会社名 | 東宝株式会社 |
業種 | 情報・通信業 |
従業員数 | 連3617名 単401名 |
従業員平均年齢 | 39.1歳 |
従業員平均勤続年数 | 12.8年 |
平均年収 | 10307932円 |
1株当たりの純資産 | 2637.3円 |
1株当たりの純利益 | 259.51円 |
決算時期 | 2月 |
配当金 | 85円 |
配当性向 | 42.5% |
株価収益率(PER) | 18.7倍 |
自己資本利益率(ROE) | 10.4% |
営業活動によるCF | 433億円 |
投資活動によるCF | ▲627億円 |
財務活動によるCF | ▲116億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 1.21億円 |
販売費および一般管理費※1 | 713.16億円 |
株主資本比率※2 | 64.7% |
有利子負債残高(連結)※3 | 22.3億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針当社グループは、小林一三により設立されて以来、映画・演劇を中心に、幅広い層のお客様に夢や感動、喜びをもたらす数多くのエンタテインメント作品をお届けしてまいりました。その経営理念は、「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を企業の存在意義(パーパス)とし、「吾々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を大切な価値観(バリュー)とし、「朗らかに、清く正しく美しく」を行動の理念(モットー)としております。これらの理念に基づき、公明正大な事業活動に取り組むとともに、常にお客様の目線に立ち、時代に即した新鮮な企画を提案し、世の中に最高のエンタテインメントを提供し続ける企業集団でありたいと考えております。 (2)「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」について当社グループは2022年4月に、創立100周年に向けた「長期ビジョン 2032」と、最初の3カ年の具体的な施策である「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を策定いたしました。現在、本経営戦略に基づく様々な施策を展開して、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて取り組んでおります。その体系と骨子は、以下の通りです。 1.長期ビジョン 2032(1) コーポレート・スローガン (2) 3つの重要ポイント① 成長に向けた「投資」を促進 ②「人材」の確保・育成に注力 ③ アニメ事業を「第4の柱」に (3) 成長戦略の4つのキーワード① 企画&IP ② アニメーション ③ デジタル ④ 海外 「企画&IP」をあらゆる価値の源泉として、その中でも「アニメーション」を成長ドライバーにし、「デジタル」の力で時間・空間・言語を超え、「海外」での飛躍的成長を実現すべく、果敢に挑戦していく (4) 目指す姿(2032年の財務イメージ)営業利益 750億円~1000億円ROE 8%~10%程度 (5) 事業ポートフォリオの方向性既存事業の3本柱である映画事業、演劇事業、不動産事業に加え、「アニメ事業」を第4の柱とする 2.中期経営計画 2025 3.人材と組織/サステナビリティの方針(1) 人材と組織の戦略基本方針成長戦略の推進役となる多様で優秀な外部人材の採用を強化するとともに、よりクリエイティブな組織に進化すべく人材育成と働く環境の整備を推進していく 具体的施策キャリア採用の拡大・強化、エキスパート社員制度の拡充多様なキャリアパスと成長支援、公正な評価と成果に報いる処遇エンゲージメントを高める以下の環境整備の推進・朗らか健康経営・TOHO WORK STYLE・ダイバーシティ&インクルージョン・オフィス改革 (2) サステナビリティの方針基本方針東宝グループは、エンタテインメントの提供を通じて誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します 4つの重要課題朗らかに ① 誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境をつくります清く ② 地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します正しく ③ 人権を尊重し、健全で公正な企業文化を形成します美しく ④ 豊かな映画・演劇文化を創造し、次世代への継承に努めます (3)経営環境についての認識当社グループを巡る経営環境は、2024年に入り日経平均株価が34年ぶりの最高値を更新し、賃金の持続的上昇に勢いが見られ、日銀がマイナス金利を解除するなど、経済の好循環が日本全体へ波及していくことが期待されています。一方で、世界的な物価高や深刻さを増す人手不足、ウクライナや中東情勢の緊迫化など、様々な影響も懸念されております。また、当社グループの事業環境においては、約3年に及んだ新型コロナウイルス感染症の影響は払拭されたものの、エンタテインメントを巡る選択肢は多様化し、お客様の嗜好やライフスタイルの変化のスピードは加速しているものと考えられます。そのような情勢下で、当社グループの2024年2月期の通期業績は、主力の映画事業において、当社オリジナルIPであるゴジラの70周年記念作品『ゴジラ-1.0』を製作し、日本での大ヒットのみならず北米においても自社配給を行い、邦画実写作品として歴代最高の北米興収を記録するなど、大きな話題となりました。さらにTOHO animationの期待作『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White』や『劇場版ハイキュー? ゴミ捨て場の決戦』も大ヒットとなり、TOHO animationのラインナップを充実させるとともに、動画配信、商品化権、キャラクターグッズ、ゲーム等の展開を含めて、IPの価値向上につながる多面的な事業展開が会社業績に大きく寄与しました。