トヨタ自動車株式会社の基本情報

会社名トヨタ自動車株式会社
業種輸送用機器
従業員数連359542名 単70224名
従業員平均年齢40.6歳
従業員平均勤続年数16年
平均年収8998575円
1株当たりの純資産1516.98円
1株当たりの純利益325.61円
決算時期年3
配当金75円
配当性向23%
株価収益率(PER)11.6倍
自己資本利益率(ROE)23.8%
営業活動によるCF42063億円
投資活動によるCF▲49987億円
財務活動によるCF24975億円
研究開発費※1284.78億円
設備投資額※120108.74億円
販売費および一般管理費※144.76億円
株主資本比率※270.1%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2024年3月31日現在において判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する (2)トヨタフィロソフィートヨタはモビリティカンパニーへの変革を進めるために、改めて歩んできた道を振り返り、未来への道標となる「トヨタフィロソフィー」をまとめました。トヨタはモビリティカンパニーとして移動にまつわる課題に取り組むことで、人や企業、コミュニティの可能性を広げ、「幸せを量産」することを使命としています。そのために、モノづくりへの徹底したこだわりに加えて、人と社会に対するイマジネーションを大切にし、様々なパートナーと共に、唯一無二の価値を生み出してまいります。 「トヨタフィロソフィー」 MISSIONわたしたちは、幸せを量産する。技術でつかみとった未来の便利と幸福を手の届く形であらゆる人に還元する。VISION可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える。人、企業、自治体、コミュニティができることをふやし、人類と地球の持続可能な共生を実現する。VALUEトヨタウェイソフト、ハード、パートナーの3つの強みを融合し、唯一無二の価値を生み出す。 (3)会社の対処すべき課題  モビリティカンパニーへの変革の「実践」トヨタは「幸せの量産」を使命に、モビリティカンパニーへの変革にチャレンジしています。長年にわたって築いてきた商品や事業、財務における強固な経営基盤の上で、現在は「ビジョンを具体に落とす」ために実践的な取り組みを加速しています。「モビリティカンパニーへの変革」を通じてトヨタが目指していることは、クルマの進化に取り組むことで、笑顔があふれる「モビリティ社会」の実現に貢献していくことです。新しい産業構造をつくっていくことを視野に入れて、多くの仲間とともに挑戦していきたいと考えています。そのカギは、エネルギーとデータの可動性を高め、モビリティの価値を高めていくことであると考えています。「電気」と「水素」が支える未来を見据えて、クルマが媒体となってエネルギーを運び、再生可能エネルギーを軸とする社会づくりに貢献していくことに加え、データが生み出すモビリティの価値で、お客様の暮らしをもっと豊かにしていくことを目指しています。その取り組みのひとつとして、マルチパスウェイ戦略の具体化に取り組んできました。カーボンニュートラル社会を実現するためには、お客様の期待やインフラ整備などの状況を踏まえた多面的なアプローチ、プラクティカルなトランジションが重要であると考えています。その考えのもと、足元ではハイブリッド車を基軸に、各地で選択肢の拡充を進めています。その上で、ミッシングピースとなっていたバッテリーEV(BEV)と水素モビリティの具体化に、力を入れて取り組んできました。BEVにおいては、小型軽量ユニットの開発も含めて、クルマの新しいアーキテクチャをつくる挑戦が進んでいます。そして、当社が目指すBEVは、パワートレーンを電動化するだけではなく、お客様の多様な移動価値を実現するトヨタらしい「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」であることも定まってきました。内燃機関についても、さらなる活用を視野に入れて開発に取り組んでいます。こうした選択肢の全体像を踏まえて、今年を「真のマルチパスウェイ元年」と位置付けて、その具体化を着実に進めていきます。そして、車載OSのArene(アリーン)の開発を軸に、SDVの基盤づくりにも注力してきました。今後は、生成AIによってデータが生み出す価値が高まっていきます。安全・安心の実現を目指す自動運転や、SDVを中心に、生成AIを活用したモビリティの進化に取り組んでいきたいと考えています。そして、エネルギーやデータを軸に、社会システムと一体となったモビリティの価値を生み出すためには、インフラ整備をはじめ、多くの仲間との連携が必要であると考えています。Areneを基盤に、生活に寄り添ったアプリやサービスが、クルマともっと融合していくことも必要になっていきます。志を同じくするパートナーの皆様とともにモビリティの価値を具体化する取り組みを進めていきます。そして、こうした新たな価値づくりを強化するためにも、研究開発の先行シフトを加速して、中長期目線での「未来への種まき」を強化していきます。 「10年先を見据えた仕事」の構築 [グループビジョンと足場固め]2024年1月、トヨタグループ*1の目指すべき方向、トヨタグループ全員が立ち戻ることができるビジョンを発表しました。 「次の道を発明しよう」。 グループの創始者・豊田佐吉は「苦労する母親を少しでも楽にしたい」という想いで、「豊田式木製人力織機」を発明しました。そして、豊田喜一郎は「日本人の頭と腕で自動車工業を興さねばならない」との想いで「国産乗用車」を発明しました。誰かを想い、学び、技を磨き、ものをつくり、人を笑顔にする。発明への情熱と姿勢こそ、トヨタグループの原点です。正解のない時代に、互いに「ありがとう」と言い合える風土を築き、多様な人財が活躍し、未来に必要とされるトヨタグループを目指してまいります。*1 ㈱豊田自動織機、トヨタ自動車㈱、愛知製鋼㈱、㈱ジェイテクト、トヨタ車体㈱、豊田通商㈱、㈱アイシン、㈱デンソー、トヨタ紡織㈱、トヨタ不動産㈱、㈱豊田中央研究所、トヨタ自動車東日本㈱、豊田合成㈱、日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱、トヨタホーム㈱、トヨタ自動車九州㈱、ウーブン・バイ・トヨタ㈱の18社(2024年3月31日時点) 足元では、2022年3月日野自動車㈱、2023年4月ダイハツ工業㈱など、トヨタグループおよび子会社において不正問題が発覚し、当社においても「余力不足」に起因する様々な課題に直面しています。これらの課題に向き合い「足場固め」に取り組んでいくことが、持続的成長を実現するための重要事項です。 正しい仕事を徹底するためには、モノづくりの品質管理と同様に「未然防止」と「流出防止」という2つの考え方が大切だと考えています。「未然防止」は「トヨタらしさ」を土台に、価値観とルールに基づいて、全員が正しく仕事をする風土をつくる取り組みです。時間をかけて、人の意識を変えていく取り組みであり、トップマネジメントがビジョンや価値観を繰り返し示し、自ら動いて現場に伝え続けることが大切だと考えています。「流出防止」では、開発機能への牽制機能を高められる認証組織への見直しや認証業務の「TPS自主研」*2など、不測の事態があった際にはすぐに止まる仕組みと体制をつくっていきます。風土・仕組み・体制での総合的な施策を通じて、実効性のある「トヨタらしいガバナンス」を追求していきます。*2 自発的にTPS(トヨタ生産方式)を学ぶ自主研究活動  [認証不正問題に対する当社の認識と関与]取り組みを進めるにあたり、当社ではダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、㈱豊田自動織機による認証不正問題を次のとおり受け止めています。3社の不正に共通する真因は「経営と現場の乖離」です。現場に過度なプレッシャーがかかり、余裕がなくなり、風通しが悪くなった結果、遵法意識が薄れ、不正が日常化してしまいました。経営陣は、そうした現場の実態を把握できておらず、不正を引き起こした環境を変えることができませんでした。この責任は、経営陣にあります。3社とも当時の経営陣は、賞与返納や報酬減額に加えて、不正の調査や再発防止策のとりまとめで役割を果たし、次の道筋をつける形で責任を明確化しました。新体制のもと、当社も入り込んでサポートしながら、再発防止を徹底し、未来への責任を果たしてまいります。ダイハツ工業㈱については、これまで当社メンバー50名以上が、各国の法規や図面の見直し、再試験の対応などを一緒に進めてきました。2023年12月の第三者委員会の調査報告以降は、ほぼ毎日、両社の経営メンバーが会議を行い、再発防止策や事業構造の見直しを考えてきました。そのひとつとして、小型車事業は「当社からの委託」に変えることで、今後はリソーセス管理も含めて、開発から認証まで、当社が責任を持つ体制に変更していきます。法規に沿った認証業務をはじめ、正しい仕事が現場に根付くよう、一緒に取り組んでいきます。