コスモエネルギーホールディングス株式会社の基本情報

会社名コスモエネルギーホールディングス株式会社
業種石油・石炭製品
従業員数連6487名 単253名
従業員平均年齢43歳
従業員平均勤続年数14年
平均年収11507592円
1株当たりの純資産7075.39円
1株当たりの純利益(連結)672.78円
決算時期3月
配当金330円
配当性向34.9%
株価収益率(PER)9.52倍
自己資本利益率(ROE)(連結)9.7%
営業活動によるCF1371億円
投資活動によるCF▲1456億円
財務活動によるCF▲690億円
研究開発費※152.43億円
設備投資額※14.55億円
販売費および一般管理費※1170.15億円
株主資本比率※226.5%
有利子負債残高(連結)※36169.06億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針及び経営戦略(Vision 2030)エネルギー変革期において期待されるのは中長期のビジョンであることから、Vision 2030として「未来を変えるエネルギー、社会を支えるエネルギー、新たな価値を創造する。」というスローガンを掲げ、以下の3つの施策に取り組み、ありたい姿の実現を目指してまいります。 (第7次連結中期経営計画の基本方針)当社グループは、第6次連結中期経営計画において収益改善施策の着実な実行により稼ぐ力を向上させ、財務体質を大幅に改善させました。第7次連結中期経営計画は、第6次連結中期経営計画のコンセプトをしっかりと引き継ぎながら、新たなステージへ変革し、企業価値向上をテーマとしてまいります。そのような位置づけを明確にすべく、スローガンを『Oil & New ~Next Stage~』として、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」の4点を基本方針に、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。企業価値向上に向けて、非財務資本の活用による事業戦略の実現と、これによる収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大を図り、企業価値の最大化につなげてまいります。 (第7次連結中期経営計画 収益計画(2025年度))Oil事業における構造改善に加え、New事業の収益拡大により1,400億円(2022年度業績予想値、第7次連結中期経営計画公表時点)から250億円の増益を見込んでおり、在庫影響を除く経常利益は2025年度において1,650億円を目指しています。 (第7次連結中期経営計画 資本政策)株主還元、財務健全性、資本効率を三位一体で実行していくことで、企業価値の最大化を目指してまいります。また、株主の皆様への利益還元につきましては、資本政策を三位一体で実現していくなかで、最大限拡大していきます。 (第7次連結中期経営計画 収益改善の取組)石油事業においては製油所稼働の更なる改善、石油開発事業においてはヘイル油田の増産等を進めてまいります。加えて、New領域では国内初の大規模生産となるSAF生産開始等、連結中期経営計画における施策を着実に実行しております。 (第7次連結中期経営計画 経営基盤の変革)HRX(Human Resources Transformation)、DX(Digital Transformation)、GX(Green Transformation)を中心とした経営基盤の変革に取り組んでまいります。KPIとしてエンゲージメント指数の改善、人材育成投資の強化、データ活用コア人材の育成、GHG排出量削減を掲げています。 (第7次連結中期経営計画 経営目標(2025年度))第7次連結中期経営計画は企業価値向上を目指す新たなステージと位置づけています。収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大をしっかり実現し、ステークホルダーの皆様にご評価いただけますよう、努めてまいります。 《当事業年度における各事業セグメントの重点施策》(石油事業)石油事業においては、2013年度の坂出製油所閉鎖に加え、2019年度より開始したキグナス石油㈱への燃料油供給により、当社グループは生産数量が販売数量を下回るショートポジションを確立し、製油所の高稼働を維持しております。更なる稼働率向上のため、APM(注1)導入範囲の拡大やデジタルツイン(注2)構築に向けたVRデータ整備等DX強化を推進しました。 (注1)Asset Performance Managementの略。グローバルスタンダードの保全・設備信頼性業務プロセスをシステムに記憶させ、保全のビッグデータを効率的かつ効果的に管理し、網羅性・予見性・管理性を高めることができる。(注2)現実の製油所がデジタルの仮想空間で再現され、必要とする製油所設備の情報(運転データ、補修履歴、機器スペック等)をすぐに参照できる状態を作り出すこと。 カーライフ事業につきましては、デジタル化への対応として、2019年に開発したカーライフスクエアアプリが、2025年4月時点で累計900万ダウンロードを突破し、アプリを利用した給油回数は累計2億9千万回を超える等、多くのお客様にご利用いただいております。