武田薬品工業株式会社の基本情報

会社名武田薬品工業株式会社
業種医薬品
従業員数連47455名 単4808名
従業員平均年齢43.4歳
従業員平均勤続年数14.4年
平均年収11038000円
1株当たりの純資産2534.39円
1株当たりの純利益(連結)68.36円
決算時期3月
配当金196円
配当性向202.5%
株価収益率(PER)45.6倍
自己資本利益率(ROE)(連結)4%
営業活動によるCF10571億円
投資活動によるCF▲3670億円
財務活動によるCF▲7514億円
研究開発費※17302億円
設備投資額※122.52億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※245.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 タケダの企業理念と「私たちの約束」当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。このため私たちは、「Patient」(すべての患者さんのために)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)の約束のもとに、データとテクノロジーの力を活用しながら、革新的な医薬品を創出し続けるという「私たちが目指す未来」(ビジョン)を追求しています。当社は、「私たちの価値観」(バリュー)に従い、あらゆるステークホルダーのことを考慮した上で意思決定を行っており、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。 事業環境現在の地政学的な環境は、世界的な緊張の高まりと分極化が進む状態にあります。このような状況を背景に、保護主義や貿易紛争が拡大し、世界貿易に圧力をかけるとともに、供給網に影響を及ぼし、世界経済の先行きに不確実性をもたらしています。当社のバリューチェーンは米国、欧州、日本およびシンガポールを中心に構築されており、特に米中間の貿易摩擦の影響を抑える役割を果たしています。また、当社は、患者さんに悪影響を与える懸念がある貿易障壁について、ヘルスケア製品を対象から除外するよう提言しています。 現在、バイオ医薬品業界が直面している最大の課題は、増大する需要に対して医療財源が不足していることにあります。この課題は、欧州や日本において価格圧力を増大させるだけでなく、市場成長を抑制する要因ともなっています。 米国のインフレ抑制法の導入は、医療費の個人負担の予測可能性の向上など、メディケア受給者に利点をもたらした一方、政府によるかつてない薬価交渉制度の設立は、製薬企業による米国内における研究開発投資を減速させる可能性があります。 当社では、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療などの医療技術の探求に加え、近年急速に普及しているテクノロジーや人工知能(AI)の活用を通じて、イノベーションのスピードをさらに加速させています。また、これらのテクノロジーとAIは、将来的に当社の生産性を向上させるだけでなく、今後も続くと想定される価格圧力に対処する手段としても大きな役割を果たすと考えています。 このように困難で急速に変化する外部環境の中において、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。 Patient(すべての患者さんのために)当社の研究開発は、3つの重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジー)における希少疾患とより有病率が高い疾患において、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。研究開発プログラムの優先順位付けは、アンメット・メディカル・ニーズ、科学的なバリデーション、開発プロセスの迅速化、および市場機会に基づいて行っています。また、パイプラインの開発加速から、製造工程における品質と効率性の向上、医療従事者や患者さんの対応に至るまで、データ、デジタルおよびテクノロジー(「DD&T」)とAIをバリューチェーンにわたって活用しています。 当社の2030年以降の持続的な成長は、後期開発段階のパイプラインに支えられる見込みです。2026年3月期(2025年度)の開始時点で、6つの臨床第3相開発プログラムを有しています。そのうちの最初のプログラムであるrusfertideは、2025年3月に良好な臨床第3相試験のデータを得ました。また、oveporextonのナルコレプシータイプ1、zasocitinibの乾癬に対する臨床第3相試験のデータ読み出しも、2025年末までに予定しています。これら3つのプログラムの承認申請は、2025年度から2026年度に実施できる見込みです。また、2027年度から2029年度にかけて、後期開発プログラムに係る追加の5つの承認申請も見込まれています。主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。 DD&Tは、医薬品開発のプロセスにおいて、ますます重要な役割を担っています。例えば、現在では、匿名化された大規模な患者データベースに照合することで、臨床試験プロトコルを検証し、より効果的な被験者募集方法を評価することが可能となりました。 タケダの成長製品・新製品は、患者さんやコミュニティに価値を提供し続けています。当社の売上高トップの製品であるENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の成長は、米国における皮下注射製剤の上市が寄与しています。ENTYVIO Penは中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病を対象としており、世界50カ国以上において患者さんに治療の柔軟性や選択肢を提供しています。 当社は患者さんを最優先に考え、医薬品の研究開発から製造、販売に至るまで、医療アクセスと公平性の観点を事業に取り入れており、価値に基づいた段階的な価格設定や患者さんのための支援プログラムを提供しています。また、世界中の地域コミュニティや政府と協力し、地域の医療システムの強化にも取り組んでいます。 また、デング熱ワクチンQDENGAのグローバル展開にも注力しています。QDENGAは、本ワクチンの需要が最も高い多くの流行国を含め、今や世界約30カ国で接種できるようになりました。特に低所得国や中所得国でのアクセス向上を重視しており、これらの地域での普及促進に力を入れています。当社は現在、生産拡大とともに、デング熱感染率の上昇に対抗するためQDENGAを必要とする世界中のコミュニティと連携することに取り組んでいます。 当社は、2030年までに年間1億回接種分のQDENGAの供給目標を達成するため、インドのBiological E社と提携契約を締結しました。ドイツのジンゲンにある当社工場のワクチン製造能力を補完する本契約により、同社は、年間最大5,000万回接種分を製造する予定です。 People(ともに働く仲間のために)当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。当社は、あらゆる種類の差別を排除し、多様性と包括性を推進する職場環境を整備しています。また、従業員の生涯学習とキャリア成長を支援し、心身の健康維持(ウェルビーイング)を推進しています。このようなアプローチが、人々の暮らしを豊かにする治療法を創出する能力の向上につながると考えています。 生涯学習とキャリア成長は従業員のやる気や専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。当社は、従業員のスキルアップやケイパビリティを開発し、持続的な成長に向けて、機動的で柔軟な組織を構築しています。 また、AIは、人材開発へのアプローチをも変革しています。Career Navigatorのプラットフォームは、従業員が個々のキャリアパスを描くことを可能とし、AIを活用して社内の募集職種やメンターシップ、学習機会に関する情報を個別化することで、従業員が可能性を最大限に発揮できるよう支援しています。さらに、AIによるコーチングやロールプレイを通じて、従業員がリスクのない環境下で新しいスキルを実践できるよう支援しています。 当社は、事業の将来性をより確かなものとするため、従業員のデジタル活用能力をさらに向上させる必要があると考えています。2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を迅速に習得し、効果的に活用する能力)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AI Learningを立ち上げました。Everyday AI Learningは、AIおよび生成AIに必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。 また、当社では、生涯学習への取り組みを全社的に推進しています。例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は毎月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。 当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、世界中の従業員と患者さんの多様性を認識し受け入れるとともに、この強みを活かしてイノベーションを推進し続けています。 当社は、従業員が目標に向かって前進、成長し、可能性を最大限に発揮できるようウェルビーイングの向上に取り組んでいます。当社のグローバルなウェルビーイングプログラムは、精神的、身体的、社会的、経済的な側面を取り入れています。当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。