| 会社名 | イオンフィナンシャルサービス株式会社 |
| 業種 | その他金融業 |
| 従業員数 | 連15547名 単1716名 |
| 従業員平均年齢 | 40.1歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 11年 |
| 平均年収 | 6328000円 |
| 1株当たりの純資産 | 2136.09円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 72.47円 |
| 決算時期 | 2月 |
| 配当金 | 53円 |
| 配当性向 | 1077.2% |
| 株価収益率(PER) | 16.7倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 3.4% |
| 営業活動によるCF | 3473億円 |
| 投資活動によるCF | ▲1584億円 |
| 財務活動によるCF | ▲199億円 |
| 研究開発費※1 | -円 |
| 設備投資額※1 | 40.53億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 78.83億円 |
| 株主資本比率※2 | 18.7% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 9678.14億円 |
経営方針
| 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社は、金融サービスの提供を通じて持続的な成長の実現及び企業価値の向上に向け、当社グループの存在意義である、Our Purpose「金融をもっと近くに。一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。」を定めています。本パーパスのもとで、小売業発の金融グループの強みである「生活者視点」に立ち、すべてのお客さまのライフステージや生活環境の変化に対応した金融サービスの提供を目指してまいります。 (2)目標とする経営指針 持続的な成長に向けて、収益力の強化及び資本効率の向上を図ることで、経営指標としてROE10.0%の水準の達成、維持を目指してまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題 当社グループを取り巻く環境として、世界情勢では米国新政権の政策についての不確実性、中国の経済成長率の低迷、紛争による政情不安等、先行きへの不透明感が継続しています。 国内では企業の値上げや賃金の上昇が広がり、経済の好循環が期待される一方、個人消費は、エネルギー支援策の縮小や食料品価格の高騰による物価高騰が消費行動に影響を与えています。また、コロナ禍で進展したキャッシュレス決済については、競合各社によるさらにお得で便利なサービス提供に向けた競争が激化しており、当社の主要な事業領域である決済サービスにおける環境変化がより一層加速しています。加えて、デジタル技術の進展に伴い、キャッシュレス決済やオンライン取引の拡大とともに、金融犯罪の手口の高度化・複雑化・巧妙化が進んでおります。 このような状況において、当社は、2030年のありたい姿を「『金融をもっと近くに』する地域密着のグローバル企業」と掲げております。イオングループの強みを再認識し、多様化するお客さま一人ひとりのライフスタイルやニーズの変化への対応に加え、家族を基点に世代を繋ぐ金融サービスを提供するビジネスモデルを確立するとともに、各国・地域では地域密着型の企業として、一人ひとりに寄り添い、お客さまの「不」を解決・解消することで、ありたい姿の実現に向けて取り組んでまいります。加えて、事業ポートフォリオの見直しによる選択と集中により、生産性の向上を進めてまいります。 また、コーポレートガバナンスの高度化は当社グループにおける重要な経営課題と認識しております。イオン銀行は、2024年12月26日に金融庁よりマネー・ローンダリング及びテロ資金供与管理態勢に関し、業務改善命令を受けました。今回の処分を厳粛に受け止め、イオン銀行においては直ちに改善委員会を設置し、業務改善計画書の策定及び管理態勢強化に取り組んでおります。 さらに、当連結会計年度においては当社グループが発行するクレジットカードにおけるオフライン取引の一部について、第三者の不法行為による不正利用と認められた取扱金額を貸倒関連費用として特別損失に計上しました。 当社グループは最新の金融犯罪に関する情報収集、分析、対策に継続的に取り組んでまいります。近年巧妙化するサイバー犯罪等の不法行為に対しては、専門部門の設置等による異常検知モニタリング体制の強化や業界各社、関係団体との連携強化等による未然防止の強化を図り、お客さまへの安全なサービス提供に取り組んでまいります。 変化の激しい事業環境において、当社グループは中期戦略と事業ポートフォリオとの連動を通じて、グループ全体の事業成長に資するガバナンス体制の構築を目指します。