お客様とのつながり強化を目的として、アプリ上で見積りから決済まで完了できるコミット車検のほか、燃料油・カーケア商品のお得なクーポンの提供やお勧めの給油タイミングのお知らせ等、様々なサービスを提供しております。カーライフスクエアは2025年4月21日にコスモの公式アプリとして全面リニューアルしました。各種サービスをホーム画面に集約し、より直感的で使いやすいデザインに刷新したことに加え、コミっと車検の決済手段としてPayPay、d払い、楽天ペイが新たに追加される等、機能面も大幅に進化しました。アプリやコスモ・ザ・カード会員のデータを用いて、お客様の属性に合わせた情報配信を自動で行う等、新規顧客の獲得及び既存顧客の定着の施策を実施しており、引き続き異業種パートナーの持つデータも組み合わせ、販売促進に取り組んでまいります。 (石油化学事業)石油化学事業は、丸善石油化学㈱において基礎化学品分野では高稼働・高効率操業の実現、環境に左右されにくい機能化学品分野では半導体レジスト用樹脂等の生産拡大を目指しております。韓国のHD Hyundai Oilbank Co., Ltd.とコスモ石油㈱との合弁会社であるHD Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.につきましては、2009年に設立され、パラキシレンを中心に一定の収益を上げてきましたが、近年は中国を中心とした設備増強や需要減速の影響により、パラキシレン市況の悪化が続き、事業環境が大幅に悪化しておりました。今後もパラキシレン市況の低迷が継続する見通しであることから、HD Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.の全株式をHD Hyundai Oilbank Co., Ltd.に譲渡し、パラキシレン製造事業から撤退いたしました。また、エチレン生産体制に関しましては中国での大型装置の新設・増強による世界的な供給過剰及び国内におけるエチレン需要の減少から厳しいマーケット環境が続いていること等から、丸善石油化学㈱は2026年度を目途に自社エチレン製造装置を停止し、丸善石油化学㈱と住友化学㈱の合弁会社である京葉エチレン㈱に生産を集約することを住友化学㈱と合意しました。千葉地区での生産体制最適化を図ることで装置稼働率と競争力を更に高め、加えてカーボンネットゼロ実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)への対応も図ってまいります。 (石油開発事業)石油開発事業では、2017年度よりヘイル油田において生産を開始しておりますが、2019年度以降、想定よりも油層の圧力低下が見られたため、生産を一部抑制しておりました。その後、水攻法により油層圧力の回復傾向が認められ、2024年12月末より生産抑制実施以前の水準での生産を再開いたしました。2025年4月現在も順調に生産を継続しております。今後、油層圧回復の施策を実行し、生産量の回復・最大化を目指してまいります。このほかの既存油田(ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田)につきましても、安定した生産を継続しました。また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。脱化石燃料の流れの中でも、必要とされるエネルギーを継続して供給することは当社グループの責任であると考えており、今後石油需要の減退が進行していく過程でも、その責任を果たすべく本鉱区を取得しております。本鉱区は、豊富な石油・天然ガスの資源量が賦存するだけでなく、単位数量あたり操業費がその他の地域と比べて低いとされるアラビア湾の浅海に位置し、かつ商業生産に至った場合には隣接するアブダビ石油㈱が保有する油田施設を共同で活用できるため、開発・操業コストの大幅な低減が期待されます。今後も、引き続き本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査すべく、探鉱作業を実施してまいります。 (再生可能エネルギー事業)再生可能エネルギー事業では風力発電事業を中心にグリーン電力サプライチェーンの構築に取り組んでおります。コスモエコパワー㈱は、風力発電業界におけるパイオニア的企業であり、国内業界シェアは約5%(2024年12月末時点)となります。陸上風力に関しては、順調な稼働を継続しており、またノンファーム型接続の開始等により新規サイトの開発も着実に進めています。2025年3月には新岩屋ウィンドパーク(青森県)の運転を開始しました。陸上風力では運転中の風力サイトに建設中、開発中のサイトを合わせると874MWとなりました。2030年度には約900MWの規模を目指しております。洋上風力に関しては、世界的な脱炭素の流れを受けて大規模なグリーン電源に対する期待は高まっており、当社としては、しっかりと収益性を確保した上で、プロジェクトを進めてまいります。2030年には陸上、洋上を合わせて1,500MW超の設備容量を目指します。 (2)経営環境当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復しております。一方で物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、米国の政策動向による影響等が、日本の景気を下押しするリスクとなっております。設備投資、個人消費は持ち直しの動きがみられ、消費者物価は上昇しております。