また、この1年間において、ウェルビーイングの取り組みを強化するためにさらなる施策を講じました。この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。 当社は、職場における安全確保に取り組んでおり、製造拠点においては重大な傷害や死亡事故防止に焦点を当てた安全文化を醸成しています。リスク評価プロセスでは、事案につながる可能性のあった活動や体系的な安全プログラムの課題を特定しています。また、四半期毎に製造ネットワーク全体で「Lessons Learned(教訓)」イベントを開催し、発生した可能性のあった事案を紹介し、再発防止策について議論しています。 Planet(いのちを育む地球のために)当社は、「私たちの存在意義」(パーパス)に基づき、地球環境を損なうことのないよう事業を展開しています。公衆衛生は地球環境と密接に関連しており、気温の上昇に伴い、感染症は増加し、影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに係る困難な課題も増加する可能性があります。 当社は、環境課題に対する高い意識を持って積極的に取り組んでいます。「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するためには、人々の健康には健全な地球環境が必要であり、人々の健康に貢献するだけでは充分ではないと考えています。当社では、環境負荷を低減するためにクリーンエネルギーを優先的に使用するだけでなく、ネットゼロの達成およびバリューチェーン全体で温室効果ガス排出を無くすべく、ネットゼロのロードマップを進めるための取り組みに注力するとともに、バリューチェーンを超えた自然の力を活かした炭素除去プロジェクトへの投資を継続しています。当社は、2035年度までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量を、2040年度までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量をネットゼロにすることを目指しており、短期、長期を含めた目標について、SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。 当社は、温室効果ガス排出量削減の目標に向けて、着実に進展を続けています。例えば、最近、デング熱ワクチンを製造するドイツのジンゲンにある製造施設でバイオマス熱プラントの稼働を成功裏に開始したことを発表しました。この新しいバイオマスボイラーは、現在使用されているガスの多くを廃木材に置き換えることを目指しており、CO2排出量を最大80%削減することが期待されています。 また、当社は製品の設計や開発にライフサイクルの視点を取り入れることで、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指しています。さらに、天然資源保全プログラムにおいては、気候変動以外の環境負荷の低減を目指す活動として水の保全、責任ある廃棄物処理、生物多様性保全などに取り組んでいます。 DD&Tは、当社の環境への取り組みを支える重要な要素でもあります。大阪工場では、水使用の各箇所にセンサーやモニターを設置、データを解析して水の使用量を最適化する方法を検討、成功事例を標準化することで、年間45万リットルの蒸留水の使用量を削減し、年間200万リットル以上の水道水の使用量を削減しました。同様のプロジェクトとして、電力消費量の削減や太陽光やその他のグリーンエネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。 財務展望当社は、持続的な成長と長期的な価値創造を支える確固たる財務基盤を有しており、強固な枠組みのもと、戦略的な取り組みを柔軟に推進し、価値ある成果を生み出すことが可能となっています。 タケダの成長製品・新製品*は、中長期的に売上成長を牽引していく上で非常に重要であり、人々の暮らしを豊かにする治療法の発見や開発へのさらなる投資を支える役割を果たすものと期待しています。これら製品の力強い持続的な売上成長は、差し迫る医療課題に対応し、世界中の患者さんに深い恩恵をもたらす革新的な治療法を推進させることを可能にします。当社は、このようなビジョンを実現するため、組織の機動性を向上させるとともに、DD&TやAIを活用しながら全社的な効率化プログラムにも取り組んでいます。中長期的には、当社はCore営業利益率を30%台前半から半ばまでに引き上げることを目指しており、潤沢なキャッシュ・フローを維持してまいります。 また、当社は、売上成長を実現し事業運営の卓越性をさらに強化するため取り組むとともに、人生を変え得る治療法の発見や開発に対する長期的なコミットメントを堅持しています。研究開発投資は、価値創造を追求する上で重要な投資であり、6つの後期開発パイプラインはグローバルで、合計100億~200億米ドルのピーク時売上収益に達する可能性**を秘めています。これら後期開発プログラムを2030年までに上市し成功を収めることは、持続的な成長と現金の創出に大きく貢献することにつながります。 当社は、重要なフェーズにある開発を着実に進め、これらのプログラムを市場に投入してまいりますが、投資資本に対する魅力的なリターンを実現することについても引き続き注力してまいります。当社は、革新的な治療法の発見と開発に対する戦略的かつ規律ある投資を通じて、社会やすべてのステークホルダーに対して価値を創出していくことを目指しています。後期開発パイプラインを成功裏に上市させることとあわせ、事業運営の卓越性を引き続き高めることで、株主資本利益率やその他の財務指標、さらには企業価値の向上につなげてまいります。 * タケダの成長製品・新製品(2025年度)消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA ** ピーク時売上収益の範囲は、技術的及び規制上の成功確率を考慮して調整されていない推定値であり、予想または目標とみなされるべきではありません。ピーク時売上収益の範囲は、将来起こりうるとは限らないさまざまな商業的シナリオについての当社の評価に基づきます。 [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2025年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。現在、ENTYVIOは世界70カ国以上で承認され、皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されました。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行ってまいります。2025年3月期におけるENTYVIOの売上収益は9,141億円となりました。・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。米国食品医薬品局(FDA)による承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする 経口治療薬です。2024年2月に米国FDAによる承認取得後上市しました。2025年3月期におけるEOHILIAの売上収益は55億円となりました。・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2025年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,308億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において承認されました。2025年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,463億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。また、2025年2月に、12歳以上の遺伝性血管性浮腫患者さんへの皮下投与用のタクザイロの追加の選択肢である2mLのプレフィルドペンが欧州医薬品庁(EMA)から承認されました。2025年3月期におけるタクザイロの売上収益は2,232億円となりました。・リブテンシティ (maribavir):リブテンシティは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。リブテンシティは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。2025年3月期におけるリブテンシティの売上収益は330億円となりました。・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者のアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え))が、日本においては12歳以上の患者さん、欧州(EMA市場)においてはすべての年齢層の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。2025年3月期におけるアジンマの売上収益は71億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2025年3月期におけるエラプレースの売上収益は972億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2025年3月期におけるリプレガルの売上収益は779億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2025年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,118億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2025年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は646億円となりました。