会社名 | 東武鉄道株式会社 |
業種 | 陸運業 |
従業員数 | 連18384名 単3280名 |
従業員平均年齢 | 48.1歳 |
従業員平均勤続年数 | 27.1年 |
平均年収 | 6773109円 |
1株当たりの純資産 | 2591.47円 |
1株当たりの純利益 | 232.99円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 55円 |
配当性向 | 39.2% |
株価収益率(PER) | 16.2倍 |
自己資本利益率(ROE) | 9.5% |
営業活動によるCF | 916億円 |
投資活動によるCF | ▲616億円 |
財務活動によるCF | ▲679億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 35.49億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1205.81億円 |
株主資本比率※2 | 22.4% |
有利子負債残高(連結)※3 | 6624.73億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営理念、経営方針当社グループでは以下のとおり、「東武グループ経営理念」、「東武グループ経営方針」を定めております。① 東武グループ経営理念東武グループでは、「奉仕」「進取」「和親」を経営の拠り所としています。「奉仕」:東武グループは、東武グループの全ての事業が社会に支えられていることを深く自覚し、豊かな社会の実現に貢献します。「進取」:東武グループは、現状に甘んじることなく、常に研鑚に励み、時代を切り開く開拓者精神をもって新たな挑戦を続けます。「和親」:東武グループは、人の和や環境との調和をもとに事業の発展と従業員の幸福を図り、社会の進展に寄与します。 ② 東武グループ経営方針お客様の暮らしに密着した事業を通じて沿線地域の発展に貢献する企業グループとして、安全・安心を根幹に「運輸」「レジャー」「不動産」「流通」等の事業を多角的、複合的に展開します。お客様の視点に立ち、質の高い先進性や独創性あふれるサービスを提供し、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指します。事業を通じて安定的に利益を創出しながら、環境にも配慮した経営を進め、お客様の生活を担う企業グループとして地域社会とともに持続的に発展することにより、企業の社会的責任を果たします。 (2) 経営環境、対処すべき課題当社グループは、新型コロナウイルス感染症の発生における厳しい事業環境を乗り切るための方策として、2022年度に『中期的な事業計画』を策定し、主にコストコントロールを評価する指標(KPI)を掲げた事業の推進により、2023年度までに全ての指標を前倒して達成いたしました。今後の事業環境は、インバウンド需要などが回復傾向にある一方、働き方や価値観の多様化、デジタル技術の進展などによる変化の迅速化や不透明化に加え、東京圏でも予測されている2030年頃からの人口減少により、既存の延長線上での事業展開では、成長を見込めないと想定しております。そのため、2024年度が最終年度であった『中期的な事業計画』を終了し、当社グループの持続的な成長に向けた10年後における目指す姿である『長期経営ビジョン』の見直しをはかるとともに、これにもとづく4か年の取組みを示す『中期経営計画』を策定いたしました。 『長期経営ビジョン』は、事業環境やニーズの変化を進取する『挑戦』と、グループ内外を問わず関係者との協力や連携で価値を創出する『協創』により、「挑戦と協創で進化させる社会と沿線」を掲げ、グループ全体の利益を維持・拡大させることを目指してまいります。 10年後を見据えた経営戦略方針は、「営業利益段階における非鉄道事業割合の増加」、「観光需要を捉えた収益力の強化」及び「持続的な事業運営体制の確立」とし、重点戦略は「成長をけん引する事業の確立」、「事業基盤(沿線)の継続的な強化」、「事業領域拡張を見据えた新規事業の育成」及び「環境負荷の低減と人的資本の強化」の4つを掲げ、中長期的な収益・利益拡大に資する事業育成の推進を目指してまいります。 「成長をけん引する事業の確立」については、インバウンドを中心として市場の成長が見込めるホテル業やスカイツリー業をはじめとする「観光事業」と、沿線での開発余地のある「開発事業(まちづくり)」を成長に資する中核事業と位置付け、経営資源を重点的に配分し、中長期的な収益力の強化を進めてまいります。 「事業基盤(沿線)の継続的な強化」については、当社グループの強みである首都圏の広域な事業エリアと、多種多様に展開する事業を活かし、デジタル技術を積極的に活用することで、収益力と生産性を向上させるとともに、グループシナジーの創出と他社との差別化をはかり、事業基盤である沿線の継続的な発展を目指してまいります。 「事業領域拡張を見据えた新規事業の育成」については、中長期的には、沿線内の東京圏でも人口減少を迎えると予測されていることから、既存事業の領域を超えた新たな事業フィールドを探索し、10年後を見据えた収益源の確立を目指してまいります。 「環境負荷の低減と人的資本の強化」については、昨今の環境に関する意識の高まりを好機と捉え、奥日光エリアの当社グループアセットにおいて、「国際エコリゾート日光」の確立によるブランディングと集客力強化地域との連携をはかるべく、脱炭素への取組みを強化してまいります。