こうしたなかで、石油製品の国内需要は、緩やかに需要減退の傾向がみられます。 原油価格(ドバイ原油)は、期初1バレル87ドル台から、中東の地政学リスクに対する懸念やOPECプラスの減産緩和延期等の価格上昇要因がありましたが、地政学リスクへの懸念の後退や米中の景気減速懸念等により年末にかけて下落基調で推移しました。その後、中国の景気刺激策への期待や米国のロシアに対する制裁措置等から一時上昇する場面も見られましたが、中東における停戦合意やOPECプラスによる段階的な減産緩和の実施決定、米国関税政策への懸念を背景に再び下落し、当連結会計年度末は75ドル台となりました。為替相場は、期初1ドル151円台から、日米金利差を背景に7月にかけて161円台まで円安が進みましたが、日銀の追加利上げや米国の利下げ観測等を受け円高に転じ、9月には一時140円台となりました。その後、米国大統領選挙の結果を受け、新政権移行後のインフレ懸念等から米長期金利が上昇し、年末にかけて158円台まで円安に進行しました。年明け以降、米国新政権が関税引き上げを示したことによる景気後退懸念や日銀の利上げ観測を背景に再び円高に推移し、当連結会計年度末は149円台となりました。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題国際社会では、ウクライナや中東情勢等の地政学的リスクが継続し、世界経済は不確実性が高い状態が続いています。米国の政治的変動も世界経済に影響を与えており、今後の政策を注視する必要があります。これらの外部環境変化を受けて、エネルギーセキュリティの強化が求められており、石油は引き続き重要なエネルギー資源であり、当面は石油製品がエネルギー需要の大きな比率を占めると想定されます。一方で、長期的には再生可能エネルギーをはじめとする脱炭素社会への取組が進むと予想されます。このようななか、石油事業を中心に収益力を強化しつつ、長期的な方向性を見据え、次の成長に向けて事業ポートフォリオを拡充してまいります。第7次連結中期経営計画においては、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」を基本方針とし、企業価値の向上に取り組んでまいります。第7次連結中期経営計画を実行する上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりとなります。 《各事業セグメントにおける課題》(石油事業(石油精製事業))石油精製事業においては、製油所デジタルプラント化に向けた取り組み、運転・保全力の向上による更なる稼働率改善等を図ってまいります。また、定期整備の短縮に加えて、トラブルによる計画外停止を削減するためのソフトウェアであるAPMを導入し、予見性、網羅性、管理性を向上させることで、製油所高稼働の維持を推進してまいります。 (石油事業(石油販売・カーライフ事業))石油販売・カーライフ事業においては、当社グループの持つ豊富な顧客データと、異業種パートナーとのデータ連携を組み合わせることで、マーケティングサイエンスによる燃料油販売の高度化を進めてまいります。 (石油化学事業)石油化学事業においては、高稼働・高効率操業の実現、外部環境に左右されにくい化成品及び機能化学品の生産拡大を目指してまいります。また、機能化学品については、メチルエチルケトン(MEK)等の化成品、需要が増加している半導体レジスト用樹脂の生産拡大を進めてまいります。 (石油開発事業)石油開発事業においては、ヘイル油田や既存油田の生産量最大化、操業コストの最適化により収益構造を強靭化してまいります。また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。 (再生可能エネルギー事業)世界的な脱炭素化の潮流のなか、今後大きな成長が期待される風力発電事業を中心に、引き続き積極的に規模拡大を進めてまいります。陸上風力においては、2025年3月には新岩屋ウィンドパーク(青森県)の運転を開始しております。その他にも、新むつ小川原(青森県)、遠州(静岡県)、あぶくま南(福島県)等の開発を着実に推進することで、2030年において陸上風力の設備容量約900MWの達成を目指しております。さらに、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、事業環境整備・投資機会拡大が見込まれる洋上風力においては、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指しております。2022年12月に秋田港能代港プロジェクトの商業運転を開始しており、その他にも複数地域において洋上風力プロジェクトの開発を進めております。洋上風力においては競合他社の増加やコストの上昇等、事業環境の厳しさが増していますが、当社グループでは建設、O&M、売電先を含めた全てのサプライチェーンを精査し、徹底的なコスト競争力の強化を図ります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当社グループは、第7次連結中期経営計画において、スローガンを『Oil & New ~Next Stage~』として、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」の4点を基本方針に、非財務資本の活用による事業戦略の実現と、これによる収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大を図り、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。