・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。2025年3月期におけるビプリブの売上収益は535億円となりました。血漿分画製剤(PDT)領域における主要製品は以下の通りです。・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。・ハイキュービア(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):ハイキュービアは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。ハイキュービアは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。ハイキュービアは、米国では成人PID患者さんへの使用、欧州においてはPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用、また日本においてはPID患者さんまたは無又は低ガンマグロブリン血症を伴う続発性免疫不全症の患者さんへの使用が承認されております。2024年1月に、ハイキュービアは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。? キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2025年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は7,578億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2025年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,414億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。2025年3月期におけるアルンブリグの売上収益は364億円となりました。・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者に対する治療薬です。FRUZAQLAは、3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する内服阻害薬として、米国、欧州、日本のほか、世界中の幾つもの国々で承認されております。当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。2025年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は480億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症や不妊治療、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2025年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,193億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2025年3月期におけるニンラーロの売上収益は912億円となりました。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、現在Pfizer Inc.の完全子会社であるSeagen, Inc.とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2025年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,290億円となりました。・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。2025年3月期におけるアイクルシグの売上収益は707億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2023年以降、米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。2025年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は3,506億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2025年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,257億円となりました。ワクチン領域における主要製品は以下の通りです。・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の“バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。QDENGAはテング熱流行国および渡航市場を含む29カ国において販売されています。2025年3月期における QDENGAの売上収益は356億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。 売上収益4兆5,816億円[前年度比3,178億円(7.5%) 増] 研究開発費7,302億円[ 〃3億円(0.0%) 増] 営業利益3,426億円[ 〃1,285億円(60.0%) 増] 税引前当期利益1,751億円[ 〃1,223億円(231.7%) 増] 当期利益1,081億円[ 〃361億円(25.0%) 減] 基本的1株当たり利益68円36銭[ 〃23円73銭(25.8%) 減] 資産合計14兆2,483億円[前年度末比8,604億円(5.7%) 減] 負債合計7兆3,124億円[ 〃5,224億円(6.7%) 減] 資本合計6兆9,360億円[ 〃3,380億円(4.6%) 減] なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。  ② キャッシュ・フローの状況「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。  ③ 生産、受注及び販売の状況  (a) 生産実績当年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業2,247,804△8.9合計2,247,804△8.9 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。   2 生産実績金額は、販売価格によっております。   (b) 受注状況当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。   (c) 販売実績当年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業 4,581,551 7.5  (国内)(418,462)(△7.3) (海外)( 4,163,089)(9.2)連結損益計算書計上額(うちライセンス供与による収益・役務収益) 4,581,551 7.5 ( 85,579)( △14.5) (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前年度当年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)センコラ Inc.(旧称:アメリソースバーゲン・コーポレーション)およびそのグループ会社579,06513.6577,01712.6マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社578,76713.6592,32312.9カーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社(注)436,95110.2– (注)当年度におけるカーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社の販売実績および当該総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満のため記載を省略しています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容(a) 当年度の経営成績の分析 (ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項事業の概況当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を行っています。主要ビジネスエリアは、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ワクチン、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の6つに分けられています。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤にも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品をできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においては急成長している事業を展開しています。また、当社は事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2025年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆5,816億円および3,426億円であります。 