当社グループ全体としては、2030年度のCO2排出量を、2022年度比30%削減する目標を掲げ、取組みを進めてまいります。さらに、『長期経営ビジョン』の実現を目指した人材の獲得並びに活躍できる環境づくりにより、人的資本の強化をはかります。 また、『中期経営計画』については、計画期間を2024年度から2027年度までの4か年とし、『長期経営ビジョン』で掲げる重点戦略にもとづく取組みを進めてまいります。営業利益段階における非鉄道事業の拡大及び割合増加を実現すべく、中長期的な収益・利益拡大に資する事業育成を推進してまいります。加えて、インバウンド需要の回復を捉えた事業をグループ全体で展開し、収益基盤を確立するとともに、事業領域の拡張を見据えた新規事業を育成する種まきの期間としてまいります。 当社グループは、1897年の設立以来、社会とともに持続的な発展を遂げてまいりました。1969年には当社社是として「奉仕」「進取」「和親」を制定、現在はこれを「東武グループ経営理念」として掲げ、安全・安心を根幹に、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指す「東武グループ経営方針」のもと、事業を通じて社会課題の解決に取り組むことで、社会の持続的な発展の一端を担いつつ、当社グループも発展してまいりました。これからも、沿線の特長や経営資源を活かしながら、社会課題の解決を通じて、将来にわたって新たな価値を創造し、「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」を実現することで、社会に不可欠な企業集団として存続してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更や海外からの入国制限が緩和されたこと、また雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復の動きが見られました。一方、物価上昇や為替の変動、世界的な金融引締め等に伴う海外の景気が国内経済、個人消費に与える影響等に注視する必要があります。当社グループにおきましては、国内旅行やインバウンドの増加等による需要の取込みにより運輸事業とレジャー事業を中心に増収をはかるとともに、デジタル技術の活用等による事業展開を積極的に進め、成長フェーズに向けた取組みも進めてまいりました。 2023年度の連結業績は、以下のとおりであります。① 営業収益旅行業における受託収入の減少はあるものの、国内旅行需要及びインバウンドの回復による運輸事業並びにレジャー事業におけるホテル業及びスカイツリー業の増収のほか、各商業施設の回復等により、営業収益は635,964百万円(前期比3.5%増)となりました。② 営業利益従業員に対する株式給付制度導入等による人件費の増加に加えて修繕費の増加等はあるものの、レジャー事業を除く各セグメントの増収により、営業利益は73,883百万円(前期比30.3%増)となりました。③ 経常利益営業外収益については、5,231百万円(前期比1.7%減)、営業外費用については、7,081百万円(前期比1.6%減)をそれぞれ計上し、経常利益は72,033百万円(前期比31.4%増)となりました。④ 親会社株主に帰属する当期純利益特別利益については、竹ノ塚駅付近高架化工事等に係る工事負担金等受入額の増加等により、52,010百万円(前期比495.4%増)となりました。特別損失については、上記工事等に係る固定資産圧縮損の増加等により、56,195百万円(前期比205.6%増)となりました。 これらの結果、税金等調整前当期純利益は67,848百万円(前期比50.2%増)を計上し、法人税等を控除した当期純利益は48,398百万円(前期比66.0%増)となりました。また、ここから非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は48,164百万円(前期比65.1%増)となりました。 セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。また、各セグメントの営業成績のうち「調整額」は内部取引消去額を表しております。 (運輸事業)鉄道業におきまして、当社では、安全・安心で暮らしやすく、そして選ばれる沿線を目指して、様々な取組みを進めております。営業面では、2023年7月に33年ぶりに導入した特急スペーシアの新型車両「スペーシア X」について、大変好評を得ていることから2024年3月より増発を行い、乗車機会の拡大及び日光・鬼怒川エリアへの誘客をはかりました。また、栃木県誕生150年にあわせ東武宇都宮線の愛称を「いちご王国」ラインとして駅や車両の装飾を行うとともに、いちごをイメージしたカラーリングの「いちごスペーシア」を運行するなど、沿線自治体と連携し、地域の魅力創出・発信をはかりました。館林エリアでは、同エリアに拠点を持つ企業と連携し、魅力向上と地域活性化を目的に「りょうもう『カルピス』EXPRESS」を運行いたしました。安全面では、輸送の安全を確保するための各種施策を鋭意実施しております。とうきょうスカイツリー駅付近、竹ノ塚駅付近及び春日部駅付近等において高架化工事を推進し、安全性・回遊性の向上とともに、商業施設の充実等とあわせてエリア全体の魅力向上をはかっております。また、清水公園~梅郷間において野田市駅、駅橋上化に伴い七里駅にて新駅舎の使用を開始いたしました。