西日本旅客鉄道株式会社の基本情報

会社名西日本旅客鉄道株式会社
業種陸運業
従業員数連45450名 単21665名
従業員平均年齢37.3歳
従業員平均勤続年数13.5年
平均年収6841776円
1株当たりの純資産2458.45円
1株当たりの純利益(連結)240.08円
決算時期3月
配当金84.5円
配当性向49.9%
株価収益率(PER)12.1倍
自己資本利益率(ROE)(連結)10.1%
営業活動によるCF2814億円
投資活動によるCF▲2631億円
財務活動によるCF▲1261億円
研究開発費※160億円
設備投資額※17億円
販売費および一般管理費※1793.98億円
株主資本比率※223.5%
有利子負債残高(連結)※313059.14億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 当社グループを取り巻く経営環境 当社グループを取り巻く経営環境は、国内景気の緩やかな回復基調や、堅調なインバウンド需要が継続しています。一方で、自然災害の激甚化、コロナ禍を契機とした行動変容やニーズの多様化、人口減少に伴う市場の縮小や人財獲得競争の激化、インフレ社会の到来に加え、米国に端を発した世界経済の先行き不透明感、生成AI等の革新的技術の進化等、急速かつ構造的な環境変化に直面しています。 (2) 経営の基本方針 当社グループは、「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という確固たる決意のもと、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上に取り組んでいきます。 2023年4月には、未来社会におけるJR西日本グループの存在意義を見つめなおし、めざす姿として「私たちの志」を策定しました。この「私たちの志」をグループ全体の羅針盤として、グループ一丸となって取り組んでいます。 私たちの志人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。私たちは、これからも安全、安心を追求し、高め続けます。人と人、人とまち、人と社会を、リアルとデジタルの場でつなぎ、西日本を起点に地域の課題を解決します。そして、持続可能で活力ある未来を創り、その先の一人ひとりが思い描く暮らしを様々なパートナーと共に実現していきます。  これまで、鉄道や駅を中心に人と人、人とまちをつなぎ、安全で豊かな社会づくりに貢献できるよう努力を積み重ねてきましたが、インフラを担う企業として、未来においても社会づくりに貢献する役割を果たし続けていくため、大きな転換期を迎えているこれからの社会の課題と向き合い、求められる価値を、事業活動を通じて提供していきます。 とりわけ、一人ひとりの暮らし、まち、社会全体が直面する課題に着目したとき、安全を基盤に広域で人と人、まち、社会をつなぐインフラサービスを提供し、またグループ全体で多くのお客様との接点、地域とのつながりを持つ当社グループは、これまで以上にお客様視点で「つながりを進化させる」ことで、大きな役割を果たしていくことができ、それこそが、未来の社会における私たちの存在意義と考えます。 引き続き、鉄道の安全性向上に向けた不断の取り組みを積み重ねていくことを基盤としつつ、様々なパートナーとの共創とイノベーションにより、「地域共生企業」として事業を通じて社会や地域の課題解決に貢献することで、社会的価値と経済的価値をあわせて創出し、よりよい未来を創り上げていきます。 (3) 中長期的経営戦略 当社グループは、「私たちの志」の実現に向け、2032年のありたい姿として「長期ビジョン2032」(以下、「長期ビジョン」)を策定し、重点的に向き合う社会課題を以下の4つに設定しました。  <安全、安心で、人と地球にやさしい交通>  交通全体がシームレスなサービスとして認識され、定着している未来 <人々が行きかう、いきいきとしたまち>  地域の魅力が高まり、定住・交流・関係人口が増加していく未来 <一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし>  リアルの良さとデジタルの組み合わせで、個客体験が大きく高まる未来 <持続可能な社会>  様々なパートナーとの連携を通じて、持続可能な社会システムが構築されている未来  この「長期ビジョン」の実現に向け、鉄道の安全性向上に向けた不断の努力に加え、鉄道を中心としたモビリティサービス分野の活性化、ライフデザイン分野の拡大に挑戦し、最適な事業ポートフォリオを構築することで、将来にわたって持続的に価値創造を実現する企業グループに成長していきます。