当社グループの経営成績に影響を与える事項当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。 関税措置およびその他の貿易制限措置他の品目と同様に、医薬品も関税措置や貿易制限措置の影響を受ける可能性があります。2025年1月に発足した米国政権は、新たな関税措置として、中国、メキシコ、カナダに対する措置や、医薬品を除く特定の品目に対する世界規模の措置を発表しました。これにより、中国を含む影響を受けた国々が報復措置を講じ、または講じる可能性があります。さらに、米国政権は、1962年通商拡大法第232条に基づき、医薬品および医薬品原料の輸入が国家安全保障に与える影響を評価するため、調査を実施することを発表しました。一部の政府当局者は、この調査の結果として、医薬品に関税が課される可能性があることを示唆しています。米国か他国により実施される、または実施される可能性のある関税措置の期間および範囲は不明であり、関税措置が当社グループの事業に最終的にどの程度の影響を与えるかも不明瞭な状況です。しかしながら、現時点の想定では、米国および中国政府による関税措置の影響は限定的であると見込んでいます。当年度の業績に基づくと、当社グループの米国売上収益の約8~10%(または連結売上収益の約4~5%)は米国以外を原産国とする輸入品の関税評価額に相当し、関税措置の対象となります。また、中国で販売する製品のうち、米国を原産国とする部分の関税評価額は中国売上収益の約12~15%(または連結売上収益の約0.5~0.6%)相当と見込んでいます。当社グループでは、在庫管理やサプライチェーン管理を中心に、グローバルな供給ネットワークにおける関税措置の影響の緩和策を実施しています。2025年5月8日時点において、当社グループはグローバルに22の製造拠点を有しており、そのうち20拠点が米国向けに供給しており、7拠点が米国内に所在しています。 特許保護と後発品との競争医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しています。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しています。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)(単位:億円、%以外) 売上収益 増減額 CERベース増減率前年度当年度ベルケイド5552△4△12.0%VYVANSE/ELVANSE4,2323,506△726△21.6%アジルバ336118△218△64.9% 2022年にベルケイドに含まれる有効成分であるボルテゾミブの特許権満了に伴い後発品が参入し、その影響でベルケイドの売上収益は、2024年3月期には55億円、2025年3月期には52億円までに減少しました。2023年8月には米国においてVYVANSEの特許権が満了しました。また、2023年2月にアジルバの後発品が日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたことを受け(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSEの売上収益は2024年3月期の4,232億円から2025年3月期には3,506億円に減少し、アジルバの売上収益は2024年3月期の336億円から2025年3月期には118億円に減少しました。2026年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでいます。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。 新製品の開発・商業化および既存製品の拡大当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。当社は、当社のポートフォリオのうち、一部の製品を当社の成長製品・新製品として特定しております。特にライフサイクルの初期段階にある製品の多くは連結売上収益への貢献は限定的でありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。2025年3月期において、当社は次の製品を成長製品・新製品として特定しました:ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN・FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA2025年3月期において、これらの成長製品・新製品は、当社の連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円でありました。2025年3月期の内訳としては、ENTYVIOは9,141億円(当社の連結売上収益の20%)、当社の3つの免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトル)は7,578億円(当社の連結売上収益の17%)、アルブミン製剤は1,414億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは2,232億円(当社の連結売上収益の5%)となりました。また、2024年3月期にアロフィセルおよびEXKIVITYの治験が失敗し、これらの製品の商業的予測が変更されたため、2025年3月期の成長製品・新製品(注)から除外しております。一方、新製品FRUZAQLAおよびQDENGAは今後成長し、長期的に収益成長に大きく貢献すると見込まれるため、これらの製品を追加しております。変更後の成長製品・新製品は、2025年3月期における連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円となります。2026年3月期において、rusfertideのFDAへの承認申請、oveporextonとzasocitinibの臨床第3相試験データの読み出しを予定しています。成功した場合には、2026年または2027年に、これらの製品が成長製品・新製品として上市する可能性があります。(注)本年次報告書日現在において、2026年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA 買収当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。なお、2024年3月期および2025年3月期、ならびに本報告書提出日時点までにおいて、重要な事業または資産の買収はありません。 事業売却買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。以下は2024年3月期から2025年3月期および本報告書提出日時点において、実施または発表された重要な事業売却になります。当社グループは、2025年3月期にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、武田テバファーマ株式会社の全株式である関連会社株式を売却目的で保有する資産に分類し、2025年3月期において189億円の減損損失を金融費用に計上しました。2025年3月に当該譲渡が完了したことによる売却収入は508億円の受取配当金を含む565億円であり、2025年3月期に連結キャッシュ・フロー計算書に計上された関連会社株式の売却による収入577億円の大部分を構成しています。また、過去の取引で発生した未実現利益が譲渡完了時に実現したことにより17億円と38億円をそれぞれ売上収益とその他の営業収益に計上しました。 原材料の調達による影響重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。 外国為替変動2024年3月期および2025年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ89.4%、90.9%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2024年3月期および2025年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(ⅲ) 当年度における業績の概要」及び「(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。 季節的要因当社グループの売上収益は、2024年3月期および2025年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。 (ⅱ) 重要な会計方針当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。 収益認識「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。 のれんおよび無形資産の減損当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2025年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆3,244億円および3兆6,316億円計上しており、これは総資産の62.9%を占めております。上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。・将来キャッシュ・フローの金額および時期・競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)・規制当局からの承認の取得可能性・将来の税率・永続成長率・割引率将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、米国における特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および、のれんを除き、減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および 12 無形資産」をご参照ください。 