また、当連結会計年度において、ROE及びPER向上の取組を加速し、堅調な収益を背景に2年連続で連結中期経営計画の目標であるROE10%以上を達成いたしました。 こうした経営活動の結果、当連結会計年度の連結経営成績は、売上高は2兆7,999億円(前期比+703億円)、営業利益は1,282億円(前期比△210億円)、経常利益は1,508億円(前期比△108億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は577億円(前期比△244億円)となりました。 各セグメントの業績を示すと次のとおりであります。(石油事業) 石油事業につきましては、売上高は前期並みの2兆5,069億円(前期比+613億円)となりました。一方、原油価格が下落したこと等により、セグメント利益は618億円(前期比△289億円)となりました。なお、在庫評価の影響を除くセグメント利益は926億円(前期比+13億円)となっております。(石油化学事業) 石油化学事業につきましては、引き続き製品市況が低迷したこと等により、売上高は3,402億円(前期比△216億円)、セグメント損失は50億円(前期はセグメント損失78億円)となりました。(石油開発事業) 石油開発事業につきましては、為替変動の影響等により、売上高は1,346億円(前期比+68億円)、セグメント利益は824億円(前期比+141億円)となりました。(再生可能エネルギー事業) 再生可能エネルギー事業につきましては、前期比で風力発電における風況が悪化したこと等により、売上高は133億円(前期比△10億円)、セグメント利益は13億円(前期比△15億円)となりました。  当連結会計年度末の連結財政状態は、総資産は2兆1,566億円となり、前連結会計年度末に比べ560億円減少しております。負債合計は1兆4,491億円となり、前連結会計年度末に比べ361億円減少しております。純資産合計は7,075億円となり、前連結会計年度末に比べ199億円減少しております。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は349億円となり、前連結会計年度末に比べ706億円減少しております。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、資金の増加は1,371億円(前期は1,779億円の資金の増加)となり、これは主に、税金等調整前当期純利益を計上したこと等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、資金の減少は1,457億円(前期は328億円の資金の減少)となり、これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、資金の減少は690億円(前期は1,042億円の資金の減少)となり、これは主に、自己株式の取得による支出等によるものです。 ③生産、受注及び販売の実績a生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)石油事業 1,624,044104.6石油化学事業 402,00789.0石油開発事業 13,308105.2合計2,039,359101.1(注)1 自家燃料は除いております。2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。 b受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)その他14,634111.813,803106.3 c販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)石油事業 2,417,033103.2石油化学事業 296,96094.8石油開発事業 43,606111.4再生可能エネルギー事業 13,15892.9その他 29,188131.9合計2,799,947102.6(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)キグナス石油㈱363,43013.3369,04513.2※販売実績には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売実績を含めております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。 なお、連結財務諸表の作成に関して、認識している重要な見積りを伴う項目については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」を参照ください。 ②経営成績の分析a売上高 売上高は、前連結会計年度並みとなり、703億円増加の2兆7,999億円となりました。 b売上原価、販売費及び一般管理費 売上原価は、前連結会計年度に比べ832億円増加し、2兆4,931億円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、0.7ポイント増加して、89%となりました。 