リスク管理の高度化とコンプライアンス意識の深化及び内部統制システムの実効性向上を取り組むと同時に、ステークホルダーからのフィードバックを迅速に経営へ反映させる仕組みを構築し、持続可能な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 当社グループのOur Purposeのもと、中期経営計画「第二の創業:バリューチェーンの革新とネットワークの創造」の基本方針を掲げ、アジア各国のお客さまに、より革新的な金融サービスの提供を目指し、下記の取組を進めてまいります。<国内事業における重点施策>①イオン生活圏の構築に向けたインフラづくり イオングループでは、グループ各社の総合力を組み合わせて、地域に根差した商品・サービス・生活基盤をシームレスに提供することでイオン生活圏を創造し、お客さまの生活を豊かにしていくことを成長戦略の一つとして掲げております。 当社グループは、その「イオン生活圏」を金融サービスで繋ぐインフラづくりの役割を担っております。国内市場においては「規模の経済の発揮とイオンの金融らしさの追求」の実現を目指し、電子マネー「WAON」とコード決済「AEON Pay」の融合を通じた顧客基盤の拡大や顧客接点の強化により、クロスセルを促進してまいります。また、アジアを繋ぐ決済ネットワークを構築するため、他社提携を含め、先進的な取組を行ってまいります。 ②地域・お客さまの生活インフラニーズの取り込み 国内においては、イオンリテール株式会社より承継した電子マネー「WAON」と当社の提供するコード決済「AEON Pay」の融合に加え、ご当地設定機能の開発を進める等、地域性を活かした魅力あるサービスに進化させてまいります。また、当社グループ内での営業の一体運営に向けて、点在している営業タッチポイントの役割の再定義、最適化を進め地域に根差したエリア戦略を実行することで、イオングループ及び当社グループにおけるシナジーの最大化を図ってまいります。また、既存の商品の使いやすさを追求することに加えて、お客さまのライフスタイルに合わせた新たな商品・サービスを開発し、これまでご利用いただいていなかったお客さまのニーズを取り込んでまいります。 ③リスク・コストコントロール能力の向上 AIを活用したスコアリング等による与信・債権管理の高度化に継続的に取り組んでいます。また、クレジットカードの不正利用が増加している中で、当社としては専門組織を設置し、利用通知サービスやカード不正利用検知等の対策を強化することで、お客さまの日々の生活に安全と安心を提供できるように取り組んでまいります。 <国際事業における重点施策>①各国でのデジタル金融包摂の実行 マレーシアにおいて2022年4月にデジタルバンクのライセンスを取得し、2024年5月に営業を開始しました。デジタルバンク事業を営むAEON BANK (M) BERHADでは、AI分析など最新技術を導入し、お客さまの収入の変動やライフステージの進展による金融ニーズの変化を踏まえて、当社グループのサービスを継続してご利用いただけるよう、LTV最大化を推進するビジネスモデルを構築してまいります。マレーシアで構築したシステムアーキテクチャー、AI活用、金融包摂などにおける成功事例を当社グループ各社へ水平展開し、海外各社のビジネスモデル転換を加速させてまいります。 ②事業・提供商品・展開エリアの拡大 ベトナムにおいて、グループ一体となってイオン生活圏の拡大をさらに加速するため、イオングループ共通ポイントであるWAON POINTを開始するとともに、現地で個人向けローン事業を展開するPost and Telecommunication Finance Company Limitedの持分を取得し、完全子会社化しました。当社グループの海外事業における第4の柱とするべく、成長戦略を強化するとともに、提供する商品・サービスのラインナップを拡充することで、お客さまの暮らしをさらに豊かにできるよう取り組んでまいります。 ③都市と地方のニーズの違いに応じたエリア戦略立案 与信戦略については、各国において、フォワードルッキングな与信管理モデルの構築に取り組んでおります。地域ごとの顧客属性や商品ポートフォリオを細かく分析し、生涯予測収益、貸倒費用の把握をするとともに、営業施策や審査基準へ活用し、エリア戦略立案を進めます。これにより、収益の最大化及び貸倒費用の抑制を図り、利益の最大化を目指してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