訴訟に係る偶発事象当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2025年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について125億円の引当金を計上しております。 法人所得税当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上収益の予測が変動した場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2025年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆1,837億円、4,274億円、および270億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。 事業構造再編費用当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。2024年5月9日に当社は、事業の成長と利益率の改善を促進するための複数年にわたる全社的な効率化プログラムを実施することについて、公表しました。本プログラムには、人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化、組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資、サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化が含まれております。主に、2024 年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,281億円の事業構造再編費用を計上し、2026年3月期には480億円を計上することを見込んでいます。それ以降の年度においても徐々に減少する見込みです。2025年3月31日現在、140億円の事業構造再編に係る引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金及び対前期比の変動の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。 (ⅲ) 当年度における業績の概要 前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率売上収益42,63845,8163,1787.5%2.9%売上原価△14,267△15,802△1,53510.8%6.5%販売費及び一般管理費△10,538△11,048△5094.8%0.6%研究開発費△7,299△7,302△30.0%△4.5%製品に係る無形資産償却費及び減損損失△6,521△6,43289△1.4%△6.0%その他の営業収益1942626835.3%30.8%その他の営業費用△2,065△2,067△20.1%△3.6%営業利益2,1413,4261,28560.0%51.2%金融収益及び費用(純額)△1,678△1,63542△2.5%△5.7%持分法による投資損益65△40△105- - 税引前当期利益5281,7511,223231.7%206.4%法人所得税費用914△669△1,583- - 当期利益1,4421,081△361△25.0%△33.1%当期利益(親会社の所有者帰属分)1,4411,079△361△25.1%△33.2% 本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 〔売上収益〕売上収益は、4兆5,816億円(+3,178億円および+7.5% AER、+2.9% CER)となりました。これは主に、為替相場が円安に推移したこと、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびワクチンにおいて事業が好調に推移したことによるものです。当社の6つの主要なビジネスエリアのうち、ニューロサイエンス(神経精神疾患)については減収となり、これらのビジネスエリアの増収を一部相殺しました。ニューロサイエンスは、円安による増収影響があったものの、米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの独占販売期間満了に伴い、2023年8月以降、後発品が参入したことによる影響を引き続き大きく受けて減収となりました。加えて、当社の6つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの減収によるものです。アジルバの売上は、118億円(△218億円および△64.9% AER、△64.9% CER)となり、日本において2023年6月以降の後発品の参入による影響を受け減収となりました。 地域別売上収益各地域の売上収益は以下のとおりです。(単位:億円、%以外)売上収益:前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率 日本4,5144,185△329△7.3%△7.4% 米国21,95723,7971,8398.4%2.5% 欧州およびカナダ9,66810,5538849.1%4.1% 中南米1,9812,35837719.1%19.7% 中国1,7481,9171699.7%4.8% アジア(日本および中国を除く)86499413015.1%11.6% ロシア/CIS726724△2△0.3%△1.0% その他(注1)1,1791,2881099.3%4.7% 合計42,63845,8163,1787.5%2.9% (注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。 当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率消化器系疾患: ENTYVIO(注1)8,0099,1411,13214.1%8.5%GATTEX/レベスティブ1,1931,46327022.7%17.2%タケキャブ/VOCINTI(注2)1,1851,30812210.3%9.7%PANTOLOC/CONTROLOC(注3)465446△19△4.1%△8.2%DEXILANT453385△67△14.9%△16.5%EOHILIA255532,627.1%2,500.6%その他855773△83△9.7%△13.8%消化器系疾患 合計12,16213,5701,40811.6%6.8%希少疾患: タクザイロ1,7872,23244524.9%18.9%アドベイト1,2291,118△112△9.1%△13.4%エラプレース916972576.2%2.1%リプレガル736779435.8%2.1%アディノベイト/ADYNOVI663646△17△2.6%△6.0%ビプリブ513535224.2%△0.5%リブテンシティ19133013972.9%64.5%アジンマ471671,566.2%1,515.8%その他84684700.1%△4.4%希少疾患合計6,8847,5286449.4%4.6%血漿分画製剤: 免疫グロブリン製剤6,4467,5781,13217.6%11.5%アルブミン製剤1,3401,414745.5%1.1%その他1,2511,335846.7%1.5%血漿分画製剤合計9,03710,3271,29014.3%8.6%オンコロジー: アドセトリス1,0941,29019617.9%14.8%リュープリン/ENANTONE1,0741,19311911.1%8.2%ニンラーロ874912394.4%△0.2%アイクルシグ54770716029.3%23.0%FRUZAQLA(注5)101480379375.7%351.3%アルンブリグ2853647927.7%22.7%その他64965891.3%0.3%オンコロジー 合計4,6245,60498121.2%17.2%ワクチン: QDENGA96356260272.3%259.0%その他408198△210△51.4%△51.4%ワクチン 合計5045545110.0%7.5%ニューロサイエンス: VYVANSE/ELVANSE(注4)4,2323,506△726△17.2%△21.6%トリンテリックス1,0481,25720920.0%14.2%ADDERALL XR418284△133△31.9△35.3%その他572610386.6%4.5%ニューロサイエンス 合計6,2705,658△612△9.8%△14.1% (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率その他: アジルバ(注2)336118△218△64.9%△64.9%ホスレノール13579△56△41.5%△44.1%その他2,6852,377△309△11.5%△13.2%その他 合計3,1572,574△583△18.5%△20.0%総合計42,63845,8163,1787.5%2.9% (注1)国内製品名:エンタイビオ(注2)配合剤、パック製剤を含む。(注3)一般名:pantoprazole(注4)国内製品名:ビバンセ(注5)国内製品名:フリュザクラ 各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。 – 消化器系疾患消化器系疾患の売上収益は、1兆3,570億円(+1,408億円および+11.6% AER、+6.8% CER)となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,141億円(+1,132億円および+14.1% AER、+8.5% CER)となりました。米国における売上は、6,192億円(+731億円および+13.4% AER)となりました。