具体的には、大阪・関西万博開催を契機として西日本エリアのさらなる活性化を図るとともに、グループ共通会員である「WESTER会員」を軸として「WESTERアプリ」や「モバイルICOCA」、「Wesmo!」といったデジタルサービスを活用し、分野にとらわれないグループ横断的な取り組みを積極的に実施するなど、グループ一体でのシナジーの発揮による一層の価値創造をめざします。 「JR西日本グループ中期経営計画2025」(以下、「中期経営計画2025」)では、「長期ビジョン」実現に向けた第一ステップとの位置づけのもと、足元の機会を最大限活かした成長を加速するため、5つの重点戦略を掲げています。 ① 鉄道の安全性向上② 主要事業の活性化と構造改革③ 不動産・まちづくりのさらなる展開④ デジタル戦略による多様なサービスの展開⑤ 新たな事業の創出 あわせてサステナビリティ経営の実現に向けて、地域共生、地球環境保護、人的資本経営、ガバナンスの強化・リスクマネジメント・人権の尊重等に取り組んでいます。 ①鉄道の安全性向上〇福知山線列車事故を原点とし、安全を追求し続け、弛まぬ努力を継続・被害に遭われた方々への真摯な対応・「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」(以下、「安全考動計画2027」)の推進<ホーム安全>・ホーム柵やホーム安全スクリーンの整備を推進<踏切安全>・大型車が踏切に停滞していることを列車の運転士に音声で知らせる装置の整備を推進<地震対策>・地震発生時の安全性向上に向けて、耐震補強や逸脱防止対策を推進<安全最優先の風土の醸成>・「現場の判断を最優先するマネジメント」の確立・「お客様を想い、ご期待にお応えする」考動<組織全体で安全を確保する仕組みの充実>・リスクアセスメントの質の向上・「心理的に安全なチーム」づくり・現場起点の考動による課題解決への挑戦<一人ひとりの安全考動の実践>・「大切にしたい5つの価値観」の共有、主体的な実践<ハード・ソフトの機能向上>・ハード・ソフト両面の改良・改善による安全性向上・安全で安定的な輸送の提供(輸送の質の向上)<社会とつながり、社外から学ぶ>・関係機関との自然災害等の事象発生時の対応に関する対話・他鉄道事業者等から安全対策を学び、採り入れる取り組みの推進 ②主要事業の活性化と構造改革ア.モビリティ業〇「お客様を想い、ご期待にお応えする」ことを強く意識し、CSを戦略の根幹とした顧客起点の経営を実現〇新幹線を基軸とした鉄道ネットワークの充実と、交流人口・関係人口の創出に挑戦・山陽新幹線各エリア:利便性の向上によるご利用促進等・北陸エリア:北陸新幹線金沢・敦賀間開業の効果最大化・山陰エリア/南紀エリア:新型車両投入による旅の魅力向上等・デジタルの活用、多様化するニーズに対応した営業施策〇関西国際空港とのアクセス向上と、2025年の大阪・関西万博を契機とした取り組み(会場アクセス整備・駅改良の推進、大阪デスティネーションキャンペーン等)を通じて、国内外の様々なお客様が行き交う魅力的な関西都市圏を実現〇技術戦略に基づき日々の業務プロセス(お客様サービス、運行オペレーション、保守メンテナンス手法)を変革し、鉄道事業の活性化を支える生産性向上と持続可能なシステム構築、価値創造を実現イ.物販・飲食業〇お客様のデイリーニーズへのきめ細やかな対応力を磨き上げて、一人ひとりにやさしく便利で豊かな暮らしを実現(外部提携による競争力向上、既存店舗の磨き上げ、ヴィアインのブランド再構築)ウ.ホテル業〇旅の魅力や人々のつながりを創り、最高の笑顔とチームワークでおもてなしを提供し、まちの価値向上に貢献(新ホテルの開業、既存ブランド価値の再構築)エ.