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ82億円増加し、1,786億円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、0.2ポイント増加して、6.4%となりました。 c営業利益 営業利益は、前連結会計年度に比べ210億円減少し、1,282億円となりました。これは主に、原油価格の下落等によるものです。 d営業外損益 営業外損益は、前連結会計年度に比べ101億円改善し、225億円の利益となりました。これは主に、為替差益が59億円増加したこと等によるものです。 e特別損益 特別損益は、前連結会計年度に比べ191億円悪化し、258億円の損失となりました。これは主に、特別損失として事業構造改善費用を169億円計上したこと等によるものです。 f親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ244億円減少し、577億円となりました。これは主に、法人税等が前連結会計年度に比べ14億円増加し660億円となったこと及び非支配株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ70億円減少し13億円となったこと等によるものです。なお、1株当たりの当期純利益は、672.78円となりました。  なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。(石油事業) 原油価格が下落したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ289億円減少し、618億円となりました。 2025年度は、堅調な販売マージンの確保及び製油所トラブル解消等を見込むものの、原油価格が下落すること等により当連結会計年度比で減益となる見通しとなっております。(石油化学事業) 引き続き製品市況が低迷したこと等により、セグメント損失は50億円(前連結会計年度はセグメント損失78億円)となりました。 2025年度は、事業構造改善によるコスト削減により当連結会計年度比で増益となる見通しとなっております。(石油開発事業) 為替変動の影響等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ141億円増加し、824億円となりました。 2025年度は、販売数量の増加を見込むものの原油価格の下落及び為替の円高影響により当連結会計年度比で減益となる見通しとなっております。(再生可能エネルギー事業) 風力発電における風況が悪化したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ15億円減少し、13億円となりました。 2025年度は、設備容量拡大により当連結会計年度比で増益となる見通しとなっております。 ③資本の財源及び資金の流動性に関する分析a資金需要 当社グループの資金需要は主に運転資金と設備投資に関するものです。 運転資金需要は製品製造のための原材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等によるものであり、設備投資需要は競争力強化を目的とした石油・石油化学製品の製造設備、サービスステーション設備や販売促進のためのシステム投資、原油の生産設備、風力発電設備等の取得や維持更新等によるものです。 b財務政策 2023年4月より開始された第7次連結中期経営計画では、株主還元、財務健全性、資本効率を三位一体で実行することで企業価値の最大化を目指しております。財務健全性においては、資産に内在するリスク、求められる資本効率、柔軟な資金調達といった観点を総合的に精査し、自己資本並びにネットD/Eレシオの目標値を設定しております。 当社は、財務の安全性と効率性を両立させる財務運営を目指しており、短期並びに長期社債による直接金融と金融機関からの借入等の間接金融を機動的に行うことで効率的な資金調達を行っております。また、原油備蓄資金の制度融資も活用しており、市中の金融機関のみならず政府系金融機関とも関係を維持し、調達先の多様化を行っております。また、持株会社である当社が一括して資金を調達し、グループ会社に融通するグループファイナンスを実行しており、資金の集中化並びに効率化を行っております。 当社は、円滑な資金調達を行うために日本格付研究所(JCR)並びに格付け投資情報センター(R&I)から格付を取得しております。当連結会計年度末において当社の格付は、JCR、R&IともにA-(安定的)となります。(特定融資枠契約) 平時における十分な流動性の確保と災害発生等の緊急時に円滑な資金調達を行うために取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しております。なお、当連結会計年度末における当該契約の極度額は1,201億円です。 c株主還元方針 当社グループは、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして認識しております。 