日野自動車㈱については、不正発覚以降、事業のあり方を中心に、再発防止と会社の再建について話し合ってまいりました。現在は、2023年5月に基本合意を発表したとおり、三菱ふそうトラック・バス㈱との経営統合、ダイムラートラック社との連携を通じて、再建を進めています。親会社として、引き続きサポートしていきます。㈱豊田自動織機については、子会社であるダイハツ工業㈱・日野自動車㈱とは資本関係は異なりますが、トヨタグループの一員として、再発防止に必要なサポートを行っていきます。その一環として、自動車用エンジンの開発・認証を当社に移管します。また、トップ同士の風通しの良い関係をつくり、日常のコミュニケーションの量を増やしています。  [「風土」「体制」「仕組み」]当社および当社グループのガバナンス施策については、社外役員も参画し、次のとおりまとめました。  (風土:グループビジョン)風土づくりの基盤は、トヨタグループのビジョンと心構えです。「豊田章男塾」などの場を通じて、現場のメンバーと対話を重ねて、ビジョンや価値観の浸透を図っています。先日は、ダイハツ販売店の代表者の皆様が集まる場に会長の豊田が参加し、守るべき価値観やダイハツ再生に向けた想いを伝えました。風土を変えていくために、トップ自ら、こうした対話を繰り返し行っていきます。また、風土づくりの一環として、トヨタグループの社長会、副社長会などの場を通じて、経営メンバー間でのコミュニケーションの量を増やしています。常日頃からトップ同士がオープンにコミュニケーションできる関係を築くことが、ガバナンスの基盤であると考えています。    (体制:余力づくり)今、当社で重点的に取り組んでいることは、「余力」づくりです。例えば、生産においては、足元で日当たり生産台数の上限を当初計画の1万4,500台から1万4,000台に下げました。開発では、プライオリティの見直しによりプロジェクトの数を適正化し、現場の余力をつくり出しました。それにより、職場のコミュニケーション改善や、安全・品質を徹底した仕事、ジョブディスクリプションを踏まえた個々人のスキルアップ、人材育成にしっかり時間を使っていきます。「10年先の働き方を今つくる」という想いをもって、取り組みを進めています。    (体制・仕組み:子会社の内部統制の強化・リスクマネジメント)また、各社トップへの働きかけにより、子会社の内部統制の強化を進めています。例えば、ダイハツ工業㈱のGRC*3推進部とGRC委員会は、ダイハツ工業㈱と当社が一緒に再発防止策を検討する中で新設したものであり、実効性ある運用に向けて、連携して取り組んでいきます。加えて、特に今回課題となった法規認証体制の拡充に向けて、「TPS自主研」の活動を通じて、ダイハツ工業㈱・日野自動車㈱・㈱豊田自動織機の現場メンバーが集まって、業務プロセスの明確化に取り組んでいます。*3 Governance Risk Management and Complianceの略    (仕組み:スピークアップ)内部通報では、トヨタ内およびトヨタ外(子会社、トヨタグループ等)のスピークアップの運用を一元化し、今まで以上にタイムリーに対応できるよう仕組みを拡充しています。    (仕組み:監査拡充)また、当社による子会社への監査も拡充していきます。リスク評価に基づき、対象とする会社の数を拡大し、企業風土、職場環境、法規遵守など、多面的な観点で監査を実施しています。監査以外でも、ガバナンス点検シートやコンプライアンスサーベイをすべての子会社に展開して、トップが入り込んだ自主点検を促しています。 これらの総合的な施策を通じて、連結ガバナンスを向上させていきます。「トヨタらしさ」を土台に、全員が正しい仕事を徹底する環境をつくり、「10年先を見据えた競争力につなげていく」という想いをもって、粘り強く取り組んでいきたいと考えています。 当社は2024年1月26日の国土交通省からの指示に基づき、型式指定申請に関する調査を進めてまいりました。まだ調査の途中ではありますが、2014年以降、すでに生産を終了している車種を含め、7車種において国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していたことが判明し、5月31日に国土交通省に報告しました。対象は生産中の3車種(カローラ フィールダー/アクシオ、ヤリス クロス)における歩行者・乗員保護試験でのデータ不備と、生産終了した4車種(クラウン、アイシス、シエンタ、RX)における衝突試験等の試験方法の誤りです。日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱、㈱豊田自動織機に引き続き、当社においても認証に関する問題が判明したことは重大なことと受け止めています。今後、調査を継続するとともに、国土交通省の指導のもと、速やかに立会試験などの適切な対応を進めてまいります。 トヨタは、地域のお客様に寄り添って、商品を軸に経営する会社です。この原点をぶらすことなく、お客様が笑顔になるいいクルマをつくるために、みんなで汗をかいていきたいと考えています。そして、「クルマの未来を変えていこう」を合言葉に、多くの仲間とともに、モビリティ社会の実現に向けた挑戦を加速していきます。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況当連結会計年度の世界経済は、インフレ・金利高や、中国における不動産市場停滞の影響が見られたものの、雇用の堅調が続く米国を中心に底堅く推移しました。このような経営環境の中、トヨタは、長年にわたり「商品と地域を軸にした経営」に取り組んできました。お客様の笑顔のため、商品の魅力の原点であるクルマそのものの素性を磨きながら、より多くの価値を付け加えていく「もっといいクルマづくり」に取り組み、事業を行う地域の皆様から応援される「町いちばんの会社」を目指した結果、フルラインアップの商品とグローバルな事業基盤を活かした持続的成長のための土台ができました。そして、多くのお客様が当社のクルマを選んでくださった結果、2023年9月にグローバル生産累計3億台を達成しました。当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、944万3千台と、前連結会計年度に比べて62万1千台(7.0%)の増加となりました。日本での販売台数については、199万3千台と、前連結会計年度に比べて7万6千台(3.7%)減少しました。一方、海外においては、745万台と、前連結会計年度に比べて69万7千台(10.3%)の増加となりました。当連結会計年度の業績については、次のとおりです。 営業収益45兆953億円(前期比増減7兆9,410億円(21.4%))営業利益5兆3,529億円(前期比増減2兆6,279億円(96.4%))税引前利益6兆9,650億円(前期比増減3兆2,963億円(89.8%))親会社の所有者に帰属する当期利益4兆9,449億円(前期比増減2兆4,936億円(101.7%)) なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。 営業面の努力2兆円為替変動の影響6,850億円原価改善の努力1,200億円諸経費の増減・低減努力△3,800億円その他2,029億円 事業別セグメントの業績は、次のとおりです。a.自動車事業営業収益は41兆2,662億円と、前連結会計年度に比べて7兆4,462億円(22.0%)の増収となり、営業利益は4兆6,214億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,408億円(111.9%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力などによるものです。 b.金融事業営業収益は3兆4,841億円と、前連結会計年度に比べて6,745億円(24.0%)の増収となり、営業利益は5,700億円と、前連結会計年度に比べて1,325億円(30.3%)の増益となりました。営業利益の増益は、米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。 c.その他の事業営業収益は1兆3,681億円と、前連結会計年度に比べて1,432億円(11.7%)の増収となり、営業利益は1,752億円と、前連結会計年度に比べて717億円(69.4%)の増益となりました。 所在地別の業績は、次のとおりです。a.日本営業収益は21兆207億円と、前連結会計年度に比べて3兆4,375億円(19.6%)の増収となり、営業利益は3兆4,842億円と、前連結会計年度に比べて1兆5,828億円(83.2%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および為替変動の影響などによるものです。 b.北米営業収益は17兆9,430億円と、前連結会計年度に比べて4兆991億円(29.6%)の増収となり、営業利益は5,063億円と、前連結会計年度に比べて5,810億円の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および原価改善の努力などによるものです。 