ショッピングセンター業〇強みであるリアルを軸に、デジタルでもお客様とテナントをつなぎ、「地域一番のエリアプラットフォーマー」を実現(変化する消費に応えるリアルコンテンツの充実、リアル・デジタルによるお客様接点の拡大・強化、地域特性を捉えた館づくり) ③不動産・まちづくりのさらなる展開〇地域の皆様と連携して安心して暮らし・過ごせるコミュニティを形成し、地域・社会の課題解決に貢献(駅からはじまるまちづくりの推進、展開領域のさらなる拡大、マネジメント分野の強化と資産効率向上)〇拠点駅の大規模開発と周辺まちづくりの促進、エリアマネジメントの推進により、人々が訪れたくなる、いきいきとしたまちを創出(拠点駅開発(大阪、広島、三ノ宮)、まちなかの体験価値向上) ④デジタル戦略による多様なサービスの展開〇データやデジタル技術を駆使し、お客様一人ひとりとグループの多様なサービスをつなぐことで心を動かし、いつまでも住み続けたい・また来たいと感じる「WESTER体験」を提供(「WESTER体験」における3つの進化を推進(お客様とのつながりの進化、「たまりやすい、つかいたい」ポイントへの進化、グループマーケティング力の進化)) ⑤新たな事業の創出〇西日本を舞台に「つながり」を生み出し、新決済とポイント、データが「つなぐ」未来型のまちづくりに挑戦(新決済サービス「Wesmo!」導入、内部向けに開発したデータソリューションの横展開)〇地域・社会とともに持続可能性を高める事業を進めることで、人、まち、社会の未来を動かす(総合インフラマネジメント事業「JCLaaS」、地域課題ソリューションビジネス、未来を動かすビジネスチャレンジ) ⑥サステナビリティ経営の実現ア.地域共生〇ウェルビーイングな暮らしの実現、地域の課題解決と持続可能で豊かな地域づくりに貢献(持続可能で豊かな地域づくりの推進、ご利用しやすい持続可能な交通体系を地域とともに推進)イ.地球環境〇社会インフラを担う企業グループとして、地球環境保護の取り組みを通じて社会全体の持続可能性を向上(地球温暖化防止・気候変動対策、循環型社会構築への貢献、自然との共生)ウ.人的資本経営〇自ら変革し成長する人財こそが「長期ビジョン」実現の原動力と認識し、成長を支援し、多様性と働きがいを高め、変化対応・創出力のある人財を創出(人財育成、ダイバーシティ&インクルージョン、ワークエンゲージメント)エ.ガバナンス・リスクマネジメント・人権〇「長期ビジョン」実現に向けて、適切なリスクテイクによる企業価値向上を図るガバナンスを一層充実(コーポレート・ガバナンスのさらなる強化、リスクマネジメントの充実、企業倫理・人権尊重の取り組み) (4) 対処すべき課題 重大な自然災害や感染症の発生、深刻化する労働力不足やインフレ等は将来にわたる大きな脅威であり、「鉄道事業の安全性向上・持続的進化」、「グループ一体となった価値創造(ライフデザイン分野の拡大を通じたポートフォリオの最適化)」、及びそれらを実現するための原動力となる「変化対応・創出力の向上」は今後も重要な経営課題と認識しています。デジタル・技術・組織能力等を活用したイノベーションにより、さらなる生産性向上や価値創造にグループ全体で引き続き挑戦していきます。 「中期経営計画2025」の最終年度である2025年度は、大阪・関西万博とインバウンドの拡大を契機に、施策の着実な実現に取り組んでいきます。グループ全体として万博成功に貢献するとともに、インバウンドの受け入れ態勢の整備等を集中的に進めます。加えて、新決済サービス「Wesmo!」や広島駅新駅ビル等を通じてグループシナジーを発揮し、お客様・地域・社会とのつながりを進化させていきます。 また、機会を捉え、脅威を乗り越える源泉は人財であり、現場を支える人財の育成を行うとともに、キャリア開発等を通じて多様なスキルや経験を持つ人財の成長支援を進めます。あわせて、社員の自律や挑戦を後押しする心理的安全性の高い組織風土づくり、充実したキャリア形成や柔軟な働き方を支える制度づくりをグループ全体でさらに強力に推進していきます。 今後とも、安全性の向上を最優先に、グループ事業全体でシナジーを発揮しながら、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現を加速していきます。  なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものであります。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度においては、インバウンドをはじめとするお客様のご利用が堅調に推移する一方で、労働力不足やインフレ等、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす環境の変化がより顕在化してきました。