| 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。 (1)経営成績の状況①連結経営成績の状況 当連結会計年度の連結営業収益は5,332億62百万円(前期比109.8%)、連結営業利益は614億85百万円(前期比122.8%)、連結経常利益は625億54百万円(前期比122.2%)と増収増益となりました。他方、当社グループが発行するクレジットカードにおけるオフライン取引の一部について、第三者の不法行為による不正利用と認められた取扱金額を貸倒関連費用として99億45百万円、2025年2月3日に連結子会社化したPost and Telecommunication Finance Company Limitedに関連する「のれん」について、事業計画の見直しに伴う減損処理を実施したことによる減損損失を38億83百万円、特別損失に計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は156億44百万円(前期比74.9%)となりました。 当連結会計年度に発生した、オフライン取引の一部で第三者の不法行為による不正利用と認められる取引については、各種対策に取り組んだことにより新たな被害発生の抑止が図れております。 また、当社はこれまで国内市場で増加するフィッシング詐欺等によるクレジットカード不正利用を防ぐため、本人認証サービス(3Dセキュア)の導入や24時間365日、不正利用を察知する異常検知モニタリング等のセキュリティ体制を構築してきました。近年巧妙化するサイバー犯罪等の不法行為に対し、専門部門の設置等による異常検知モニタリング体制の強化や業界各社、関係団体との連携強化等による未然防止の強化を図り、お客さまへの安全なサービス提供に取り組んでまいります。 当社は、金融サービスの提供を通じた持続的な成長を実現するため、当社グループの存在意義をOur Purpose「金融をもっと近くに。一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。」と定めています。Our Purposeのもと、小売業発の金融グループの強みである「生活者視点」に立ち、展開するアジア各国において、全てのお客さまのライフステージや生活環境の変化に対応した金融サービスの提供を目指しております。 また、2030年のありたい姿を「『金融をもっと近くに』する地域密着のグローバル企業」と設定し、中期経営計画(2021年度~2025年度)を、ありたい姿の実現に向けた「変革フェーズ」と位置づけ、事業環境の変化を踏まえた最適な事業ポートフォリオへの見直しや、デジタルを活用した新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいます。 当連結会計年度は、世界的な政情不安の継続や中国経済の成長鈍化に加え、米国の通商政策による各国経済への影響が懸念される等、先行きへの不透明感が継続しました。国内では、雇用・所得環境の改善や日本銀行のマイナス金利政策解除による「金利ある世界」への動き等により、景気は緩やかな回復傾向となりました。他方、原材料価格の高騰やエネルギー価格の高止まりによる物価上昇を背景に実質賃金の減少が継続しており、個人消費は力強さに欠ける状況となりました。 このような状況のもと当社は、国内外においてお客さまの決済及び資金ニーズの変化に対応した商品・サービスの提供を通じ、利回りの高い債権を中心とする営業債権残高の拡大による資産収益性の向上を図りました。また、さらなる生産性の向上に向け、費用効率を重視した会員獲得の実施などの経費コントロールを徹底するとともに、お客さまにとってわかりやすく、気軽に金融サービスへアクセスいただける環境を目指し、店舗やコンタクトセンター、スマホアプリ等のチャネルで各商品・サービスを横断的に提供できるタッチポイントの改善に取り組みました。 事業ポートフォリオの見直しでは、お客さまへ革新的な金融サービスを提供し続けるため、事業環境の変化を踏まえた経営資源の再配分を進めております。 国内では、イオン生活圏におけるお客さまへの提供価値の最大化を図るため、2025年2月28日、GMS事業を営むイオンリテール株式会社のWAONバリュイシュア事業の譲受を完了しました。電子マネー「WAON」とコード決済「AEON Pay」を融合し、両決済チャネルの持つ加盟店網及び顧客基盤を合わせることで、より利便性の高い決済サービスの提供に繋げてまいります。 国際では、成長著しいアジア各国でデジタルを活用した新規ビジネスの構築や、展開エリアにおける事業拡大を図っております。マレーシアでは、新たな銀行の業態であるデジタルバンク事業を営むAEON BANK (M) BERHADが2024年5月26日に開業し、顧客基盤の拡充に取り組みました。ベトナムでは、2024年10月7日より現地法人ACS TRADING VIETNAM CO.,LTD.において、イオン生活圏の構築に向けたインフラの役割を担う共通ポイント事業を開始しました。加えて、2025年2月3日には、ベトナムのファイナンス会社であるPost and Telecommunication Finance Company Limited(以下、PTF)の持分取得を完了し、当社連結子会社としております。