そのほか、共同製作や配給した作品のうち『名探偵コナン 黒鉄の魚影』が興行収入138億円のシリーズ最高興収を記録、宮崎駿監督の10年ぶりの最新作『君たちはどう生きるか』も夏興行を牽引、洋画では東宝東和㈱配給の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が興行収入140億円以上を記録する大ヒットとなりました。演劇事業では、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」に引き下げられて以降、正常な公演が安定的に可能となり、帝国劇場を中心に全席完売となる公演が多く見られるなど、お客様の演劇公演に対する期待が好調な業績に結びつく状況となりました。また、不動産事業は新規物件を含む全国に所有する不動産が堅調に稼働し、人手不足や資材価格の高騰の影響はあるものの、事業収益に大きく貢献しました。これらにより連結営業利益は592億円となり、「中期経営計画 2025」の2年目において、数値目標の一つであった営業利益の最高益(528億円)の更新を達成することができました。そしてこれらの結果は、当社グループの成長戦略の4つのキーワードである①企画&IP、②アニメーション、③デジタル、④海外の4つが、今後も積極果敢にチャレンジすべきキーワードであることを証明しており、そのチャレンジを続けることで、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資することができるとの認識を新たにしています。一方で、冒頭にも記した通り世界的な物価高や深刻さを増す人手不足、ウクライナや中東情勢の長期化による影響など、経営環境は依然として先行き不透明な状況が続いており、それらの影響についても十分に注視する必要がありますが、これらの不透明な要素が当社業績に与える影響は、今のところ軽微との認識です。以下、セグメント別に現在の経営環境等に対する認識について簡潔な説明を記します。 [映画事業]映画営業事業においては、実写、アニメの両方で興行力のある邦画コンテンツを継続的に提供できる配給会社としての当社の国内シェアは、2023年(自然暦)において約35%を占め、競合他社との間で圧倒的な競争優位性を維持しています。さらに『ゴジラ-1.0』を北米において自社配給することで大ヒットに結びつけることに成功するなど、オリジナルIPを良質のコンテンツとして製作することで、今後は海外の映画市場においても競争力を発揮する可能性を示すことができました。一方で、公開される作品の興行力には大きな差が見られ、いわゆる作品の“優勝劣敗”を左右するコンテンツ力とマーケティング力の強化が大きな課題です。また、コロナ禍を経て急速に会員数を増やした動画配信プラットフォームについては、競争力のある当社作品の二次利用等の機会創出と付加価値を高めることにつながる反面、それら配信プラットフォーマーが日本国内において自ら作品製作に乗り出すことにより、映画等の製作における影響力を強めていく懸念があります。さらに、東宝東和㈱等が国内配給を担当するハリウッドメジャーの新作についても、100億円を超える大ヒット作品が公開される反面、ハリウッドスタジオにおけるストライキの影響が徐々に顕在化して、短期的には十分な洋画のラインナップを確保することができないなどの影響が予想されます。映画興行事業においては、自然暦における2023年の全国興行収入は2,214億円(前年比3.9%増)、映画入場者数は1億5,553万人(同2.3%増)と微増になりましたが、コロナ禍前の過去最高であった2019年の全国興行収入との比較では84%に留まっています。そのような状況下にあって、TOHOシネマズ㈱は全国の主要都市の好立地にシネマコンプレックスを展開し、スクリーンシェアでは約19%、興行収入のシェアは約27%と業界トップを維持しており、競合他社との競争優位性に揺るぎはありません。今後も東宝配給作品を中心にバラエティ豊かな強力作品を用意すること、的確な出店戦略により競争優位性を維持すること、適切な映画鑑賞料金施策を実施すること等が重要な課題です。一方で、エネルギー価格や人件費、建設コストなどの上昇傾向が映画館の収支構造に与える影響や、動画配信市場の動向が映画興行事業へ与える影響については、懸念すべき課題として認識しています。また、長期的には国内の人口減の影響や公開される作品の興行力の二極化のように、将来の成長を鈍化させる可能性のある要因についても注視する必要があります。映像事業においては、「長期ビジョン 2032」において「映画・演劇・不動産」に加えて「第4の柱」としたアニメ事業がさらなる成長を続けております。当社のアニメーションレーベル「TOHO animation」は、10周年の節目を経て、「SPY×FAMILY」や「ハイキュー!!」が劇場版として大ヒット、加えて「僕のヒーローアカデミア」「呪術廻戦」といった充実したコンテンツの厚みをさらに増すべく、新たなTVシリーズとして製作した「薬屋のひとりごと」「葬送のフリーレン」等の作品もその第一期を好評のうちに終えました。またゲーム事業では、TOHO Gamesの「呪術廻戦 ファントムパレード」が400万ダウンロードを突破するなど好調に推移しました。このように、TOHO animationレーベルの各作品は、パッケージ・配信・商品化ライセンス等の幅広い事業を国内に留まらず海外にも展開することによって、当社グループ全体の業績を大きく牽引しています。また、㈱東宝ステラの運営するECサイト「TOHO animation STORE」は、アニメ関連グッズの売上の拡大に貢献しています。以上のように、国内外の多くの熱心なファン層に支えられ、アニメ関連市場は中・長期的な成長が期待できるものと認識しており、当社グループの成長ドライバーとして引き続き経営資源を集中し、多面的・重層的・長期的なビジネス展開に注力していくこととしています。