住友金属鉱山株式会社の基本情報

会社名住友金属鉱山株式会社
業種非鉄金属
従業員数連7402名 単3067名
従業員平均年齢40.5歳
従業員平均勤続年数16.7年
平均年収7901000円
1株当たりの純資産3939.06円
1株当たりの純利益(連結)59.99円
決算時期3月
配当金104円
配当性向78%
株価収益率(PER)24.35倍
自己資本利益率(ROE)(連結)6.18%
営業活動によるCF1496億円
投資活動によるCF▲1388億円
財務活動によるCF▲61億円
研究開発費※153.79億円
設備投資額※113.56億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※251.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)住友の事業精神 当社グループは430余年にわたり「ものづくり」の会社として必要とされる製品を安定的にお客様に供給することを社会的責務とし、時代の変化に臨機応変に対応しながら事業を継続してきました。こうした思想、理念は「住友の事業精神」として創業から長きにわたり受け継いできました。当社グループは、この先人達が築き上げてきた「住友の事業精神」の持つ価値観、倫理観の重要性を今一度十分に認識し、当社グループの事業と事業に対する社会からの信頼を確固たるものにするべく、これからも努力を重ねてまいります。 第1条わが住友の営業は信用を重んじ、確実を旨とし、もってその鞏固(きょうこ)隆盛を期すべし第2条わが住友の営業は時勢の変遷理財の得失を計り、弛張(しちょう)興廃することあるべしといえども、いやしくも浮利に趨(はし)り軽進すべからず(1928年 住友合資会社社則「営業の要旨」より抜粋) (2)経営理念と経営ビジョン 当社グループは、住友の事業精神に基づき、当社が社会的な使命と責任を果たしていく指針として、次のとおりグループ経営理念とグループ経営ビジョンを定め、事業を進めています。 「SMMグループ経営理念」・住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステーク ホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします・人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします 「SMMグループ経営ビジョン」・技術力を高め、ものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします・コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルでの企業活動により、資源を確保し、 非鉄金属、機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします (3)長期ビジョン 当社グループは、上記の経営理念や経営ビジョンを受け、その到達すべき目標として長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」とそのターゲットを定めています。当社グループは、経営理念や経営ビジョンを基盤とし、資源を確保し、非鉄金属や電池・機能性材料など高品質な商品の提供を通じて、成長性と持続性を拡大させ、当社の企業価値を高めていきます。 「世界の非鉄リーダー」とは・資源権益やメタル生産量において、グローバルでの存在感(=世界Top5に入るメタル)がある・資源メジャーでも容易に模倣できない、卓越した技術や独自のビジネスモデルを有している・持続的成長を実現し、安定して一定規模の利益をあげている・SDGs等の社会課題に積極的に取り組んでいる・従業員がいきいきと働いている 長期ビジョンのターゲット・ニッケル:生産量15万トン/年・   銅:権益分生産量30万トン/年・   金:優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画・材料事業:ポートフォリオ経営による税引前当期利益250億円/年の実現・  利益:親会社の所有者に帰属する当期利益 1,500億円/年 (4)重要課題と2030年のありたい姿 「住友金属鉱山グループサステナビリティ方針」では、社会の持続的発展に貢献する経営課題に取り組み、事業の持続的な成長と企業価値の向上を図るとしています。当社グループは、このサステナビリティ方針に従い2020年3月に重要課題を定め、その重要課題に対応する「2030年のありたい姿」を実現するためにサステナビリティ活動に取り組んでまいりました。その後、気候変動の状況やDXをはじめとする技術革新などの変化を受け、持続可能な社会実現への貢献と企業価値の向上に対する社会的要請の高まりを踏まえ、11の重要課題を6つに集約しました。 また各重要課題における「2030年のありたい姿」を整理し、それぞれのありたい姿の実現度合いを測定するKPIおよび目標を設定しました。なお、6つの「重要課題」の詳細については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」の(2) 戦略をご参照ください。 (5)中期経営計画 当社グループは、2022年2月に公表した、2022年度から2024年度を対象とする「2021年中期経営計画」(以下、「21中計」という)を実行してまいりましたが、引き続き2025年度から2027年度を対象とする「中期経営計画2027」(以下、「中計27」という)を2025年5月に公表し、ものづくり力を高めて足元の課題を克服していくとともに、長期的な目線で企業価値の向上に取り組んでまいります。