テルモ株式会社の基本情報

会社名テルモ株式会社
業種精密機器
従業員数連30591名 単5554名
従業員平均年齢40.3歳
従業員平均勤続年数15.9年
平均年収7554701円
1株当たりの純資産547.68円
1株当たりの純利益59.05円
決算時期3月
配当金44円
配当性向37.3%
株価収益率(PER)46.22倍
自己資本利益率(ROE)11.1%
営業活動によるCF1463億円
投資活動によるCF▲814億円
財務活動によるCF▲620億円
研究開発費※1128億円
設備投資額※140000000円
販売費および一般管理費※11641.3億円
株主資本比率※256.5%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営方針当社グループは、2019年4月1日、「企業理念」、「コアバリューズ」、「テルモグループ行動規範」からなる新たな企業理念体系を制定しました。全社員がこの企業理念体系に基づいた事業活動を行うことで、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。 企業理念:「医療を通じて社会に貢献する」創立時から持ち続け、未来にわたって希求する、企業の不変の目標、社会的使命です。 コアバリューズ:「Respect(尊重)-他者の尊重」、「Integrity(誠実)-企業理念を胸に」、「Care(ケア)-患者さんへの想い」、「Quality(品質)-優れた仕事へのこだわり」、「Creativity(創造力)-イノベーションの追求」企業理念実現のための活動において、アソシエイト(社員)が行動の基礎とする共通の価値観、信念です。 テルモグループ行動規範アソシエイトが高い倫理観をもって正しく行動するために守るべき行動原則です。 (2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題医療は大きな変化の途中にあります。世界的な高齢化と生活水準向上の帰結として、糖尿病などの慢性疾患が増えるなど「疾病構造」の変化が起きています。このような慢性疾患の増加は、長期の時間軸での患者管理など、「医療の時間軸」に変化を与えています。また、バイオ医薬や細胞・遺伝子治療、再生医療へのシフトと、デジタル・AI技術の発展は「医療を支える技術」に変化をもたらしています。これらの変化はいずれも、テルモが真剣に取り組むべき課題であり、その課題解決に向けて、GS26を策定しました。 5カ年成長戦略「GS26」1)中長期を見据えたビジョンテルモは、2021年12月に次の10年超を見据えた5カ年成長戦略「GS26」を策定し、そのビジョンを「デバイスからソリューションへ」と掲げました。具体的には、この中で3つの“D”に取り組みます。1つ目はDeliveryです。心臓血管カンパニーの成長ドライバーである「ラジアル・アプローチ(TRI)」を支えるカテーテルなど、強みである生体内へのアクセス・デリバリーという機能とそれを支える技術を指します。今後の新しいソリューション開発においても、これらの技術は最大の武器です。2つ目はDeviceuticalsです。これは、テルモが目指す、Device(機器)とPharmaceuticals(薬剤)の融合を表した造語です。テルモの機器が、薬剤の利用や製造に、付加価値を提供することを目指します。血液・細胞テクノロジーカンパニーが新たに参入した原料血漿の分野も、この一例です。最後にDigitalです。データを活用した効率改善や、診断・治療の最適化に活用するデジタル技術など、医療機器の分野においても不可欠なものになってきました。糖尿病の患者さんに提供するアプリ開発など、「デジタルペーシェントジャーニー」のソリューションが、具体的な例です。 2)カンパニー別成長戦略<心臓血管カンパニー>GS26のビジョンとして、「患者さんに寄り添い、変わりゆく治療の未来を共に創造する」ことを掲げます。これを実現するための戦略として、以下の3つを実行します。 ①新製品ローンチを通じた治療事業の拡大脳血管・大動脈・下肢動脈の疾患や、がんの治療セグメントに向けた新製品を発売することでパイプラインを 拡充し、大きな市場で高い成長を実現していきます。同時に、デジタル技術を用いた個別化医療へのソリューション提供を進めます。 ②疾病横断でのラジアル手技の普及これまでは心臓血管を中心に実施されてきたラジアル手技(患者さんの負担がより少ない手首の血管からのカテーテル治療)を、下肢血管・腹部血管・脳血管など、全身の血管に拡げていきます。並行して、蓄積した治療成績のビッグデータに基づき、ラジアル手技のメリットを明確にすることで、個々の患者さんにとって最適な治療方針をドクターに提案していきます。 ③成長を支えるオペレーションの進化心臓血管カンパニーの全事業にわたって、グローバルで最適地生産を進めていくことで、需要の拡大に備えた増産体制を構築すると同時に、コストダウンを図ります。また、DXによる生産の効率化も進めていきます。これらによって、高付加価値製品へのシフトにとどまらない収益性の改善を実現します。 <メディカルケアソリューションズカンパニー>GS26のビジョンとして、「独自の技術を融合した患者本位のソリューションを通して医療の質向上と変革に貢献する」ことを掲げます。この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①ホスピタルケアソリューション院内における医療機器とデータの管理や、医療安全、さらには病院経営の効率化などの価値を提供します。例えば、薬剤の投与情報を院内の部門システムとつなげることにより、記録やバイタルの管理、誤投与の防止に貢献します。