c.欧州営業収益は5兆6,817億円と、前連結会計年度に比べて1兆4,080億円(32.9%)の増収となり、営業利益は3,880億円と、前連結会計年度に比べて3,306億円(575.4%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および前連結会計年度にロシアでの生産事業終了による損失を計上した影響995億円、うち欧州における影響898億円などによるものです。 d.アジア営業収益は8兆7,307億円と、前連結会計年度に比べて6,858億円(8.5%)の増収となり、営業利益は8,655億円と、前連結会計年度に比べて1,511億円(21.2%)の増益となりました。営業利益の増益は、営業面の努力および原価改善の努力などによるものです。 e.その他の地域 (中南米、オセアニア、アフリカ、中東) 営業収益は4兆3,897億円と、前連結会計年度に比べて9,175億円(26.4%)の増収となりましたが、営業利益は1,983億円と、前連結会計年度に比べて330億円(14.3%)の減益となりました。営業利益の減益は、アルゼンチンにおける高インフレ影響などによるものです。 ②財政状態の状況 当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりです。 資産合計は90兆1,142億円と、前連結会計年度末に比べて15兆8,111億円 (21.3%)の増加となりました。負債合計は54兆8,749億円と、前連結会計年度末に比べて9兆8,359億円 (21.8%)の増加となりました。資本合計は35兆2,393億円と、前連結会計年度末に比べて5兆9,751億円 (20.4%)の増加となりました。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は9兆4,120億円と、前連結会計年度末に比べて1兆8,950億円(25.2%)の増加となりました。 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4兆2,063億円の資金の増加となり、前連結会計年度が2兆9,550億円の増加であったことに比べて、1兆2,512億円の増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、4兆9,987億円の資金の減少となり、前連結会計年度が1兆5,988億円の減少であったことに比べて、3兆3,998億円の減少となりました。 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2兆4,975億円の資金の増加となり、前連結会計年度が561億円の減少であったことに比べて、2兆5,537億円の増加となりました。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。 事業別セグメントの名称当連結会計年度(2024年3月31日に終了した1年間)前期比(%)自動車事業日本4,042,176台+6.7北米1,976,232 +11.8欧州845,680 +9.6アジア1,875,998 +0.9その他522,949 +3.1計9,263,035 +6.5   (注)1「自動車事業」における生産実績は、車両(新車)生産台数を示しています。 2「自動車事業」における「その他」は、中南米、アフリカからなります。 b.受注実績当社および連結製造子会社は、国内販売店、海外販売店等からの受注状況、最近の販売実績および販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っています。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績を事業別セグメントごとに示すと、次のとおりです。 事業別セグメントの名称当連結会計年度(2024年3月31日に終了した1年間)前期比(%)数量金額(百万円)数量金額自動車事業車両9,442,770台35,249,865+7.0+24.1生産用部品- 1,596,111-△6.7部品- 3,166,586-+10.5その他- 1,068,169-+32.5計― 41,080,731―+21.6金融事業―――――――- 3,447,195-+23.7その他の事業―――――――- 567,399-△4.0合計― 45,095,325―+21.4   (注)1主要な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。 2「自動車事業」における「車両」の数量は、車両(新車)販売台数を示しています。 3金額は外部顧客への営業収益を示しています。 前述の当連結会計年度における「自動車事業」の販売数量を、仕向先別に示すと、次のとおりです。 事業別セグメントの名称当連結会計年度(2024年3月31日に終了した1年間)前期比(%)自動車事業日本1,993,132台△3.7北米2,816,226 +17.0欧州1,191,503 +15.7アジア1,803,904 +3.0その他1,638,005 +4.6計9,442,770 +7.0   (注)1上記仕向先別販売数量は、車両(新車)販売台数を示しています。 2「自動車事業」における「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東ほかからなります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものです。 ①概観トヨタの事業セグメントは、自動車事業、金融事業およびその他の事業で構成されています。自動車事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度においてトヨタの営業収益合計(セグメント間の営業収益控除前)の89%を占めています。当連結会計年度における車両販売台数ベースによるトヨタの主要な市場は、日本(21.1%)、北米(29.8%)、欧州(12.6%)およびアジア(19.1%)となっています。 a.自動車市場環境世界の自動車市場は、非常に競争が激しく、また予測が困難な状況にあります。さらに、自動車業界の需要は、社会、政治および経済の状況、新車および新技術の導入ならびにお客様が自動車を購入または利用される際に負担いただく費用といった様々な要素の影響を受けます。これらの要素により、各市場および各タイプの自動車に対するお客様の需要は、大きく変化します。当連結会計年度の世界経済は、インフレ・金利高や、中国の不動産市場の停滞における景気減速に伴う需要減が見られたものの、雇用の堅調が続く米国を中心に底堅く推移しました。 次の表は、過去2連結会計年度における各仕向地域別の連結販売台数を示しています。 千台 3月31日に終了した1年間 2023年 2024年日本2,069 1,993 北米2,407 2,816 欧州1,030 1,192 アジア1,751 1,804 その他1,565 1,638 海外計6,753 7,450 合計8,822 9,443 (注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東ほかからなります。 トヨタの日本における当連結会計年度の連結販売台数は、市場が前連結会計年度を上回るものの、減少しました。トヨタの海外における連結販売台数は、堅調な需要により、北米、欧州を中心に販売台数が大きく増加しました。 各市場における全車両販売台数に占めるトヨタのシェアは、製品の品質、安全性、信頼性、価格、デザイン、性能、経済性および実用性についての他社との比較により左右されます。また、時機を得た新車の導入やモデルチェンジの実施も、お客様のニーズを満たす重要な要因です。変化し続けるお客様の嗜好を満たす能力も、売上および利益に大きな影響をもたらします。 自動車事業の収益性は様々な要因により左右されます。これらには次のような要因が含まれます。 車両販売台数 販売された車両モデルとオプションの組み合わせ 部品・サービス売上 価格割引およびその他のインセンティブのレベルならびにマーケティング費用 顧客からの製品保証に関する請求およびその他の顧客満足のための修理等にかかる費用 研究開発費等の固定費 原材料価格 コストの管理能力 生産資源の効率的な利用 特定の仕入先への部品供給の依存による生産への影響 気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクを含む、気候変動リスク 自然災害および感染症の発生・蔓延や社会インフラの障害による市場・販売・生産への影響 日本円およびトヨタが事業を行っている地域におけるその他通貨の為替相場の変動 法律、規制、政策の変更およびその他の政府による措置も自動車事業の収益性に著しい影響を及ぼすことがあります。