この増収は、炎症性腸疾患に対する生物学的製剤の新規投与の堅調な需要の維持および皮下注射製剤の上市以降、継続的に投与患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、2,274億円(+316億円および+16.1% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、1,463億円(+270億円および+22.7% AER、+17.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における需要増加、処方拡大(小児適応拡大)、および円安による増収影響によるものです。 – 希少疾患希少疾患の売上収益は、7,528億円(+644億円および+9.4% AER、+4.6% CER)となりました。遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、2,232億円(+445億円および+24.9% AER、+18.9% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州およびカナダにおける高い治療継続率および予防市場の成長により需要が増加していること、および円安による増収影響によるものです。移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、330億円(+139億円および+72.9% AER、+64.5% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、972億円(+57億円および+6.2% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国における堅調な需要によるものです。酵素補充療法のファブリー病治療剤リプレガルの売上は、779億円(+43億円および+5.8% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国での需要の増加によるものです。血友病A治療剤アドベイトの売上は1,118億円(△112億円および△9.1% AER、△13.4% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争激化、および中国における需要減少によるものです。この減収は、円安による増収影響により一部相殺されました。 – 血漿分画製剤血漿分画製剤の売上収益は、1兆327億円(+1,290億円および+14.3% AER、+8.6% CER)となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,578億円(+1,132億円および+17.6% AER、+11.5% CER)となりました。3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、および円安による増収影響により、2桁台の売上増加率となりました。これら3製品には、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGのほか、静注製剤に比べ投薬の利便性が高く、速いペースで成長している皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアが含まれます。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、1,414億円(+74億円および+5.5% AER、+1.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響によるものです。 – オンコロジーオンコロジーの売上収益は、5,604億円(+981億円および+21.2% AER、+17.2% CER)となりました。大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、480億円(+379億円および+375.7% AER、+351.3% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、2023年11月に米国で最初に上市して以降、その他の国々でも上市されたことによるものです。悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,290億円(+196億円および+17.9% AER、+14.8% CER)となりました。この増収は、成長新興国および欧州において、主にホジキンリンパ腫の一次治療の使用が増加し堅調な需要となったこと、および円安による増収影響によるものです。白血病治療剤アイクルシグの売上は、707億円(+160億円および+29.3% AER、+23.0% CER)となりました。この増収は、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)と新たに診断された患者さんの化学療法併用下での治療剤としての追加効能が2024年3月に米国において承認されたこと、および円安による増収影響によるものです。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,193億円(+119億円および+11.1% AER、+8.2% CER)となりました。この増収は、主に米国および成長新興国における売上が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。 – ワクチンワクチンの売上収益は、554億円(+51億円および+10.0% AER、+7.5% CER)となりました。デング熱ワクチンQDENGAの売上は、356億円(+260億円および+272.3% AER、+259.0% CER)となりました。この増収は、デング熱流行国においてQDENGAのアクセスが拡大したことによるものであり、非流行国も含め、約30ヶ国で利用可能となっています。その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンであるスパイクバックスの日本における流通契約が2024年3月に終了したことによるものです。 – ニューロサイエンスニューロサイエンスの売上収益は、5,658億円(△612億円および△9.8% AER、△14.1% CER)となりました。ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、3,506億円(△726億円および△17.2% AER、△21.6% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。この減収影響は、円安による増収影響により一部相殺されました。ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、284億円(△133億円および△31.9% AER、△35.3% CER)となりました。この減収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤が増加したことによるものであり、本剤に対してはマイナスの影響となりました。大うつ病(MDD)治療剤トリンテリックスの売上は、1,257億円(+209億円および+20.0% AER、+14.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における価格に関する取引条件の改善、および円安による増収影響によるものです。 〔売上原価〕売上原価は、1兆5,802億円(+1,535億円および+10.8% AER、+6.5% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。 〔販売費及び一般管理費〕販売費及び一般管理費は、1兆1,048億円(+509億円および+4.8% AER、+0.6% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。 〔研究開発費〕研究開発費は、7,302億円(+3億円および+0.0% AER、△4.5% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,432億円(△89億円および△1.4% AER、△6.0% CER)となりました。この減少は、円安による為替影響により無形資産償却費は増加(+267億円)したものの、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失が減少(△355億円)したことによるものです。減損損失の減少は、前年度の計上額が当年度よりも大きかったことによるものです。前年度の減損損失には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルに係る減損損失740億円、非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの減損損失285億円、およびオンコロジーの仕掛研究開発品の開発中止の決定に伴い計上した減損損失が含まれておりますが、好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの減損損失の戻し入れ357億円を計上したことにより一部相殺されております。当年度の計上額には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。 〔その他の営業収益〕その他の営業収益は、262億円(+68億円および+35.3% AER、+30.8% CER)となりました。この増加は主に、TACHOSIL(フィブリノゲン配合組織接着・閉鎖パッチ剤)の製造施設を含む事業売却が完了したことにより当年度に計上した売却益61億円によるものです。 〔その他の営業費用〕その他の営業費用は、2,067億円(+2億円および+0.1% AER、△3.6% CER)となりました。