トレンドマイクロ株式会社の基本情報

会社名トレンドマイクロ株式会社
業種情報・通信業
従業員数連7432名 単868名
従業員平均年齢40.4歳
従業員平均勤続年数8.3年
平均年収8831677000000円
1株当たりの純資産1562.72円
1株当たりの純利益78.45円
決算時期12月
配当金738円
配当性向76.73%
株価収益率(PER)96.21倍
自己資本利益率(ROE)4.9%
営業活動によるCF572億円
投資活動によるCF310億円
財務活動によるCF▲434億円
研究開発費※146.62億円
設備投資額※1-円
販売費および一般管理費※11524.26億円
株主資本比率※259.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針Our Vision: A world safe for exchanging digital information.私たちのビジョン:デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現  インターネットを中心とするITインフラは、個人及び企業また国を問わず、情報化社会における世界的ライフラインとなって久しくなりました。 今日、ネットワーク上の脅威として挙げられるコンピュータウイルス、ランサムウェア、迷惑メール、Webサイトの改ざん、情報漏洩等の多くは、事前にそれを予測し、絶対的な対策を立てられるような性質のものではありません。情報詐取、金銭的利益、破壊行為などの目的で、標的に特化した様々な手を用いて執拗に特定の組織を狙う標的型攻撃の増加においては企業や公共団体、国家機関がその攻撃対象となる他、個人においてもスマートフォンやタブレットなどの多機能携帯端末やSNSをはじめとする新しいIT技術やサービスの普及に伴いそれらも攻撃対象となっており、セキュリティ対策は、もはや企業や個人にとって必須となりました。 当社グループは普及しつつあるクラウドコンピューティングやIT技術によってビジネスや生活の質を高めていくデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流に乗って加速度的に拡大する世界的ITインフラを守るという大きな責務に対し脅威情報の相関分析・可視化を組み込んだサイバー攻撃防御ソリューション、そして万が一、被害にあった場合は損害の最小化、システムの復旧等、攻撃遭遇時に経験し得る一連の作業を強力にサポートする製品やサービスを、国境を超えて迅速に提供していきます。個々の企業や個人をネットワーク上の脅威から守るだけでなく、経済活動の遮断やユーザに負荷をかけることなくネットワークシステム全体の安全性を高めることにより、情報化社会のさらなる発展に寄与していきたいと考えております。 (2)目標とする経営指標 当社は現在、Pre-GAAP(繰延収益考慮前売上高)ベースの営業利益“額”成長を、重要な経営指標として意識しております。 一方で、同時に利益率の向上も図ってまいります。現在、2027年12月期において営業利益率29%~31%を目標としており、売上高の増加と営業利益率向上の両面を図ってまいります。当社のビジネス構造は基本的に資本集約的ではありません。従い、その結果としてROE(株主資本利益率)の向上に繋がるものと考えております。 (3)中長期的な会社の経営戦略 今日、ITインフラは、どのような人にも、そしてありとあらゆる場面において使われており、我々の社会や生活の根幹となっています。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなどの多機能携帯端末他、IoT並びにAIと呼ばれる人工知能を活用する技術のもと、スマート家電やスマートカーも誕生し、インターネットに繋がる様々なデジタルデバイスやアプリケーション、ユーザの使用目的が多様化したことで、すべての環境に適する単一なセキュリティソリューションはもはや存在しなくなりました。ネットワーク環境におきましても、クラウドコンピューティングが、ビッグデータへのアクセスやデータ解析をより簡単、速く、手頃なものにし、デジタルトランスフォーメーション(DX)の躍進からも益々デジタル情報の交換の仕方に変革を起こしていくことが予想されます。上記のようなIT技術の進化の流れは、企業や個人に関わらず、行き交う情報量を爆発的に増大させると共に、従来のように予防だけでなく侵入を前提としたセキュリティ対策の需要も生み出しており、便利さと引き換えに情報セキュリティの重要性は今後も益々増大します。 このような背景を受け、当社グループでは幅広くセキュリティ製品及びサービスを展開している当社グループだからこそ可能となる統合セキュリティプラットフォーム:Trend Vision One?(以下、Vision One)により、クラウドを介してサービスとして「利用」するSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)型/オンプレミス型、両方の環境に対応するハイブリッド構成を展開した上で複数レイヤからの広く深い様々なテレメトリ情報を相関的に分析することで、サイバー攻撃の全体像と対処すべき箇所を可視化するXDR(Extended Detection & Response)機能により組織に存在する脆弱性を把握、リスクを軽減する機能を提供する統合ソリューションであり、当社グループの製品やサービス、知識と経験を法人のサイバーセキュリティリスク対策向けに体系化し提供するものです。従来のような各端末の防御や、ネットワーク環境下を各領域に分けて守る対策だけではなく、侵入後の対策も含む幅広いソリューションを展開してまいります。 当社グループは今後もより一層デジタル化が進むビジネスや社会、そしてユーザの生活を守るために、企業と個人といった垣根なく安心できるセキュリティソリューションを一層強化して「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界」というビジョンを実現して参ります。 (4)会社の対処すべき課題 当社グループが属するサイバーセキュリティ業界は、既存セキュリティベンダの他、国内外問わず他業種からのM&Aや新規参入なども多く、競争が活発となっております。