これらの法律、規制および政策には、車両の製造コストを大幅に増加させる環境問題、車両の安全性、燃費および排ガスに影響を及ぼすものが含まれます。 多くの国の政府が、現地調達率を規定し、関税およびその他の貿易障壁を課し、あるいは自動車メーカーの事業を制限したり本国への利益の移転を困難にするような価格管理あるいは為替管理を行っています。このような法律、規制、政策その他の行政措置における変更は、製品の生産、ライセンス、流通もしくは販売、原価、あるいは適用される税率に影響を及ぼすことがあります。トヨタは、トヨタ車の安全性について潜在的問題がある場合に適宜リコール等の市場処置(セーフティ・キャンペーンを含む)を発表しています。前述のリコール等の市場処置をめぐり、トヨタに対する申し立ておよび訴訟が提起されています。これらの申し立ておよび訴訟に関しては、連結財務諸表注記24ならびに30を参照ください。 世界の自動車産業は、グローバルな競争の時期にあり、この傾向は予見可能な将来まで続く可能性があります。また、トヨタが事業を展開する競争的な環境は、さらに激化する様相を呈しています。トヨタは一独立企業として自動車産業で効率的に競争するための資源、戦略および技術を予見可能な将来において有していると考えています。 b.金融事業自動車金融の市場は、大変競争が激しくなっています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があり、また、顧客がトヨタ車を購入する際にトヨタ以外の金融サービスを利用するようになる場合、マーケット・シェアが低下することも考えられます。 トヨタの金融サービス事業は、主として、顧客および販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムの提供を行っています。トヨタは、顧客に対して資金を提供する能力は、顧客に対しての重要な付加価値サービスであると考え、金融子会社のネットワークを各国へ展開しています。 小売融資およびリースにおけるトヨタの主な競争相手には、商業銀行、消費者信用組合、その他のファイナンス会社が含まれます。一方、卸売融資における主な競争相手には、商業銀行および自動車メーカー系のファイナンス会社が含まれます。 トヨタの金融事業に係る債権は、主に小売債権などの増加により、当連結会計年度において増加しました。また、賃貸用車両及び器具は、主に為替変動の影響により、当連結会計年度において増加しました。 金融事業に係る債権および賃貸用車両及び器具の詳細については、連結財務諸表注記8および12を参照ください。 トヨタの金融債権は、回収可能性リスクを負っています。これは顧客もしくは販売店の支払不能や、担保価値(売却費用控除後)が債権の帳簿価額を下回った場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記4および19を参照ください。 トヨタは、車両リースを継続的に提供してきました。当該リース事業によりトヨタは残存価額のリスクを負っています。これは車両リース契約の借手が、リース終了時に車両を購入するオプションを行使しない場合に発生する可能性があります。詳細については、連結財務諸表注記3(8)を参照ください。 トヨタは、主に固定金利借入債務を機能通貨建ての変動金利借入債務へ転換するために、金利スワップおよび金利通貨スワップ契約を結んでいます。特定のデリバティブ金融商品は、経済的企業行動の見地からは金利リスクをヘッジするために契約されていますが、トヨタの連結財政状態計算書における特定の資産および負債をヘッジするものとしては指定されていないため、それらの指定されなかったデリバティブから生じる未実現評価損益は、その期間の損益として計上されます。詳細については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。 資金調達コストの変動は、金融事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。資金調達コストは、数多くの要因の影響を受けますが、その中にはトヨタがコントロールできないものもあります。これには、全般的な景気、金利およびトヨタの財務力などが含まれます。当連結会計年度の資金調達コストは主に市場金利の上昇により増加しました。 トヨタは、2001年4月に日本でクレジットカード事業を立上げました。カード会員数は、2024年3月31日現在16.2百万人と、2023年3月31日から0.04百万人の増加となりました。カード債権は、2024年3月31日現在5,587億円と、2023年3月31日から40億円の増加となりました。 c.その他の事業トヨタのその他の事業には、情報通信事業等が含まれます。 トヨタは、その他の事業は連結業績に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。 d.為替の変動トヨタは、為替変動による影響を受けやすいといえます。トヨタは日本円の他に主に米ドルおよびユーロの価格変動の影響を受けており、また、米ドルやユーロに加え、豪ドル、加ドルおよび英国ポンドなどについても影響を受けることがあります。日本円で表示されたトヨタの連結財務諸表は、換算リスクおよび取引リスクによる為替変動の影響を受けています。 換算リスクとは、特定期間もしくは特定日の財務諸表が、事業を展開する国々の通貨の日本円に対する為替の変動による影響を受けるリスクです。たとえ日本円に対する通貨の変動が大きく、前連結会計年度との比較において、また地域ごとの比較においてかなりの影響を及ぼすとしても、換算リスクは報告上の考慮事項に過ぎず、その基礎となる業績を左右するものではありません。トヨタは換算リスクに対してヘッジを行っていません。 取引リスクとは、収益と費用および資産と負債の通貨が異なることによるリスクです。取引リスクは主にトヨタの日本製車両の海外売上に関係しています。 トヨタは、生産施設が世界中に所在しているため、取引リスクは大幅に軽減されていると考えています。グローバル化戦略の一環として、車両販売を行う主要市場において生産施設を建設することにより、生産を現地化してきました。前連結会計年度および当連結会計年度において、トヨタの海外における車両販売台数のそれぞれ77.3%および75.9%が海外で生産されています。北米では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ76.8%および75.9%が現地で生産されています。欧州では前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ73.9%および73.1%が現地で生産されています。アジアでは前連結会計年度および当連結会計年度の車両販売台数のそれぞれ98.3%および97.4%が現地で生産されています。生産の現地化により、トヨタは生産過程に使用される供給品および原材料の多くを現地調達することができ、現地での収益と費用の通貨のマッチングをはかることが可能です。 トヨタは、取引リスクの一部に対処するために為替の取引およびヘッジを行っています。これにより為替変動による影響は軽減されますが、すべて排除されるまでには至っておらず、年によってその影響が大きい場合もあり得ます。為替変動リスクをヘッジするためにトヨタで利用されるデリバティブ金融商品に関する追加的な情報については、連結財務諸表注記20および21を参照ください。 一般的に、円安は営業収益、営業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼします。日本円の米ドルに対する期中平均および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円安に推移しました。また、日本円のユーロに対する期中平均および決算日の為替相場は、前連結会計年度に比べて円安に推移しました。詳細については、連結財務諸表注記19を参照ください。 e.セグメンテーショントヨタの最も重要な事業セグメントは、自動車事業セグメントです。トヨタは、世界の自動車市場においてグローバル・コンペティターとして自動車事業を展開しています。マネジメントは世界全体の自動車事業を一つの事業セグメントとして資源の配分やその実績の評価を行っており、自動車事業セグメント内で資源を配分するために、販売台数、生産台数、マーケット・シェア、車両モデルの計画および工場のコストといった財務およびそれ以外に関するデータの評価を行っています。トヨタは国内・海外または部品等のような自動車事業の一分野を個別のセグメントとして管理していません。 ②地域別内訳次の表は、過去2連結会計年度のトヨタの地域別外部顧客向け営業収益を示しており、当社または連結子会社の所在国の位置を基礎として集計しています。 