また、TOHOスタジオ㈱では、映画・映像制作及びスタジオ事業の一体化を図り、外資系動画配信プラットフォームのスタジオ賃貸を誘致するなど、順調に稼働しました。また、㈱東宝映像美術や東宝舞台㈱では、コロナ禍において中断していたテーマパークにおける展示物の製作業務や音楽ライブイベントが復活したことで、美術製作・舞台製作における受注の回復傾向が顕著に見られます。 [演劇事業]演劇事業においては、2023年5月より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられ、すべての劇場において正常な公演が安定的に可能になるとともに、主力の帝国劇場では「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が満席となったほか、大人気コミック「SPY×FAMILY」の初ミュージカル化など、他ジャンルの作品を演劇化することで新しいお客様を開拓するなど、シアタークリエやその他の劇場も含め積極的な営業展開に努めました。さらに本年は、2025年2月をもって建て替えのため休館となる帝国劇場のクロージング・ラインナップを上演、熱心なファンの来場が見込まれます。一方で、2025年3月以降の帝国劇場休館中においては、代替劇場での公演数の確保や建て替え後の新劇場での劇場運営等の課題に注力する必要があります。さらに、コロナ禍において積極的活用が始まった演劇の動画配信、公演関連グッズ販売などの二次利用展開、さらに本年4月から上演されている「千と千尋の神隠し」のロンドン公演のような演劇コンテンツの海外展開についても、演劇事業における今後の業績拡大の機会になると認識しております。また、東宝芸能㈱では、所属俳優がCM・TV・映画出演等で順調に稼働しております。 [不動産事業]不動産賃貸事業においては、足元の不動産市況では、東京都心地区のオフィス空室率が約2年ぶりに5%台に低下するなどオフィスの移転・拡張需要は底堅く、空室率の上昇は限定的なものに留まると見込まれており、成約賃料についても下げ止まり感が見られます。一方で、好立地が多い当社グループ保有物件の空室率は1%未満の低い水準で推移しており、賃料も比較的底堅い状況にあります。しかしながら、建築コストの高騰、エネルギー価格や租税公課などの上昇傾向、さらには金融政策の変更等に伴う金利上昇が不動産賃貸事業に与える影響について、注視していく必要があります。道路事業においては、老朽化による道路関連のインフラ整備をはじめとする公共投資の受注は引き続き堅調であり、当面は順調に推移すると思われます。スバル興業㈱と同社の連結子会社が積極的な営業活動により新規受注や既存工事の追加受注による業績拡大に努めてまいります。不動産保守・管理事業においては、連結子会社である東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱が厳しい競争環境の中でも受注を回復させるとともに、価格転嫁についても積極的な営業展開に努めております。なお、道路事業、不動産保守・管理事業の両事業においては、深刻な人手不足やインフレによる賃金上昇の影響について、注視していく必要があります。 [その他事業]その他事業においては、「東宝調布スポーツパーク」でゴルフ練習場、テニスクラブ等を運営する東宝共栄企業㈱が、コロナ禍における屋外スポーツの一時的な”特需“は過ぎたものの、利用者数は堅調に推移しています。また、TOHOリテール㈱は、演劇事業のグッズ販売等を積極的に展開することで業績を回復しております。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標当社グループは、経営目標の達成状況を判断するための指標として「営業利益」を最も重視しております。創立100周年を迎える2032年をターゲットとした「長期ビジョン 2032」においては、営業利益750億~1000億円の企業集団への成長を目指すとしております。なお、その際のROEのイメージを8%~10%程度とし、利益だけでなく資本効率を意識した経営を行ってまいります。「中期経営計画 2025」では、営業利益において過去最高益(528億円)の更新に挑戦するとしておりましたが、この数値目標については、2年目に当たる当連結会計年度の営業利益が592億円となり、目標を達成しております。また、本期間においては、コロナ禍からの回復を見極めつつ、次の「成長」を実現すべく「投資」を重視し、成長投資の金額として3カ年合計で1,100億円程度を見込むとしております。その他の数値目標では、株主還元として年間40円の配当をベースに配当性向30%以上、かつ機動的な自己株式取得の実施、資本効率の指標としてROE8%以上を掲げております。 (5)当社グループが優先的に対処すべき課題当社グループは、2022年4月に公表した「長期ビジョン 2032」と、最初の3カ年の「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指しております。「長期ビジョン 2032」においては、当社グループのパーパスである「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を再定義した「Entertainment for YOU 世界中のお客様に感動を」というコーポレート・スローガンのもと、成長に向けた「投資」を推進すること、「人材」の確保・育成に注力すること、アニメ事業を「第4の柱」にすることを、3つの重要ポイントとし、さらに「企画&IP」「アニメーション」「デジタル」「海外」の4つを成長戦略のキーワードとして掲げ、積極果敢にチャレンジを続けております。「中期経営計画 2025」の2年目にあたる当連結会計年度においては、それら挑戦のいくつかが実を結び、数値目標の一つであった営業利益の最高益の更新を達成することができました。