なお、これまで当社の中期経営計画の名称には当該計画の「編成年度」を付してきましたが、計画の対象期間をより意識するために、本中期経営計画より当該計画の「最終年度」を付すことと致しました。 なお、文中における将来に関する事項は、中計27を公表した時点において当社グループが判断したものであります。 ① 21中計の総括 21中計では、「変革への新たな挑戦」をテーマに、長期ビジョン・ターゲットの実現にむけた戦略施策や、カーボンニュートラルやDX化などの社会課題にチャレンジしていく当社の姿勢を「4つの挑戦」としてまとめ、取り組んできました。 「挑戦1:企業価値拡大-大型プロジェクトの推進」では、ケブラダ・ブランカ2(QB2)プロジェクト及びコテ金開発プロジェクトに取り組み、コロナ禍による立ち上げ時期の遅れや世界的なインフレーションの影響によるコストの計画超過などが発生したものの、いずれのプロジェクトにおいても商業生産を実現させました。また、電池材料の新工場については予定どおり建設を進め、一部前倒しで量産ラインの立ち上げを行いました。ポマラプロジェクトについては許認可の取得に時間を要し、その結果、プロジェクト推進に関する時間軸についてビジネスパートナーと相違が生じたため、2022年4月に事業化検討を中止しました。 「挑戦2:コアビジネスの持続可能性向上」においては、リチウムイオン二次電池リサイクルプラントの建設に着手するなど、ニッケル・コバルト・リチウムのBattery to Batteryの再資源化に向けた取り組みを推進しました。また、パワー半導体材料向けのSiC(シリコンカーバイド)貼り合わせ基板8インチの量産ライン構築を決定しました。さらには新規事業創出の取り組みの一環として、近赤外線吸収材料の技術を活用した「SOLAMENTR」ブランドを立ち上げ、衣類向けなどに拡販を進めました。 「挑戦3:社会環境への適応」については、2050年カーボンニュートラルに向けた「ロードマップ」を策定し、省エネ活動、LNG転換、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えなどを推進しました。また、「デジタル基盤グランドデザイン」を策定し、DX基盤の整備を進めるとともに、デジタルツールやデータを活用した全社的な業務改善を展開しました。総合職人事制度の改正、人材育成体系のブラッシュアップなど、人的資本経営の強化にも取り組みました。 「挑戦4:経営基盤強化」では、重機、自動運転設備との接触防止など安全への取り組み強化に努め、重篤災害件数を減少させました。また、サステナビリティ課題解決に向けて「2030年のありたい姿」を改正し、重要課題のKPIと目標設定および推進体制の整備を進めました。 ② 当社を取り巻く経営環境 「中計27」の策定に際して考慮すべき中期的な経営環境として以下を挙げております。 a.資源開発の難易度は今後も上昇・資源ナショナリズムの高揚・鉱山の高地・奥地・深部・低品位化・地域社会との良好な関係性構築の難度上昇・環境規制強化・投資及び電力・資材代などのランニングコスト上昇  b.非鉄金属の需給バランスは当面供給過多で推移・ニッケルは中国、インドネシアでの生産増、電気自動車(EV)普及速度の低下により供給過多の状況が継続・世界の銅地金の生産能力は増加が見込まれる反面、銅精鉱の供給増は限定的で、製錬マージン(TC/RC)の回復は2030年以降の想定 c.材料事業はまだら模様で回復には力強さを欠く・電池材料はEV需要の鈍化と海外電池メーカーの台頭により事業環境が急速に変化し、価格・技術競争が激化・機能性材料については、EV需要の鈍化と生成AI以外の牽引役不在のなか、ブロック経済の進行などにより先行きは不透明 ③ 中計27の基本戦略 a.事業環境変化への対処・ケブラダ・ブランカ銅鉱山とコテ金鉱山の戦力化 JVパートナーとの協働による操業の安定化、さらなる生産性向上追求・電池材料事業の立て直し 事業規模に見合った体制への再構築、徹底した生産性改善、コスト削減の実施 全固体電池用/Ni系次世代電池材料、LFP電池材料等の開発継続・製錬事業の競争力強化 高効率、低コスト操業の追求、原料対応力強化・事業ポートフォリオ管理(ROCE経営の推進) フェロニッケル事業:ニッケルマット製造炉新設による当社ニッケル事業全体のサプライチェーン強化 LT/LN事業(結晶):製造拠点集約、用途拡大追求 b.次の成長への準備・ニッケル・銅・金開発プロジェクト 豪州カルグーリーニッケルプロジェクト グーンガリーハブの推進 豪州ウィヌ銅・金プロジェクトの推進・リチウムイオン二次電池リサイクル事業 計画どおりのリサイクルプラント建設推進と稼働開始・SiC(シリコンカーバイド)貼り合わせ基板 SiC貼り合わせ基板 SiCkrestR(8インチ)の拡販 貼り合わせ支持基板となるSiC多結晶の拡販・近赤外線吸収材料の推進・拡大 SOLAMENTR農業領域への参入、新規用途開拓 c.持続的成長を支える資産・技術・人材の活用 優良な鉱山資産、卓越した技術、DX基盤、成長戦略を支える人材の活用による「ものづくり力(稼ぐ力)」の強化 d.