さらに、鉄道駅バリアフリー料金を活用し、ホーム上の安全対策として五反野駅、谷塚駅、新田駅及び草加駅3・4番線にてホーム柵(可動式)を、新柏駅、鎌ケ谷駅及び馬込沢駅にてホーム柵(固定式)を使用開始しました。また、事故・災害対策としては、異常時総合訓練、車両避難訓練等を実施したほか、大規模災害発生時における帰宅困難者避難誘導訓練、不審者対応訓練に警察・消防と連携して取組みました。一方、厳しい事業環境下においても安定した利益を確保できる体制を構築すべく、これまでに策定した事業構造改革を着実に実施し、固定費削減を行いました。バス・タクシー業におきまして、東武バスグループでは、将来的な無人自動運転の実現による交通課題の解決に寄与すべく、柏の葉・和光市・奥日光の各エリアにおいて、自動運転バスの実証実験を実施いたしました。以上の結果、鉄道業におきまして、通勤・通学利用や行楽利用の回復により定期・定期外ともに輸送人員が増加いたしました。さらに、鉄道駅バリアフリー料金制度導入及びスペーシア Xの運行開始により、運輸事業全体としては、営業収益は208,335百万円(前期比10.1%増)、営業利益は29,870百万円(前期比54.1%増)となりました。 (営業成績)業種別当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)鉄道業156,60210.7バス・タクシー業29,97610.7貨物運送業22,1665.2小計208,74510.1調整額△410-営業収益計208,33510.1 (提出会社の鉄道業成績)種別単位第203期第204期(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)営業日数 日365366営業キロ キロ463.3463.3客車走行キロ 千キロ265,373261,637 定期千人507,884523,537輸送人員定期外〃290,536313,387 計〃798,420836,924 定期百万円55,32559,856旅客収入定期外〃70,76581,041 計〃126,090140,897運輸雑収 〃13,85014,206収入合計 〃139,940155,1031日平均収入 〃383423乗車効率 %26.728.8 (注) 1 乗車効率の算出方法 乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)÷(客車走行キロ×平均定員)×100 乗車効率とは、客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。2 定期外旅客収入は、特急料金及び座席指定料金を含んでおります。 (東武鉄道株式会社路線図) (レジャー事業)スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリーR」では、各種イベントの開催、インバウンド向けPR活動強化等により、誘客をはかりました。また、5階「SKYTREE SHOP」の改装工事を行い、全面リニューアルオープンいたしました。ホテル業におきまして、都内ホテルでは、国内旅行需要及びインバウンド需要の取込みにより、稼働率及び客室単価の上昇をはかりました。さらに、「コートヤード・マリオット銀座東武ホテル」及び「日光金谷ホテル」ではリニューアルを実施し、さらなるインバウンドの獲得に努めました。旅行業におきまして、東武トップツアーズ㈱では、旅行需要の回復にあわせ、教育旅行等の団体旅行を中心に旅行取扱の取込みをはかるとともに、デジタル技術を活用したソリューションビジネスを推進し、自治体の地域観光事業支援等を受託するなど、旅行販売以外の事業拡大により増収に努めました。以上の結果、スカイツリー業及びホテル業では増収増益となったものの、旅行業における受託収入の減少により、レジャー事業全体としては、営業収益は184,761百万円(前期比1.9%減)、営業利益は19,440百万円(前期比0.2%減)となりました。 (営業成績)業種別当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)遊園地・観光業4,7467.4スポーツ業6,0592.6旅行業131,247△10.8ホテル業27,70137.9スカイツリー業15,19240.2小計184,948△1.9調整額△187-営業収益計184,761△1.9 (不動産事業)スカイツリータウン業におきまして、「東京スカイツリータウンR」では、台湾祭や冬季イルミネーション等、年間を通じた様々なイベント等を実施し、国内外の観光需要を捉えることができ、過去最高の年間売上を達成いたしました。不動産賃貸業におきまして、当社では、「EQUiA(エキア)谷塚」「EQUiA越谷」の開業、草加ヴァリエ「VARIE1」のリニューアル開業により増収とお客様の利便性向上をはかりました。また、草加市において従業員住宅をリノベーションした賃貸住宅・店舗に広場と農園を併設した複合施設「ミノリテラス草加」を開設し、人と地域がつながる街づくりを推進いたしました。不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として、分譲マンション「ソライエ新鎌ケ谷」(鎌ケ谷市)及び「ソライエ若葉ステーションヴィラ」(坂戸市)の販売を行いました。