今後、PTFの持つ顧客基盤やノウハウの活用と、共通ポイントを通じたイオングループ共通の顧客基盤の拡充により、イオングループの共通戦略におけるアジアシフトの最重要国の一つと位置付けているベトナムでの、イオン生活圏拡大に取り組んでまいります。 なお、生命保険事業に関しては他社との提携を含めた戦略の見直しが必要であるとの判断により、2025年3月21日に生命保険事業を営む当社連結子会社イオン・アリアンツ生命保険株式会社の発行済株式の85.1%を、明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田)に譲渡することを決議し、本株式譲渡に係る株式譲渡契約書を締結いたしました。あわせて当社は、明治安田及び当社親会社であるイオン株式会社と包括的パートナーシップ契約を締結し、3社のそれぞれが有する経営基盤やノウハウ等の強みを活かし、健康増進や地域活性化に資する提供価値を共創し、価値ある商品・サービスの提供を行ってまいります。 ②セグメントの状況<国内・リテール> 国内・リテール事業の営業収益は1,933億79百万円(前期比111.8%)、営業利益は105億3百万円(前期比223.5%)となりました。 当連結会計年度では、ショッピングリボ・分割を中心とした収益の拡大に加え、有価証券の運用による収益が堅調に推移した結果、増収増益となりました。 リテール事業では、Web及びスマホアプリ「イオンウォレット」のUI、UX向上に加え、AIを活用したスコアリングをもとにした個別アプローチの強化により、ショッピングリボ・分割払いやカードキャッシングの利用が拡大し、営業債権残高が増加しました。 ショッピングリボ・分割払いにおいては、昨年度導入した、Web及びスマホアプリで支払額の確認が可能となるシミュレーション機能に加え、ご利用明細別やご利用日単位でリボ払いに変更できる機能等による利便性の向上や、アプリの視認性及び操作性の改善に継続して取り組んだことで、ショッピングリボ・分割払い利用者の増加に繋がりました。カードキャッシングにおいては、新規又は過去利用経験のある会員を対象とした利用促進施策の実施に加え、AIを活用したスコアリングをもとに個別アプローチを強化しました。これらの結果、債権流動化前のショッピングリボ・分割債権残高は3,615億66百万円(期首差507億96百万円増)、キャッシング債権残高は4,279億3百万円(期首差155億81百万円増)と、営業債権残高が順調に増加しました。 株式会社イオン銀行(以下、イオン銀行)では、日本銀行による金融政策の見直しや金利情勢の変化を踏まえ、2024年5月及び2024年10月に円預金及びローン金利の改定を実施しました。また、金融環境のさらなる変化に合わせ、2025年3月1日にも円預金及びローン店頭表示金利の改定を実施しております。 円預金においては、高まるお客さまの預金ニーズに応えるため、定期預金キャンペーンの実施、退職金定期預金の開始や、給与振り込み口座設定のお客さまに対してお得な金利を適用する等の施策に取り組んだ結果、イオン銀行の預金残高は5兆2,016億33百万円 (期首差6,622億60百万円増)と増加しました。 各種ローン商品においては、市場環境に合わせ、住宅ローンの変動金利の引き上げを行うとともに、新規契約の拡大に向け、住宅ローン契約者さま限定でイオングループでのお買い物が毎日5%割引となる「イオンセレクトクラブ」のメディアや店頭等での告知強化に取り組み、継続して当社グループ独自のメリット訴求による取扱高の拡大に努めました。これらの取組の結果、住宅ローン取扱高は5,579億13百万円(前期比99.9%)、債権流動化前の居住用住宅ローンの貸出金残高は2兆9,071億35百万円(期首差928億10百万円増)となりました。無担保ローンにおいても、教育ローン等の金利改定を実施するとともに、イオンカード会員さまへの目的別ローンの訴求や、イオングループ店頭における告知強化による利用促進を図りました。 資産形成サービスでは、NISAをはじめとした資産運用応援キャンペーンの他、お買い物ついでに立ち寄れるショッピングセンター内にあるリアル店舗の強みを活かしたセミナー開催や保険等の対面相談ニーズにお応えすることで、資産形成関連の販売額は順調に推移しました。 2024年12月2日には、全国のイオングループ店舗に出店するイオン銀行店舗と保険代理店サービスを展開する「イオンのほけん相談」店舗の一体運営を開始しました。さまざまな金融サービスをワンストップで提供することで、お客さま利便性のさらなる向上を図ってまいります。 イオン銀行では、2024年12月26日に金融庁より、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与(以下、マネロン・テロ資金供与)管理態勢に関し、銀行法第26条第1項の規定に基づく業務改善命令を受けました。当社及びイオン銀行は今回の処分を厳粛に受け止め、真摯に反省するとともに、同管理態勢の改善に一体となり取り組んでおります。 イオン銀行は、2025年1月31日に本命令の趣旨を踏まえた業務改善計画書を金融庁に提出するとともに、同年3月14日に業務改善計画の進捗状況(2025年2月末基準)を金融庁へ報告いたしました。