百万円(前連結会計年度比3.4%増)となりました。 各セグメントの業績、ならびに製品カテゴリー別の売上状況は以下のとおりであります。 (光学材料部品事業) (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減率売上高55,38451,453△7.1%営業利益17,96916,040△10.7% (注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。 ・ 売上高は51,453百万円(前連結会計年度比7.1%減)、営業利益は16,040百万円(前連結会計年度比10.7%減)となりました。 ・ 光学フィルムでは、反射防止フィルムにおいて車載ディスプレイ向け製品が増加したものの、ノートPC用ディスプレイ向け製品が減少したことに加え、蛍光体フィルムの減少により、減収減益となりました。 ・ 光学樹脂材料では、精密接合用樹脂における大手スマートフォン向け製品の数量増加などにより増収増益となりました。 (電子材料部品事業) (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減率売上高51,49554,3875.6%営業利益16,10619,16719.0% (注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。 ・ 売上高は54,387百万円(前連結会計年度比5.6%増)、営業利益は19,167百万円(前連結会計年度比19.0%増)となりました。 ・ 接合関連材料では、ノートPC向け汎用品等の数量が前期並みとなり、収益も前期並みとなりました。 ・ 異方性導電膜では、主にスマートフォンのハイエンドモデルにおいてディスプレイ向け粒子整列型ACFが堅調に推移したほか、カメラ等の各種センサーモジュール向けの形状加工ACFの販売拡大により、増収増益となりました。 ・ 表面実装型ヒューズでは、電動工具向けにて顧客の在庫調整に伴う数量減により減収減益となりました。 ・ マイクロデバイスでは、プロジェクター需要の回復が弱く数量減により減収減益となりました。 ・ 光半導体では、中国における工場投資および移動体通信事業者の投資の減速により減収減益となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,123百万円増加し、当連結会計年度末には37,410百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は27,457百万円(前連結会計年度比6,118百万円増)となりました。これは主に法人税等の支払額8,826百万円により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益29,935百万円、減価償却費4,510百万円により資金が増加したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は10,866百万円(前連結会計年度比1,419百万円増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出10,086百万円により資金が減少したことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は10,343百万円(前連結会計年度比2,192百万円減)となりました。これは主に長期借入れによる収入7,000百万円により資金が増加した一方で、長期借入金の返済による支出6,976百万円、自己株式の取得による支出6,000百万円及び配当金の支払額4,254百万円により資金が減少したことによるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)前年同期比(%)金額(百万円)光学材料部品49,99286.2電子材料部品55,662110.4合計105,65497.4(注)金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 b.受注実績当社グループは主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)前年同期比(%)金額(百万円)光学材料部品50,97592.7電子材料部品54,222105.9合計105,19899.1(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)日東電工株式会社12,24511.510,1479.6 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1)財政状態(資産の部) 当連結会計年度末の資産合計は138,016百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,636百万円の増加となりました。 流動資産は69,063百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,825百万円の増加となりました。その主な要因は、原材料及び貯蔵品が696百万円、その他(流動資産)が1,539百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が8,123百万円、受取手形及び売掛金が4,309百万円それぞれ増加したことであります。 固定資産は68,952百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,811百万円の増加となりました。その主な要因は、のれんが2,283百万円減少した一方で、土地が1,460百万円、退職給付に係る資産が1,045百万円、建設仮勘定が779百万円それぞれ増加したことであります。(負債の部) 当連結会計年度末の負債合計は53,062百万円となり、前連結会計年度末に比べ457百万円の増加となりました。 流動負債は30,996百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,077百万円の減少となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が2,686百万円、短期借入金が2,000百万円それぞれ増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が4,101百万円、未払金が3,430百万円それぞれ減少したことであります。 固定負債は22,065百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,535百万円の増加となりました。その主な要因は、長期借入金が4,124百万円、その他(固定負債)が360百万円それぞれ増加したことであります。(純資産の部) 当連結会計年度末の純資産合計は84,953百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,178百万円の増加となりました。その主な要因は、自己株式が10,823百万円、資本剰余金が1,273百万円それぞれ減少した一方で、為替換算調整勘定が1,548百万円増加したことであります。 2)経営成績 当連結会計年度の売上高は105,198百万円(前連結会計年度比0.9%減)、営業利益は33,421百万円(前連結会計年度比3.5%増)、経常利益は30,028百万円(前連結会計年度比0.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は21,382百万円(前連結会計年度比3.4%増)となりました。 (売上高)当連結会計年度における売上高は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。 (営業利益)売上原価は47,930百万円と、前連結会計年度と比べ4,066百万円減少し、売上原価率は45.6%と、前連結会計年度と比べ3.4%改善しました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ1,964百万円増加し、23,846百万円となりました。その主な要因は、業務委託料、開発研究費及び退職給付費用が増加したことであります。以上により、当連結会計年度の営業利益は33,421百万円と前連結会計年度に比べ3.5%の増益となりました。 (経常利益)営業外収益につきましては、521百万円と前連結会計年度と比べ162百万円の増加となりました。その主な要因は、受取利息が増加したことであります。営業外費用につきましては、3,914百万円と前連結会計年度と比べ1,441百万円の増加となりました。その主な要因は、為替差損が増加したことであります。以上により、当連結会計年度の経常利益は30,028百万円と前連結会計年度に比べ0.5%の減益となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)特別利益につきましては、関係会社株式売却益が112百万円となりました。特別損失につきましては、固定資産除却損が215百万円となりました。以上により、税金等調整前当期純利益は29,935百万円と前連結会計年度に比べ1.0%の増益となりました。法人税等については、法人税、住民税及び事業税が8,635百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純損失については47百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等及び非支配株主に帰属する当期純損失を差し引き、21,382百万円と前連結会計年度に比べ3.4%の増益となりました。 3)経営成績に重要な影響を与える要因について 当連結会計年度においては、コンシューマーIT製品市場において、スマートフォンでは欧米で出荷台数の停滞が続いていますが、中国では回復基調となりました。ノートPC・タブレットでは前期から続く在庫調整が完了したものの、最終需要の戻りは弱く厳しい状況が続きました。 世界経済においては、ロシア・ウクライナ情勢に加え中東紛争などによる地政学リスクの更なる高まりや、世界的な金融引き締めの継続などにより、依然不透明な状況が続くものと考えております。 このような状況の下、当社は、ハイエンドモデルのスマートフォンにおいて、ディスプレイ向けに粒子整列型ACF、センサーモジュール向けに精密接合用樹脂及び形状加工ACFの販売拡大に注力します。次期につきましては、これら製品が、タブレット及びノートPCのハイエンドモデル向け製品の減収をカバーし増収となる見込みです。利益につきましては、高付加価値製品の伸長により固定費の増加を吸収し、為替影響及び会計基準変更(注)の差異を除くと、増益となる見込みです。次期の前提為替レートは、当期実績144.6円/米ドルに対し、140.0円/米ドルとしています。 経営成績に重要な影響を与えるその他の要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。(注)当社は2025年3月期第1四半期から、従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を任意適用します。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は37,410百万円となり、前年度末に比べ8,123百万円の増加となりました。当社グループでは、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しており、当連結会計年度末の残高は以下のとおりであります。 項目前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー21,339百万円27,457百万円6,118百万円投資活動によるキャッシュ・フロー△9,447百万円△10,866百万円△1,419百万円フリー・キャッシュ・フロー11,892百万円16,591百万円4,699百万円 当社グループの主な短期的な資金の需要としては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金、配当金の支払等を見込んでおります。なお、当社の短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によって獲得した現金であります。資金調達は金融機関からの借入により調達を行っておりますが、当連結会計年度末の有利子負債残高は21,951百万円であり、総資産に対して15.9%と低い依存度となっております。 当社グループでは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性を維持することを資金調達の基本としており、国内の主要金融機関との良好な関係に基づき、長期借入れを中心として必要資金を低いコストで調達しております。また、流動性資金の確保の面では、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末における総額は、16,026百万円(うち借入未実行残高は16,026百万円)であります。 連結子会社が保有する資金は、当連結会計年度末において18,904百万円でありますが、グループ資金は当社での有効活用を前提に、可能な限り配当を実施することを基本方針としており、各連結子会社の配当可能利益をベースに、各社の手元必要流動性資金を考慮の上、当社への資金還流を今後も積極的に進めていく予定であります。 株主還元方針としましては、従来までは総還元性向として調整後親会社株主に帰属する当期純利益の40%を目処としておりましたが、これからは中期経営計画の5年間累計で純利益の60%を目途とし、うち年間現金配当は長期安定を基本として、配当性向40%を目安としながら、ROEや資本コスト、最適な資本構成を意識した経営を推進する意味も込めて、DOEで7%以上を下限値として設定しております。また自己株式の取得についても財務状況や株価水準、キャッシュポジションなどを勘案し機動的に実施する予定であります。 ③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。 2024年3月期の達成・進捗状況は下記のとおりであります。 指標2024年3月期(計画)2024年3月期(実績)2023年度(計画比)売上高100,000百万円105,198百万円5,198百万円 ( 5.2%増)営業利益25,000百万円33,421百万円8,421百万円 (33.7%増)親会社株主に帰属する当期純利益18,000百万円21,382百万円3,382百万円 (18.8%増)EBITDA31,900百万円40,024百万円8,124百万円 (25.5%増)ROIC16.7%22.3%5.6ポイント増ROE(自己資本利益率)23.1%27.1% 4.0ポイント増(注)2024年3月期(計画)は2023年5月10日公表値 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 |
※本記事は「デクセリアルズ株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)



コメント