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 2023年 2024年日本9,122,282 10,193,556 北米13,509,027 17,624,268 欧州4,097,537 5,503,738 アジア7,076,922 7,604,269 その他3,348,530 4,169,494 (注)「その他」 は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。 ③業績―当連結会計年度と前連結会計年度の比較 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 日本 17,583,196 21,020,721 3,437,525 19.6% 北米 13,843,901 17,943,072 4,099,172 29.6% 欧州 4,273,735 5,681,764 1,408,028 32.9% アジア 8,044,906 8,730,749 685,843 8.5% その他 3,472,193 4,389,785 917,592 26.4% 消去又は全社 △10,063,633 △12,670,767 △2,607,133 - 計 37,154,298 45,095,325 7,941,027 21.4%営業利益 日本 1,901,463 3,484,270 1,582,808 83.2% 北米 △74,736 506,319 581,056 - 欧州 57,460 388,096 330,636 575.4% アジア 714,451 865,591 151,140 21.2% その他 231,362 198,345 △33,017 △14.3% 消去又は全社 △104,974 △89,687 15,286 - 計 2,725,025 5,352,934 2,627,909 96.4%営業利益率 7.3% 11.9% 4.6% 税引前利益 3,668,733 6,965,085 3,296,352 89.8%税引前利益率 9.9% 15.4% 5.5% 親会社の所有者に帰属する当期利益 2,451,318 4,944,933 2,493,615 101.7%親会社の所有者に帰属する当期利益率 6.6% 11.0% 4.4% (注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカ、中東からなります。 a.営業収益当連結会計年度の営業収益は45兆953億円と、前連結会計年度に比べて7兆9,410億円(21.4%)の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響5兆1,300億円や、為替変動の影響1兆3,200億円によるものです。 トヨタの事業別外部顧客向け営業収益の商品別内訳は次のとおりです。 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率車両 28,394,256 35,249,865 6,855,609 24.1%生産用部品 1,710,422 1,596,111 △114,311 △6.7%部品 2,866,196 3,166,586 300,390 10.5%その他 805,995 1,068,169 262,174 32.5% 自動車事業合計 33,776,870 41,080,731 7,303,861 21.6%その他の事業 590,749 567,399 △23,350 △4.0%商品・製品売上収益合計 34,367,619 41,648,130 7,280,511 21.2%金融事業に係る金融収益 2,786,679 3,447,195 660,516 23.7% 営業収益合計 37,154,298 45,095,325 7,941,027 21.4% 営業収益は自動車事業およびその他の事業の合計である商品・製品売上収益ならびに金融事業に係る金融収益で構成されており、当連結会計年度の商品・製品売上収益は41兆6,481億円と、前連結会計年度に比べて21.2%の増収となり、金融事業に係る金融収益は3兆4,471億円と、前連結会計年度に比べて23.7%の増収となりました。商品・製品売上収益の増収は、主にトヨタの販売台数が621千台増加したことや、為替変動の影響によるものです。前連結会計年度末および当連結会計年度末の各地域における融資件数(残高)の状況は次のとおりです。 ・金融事業における融資件数残高 千件 3月31日 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率日本 2,767 2,781 14 0.5%北米 5,500 5,589 89 1.6%欧州 1,647 1,784 137 8.3%アジア 2,034 2,133 99 4.9%その他 938 981 43 4.6% 合計 12,886 13,268 382 3.0% (注)「その他」は、中南米、オセアニア、アフリカからなります。 当連結会計年度の営業収益(セグメント間の営業収益控除前)は前連結会計年度に比べて、日本では19.6%、北米では29.6%、欧州では32.9%、アジアでは8.5%、その他の地域では26.4%の増収となりました。為替変動の影響1兆3,200億円を除いた場合、当連結会計年度の営業収益は前連結会計年度に比べて、日本では18.0%、北米では21.2%、欧州では19.5%、アジアでは3.1%、その他の地域では55.3%の増収であったと考えられます。各地域における営業収益(セグメント間の営業収益控除前)の状況は次のとおりです。 ・日本 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 3,703 4,014 311 8.4%(日本は輸出台数を含む) 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 17,271,451 20,679,979 3,408,528 19.7% 金融事業に係る金融収益 311,744 340,742 28,998 9.3% 営業収益計 17,583,196 21,020,721 3,437,525 19.6% 日本においては、ダイハツ工業㈱や㈱豊田自動織機の出荷停止の影響があったものの、主に輸出台数を含むトヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて311千台増加したことや、輸出取引に係る為替変動の影響や価格改定などにより、増収となりました。前連結会計年度および当連結会計年度における輸出台数はそれぞれ1,634千台および2,021千台となりました。 ・北米 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 2,407 2,816 409 17.0% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 11,965,050 15,705,804 3,740,754 31.3% 金融事業に係る金融収益 1,878,850 2,237,268 358,418 19.1% 営業収益計 13,843,901 17,943,072 4,099,171 29.6% 北米においては、市場が堅調に推移したことに伴い、「RAV4」や「カローラ」等の販売が好調であったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて409千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。 ・欧州 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 1,030 1,192 162 15.7% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 4,003,043 5,255,395 1,252,352 31.3% 金融事業に係る金融収益 270,693 426,369 155,676 57.5% 営業収益計 4,273,735 5,681,764 1,408,028 32.9% 欧州においては、市場が堅調に推移したことに伴い、「カローラ」等の販売が好調であったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて162千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。 ・アジア 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 1,751 1,804 53 3.0% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 7,832,020 8,485,219 653,199 8.3% 金融事業に係る金融収益 212,886 245,529 32,643 15.3% 営業収益計 8,044,906 8,730,749 685,843 8.5% アジアにおいては、主にインドでの販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて53千台増加したことや、為替変動の影響や価格改定により、増収となりました。 ・その他の地域 千台 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率連結販売台数 1,565 1,638 73 4.6% 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業収益 商品・製品売上収益 3,225,962 4,037,260 811,298 25.1% 金融事業に係る金融収益 246,232 352,525 106,293 43.2% 営業収益計 3,472,193 4,389,785 917,592 26.4% その他の地域においては、主にオセアニアでの販売が好調だったため、トヨタの販売台数が前連結会計年度に比べて73千台増加したことや、アルゼンチンにおけるインフレーションの影響により増収となりました。 b.営業費用 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率営業費用 売上原価 29,128,561 33,600,612 4,472,051 15.4% 金融事業に係る金融費用 1,712,721 2,126,395 413,674 24.2% 販売費及び一般管理費 3,587,990 4,015,383 427,393 11.9% 営業費用合計 34,429,273 39,742,390 5,313,117 15.4% 金額:百万円 営業費用の対前期比増減車両販売台数および販売構成の変化による影響3,880,000為替変動の影響635,000金融事業に係る金融費用の増加270,000原価改善の努力△120,000諸経費の増減・低減努力380,000その他268,117 合計5,313,117 当連結会計年度における営業費用は39兆7,423億円と、前連結会計年度に比べて5兆3,131億円(15.4%)の増加となりました。 ・原価改善の努力当連結会計年度は、1,200億円の営業費用の減少となりました。この減少は、仕入先と一体となった原価改善活動に引き続き精力的に取り組んだ結果、VE(Value Engineering)活動を中心とした設計面での原価改善など2,650億円および工場・物流部門などにおける原価改善1,200億円によるものですが、資材高騰の影響2,650億円により一部相殺されています。 原価改善の努力は、継続的に実施されているVE・VA(Value Analysis)活動、部品の種類の絞込みにつながる部品共通化、ならびに車両生産コストの低減を目的としたその他の製造活動に関連しています。なお、資材高騰の影響には、鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品などの資材・部品価格の変動による影響が含まれています。 ・売上原価当連結会計年度における売上原価は33兆6,006億円と、前連結会計年度に比べて4兆4,720億円(15.4%)の増加となりました。この増加は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響3兆8,800億円ならびに為替変動の影響4,200億円によるものです。 ・金融事業に係る金融費用当連結会計年度における金融事業に係る金融費用は2兆1,263億円と、前連結会計年度に比べて4,136億円(24.2%)の増加となりました。この増加は、主に市場金利の上昇等による資金調達コストの増加および貸倒関連費用の増加によるものです。 ・販売費及び一般管理費当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4兆153億円と、前連結会計年度に比べて4,273億円(11.9%)の増加となりました。この増加は、主に労務費2,250億円および販売諸費用1,800億円の増加によるものです。 c.営業利益 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力2,000,000原価改善の努力120,000為替変動の影響685,000諸経費の増減・低減努力△380,000その他202,909 合計2,627,909 当連結会計年度における営業利益は5兆3,529億円と、前連結会計年度に比べて2兆6,279億円(96.4%)の増益となりました。この増益は、営業面の努力2兆円、為替変動の影響6,850億円および原価改善の努力1,200億円などによるものですが、諸経費の増減・低減努力3,800億円により一部相殺されています。 上記の営業面の努力は、車両販売台数および販売構成の変化9,800億円ならびに価格改定を中心としたその他営業面の影響9,200億円などを含んでいます。その他は、金利スワップおよび金利通貨スワップの評価益1,405億円などを含んでいます。 また、為替変動の影響の増益要因は、主に輸出入等の外貨取引による影響5,900億円によるものです。 当連結会計年度における営業利益(セグメント間の利益控除前)は前連結会計年度に比べて、日本では1兆5,828億円(83.2%)、北米では5,810億円、欧州では3,306億円(575.4%)、アジアでは1,511億円(21.2%)の増益、その他の地域では330億円(14.3%)の減益となりました。各地域における営業利益の状況は次のとおりです。 ・日本 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力1,130,000原価改善の努力△110,000為替変動の影響625,000諸経費の増減・低減努力△140,000その他77,808 合計1,582,808   ・北米 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力455,000原価改善の努力125,000為替変動の影響60,000諸経費の増減・低減努力△190,000その他131,056 合計581,056  ・欧州 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力180,000原価改善の努力75,000為替変動の影響△5,000諸経費の増減・低減努力10,000その他70,636 合計330,636  ・アジア 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力115,000原価改善の努力35,000為替変動の影響△35,000諸経費の増減・低減努力5,000その他31,140 合計151,140  ・その他 金額:百万円 営業利益の対前期比増減営業面の努力125,000原価改善の努力△5,000為替変動の影響40,000諸経費の増減・低減努力△80,000その他△113,017 合計△33,017   d.その他の収益・費用当連結会計年度における持分法による投資損益は7,631億円と、前連結会計年度に比べて1,200億円(18.7%)の増益となりました。この増益は、主に持分法適用会社の親会社の所有者に帰属する当期利益の増益によるものです。 当連結会計年度におけるその他の金融収益は7,472億円と、前連結会計年度に比べて3,678億円(97.0%)の増加となりました。この増加は、主に受取利息および有価証券売却益の増加によるものです。 当連結会計年度におけるその他の金融費用は1,037億円と、前連結会計年度に比べて214億円(17.1%)の減少となりました。この減少は、主に有価証券評価損の減少によるものです。 当連結会計年度における為替差損益<純額>は1,875億円と、前連結会計年度に比べて630億円の増益となりました。為替差損益は、外国通貨建て取引によって生じた外貨建ての資産および負債を、取引時の為替相場で換算した価額と、先物為替契約を利用して行う決済を含め、同会計年度における決済金額または決算時の為替相場で換算した価額との差額を示すものです。為替差損益<純額>の増益630億円は、主に当連結会計年度の外貨預金および貸付金において、預入時または貸付時の為替相場に比べて満期時の為替相場が円安に推移したことにより、為替差益を計上したことによるものです。 当連結会計年度におけるその他<純額>は179億円と、前連結会計年度に比べて960億円の増益となりました。 e.法人所得税費用当連結会計年度における法人所得税費用は1兆8,936億円と、前連結会計年度に比べて7,178億円(61.1%)の増加となりました。これは、主に税引前利益の増加などの影響によるもので、当連結会計年度における平均実際負担税率は27.2%となりました。 f.非支配持分に帰属する当期利益当連結会計年度における非支配持分に帰属する当期利益は1,264億円と、前連結会計年度に比べて848億円(203.7%)の増益となりました。この増益は、主に連結子会社の当期利益の増益によるものです。 g.