映画事業においては、「ゴジラ-1.0」において国内のみならず海外への配給を自ら手掛けた結果、世界的な大ヒットとなり、ゴジラIPと東宝ブランドのグローバルな価値向上につながりました。アニメ事業においては、「SPY×FAMILY」や「ハイキュー!!」の映画版が大ヒットし、「呪術廻戦」のスマホゲームへのチャレンジが成功を収めるなど、TOHO animationの作品ラインナップの充実のみならず、IPの価値向上につながる多面的な事業展開が会社業績に大きく寄与しました。そして次期連結会計年度は、「中期経営計画 2025」の最終年度に当たります。当社グループは、映画、アニメ、演劇、不動産の「事業の4本柱」それぞれにおいて、積極的な投資や着実な事業展開により、さらなる成長を目指してまいります。映画事業においては、引き続き充実したラインナップを提供するとともに、将来的な海外展開も視野に入れ、自社企画・製作体制のさらなる強化を図ります。アニメ事業においては、新規IPを加えラインナップのさらなる拡充を図るほか、オリジナル作品の開発にもチャレンジし、持続的な収益拡大に努めてまいります。演劇事業では、帝国劇場のラストイヤーを大盛況で終えることを目指すとともに、舞台「千と千尋の神隠し」のロンドン公演を大成功に導くべくチャレンジします。不動産事業においては、市況の変化に注意深く対応し、保有賃貸不動産の賃料アップに努めるほか、現在進めている複数の再開発プロジェクトを着実に推進することを目指します。また、これら成長戦略を推進していくためには、多様な人材の積極的な採用と育成、誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境の整備が極めて重要と考えております。東宝本社では現在、通年でのキャリア採用を大幅に拡充するとともに、多様なキャリアパスと成長支援、公正な評価と処遇を実現するための人事制度改革、エンゲージメントを高める環境整備の推進を課題として取り組んでおります。さらに、「エンタテインメントの提供を通じて誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します」という「サステナビリティの基本方針」に基づき、さまざまな社会課題に対し、エンタテインメント企業ならではのアイデアで解決策を見出して行きたいと考えています。最後に、取締役会の実効性の確保など、コーポレート・ガバナンスの一層の充実に努め、成長戦略の推進による収益性の向上に加え、適切な株主還元を通じて資本効率の向上を図ってまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況(経営成績の概況)当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、景気は、緩やかな回復の動きがみられる一方、海外景気の下振れリスクや物価上昇の影響などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような情勢下にあって当社グループの当連結会計年度における経営成績は、営業収入は2833億4千7百万円(前年度比16.0%増)、営業利益は592億5千1百万円(同32.0%増)、経常利益は630億2千4百万円(同31.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は452億8千3百万円(同35.5%増)となり、2022年4月策定の「中期経営計画 2025」で掲げた数値目標である「営業利益の最高益(528億円)更新」を2年目で達成することが出来ました。なお、㈱東京楽天地の普通株式を公開買付けにより取得し連結子会社化したことに伴う「段階取得に係る差益」及び、オーエス㈱の普通株式について阪急阪神ホールディングス㈱による公開買付けに応募し売却したことに伴う「関係会社株式売却益」を特別利益に計上しております。セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。 映画事業映画営業事業では、東宝㈱において、ゴジラ70周年記念作品「ゴジラ-1.0」を製作し、日本及び北米等において公開、大きな話題となりました。そのほか、共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 黒鉄の魚影」が興行収入100億円超えを記録、「君たちはどう生きるか」「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」「キングダム 運命の炎」「劇場版ハイキュー? ゴミ捨て場の決戦」「ミステリと言う勿れ」「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』」などヒットいたしました。また、東宝東和㈱等が配給した「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が大ヒット、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」などヒットいたしました。これらの結果、映画営業事業の営業収入は46,505百万円(前年度比13.7%増)、営業利益は17,908百万円(同32.3%増)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が33,630百万円(前年度比25.4%増)、劇場用映画の国内配信が1,333百万円(同60.1%減)となりました。 映画興行事業では、TOHOシネマズ㈱等において、上記配給作品のほか、バラエティに富んだ邦洋画作品を上映いたしました。当連結会計年度における映画館入場者数は40,893千人と前年度比4.2%の増加となりました。なお、TOHOシネマズ㈱では、エネルギー価格の高騰や人件費増加等により2023年6月1日から映画鑑賞料金を改定いたしました。