当年度において、主に全社的な効率化プログラムにより事業構造再編費用が増加(+468億円)したものの、前年度にAbbVie, Inc.(「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟引当金繰入額およびXIIDRA、EOHILIAに係る条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価損を計上したこと、および当年度に承認前在庫に係る評価損の戻し入れを計上したことにより相殺され、前年度と比べ微増となりました。 〔営業利益〕営業利益は、上記の要因を反映し、3,426億円(+1,285億円および+60.0% AER、+51.2% CER)となりました。 〔金融損益〕金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,635億円の損失(△42億円および△2.5% AER、△5.7% CER)となりました。この減少は主に、為替差損益および為替取引に係るデリバティブ評価損益をあわせた損失が減少したことによるものですが、武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を当年度に計上したことにより大部分が相殺されております。 〔持分法による投資損益〕当年度の持分法による投資損益は、40億円の損失(△105億円)となりました。前年度の持分法による投資損益は、65億円の利益でした。 〔法人所得税費用〕法人所得税費用は、669億円(+1,583億円、前年度は914億円の便益)となりました。この増加は主に、前年度において、2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円を認識したこと、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによる税金費用の増加、および税引前当期利益の増加によるものです。 〔当期利益〕当期利益は、上記の要因を反映し、1,081億円(△361億円および△25.0% AER、△33.1% CER)、当期利益(親会社の所有者帰属分)は、1,079億円(△361億円および△25.1% AER、△33.2% CER)となりました。 (ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要  補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、 Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 Core業績 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core売上収益42,63845,7983,1617.4%2.8%Core営業利益10,54911,6261,07810.2%4.9%Core当期利益7,5697,7581892.5%△3.4%Core当期利益(親会社の所有者帰属分)7,5687,7561882.5%△3.4%Core EPS(円)48449171.5%△4.3% 〔Core売上収益〕Core売上収益は、4兆5,798億円(+3,161億円および+7.4% AER、+2.8% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および売上収益の合計が2兆2,019億円(+3,759億円および+20.6% AER、+14.7% CER)となったタケダの成長製品・新製品(注)が当社の事業を好調に牽引したことによるものです。これらの増加は、米国におけるVYVANSEおよび日本におけるアジルバの独占販売期間満了後の後発品の参入による売上の減少により一部相殺されました。 (注)当年度のタケダの成長製品・新製品消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、                 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA 〔Core営業利益〕Core営業利益は、1兆1,626億円(+1,078億円および+10.2% AER、+4.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core売上収益42,63845,7983,1617.4%2.8%Core売上原価△14,263△15,818△1,55510.9%6.6%Core販売費及び一般管理費△10,530△11,050△5214.9%0.7%Core研究開発費△7,296△7,304△70.1%△4.4%Core営業利益10,54911,6261,07810.2%4.9% 報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。 〔Core売上原価〕Core売上原価は、1兆5,818億円(+1,555億円および+10.9% AER、+6.6% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を伴う主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。 〔Core販売費及び一般管理費〕Core販売費及び一般管理費は、1兆1,050億円(+521億円および+4.9% AER、+0.7% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。 〔Core研究開発費〕Core研究開発費は、7,304億円(+7億円および+0.1% AER、△4.4% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。 〔Core当期利益〕Core当期利益は、7,758億円(+189億円および+2.5% AER、△3.4% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、7,756億円(+188億円および+2.5% AER、△3.4% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core営業利益10,54911,6261,07810.2%4.9%Core金融収益及び費用(純額)△1,420△1,40713△0.9%△4.5%Core持分法による投資損益5911△48△81.2%△82.2%Core税引前当期利益9,18810,2311,04311.3%5.8%Core法人所得税費用△1,619△2,473△85452.7%48.7%Core当期利益7,5697,7581892.5%△3.4%Core当期利益(親会社の所有者帰属分)7,5687,7561882.5%△3.4% 報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。 〔Core金融損益〕Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,407億円の損失(△13億円および△0.9% AER、△4.5% CER)となりました。 〔Core持分法による投資損益〕Core持分法による投資損益は、11億円の利益(△48億円および△81.2% AER、△82.2% CER)となりました。 〔Core税引前当期利益〕Core税引前当期利益は、1兆231億円(+1,043億円および+11.3% AER、+5.8% CER)となりました。 〔Core法人所得税費用〕Core法人所得税費用は、2,473億円(+854億円および+52.7% AER、+48.7% CER)となりました。この増加は主に、Core税引前当期利益の増加、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによるCore税金費用の増加、および前年度において税務上の不確実事項が有利に解決されたことによる税金費用の減少があったことによるものです。 〔Core EPS〕当年度のCore EPSは、491円(+7円および+1.5% AER、△4.3% CER)となりました。 (b)当年度の財政状態の分析 (単位:億円) 前年度末当年度末増減額資産合計151,088142,483△8,604負債合計78,34873,124△5,224資本合計72,74069,360△3,380 〔資産〕当年度末における資産合計は、14兆2,483億円(△8,604億円)となりました。この減少は、特定の無形資産の取得により一部相殺されたものの、償却、減損損失および為替換算の影響により、無形資産が減少(△6,431億円)したこと、主に為替換算の影響により、のれんが減少(△856億円)したこと、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却により、持分法で会計処理されている投資が減少(△790億円)したことによるものです。 〔負債〕当年度末における負債合計は、7兆3,124億円(△5,224億円)となりました。社債及び借入金合計は、米ドル建無担保普通社債の発行により一部相殺されたものの、主にシンジケートローンの事前返済および無担保普通社債の償還により減少し、4兆5,153億円(注)(△3,285億円)となりました。また主に米国における無形資産の償却により、繰延税金負債が減少(△786億円)しております。加えて、主にProtagonist Therapeutics, Inc.への支払いを含む、契約一時金に係る前年度の債務が大きかったことにより、当年度の仕入債務及びその他の債務は減少(△720億円)しております。(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆1,906億円および3,246億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。 