以上の結果、スカイツリータウン業における増収及び不動産分譲業における需要に合わせた価格設定の実施により、不動産事業全体としては、営業収益は62,975百万円(前期比3.4%増)、営業利益は16,232百万円(前期比18.7%増)となりました。 (営業成績)業種別当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)不動産賃貸業36,127△0.1不動産分譲業14,4884.6スカイツリータウン業12,61114.4小計63,2273.6調整額△251-営業収益計62,9753.4 (流通事業)百貨店業におきまして、㈱東武百貨店では、池袋店において収益性の高いカテゴリーの再編としてアウトドア用品売場の拡大や、次世代顧客の獲得を目的として子供フロアの品揃え等を強化させたほか、船橋店において食品フロアの大型リニューアルを実施し、地域・沿線のお客様の幅広いニーズに対応する売場を実現するとともに、お客様の利便性向上をはかりました。ストア業におきまして、㈱東武ストアでは、EQUiA越谷内に「東武ストア越谷店」をオープンいたしました。また、お客様ニーズに対応した付加価値の高い自社オリジナル商品の開発・販売等に注力し、増収に努めました。以上の結果、百貨店業におきまして、外出機会の増加に伴い化粧品や婦人雑貨等が好調に推移したこと等により、流通事業全体としては、営業収益は165,629百万円(前期比1.3%増)、営業利益は4,434百万円(前期比70.4%増)となりました。 (営業成績)業種別当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)百貨店業58,0822.3ストア業72,766△0.4その他業36,7702.9小計167,6181.3調整額△1,989-営業収益計165,6291.3 (その他事業)建設業におきまして、東武建設㈱では、日光市において社会福祉法人の障がい者支援施設建設工事を、東武谷内田建設㈱では、墨田区において公共施設の大規模改修工事をそれぞれ完了させました。そのほか、東武ビルマネジメント㈱では、港区においてホテルの清掃業務を受注するなど増収に努めました。以上の結果、建設業における完成工事増による増収及び原価率の改善により、その他事業全体としては、営業収益は91,873百万円(前期比12.2%増)、営業利益は5,951百万円(前期比124.9%増)となりました。 (営業成績)業種別当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)建設業58,99412.4その他業33,44711.7小計92,44112.1調整額△568-営業収益計91,87312.2 なお、当社グループのサービス、生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種のサービス、製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 (2) 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金の減少等により1,704,063百万円となり、前連結会計年度末と比べ34,132百万円(前期比2.0%減)の減少となりました。負債は、有利子負債及び前受金の減少等により1,162,350百万円となり、前連結会計年度末と比べ95,270百万円(前期比7.6%減)の減少となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により541,713百万円となり、前連結会計年度末と比べ61,138百万円(前期比12.7%増)の増加となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、31,258百万円となり、前連結会計年度末に比べて37,816百万円減少となりました。当連結会計年度末に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益67,848百万円に、減価償却費52,916百万円等を加減算した結果、91,690百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べて税金等調整前当期純利益が増加したものの、仕入債務が減少したこと等により9,425百万円の資金収入の減少となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、61,625百万円の資金支出となりました。前連結会計年度に比べて固定資産の取得による支出が増加したこと等により8,913百万円の資金支出の増加となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、67,918百万円の資金支出となりました。前連結会計年度に比べて長期借入金の返済による支出が増加したこと等により42,633百万円の資金支出の増加となりました。 (資金需要の主な内容)当社グループの資金需要は、営業取引に係る運転資金、設備投資等に係る資金、有利子負債の返済並びに配当等の資金を主としております。設備投資につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。 (資本の財源及び資金の流動性)短期的な運転資金は、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、取引銀行との総額90,000百万円の貸出コミットメント契約やコマーシャル・ペーパーの発行並びに、当社グループではキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しております。また、運輸事業や流通事業を中心に日々の収入金があり、必要な流動性は確保しているとともに、十分な水準の資金を保有しております。設備投資等の長期的な必要資金については、営業活動で得た資金に加え、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、長期安定的な資金調達を行うために、借入金のほか、社債の発行及びシンジケート・ローンの組成、リース等の多様な選択肢の中から最適な調達方法を採用しております。同時に、年度別償還額の集中を避けることで、将来の借り換えリスクの低減に努めているとともに、金利上昇リスクに備え、固定金利と変動金利のそれぞれの負債残高のバランスを考慮しております。また、2022年6月には、環境課題解決に資する事業の資金調達手段として、当社初となる「グリーンボンド」を発行いたしました。当社グループにおけるサステナビリティ経営の推進及び沿線地域社会の持続的発展を実現していくことを目的に、調達した資金は、新型の鉄道車両及び太陽光発電システムに係る設備投資資金並びにリファイナンスに充当いたしました。 (4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境、対処すべき課題」に記載のとおり、当社グループの持続的な成長に向けた10年後における目指す姿である新しい『長期経営ビジョン』とともに、これにもとづく2024年度から2027年度までの4か年を計画期間とする『中期経営計画』を策定いたしました。計画期間において意識する経営指標の想定値は以下のとおりとしております。 (意識する経営指標の想定値)・最終年度(2027年度における想定)経営指標2027年度想定収益性(営業利益)740億円財務健全性(有利子負債/EBITDA倍率)6倍台 ・期間中想定(2024年度~2027年度における期間想定)経営指標期間中想定株主還元(総還元性向)30%以上資本効率性(ROE)8%程度 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準にもとづき作成されております。その作成にあたり経営者は、資産・負債及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わねばなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。① 株式等の投資当社グループが保有する株式等の有価証券及びのれんについては、将来の株式市況の悪化または投資対象会社の業績不振等により時価の著しい下落が生じた際には、損失の計上が必要となる場合があります。② 販売用不動産の評価当社グループが保有する販売用不動産については、地価の下落や市況悪化等により時価の下落が生じた場合には、損失の計上が必要となる場合があります。③ 固定資産の減損当社グループが保有する固定資産のうち、減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、経営環境に変化が生じ当初想定した収益が見込めないなど、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた仮定に変更があった場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。 ④ 退職給付費用及び債務当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率にもとづいて算出されております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。⑤ 繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得の計画にもとづき慎重にかつ実現(回収)可能な範囲において繰延税金資産を計上しておりますが、将来において既に計上している繰延税金資産の全部または一部を実現(回収)できないと判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できないと判断した繰延税金資産を取崩すとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額に加算し、当期純利益を減少させる場合があります。同様に、現時点で評価性引当額として繰延税金資産を計上していない項目について、将来においてその全部または一部を実現(回収)できると判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できると判断した金額を繰延税金資産として計上するとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額から控除し、当期純利益を増加させる場合があります。 |
※本記事は「東武鉄道株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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