住友ファーマ株式会社の基本情報

会社名住友ファーマ株式会社
業種医薬品
従業員数連4980名 単2908名
従業員平均年齢44.3歳
従業員平均勤続年数18.7年
平均年収8678310円
1株当たりの純資産272.79円
1株当たりの純利益-1480.32円
決算時期3月
配当金0円
配当性向0%
株価収益率(PER)8.2倍
自己資本利益率(ROE)0%
営業活動によるCF▲2418億円
投資活動によるCF330億円
財務活動によるCF778億円
研究開発費※11126億円
設備投資額※1141億円
販売費および一般管理費※1869.77億円
株主資本比率※27.7%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を企業理念として掲げ、事業活動を進めています。少子高齢化社会の進展、パンデミックなどの社会課題を背景に、精神神経領域およびがん領域の医療ニーズは拡大していくことが予想されます。また、医療ニーズはますます高度化しており、多様なモダリティを駆使し、デジタルとリアルが融合した生活と人々の価値観に寄り添うヘルスケア課題の解決が社会から期待されています。かかる環境において、当社グループは、変わりゆくヘルスケア課題の解決に貢献するため、2019年4月に策定したビジョン「もっと、ずっと、健やかに。最先端の技術と英知で、未来を切り拓く企業」に基づき、精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。また、その他領域においても、保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けてまいります。これにより、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位を確立することを目指します。当社は、このビジョンのもと、2023年度を起点とする5か年の「中期経営計画2027」を2023年4月に策定しましたが、当社グループが目標として掲げる、2033年における「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位確立の方針に変更はないものの、当社グループが直面する経営環境を受け、「中期経営計画2027」については、見直しの必要があると考えています。新たな中期経営計画については、可能な限り早期に公表できるよう取り組んでまいります。 なお、当社は、グループ一体経営を推進するため、米国グループ会社の再編を契機に、2023年7月1日付けで理念体系を再構成し、理念、バリューおよび行動宣言をグループ全体で共有するフィロソフィとして、グループ内への浸透を進めています。併せて、当社の理念の実践により、持続可能な社会実現に貢献し持続的な企業価値向上につなげることを「サステナビリティ経営」と定義しています。 理念(当社の存在意義、社会に対する約束・使命)人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する バリュー(全役員・従業員が共有すべき価値観)Patient FirstAlways with IntegrityOne Diverse Team 行動宣言(日々の業務において守るべき行動規範)1.”Innovation today, healthier tomorrows” の実現に取り組みます2.誠実な企業活動を行います3.積極的な情報開示と適正な情報管理を行います4.自らの能力を高め、協働します5.人権を尊重します6.地球環境問題に積極的に取り組みます7.社会との調和を図ります 活動方針2023年4月における「中期経営計画2027」の発表以降、重要マイルストンの未達により厳しい事業環境が続いています。2023年7月には、「中期経営計画2027」に基づいて米国グループ会社の再編を行い、大幅な人員削減を実施しました。しかしながら、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)の2023年度の売上収益は、前期比で大きく伸長したものの、「中期経営計画2027」の目標を大幅に下回る結果となり、2024年度以降の売上収益の計画達成も遅れる見込みです。そのため、今後予想される収益規模に即した事業運営を行うべく、2024年3月に米国グループ会社において、再度人員削減を行いました。研究開発活動においては、現在の財務状況を踏まえ、「中期経営計画2027」の期間での上市が期待できるがん領域の2つの開発プログラムおよび中長期の成長ドライバーとなることが期待できる精神神経領域の再生・細胞医薬開発プログラムに注力することとしました。また、フロンティア事業については、新設子会社であるFrontAct株式会社が承継し、新たな体制の下で、自己資本だけではなく、他社資本も取り込む可能性も追求し、当該事業分野における確固たる地位を築くことを目指してまいります。 2024年度を当社グループの再成長への転換点とすべく、コア営業利益の黒字化を必達目標とし、以下の方針に従い、事業を運営してまいります。 ① 売上収益の拡大北米において基幹3製品の早期価値最大化に最注力してまいります。「オルゴビクス」については、がん標準治療ガイドラインの改訂やインフレ抑制法による患者負担軽減策等が事業の追い風となることを期待しており、本剤の前立腺がん治療におけるアンドロゲン除去療法の標準治療薬としての位置付け獲得を目指し、さらなるシェアの拡大に努めてまいります。「マイフェンブリー」については、患者さんおよび医療関係者への認知浸透を通じて、経口GnRH市場の拡大および市場内での製品シェア拡大に注力してまいります。Pfizer Inc.との共同販促活動により、引き続き両剤の市場浸透および販売拡大を図ってまいります。「ジェムテサ」については、2024年度中に前立腺肥大症を伴う過活動膀胱に対する適応追加承認を見込むほか、営業体制の刷新等の施策を通して、さらなる販売拡大に取り組んでまいります。 ② コスト削減2023年度に実施した米国グループ会社の構造改革に加え、グループをあげて、効率的な組織運営および徹底的なコスト削減による合理化を加速してまいります。研究開発活動においても、北米での人員削減とともに、徹底したコスト管理のもと、各領域におけるパイプラインの選択と集中に取り組み、当社グループの将来を担うパイプラインに経営資源を投下してまいります。 ③ 将来の成長シーズの確保がん領域のDSP-5336およびTP-3654に資源を集中させ、承認の早期取得と価値最大化を目指し、引き続き開発を推進してまいります。DSP-5336については、急性白血病を対象としたフェーズ1/2試験において単剤療法の承認申請に向けたデータ収集を開始し、併用療法に関する試験についても実施を検討してまいります。