朝日インテック株式会社の基本情報

会社名朝日インテック株式会社
業種精密機器
従業員数連9473名 単1196名
従業員平均年齢37.1歳
従業員平均勤続年数7.2年
平均年収6950333円
1株当たりの純資産558.31円
1株当たりの純利益(連結)46.92円
決算時期年6
配当金24.23円
配当性向30.4%
株価収益率(PER)48.7倍
自己資本利益率(ROE)(連結)8.4%
営業活動によるCF405億円
投資活動によるCF▲134億円
財務活動によるCF▲81億円
研究開発費※119.85億円
設備投資額※112.88億円
販売費および一般管理費※1649.18億円
株主資本比率※269.7%
有利子負債残高(連結)※3110.98億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。(1)経営方針当社グループは、研究開発型企業として、『医療及び産業機器の分野において、安全と信頼を基盤とする「Only One」技術や「Number One」製品を世界に発信し続けることにより、全てのお客様の「夢」を実現するとともに、広く社会に貢献すること』を企業理念としております。特に、当社グループの医療機器分野事業では、主に傷口が小さく痛みの少ない「低侵襲治療」の製品を開発・製造・販売しており、患者様の肉体的・精神的・経済的負担を軽減し、そして医療費抑制にも貢献できる、大変意義のある事業であると考えています。今後も、社会に貢献できる企業であり続けることで、社会及び市場から評価される企業として、更なる成長を目指してまいります。 (2)中長期的な会社の経営戦略① 長期経営ビジョン当社グループは、「2035年のありたい姿」として、『健康寿命の延伸に貢献することを使命とし、低侵襲治療において、臨床課題を総合的に解決できるグローバルニッチトップ企業』を目指しております。長期的な目標として、2035年6月期に連結売上高3,000億円、営業利益率30%の達成を掲げております。 ② 中期経営計画「2035年のありたい姿」の実現に向けて、新中期経営計画「Building the Future 2030」の2026年6月期~2030年6月期の5会計期間は、「成長戦略加速のための5年間」と位置付け、10年後の2035年6月期において連結売上高3,000億円、営業利益率30%を達成するための準備期間として、事業ポートフォリオの構築と、収益力の強化を基本方針とし、以下の重点テーマに取り組みます。新規事業(高付加価値治療デバイス等)の本格的な売上貢献は2031年度以降に期待されるため、当中期経営計画期間は既存事業の収益力強化によって成長を支えてまいります。中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、2030年6月期において連結売上高1,800億円、営業利益率28%を達成することを目標に掲げ、企業価値の拡大を目指してまいります。 (a)グローバル市場での成長再加速に向けた事業ポートフォリオの構築・循環器領域でのグローバルニッチトップの維持・強化・非循環器領域でのグローバルニッチトップを目指した販売戦略と製品ポートフォリオ強化・新規事業の創出と高付加価値治療デバイスへの参入当社グループは現在、世界121の国と地域へ製品を供給しております。当社グループの製品が使用される血管内疾患の症例数は、引き続き新興国を中心にグローバル規模で拡大すると予測されております。こうした中、それぞれの地域において販売・マーケティングの機能をより一層充実させることにより、グローバル規模での収益基盤の強化を図る所存であります。 (日本)日本市場では、病院などに対して自社ブランド製品の直接販売を行い、循環器・非循環器ともに高いシェアを獲得しています。循環器領域では、世界に発信できる医師の方々との関係性をより強固にしていくことで、引き続き高いシェアを保持していくことを目指し、また非循環器領域では、自社ブランド製品に加えて、直接販売体制を活かした他社製品の販売の強化を進めるなどして多面的な販売力向上に努めてまいります。償還価格下落などの厳しい外部環境がある中、引き続き、シェア拡大と収益拡大を目指します。 (米国)米国市場では、循環器・非循環器ともに自社ブランド製品の直接販売を行っております。循環器領域の継続的な伸長に加え、非循環器領域の末梢・脳・腹部を重点市場と位置付け、新製品の積極的な投入や、医師に当社製品の技術的優位性と臨床的価値を実感していただける販売体制・活動の強化を通じて、シェア拡大と収益拡大を目指します。 (欧州)欧州市場では、自社ブランド製品を、直接販売若しくは現場に密着した複数の代理店を通じて販売しており、主に循環器系製品で高いシェアを獲得しています。段階的に、直接販売化を進めており、2019年7月よりフランス、2021年1月よりドイツ、2021年7月よりイタリアで直接販売に移行し、欧州地域の約半分が直接販売地域です。欧州地域は、薬事法改正などにより、新製品投入に時間を要する地域ですが、医師との関係性強化や営業強化を進め、シェア拡大と収益拡大を目指します。 (中国)中国市場では、主に自社ブランド製品について、物流プラットフォームを通した現地代理店による販売を行い、主に循環器系製品で高いシェアを獲得しています。中国市場は循環器・非循環器ともに、症例数の増加が堅調であり、グローバル市場の中でも特に高い成長と発展が見込まれます。入札制度などの環境変化が進む中でも、物流プラットフォームを通じた複数の現地代理店との協力的な関係構築や支援体制の強化、医師との関係性強化、新製品の投入、販売活動の充実などにより、更なるシェア拡大と収益拡大を目指します。 (その他地域)アジア・中近東・オセアニア・南米地域などにおいて、潜在成長力のある新興国を中心に、現地代理店を通じて、自社ブランド製品を販売しており、循環器系製品において高いシェアを獲得しております。循環器・非循環器領域ともに、現地代理店支援などの販売活動強化により、更なるシェア拡大と収益拡大を目指します。 (ニッチトップNumber One製品戦略)循環器領域の主力製品PCIガイドワイヤーや貫通カテーテルについては、引き続き総合的なラインナップの充実などにより、ナンバーワンのポジションを盤石化してまいります。さらには、循環器領域のみならず、末梢血管・脳血管・腹部血管・消化器、加えて動物治療・ロボティクス(外科)などの非循環器領域への製品展開を強化する施策を継続して進めてまいります。非循環器領域については、循環器領域で培った技術を応用した横展開や、事業提携の強化などにより、新製品の拡充に努めると同時に、特に海外地域における販売体制を強化し、グローバル規模での市場シェアの獲得に努めてまいります。 (Only One製品及び高付加価値品戦略)戦略製品の拡大の一環として、高付加価値治療製品領域への進出を目指してまいります。現在、治療が困難とされている石灰化病変については、循環器及び非循環器領域(末梢)ともに、依然として臨床的な課題が残っていると認識しております。当社グループは、これまで循環器領域を中心としたCTO病変などの難易度の高い治療も可能な製品群を開発し、CTO領域におけるPCI治療選択率の拡大に寄与してきました。今後も、研究開発型企業として、CTO病変も含む石灰化病変などの臨床課題に対して、先端技術を使った新しい機能を保持した製品群を開発し、低侵襲治療の普及や発展に寄与してまいります。また、非循環器領域(脳)を中心に、高付加価値品も含めた製品群の拡充を目指し、シナジーを追求してまいります。自社製品での開発に加えて、必要に応じて技術提携、M&A、少数株主投資などを駆使し、外部からの新技術導入や有力パートナーとの戦略的提携も検討してまいります。事業ポートフォリオの強化に努め、グローバルで持続的に成長する企業を目指してまいります。 (b)持続的成長に向けた強固な経営基盤の構築と収益力の強化・グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の強化研究開発体制のグローバル化として、米国の直接販売の拠点である連結子会社ASAHI INTECC USA, INC.において、最終顧客である医師からのニーズや評価をダイレクトに反映でき、試作レベルまでの対応を可能とした研究開発体制を構築しております。また、連結子会社ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.の研究開発拠点を更に拡充させ、製品仕様の検討を含めた既存製品の改良などをより積極的に進めてまいります。国内においては、当社グループの研究開発拠点の中心であるグローバル本社・R&Dセンター(愛知県瀬戸市)において臨床現場と密に連携した製品開発を行っております。また、基盤技術開発強化を目的とした大阪R&Dセンター、次世代医療機器技術の研究開発を目的とした東京R&Dセンター、樹脂技術開発強化を目的とした静岡R&Dセンター、精密加工技術開発強化を目的とした東北R&Dセンターなど、リスク管理のために開発機能の分散をはかりつつ、国内の研究開発体制についてはより付加価値の高い開発機能にシフトさせながら更なる充実を進めてまいります。 ・生産性向上への取り組み当社グループでは、現在、日本においては研究開発・試作に特化し、量産品については原則として海外の連結子会社に生産移管しており、素材から完成品までの一貫生産が海外工場(ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.(タイ工場)、ASAHI INTECC HANOI CO., LTD.(ハノイ工場)、及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場))で実現できる体制が整っております。その中で、リスク管理や事業継続計画(BCP)の観点から、グループ全体での生産拠点の最適化を図っており、現地事情などにより、一部の工場が操業不能に陥った場合においても、別の工場にて代替生産の大部分を担えるよう体制の構築を進めております。これらの目的に加えて、更なる増産体制を構築するために、ハノイ工場の増設を行っております。今後も、グローバル展開に最適な研究開発拠点や生産体制の構築・拡充により、当社グループの成長戦略を下支えしていきます。 ・事業戦略と連動した経営基盤の構築「Building the Future 2030」では、事業戦略を中心に持続的な価値創出の具体策を実行するとともに、それを支える経営基盤の強化に向けて「財務戦略」と「非財務戦略」を推進し、企業価値・株主価値を高めていきます。当社グループの重要な経営管理指標である売上高、営業利益、営業利益率について、前述の施策などにより、売上高向上や、生産性向上、コストコントロールの適正化などによる体質強化により、当指標の向上に努めることで、キャッシュ創出力や資本効率を持続的に高めていきます。加えて、財務の健全性を保ちながら、資本コストを踏まえた資本政策を推進することで、重要な財務指標であるROE( 自己資本利益率:Return On Equity)及びROIC(投下資本利益率:Return on Invested Capital)について、2030年6月期において、ROE及びROICともに16.0%を超えることを目途として、引き続きの向上を目指してまいります。