会社名 | 住友金属鉱山株式会社 |
業種 | 非鉄金属 |
従業員数 | 連7496名 単2892名 |
従業員平均年齢 | 40.7歳 |
従業員平均勤続年数 | 17年 |
平均年収 | 8235000円 |
1株当たりの純資産 | 4127.77円 |
1株当たりの純利益 | 296.92円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 98円 |
配当性向 | 33% |
株価収益率(PER) | 15.45倍 |
自己資本利益率(ROE) | 7.49% |
営業活動によるCF | 2106億円 |
投資活動によるCF | ▲2988億円 |
財務活動によるCF | 70億円 |
研究開発費※1 | 68.75億円 |
設備投資額※1 | 5.69億円 |
販売費および一般管理費※1 | 39.8億円 |
株主資本比率※2 | 50.9% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)住友の事業精神 当社グループは430余年にわたり「ものづくり」の会社として必要とされる製品を安定的にお客様に供給することを社会的責務とし、時代の変化に臨機応変に対応しながら事業を継続してきました。こうした思想、理念は「住友の事業精神」として創業から長きにわたり受け継いできました。当社グループは、この先人達が築き上げてきた「住友の事業精神」の持つ価値観、倫理観の重要性を今一度十分に認識し、当社グループの事業と事業に対する社会からの信頼を確固たるものにするべく、これからも努力を重ねてまいります。 第1条わが住友の営業は信用を重んじ、確実を旨とし、もってその鞏固(きょうこ)隆盛を期すべし第2条わが住友の営業は時勢の変遷理財の得失を計り、弛張(しちょう)興廃することあるべしといえども、いやしくも浮利に趨(はし)り軽進すべからず(1928年 住友合資会社社則「営業の要旨」より抜粋) (2)経営理念と経営ビジョン 当社グループは、住友の事業精神に基づき、当社が社会的な使命と責任を果たしていく指針として、次のとおりグループ経営理念とグループ経営ビジョンを定め、事業を進めています。 「SMMグループ経営理念」・住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステーク ホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします・人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします 「SMMグループ経営ビジョン」・技術力を高め、ものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします・コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルでの企業活動により、資源を確保し、 非鉄金属、機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします (3)長期ビジョン 当社グループは、上記の経営理念や経営ビジョンを受け、その到達すべき目標として長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」とそのターゲットを定めています。当社グループは、経営理念や経営ビジョンを基盤とし、資源を確保し、非鉄金属や電池・機能性材料など高品質な商品の提供を通じて、成長性と持続性を拡大させ、当社の企業価値を高めていきます。 「世界の非鉄リーダー」とは・資源権益やメタル生産量において、グローバルでの存在感(=世界Top5に入るメタル)がある・資源メジャーでも容易に模倣できない、卓越した技術や独自のビジネスモデルを有している・持続的成長を実現し、安定して一定規模の利益をあげている・SDGs等の社会課題に積極的に取り組んでいる・従業員がいきいきと働いている 長期ビジョンのターゲット・ニッケル:生産量15万トン/年・ 銅:権益分生産量30万トン/年・ 金:優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画・材料事業:ポートフォリオ経営による税引前当期利益250億円/年の実現・ 利益:親会社の所有者に帰属する当期利益 1,500億円/年 (4)2030年のありたい姿 当社グループは、経営理念や経営ビジョンを基盤とし、資源の確保、非鉄金属や電池・機能性材料など高品質な材料の提供を通じ、成長性と持続性を拡大させ、当社の企業価値を高め、長期ビジョンである「世界の非鉄リーダー」を実現していきます。また、これは持続可能な社会形成に貢献する取り組みであり、その実現のためのマイルストーンとして「2030年のありたい姿」を策定しました。 策定にあたり、私たちが2030年に向けて達成すべき取り組みを11個の「重要課題」として設定しました。持続可能な開発目標(以下、「SDGs」という。)との関連については、それぞれに結びつきの強いSDGsを「成長性」、「持続性」の観点から整理し、各課題に共通する当社グループのアプローチであること、当社経営ビジョンに直結することから、「つくる責任 つかう責任」を最重要の課題と定めています。 なお、11個の「重要課題」の詳細については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」の(2) 戦略をご参照ください。 (5)2021年中期経営計画 当社グループは、長期ビジョンとターゲットの達成に向け中期経営計画を3年ごとに策定しています。2022年2月に2022年度から2024年度を対象とする「2021年中期経営計画」(以下、「21中計」という。)を公表し、企業価値の一層の向上と新たな成長への挑戦を進めています。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 ① 当社を取り巻く経営環境 「21中計」の策定に際して考慮すべき中期的な経営環境として以下を挙げております。「当社をとりまく経営環境」〇非鉄金属需給は一時的に緩む見通し・銅・ニッケルともに供給増で一時的に需給は緩む見込み・中長期的には電気自動車(EV)・再生可能エネルギー等を中心に需要増を見込む〇資源開発・製錬操業をめぐる事業環境はより厳しく・資源ナショナリズムの高揚・鉱山の高地・奥地・深部・低品位化等 開発難度の上昇・地域社会との良好な関係性構築の難度上昇・環境規制強化・投資及び電力・資材代などのランニングコスト上昇〇“素材”の活躍の場は拡大・エネルギー供給網の構築やEV化により、銅やニッケルの需要増加・カーボンニュートラル(CN)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により 各分野での技術革新・市場拡大が促され、 材料事業にとって事業拡大の好機〇加速するCN対応・2050年温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロが共通認識に〇DXへの対応・デジタル化、IT化への対応を今後加速化〇人材確保の難化・働き方の多様化と従業員の意識変化(人材の流動化) 足もとの経営環境は、不動産不況の長期化による中国経済の低迷や欧米をはじめとした多くの国・地域でのインフレ率の高止まり、さらに地政学的リスクや世界経済の分断化リスクの高まりなどがあり、不確実性の高い状況が継続しています。 非鉄金属の需給については、銅は一部の海外鉱山の稼働停止や生産量調整などにより一時的に供給不足となると見込まれています。一方、ニッケルは中国、インドネシアの増産により供給過多が継続すると見込まれています。 材料事業の関連業界においては、脱炭素化やデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応により需要拡大が見込まれるものの、中国をはじめ世界経済の先行きが不透明なことから市場の成長が鈍化するリスクもあり、予断を許さない状況にあります。 ② 「21中計」の基本戦略と進捗 「21中計」では、『変革への新たな挑戦』をテーマに、「企業価値拡大-大型プロジェクトの推進」「コアビジネスの持続可能性向上」「社会環境変化への適応」「経営基盤強化」の「4つの挑戦」に取り組んでいます。 挑戦1:企業価値拡大-大型プロジェクトの推進・電池材料(正極材)の生産能力増強・ケブラダ・ブランカ2銅鉱山開発プロジェクト推進(チリ)・コテ金開発プロジェクト推進(カナダ)挑戦2:コアビジネスの持続可能性向上・3事業連携(ニッケル-電池)のバリューチェーン強化・菱刈鉱山のサステナビリティ重視の操業への転換・銅製錬事業の競争力強化・機能性材料事業の拡大戦略挑戦3:社会環境変化への適応・GHG(温室効果ガス)排出量削減・カーボンニュートラルに貢献する製品・新技術・プロセスの開発推進・DXへの対応・人材確保/育成/活用への取り組み挑戦4:経営基盤強化・安全への取り組みの強化・サステナビリティ施策の推進加速・コーポレートガバナンス 2021年中期経営計画の2年目となる当期の進捗状況及び今後の戦略の内容については、資源事業では、当社が25%の権益を持つケブラダ・ブランカ銅鉱山フェーズ2開発プロジェクト(チリ)において2023年4月に生産立ち上げを開始しました。2024年度後半からはフル生産体制へ移行する見通しです。また、コテ金開発プロジェクト(カナダ)では、2024年3月末に最初のドーレ(金銀の合金)を生産し、今後、フル生産体制確立に向けて早期の立ち上げを進めます。 製錬事業では、銅製錬を行う東予工場(愛媛県)において2023年秋に、12年ぶりに炉を完全に停止して修繕を行い、生産能力の増強に向けた整備を行っています。また、使用済みのリチウムイオン二次電池から銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収するリサイクルプラントの建設や、世界最大規模のニッケル資源量を有するカルグーリー・ニッケル・プロジェクト(オーストラリア)への出資を決定し、将来を見据えた戦略投資を進めています。 材料事業では、電池材料事業は、需要が堅調に推移しフル生産を継続しました。新たな増産のため建設を進めてきた新居浜工場(愛媛県)は2023年度中に建物が完成し、2024年度は設備の設置と生産立ち上げを進めます。一方で、機能性材料事業では、電子部品関係の顧客を中心とした需要の低迷を受け、多くの製品群で減産が継続しました。 GHG削減について、当社グループは2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みのロードマップを策定しました。中間目標としてスコープ1・2でのGHG排出量を2030年度までに2015年度比38%以上削減する目標を掲げており、省エネ・高効率化の徹底、LNG・バイオマス燃料への転換、再生可能エネルギー由来の電力の利用拡大などを進めていきます。 