経営基盤の維持・強化・サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラル社会への貢献をはじめとするサステナビリティ活動の推進 「2030年のありたい姿」に沿った重要課題への取り組みによる、社会課題への対応と事業の持続的な発展・企業価値向上の実現 2050年カーボンニュートラルに向けた「ロードマップ」に基づいた、GHG排出量の削減と低炭素貢献技術の開発推進・資本コストや株価を意識した経営の推進 これまで推進してきた成長戦略の確実な刈り取り 棚卸資産圧縮、政策保有株式縮減などを含む資本効率の追求 ROCE経営の推進 株主還元の強化(下限指標DOEの水準引き上げ、機動的な自己株式の取得)・コーポレートガバナンス体制の検討 役員株式報酬制度導入検討 取締役会をはじめとしたガバナンス体制の見直し検討 (6)その他 ㈱ジェー・シー・オーは、施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理、施設の廃止措置に向けた準備のため、施設の解体や除染等を推進するための諸施策を進めております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。(注)「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載している金額のうち、「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 ⑤ キャッシュ・フロー」は、消費税等を含んだ金額であります。 ① 経営成績(単位:百万円) 売上高税引前当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度1,593,34831,38316,487前連結会計年度1,445,38895,79558,601増減147,960△64,412△42,114増減率(%)10.2△67.2△71.9 (年間平均海外相場、年間平均為替相場) 単位前連結会計年度当連結会計年度増減(△は減少)銅$/t8,3629,3701,008ニッケル$/lb8.687.51△1.17金$/TOZ1,989.02,584.7595.7為替(TTM)円/$144.63152.587.95  当連結会計年度の世界経済は、国や地域、産業等で違いはあるものの、全体としては緩やかに回復しました。米国では底堅い雇用・所得環境を背景に個人消費が伸び、景気は堅調に拡大しました。欧州では製造業に停滞感が見られる国があるものの、全体としては物価高が沈静化し、景気は緩やかな回復基調となりました。中国では期末にかけて政府補助金による景気刺激策などにより緩やかな回復が見られたものの、不動産不況による内需低迷が依然として続き、連結会計年度を通して景気が大きく回復するまでには至りませんでした。 主要非鉄金属価格につきましては、銅価格は、需給バランスや世界経済の見通しの変動を受けて上昇・下落を繰り返したものの、生成AI関連の通信量増大やそれに伴うデータセンター建設などを背景に需要が底堅く推移したことで、平均価格は前連結会計年度を上回りました。ニッケル価格は、インドネシアにおける増産などにより供給過多の状況が続き、平均価格は前連結会計年度を下回りました。金価格は、中東などの地政学的リスクや米国の利下げなどを背景に期を通して上昇基調で推移し、平均価格は前連結会計年度を大幅に上回りました。 為替相場につきましては、日米の金利差が縮小する観測が高まり、連結会計年度半ばには円高方向に転じた局面もあったものの、インフレ再燃の懸念から年末にかけて米国の長期金利が上昇し再び円安に転じました。その後、米国新政権が掲げる保護主義的な通商政策などにより米国の景気後退懸念が高まったことで再び円高に転じましたが、平均為替レートは前連結会計年度に比べ円安となりました。 材料事業の関連業界におきましては、2050年までのカーボンニュートラルの実現を各国が目標に掲げたことを追い風に、電気自動車市場はこれまで順調に拡大してきましたが、国や地域等で濃淡があるものの、当連結会計年度は調整の色合いが強まりました。このため、当社が生産する車載用電池材料に対する需要見通しにも影響が及び、製品の品種切替えなどの動きも進むなか、競争はより激化しました。一方、電子部品向け部材につきましては、在庫調整が進んだ上、生成AI向け市場などが拡大していることもあり、需要は概ね回復基調となりました。 このような状況のなか、当連結会計年度の連結売上高は、銅及び金の平均価格が前連結会計年度を上回ったことや円安の影響などにより、前連結会計年度に比べ1,479億60百万円増加し、1兆5,933億48百万円となりました。 連結税引前当期利益は、新規開発鉱山の順調な立ち上げにより増加したものの、Coral Bay Nickel Corporation(フィリピン)及び当社電池材料事業における減損損失の計上などにより、前連結会計年度に比べ644億12百万円減少し、313億83百万円となりました。 親会社の所有者に帰属する当期利益は、連結税引前当期利益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ421億14百万円減少し、164億87百万円となりました。 セグメントの業績は、次のとおりであります。 (資源セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高166,006210,71644,71026.9セグメント利益52,845101,83648,99192.7  セグメント利益は、一部の海外鉱山において生産コストが増加傾向にあるものの、銅及び金価格の上昇や新規開発鉱山であるコテ金鉱山(カナダ)とケブラダ・ブランカ銅鉱山(チリ)の順調な立ち上げなどにより、前連結会計年度を上回りました。 主要鉱山の概況は以下のとおりであります。 菱刈鉱山は順調な操業を継続し、販売金量は計画どおりの4.0tとなりました。 モレンシー銅鉱山(米国)の生産量は、給鉱品位の低下などにより前連結会計年度を下回り、317千tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は25.0%)。 