また、感染対策のソリューションについては、単なる製品の販売にとどまらず、現場での使用状況を解析し、さらなる改善に向けた提案をしていきます。 ②ライフケアソリューション慢性疾患の患者さんへの個別化医療を支えるデータや、モニタリングの仕組みを作ります。糖尿病領域では、血糖測定やインスリン投与の情報を管理するシステムや、食事・運動・服薬などの情報と併せて解析し、医師による、個別の患者さんへの最適な指導や治療を支援する仕組みを作ります。さらに、インスリンポンプと持続血糖測定器を投与アルゴリズムで連動させることで、グルコース濃度の細かな調整が期待できる、インスリン自動投与制御(AID)システムを提供していきます。 ③ファーマシューティカルソリューション製薬会社に対して、薬剤の価値を最大化させるユニークなデバイスやサービスを組み合わせたソリューションを提案します。薬剤の安全・効率に資するソリューションから徐々にステップアップし、パッチポンプや皮内投与デバイスによって薬剤の効果を向上させることを目指します。また、核酸医薬、遺伝子治療の効果にフォーカスしたデバイス開発により、中枢・循環器・がん領域への展開を目指します。 ④海外ビジネスソリューション東南アジアでは高機能の薬剤投与システム、北米ではBtoBを活用した静脈アクセス製品の販売を拡大します。糖尿病領域では、欧州でのインスリンポンプ販売を徐々に拡大させるとともに、巨大市場となりつつある中国で事業展開の礎を築きます。また、製薬会社とのビジネスでは、強みであるプラスチック製の薬剤充填用シリンジ「PLAJEX」のグローバル展開を図ります。 <血液・細胞テクノロジーカンパニー>GS26のビジョンとして、「血液と細胞の可能性を活かして、治療効果の向上とアンメットニーズに応えるイノベーションをグローバルに展開する」ことを掲げます。この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①Blood and Beyond(血液からの発展)採血業務の効率化に寄与する原料血漿採取システムを米国からスタートさせ、さらにこれを米国以外の市場にも展開させることを目指します。また、細胞処理の領域では、フォーカス領域を拡大し、細胞治療を受ける患者さんと、細胞治療のプロセス全体にアプローチします。そして、血液治療の領域では、選択的血漿交換療法へ進出し、この療法が有効な患者さんの治療に貢献します。 ②Equipment and Beyond(機器からの発展)全血の製剤化プロセスの自動化や、サービス・ソフトウェアなどの強みを生かして、血液センターをはじめ、顧客の業務効率化を支援します。また、新たに参入する原料血漿市場においても、技術と技術を補完するサービスを共に展開する、デジタルエコシステムを導入することを目指します。 ③地域展開中国、中南米、アフリカなどの成長著しい地域において製品ポートフォリオを拡充し、より複合的なソリューションを提供します。 ④オペレーショナル・エクセレンスフレキシブルなグローバル供給体制の構築、改良改善文化の浸透、そして、マーケティング活動のレベルアップを図り、より高いサービスの提供を目指します。 3)コーポレート戦略①イノベーションソリューション開発の3つの方向性について、目指すべき長期的なゴールを設定しています。Deliveryでは、低侵襲治療の普及率が60%にとどまっていることに対して、高度な疾患治療における高付加価値な生体アクセス・デリバリーにより、低侵襲治療100%の世界を目指します。Deviceuticalsでは、薬剤治療効果が高められない原因として、医薬品とデバイスのコンビネーション製品が少ないことを課題と認識し、デリバリー技術のイノベーションで、コンビネーション製品の進化を加速させます。また、Digitalについては、患者さんの長期的なQOL向上を妨げる要因として、慢性疾患の治療の継続が難しいことを課題と認識し、デジタルを駆使して治療の完遂率100%を目指します。これらの長期的な課題解決と、各カンパニーの提供する中期的なイノベーションとのシナジーを創出することで、将来の成長を牽引します。 ②デジタルトランスフォーメーション(DX)社内に有するDX機能を強化し、データ分析、遠隔モニタリング、ロボティクスなどの具体的なテーマに沿った検討を進めます。同時に、M&Aや提携の機会を積極的に探索することで、他社に負けないスピードでこれを実現していきます。 ③人財中長期のビジョンを実現する上で重要なスキルを特定し、その獲得・強化を目指すことによって、グローバルでの適所適材を実現します。また、変革を推進するためには、アソシエイト一人ひとりが、新しいことに挑戦することで成長できるというマインドを持つことが重要と考え、これを「Growth Mindset」と呼んで推進していきます。 ④全社収益改善生産、調達、ロジスティクス、定型管理機能の4つの機能領域に注力し、グローバルでの最適化を図ります。グループ内のコラボレーションを通じて、将来の成長を支える強固な基盤を構築し、企業価値を高めます。 ⑤生産コスタリカ、日本、ベトナムの三極生産体制を強化し、グローバル生産の最適化に努めます。また、コストの効率化にとどまらず、個別の工場で獲得した自動化、省力化、デジタル化のノウハウをグローバルに展開することで、生産イノベーションを推進します。 ⑥CSV/ESG財務目標だけでなく、サステナビリティ経営にもコミットします。事業活動を通じて実現するCSV(社会への価値創造)と、それを支える基盤としてのESG(環境、社会、ガバナンス)という2つのカテゴリーを構成し、CSVでは、「医療技術・サービスの普及、医療アクセスの向上」、「一人ひとりの人生に寄り添う医療の提供」、「持続可能な医療システムの共創」という3つの重点領域において、各カンパニーの具体的なテーマを設定しました。ESGについては、環境、社会、ガバナンスのそれぞれについて、重点テーマを抽出し、具体的な数値目標を設定しています。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定し、成長性、収益性、効率性においてそれぞれ以下の目標を掲げ、達成に向けて取り組んでいます。 目標成長性売上収益:1桁後半の成長収益性営業利益率※:20%以上資本効率性ROIC※:10%以上ROE:10%以上を堅持            想定為替レート:USD=107円、EUR=128円※ 新規M&Aの影響を除く