このような事業環境の中で、当社グループは、2024年4月にアップデートを行った「中期経営計画2025」のもと、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現に向けて、北陸新幹線金沢-敦賀間開業の効果最大化、大阪駅、広島駅周辺のまちづくりの推進、WESTER経済圏の拡大や総合インフラマネジメント事業「JCLaaS」の推進等を通じて、地域・社会とのつながりの進化に取り組みました。また、鉄道の運行や大阪駅周辺施設への再生可能エネルギー由来電力の導入等、地球環境保護に取り組むとともに、社員全員がいきいきと活躍できる職場の実現に向けて、人財戦略の推進や「JR西日本グループ行動規範」の制定等に取り組みました。その結果、営業収益は前期比4.5%増の1兆7,079億円、営業利益は同0.2%増の1,801億円、経常利益は同1.0%減の1,656億円、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は同15.4%増の1,139億円となりました。 これをセグメント別に示すと次のとおりとなります。 ① モビリティ業当社グループは、2005年4月25日に福知山線列車事故を発生させたことを踏まえ、引き続き、被害に遭われた方々へ真摯に対応してまいります。また、2023年4月にスタートした「安全考動計画2027」に基づき、「お客様を想い、ご期待にお応えする」ことを強く意識して安全性の向上に取り組むよう、安全に対する向きあい方を深め、組織風土として醸成すること等に取り組んでいます。当連結会計年度においても、ホーム柵の整備を引き続き進めるとともに、お客様の転落を検知し乗務員や駅係員に知らせるホーム安全スクリーンや、ホームと車両の段差・隙間対策等、ホームの安全対策を進めました。具体的な例としては、大阪・関西万博も念頭に、西九条駅、弁天町駅のすべてのホームでホーム柵の使用を開始し、あわせて同ホームにてホームと車両の段差や隙間を縮小する整備も実施しました。また、桜島駅、ユニバーサルシティ駅等ではホーム安全スクリーンの使用を開始しました。加えて、列車内やホームでの防犯対策として、防刃傘を開発し一部列車の乗務員室に配備しました。自然災害への対策としては、斜面防災対策や降雨時運転規制へのレーダー雨量活用をはじめとした豪雨対策を引き続き実施しました。山陽新幹線における地震対策については、耐震補強対策及び逸脱防止対策を全線に拡大すべく、主要な対策は2027年度末までの完了をめざし、着実に整備を進めました。在来線における建物・高架橋等の耐震補強等についても、計画に基づき着実に整備を進めました。鉄道事業の持続的進化に向けては、機会を捉えた需要創出や価値創造、デジタルを活用した新たな価値提供の取り組みを推進するとともに、鉄道DXによる業務プロセスの変革等、鉄道事業の持続的な運営に向けた安全性向上・生産性向上に取り組みました。 ・特急「やくも」新型車両の投入(国内初の技術実用化による乗り心地の大幅な改善)(4月)・有料座席サービスのさらなる展開(乗車後に特急券を購入できるサービスの開始(5月)、「快速 うれしート」、「らくラクはりま」の拡大(10月~))・山陽新幹線全線開業50周年記念「WESTERポイント超特典きっぷ」等、ポイント利用商品の拡大(5月~)・「森の芸術祭 晴れの国・岡山」に向けたきっぷや旅行商品の設定、キャンペーンの展開(9月~11月)・ICOCA定期券にさまざまな特典をプラスしてご利用いただける「ICO+」(イコプラ)の実施(10月~)・北陸新幹線金沢-敦賀間開業を契機とした北陸デスティネーションキャンペーンの開催(10月~12月)、新たな観光列車「はなあかり」の運行開始(10月)・広域型 MaaS アプリ「KANSAI MaaS」を活用した関西私鉄各社との連携商品の発売(「KANSAI MaaSワンデーパス」、「大阪スマートアクセスパス」)(1月~)・2025年大阪・関西万博へのアクセス輸送の整備(弁天町駅・桜島駅改良、「エキスポライナー」の設定)(3月)・ロボット技術を活用した高所の鉄道設備メンテナンスの安全性向上(多機能鉄道重機の使用開始)(7月) ・新幹線の自動運転導入に向けた取り組み(北陸新幹線は2029年度(12月)、山陽新幹線は2030年代の開始をめざす(9月))・生成AIを活用した間接部門の業務改革と、現場の個別業務課題への適用 モビリティ業セグメントでは、北陸新幹線の敦賀延伸やインバウンド需要の増加等により、営業収益は前期比6.1%増の1兆467億円、営業利益は同10.7%増の1,225億円となりました。 ② 流通業流通業セグメントでは、スターバックス等、外部との提携店舗の拡充や、立地の特性を活かした店舗展開(「エキマルシェ大阪UMEST」開業等)によりお客様の多様なニーズへの対応力を高めたほか、大阪・関西万博会場内におけるオフィシャルストアの出店準備、地域商品作り等、さらなる成長に向けた取り組みを推進しました。また、流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」については、ヴィアイン新大阪、ヴィアイン新宿の客室内装リニューアルを実施し、競争力の向上に努めました。流通業セグメントでは、駅構内店舗や「ヴィアイン」のご利用が好調であったこと等により、営業収益は前期比5.7%増の2,082億円、営業利益は同5.8%増の138億円となりました。 ③ 不動産業不動産業セグメントでは、大阪駅周辺のまちづくり、広島駅新駅ビルの開業等、拠点駅の大規模開発等を通じ、「駅・まち」の魅力を高めるまちづくりを推進しました。ショッピングセンター運営業では、「イノゲート大阪」飲食ゾーン「バルチカ03」や「うめきたグリーンプレイス」、広島駅新駅ビルの商業施設「minamoa」等を新規開業するとともに、「京都ポルタ」等のリニューアルを行いました。ホテル業では、「THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection」や「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」の開業等を通じ、ブランド力の向上に取り組みました。また、不動産販売・賃貸業では、「イノゲート大阪」でのオフィス事業が稼働を開始したほか、当社グループ初となる米国現地デベロッパーとの協業案件である、米国フロリダ州での集合賃貸住宅の開発等に取り組みました。不動産業セグメントでは、ショッピングセンターのご利用等が好調に推移し、営業収益は前期比6.8%増の2,326億円となったものの、拠点駅の大規模開発に伴う一時的経費が増加したこと等により、営業利益は同12.5%減の389億円となりました。 ④ 旅行・地域ソリューション業旅行・地域ソリューション業セグメントでは、当社のアプリ内で提供する旅行プラン「tabiwaトラベル」のコンテンツ拡充と販売強化等、デジタルツーリズムの実現に取り組むとともに、地域の社会課題解決のニーズに応えるソリューションの総合提案を推し進めました。旅行・地域ソリューション業セグメントでは、ワクチン接種関連事業の特需が剥落したこと等により、営業収益は前期比8.4%減の1,887億円、営業利益は同85.5%減の11億円となりました。  モビリティ業のうち、当社の鉄道事業の営業成績は以下のとおりであります。ア.輸送実績 区分単位当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日) 前事業年度比営業日数日365-キロ程新幹線キロ937.7937.7 在来線キロ(28.0)3,959.8(28.0)3,959.8 計キロ(28.0)4,897.5(28.0)4,897.5 客車走行キロ新幹線千キロ605,254109.4%在来線千キロ717,91394.1 計千キロ1,323,167100.5 輸送人員定期千人1,064,231100.1 定期外千人694,581103.9 計千人1,758,812101.6 輸送人キロ新幹線定期千人キロ1,035,268112.8 定期外千人キロ20,671,952107.8 計千人キロ21,707,220108.0 在来線近畿圏定期千人キロ16,698,186100.7 定期外千人キロ10,359,699102.9 計千人キロ27,057,886101.6 その他定期千人キロ3,300,37994.2 定期外千人キロ2,910,10776.6 計千人キロ6,210,48785.1 計定期千人キロ19,998,56599.6 定期外千人キロ13,269,80795.7 計千人キロ33,268,37398.0 合計定期千人キロ21,033,834100.2 定期外千人キロ33,941,760102.7 計千人キロ54,975,594101.7 乗車効率新幹線%46.046.5 在来線%36.935.5 計%40.138.9 (注)1 キロ程欄の上段括弧書は、外数で第三種鉄道事業のキロ程であり、それ以外は第一種鉄道事業及び第二種鉄道事業のキロ程であります。