セロ・ベルデ銅鉱山(ペルー)の生産量は、給鉱品位の低下などにより前連結会計年度を下回り、431千tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は16.8%)。 ケブラダ・ブランカ銅鉱山の生産量は、200千tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は25.0%)。 コテ金鉱山の生産量は、6.2tとなりました(うち非支配持分を除く当社権益は30.0%)。なお、2024年11月30日に、連結子会社であるSMM GOLD COTE INC.(カナダ)と同鉱山を共同で運営しているIAMGOLD Corporation(同)が持分の買戻しオプションを行使したことにより、当社権益は39.7%から30.0%となっております。 (製錬セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高1,067,8631,230,694162,83115.2セグメント利益又は損失(△)62,199△7,147△69,346- (当社の主な製品別生産量)製品単位前連結会計年度当連結会計年度増減(△は減少)銅t374,504442,96068,456金kg18,02618,709683電気ニッケルt59,31360,108795フェロニッケルt4,7933,317△1,476(注)生産量には、受委託分を含めて表示しております。  セグメント損益は、銅・ニッケルの増販はあったものの、ニッケル価格の下落に加え、Coral Bay Nickel Corporationにおいて512億22百万円の減損損失を計上したことなどにより、セグメント利益は損失に転じ、前連結会計年度を下回りました。 電気銅の生産量及び販売量は、東予工場の定期炉修(大型休転)がなかったことなどにより前連結会計年度を上回りました。電気ニッケルの生産量及び販売量は、前連結会計年度を上回りました。金の生産量及び販売量は、前連結会計年度を上回りました。フェロニッケルの生産量及び販売量は、生産調整を行っており前連結会計年度を下回りました。 Coral Bay Nickel Corporation、Taganito HPAL Nickel Corporation(フィリピン)の生産量はともに前連結会計年度を下回りました。(材料セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高335,791296,513△39,278△11.7セグメント利益又は損失(△)△7,203△54,231△47,028-  セグメント損益は、電子部品材料の需要は回復基調で推移したことで機能性材料事業は増益となり、車載用電池材料の販売量も前期並みとなりましたが、電池材料事業は、将来予定されている製品の品種切替えに伴い当社の生産能力の低下が見込まれたことから572億86百万円の減損損失を計上したため、前連結会計年度を下回りました。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因について 主な要因として、資源・製錬セグメントは、非鉄金属価格及び為替レートの変動、材料セグメントは、市場動向の変化が挙げられます。詳細及び他の要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ③ 財政状態(単位:百万円) 前連結会計年度末当連結会計年度末増減資産合計3,027,7143,068,62240,908負債合計1,054,3341,019,236△35,098資本合計1,973,3802,049,38676,006  当連結会計年度末の資産合計は、当社及び海外連結子会社などでの減損や海外金鉱山に係る権益の買戻しオプションが行使されたことにより有形固定資産などが減少したものの、棚卸資産、持分法で会計処理されている投資、非流動資産のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産などが増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。 負債合計は、流動負債の社債及び借入金が増加したものの、営業債務及びその他の債務、非流動負債の社債及び借入金、繰延税金負債などがそれぞれ減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ減少しました。 資本合計は、その他の資本の構成要素のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産が保有株式の価格下落により減少したものの、在外営業活動体の換算差額が円安により増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。 ④ 財務指標 当連結会計年度は2022年度から2024年度までの3年間を対象とする「21中計」の最終年度であります。「21中計」においては、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%以上の維持といたしました。当連結会計年度の連結自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は、60.1%となりました。 ⑤ キャッシュ・フロー(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー210,675149,644△61,031投資活動によるキャッシュ・フロー△298,887△138,884160,003財務活動によるキャッシュ・フロー7,090△6,180△13,270換算差額17,1374,110△13,027現金及び現金同等物の期首残高215,007151,022△63,985現金及び現金同等物の期末残高151,022159,7128,690  当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、利息や配当金の受取額などが増加したものの、棚卸資産、営業債権及びその他の債権が増加し、営業債務及びその他の債務が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ収入が減少しました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得については前連結会計年度並みの支出となった一方、長期貸付けや関係会社株式の取得による支出が減少したこと、権益譲渡による収入、投資有価証券の売却による収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ支出は減少しました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が増加した一方で、社債償還による支出が増加したこと、長期借入れによる収入が減少したことなどから、当連結会計年度は支出に転じました。 ⑥ 資本の財源及び資金の流動性a)財務戦略の基本的な考え方 当社グループでは、減耗する資源を取り扱っており、常に新たな資源権益獲得のための大型開発プロジェクト参画やM&Aに備える必要があります。また、新たな製錬所建設も含め、資源・製錬の開発プロジェクトは、投資を実行してから回収するまでに、比較的長期間を要します。従い一時的な大きなキャッシュ・アウトフローに耐えうる健全な財務体質を維持していくことが重要であり、当社はこのような考え方のもと、具体的には連結自己資本比率を50%超に保つことを財務戦略の基本としております。 b)資金調達と流動性マネジメント 当社は事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金を確保することを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融のバランスを見極めつつ、その時々のマーケット状況での有利手段を追求しています。資源・製錬事業における海外大型プロジェクトでは、現地のカントリーリスクにさらされることも多く、政府系金融機関による各種支援メニューや複数の金融機関による協調型融資の活用、プロジェクトファイナンスの組成など、その都度最適な資金調達方法を検討しております。 また、当社はそのような大型プロジェクトや材料事業における戦略的増強対応など将来の投資計画を含めた全体の資金需要に対応しつつ、経営の安定化の観点から一定の手元流動性を維持することも必要であると考えています。 当社は、手元流動性の水準を考えるにあたり、流動性リスクとして連結売上高1.5ヶ月分と半年以内返済予定の借入金等の合計額を想定し、これに対し、現金・預金及び現金同等物(以下「手元現預金」)及びコマーシャル・ペーパー発行可能枠の未使用額を合わせた金額で賄うことで対応することとしています。また、金融市場の動向によりコマーシャル・ペーパーによる調達が一時的に困難になるリスクも想定し、発行に際してはコミットメントライン契約に基づく借入限度額の範囲内にとどめることを原則としています。 さらに、手元現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、社債の発行や金融機関からの借入金等を通じて、必要な現預金残高を確保することを考えております。 なお、当社は、日本国内の市場において株式会社日本格付研究所(JCR)から「ダブルAマイナス」の長期発行体格付及び「J-ワンプラス」の国内CP格付を取得しており、資金調達にあたっては十分な信用力を保持しております。また、主要な国内金融機関と円貨及び外貨でのコミットメントライン契約を締結しており、金融・資本市場の流動性が逼迫した状況下でも、コミットメントラインを使用することによって十分な流動性を確保することができると考えております。 ⑦ 重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 (2)生産、受注及び販売の実績① 生産実績及び受注実績 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注実績を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。 ② 販売実績 当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(百万円)前連結会計年度比(%)資源210,71626.9製錬1,230,69415.2材料296,513△11.7報告セグメント計1,737,92310.7その他11,1649.2調整額△155,739-連結財務諸表計上額1,593,34810.2(注)1.セグメント間の販売実績は、各セグメントに含めて表示しております。  2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)パナソニックホールディングス㈱290,64620.1260,18816.3住友電気工業㈱144,65610.0172,58810.8

※本記事は「住友金属鉱山株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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