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】[業績等の概要](1) 業績当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定しました。高齢化社会における慢性疾患との共生や、ゲノム医療とAIの進化による個別化医療の本格普及といった、医療のパラダイムシフトに対応するための中長期ビジョンとして、「デバイスからソリューションへ」を掲げました。製品軸から顧客軸へフォーカスを移し、医療のエコシステム全体とより積極的にかかわることで、顧客の課題に複合的なソリューションを提案できる企業を目指して経営を推進しています。2年目となる当期の連結業績は以下のとおりです。 ≪連結業績≫ 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)売上収益820,209921,863101,65412.4(海外)612,823710,74297,91816.0(日本)207,385211,1213,7351.8調整後営業利益138,025156,78518,75913.6営業利益117,332140,09622,76319.4税引前利益116,137140,82924,69221.3当期利益89,325106,37417,04819.1親会社の所有者に帰属する当期利益89,325106,37417,04819.1 セグメントの業績は以下のとおりです。 セグメントの名称 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)心臓血管カンパニー売上収益480,610555,71675,105調整後営業利益112,155123,85011,694メディカルケアソリューションズカンパニー売上収益191,749197,5695,819調整後営業利益14,84819,7894,941血液・細胞テクノロジーカンパニー売上収益147,605168,32820,723調整後営業利益11,16316,3945,230 (注) 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益です。 <心臓血管カンパニー>海外は、TIS(カテーテル)事業やニューロバスキュラー事業を中心に、全事業が二桁伸長し、前期比17.1%の増収となりました。日本は、血管内治療の症例数が回復し、前期比3.4%の増収となりました。その結果、心臓血管カンパニーの売上収益は前期比15.6%増の5,557億円となりました。 <メディカルケアソリューションズカンパニー>日本は、2022年度に譲渡したホスピタルケアソリューション事業の栄養食品の売上収益減少がありましたが、輸液関連製品や製薬企業との提携ビジネスであるファーマシューティカルソリューション事業の売上が好調に推移し、前期比0.8%の増収となりました。海外は、為替相場が円安に推移した影響(以下、「為替影響」)により、前期比9.7%の増収となりました。その結果、メディカルケアソリューションズカンパニーの売上収益は前期比3.0%増の1,976億円となりました。 <血液・細胞テクノロジーカンパニー>海外は、米州、アジア他において血液センター向けのビジネスが好調に推移し、前期比14.7%の増収となりました。日本は、成分採血関連製品の売上収益が増加し、前期比6.9%の増収となりました。その結果、血液・細胞テクノロジーカンパニーの売上収益は前期比14.0%増の1,683億円となりました。 (2) キャッシュ・フロー≪キャッシュ・フロー計算書概要≫ 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー117,536146,33028,793投資活動によるキャッシュ・フロー△59,121△81,472△22,351財務活動によるキャッシュ・フロー△86,559△62,07924,479現金及び現金同等物の期末残高187,322204,88317,560 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、1,463億円となりました。税引前利益1,408億円、減価償却費及び償却費767億円、法人所得税の支払額457億円、営業債権及びその他の債権の増加164億円が主な要因です。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、815億円となりました。生産設備等への投資に伴う有形固定資産の取得による支出607億円、新ITシステムへの投資等に伴う無形資産の取得による支出180億円が主な要因です。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、621億円となりました。配当金の支払額320億円、自己株式の取得による支出111億円、社債の償還による支出100億円が主な要因です。 