第7次連結中期経営計画では、株主還元、財務健全性、資本効率のいずれも欠けることなく、三位一体で実行していくことを資本政策として掲げ、企業価値の最大化を図っており、株主還元方針としましては、総還元性向60%以上(3ヵ年累計、在庫影響を除く純利益に対する比率)、配当1株当たり330円以上としております。 また、財務健全性が目標値(自己資本6,000億円以上、ネットD/Eレシオ1.0倍)に到達した場合は原則として追加の還元を実施いたします。 当連結会計年度は、堅調な収益をベースに配当の引き上げを行い、前連結会計年度から30円増配の1株当たり330円の配当を行うとともに、下限配当についても同額の330円に引き上げました。加えて、取得総額180億円の自己株式の取得を実施し、当連結会計年度は単年で総還元性向58%(在庫影響を除く純利益に対する比率)となりました。 引き続き企業価値向上を目指し、収益環境や株価等を見極めながら、還元を実施してまいります。なお、当連結会計年度の1株当たり配当額330円のうち、期末配当額180円については、2025年6月26日開催予定の定時株主総会の決議事項になっております。 d財政状態 当社グループは、自己資本やネットD/Eレシオといった財務健全性の向上を重要な課題の一つとして認識しております。財務健全性に加え、株主還元、資本効率を三位一体で実行することで企業価値の最大化を目指してまいります。 (資産) 当連結会計年度末における流動資産は1兆791億円となり、前連結会計年度末に比べ436億円減少しております。これは主に、売上債権が464億円減少したこと等によるものです。固定資産は1兆774億円となり、前連結会計年度末に比べ124億円減少しております。これは主に、投資有価証券が326億円減少したこと等によるものです。 この結果、総資産は2兆1,566億円となり、前連結会計年度末に比べ560億円減少しております。(負債) 当連結会計年度末における流動負債は9,455億円となり、前連結会計年度末に比べ621億円減少しております。これは主に、未払揮発油税が295億円減少したこと等によるものです。固定負債は5,037億円となり、前連結会計年度末に比べ262億円増加しております。これは主に、社債が162億円増加したこと等によるものです。 この結果、負債合計は1兆4,491億円となり、前連結会計年度末に比べ361億円減少しております。(純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は7,075億円となり、前連結会計年度末に比べ199億円減少しております。これは主に、自己株式を371億円取得したこと等によるものです。 この結果、自己資本比率は27.1%(前連結会計年度末は27.2%)となりました。 eキャッシュ・フロー 当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したこと等により1,371億円の増加となりました。投資活動は有形固定資産の取得による支出等により1,457億円の減少となりました。財務活動は自己株式の取得による支出等により690億円の減少となりました。 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ706億円減少の349億円となりました。 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率19.0%23.5%24.9%27.2%27.1%時価ベースの自己資本比率12.9%11.4%17.7%30.4%24.5%キャッシュ・フロー対有利子負債比率3.6年5.4年84.5年3.5年4.5年インタレスト・カバレッジ・レシオ23.1倍16.7倍1.3倍38.3倍27.6倍(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金、コマーシャル・ペーパー、社債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。5 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 会計方針の変更」に記載のとおり、当連結会計年度における会計方針の変更は遡及適用され、前連結会計年度のキャッシュ・フロー指標については遡及適用後の数値となっております。 ④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、中期的な経営の方向性を2025年度が最終年度となる第7次連結中期経営計画にて目標値として定めております。当該連結中期経営計画初年度の評価として、当連結会計年度における客観的指標の実績を示すとともにその達成状況を分析すると以下のとおりとなります。  株主還元・財務健全性・資本効率等、多くの指標で2025年度の目標を達成しております。その他の指標につきましても順調に推移しておりますが、引き続き全指標において目標を達成すべく各種施策を実行してまいります。なお、当連結会計年度の1株当たり配当額330円のうち、期末配当額180円については、2025年6月26日開催予定の定時株主総会の決議事項になっております。

※本記事は「コスモエネルギーホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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