TP-3654については、骨髄線維症を対象としたフェーズ1/2試験においてJAK阻害剤との併用療法に関するデータ収集を開始します。両剤のうち少なくとも1剤は「中期経営計画2027」の期間での承認取得・上市を目指します。精神神経領域では、世界初のiPS細胞の実用化とゲームチェンジャーとなる治療の実現に向け、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞のパーキンソン病を適応症とした日本での承認申請対応および米国でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞について、網膜色素上皮裂孔を対象とした日本でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。特長ある低分子の初期臨床開発品目群については、2030年代のグループ収益を支える優先品目を選抜し、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。その他領域では、「ジェムテサ」について、中国での過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験の推進および承認申請に向けた対応を着実に推進してまいります。また、ユニバーサルインフルエンザワクチンのベルギーでのフェーズ1試験およびKSP-1007のアジア地域への展開を見据えた日本でのフェーズ1試験を着実に推進してまいります。なお、ユニバーサルインフルエンザワクチンおよびKSP-1007の研究開発は、日本医療研究開発機構(AMED)からの委託研究開発費を活用しています。今後とも患者さん、ご家族および介護者の皆さんへ貢献できる新しい価値を一日も早く提供するために、私たちはスピード感をもって全力を尽くします。 株主還元当社は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うことを配当の基本方針としています。「中期経営計画2027」において、「コア営業損失を見込む2024年3月期は無配の方針、コア営業利益を見込む2025年3月期は復配の方針とし、その後は安定配当を目指す」としています。こうした中、2025年3月期の連結業績見通しでは、コア営業利益10億円を見込んでいますが、「中期経営計画2027」で想定したコア営業利益を大きく下回っていることから、2025年3月期の配当については、誠に遺憾ながら無配を予定しています。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 (1) 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(以下「IFRS」)に準拠して作成しています。連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」に記載しています。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの財政状態又は経営成績等に重要な影響を及ぼす会計上の見積りおよび判断は、以下のとおりです。 ・のれん及び無形資産のれん及び無形資産の減損テストにおける処分コスト控除後の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積額を資金生成単位ごとに設定した加重平均資本コスト等を割引率として用いて現在価値に割り引いて算定しています。上市後の無形資産の将来キャッシュ・フローの見積りには、対象となる製品の販売価格、関連する疾患領域における患者数及び当該製品のシェア等に基づく製品の収益予測及び固定費の予測等の多くの前提条件が含まれています。また、のれんを含む資金生成単位の将来キャッシュ・フローの見積りは、上述の前提条件に加え、開発品に係る研究開発活動の成功確率等を勘案した開発品の収益予測等の前提条件が含まれています。これらの前提条件や割引率は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、のれん及び無形資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。 ・引当金引当金は、期末日における将来の債務の決済時期及び決済に必要と予想されるキャッシュ・フロー等に関する最善の見積りに基づいて算定しています。特に、米国で販売している製品に適用される売上割戻引当金の見積りに用いられる将来の販売数量や割戻率等は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。 ・繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しています。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて見積もった将来の各事業年度の課税所得を前提としています。当該将来の課税所得の見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を生じさせる可能性があります。 (2) 経営成績当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症が収束し、経済活動の正常化が進むなか、米国では堅調な個人消費を背景に景気の回復が継続するなど、総じて持ち直しの動きが見られました。一方、地政学的リスクの高まりや、世界的な物価上昇、不安定な為替変動など、先行きが不透明な状況が続きました。わが国経済についても、景気は緩やかな回復基調を取り戻しましたが、物価上昇の影響により内需は力強さを欠く状況が続きました。医薬品業界では、各国において薬剤費抑制策が一段と進むなか、新薬開発の難度の高まり、研究開発費の高騰、競争の激化などにより、事業の予見性が低下しています。このような状況のもと、当社グループは、2023年度を起点とした2027年度までの5か年の「中期経営計画2027」を2023年4月に発表し、これに基づき事業活動を進めてまいりました。しかしながら、北米事業における基幹3製品の売上収益の伸びが想定を下回ったことにより、事業予想を見直した結果、特許権などの無形資産やのれんにおいて多額の減損損失を計上することとなりました。日本においては、精神神経領域では、パーキンソン病治療剤「トレリーフ」ならびに非定型抗精神病薬「ラツーダ」および「ロナセンテープ」を中心に情報提供活動に注力しました。糖尿病領域では、2型糖尿病治療剤「エクア」および「エクメット」の販売拡大に努めました。2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」については、想定以上の需要の増加に伴い在庫が逼迫したため、2023年4月から限定出荷としましたが、生産体制の強化等の対応を行ったことにより、2023年12月に通常出荷を再開しました。