引き続き全社をあげて業務改善計画を着実に実行することで、マネロン・テロ資金供与対策に係る態勢強化を図り、お客さまに安心してご利用いただけるよう、信頼の回復に努めてまいります。 <国内・ソリューション> 国内・ソリューション事業の営業収益は1,925億円(前期比100.9%)、営業利益は98億8百万円(前期比117.3%)となり、増収増益となりました。 当連結会計年度は、クレジットカード及びコード決済「AEON Pay」の顧客基盤及び加盟店ネットワークの規模拡大に取り組んだことで、個品割賦事業を営むイオンプロダクトファイナンス株式会社(現株式会社オリコプロダクトファイナンス)を譲渡したことによる影響を上回り、営業収益は増収となりました。営業利益は、国内で増加するフィッシング詐欺等によるクレジットカードの不正利用被害への補償費用の計上により貸倒関連費用が増加した一方、子会社譲渡による営業費用の減少に加え、新規会員獲得等に係る販促施策の見直しにより販売促進費が前期比で減少したことで、増益となりました。 ソリューション事業では、顧客基盤の拡充に向け提携先企業との連携強化を図るとともに、インターネット上での会員獲得におけるアフィリエイト等の出稿チャネル及び運用方法の見直しによる獲得効率の向上に継続して取り組みました。また、中国・四国・兵庫エリアにおける顧客基盤の拡充に向けた株式会社フジとの新たな提携カードの発行や、新規入会者限定で入会から1か月間、イオンモールや対象のイオングループ店舗にて、まいにち5%割引でお買い物いただける企画の実施等、イオングループとの連携を強化しました。コード決済「AEON Pay」においては、従来のクレジットカード払いや銀行口座からのチャージに加え、ATMでの現金チャージが可能となる機能を拡充し新規利用促進に取り組んだ結果、クレジットカード会員及びAEON Pay会員は順調に拡大し、国内有効ID数は3,615万人(期首差209万人増)、内カード有効会員数は2,616万人(期首差32万人増)となりました。なお、当期より国内におけるカード有効会員数の基準を見直し記載しております。また、期首増減数値は変更後の基準に基づき記載しております。 カードショッピングにおいては、物価上昇を背景とした日常消費での節約志向が根強く、利用単価の伸び悩みが見られる中、イオングループや提携先企業、加盟店における共同販促施策の実施や、2024年4月より開始した全国のイオンモール専門店においてゴールド会員限定で毎月20日・30日のお買い物が5%割引となる「お客さま感謝デー」特典の認知向上に取り組みました。また、「AEON Pay」においては、イオングループ店舗でのAEON Pay決済限定企画の実施や、あらゆる生活シーンで気軽に利用可能な決済手段を目指し、日常生活に密着した業態を中心にAEON Pay加盟店の拡大に取り組みました。AEON Payの利用可能箇所数は少額決済需要の高いカフェ等の飲食店やコンビニに加え、ドラッグストア等の小売店及びカラオケ等のサービス業種等を中心に拡大を図った結果、期首より108万箇所増となる303万箇所となりました。これらの結果、カードショッピング取扱高は7兆4,925億11百万円(前期比105.8%)となりました。<国際・中華圏> 中華圏の営業収益は355億96百万円(前期比116.2%)、営業利益は93億19百万円(前期比105.9%)となりました。 中華圏の主要エリアである香港では、中国経済の停滞による景気回復の遅れや物価高の影響による生活者負担の増加が継続しております。そのような状況の中、拡大する香港居住者による中国本土での消費ニーズに対応した決済利便性の向上及び利用促進施策の実施等に継続して取り組んだ結果、営業収益は拡大しました。また、外部信用情報を活用したスコアリングモデルの精緻化による与信精度の向上やお客さまの状況に合わせた返済方法の提案等の与信及び回収体制の強化に継続して取り組んだ結果、営業利益は前期を上回りました。 香港の現地法人AEON CREDIT SERVICE(ASIA)CO.,LTD.(以下、ACSA)は、お客さまのスマホでの決済ニーズの高まりに合わせたNFC(Near Field Communication)決済等のモバイルペイメントの推進に取り組みました。また、拡大する中国本土での消費ニーズに合わせた中国・深?を中心としたイオングループ店舗における共同施策の実施や、増加する訪日観光客を対象に、イオンリテール株式会社の実施するインバウンド企画をACSAのWeb及びスマホアプリ等の各種媒体で訴求する等、イオングループ各社との協業強化による利用促進に取り組んだ結果、カードショッピング取扱高は2,181億31百万円(前期比121.6%)と順調に拡大しました。 カードキャッシングや個人向けローンでは、データ分析をもとにしたテレマーケティングやアプリ通知機能を活用した個別アプローチを強化するとともに、ACSAのスマホアプリ上でペーパーレスにて即時借入可能な個人向けローンの提供や、融資における審査時間の短縮に継続して取り組みました。