親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は4兆9,449億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,936億円(101.7%)の増益となりました。 h.その他の包括利益(税効果考慮後)当連結会計年度におけるその他の包括利益(税効果考慮後)は2兆1,171億円と、前連結会計年度に比べて1兆2,893億円利益が増加しました。これは、主に株価が変動したことにより、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値変動が前連結会計年度の165億円の損失に対し、当連結会計年度は5,697億円の利益となったこと、および主に米ドルやユーロに対する為替レートが円安に進んだことにより、在外営業活動体の為替換算差額が前連結会計年度の6,760億円の利益に対し、当連結会計年度は1兆1,788億円の利益となったことによるものです。 i.事業別セグメントの状況以下は、トヨタの事業別セグメントの状況に関する説明です。記載された数値は、セグメント間の営業収益控除前です。 金額:百万円 3月31日に終了した1年間 増減および増減率 2023年 2024年 増減 増減率自動車 営業収益 33,820,000 41,266,204 7,446,204 22.0%営業利益 2,180,637 4,621,475 2,440,838 111.9%金融 営業収益 2,809,647 3,484,198 674,551 24.0%営業利益 437,516 570,023 132,507 30.3%その他 営業収益 1,224,943 1,368,164 143,221 11.7%営業利益 103,451 175,241 71,789 69.4%消去又は全社 営業収益 △700,293 △1,023,242 △322,949 -営業利益 3,420 △13,805 △17,226 -合計 営業収益 37,154,298 45,095,325 7,941,027 21.4% 営業利益 2,725,025 5,352,934 2,627,909 96.4% ・自動車事業セグメント自動車事業の営業収益は、トヨタの営業収益のうち最も高い割合を占めます。当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業収益は41兆2,662億円と、前連結会計年度に比べて7兆4,462億円(22.0%)の増収となりました。この増収は、主に車両販売台数および販売構成の変化による影響5兆1,300億円や、為替変動の影響8,800億円によるものです。 当連結会計年度における自動車事業セグメントの営業利益は4兆6,214億円と、前連結会計年度に比べて2兆4,408億円(111.9%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に営業面の努力2兆300億円および為替変動の影響6,600億円などによるものです。 ・金融事業セグメント当連結会計年度における金融事業セグメントの営業収益は3兆4,841億円と、前連結会計年度に比べて6,745億円(24.0%)の増収となりました。この増収は、主に融資残高の増加および為替変動の影響によるものです。当連結会計年度における金融事業セグメントの営業利益は5,700億円と、前連結会計年度に比べて1,325億円(30.3%)の増益となりました。この営業利益の増益は、主に米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が減少したことなどによるものです。 ・その他の事業セグメント当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業収益は1兆3,681億円と、前連結会計年度に比べて1,432億円(11.7%)の増収となりました。当連結会計年度におけるその他の事業セグメントの営業利益は1,752億円と、前連結会計年度に比べて717億円(69.4%)の増益となりました。 ④流動性と資金の源泉トヨタは従来、設備投資および研究開発活動のための資金を、主に営業活動から得た現金により調達してきました。 2025年3月31日に終了する連結会計年度については、トヨタは設備投資および研究開発活動のための十分な資金を、主に手元の現金及び現金同等物、営業活動から得た現金、および社債・借入金等の資金調達で充当する予定です。トヨタはこれらの資金を、従来の設備の維持更新・新製品導入へ効率的に投資しつつ、モビリティ・カンパニーへの変革に向け、競争力強化・将来の成長に資する分野に重点を置いて投資する予定です。2023年4月1日から2024年3月31日までに行われた重要な設備投資および処分に関する情報ならびに現在進行中の重要な設備投資および処分に関する情報は、「第3 設備の状況」を参照ください。 顧客や販売店に対する融資プログラムおよびリース・プログラムで必要となる資金について、トヨタは販売金融子会社の営業活動から得た現金と社債・借入金等の資金調達によりまかなっています。トヨタは金融子会社のネットワークを通じて、世界中の現地市場で資金を調達する能力を向上させるよう努めています。 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の2兆9,550億円の資金の増加に対し、4兆2,063億円の資金の増加となり、1兆2,512億円増加しました。この増加は、当連結会計年度(2024年3月31日に終了した12ヶ月間)における当期利益が増加した結果、資金が2兆5,784億円増加したことなどによるものです。 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の1兆5,988億円の資金の減少に対し、4兆9,987億円の資金の減少となり、3兆3,998億円減少しました。この減少は、主に定期預金の増加により、資金が1兆7,036億円減少したことによる影響です。 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の561億円の資金の減少に対し、2兆4,975億円の資金の増加となり、2兆5,537億円増加しました。この増加は、主に長期有利子負債による資金調達が2兆7,804億円増加したことによるものです。 当連結会計年度における資本的支出(賃貸資産を含む)は、前連結会計年度の3兆4,962億円から4兆8,480億円となり、1兆3,518億円増加しました。この増加は、主に金融事業におけるリース資産購入による資本的支出が9,547億円増加したことによるものです。 2025年3月31日に終了する連結会計年度において、賃貸および賃借資産を除く設備投資額は約2兆1,500億円となる予定です。 現金及び現金同等物は、2024年3月31日現在で9兆4,120億円でした。現金及び現金同等物の大部分は円建てまたは米ドル建てです。 トヨタは、現金及び現金同等物、定期預金、公社債および信託ファンドへの投資を総資金量と定義しており、当連結会計年度において総資金量は、4兆3,939億円(29.9%)増加し、19兆1,090億円となりました。 当連結会計年度における営業債権及びその他の債権は、2,032億円(5.7%)増加し、3兆7,894億円となりました。これは主に、為替変動の影響によるものです。 当連結会計年度における棚卸資産は、3,497億円(8.2%)増加し、4兆6,053億円となりました。これは主に、為替変動の影響によるものです。 当連結会計年度における金融事業に係る債権合計は、6兆9,235億円(28.0%)増加し、31兆6,943億円となりました。これは主に、顧客や販売店に対する融資残高の増加によるものです。2024年3月31日現在における金融債権の地域別内訳は、北米57.1%、アジア11.3%、欧州14.5%、日本6.2%、その他の地域10.9%でした。 当連結会計年度におけるその他の金融資産合計は、3兆8,206億円(31.1%)増加しました。これは主に、公社債の増加によるものです。 当連結会計年度における有形固定資産は、1兆6,238億円(12.9%)増加しました。これは主に、設備投資によるものです。 当連結会計年度における営業債務及びその他の債務は、2,650億円(5.3%)増加しました。これは主に、為替変動の影響によるものです。 当連結会計年度における未払法人所得税は、8,199億円(202.7%)増加しました。これは主に、税引前利益の増加に伴う法人所得税費用の増加などによるものです。 当連結会計年度における有利子負債合計は、7兆1,815億円(24.4%)増加しました。トヨタの短期借入債務は、加重平均利率2.27%の借入金と、加重平均利率4.53%のコマーシャル・ペーパーにより構成されています。当連結会計年度における短期借入債務は、前連結会計年度に比べて8,977億円(19.6%)増加し、5兆4,879億円となりました。