これらのKPIの分析やモニタリングを継続して行い、改善施策を立案・実行することで、資本コストを意識した取り組みを強化してまいります。非財務戦略としては、人的資本の強化、DXの推進、コーポレート・ガバナンスの最適化、サステナビリティの推進などについて取り組んでまいります。 (c)持続的成長に向けた経営基盤の確立サステナビリティへの取り組みを推進する体制を構築し、各サステナビリティの重要課題につき基本方針をとりまとめ、戦略的に推進しております。 現在、この7つの重要課題を中心に、全社的な取り組みを進めております。サステナビリティに関わる当社の考え方や、取り組みにつきましては、統合報告書やウェブサイトにて随時開示してまいります。 重要課題1 イノベーションを通じた現場の課題解決重要課題2 環境負荷低減への取り組み重要課題3 サプライチェーンマネジメント重要課題4 安全・安心な製品の供給重要課題5 グローバル人財基盤の強化重要課題6 リスクマネジメントの強化重要課題7 コーポレート・ガバナンスの強化 〔注釈説明〕注:CTO/(慢性完全閉塞)長期間完全に閉塞した状態の病変のことをいいます。従来は、このような病変は外科手術(バイパス手術)の領域でしたが、当社グループがCTOにも使用可能なPCIガイドワイヤーの開発に成功したことから、現在では、国内においてはPCI治療(カテーテル治療)が主流となっております。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年6月30日)現在において判断したものであります。(1) 経営成績当社グループは、中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」(2021年7月~5カ年)において、2026年6月期に連結売上高1,100億円、営業利益率23~25%を達成することを定量目標として掲げ、以下の4つの基本方針を定めておりました。①グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大②グローバルニッチ市場における新規事業の創出③グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築④持続的成長に向けた経営基盤の確立これらの方針のもと事業を推進した結果、2025年6月期に当初の計画より1年前倒しで中期経営計画の売上高・営業利益率の目標を達成することができました。なお、今後の新たな中期経営計画につきましては、2025年8月14日付け開示の『新中期経営計画「Building the Future 2030」策定に関するお知らせ』の通りです。当計画における成長戦略を着実に推進することで、今後もさらなる企業価値の向上を目指してまいります。上記戦略に基づき事業を推進した結果、当社グループの当連結会計年度の業績は下記のとおりとなりました。売上高は、継続的な市場シェアの拡大などにより、主にメディカル事業が国内外共に好調に推移し、1,200億25百万円(前年同期比11.6%増)となりました。売上総利益は、タイバーツ高などのマイナス要因がありましたが、売上高の増加や生産性向上に伴う売上総利益率の上昇により、812億35百万円(同17.6%増)となりました。営業利益は、米国の非循環器領域及び国内の新領域における販売強化を目的とした営業関連費用や、研究開発費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、300億79百万円(同35.9%増)となりました。経常利益は、為替差損の増加などがあったものの、補助金収入の増加などにより295億63百万円(同34.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失などの特別損失の計上により、127億37百万円(同19.4%減)となりました。なお、当連結会計年度における外国為替レート実績は、下記となります。1米ドル=149.72円(前年同期149.39円、比0.2%増)1ユーロ=162.83円(前年同期161.48円、比0.8%増)1中国元=20.73円(前年同期20.64円、比0.4%増)1タイバーツ=4.41円(前年同期4.17円、比5.8%増) セグメントごとの経営業績は、次のとおりであります。当連結会計年度の期首より、報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しております。詳細は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法(報告セグメントの利益又は損失の測定方法の変更)」をご参照ください。 なお、セグメントごとの比較情報については、前連結会計年度の数値を測定方法変更後のセグメント情報に組み替えた数値で比較しております。(メディカル事業)メディカル事業においては、全地域で市場シェアの継続的な拡大などにより、売上高が好調に推移し、増加いたしました。国内市場では、循環器領域の堅調な推移に加え、非循環器領域においても末梢血管系製品(輸入仕入品)や脳血管系製品が高く評価され、好調に推移したことから、売上高が増加いたしました。海外市場においては、循環器領域・非循環器領域のいずれも売上高が増加いたしました。循環器領域については、全地域でPCIガイドワイヤーや貫通カテーテルを中心に売上高が大変好調に推移いたしました。非循環器領域では、米国でOEM取引が減少したものの、中国市場の脳血管系製品や米国市場の腹部血管系製品が好調に推移したことなどから、売上高は増加いたしました。