これらの資金ニーズに応えた取組の強化により、 カードキャッシング取扱高は478億14百万円(前期比113.3%)、ローン取扱高は301億94百万円(前期比90.1%)となりました。 <国際・メコン圏> メコン圏の営業収益は957億79百万円(前期比106.5%)、営業利益は160億7百万円(前期比100.8%)となりました。 メコン圏の主要エリアであるタイでは、観光業の堅調な回復や公共事業の拡大等が牽引し、経済環境は回復傾向にあるものの、依然としてエネルギー価格の高騰やインフレによる家計の圧迫が継続しました。そのような中、タイの現地法人AEON THANA SINSAP (THAILAND)PCL.(以下、ATS)はバイク・中古車ローン等の取扱高が順調に推移し、営業収益は拡大しました。他方、審査並びに途上与信の精緻化や回収体制の強化による貸倒関連費用の抑制に取り組んだものの、回収体制の強化に係る人件費等の増加により、営業利益は前期と概ね同水準となりました。 当連結会計年度のメコン圏のカードショッピング取扱高は2,085億54百万円(前期比108.0%)となりました。ATSでは、EC需要やスマホ決済ニーズの高まりに合わせ、2024年1月にタイで初めてとなる完全カードレスのデジタルクレジットカード「AEON NextGen」、2024年11月には若年層をターゲットとした「AEON PRiMO」を発行し、商品・サービスのデジタル化に取り組みました。また、SNS等のソーシャルメディアを活用した訴求を強化し、ブランド認知度の向上及び新規会員獲得の強化に取り組みました。 個人向けローンでは、休眠会員や未稼働会員を対象に、金利優遇施策のプロモーション強化に取り組み、取扱高は1,141億96百万円(前期比104.4%)となりました。 貸倒関連費用の抑制に向けては、AIスコアリングを活用した与信精緻化や外部委託先を活用した債権回収の強化に継続して取り組みました。 平均年齢が若く今後も経済成長が見込まれているベトナムでは、イオングループにおいても海外戦略の最重要国の一つと位置付け、小売店舗網も拡大しております。当社は、ベトナム現地法人ACS TRADING VIETNAM CO.,LTD.(以下、ACSTV)が2008年に現地で家電や二輪車等の自社割賦販売を中心に事業展開を開始し、現地のお客さまの生活に密着したサービスの提供に取り組んでまいりました。 2024年10月7日には、ACSTVがベトナムにおけるイオングループ共通ポイント「WAON POINT」サービスを開始しました。また、2025年2月3日には、当社は現地で個人向けローン等を提供するファイナンス会社Post and Telecommunication Finance Company Limited(以下、PTF)の持分を取得し、完全子会社化しました。今後は個人向けローンを中心とした新たな商品の提供によるベトナムのお客さまの金融ニーズに応えるとともに、共通ポイント及び金融サービスを通じイオングループ一体となってベトナムにおけるイオン生活圏の拡大に取り組んでまいります。<国際・マレー圏> マレー圏の営業収益は911億39百万円(前期比124.9%)、営業利益は134億21百万円(前期比99.1%)となりました。 マレーシアでは、雇用環境の改善及び個人所得の増加を背景とした個人消費の拡大や安定した内需拡大により、経済成長が進んでおります。そのような中、主力であるバイクをはじめとする個品割賦事業や個人向けローン等の取扱高が順調に推移し、営業債権残高が増加したことにより、営業収益は前期を上回り増収となりました。営業収益の拡大により、営業債権残高拡大に伴う貸倒関連費用や2024年5月に開業したデジタルバンク事業を営むAEON BANK(M)BERHAD(以下、ABKM)の告知強化等に係る費用の増加を吸収し、営業利益は前期と概ね同水準となりました。 マレー圏では、マレーシア現地法人AEON CREDIT SERVICE(M)BERHAD(以下、ACSM)において、イオングループで小売事業を営むAEON CO.(M)BHD.及びAEON BIG (M) SDN.BHD.との共同利用促進施策「お客さま感謝デー」での特典拡充及び店頭やSNS等のチャネルを通じた訴求強化による認知度の向上に取り組みました。またACSMのスマホアプリをリニューアルし、即時発行可能なデジタルクレジットカード機能の搭載やカード申込に係る導線改善等の利便性向上を図ったことで、クレジットカード発行枚数は過去最高となり、マレー圏のカードショッピング取扱高は740億51百万円(前期比130.2%)となりました。 バイクローンにおいては、外部信用情報を活用した即時仮与信機能やAIクレジットスコアリングを導入した与信のさらなる精緻化に取り組みました。また、加盟店との共同販促企画や顧客スコアに応じた金利優遇施策を実施した結果、マレー圏の個品割賦の取扱高は1,397億85百万円(前期比116.9%)と順調に拡大しました。 