東急不動産ホールディングス株式会社の基本情報

会社名東急不動産ホールディングス株式会社
業種不動産業
従業員数連21898名 単118名
従業員平均年齢42.8歳
従業員平均勤続年数15.1年
平均年収12784000円
1株当たりの純資産1150.27円
1株当たりの純利益(連結)108.69円
決算時期3月
配当金36.5円
配当性向90.5%
株価収益率(PER)9.2倍
自己資本利益率(ROE)(連結)9.9%
営業活動によるCF474億円
投資活動によるCF▲1399億円
財務活動によるCF14億円
研究開発費※1-円
設備投資額※1900.36億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※218.4%
有利子負債残高(連結)※316774.94億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)私たちがめざす価値創造について 長期ビジョン「GROUP VISION 2030」のありたい姿で規定した「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」に向け、「個人」「社会」「環境」それぞれの未来の理想像を描き、それらを実現するための4つの取り組みテーマ「多彩なライフスタイルをつくる」、「ウェルビーイングな街と暮らしをつくる」、「サステナブルな環境をつくる」、「デジタル時代の価値をつくる」をマテリアリティとして定めています。 上記の4つの事業基盤に関するマテリアリティに加え、「多様な人財が活きる組織風土をつくる」、「成長を加速するガバナンスをつくる」の経営基盤に関するマテリアリティの2つを設定し、当社グループがめざす未来を実現するために、6つのマテリアリティに取り組んでまいります。  創業以来、常に新しい事業やサービスの開発に取り組んできたクリエイティブなカルチャーの創造と継承を土台とし、変化の時代においてもマーケットの拡大を見込むことができる社会的なテーマを捉えながら、当社グループならではのプレミアムな価値を創出することで、ありたい姿である「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」を図って参ります。 (2)「中期経営計画2030」の位置づけについて 2022年5月に策定、公表した前中期経営計画は、2030年度までを対象とした長期経営方針における前半期の「再構築フェーズ」と位置付け、事業構造改革を推進したこと等により、計画値以上に大きな利益成長を遂げることができました。 2025年度から開始した「中期経営計画2030」は、長期経営方針後半期の「強靭化フェーズ」として、強固で独自性のある事業ポートフォリオを構築することで、効率性や耐久性の向上を進めながら、更なる利益成長を実現してまいります。 (3)前中期経営計画の振り返りについて ①事業ポートフォリオマネジメント 前中期経営計画期間では、㈱東急ハンズやフィットネス事業の譲渡、東急プラザ銀座や低採算のゴルフ場・スキー場の売却など、効率性や収益性が低い事業や資産の譲渡・売却を進めてまいりました。その一方で、今後一層注力していく、再生可能エネルギー事業では、リニューアブル・ジャパン㈱の株式を取得し、連結子会社と致しました。 ②財務目標の達成 前中期経営計画のROE目標や利益目標を含む、すべての財務目標を、2年前倒しの2023年度に達成し、2024年度も更なる改善や向上を実現することができました。 (4)「中期経営計画2030」の概要について①中期経営計画2030の骨子 長期経営方針で定めた「全社方針」「事業方針」および「経営基盤の強化」を深化させながら、社会的なニーズの変化・高まりからマーケットの拡大を見込むことができる「3つの重点テーマ」への取組を推進し、強固で独自性のある事業ポートフォリオの構築を図ります。 ②価値創造を支えるビジネスエコシステム 重点テーマの推進にあたり、当社グループの強みの源泉であるグループ各社の「幅広いお客さま・市場接点」と「独自の事業創出力」とが相乗効果を発揮する、特徴的なビジネスエコシステムを深化させていきます。 ③強固で独自性のある事業ポートフォリオ 事業間の相乗効果発揮により高い成長性を持ち、また、特性の異なるマーケットの捕捉や安定利益の拡大により市況変動への耐久性も備えた、強固で独自性のある事業ポートフォリオを構築いたします。 ④2030年度の目標指標 2030年度に、マテリアリティごとの目標の達成と合わせて、成長性・効率性指標としてROE10%、ROA5%、EPS170円前後、EPS平均成長率8%/年目標、利益目標として営業利益2,200億円以上、当期純利益1,200億円以上、財務健全性指標としてD/Eレシオ1.8倍以下、EBITDA有利子負債倍率8.0倍以下の達成をめざします。 また2030年度目標に向けた中間目標として、2027年度に、ROE9.5~10%、営業利益1,700億円、当期純利益920億円を達成してまいります。 ⑤中期経営計画における3つの重点テーマ 社会的ニーズの変化や高まりから、マーケットの拡大を見込むことができ、かつ、当社グループが強みを発揮できる、3つの重点テーマを推進し、高い成長率とリスク耐性の向上を実現してまいります。 ⑥企業価値向上に向けた取組 PBRを要素分解していき、中期経営計画における取組内容やKPIと紐づけて、それらの実施や改善を進めることで、PBRの向上に繋げてまいります。株主資本コストを上回るROEを継続的に達成していくとともに、PERについても、マーケット変動リスクへの耐久性の向上などにより株主資本コストの低減を図ってまいります。また、各事業の競争優位性の強化などを進め、期待成長率の向上に努めてまいります。 ⑦財務資本戦略の考え方 効率性と成長性の双方を意識した投資と事業推進、そして、期間利益の積み上げによる財務体質の改善を図ることで、サステナブルな成長基盤を構築してまいります。 成長投資により有利子負債を2兆円程度にまで拡大させる一方、自己資本を積上げ、D/Eレシオを1.8倍以下まで低減させます。また、インフレや金利上昇を上回る収益を確保し、効率性を高めてまいります。 本計画期間中の主なリスクである、建築費高騰、金利上昇に対して、グループの幅広い事業によるリスクヘッジや、他人資本の活用による省資金型事業、フィー収益の拡大などを引き続き取り組み、対応してまいります。 ⑧キャピタルアロケーション 2030年度末のD/Eレシオ1.8倍以下を前提として、ネット投資額は1兆円を計画しています。グロス投資額は3兆8,000億円、そのうち3兆5,000億円を資産活用型の都市開発および戦略投資事業に投下する計画です。資産活用型事業の期待リターン目線として、保有型事業ではNOI利回り5.0%前後、回転型事業ではIRR8.0%前後を目指します。なお、記載の投資額は2025年度~2030年度の6年累計の数値です。 ⑨事業ポートフォリオマネジメント 前中期経営計画の期間において、抜本的再構築が必要と位置付けた事業を中心に構造改革を進めた結果、現在の当社グループの事業ポートフォリオは、一定の競争優位性と成長性を備えた事業で構成されていると認識しています。 下図において右側に位置付ける事業は、特に競争優位性があると認識しておりますが、中央に位置する事業も競争優位性が高くないという訳ではなく、複合開発等による相乗効果発揮によって、競争優位を一層高める余地がある事業群だと考えております。 今後も継続的に事業ポートフォリオを点検し、競争優位性と成長性がともに失われた事業が生じた場合には、適切な対応をしてまいります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況財政状態 資産の部は、リニューアブル・ジャパン㈱の新規連結や、販売用不動産への投資等の進捗等により、対前会計年度末2,292億円増加の3兆2,599億円となりました。負債の部は、有利子負債の増加等により対前会計年度末1,576億円増加の2兆4,164億円となり、また、純資産の部は、利益剰余金等の増加等により対前会計年度末716億円増加の8,435億円となりました。 経営成績 当連結会計年度の業績は、堅調な不動産売買市場を背景とした住宅分譲事業や売買仲介事業の好調、旺盛なインバウンド需要の取込みに伴うホテル事業の好調等により、売上高1兆1,503億円(対前期+4.3%)、営業利益1,408億円(同+17.1%)、経常利益1,292億円(同+17.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益776億円(+13.2%)と、増収増益となり、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、ホールディングス体制への移行前も含めて過去最高となりました。 (単位:億円) 前期当期比較売上高11,03011,503473営業利益1,2021,408205経常利益1,1041,292188親会社株主に帰属する当期純利益68577690 有利子負債15,90117,4781,577 <セグメント別業績>売上高 (単位:億円) 営業利益 (単位:億円) 前期当期比較 前期当期比較合計11,03011,503473 合計1,2021,408205都市開発3,6543,488△166 都市開発532705174戦略投資1,0801,10828 戦略投資15152△100管理運営3,7153,658△56 管理運営22825022不動産流通2,8563,454599 不動産流通385508123全社・消去△274△20667 全社・消去△95△108△13 A.都市開発事業 売上高は3,488億円(対前期△4.5%)、営業利益は705億円(同+32.7%)となりました。 