人材確保・育成・活用への取組については、「一人ひとりの経験・スキルに着目し、今後のキャリア形成を踏まえ、育成と活躍の機会を提供する」という考えのもと人材育成のための諸施策を行っています。その一環として、多様な活躍の機会の提供によるモチベーションの向上、挑戦・変革・成長ができる企業風土の醸成、社員一人一人が成長し続ける企業文化の創出を狙いとして、2023年7月に総合職の人事制度の改正を行っています。③ 目標とする経営指標 「世界の非鉄リーダー」実現に向けては、健全な財務体質に裏打ちされた大型プロジェクトやM&Aへの機動的な対応が欠かせません。当社グループは「21中計」において、財務体質の財務健全性を示す指標として連結自己資本比率50%超の維持を掲げております。 (6)その他 ㈱ジェー・シー・オーは、施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理、施設の廃止措置に向けた準備のため、施設の解体や除染等を推進するための諸施策を進めております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。(注)「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載している金額のうち、「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 ⑤ キャッシュ・フロー」は、消費税等を含んだ金額であります。 ① 経営成績(単位:百万円) 売上高税引前当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度1,445,38895,79558,601前連結会計年度1,422,989229,910160,585増減22,399△134,115△101,984増減率(%)1.6△58.3△63.5 (年間平均海外相場、年間平均為替相場) 単位前連結会計年度当連結会計年度増減(△は減少)銅$/t8,5518,362△189金$/TOZ1,804.81,989.0184.2ニッケル$/lb11.638.68△2.95為替(TTM)円/$135.48144.639.15 当連結会計年度の世界経済の成長は、緩やかに減速しました。米国では長引く金融引き締めによる影響があったものの、堅調な雇用環境などに支えられ景気は底堅く推移し、インフレ率は高止まりしました。一方で、欧州ではロシアによるウクライナ侵攻を背景とした物価高とその対策である金融引き締めが長期化していることなどから、内需は力強さに欠けるものとなりました。また、中国ではゼロコロナ政策の反動もあり前連結会計年度末から当連結会計年度の初めにかけて景気は一度持ち直したものの、不動産市場の長引く低迷及び若年層の雇用の弱さに起因した消費の低迷などが経済成長を押し下げました。 為替相場につきましては、当連結会計年度の初めから急激な円安基調で推移し、一時的に円高方向に転じた局面もあったものの、平均為替レートは前連結会計年度に比べ大幅な円安となりました。 主要非鉄金属価格につきましては、銅価格は、中国をはじめとした各国の経済成長の減速による需要減少への懸念や米ドル高の継続などにより当連結会計年度半ばまでは下落し、その後は緩やかに上昇したものの、平均価格は前連結会計年度を若干下回りました。ニッケル価格は、世界経済の成長減速、供給量の増加及び米ドル高などにより当連結会計年度を通して下落傾向となり、平均価格は前連結会計年度を下回りました。一方、金価格は、金融不安などにより前連結会計年度後半に上昇した後、当連結会計年度は米国における相次ぐ利上げなどにより下落する局面も見られましたが、その後、中東の地政学的緊張の高まりや利下げ観測などから上昇基調で推移し、平均価格は前連結会計年度を上回りました。 材料事業の関連業界におきましては、成長を続けていた電気自動車市場に鈍化の兆しが見られたものの、当社が生産する車載用電池材料に対する需要は底堅く推移しました。一方、電子部品向け部材につきましては、半導体不足が解消したことにより、自動車向けなど一部の市場では回復が見られたものの、中国における景気回復のペースが遅いことや、スマートフォン及びパソコンなどの出荷台数の低迷などにより、需要は概ね低調に推移し本格的な回復には至りませんでした。 このような状況のなか、当連結会計年度の連結売上高は、車載用電池材料の増販などにより、前連結会計年度に比べ223億99百万円増加し、1兆4,453億88百万円となりました。 連結税引前当期利益は、銅及びニッケル価格の下落や、前連結会計年度の急速な円安進行によって生じた為替差益などの一時的な損益好転要因が当連結会計年度は縮小したことなどから、前連結会計年度に比べ1,341億15百万円減少し、957億95百万円となりました。 親会社の所有者に帰属する当期利益は、連結税引前当期利益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,019億84百万円減少し、586億1百万円となりました。 セグメントの業績は、次のとおりであります。 (資源セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高172,427166,006△6,421△3.7セグメント利益76,44352,845△23,598△30.9 セグメント利益は、銅価格の下落や世界的な物価高などによる生産コストの増加により、前連結会計年度を下回りました。 