これらの結果、映画興行事業の営業収入は78,440百万円(前年度比10.4%増)、営業利益は11,083百万円(同49.9%増)となりました。当連結会計年度中の劇場の異動につきましては、TOHOシネマズ㈱が2023年4月17日に大阪府門真市「TOHOシネマズ ららぽーと門真」(9スクリーン)、11月30日に北海道札幌市中央区「TOHOシネマズ すすきの」(10スクリーン)をそれぞれオープンいたしました。一方、オーエス㈱の経営する18スクリーンは当社グループから外れたことにより減少いたしました。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で1スクリーン増の722スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっております。 映像事業では、東宝㈱において「SPY×FAMILY」「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!」「Dr.STONE」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」等、製作出資いたしましたTOHO animation作品の国内外の配信・商品化権収入に加え、各種配分金収入がありました。パッケージ事業では「すずめの戸締まり」「わたしの幸せな結婚」に加え、TOHO animation作品の「呪術廻戦」「ウマ娘 プリティーダービー」「お兄ちゃんはおしまい!」の販売が伸長いたしました。出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて、TOHO animation作品「劇場版ハイキュー? ゴミ捨て場の決戦」「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」や「ゴジラ-1.0」「名探偵コナン 黒鉄の魚影」「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」「君たちはどう生きるか」といった当社グループ配給作品の販売が好調に推移いたしました。また、TOHO animation作品のキャラクターグッズ販売が営業収入に寄与いたしました。ゲーム事業では、TOHO Gamesが「呪術廻戦 ファントムパレード」をリリースし、400万ダウンロードを突破するなど好調に推移いたしました。TOHOスタジオ㈱では、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、堅調に稼働いたしました。㈱東宝映像美術及び東宝舞台㈱では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して受注持ち直しの動きに加え、原価抑制に努めました。これらの結果、映像事業の営業収入は67,849百万円(前年度比47.3%増)、営業利益は15,717百万円(同92.9%増)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が29,179百万円(前年度比66.5%増)、パッケージの販売が7,094百万円(同26.8%増)、映像作品等に係る美術製作が9,166百万円(同7.1%増)となりました。 以上の結果、映画事業全体では、営業収入は192,794百万円(前年度比22.0%増)、営業利益は44,709百万円(同53.8%増)となりました。 演劇事業演劇事業では、東宝㈱の帝国劇場におきまして、大人気コミック「SPY×FAMILY」初のミュージカル化を実現し全席完売、日本初上演として話題となった「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が満席となりました。そのほか、「Endless SHOCK(Endless SHOCK/ Endless SHOCK Eternal)」「DREAM BOYS」「チャーリーとチョコレート工場」「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」「ABC座星(スター)劇場2023~5 Stars Live Hours~」「Act ONE」「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」を上演いたしました。シアタークリエにおきましては「RENT」「She Loves Me」「SHOW BOY」「M.クンツェ&S.リーヴァイの世界~3rd Season~」「のだめカンタービレ」「VOICARION XVII~スプーンの盾~」「Yuichiro & Friends -Singing! Talking! Not Dancing!-」「ATTENTION PLEASE!2」等を上演し、日生劇場では「ラグタイム」「ベートーヴェン」「トッツィー」が大入りとなりました。また、社外公演として「キングダム」「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」等を全国へ展開いたしました。東宝芸能㈱では、所属俳優がCM出演等で好調に推移いたしました。 以上の結果、演劇事業の営業収入は20,153百万円(前年度比10.7%増)、営業利益は3,115百万円(同12.3%増)となりました。 不動産事業不動産賃貸事業では、新規物件の取得に加え、その他全国に所有する不動産が堅調に稼働し、事業収益に寄与いたしました。一方で、減価償却費等の費用は増加しております。賃貸用不動産の空室率は、当連結会計年度末において0.2%となりました。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は29,387百万円(前年度比4.9%増)、営業利益は11,588百万円(同0.3%増)となりました。 道路事業では、公共投資が底堅く推移しましたが、建設技能者の不足に加えて、労務費・資機材価格の上昇が継続する等、依然として予断を許さない状況が続きました。