企業の財務諸表を読むとき、損益計算書や貸借対照表だけで満足していませんか? 実は「キャッシュフロー計算書」こそが、企業のリアルな資金の動きを映し出す鏡なんです。
今回は、営業・投資・財務の3つのキャッシュフローがプラスかマイナスかによって、企業の状態を8つのパターンに分類して読み解く方法を紹介します!
そもそもキャッシュフローって?
キャッシュフロー計算書は、企業の現金の出入りを以下の3つに分けて記録します:
- 営業活動によるキャッシュフロー(CFO):本業で稼いだ現金
- 投資活動によるキャッシュフロー(CFI):設備投資や資産売却など
- 財務活動によるキャッシュフロー(CFF):借入・返済・配当など
それぞれがプラス(現金が入ってきた)かマイナス(現金が出ていった)かで、企業の経営方針や体力が見えてきます。
キャッシュフローの8パターンと企業の状態
営業CF | 投資CF | 財務CF | 状態タイプ | 説明 |
---|---|---|---|---|
+ | − | − | 安定運営型 | 本業で稼ぎ、投資しながら借入返済や株主還元もできている理想形 |
+ | − | + | 成長企業型 | 本業で稼ぎつつ、資金調達して積極的に投資している攻めの姿勢 |
+ | + | − | 財務改善型 | 本業は好調だが、資産売却で得た資金を借入返済に充てている |
+ | + | + | 転換型 | 本業好調+資産売却+資金調達=大規模な事業転換の兆し |
− | − | + | 大勝負型 | 本業不調でも資金調達して積極投資。リスクは高いが成長余地あり |
− | + | + | 延命型 | 本業不調で資産売却+借入で資金繋ぎ。再建中の可能性 |
− | + | − | 融資途絶型 | 本業不調+資産売却で借入返済。銀行に見放されている可能性も |
− | − | − | 危機型 | 本業も不調、投資も継続、借入返済もしている。過去の蓄えを切り崩し中 |
読み解きのポイント
✅ 営業CFがプラスかどうかが最重要
本業で現金を稼げているかどうかは、企業の生命線。ここがマイナスだと、他のCFが良くても要注意。
✅ 投資CFのマイナスは必ずしも悪くない
積極的な設備投資やM&Aなど、将来の成長に向けた支出ならむしろ好材料。
✅ 財務CFのプラスは資金調達中
借入や増資で現金を得ている状態。成長期ならOK、延命目的ならリスクあり。
事例でイメージしてみよう
- トヨタ自動車:営業CF+、投資CF−、財務CF− → 安定運営型。自力で稼ぎ、投資し、借入返済もできる。
- ソフトバンクグループ:営業CF+、投資CF−、財務CF+ → 成長企業型。資金調達して積極投資。
- 日立造船:営業CF−、投資CF+、財務CF+ → 延命型。資産売却と借入で資金繋ぎ。
まとめ:キャッシュフローは企業の“行動の理由”を映す鏡
損益計算書が「利益」を示すのに対して、キャッシュフロー計算書は「現金の動き」を示します。 その組み合わせを読むことで、企業が今どんな戦略をとっているのか、どんな課題を抱えているのかが見えてくるんです。
投資判断の精度を高めたいなら、キャッシュフローの組み合わせ分析は必須スキル! 次に決算書を読むときは、ぜひキャッシュフロー計算書にも目を向けてみてくださいね
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