また、住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を三井物産株式会社に譲渡する手続が2023年5月に完了しました。北米においては、基幹3製品および他家培養胸腺組織「リサイミック」の販売に注力しました。また、分散していた機能と人材を集約し、より強固な事業基盤を構築する目的で2023年7月に米国グループ会社を再編し、人員削減を行いました。しかしながら、基幹3製品の売上収益の伸びが想定を下回る見込みとなったことから、組織運営の更なる効率化を図るため、2024年3月にSumitomo Pharma America, Inc.において追加の人員削減等の合理化を行いました。アジアにおいては、主力製品であるカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」の販売に引き続き注力しました。また、中国では2023年11月に市中肺炎治療剤「ゼンレタ」の承認を取得しました。  (業績管理指標として「コア営業利益」を採用)当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。 当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。(単位:億円) 前連結会計年度(2023年3月期)当連結会計年度(2024年3月期)増減増減率(%)売上収益5,5553,146△2,410△43.4コア営業利益164△1,330△1,493-営業利益△770△3,549△2,779-税引前当期利益△479△3,231△2,752-当期利益△967△3,149△2,182-親会社の所有者に帰属する当期利益△745△3,150△2,405- ■ 売上収益は、3,146億円(前連結会計年度比43.4%減)となりました。基幹3製品の売上は増加しましたが、主力製品であった「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了による売上減少の影響が大きく、また、連結子会社であった住友ファーマフード&ケミカル株式会社および住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、当該2社が当社グループ傘下でなくなったことなどから、大幅な減収となりました。 ■ コア営業損益は、1,330億円の損失(前連結会計年度は164億円の利益)となりました。北米グループ会社の再編等により販売費及び一般管理費および研究開発費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、コア営業損失となりました。 ■ 営業損益は、3,549億円の損失(前連結会計年度は770億円の損失)となりました。北米事業の事業予想を見直したことにより、「マイフェンブリー」に係る特許権(無形資産)の一部およびのれんの一部について、それぞれ1,335億円および359億円を減損したことに加え、一部の開発品目の開発を中止したことにより、当該開発品に係る仕掛研究開発(無形資産)について106億円を減損するなど、総額1,809億円の減損損失を計上しました。また、北米グループ会社の再編および追加の合理化に伴う事業構造改善費用を計上しました。これらの非経常項目に加え、コア営業損失となったことにより、営業損失が大幅に増加しました。 ■ 税引前当期損益は、3,231億円の損失(前連結会計年度は479億円の損失)となりました。円安の進行による為替差益の計上等により、金融収益は増加しましたが、営業損失の増加の影響が大きく、税引前当期損失が増加しました。 ■ 当期損益は、3,149億円の損失(前連結会計年度は967億円の損失)となりました。税引前当期損失が増加したことにより、当期損失が増加しました。 ■ 親会社の所有者に帰属する当期損益は、3,150億円の損失(前連結会計年度は745億円の損失)となりました。当期損失の増加の影響が大きく、非支配持分に帰属する利益を控除した親会社の所有者に帰属する当期損失が増加しました。  (セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。 セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更したことに伴い、前連結会計年度についても変更後の報告セグメント区分に組み替えて比較を行っています。当該報告セグメントの変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記4.事業セグメント (2) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。<日本>■ 売上収益は、1,147億円(前連結会計年度比37.6%減)となりました。「ラツーダ」や「ツイミーグ」などの売上が伸長しましたが、2022年12月に2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の販売提携が終了したことや、前期にはライセンス契約の契約一時金の売上収益計上があったことに加え、国内連結子会社2社について、それぞれの全株式を譲渡したことに伴い、当該2社が当社グループ傘下でなくなったことなどから、減収となりました。■ コアセグメント利益は、134億円(前連結会計年度比31.6%減)となりました。販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、減益となりました。 <北米>■ 売上収益は、1,590億円(前連結会計年度比51.6%減)となりました。基幹3製品や「リサイミック」の売上は増加しましたが、主力製品であった「ラツーダ」の米国での独占販売期間が2023年2月に終了したことによる売上減少の影響が大きく、減収となりました。■ コアセグメント損益は、802億円の損失(前連結会計年度は322億円の利益)となりました。「ラツーダ」の独占販売期間終了および北米グループ会社の再編等に伴い販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、コアセグメント損失となりました。 <アジア>■ 売上収益は、409億円(前連結会計年度比6.0%減)となりました。東南アジアにおいて売上収益が増加しましたが、中国において薬剤費抑制策の対象となった「メロペン」の売上減少の影響が大きく、減収となりました。■ コアセグメント利益は、184億円(前連結会計年度比14.2%減)となりました。減収による売上総利益の減少により、減益となりました。 (3) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額 (百万円)前期比 (%)日本83,0217.5北米159,637△36.1アジア40,5956.3合計283,253△22.4 (注) 1 金額は販売価格により換算したものです。2 セグメント間取引については相殺消去しています。3 当連結会計年度において、北米セグメントにおける生産実績が著しく減少しました。これは、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了によるものです。 ② 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額 (百万円)前期比 (%)日本30,285△64.8北米13,15955.9アジア--合計43,444△54.0 (注) 1 金額は仕入価格によっています。2 当連結会計年度において、日本セグメントにおける仕入実績が著しく減少しました。これは、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、同社が当社グループ傘下でなくなったことに加え、当社において「トルリシティ」の販売提携が終了したことによるものです。 ③ 受注状況当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っていません。 ④ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額 (百万円)前期比 (%)日本114,657△37.6北米159,037△51.6アジア40,864△6.0合計314,558△43.4 (注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。2 当連結会計年度において、日本セグメントにおける販売実績が著しく減少しました。これは、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、同社が当社グループ傘下でなくなったことに加え、当社において「トルリシティ」の販売提携が終了したことによるものです。また、北米セグメントにおいても販売実績が著しく減少しました。これは、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了によるものです。3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)Mckesson Corporation(米国)101,89118.344,79314.2Cencora, Inc.(米国) (注)86,37515.538,63712.3Cardinal Health, Inc.(米国)97,08517.533,87410.8 (注) 当連結会計年度においてAmerisourceBergen Corporationから社名変更しています。 (4) 財政状態資産については、前連結会計年度末に比べ2,272億円減少し、9,075億円となりました。非流動資産では、当社が保有する投資有価証券の公正価値評価の変動等により、その他の金融資産が増加しましたが、減損損失の計上により無形資産やのれんが減少した結果、前連結会計年度末に比べ1,149億円減少しました。流動資産では、現金及び現金同等物が減少したことに加え、営業債権及びその他の債権やその他の金融資産が減少した結果、前連結会計年度末に比べ1,123億円減少しました。負債については、北米での売上割戻金にかかる引当金や未払法人所得税に加えて、その他の非流動負債やその他の流動負債等が減少しましたが、金融機関からの借入金等が増加した結果、前連結会計年度末に比べ234億円増加し、7,514億円となりました。なお、社債及び借入金は合計で4,189億円となり、前連結会計年度末に比べ842億円増加しました。親会社の所有者に帰属する持分は、保有投資有価証券の公正価値変動および円安の影響によりその他の資本の構成要素が増加しましたが、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期損失の計上により大きく減少した結果、前連結会計年度末に比べ2,507億円減少し、1,561億円となりました。この結果、資本合計は前連結会計年度末に比べ2,506億円減少し、1,561億円となり、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は17.2%となりました。また、当社大分工場の一部を親会社である住友化学株式会社に2024年4月に譲渡することに伴い、関連する資産については売却目的で保有する資産に分類しています。 なお、前連結会計年度に株式譲渡契約が締結されていた連結子会社住友ファーマアニマルヘルスの株式譲渡については、2023年5月31日付けで手続きが完了しました。 (5) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失などの非資金損益項目を除いた当期損失の増加に加え、引当金の減少や法人所得税の支払額の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,538億円収入が減少し、2,419億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却や住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡に伴う子会社の支配喪失による増加、短期貸付金の減少等により、330億円の収入となりました。なお、前連結会計年度は当連結会計年度を上回る子会社の支配喪失による収入や無形資産の売却による収入などがあったため、前連結会計年度に比べ194億円収入が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、金融機関からの短期借入等により、779億円の収入となりました。なお、前連結会計年度はMyovant Sciences Ltd.の完全子会社化による非支配持分からの子会社持分取得による支出などがあったため、前連結会計年度に比べ2,247億円収入が増加しました。上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物に係る換算差額および売却目的で保有する資産への振替額を加えた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は290億円となり、前連結会計年度末に比べ1,144億円減少しました。

※本記事は「住友ファーマ株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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