社債:銘柄(外貨建発行額)発行時期償還期限帳簿価額米ドル建無担保普通社債(1,301百万米ドル)2015年6月2025年6月~2045年6月1,953億円米ドル建無担保普通社債(1,500百万米ドル)2016年9月2026年9月2,190億円ユーロ建無担保普通社債(3,000百万ユーロ)2018年11月2026年11月~2030年11月4,822億円米ドル建無担保普通社債(1,750百万米ドル)2018年11月2028年11月2,597億円米ドル建無担保普通社債(7,000百万米ドル)2020年7月2030年3月~2060年7月1兆370億円ユーロ建無担保普通社債(3,600百万ユーロ)2020年7月2027年7月~2040年7月5,777億円円貨建無担保普通社債2021年10月2031年10月2,496億円ハイブリッド社債(劣後特約付社債)2024年6月2084年6月4,580億円米ドル建無担保普通社債(3,000百万米ドル)2024年7月2034年7月~2064年7月4,422億円コマーシャル・ペーパー2025年2月~2025年3月2025年4月~2025年6月2,700億円合計 4兆1,906億円 借入金:名称 (外貨建借入額)借入時期返済期限帳簿価額バイラテラルローン2016年3月~2024年4月2025年4月~2031年4月2,100億円バイラテラルローン(500百万米ドル)2025年3月2025年4月745億円シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン)2024年10月2084年10月400億円その他 1億円合計 3,246億円 当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケートハイブリッドローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケートハイブリッドローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に先立ち繰上償還しました。2025年3月31日には、シンジケートローン3,135億円および1,500百万米ドルを2026年4月27日から2030年4月26日の満期に先立ち期限前弁済しました。この期限前弁済のため、手元現金、2025年3月31日に借入れた短期ローン500百万米ドル、および短期コマーシャル・ペーパーにより調達した資金を充当しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。 〔資本〕当年度末における資本合計は、6兆9,360億円(△3,380億円)となりました。利益剰余金の減少(△2,036億円)は、当期利益1,081億円の計上により一部相殺されたものの、主に配当金の支払いに伴う3,032億円の減少によるものです。その他の資本の構成要素の減少(△1,574億円)は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によるものです。 (c)流動性および資金調達源資金の調達および使途当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ4,967億円および3,194億円であります。また、2025年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは201億円であります。加えて、2025年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。当社の配当金の支払額は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ2,885億円および3,039億円であります。2025年3月期については、1株当たり年間配当金額を196円(中間配当金および期末配当金それぞれ98円)としましたが、2026年3月期については、1株当たり、中間配当金および期末配当金をそれぞれ100円ずつとし、年間200円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2025年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,128億円、5,489億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、金融機関からのコミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2024年3月31日および2025年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。2025年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた預り金1,058億円を含む、3,851億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しております。加えて、公正価値ヒエラルキーにてレベル1に分類される米国債793億円を保持しております。したがって、利用可能な流動性の合計は1兆587億円となり、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。 連結キャッシュ・フロー連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(単位:億円) 前年度当年度増減額営業活動によるキャッシュ・フロー7,16310,5723,408投資活動によるキャッシュ・フロー△4,639△3,671968財務活動によるキャッシュ・フロー△3,544△7,514△3,970現金及び現金同等物の増減額△1,019△613406現金及び現金同等物の期首残高5,3354,578△757現金及び現金同等物に係る換算差額262△114△376現金及び現金同等物の期末残高4,5783,851△727 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆572億円(+3,408億円)となりました。この増加は主に、引当金および棚卸資産の変動により資産及び負債の増減額が増加したことによるものです。この増加は、非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益の減少により一部相殺されております。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,671億円(+968億円)となりました。この増加は主に、無形資産の取得による支出の減少、および武田テバファーマ株式会社の株式の売却を含む関連会社株式の売却による収入によるものです。この増加は、米国債の取得による支出、AC Immune SAへの契約一時金の支払いおよびAscentage Pharma Group Internationalへのマイノリティ出資およびライセンスオプションの取得による支出を含む、他の投資活動により一部相殺されております。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動によるキャッシュ・フローは、△7,514億円(△3,970億円)となりました。この減少は主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増加額の減少、シンジケートローンおよびハイブリッド社債の返済・償還、ならびに自己株式の取得によるものです。この減少は、ハイブリッド社債および米ドル建無担保普通社債等の社債の発行による収入により一部相殺されております。 補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。(単位:億円) 前年度当年度営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS)7,16310,572フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)5,4098,564調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)2,8347,690 フリー・キャッシュ・フローは、8,564億円(+3,155億円)となりました。この増加は主に、営業活動によるキャッシュ・フローが増加したことによるものです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、7,690億円(+4,855億円)となりました。この増加は主に、フリー・キャッシュ・フローの増加に加え、無形資産の取得による支出が減少したことによるものです。 有利子負債および金融債務2024年3月31日および2025年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆8,438億円、4兆5,153億円であります。これらの有利子負債は、当社グループが発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社グループの借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケート ハイブリッド ローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケート ハイブリッド ローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に

※本記事は「武田薬品工業株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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