売上高は、「オフィス・商業施設」では、「賃貸オフィス」で「Shibuya Sakura Stage」(東京都渋谷区)の通期稼働、「その他」で「Shibuya Sakura Stage」の一部持分の売却等による増収の一方、「住宅」では、「その他」で投資家向け売却等の減少等により減収となり、セグメント全体で減収となりました。 営業利益は、「Shibuya Sakura Stage」の売却益の計上及び分譲マンションの粗利益率の改善等により、セグメント全体で増益となりました。 賃貸オフィスは、当社が数多く保有する渋谷エリアを中心に好調に推移しており、当期末の空室率(オフィス・商業施設)は0.3%と引き続き低水準を維持しております。また、分譲マンションの販売は、都心部を中心に引き続き底堅い需要により堅調に推移しております。当期の分譲マンションは、「ザ・タワー十条」(東京都北区)、「ブランズ千代田富士見」(東京都千代田区)等を新規竣工引渡物件として計上しました。なお、分譲マンションの次期売上予想に対する契約済み割合は76%(同+2P)となっております。 (億円) 前期当期比較 通期予想(11月5日公表)対予想売上高3,6543,488△166 3,640△152 オフィス・商業施設1,7722,134361 2,191△57 賃貸オフィス56362057 6137 賃貸商業施設42147453 475△1 その他7891,040251 1,103△63 住宅1,8821,355△527 1,449△94 住宅分譲895848△47 8444 その他987507△480 605△98営業利益532705174 739△34 オフィス・商業施設337561224 54219 住宅194144△50 197△53※各事業の営業利益は、連結処理前の参考値 賃貸オフィス・賃貸商業施設:空室率2022年3月期末2023年3月期末2024年3月期末2025年3月期末1.3%1.1%4.8%0.3% 住宅分譲:分譲マンション (戸) 前期当期比較 通期予想(11月5日公表)対予想計上戸数1,2801,006△273 1,0051契約戸数1,0081,121113 --期末完成在庫12718558 -- B.戦略投資事業 売上高は1,108億円(対前期+2.6%)、営業利益は52億円(同△65.9%)となりました。 「インフラ・インダストリー」では物流施設等の投資家向け売却等の減少により減収の一方、「海外事業」のインドネシアの分譲マンション計上戸数増等により増収となりましたが、北米における費用増加等により、セグメント全体では増収減益となりました。 再生可能エネルギー事業は、稼働施設が計画通り増加しております。全施設稼働後の総定格容量(持分換算前)は、2,527MW(対前期末+699MW)の規模となります。 (億円) 前期当期比較 通期予想(11月5日公表)対予想売上高1,0801,10828 1,110△2 インフラ・インダストリー885850△35 864△14 投資運用9994△6 858 海外9516570 1614営業利益15152△100 2824 インフラ・インダストリー193151△42 1429 投資運用6862△5 566 海外△114△161△48 △1708※各事業の営業利益は、連結処理前の参考値※インフラ・インダストリー:再生可能エネルギー発電施設・物流施設等※投資運用:REIT・ファンドの運用事業等 再生可能エネルギー発電施設 2022年3月期末2023年3月期末2024年3月期末2025年3月期末稼働施設数(件)666574196稼働済定格容量(MW)8821,0341,3421,955※稼働済定格容量は、持分換算前の容量を記載しております。※2024年3月期末までは、国内プロジェクトのみを記載しております。※2024年3月期末より、ルーフトップ(屋根上太陽光発電設備)を1事業として集計し、稼働済定格容量に含めております。※2025年3月期末の稼働施設数及び稼働済定格容量は、2025年1月16日付で当社の連結子会社となったリニューアブル・ジャパン㈱及びその子会社の稼働施設を含んでおります。 C.管理運営事業 売上高は3,658億円(対前期△1.5%)、営業利益は250億円(同+9.6%)となりました。 売上高は、「管理」において「マンション管理」に含めていた戸建てリフォーム事業の譲渡等や、「ウェルネス」において「ヘルスケア」に含めていた㈱東急スポーツオアシス(注)の全株式譲渡に伴う連結除外等により、セグメント全体で減収となりました。 営業利益は、「管理」における「マンション管理」の工事の増加、「ビル管理」の大型案件の管理開始等や、「ウェルネス」における東急ステイを中心とした「ホテル」でのインバウンド需要の取込み等により、セグメント全体で増益となりました。 (億円) 前期当期比較 通期予想(11月5日公表)対予想売上高3,7153,658△56 3,62038 管理2,2602,191△69 2,18011 マンション管理1,2771,218△60 1,2126 ビル管理982974△9 9686 ウェルネス1,3251,3283 1,30028 ホテル546677131 65423 レジャー1741762 16115 ヘルスケア285136△149 136△0 その他32033919 349△10 環境緑化等1301399 140△1営業利益22825022 23911 管理11513016 12010 ウェルネス1101177 118△1 環境緑化等440 13※各事業の営業利益は、連結処理前の参考値※ホテル  :ハーヴェストクラブ、東急ステイ、リゾートホテル等※レジャー :ゴルフ場、スキー場等※ヘルスケア:シニア住宅、フィットネス施設(㈱東急スポーツオアシス(注)の全株式譲渡に伴い前連結会計年度末より当社の連結範囲から除外)等(注)㈱東急スポーツオアシスは、2025年4月1日付にて㈱ルネサンスに吸収合併されております。 期末管理物件数 2022年3月期末2023年3月期末2024年3月期末2025年3月期末2026年3月期末予想マンション(戸)831,603867,891845,241814,994845,723ビル等 (件)1,6261,6561,6441,6181,622 D.不動産流通事業 売上高は3,454億円(対前期+21.0%)、営業利益は508億円(同+31.8%)となりました。 「仲介」では、「売買仲介」は堅調な不動産流通市場を捉え、取扱件数、取扱高の増加により、「不動産販売」は大型案件の取込みおよび計上戸数の増加により増収となり、セグメント全体でも増収増益となりました。 (億円) 前期当期比較 通期予想(11月5日公表)対予想売上高2,8563,454599 3,260194 仲介1,8722,400528 2,202198 売買仲介85894688 92026 不動産販売9441,374429 1,181192 販売受託等698011 101△20 賃貸住宅サービス9841,05470 1,058△4営業利益385508123 46147 仲介33743496 39241 賃貸住宅サービス477024 692※各事業の営業利益は、連結処理前の参考値 売買仲介 前期当期比較 通期予想(11月5日公表)対予想取扱件数 (件)30,26532,9182,653 32,9117取扱高 (億円)20,80122,3121,510 22,679△367※リテール、ホールセールの合計値です。 賃貸住宅サービス期末管理戸数 (千戸) 2022年3月期末2023年3月期末2024年3月期末2025年3月期末2026年3月期末予想賃貸住宅117130138144153学生マンション等4852565556※学生マンション等の管理戸数の2026年3月期末予想は、2027年3月期初の計画値 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,575億円となり、前期末と比較して888億円の減少となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加△987億円、受託販売預り金の減少△424億円、法人税等の支払△253億円等による資金減少の一方、税金等調整前当期純利益1,223億円、減価償却費515億円等により、474億円の資金増加となりました。(投資活動におけるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入222億円等の資金増加の一方、固定資産の取得△705億円、有価証券及び投資有価証券の取得△711億円等により、1,400億円の資金減少となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済△1,081億円、配当金の支払△245億円等の一方で、長期借入金の調達1,085億円等により、15億円の資金増加となりました。③生産、受注及び販売の実績 生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容A.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度における我が国経済は、国内外の政策動向や金融資本市場の変動により不透明感が継続したものの、インバウンド需要の拡大や雇用・所得環境の改善等を受け、緩やかなインフレ傾向のもと、回復基調で推移いたしました。 このような状況のもと、当社グループは、長期経営方針における強靭化フェーズとして、2025年度から開始する新中期経営計画の策定を進めてまいりました。 当社グループが注力する広域渋谷圏では、「東急プラザ原宿「ハラカド」」の開業に続き、2025年2月に「代々木公園 BE STAGE」の一部供用を開始いたしました。2023年度以降に順次開業を迎えた大型4物件を中心に、エリアの面的連携、回遊性が向上しており、今後は、スタートアップ共創・体験型コンテンツ開発等のソフトとハードを融合させた取組の推進により、広域渋谷圏の更なる魅力づけと収益化の両立を図ってまいります。 