当社グループにとってこのような業界再編や新しい競合企業の市場参入は流動的で今後の展開が読みにくく、市場競争を更に熾烈なものにすることと予想されます。 お客様環境においては、IT技術によってビジネスや生活の質を高めていくデジタルトランスフォーメーション(DX) の推進が広まる中、クラウドの活用が引き続き拡大しております。それに伴い各種ソフトウェアにおいてSaaS型への移行が進んでおり、セキュリティサービス市場においてもSaaS型のソリューションの浸透は高まっています。  このような環境の変化を受け、法人個人を問わずインターネットやPCの利用者に被害を与えるサイバー攻撃は引き続き増大し、アタックサーフェス(攻撃対象領域)も多様化しています。法人のお客様においてはパソコンとサーバの監視などがメインだったかつてのセキュリティ対策とは違い、今日ではクラウドや仮想プライベートネットワーク(VPN)、IoT端末などの新技術も加わり複数レイヤに及ぶ複雑な対策を日々求められ、管理や運用の負荷は高まるばかりです。 こうした変化に伴い膨大なデータのやりとりやスピードを要する対応を求められているお客様の需要に応えるべく、サイバーセキュリティの在り方も迅速にそして柔軟に変化していかなくてはなりません。当社グループでは、広範囲のセキュリティ対策が日々求められる法人組織向けに統合セキュリティプラットフォーム:Vision Oneを中心とした幅広いセキュリティ製品及びサービスを展開し、高度なセキュリティと運用負荷軽減の両立の実現に努めております。その一環・強化として、当期においてSOC向けセキュリティソリューションを提供するAnlyz社の買収を行いました。   Vision Oneは、エンドポイント、サーバ、メール、クラウド、ネットワーク、IoTといった複数レイヤの各種SaaS型ソリューションを連携させ、それら各セキュリティ機能から収集した脅威や侵入の痕跡情報を相関的に分析することで、サイバー攻撃の全体像と対処すべき箇所を可視化するXDR機能を中心としたセキュリティプラットフォームです。当社グループは、より多くのお客様がVision Oneを通じて広範囲にわたるサイバー攻撃をより迅速に把握し、適切な対処を提供することでセキュリティオペレーションの生産性と効率の向上を図るため、SaaS型/オンプレミス型のハイブリッド構成を展開し、さらに生成系AI技術を搭載することでセキュリティの専門知識が十分でない運用担当者を支援する等、今後もお客様の需要に応える機能の拡張や新技術の搭載を継続してまいります。 当社グループは常にお客様の必要とするソリューションを開発・提供し、Vision Oneを中心に、より付加価値の高いセキュリティを実現すると共に、安定的な財務基盤を維持しつつ継続的な成長を目指していきたいと考えております。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。  (1) 経営成績の状況当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)における世界経済は世界的な金融引き締めやそれに伴う為替変動、並びにインフレ、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による燃料輸入価格の上昇等の不透明感もあり、景気の先行きが懸念されるなか推移いたしました。情報産業につきましては、生成AI(人工知能)が想定以上のスピードで台頭し、人々への認知を高めたAI元年ともいうべき1年となりました。その一方で2024年の世界におけるIT支出額はサイバーセキュリティに対する投資がソフトウェア部門を牽引し、ITサービス部門の伸長と共に昨年対比8%増の5兆1,000億ドルと見込まれています。セキュリティ業界におきましては、引き続き国家機関等を狙ったサイバー攻撃、企業の機密情報の漏洩の被害、暗号資産の流出等をはじめとする特定の企業や組織を狙う標的型攻撃や、ランサムウェア等のサイバー攻撃が目立った他、生成AIが及ぼす影響も懸念される中で一層セキュリティ意識が問われる風潮が高まっております。このような環境下、当社グループの経営状況は、以下のようなものでありました。 日本地域につきましては、法人向けビジネスは当社の統合セキュリティプラットフォーム:Vision Oneを背景にSOCオペレーションセキュリティが大きく伸長しました。ITインフラセキュリティは低調だったものの、クラウドオペレーションセキュリティが同地域の売上に大きく貢献しました。個人向けビジネスは引き続き携帯電話ショップでの販売が好調でしたがPC向けセキュリティは低調でした。その結果、同地域の売上高は83,002百万円(前年同期比1.1%増)と増収となりました。アメリカズ地域につきましては、企業向けビジネスにおいてSOCオペレーションセキュリティは伸長を見せたものの、クラウドオペレーション並びにITインフラセキュリティは低調でした。その他、過年度過少だった売上の調整や円安の影響もあり、その結果、同地域の売上高は57,643百万円(前年同期比8.9%増) と増収となりました。欧州地域につきましては、特にSOCオペレーションセキュリティが全地域で最も伸長し、くわえてマネージドサービスも同地域の売上に貢献しました。加えて円安の影響もあり、その結果、同地域の売上高は50,643百万円(前年同期比22.1%増)と二桁増収となり全地域において最も高く伸長しました。アジア・パシフィック地域につきましては企業向けビジネス全般において伸長しました。特にSOCオペレーションセキュリティが大きく貢献した他、ITインフラセキュリティやマネージドサービスも好調でした。地域的にはオーストラリア、中東、台湾が同地域の売上を牽引しました。加えて円安の影響も受け、その結果、同地域の売上高は57,401百万円(前年同期比21.4%増)と二桁増収となりました。その結果、当社グループ全体の当連結会計年度における売上高は248,691百万円(前年同期比11.1%増)と全地域で増収となりました。 