また、上記に加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により148億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より176億円増加して2,049億円となりました。 [生産、受注及び販売の状況](1) 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。 報告セグメント金額(百万円)前連結会計年度比(%)心臓血管カンパニー576,60612.9メディカルケアソリューションズカンパニー192,8914.3血液・細胞テクノロジーカンパニー173,1667.2合計942,66410.0 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。3.当連結会計年度の仕入製品の仕入実績は、当連結会計年度平均販売価格算出で、38,926百万円です。 (2) 受注実績当社グループは主として見込み生産を行っているため、受注実績の記載をしておりません。 (3) 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。 報告セグメントサブセグメント金額(百万円)前連結会計年度比(%)心臓血管カンパニーTIS(カテーテル)364,46814.1ニューロバスキュラー83,15317.3カーディオバスキュラー62,10814.0血管45,98528.4メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション134,5513.7ライフケアソリューション22,930△7.3ファーマシューティカルソリューション40,0867.7血液・細胞テクノロジーカンパニー―168,32814.0調整額2482.1合計921,86312.4 (注) 1.調整額248百万円は、報告セグメントに帰属しない外部向け人材派遣による収入等です。2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。 [財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において判断したものです。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので将来生じる実際の結果と差異が生じる可能性があります。 (1) 経営成績<連結業績について> 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)売上収益820,209921,863101,65412.4売上総利益417,369479,17461,80514.8調整後営業利益138,025156,78518,75913.6営業利益117,332140,09622,76319.4税引前利益116,137140,82924,69221.3当期利益89,325106,37417,04819.1親会社の所有者に帰属する当期利益89,325106,37417,04819.1 ① 売上収益売上収益は、前期比12.4%増の9,219億円となりました。海外は、TIS(カテーテル)事業や血液センター向けビジネスの需要が拡大、為替も寄与し、前期比16.0%の増収となりました。日本は、2022年度に譲渡したホスピタルケアソリューション事業の栄養食品の売上収益減少がありましたが、輸液関連製品や製薬企業との提携ビジネスであるファーマシューティカルソリューション事業の売上が好調に推移し、前期比1.8%の増収となりました。なお、地域別の売上収益及びその前期比は、下図のとおりです。 ② 利益売上総利益は、売上収益の増加により、前期比14.8%増の4,792億円となりました。調整後営業利益は、売上総利益の増加により、前期比13.6%増の1,568億円となりました。営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、売上総利益の増加及びその他の費用の減少により、いずれも増益となりました。 なお、当社グループは、当社グループが適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない、調整後営業利益という業績管理指標を追加的に開示しております。調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であり、セグメント利益と一致しています。調整後営業利益は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理に利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。 セグメントごとの業績の概況については、「業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。 (2) 財政状態の分析<主要財務指標> 前連結会計年度当連結会計年度親会社所有者帰属持分当期利益率8.4%8.7%資産合計当期利益率5.8%6.2%親会社所有者帰属持分比率69.3%72.5%1株当たり親会社所有者帰属持分746.07円893.80円フリー・キャッシュ・フロー58,414百万円64,857百万円 (注) 当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、「1株当たり親会社所有者帰属持分」を算定しております。 ① 資産当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,292億円増の1兆8,314億円となりました。