また、前事業年度比は、前事業年度末の数値を記載しております。2 客車走行キロ数には、試運転、営業回送を含めておりません。3 輸送人キロ欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。4 乗車効率欄の前事業年度比は、前事業年度の数値を記載しております。なお、乗車効率は次の方法により算出しております。乗車効率 =輸送人キロ客車走行キロ × 客車平均定員(標準定員) イ.収入実績 区分単位当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日) 前事業年度比旅客運輸収入旅客収入新幹線定期百万円13,342114.0%定期外百万円496,051113.8 計百万円509,394113.8 在来線近畿圏定期百万円107,604101.6 定期外百万円196,988104.6 計百万円304,593103.5 その他定期百万円20,46593.3 定期外百万円58,24276.0 計百万円78,70779.8 計定期百万円128,070100.2 定期外百万円255,23096.3 計百万円383,30097.6 合計定期百万円141,413101.4 定期外百万円751,282107.2 計百万円892,695106.2 荷物収入百万円184.2 合計百万円892,696106.2 鉄道線路使用料収入百万円4,61297.9 運輸雑収百万円69,106103.6 収入合計百万円966,416106.0 (注) 旅客収入欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。 (2) 資産、負債及び純資産の状況当連結会計年度末の総資産額は、3兆7,523億円となり、前連結会計年度末と比較し277億円減少しました。これは主に、現金及び預金の減少によるものです。負債総額は、2兆4,721億円となり、前連結会計年度末と比較し807億円減少しました。これは主に、借入金の減少によるものです。純資産総額は、1兆2,801億円となり、前連結会計年度末と比較し530億円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加によるものです。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,078億円減の1,253億円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前当期純利益などにより、営業活動において得た資金は2,814億円(前連結会計年度は3,183億円の収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)固定資産の取得などにより、投資活動において支出した資金は2,631億円(前連結会計年度は2,436億円の支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)借入金の返済などにより、財務活動において支出した資金は1,261億円(前連結会計年度は1,316億円の支出)となりました。 (4) 生産、受注及び販売の実績 当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」という。)の大多数は、受注生産形態を取らない業態であります。このため、生産、受注及び販売の状況については、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]」における各事業のセグメント別経営成績に関連付けて示しております。 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループは、基幹事業である鉄道事業において安全性の向上に全力で取り組むとともに、その他のグループ事業においては、各事業の特性を活かしたさまざまな施策の展開及び保有資産の有効活用等に努めてきました。 当連結会計年度においては、北陸新幹線の敦賀延伸や大阪プロジェクト開業、インバウンド需要等により営業収益、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加しました。ア.営業収益 営業収益は、前連結会計年度に比べ4.5%、729億円増加の1兆7,079億円となりました。 