主要鉱山の概況は以下のとおりであります。 菱刈鉱山は順調な操業を継続し、販売金量は計画通りの4.0tとなりました。 モレンシー銅鉱山(米国)の生産量は、採掘量の減少により前連結会計年度を下回り、362千tとなりました(うち非支配持分を除く当社持分は25.0%)。 セロ・ベルデ銅鉱山(ペルー)の生産量は、処理量の増加及び給鉱品位の上昇などにより前期を上回り、447千tとなりました(うち非支配持分を除く当社持分は16.8%)。 (製錬セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高1,073,0381,067,863△5,175△0.5セグメント利益117,86662,199△55,667△47.2 (当社の主な製品別生産量)製品単位前連結会計年度当連結会計年度増減(△は減少)銅t447,163374,504△72,659金kg17,86918,026157電気ニッケルt52,81759,3136,496フェロニッケルt10,1434,793△5,350(注)生産量には、受委託分を含めて表示しております。 セグメント利益は、ニッケル価格の下落に加え、前連結会計年度の急速な円安進行によって生じた為替差益などの一時的な損益好転要因が当期は縮小したことなどから、前連結会計年度を下回りました。 電気ニッケルの生産量及び販売量は前連結会計年度を上回りましたが、電気銅の生産量は東予工場の定期炉修(大型休転)などにより前連結会計年度を下回り、販売量も前連結会計年度を下回りました。また、フェロニッケルの生産量は生産調整を行ったため、前連結会計年度を下回りました。 Coral Bay Nickel Corporation(フィリピン)、Taganito HPAL Nickel Corporation(フィリピン)ともに生産量は概ね前連結会計年度並みとなりました。 (材料セグメント)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減増減率(%)売上高317,425335,79118,3665.8セグメント利益17,323△7,203△24,526- セグメント利益は、車載用電池材料が増販となったものの、非鉄金属価格の下落などの影響により押し下げられました。また、スマートフォン及びパソコンなどの出荷台数の低迷などの影響により電子部品向け部材の需要が弱かったこと、加えて子会社である住友金属鉱山シポレックス株式会社の株式譲渡契約の締結にかかる会計処理を行ったことなどからセグメント利益は減少して損失となり、前連結会計年度を下回りました。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因について 主な要因として、資源・製錬セグメントは、非鉄金属価格及び為替レートの変動、材料セグメントは、市場動向の変化が挙げられます。詳細及び他の要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ③ 財政状態(単位:百万円) 前連結会計年度末当連結会計年度末増減資産合計2,707,8993,027,714319,815負債合計918,6031,054,334135,731資本合計1,789,2961,973,380184,084 当連結会計年度末の資産合計は、現金及び現金同等物や棚卸資産などが減少したものの、有形固定資産、持分法で会計処理されている投資、非流動資産のその他の金融資産のうち主に投資有価証券及び長期貸付金などが増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。 負債合計は、流動負債の社債及び借入金や未払法人所得税等などが減少したものの、営業債務及びその他の債務、非流動負債の社債及び借入金や繰延税金負債などがそれぞれ増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。 資本合計は、その他の資本の構成要素のうち、在外営業活動体の換算差額が円安により増加し、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産が保有株式の価格上昇により増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。 ④ 財務指標 当連結会計年度は2022年度から2024年度までの3年間を対象とする「21中計」の2年目であります。「21中計」においては、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%以上の維持といたしました。当連結会計年度の連結自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は、59.0%となりました。 ⑤ キャッシュ・フロー(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー120,382210,67590,293投資活動によるキャッシュ・フロー△185,503△298,887△113,384財務活動によるキャッシュ・フロー49,3367,090△42,246換算差額16,81517,137322現金及び現金同等物の期首残高213,977215,0071,030現金及び現金同等物の期末残高215,007151,022△63,985 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益が減少し、営業債務及びその他の債務の増加幅が縮小したものの、棚卸資産が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ収入が増加しました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得については前連結会計年度並みの支出となりましたが、定期預金の払戻による収入が減少し、長期貸付けや関係会社株式の取得による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ支出が増加しました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額や社債の償還による支出が減少し、長期借入れや社債の発行による収入が増加したものの、短期借入金及び長期借入金の返済による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ収入が減少しました。 ⑥ 資本の財源及び資金の流動性a)財務戦略の基本的な考え方 当社グループでは、減耗する資源を取り扱っており、常に新たな資源権益獲得のための大型開発プロジェクト参画やM&Aに備える必要があります。また、新たな製錬所建設も含め、資源・製錬の開発プロジェクトは、投資を実行してから回収するまでに、比較的長期間を要します。従い一時的な大きなキャッシュ・アウトフローに耐えうる健全な財務体質を維持していくことが重要であり、当社はこのような考え方のもと、具体的には連結自己資本比率を50%超に保つことを財務戦略の基本としております。 b)資金調達と流動性マネジメント 当社は事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金を確保することを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融のバランスを見極めつつ、その時々のマーケット状況での有利手段を追求しています。資源・製錬事業における海外大型プロジェクトでは、現地のカントリーリスクにさらされることも多く、政府系金融機関による各種支援メニューや複数の金融機関による協調型融資の活用、プロジェクトファイナンスの組成など、その都度最適な資金調達方法を検討しております。 また、当社はそのような大型プロジェクトや材料事業における戦略的増強対応など将来の投資計画を含めた全体の資金需要に対応しつつ、経営の安定化の観点から一定の手元流動性を維持することも必要であると考えています。 当社は、手元流動性の水準を考えるにあたり、流動性リスクとして連結売上高1.5ヶ月分と半年以内返済予定の借入金等の合計額を想定し、これに対し、現金・預金及び現金同等物(以下「手元現預金」)及びコマーシャル・ペーパー発行可能枠の未使用額を合わせた金額で賄うことで対応することとしています。また、金融市場の動向によりコマーシャル・ペーパーによる調達が一時的に困難になるリスクも想定し、発行に際してはコミットメントライン契約に基づく借入限度額の範囲内にとどめることを原則としています。 さらに、手元現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、社債の発行や金融機関からの借入金等を通じて、必要な現預金残高を確保することを考えております。 なお、当社は、日本国内の市場において株式会社日本格付研究所(JCR)から「ダブルAマイナス」の長期発行体格付及び「J-ワンプラス」の国内CP格付を取得しており、資金調達にあたっては十分な信用力を保持しております。また、主要な国内金融機関と円貨及び外貨でのコミットメントライン契約を締結しており、金融・資本市場の流動性が逼迫した状況下でも、コミットメントラインを使用することによって十分な流動性を確保することができると考えております。 ⑦ 重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 (2)生産、受注及び販売の実績① 生産実績及び受注実績 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注実績を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。 ② 販売実績 当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(百万円)前連結会計年度比(%)資源166,006△3.7製錬1,067,863△0.5材料335,7915.8報告セグメント計1,569,6600.4その他10,2190.1調整額△134,491-連結財務諸表計上額1,445,3881.6 (注)1.セグメント間の販売実績は、各セグメントに含めて表示しております。2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)パナソニックホールディングス㈱245,70617.3290,64620.1住友電気工業㈱132,7009.3144,65610.0 |
※本記事は「住友金属鉱山株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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