このような状況の中、スバル興業㈱と同社の連結子会社は、積極的な営業活動を行うとともに、積算精度の向上や入札における総合評価方式への対応強化を図り受注増に努めましたが、前期と比べ採算性の高い工種が減少したこともあり、道路事業の営業収入は29,245百万円(前年度比1.2%増)、営業利益は4,900百万円(同3.8%減)となりました。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等26,617百万円(前年度比0.7%増)であり、またその他の収益818百万円(同2.0%増)が含まれております。 不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱において、人手不足や人件費・原材料費の増加が継続する一方、資材の供給不足等により延期となっていた工事の実施があったほか、新規受注確保に努めました。その結果、営業収入は10,509百万円(前年度比5.3%増)、営業利益は1,122百万円(同21.1%増)となりました。 以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は69,142百万円(前年度比3.3%増)、営業利益は17,610百万円(同0.2%増)となりました。 その他事業東宝共榮企業㈱の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテール㈱の劇場売店等において、積極的な営業活動に努めました。その結果、その他事業の営業収入は1,256百万円(前年度比8.0%増)、営業利益は174百万円(同33.3%増)となりました。 (財政状態の概況)当連結会計年度末における財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は81,729百万円増加し、615,826百万円となりました。これは主に、現金及び預金で5,526百万円、現先短期貸付金で29,999百万円の減少がありましたが、受取手形、売掛金及び契約資産で9,153百万円、建物及び構築物(純額)で18,682百万円、土地で24,064百万円、投資有価証券で45,676百万円の増加があったこと等によるものです。負債では前連結会計年度末から20,665百万円増加し、131,071百万円となりました。これは主に、未払法人税等で2,219百万円、繰延税金負債で11,098百万円、長期預り保証金で2,195百万円の増加があったこと等によるものです。純資産は前連結会計年度末と比較して61,064百万円増加し、484,755百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益45,283百万円の計上及び剰余金の配当10,494百万円等による利益剰余金35,696百万円の増加の他に、その他有価証券評価差額金で17,123百万円の増加があったこと等によるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ29,697百万円減少し、82,424百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益が67,002百万円、減価償却費が10,256百万円ありましたが、売上債権及び契約資産の増加が8,279百万円、法人税等の支払額が18,882百万円あったこと等により、43,350百万円の資金の増加(前年度比2,054百万円の減少)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動による資金は、有価証券の売却による収入が76,600百万円ありましたが、有価証券の取得による支出が54,593百万円、有形固定資産の取得による支出が21,685百万円、投資有価証券の取得による支出が13,929百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が15,935百万円、関係会社株式の取得による支出が32,297百万円あったこと等により、62,706百万円の資金の減少(前年度比53,530百万円の減少)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動による資金は、配当金の支払額が10,490百万円あったこと等により、11,630百万円の資金の減少(前年度比7,495百万円の増加)となりました。 ③ 生産、受注及び販売の状況当企業集団の事業について生産実績を定義することが困難なため「生産の状況」は記載しておりません。 a. 受注実績 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)映画事業4,27486.43000.3演劇事業----不動産事業29,77622.87,50672.7その他事業----合計34,05128.37,80768.0 (注) 映画事業に含まれる映像事業の内テーマパーク関連事業及び不動産事業に含まれる道路事業における受注実績を記載しております。 b. 販売実績 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年3月1日至 2024年2月29日)(百万円)前年同期比(%)映画事業192,79422.0演劇事業20,15310.7不動産事業69,1423.3その他事業1,2568.0合計283,34716.0 (注) 当企業集団の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、重要性のある相手先がないため記載を省略しております。映画事業、演劇事業及びその他事業の販売の相手先は主に不特定の個人であり、不動産事業についても総販売実績の100分の10以上を占める相手先はありません。 (2) 経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1) 経営成績の分析当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へ移行され、社会経済活動の正常化が進む中、当社グループは2022年4月に策定した「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し取り組んでまいりました。当連結会計年度における当社グループの経営成績は、主力の映画事業において、「名探偵コナン 黒鉄の魚影」や「君たちはどう生きるか」、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」等が大ヒットし、製作・配給した「ゴジラ-1.0」は日本のみならず北米においても大きな話題となり業績に寄与いたしました。TOHOシネマズ㈱では、ゴールデンウィーク期間の興行収入が歴代最高記録を達成するなどヒット作に恵まれたほか、映画鑑賞料金の改定もあり収益が改善いたしました。また、TOHO animation作品が大きく伸長し、「SPY×FAMILY」「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」等の国内外における配信・商品化権収入等に加え、「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」のヒットが収益に寄与、スマートフォンゲーム「呪術廻戦 ファントムパレード」も好調に推移し、映画事業の業績に大きく貢献いたしました。演劇事業では、日本初上演「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」の帝劇3カ月公演が満席となったほか、大人気コミック「SPY×FAMILY」初のミュージカル化に取り組むなど顧客層の拡大にも努めました。不動産事業では、労務費や資機材価格の上昇による影響はありましたが、新たに取得した物件も含め、全国に保有する不動産物件が低い空室率で推移し堅調に稼働いたしました。この結果、当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度と比べ39,052百万円増収の283,347百万円、営業利益は、前連結会計年度と比べ14,371百万円増益の59,251百万円となり、中期経営計画で掲げた数値目標である「営業利益の最高益(528億)更新」を達成することができました。 (a) 営業収入当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度と比べ39,052百万円増収の283,347百万円となりました。(b) 営業原価、販売費及び一般管理費当連結会計年度の営業原価は、前連結会計年度と比べ17,109百万円増加の152,779百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ7,570百万円増加の71,316百万円となりました。これは人件費が3,585百万円、広告宣伝費が1,373百万円、減価償却費が359百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。(c) 営業利益当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ14,371百万円増加の59,251百万円となりました。その内訳は、「映画事業」で前連結会計年度と比べ15,634百万円増益の44,709百万円、「演劇事業」で前連結会計年度と比べ341百万円増益の3,115百万円、「不動産事業」で前連結会計年度と比べ37百万円増益の17,610百万円、「その他事業」では前連結会計年度と比べ43百万円増益の174百万円でした。 なお、上記事項を含む報告セグメントごとの詳細については、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。 (d) 営業外収益、営業外費用及び経常利益当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比べ902百万円増加の3,859百万円となりました。これは主として、持分法による投資利益が前連結会計年度に比べ218百万円減少しましたが、前連結会計年度と比べ受取利息が604百万円、受取配当金が361百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。また、営業外費用は、前連結会計年度と比べ64百万円増加の86百万円となりました。これは主として、当連結会計年度に子会社清算損を51百万円計上したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比べ15,209百万円増加の63,024百万円となりました。 (e) 特別利益、特別損失当連結会計年度の特別利益は、㈱東京楽天地の株式を公開買付けにより取得し連結子会社化したことに伴う段階取得に係る差益2,281百万円、オーエス㈱の普通株式について阪急阪神ホールディングス㈱による公開買付けに応募し売却したことに伴う関係会社株式売却益1,866百万円等を計上いたしましたが、前連結会計年度と比べて598百万円減少の4,398百万円となりました。これは主として、前連結会計年度に助成金収入を2,729百万円計上したことや、投資有価証券売却益が前連結会計年度と比べ1,703百万円減少したこと等によるものであります。特別損失は、前連結会計年度と比べ1,901百万円減少の420百万円となりました。これは主として、減損損失が前連結会計年度と比べ897百万円減少したことや、前連結会計年度に割増退職金を812百万円計上したこと等によるものであります。