一方費用につきましては、円安影響も大きく受けた人件費やSaaSビジネス拡大に伴うクラウド利用コストの増加のほか、ハードウェア関連製品の販売増加に伴う原価増加等により、売上原価並びに販売費及び一般管理費の合計費用は216,088百万円(前年同期比12.3%増)と増加し、当連結会計年度の営業利益は32,602百万円(前年同期比4.0%増)と増益となりました。 また、期初予想数値に対しては、売上高は概ね想定通りの結果となりました。一方、 営業利益につきましては、費用面において外注費や人件費は当初想定を下回ったもののハードウェア関連製品原価やクラウドコストが当初想定以上になるなどの結果、若干下回ったものの概ね想定通りの結果となりました。 当連結会計年度の経常利益は受取利息の増加や有価証券売却益があったこと等により36,181百万円(前年同期比5.9%増)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は昨年特別利益に計上した関係会社株式売却益がなくなったことや、退職給付費用を中心にリストラクチャリング関連費用を特別損失に計上したことに加え、連結子会社からの配当金支払を前提とする税負担の発生等により法人税等も増加したことなどにより、10,731百万円(前年同期比64.0%減)の大幅な減益となりました。 当社が重要な経営指標として意識しているPre-GAAP(繰延収益考慮前売上高)ベースの営業利益額は53,073百万円となり、前年同期に比べ1,437百万円増加(前年同期比2.8%増)となりました。これは二桁成長したPre-GAAPが円安影響で増加した人件費やSaaSビジネス拡大に伴うクラウド利用コストの増加などによる売上原価並びに販売費及び一般管理費の合計費用の増加以上に大きかったことによるものです。 (2) 財政状態の状況 当連結会計年度末の現金及び預金の残高は247,856百万円となり、前連結会計年度末に比べ56,314百万円と大幅に増加いたしました。 投資有価証券が大幅に減少した一方、現金及び預金等の大幅な増加や受取手形、売掛金及び契約資産が増加したこと等により、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ21,828百万円増加の492,628百万円となりました。 当連結会計年度末の負債は繰延収益の大幅な増加等により前連結会計年度末に比べ36,084百万円増加の278,205百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定が大きく増加したものの、自己株式の大幅な増加や利益剰余金の減少があったこと等により、前連結会計年度末に比べ14,255百万円減少の214,423百万円となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して、324百万円収入が増加して57,227百万円のプラスとなりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加額が減少したことによるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して、98,717百万円支出が減少して31,000百万円のプラスとなりました。これは主に、有価証券・投資有価証券の取得による支出が減少したことによるものであります。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して、12,996百万円支出が増加して43,433百万円のマイナスとなりました。これは主に、自己株式の取得による支出が増加したことによるものであります。これらの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は261,265百万円となり、前連結会計年度末に比べて53,622百万円増加しました。 (4) 流動性と資金の源泉当社グループの短期的な資金の主たる源泉は営業活動から得られる現金及び現金同等物です。現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物は今後12ヶ月間に必要な運転資金、資本的支出をまかなうのに十分であると考えます。当連結会計年度末における現金及び預金、有価証券の合計額は299,027百万円でありました。現金及び預金は、米ドル、ユーロ等の外国通貨及び円貨からなり、有価証券は信用度の高い取引金融機関の債券等からなります。なお、当連結会計年度末において流動負債に計上される繰延収益は211,532百万円であり、これらの繰延収益は契約期間に応じて翌連結会計年度以降、収益として認識される見込みです。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社はこの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (6) 生産、受注及び販売の状況① 生産実績金額が些少であること、生産活動のための製造過程を保持していないこと等により、記載を省略しております。 ② 受注実績  受注実績につきましては、金額的重要性が極めて低いため、その記載を省略しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年1月1日至 2023年12月31日)(百万円)前連結会計年度比(%)日本83,0021.1アメリカズ57,6438.9欧州50,64322.1アジア・パシフィック57,40121.4合計248,69111.1 (注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.当連結会計年度において、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める     相手先がないため、記載はありません。

※本記事は「トレンドマイクロ株式会社」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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