当社の全社方針「環境経営」では、脱炭素社会・循環型社会・生物多様性の3つを重点課題とし、環境を起点とした事業機会の拡大を進めております。なかでも、再生可能エネルギー事業は、2014年の参入以来、ノウハウの蓄積と規模拡大、電源の多様化に注力し、安定的に収益に寄与しつつ当社グループの他事業における環境の付加価値創出に貢献する事業へと成長してまいりました。 国策としてGX推進や再生可能エネルギー電源比率の拡大への取組等が掲げられ、一層の市場規模拡大が見込まれる一方、新たなプレイヤーの参入により競争が激化するなど、市場の環境・構造が急速に変化しております。そのようななか、本事業を当社グループの新たな柱として、持続的な成長を図るため、M&Aや外部パートナーとの連携等を通じたバリューチェーンの構築を推し進めるとともに、Non-FIT案件を含めた開発の加速と電力小売顧客基盤の強化によるFITに頼らない電力供給モデルの構築に取り組んでまいりました。 財務資本戦略としては、効率性と成長性の双方を意識した投資と事業推進、そして、期間利益の積み上げによる財務体質の改善を図ることで、サステナブルな成長基盤を構築し、ROE向上およびEPS成長、ひいては株主価値・企業価値向上を目指します。  セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 ・都市開発事業セグメント オフィス・商業施設事業では大型案件の着実な推進による安定利益の獲得に加え、広域渋谷圏のエリア価値向上及び新たな収益機会の獲得に向け、コンテンツ事業やスタートアップ企業との連携強化による価値創造に取り組んでまいります。 オフィスマーケットは、当社が数多く保有する渋谷エリアを中心に堅調に推移しております。2025年3月期末の当社施設の空室率(オフィスビル・商業施設)は、0.3%と引き続き低水準を維持しております。 商業施設の売上は、郊外施設は新型コロナウイルス感染拡大前のレベルを超えて安定して推移しており、都心施設もインバウンド消費等で新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復をしております。広域渋谷圏における文化創造・発信拠点の核となる商業施設として、2024年4月に「東急プラザ原宿「ハラカド」」が開業したことに加え、新たな価値提供に向けた既存施設のリニューアルの実施、EC市場拡大継続など消費行動の変化に対応したリーシング活動などを進めてまいります。 分譲マンションマーケットは、住宅ローン金利動向には注視が必要ですが、実需層を中心に、当社グループのマンション販売は堅調に推移しており、2026年3月期の期初時点での分譲マンションの通期売上予想に対する契約済割合は76%となっております。「BRANZ」のブランドで首都圏や関西圏を中心に分譲マンション事業を行っており、高付加価値の再開発物件に重点を置いた事業の強化や、持続可能で心地よい暮らしと環境貢献実現のために新たな発想や仕組みを取り入れた「環境先進マンション」の開発に注力しております。建築工事費は、資材価格の高騰や慢性的な人工不足により上昇傾向にありますが、引き続き状況を注視しながら、コストコントロールを図ってまいります。 ・戦略投資事業セグメント 当社グループが、近年事業規模を拡大させてきた再生可能エネルギー事業は、FIT制度に基づく発電施設においては売電単価が固定されており、安定的に収益に寄与する事業です。「ReENE」のブランド名で太陽光発電所、風力発電所などの開発に注力しており、稼働案件も着実に増加しております。外部環境としては、政府が2040年度の電源構成において、再生可能エネルギーの割合を4~5割程度に増加させる方針に加え、2050年までに温室効果ガスの排出を0にする2050年カーボンニュートラルを掲げるなど、今後も市場が拡大していくと見込まれます。 再生可能エネルギー電力の重要性の高まりや大規模発電施設の適地の減少等により、案件の取得環境は過熱しておりますが、陸上風力発電施設・太陽発電施設を中心とした発電施設への投資の継続と、蓄電池への投資の拡大を進めてまいります。また、発電施設の開発・売電に留まらず、O&M※1や電力小売りを含むノンアセット事業の拡大を図り、再生可能エネルギー事業のバリューチェーンを構築してまいります。 インダストリー事業における物流施設は、EC市場の成長により引き続き需要拡大が見込める環境であり、再生可能エネルギーの活用やCASBEE認証取得等の環境配慮型施設など、当社グループならではの付加価値を創出し、他社との差別化を図りながら、今後も事業の拡大を進めてまいります。また、データセンター等の新たなアセットの拡大にも取り組んでまいります。 海外事業における米国事業では、大型開発などで築いた信用力や現地社員のローカルネットワークによる情報力を活かして事業モデルを多様化し、市況の変化に柔軟に対応してまいります。