これは主に、為替影響及び売上収益増加等により営業債権及びその他の債権が281億円増加、為替影響等により棚卸資産が370億円増加、為替影響及び生産設備や新ITシステムへの投資等により有形固定資産が450億円増加、のれん及び無形資産が500億円増加したことによるものです。 ② 負債当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ131億円増の5,043億円となりました。これは主に、為替影響等によりその他の流動負債が164億円増加した一方で、取引先への支払サイト短縮により営業債務及びその他の債務が40億円減少したことによるものです。 ③ 資本当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,160億円増の1兆3,271億円となりました。これは主に、当期利益の計上により1,064億円増加、為替影響等に伴うその他の包括利益の計上により1,524億円増加した一方で、自己株式の取得により111億円減少、剰余金の配当により320億円減少したことによるものです。 なお、キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。 (3) 資本の財源及び資金の流動性① キャッシュ・フロー当連結会計年度の「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。 ② 財務政策当社グループは、資本政策の基本方針として「事業オペレーション改善などを通じた資産効率の向上と、財務健全性も考慮した適正な資本構成の構築を図りつつ、売上成長・利益率改善に加えて、投下資本利益率(ROIC)及び株主資本利益率(ROE)の改善を目指します」を掲げております。運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料、部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。研究開発費は営業費用の一部として計上されます。また、持続的な成長のため、設備投資をはじめ、企業買収による投資などへの投資資金需要が発生します。当連結会計年度における重要な資本的支出の予定とその主な財源は「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、資本政策の基本方針に沿って、内部資金、借入、社債等により調達しております。具体的には、年度事業計画にもとづく資金調達計画を策定・更新するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・集約しております。また、欧米・アジア・中国の拠点とキャッシュマネジメントシステムを運用し、グループ内余剰資金を活用するなど資金効率の向上に努めています。さらに、金融機関には十分な借入枠を有しており、内部資金、資金調達と併せ、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備等投資資金を調達することは可能であると考えています。中長期的な成長投資は継続しつつ、さらにM&Aに関しても持続的かつ収益性のある成長に資する案件は、今後も継続し追求します。一方、不急とみなすことのできる経費や投資案件は見直していきます。また、利益配分につきましては、「安定した増配に加えて、自己株式取得による還元も活用し、総還元性向として50%水準を目標」を基本方針としており、当期の年間配当金を1株につき44円(うち中間配当金22円)と4円増配します。次期の年間配当金につきましては、1株につき26円(うち中間配当金13円)を予定しております。なお、当社は、2024年4月1日を効力発生日として普通株式1株を2株に分割しております。次期の年間配当金につきましては、当該株式分割を考慮した額を記載しておりますが、株式分割実施前の基準に換算すると中間配当金26円、期末配当金26円の年間配当金52円となり、実質的な増配となります。 なお、当連結会計年度の有利子負債の残高については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 15.社債及び借入金」に記載のとおりです。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。 (5) 次期の見通し2024年度は、医療需要の増加傾向が継続し、欧米を中心に売上収益の拡大が見込まれます。マクロ環境は、電気・ガスといったエネルギー関連費用等一部で好転してきている一方で、原材料価格の高止まりやサプライチェーン混乱のリスクは継続すると見られています。このような環境下において、業績予想については、製造現場における生産性の向上、コスト削減策等、市場環境に応じた適切な対策を盛り込みました。高成長が見込まれる分野では、重点的に生産能力の拡大を中心とする設備投資を進めます。また、医療従事者の不足や院内業務効率化の推進等、医療現場の課題に向き合い、新たな価値・ソリューションを提供する事業の拡大・創出に取り組みます。サステナビリティ経営については、5カ年成長戦略「GS26」の中で設定した、CSV/ESGに関する具体的な活動テーマとKPIに基づき、全社で推進していきます。進捗状況はサステナビリティ委員会でモニタリングし、経営会議・取締役会に定期報告を行います。

※本記事は「テルモ株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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