トヨタの長期借入債務は、加重平均利率が1.92%から7.86%、返済期限が2024年から2048年の無担保の借入金、担保付きの借入金、ミディアム・ターム・ノート、無担保普通社債、担保付普通社債などにより構成されています。当連結会計年度の1年以内に返済予定の長期借入債務は2兆1,962億円(28.7%)増加し、9兆8,448億円となり、返済期限が1年超の長期借入債務は4兆809億円(24.5%)増加し、20兆7,663億円となりました。借入債務合計の増加は、主に金融子会社における融資残高の伸びに伴う資金需要の高まりによるものです。2024年3月31日現在で、長期借入債務の約53%は米ドル建て、約10%は円建て、約13%はユーロ建て、約5%は豪ドル建て、約4%は加ドル建て、約15%はその他の通貨によるものです。トヨタは、金利スワップを利用することにより固定金利のエクスポージャーをヘッジしています。トヨタの借入必要額に重要な季節的変動はありません。 2023年3月31日現在におけるトヨタの親会社の所有者に帰属する持分合計に対する有利子負債比率は、103.7%でしたが、2024年3月31日現在では106.8%となりました。 トヨタの短期および長期借入債務は、2024年5月31日現在、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ(Moody’s)および格付投資情報センター(R&I)により、次のとおり格付けされています。なお、信用格付けは株式の購入、売却もしくは保有を推奨するものではなく、何時においても撤回もしくは修正され得ます。各格付けはその他の格付けとは個別に評価されるべきです。 S&P Moody’s R&I短期借入債務 A-1+ P-1 ―長期借入債務 A+ A1 AAA 当連結会計年度における確定給付負債(資産)の純額は、国内および海外で、それぞれ380億円および3,660億円と、前連結会計年度に比べて、国内は859億円(69.3%)減少し、海外は522億円(16.6%)の増加となりました。確定給付負債(資産)の純額は、トヨタによる将来の現金拠出または対象従業員に対するそれぞれの退職日における支払いにより解消されます。国内においては、主に割引率の上昇に伴う確定給付制度債務の減少により、確定給付負債(資産)の純額は減少しました。詳細については、連結財務諸表注記23を参照ください。 トヨタの財務方針は、すべてのエクスポージャーの管理体制を維持し、相手先に対する厳格な信用基準を厳守し、市場のエクスポージャーを積極的にモニターすることです。トヨタは、トヨタファイナンシャルサービス㈱に金融ビジネスを集中させ、同社を通じて金融ビジネスのグローバルな効率化を目指しています。 財務戦略の主な要素は、短期的な収益の変動に左右されず効率的に研究開発活動、設備投資および金融事業に投資できるような、安定した財務基盤を維持することです。トヨタは、現在必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えており、また、高い信用格付けを維持することにより、引き続き多額の資金を比較的安いコストで外部から調達することができると考えています。高い格付けを維持するためには、数多くの条件が求められ、その中にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。これらの条件には、日本およびトヨタが事業を行うその他の主要な市場の全体的な景気ならびにトヨタの事業戦略を成功させることができるかなどが含まれています。 トヨタは金融事業のための資金調達の一つの方法として特別目的事業体を通じた証券化プログラムを利用しています。これらの証券化取引は、トヨタが第一受益者であるものとして連結しており、当連結会計年度におけるオフバランス化される取引に重要なものはありません。 トヨタの非デリバティブ金融負債およびデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額に関しては、連結財務諸表注記19を参照ください。また、トヨタはその通常業務の一環として、一定の原材料、部品およびサービスの購入に関して、仕入先と長期契約を結ぶ場合があります。これらの契約は、一定数量または最低数量の購入を規定している場合があります。トヨタはかかる原材料またはサービスの安定供給を確保するためにこれらの契約を締結しています。 次の表は、2024年3月31日現在のトヨタの契約上の債務および商業上の契約債務を要約したものです。 金額:百万円 返済期限 合計 1年未満 1年以上3年未満 3年以上5年未満 5年以上契約上の債務: 短期借入債務5,487,959 5,487,959 - - - 長期借入債務31,073,820 9,918,326 12,033,292 6,449,064 2,673,138有形固定資産およびその他の資産ならびにサービスの購入に係る契約上のコミットメント(注記30)4,712,085 474,929 476,834 986,110 2,774,212合計41,273,864 15,881,214 12,510,126 7,435,174 5,447,350 商業上の契約債務: 通常の事業から生じる最大見込保証債務(注記30):3,310,989 881,967 1,470,118 834,481 124,423合計3,310,989 881,967 1,470,118 834,481 124,423 * 長期借入債務の金額は、将来の支払元本を表しています。 また、トヨタは2025年3月31日に終了する連結会計年度において、退職後給付制度に対し、国内および海外で、それぞれ45,860百万円および16,493百万円を拠出する予定です。 ⑤貸出コミットメントa.クレジットカード会員に対する貸出コミットメントトヨタは金融事業の一環としてクレジットカードを発行しています。トヨタは、クレジットカード事業の慣習に従い、カード会員に対する貸付の制度を有しています。貸出はお客様ごとに信用状態の調査を実施した結果設定した限度額の範囲内で、お客様の要求により実行されます。カード会員に対する貸付金には保証は付されませんが、貸倒損失の発生を最小にするため、また適切な貸出限度額を設定するために、トヨタは、提携関係にある金融機関からの財務情報の分析を含むリスク管理方針により与信管理を実施するとともに、定期的に貸出限度額の見直しを行っています。2024年3月31日現在のカード会員に対する貸出未実行残高は1,646億円です。 b.販売店に対する貸出コミットメントトヨタは金融事業の一環として販売店に対する融資の制度を有しています。貸付は買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保のために行われます。これらの貸付金については、通常担保権が設定されており、販売店の不動産、車両在庫、その他販売店の資産等、場合に応じて適切と考えられる物件に対して設定しています。さらに慎重な対応が必要な場合には販売店が指名した個人による保証または販売店グループが指名した法人による保証を付しています。貸付金は通常担保または保証が付されていますが、担保または保証の価値がトヨタのエクスポージャーを十分に補うことができていない可能性があります。トヨタは融資制度契約を締結することによって生じるリスクに従って融資制度を評価しています。トヨタの金融事業は、販売店グループと呼ばれる複数のフランチャイズ系列に対しても融資を行っており、しばしば貸出組合に参加することでも融資を行っています。こうした融資は、融資先の卸売車両の購入、買収、設備の改装、不動産の購入、運転資金の確保等を目的とするものです。2024年3月31日現在の販売店に対する貸出未実行残高は3兆7,940億円です。 ⑥保証詳細については、連結財務諸表注記30を参照ください。 ⑦関連当事者との取引詳細については、連結財務諸表注記32を参照ください。 ⑧会計基準の選択に関する基本的な考え方当社は、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上等を目的として、2021年3月期第1四半期よりIFRSを任意適用しています。 ⑨重要な会計上の見積りIFRSに準拠した連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針の適用、資産・負債およびトヨタの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積りおよび仮定に関する情報は、次のとおりです。  ・品質保証に係る負債 ・金融事業に係る金融損失引当金 ・非金融資産の減損 ・退職給付に係る負債 ・公正価値測定 ・繰延税金資産の回収可能性 詳細については、連結財務諸表注記4を参照ください。

※本記事は「トヨタ自動車株式会社」の令和6年年3期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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