アジア事業では自社開発アセットによる賃貸事業で安定利益を上げつつ、優良パートナーとの関係が構築されている国において、成長事業への投資を進めてまいります。 ・管理運営事業セグメント 管理事業における事業環境は、インフレ下での資材・労務費の継続的な上昇、労働力確保難などを課題として認識しております。重点課題としては、ストック拡大に頼った利益成長ではなく、「量」から「質」への転換及び質の向上により、生産性・収益性の改善及び事業ドメインの拡大を図ってまいります。 ウェルネス事業については、2025年3月の東急ステイのRevPARが15,954円と好調に推移し、大幅に収益が改善しました。また、ヘルスケア事業では、㈱チャーム・ケア・コーポレーションとの業務提携契約を締結する等、事業価値および効率性の向上に向けた取組を継続して図っております。 ・不動産流通事業セグメント 仲介事業におけるリテール部門では、事業環境が堅調に推移(平均取引価格の上昇継続、取引件数の増加基調)する中、新規出店の継続、顧客戦略の推進等により取引件数を拡大することが出来ました。ホールセール部門においては、大型取引の成約、事業法人の資産売却ニーズを捉えた買取再販業の拡大により増収となりました。重点課題としては、事業間・組織間での連携を強化し、情報の最有効活用を進めること、またDX活用によるお客様への最適なサービスの提供、営業活動の効率化等を図ってまいります。 ※1 発電所管理業務(Operation & Maintenance の略) B.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度におけるセグメントごとの資産額並びに有形固定資産及び無形固定資産の増加額の内訳は以下のとおりです。 (単位:百万円) 都市開発戦略投資管理運営不動産流通調整額連結財務諸表計上額セグメント資産1,713,812906,689452,556282,731△95,8633,259,928有形固定資産及び無形固定資産の増加額27,65531,07025,3495,95961290,649  当社グループの主要な資金需要は、都市開発事業セグメントにおけるオフィスビルや商業施設、分譲マンションや賃貸住宅等の取得・開発資金、戦略投資事業セグメントにおける再生可能エネルギー発電施設、物流施設等の取得・開発資金、海外事業への出資、管理運営事業セグメントのウェルネス事業におけるホテル・リゾート施設等の取得・開発資金等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応していくこととしております。また、手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。  当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加△987億円、受託販売預り金の減少△424億円、法人税等の支払△253億円等による資金減少の一方、税金等調整前当期純利益1,223億円、減価償却費515億円等により、474億円の資金増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入222億円等の資金増加の一方、固定資産の取得△705億円、有価証券及び投資有価証券の取得△711億円等により、1,400億円の資金減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済△1,081億円、配当金の支払△245億円等の一方で、長期借入金の調達1,085億円等により、15億円の資金増加となり、現金及び現金同等物の残高は1,575億円となりました。 翌連結会計年度においても、オフィスビルや賃貸住宅、物流施設や再生可能エネルギー発電施設等への投資が計画されておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、借入金の調達等の財務活動によるキャッシュ・フローで対応していく予定です。 当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの実績及び、翌連結会計年度における予想は以下のとおりです。 (単位:億円) 2025年3月期2026年3月期(予想)営業活動によるキャッシュ・フロー4741,461投資活動によるキャッシュ・フロー△1,400△1,895財務活動によるキャッシュ・フロー15830(注)2026年3月期(予想)の棚卸資産への投資は、投資活動によるキャッシュ・フローに含みます。

※本記事は「東急不動産ホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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