個人向けローンにおいては、スマホアプリのUI/UX向上によりアプリを通じた新規申込が増加しました。また、過去利用状況に加え、外部信用情報を活用することによる自動承認機能の強化による審査効率の向上を図った結果、個人向けローンの取扱高は779億69百万円(前期比122.3%)と伸長しました。 2024年5月に開業したABKMは、マレーシアで広く普及するイスラム金融方式の商品・サービスを採用し、預金及びデビットカードの提供による若年層を中心とした顧客基盤の拡大に取り組みました。2025年3月5日には、新たに個人向けローン「Personal Financing-i」の提供を開始し、お客さまのニーズに即した金融商品・サービスの拡大を図っております。 (2)財政状態の状況 資産の部、負債の部、純資産の部における主な増減内容は次のとおりであります。(資産の部) 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より8,109億20百万円増加し、7兆7,564億92百万円となりました。これはカードキャッシングや個人向けローンの残高拡大及び居住用住宅ローン貸出金残高の増加等により貸出金が3,923億58百万円、銀行業における有価証券が1,960億48百万円、WAONバリュイシュア事業承継等により流動資産その他が1,555億99百万円増加したこと等によるものです。 (負債の部) 負債合計額は、前連結会計年度末より7,994億71百万円増加し、7兆1,707億26百万円となりました。これは資金決済口座としての利用拡大や定期預金キャンペーンの効果などにより預金が6,678億78百万円、及びWAONバリュイシュア事業承継等により流動負債その他が881億90百万円増加したこと等によるものです。 (純資産の部) 純資産合計額は、前連結会計年度末より114億49百万円増加し、5,857億66百万円となりました。これは利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により156億44百万円、為替換算調整勘定が66億99百万円、非支配株主持分が87億9百万円増加した一方、利益剰余金が期末及び中間配当金の支払いにより114億41百万円、及びその他有価証券評価差額金が83億47百万円減少したこと等によるものです。 (3)資本の財源及び資金の流動性についての分析①キャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローについては、銀行業における預金残高の増加等により、3,473億37百万円の収入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローについては、有価証券の取得による支出が有価証券の売却・償還による収入を上回ったこと等により、1,584億79百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払等により、199億19百万円の支出となりました。 以上の結果により現金及び現金同等物は1,695億86百万円増加し、7,950億68百万円となりました。②資金需要 当社グループの主な資金需要は、個人向けの金融サービスの提供に係る、貸出金及び割賦売掛金、並びにお客さま利便性向上のためのIT、デジタル投資等であります。③資金調達 当社グループは円滑な事業運営のための流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を調達の基本方針としており、調達期間の長期化、調達手法の多様化等により、手元流動性と財務安定性を確保することに注力しています。 国内は銀行業における預金に加え、メガバンクを中心とした金融機関から間接調達のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行及び債権流動化による直接金融により資金調達を実施しております。海外は主に邦銀、現地銀行からの間接調達等により資金調達を実施しております。 また当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付はA(安定的)、格付投資情報センターの格付はAマイナス(安定的)となっております。また主要な金融機関とは良好な関係を維持していることから、引き続き、事業拡大や投資、運転資金の調達に対して安定的な外部資金調達が可能であると認識しております。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 |
※本記事は「イオンフィナンシャルサービス株式会社」の令和7年2月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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