モビリティ業セグメントについては、当社の運輸収入が北陸新幹線の敦賀延伸やインバウンド需要等により増加し、営業収益は前連結会計年度に比べ6.1%、605億円増加の1兆467億円となりました。 このうち新幹線については、前連結会計年度に比べ13.8%、616億円増加の5,093億円となりました。 在来線については、前連結会計年度に比べ2.4%、95億円減少の3,833億円となりました。 流通業セグメントについては、コンビニエンスストアや土産店、流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」のご利用が好調であったこと等により、前連結会計年度に比べ5.7%、112億円増加の2,082億円となりました。 不動産業セグメントについては、ショッピングセンター運営業、ホテル業において既存店が好調であったこと及び「イノゲート大阪」飲食ゾーン「バルチカ03」や「大阪ステーションホテル」の開業等により、前連結会計年度に比べ6.8%、147億円増加の2,326億円となりました。 旅行・地域ソリューション業セグメントについては、コロナ関連受託事業が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ8.4%、172億円減少の1,887億円となりました。イ.営業費用 拠点駅の大規模開発に伴う一時的経費の増等により、前連結会計年度に比べ5.0%、725億円増加の1兆5,277億円となりました。ウ.営業利益 営業利益は、前連結会計年度に比べ0.2%、4億円増加の1,801億円となりました。エ.営業外損益 営業外損益については、貸倒引当金戻入額の減少等により前連結会計年度に比べ21億円減少し、144億円の損失となりました。 オ.経常利益 経常利益は、前連結会計年度に比べ1.0%、17億円減少の1,656億円となりました。カ.特別損益 特別損益については、線区整理損失引当金繰入額の減少等により、前連結会計年度に比べ210億円増加し、11億円の損失となりました。キ.親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ15.4%、151億円増加の1,139億円となりました。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因ア.収益に影響する要因[モビリティ業] モビリティ業セグメントは鉄道運輸収入が大宗を占めております。鉄道運輸収入は、主に鉄道利用者数により左右され、航空機を含めた他の輸送モード、同業他社との競争や、経済情勢、少子高齢化等、多くの要因により影響を受けます。また、鉄道利用者は、安全性、信頼性をベースに、所要時間・ネットワーク性・運賃・快適性を基準として選択を行うと考えております。 新幹線の収入は、主として、ビジネスや観光旅行客の数に左右され、経済環境や航空機との競争、訪日観光客の動向等に影響を受けます。 近畿圏の収入は経済情勢による増減やワークスタイルの変化、少子高齢化や都市化等の人口推移による影響を受けると考えております。 その他在来線のうち、都市間輸送の収入は経済情勢や高速バス、自家用車との競争による影響を受けます。また、ローカル線の収入は自家用車との競争や地域の経済情勢及び人口の推移による影響を受けます。[流通業] 流通業セグメントの収入は、主に百貨店業、物品販売業及び飲食業からの収入で構成されております。当セグメントの収入は、経済情勢及び他の百貨店、物販店舗、レストランとの競争に左右されます。当セグメントの事業の多くが駅やその周辺で行われているため、鉄道輸送量も影響を受ける要因です。また、新規店舗の開発や既存店舗の廃止によっても左右されます。[不動産業] 不動産業セグメントの収入は、主に駅やその周辺施設の賃貸収入、沿線におけるマンションの分譲販売、ホテル業により得られます。当セグメントは、経済情勢の影響や、マンション分譲事業の販売数の増減により業績が変動するほか、ホテル業の収益は、宿泊料金や他ホテルとの競争、訪日観光客の動向に影響されます。賃貸事業において、駅は比較的安定したご利用があるものの、賃貸物件の需給状況による影響を受けます。テナントは立地の利便性から駅構内及びその周辺オフィスを好むことから、同業他社に比べ、経済情勢による影響は少ないと考えております。[旅行・地域ソリューション業] 旅行・地域ソリューション業セグメントの収入は、主に他旅行業者との競争、経済情勢やテロ等旅行を妨げる状況により影響を受けます。