(f) 親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税20,676百万円、法人税等調整額△444百万円、非支配株主に帰属する当期純利益1,486百万円を計上し、前連結会計年度と比べ11,852百万円増加の45,283百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の190.37円から259.51円に増加しました。 2) 財政状態の分析(a) 資産当連結会計年度末の総資産は、㈱東京楽天地の連結子会社化に伴い50,920百万円の増加があったこと等により、前連結会計年度末と比べ81,729百万円増加して615,826百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ16,205百万円減少して208,503百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べ現先短期貸付金は29,999百万円減少し34,999百万円、受取手形、売掛金及び契約資産は9,153百万円増加し42,075百万円となりました。有形固定資産は、前連結会計年度末と比べ47,400百万円増加の224,851百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べ、土地は24,064百万円増加し104,539百万円、建物及び構築物(純額)は18,682百万円増加し104,116百万円となりました。無形固定資産は、前連結会計年度末と比べ2,064百万円増加の7,017百万円となりました。投資その他の資産は、前連結会計年度末と比べ48,470百万円増加し175,454百万円となりました。これは主に、投資有価証券が前連結会計年度末と比べ45,676百万円増加し154,175百万円となったこと等によるものであります。(b) 負債当連結会計年度末の流動負債及び固定負債合計額は、前連結会計年度末と比ベ20,665百万円増加の131,071百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ3,379百万円増加の69,141百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べて、未払法人税等は2,219百万円増加して12,002百万円、買掛金は1,992百万円増加して32,765百万円となりました。固定負債は、前連結会計年度末と比べて17,286百万円増加して61,929百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が11,098百万円増加して21,527百万円、長期預り保証金が2,195百万円増加して25,120百万円となったこと等によるものであります。(c) 純資産当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて61,064百万円増加し、484,755百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益45,283百万円の計上及び剰余金の配当10,494百万円等により前連結会計年度末と比べて利益剰余金が35,696百万円増加、その他有価証券評価差額金が17,123百万円増加したこと等によるものであります。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末と比べ2.1ポイント減少し、74.5%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な運転資金、設備投資等の資金は、自己資金を原則としております。そのためグループ内の資金効率を向上させるべく、当社は、資金余剰が生じている子会社から借り入れる一方、資金需要のある子会社に対しては、貸付を行うことがあります。また、必要に応じて金融機関等から機動的に資金調達を行ってまいります。(資金需要の内容及び経営資源の配分)当社グループの資金需要は、2022年に策定した「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」内の「中期経営計画 2025」にて成長投資を掲げており、主な内容はコンテンツ関連投資(映画・アニメ・演劇製作・新規IP創出・人材獲得)として500億円、不動産関連投資(保有物件再開発・新規物件取得)として500億円、新規シネコン出店として50億円、海外展開・DX関連ほかに50億円の計1,100億円程度の投資額を2025年までの3カ年で見込んでおります(大型M&Aに要する投資は別枠)。また、年間40円の配当をベースに配当性向30%以上かつ機動的な自己株式取得の実施により株主還元の充実に努めることとしております。(資金調達)短期及び中期の投資資金としては自己資金を充てることを前提としつつ、必要に応じて銀行借入等金融機関からの調達を行います。一方、大型M&Aに要する資金や大規模な設備投資資金については、案件の特性に応じた最適な手法により資金調達を行います。そのため、財務健全性や資金調達手段の多様化を考慮し、高い信用格付の維持向上を目指して、㈱格付投資情報センターより「AA-」の格付を取得しております。また、当社グループは当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高82,424百万円に対し、有利子負債(リース債務含む)残高は4,487百万円と、自己資金での投資余力を高いレベルで維持しておりますが、今後更なる成長投資に向け、借入及び社債による調達も検討することとしております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。 |
※本記事は「東宝株式会社」の令和6年2月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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