以上の結果、売上高は1,077億79百万円(前年同期比12.7%増)となりました。また、セグメント利益は、334億45百万円(同36.9%増)となりました。 (デバイス事業)デバイス事業は、産業部材が減少したものの、医療部材が増加したことにより、売上高は増加いたしました。医療部材については、アジア向け循環器系検査用カテーテル部材の取引が増加したことなどから、売上高は増加いたしました。産業部材については、国内外の機械や建築関係の取引が増加した一方、海外市場のレジャー関係の取引が減少したことなどにより、売上高は減少いたしました。以上の結果、売上高は、122億45百万円(前年同期比3.0%増)となりました。また、セグメント利益は、セグメント間の売上高の減少などにより、46億24百万円(同12.5%減)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)メディカル事業81,17519.3デバイス事業39,8727.4合計121,04715.1 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 金額は販売価格によっております。 ② 受注実績当社グループの製品は、見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。 ③ 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)メディカル事業107,77912.7デバイス事業12,2453.0合計120,02511.6 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合 相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)北京嘉事唯衆医療器械有限公司――16,86514.1 (2) 財政状態当連結会計年度末の資産につきましては、総資産額が1,931億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億73百万円増加しております。主な要因は、有価証券が30億円、仕掛品が35億12百万円、のれんが68億円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が185億42百万円増加したことによるものであります。負債につきましては、負債合計額が418億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億80百万円増加しております。主な要因は、未払法人税等が21億6百万円増加したこと等によるものであります。純資産につきましては、純資産合計額が1,513億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億7百万円減少しております。主な要因は、利益剰余金が72億4百万円増加した一方、自己株式の買付を44億46百万円行ったこと、為替換算調整勘定が28億26百万円減少したことによるものであります。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、532億円(前年同期比49.2%増)となっております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は、405億43百万円(前年同期比58億35百万円増)となりました。これは主に、法人税等の支払額が62億13百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が186億55百万円、減価償却費が91億90百万円であったことに加え、売上債権が11億66百万円減少し、棚卸資産が35億40百万円減少し、前受金が16億79百万円増加したこと及び投資有価証券評価損を10億68百万円、減損損失を92億44百万円計上したことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は、134億34百万円(前年同期比77億87百万円減)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入が30億円、投資有価証券の売却による収入が80億41百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が143億25百万円、有形固定資産の取得による支出が80億96百万円であったことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は、81億7百万円(前年同期比57億70百万円減)となりました。これは主に、長期借入による収入が85億円あったものの、長期借入金の返済による支出が51億82百万円、配当金の支払額が55億33百万円、自己株式の取得による支出が44億46百万円であったことによるものであります。 (4) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。(繰延税金資産の回収可能性)当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、スケジューリングの結果に基づき回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ課税所得が減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。 (固定資産の減損処理)当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、継続的に損益の把握を実施している単位ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の算定にあたっては、外部の情報源に基づく情報等を含む決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。 (のれん及びその他の無形固定資産の評価)資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年6月30日)現在において判断したものであります。① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(a) 今後の見通し2026年6月期を初年度とする新たな中期経営計画につきましては、2025年8月14日付け開示の『新中期経営計画「Building the Future 2030」策定に関するお知らせ』の通りです。当計画における成長戦略を着実に推進することで、2026年6月期においても、高い成長性を維持・拡大してまいる所存です。(単位:百万円) 2025年6月期 実績2026年6月期 予測増減額増減率売上高120,025130,87010,8449.0売上総利益81,23586,7865,5506.8(率)67.766.3△1.4―営業利益30,07932,6422,5628.5(率)25.124.9△0.1―親会社株主に帰属する当期純利益12,73723,81111,07386.9 なお、本業績予想において、主な外国為替レートは、下記を見込んでおります。(単位:円)US$EURO中国元BAHT2026年6月期 予想前提143.00165.0020.004.602025年6月期 実績149.72162.8320.734.41 (ご参考)前期と同条件の為替レートの場合(単位:百万円) 2025年6月期 実績2026年6月期 予測増減額増減率売上高120,025133,63113,60611.3売上総利益81,23589,7858,54910.5(率)67.767.2△0.5―営業利益30,07935,1735,09316.9(率)25.126.31.3― <売上高> (メディカル事業)メディカル事業においては、為替レートを円高の前提で計画しているため、為替によるマイナス影響があるものの、特に海外売上高の成長が高く、増収となる見込みです。 <自社ブランド>国内市場では、非循環器領域において、仕入商品の販売強化に伴う末梢血管系製品の増加などにより、売上高は増加する見込みです。海外市場では、円高影響があるものの、シェア拡大を引き続き推し進めることなどにより、全海外地域において、循環器領域及び非循環器領域共に増加する見込みです。循環器領域においては、特に中国市場において、症例数の拡大が著しく、シェア拡大も含めて引き続き着実に売上拡大を目指してまいります。非循環器領域においては、末梢・脳・腹部血管系ともに増加する予定です。末梢血管系及び脳血管系については米国を中心に、腹部血管系については中国及び米国を中心に拡販を進めてまいります。<OEM>取引先の動向などにより、海外を中心に売上高が減少し推移する予定です。 (デバイス事業) デバイス事業は、為替レートを円高の前提で計画しているため、為替によるマイナス影響があるものの、医療部材・産業部材ともに売上高が増加し、増収となる見込みです。 医療部材については、米国向けの取引増加などにより、売上高は増加する見込みです。 産業部材については、ニッタモールド社の連結子会社化(2025年7月~)による増加に加えて、レジャー関連の取引が好調に推移することなどにより、売上高は増加する見込みです。 <売上総利益>売上総利益は、売上高の増加に伴い増加する見込みです。なお、売上総利益率については、生産性改善などに伴う上昇があるものの、米国関税の影響を受けることにより、低下する予定です。なお、米国関税の影響を除けば売上総利益率は上昇しています。 <販売費及び一般管理費>販売費及び一般管理費は、将来の成長性を持続し、更に伸張させるための先行的な費用を引き続き積極的に投下することを予定しております。研究開発費は、売上高比率は9.9%となる見込みです。販売関連費用は、米国を中心とした販売・マーケティングなどの費用の増強を引き続き予定しており、増加する見込みです。上記以外の費用としては、経営基盤強化のため人件費の増加などを見込んでおります。 <営業外損益・特別損益>営業外損益及び特別損益におきましては、影響額の大きな取引などは、現在のところ見込んでおりません。 (b) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループを取り巻く事業環境に関連して経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。また、資本の財源及び資金の流動性について、運転資金の確保は自己資金でまかない、事業成長するための設備投資・株式投資は手元資金のほか、金額規模が著しく大きい場合等を除き、原則、銀行借入にて対応することとしております。

※本記事は「朝日インテック株式会社」の令和7年年6期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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