また、官公庁や自治体の事業や公務の受託状況により影響を受けます。 イ.費用に影響する要因[人件費] 当社は、労働力不足が拡大する中、必要な人的資本の安定を図るとともに、構造改革による生産性向上を推進しつつ、新規採用等により事業運営に必要な社員数を確保してきております。当事業年度の人件費は2,075億円となっております。 人財確保については、新卒採用以外にも、社会人採用やカムバック採用など、幅広いチャネルを設定することで、さらに多様性のある人財ポートフォリオへの転換を図ります。当事業年度においては新卒採用及び社会人採用等合計約1,600名の採用を行いました。 また、年齢構成により退職者数が多い中で、一層円滑な技術継承を図ることなどの観点から、従来の定年退職後の再雇用制度に加え、2023年度から65歳以上の再雇用にも取り組んでいます。[物件費] 当社は、鉄道事業の特徴である、(ⅰ)多くの設備を有し、安全の確保のために必要なメンテナンスに係るコストの比重が大きい、(ⅱ)収益に連動しない「固定費用」の割合が高いなどの事情から、安全性の確保を大前提として、メンテナンスが容易な車両及び設備の導入、機械化、既存のインフラの改良等により、これらの経費を構造的に削減する取り組みを行っております。一方で、労働力不足の拡大を見据え、サプライチェーン全体の持続可能性を高めるための人的資本投資などにより、今後も必要となる費用の増加が想定されます。 また、対抗輸送機関との競争力向上のため、サービスレベルの向上、販売促進のためのIT化、効率化に寄与する外注化等による費用の増加も想定されます。 さらに、電気料金の値上げを始めとした物価高騰等の継続による費用の増加が想定されます。[支払利息] 営業外費用のうち、重要なものとして支払利息があります。当社グループとしては、経営の安定性を保つために有利子負債残高や支払利息の水準を注視しております。当連結会計年度の当社グループの支払利息については195億円となり、前連結会計年度に比べ5億円減少しております。 ③ 流動性と資本の源泉ア.キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 イ.資本需要と設備投資 当社グループは、当連結会計年度において総額2,842億円の設備投資を実施し、そのうちモビリティ業では1,699億円、流通業、不動産業、旅行・地域ソリューション業及びその他では、43億円、1,052億円、11億円及び34億円をそれぞれ実施しました。モビリティ業に関する設備投資においては、安全性の向上を中心とした鉄道インフラの整備や、老朽車両の更新等を目的とした新型車両の購入を行っております。流通業、不動産業、旅行・地域ソリューション業及びその他における当社グループの設備投資においては、新設備の建設や老朽設備の改築等を行っております。 今後も災害の激甚化を見据えた地震対策や労働人口減少を踏まえた労働生産性向上に向けた設備投資の増大が想定されます。 ウ.資金調達 資金調達については、既存債務の返済資金や設備投資資金・配当等のうち当社グループのフリー・キャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主としており、その調達手段は社債及び銀行等からの長期借入金等、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。 また、短期的に資金を必要とする場合には、主として短期社債やコミットメントライン等で賄うことを基本としております。 なお、コミットメントラインについては、地震が発生した場合でも、あらかじめ定めた条件によって資金調達が可能な契約内容となっております。 エ.流動性 日々の収入金も確保していることから、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。 また、資金効率向上はキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)により、グループ内資金の有効活用を図っております。

※本記事は「西日本旅客鉄道株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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