会社名 | サッポロホールディングス株式会社 |
業種 | 食料品 |
従業員数 | 連6402名 単118名 |
従業員平均年齢 | 45.7歳 |
従業員平均勤続年数 | 20.3年 |
平均年収 | 9523000円 |
1株当たりの純資産 | 2085.7円 |
1株当たりの純利益(連結) | 99円 |
決算時期 | 12月 |
配当金 | 52円 |
配当性向 | 148.2% |
株価収益率(PER) | 237.1倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 3.1% |
営業活動によるCF | 361億円 |
投資活動によるCF | ▲58億円 |
財務活動によるCF | ▲253億円 |
研究開発費※1 | 9億円 |
設備投資額※1 | 161億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1276.13億円 |
株主資本比率※2 | 42.8% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)サッポログループの経営理念サッポログループは、「潤いを創造し 豊かさに貢献する」を経営理念に掲げ、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」ことを経営の基本方針として、企業活動を実践しています。時代とともに変容する“豊かさ”の本質によりいっそう向き合い、明日につながる、自然、社会、心の“豊かさ”に貢献していきます。 (2)中期経営計画(2023~26)1876年の創業以来、様々なイノベーションを発揮し、お客様に潤いと豊かさをもたらす商品やサービスをお届けしてきた当社グループは、2026年に創業150周年を迎えます。150年を越えて独自の存在価値を発揮し続けるために、2023年~2026年までの4か年の経営計画を策定し、推進しております。本計画は「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」を基本方針とし、そのポイントは、事業ポートフォリオの見直しと、各事業のポジショニングに沿ったグループマネジメントを実現し、資本効率を高め企業価値を向上させていくことです。詳細は以下のとおりです。 (構造改革)不確実性の高い環境に適応するべく、各事業を市場環境、独自の強み、サステナビリティ、収益性、シナジー、リソース配分の6つの視点から考察し、企業価値向上の実現に向け、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでおります。事業整理に位置付けた事業は速やかに整理を進め、再編に位置づけた事業は抜本的な見直し等、構造改革を断行しております。 (強化・成長)海外酒類は2022年に子会社化したSTONE BREWING CO.,LLCの拠点を活用した「SAPPORO PREMIUM BEER」の現地製造開始とあわせ、マーケティング投資によるブランド強化を行います。海外飲料はシンガポールを起点にマレーシア、中東等での売上拡大を目指します。国内酒類は黒ラベル・ヱビスへの集中投資によるビールカテゴリーの強化を行うとともに、RTD(※)は2023年に稼働を開始した自社製造拠点を活用した成長を目指します。不動産は恵比寿・札幌エリアでの保有物件の価値向上を行い、まちづくりを推進することにより、収益と効率を向上させます。※RTD:Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料 (財務目標)・ROE:8%・EBITDA年平均成長率(CAGR):10%程度・海外売上高年平均成長率(CAGR):10%程度 (主な非財務目標)・温室効果ガス排出削減(いずれも2022年比) スコープ1,2 2030年 42%削減(2026年 21%削減) スコープ3 2030年 25%削減(2026年 12.5%削減) ※SBT認定済・女性役員比率、女性管理職比率:12%以上 (3)財務戦略「持続的成長と資本効率重視」をテーマに、構造改革・事業成長による収益力強化と、資産や事業ポートフォリオの見直しにより資本効率を高め企業価値向上を確かなものにします。財務の健全性は、現状格付けを維持することを基本とします。投資については、営業キャッシュフローとのバランスを取りながら、海外への投資を優先することで成長促進を図ると共に、サステナビリティ関連の投資も推進します。なお、M&A等の成長投資の機会には、現状格付を確保できる範囲で機動的に対応します。株主の皆様への利益還元は、経営上の重要政策と位置付けており、業績や財務状況を勘案して安定した配当を行うことを基本方針としています。今後の配当水準につきましては、連結配当性向30%以上を基本に、1株当たりの年間配当金の下限を42円(※)に設定し、企業価値向上を伴う配当水準の向上を図ります。なお、特殊要因にかかる一時的な損失や利益計上により、当期利益が大きく変動する場合は、その影響を考慮して配当金額を決定することがあります。※現中期経営計画を発表した2022年12月期の1株当たり年間配当金 (4)対処すべき課題①中期経営計画(2023~26)の推進とモニタリングについて当社グループは、「中期経営計画(2023~26)」の達成に向けて、内部運用ならびに外部開示の2つの観点からモニタリング体制を構築し、運用しております。内部運用の観点では、各事業セグメントにおける構造改革および成長戦略に関する具体的なアクションプランの進捗について、取締役会等を通じて綿密なモニタリングを行い、計画達成の裏付けを強化しております。また、外部開示の観点では、当社グループの取り組みを、従来以上に具体的に分かりやすく、且つタイムリーにステークホルダーの皆様にお伝えすることで、計画達成の蓋然性に対する信頼性の向上に努めております。 ②サステナビリティ経営の推進について「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。 ③DXの推進について大きな環境変化が続く中で、サッポログループでは新たな時代のニーズに即した価値を創出する手段として、DXを推進しております。以下のとおり「サッポログループDX方針」を策定し、グループ内でのDX・IT人財の育成と活用を進めております。 「サッポログループDX方針」方針① お客様接点を拡大:お客さまとつながり、理解を深め、寄り添うこと方針② 既存・新規ビジネスを拡大:お客さま起点で考えぬかれた新たな価値の創造と、稼ぐ力を増強すること方針③ 働き方の改革:サッポログループにかかわるあらゆるステークホルダーと共に成長し続けるため自分たちの仕事をもっと楽に、もっと楽しく、働くことに誇りを持てるものにしていくこと DX推進体制グループのDX・ITに関する経営資源配分の支援・調整・確認を行い、方向性を決定するための機関として、DX・IT担当役員を委員長とする「グループDX・IT委員会」を2022年4月1日付で設置しております。 DX推進戦略2022年から2023年にかけて「DX・IT人財育成プログラム(DXP)」を通じて、200名のDX・IT推進基幹人財の育成を実施し、2024年は高度デジタル人財の育成強化、市民開発ツールの積極展開、生成AIの全社展開、新たなデータ基盤構築などの環境整備を進めており、引き続き育成人財の成果創出を推進してまいります。 ④グループ中長期成長戦略当社は2024年2月14日に「グループ価値向上のための中長期経営方針」を公表し、その具体化に向けて「中長期戦略プロジェクト」で継続的に検討を進めてまいりました。今般、その検討結果の内容を「グループ中長期成長戦略」として、2025年2月14日の取締役会において決議いたしました。その概要は以下のとおりです。 1.中長期ビジョン及び戦略骨子当社は、中長期ビジョンである「世界をフィールドに豊かなビール体験、顧客体験を創造する企業」を目指し、以下の5つの戦略を展開します。 戦略骨子施策・ターゲット① Bonds with Community(わくわくする体験や新しい楽しみ方の提供)基軸ブランドのマーケティング投資倍増、外食事業を中心に顧客接点を拡大する等により、国内ビールシェア25%、2030年国内酒類事業利益率10%以上を目指す② Healthier Choice(より健康的な選択肢の提供)国内ではノンアルコール・RTD(※)開発体制強化、酒類と飲料の組織融合により健康機能価値を訴求。海外ではノンアルコール展開エリアを北米で拡大③ Efficient Foundation(成長戦略実行に向けた組織改革)2026年に事業持株会社体制へ移行予定。国内・海外の2事業本部体制により経営効率向上、ガバナンス強化、人的資本投資を継続実施④ Strategic Alliance(戦略的パートナーシップの構築)米国では構造改革に加え、サッポロブランドの成長基盤構築で他社と提携を検討ベトナムでは製造販売両面で、カールスバーグ社と協業した市場拡大を検討⑤ Inorganic Growth(インオーガニック成長)不動産事業への外部資本導入による資金を活用し大型のM&A等を検討。国内ではRTD(※)事業とSCM領域強化、海外の重要市場である米国ではビールビジネス基盤確立と飛躍的成長(含ノンアルコール)を目指す※RTD:Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料 2.財務戦略長期目標としてROE10%以上を設定し、ROICを指標とした財務管理により、資本効率の向上を目指します。また、持続的な成長を実現するための財務安全性(格付A格)を確保しながら、適切なキャッシュアロケーションを行います。さらに、上記戦略により収益力を向上させ、2024年から2030年までの事業利益で年平均10%程度の成長を目指します。後述する不動産事業のオフバランスにより資本増加が見込まれ、ROEは一時的に低下する見込みですが、酒類事業への成長投資に資本投下することで利益成長を加速させ、長期視点でのさらなる資本効率性の向上を目指します。なお、今後の中期的な期間は、当社が取り得る戦略により財務構造が大きく変わる変革期であるため、2030年の財務目標は次期中期経営計画の策定と合わせて検討を進める予定です。 3.不動産事業への外部資本導入不動産事業への外部資本導入は、グループの経営リソースを酒類事業に集中させ、酒類事業の成長投資原資を捻出し、サッポログループの企業価値向上を目指すものです。サッポロ不動産開発株式会社(以下、SRE)においては、戦略パートナーの資本導入等によりグループからオフバランスするとともに、企業価値を高めることを目指します。現在十数社から具体的な提案を受けており、恵比寿ガーデンプレイスを保有するSRE株式の譲渡を含む様々な選択肢の中から、最適な方策と時間軸について、2025年内を目途に結論を出す予定です。今後は重要な局面に入るため、経過開示は予定していませんが、重要事象発生時は適時適切に開示いたします。 詳細はホームページをご参照ください。https://www.sapporoholdings.jp/news/items/20250214_sh_mlt_ja.pdf |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績等の概要①業績 (単位:百万円) 売上収益事業利益(※)営業利益親会社の所有者に帰属する当期利益2024年12月期530,78322,03810,4167,7142023年12月期518,63215,63311,8208,724増減率(%)2.341.0△11.9△11.6※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。 <売上収益>売上収益は、食品飲料事業が減収となった一方で、酒類事業において国内市場における酒税改正の影響によるビールの好調な販売やアメリカ、アジアにおける「SAPPORO PREMIUM BEER」の好調な販売、円安効果等により、全体では前期比2.3%増、122億円増収の5,308億円となりました。 <事業利益>事業利益は、酒類事業や不動産事業による増収効果や前年の海外飲料における滞留債権に対する貸倒引当金計上の反動等により、前期比41.0%増、64億円増益の220億円となりました。 <営業利益>営業利益は、連結事業利益増加による影響があった一方で、「STONE BREWING CO., LLC(以下、Stone社)」の株式を取得した際に生じたのれんの減損損失を計上したこと等により、前期比11.9%減、14億円減益の104億円となりました。 <親会社の所有者に帰属する当期利益>親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の減益等により、前期比11.6%減、前期比10億円減益の77億円となりました。また、基本的1株当たり利益は99.00円(前期111.99円)となり、親会社所有者帰属持分比率は29.5%(前期27.5%)となりました。 以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。 〔酒類事業〕売上収益は、国内市場における酒税改正の影響によるビールの好調な販売、アメリカ、アジアにおける「SAPPORO PREMIUM BEER」の好調な販売、円安効果等で前期から増収となりました。事業利益は、カナダの市況悪化やアメリカのクラフトビール市場の軟化はあるものの、国内酒類の増収効果により前期から増益となりました。営業利益は、事業利益増加の一方、Stone社の株式を取得した際に生じたのれんの減損損失を計上したことにより前期から減益となりました。 ■売上収益 3,882億円(前期比113億円、3.0%増) ■事業利益 188億円(前期比28億円、17.4%増) ■営業利益 47億円(前期比43億円、47.5%減) 酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。 (国内酒類)新型コロナウイルスの影響も一服し、業務用市場は前年並みに推移した一方で、家庭用市場は酒税改正に伴う発泡酒市場の縮小もあり、軟調に推移しました。日本国内のビール類(ビール・発泡酒(含む発泡酒②))の総需要は前年比97%と推定されます。また、ビールの総需要は前年比105%と推定されます。当期は、2023年10月の酒税改正を踏まえ、ビール強化とRTD強化(※)により一層注力しました。そのような中、発泡酒(含む発泡酒②)が前年の酒税改正における駆け込み需要の反動減の影響を受けた一方で、「サッポロ生ビール黒ラベル」の缶製品の売上数量は前期比117%と好調に推移したことにより、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、前年比100%になりました。また、RTD缶の売上数量は前年比107%となりました。※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料。 (海外酒類)カナダにおけるビール類総需要は引き続き軟調に推移しており、前期を下回る見込みです。また、アメリカにおける全体のビール類総需要も前期を下回る見込みです。特にクラフトビール市場は引き続き減速しており、前年を下回る状況が続いています。この結果、海外ブランドのビールの売上数量は前期を下回りました。これに対し、北米でのサッポロブランドビールの売上数量は、主に米国内での販売シナジーの発揮による販売網の強化が進み前期比111%となりました。 (外食)外食需要は、社会経済活動の正常化が進み、消費活動や旅行など人流の回復が見られたことで好調に推移しました。そのような中、価格改定や来店客の回復、インバウンド層やシニア層の獲得により、外食事業の既存店売上高は前期比で107%となりました。 〔食品飲料事業〕売上収益は、国内市場における商品改廃や海外飲料の輸出売上減少等の影響により前期から減収となりました。事業利益は、原材料高騰の影響を受けたものの、コスト構造改革による効果が寄与したことや前年の海外飲料における滞留債権に対する貸倒引当金計上の反動等により、食品飲料事業全体では前期から増益となりました。営業利益は、国内食品飲料における固定資産の減損損失戻入益や土地売却益等の計上により、前期から増益となりました。 ■売上収益 1,179億円(前期比20億円、1.6%減) ■事業利益 34億円(前期比18億円、109.9%増) ■営業利益 52億円(前期比35億円、207.7%増) 食品飲料事業に属する国内食品飲料、海外飲料の詳細は次のとおりです。 (国内食品飲料)国内の飲料総需要は、前期比99%と推定されます。そのような中、当社グループの国内飲料の売上金額は、レモン事業の主力ブランド商品「キレートレモン」が前期比114%、コーン茶を中心に「TOCHIとCRAFT」シリーズ茶系飲料が前期比109%と好調に推移しましたが、飲料全体では商品改廃等により、前期比97%となりました。また、主力ブランド商品「ポッカレモン100」瓶3品を「高めの血圧(収縮期血圧)を下げる」機能性表示食品としてリニューアル発売して以降、多くのお客様にご好評いただき、前期比108%と好調に推移しています。 (海外飲料)シンガポールでは、インフレの継続により市場全体の需要がやや低下しており、売上金額は前期比95%(現地通貨ベース)となりました。また、注力エリアであるマレーシアでは、製品カテゴリーやエリアを絞った販売活動と継続的な販売体制の改善を並行して行ったことにより、売上金額は前期比118%(現地通貨ベース)となりました。上記を除く輸出事業においては、中東への輸出事業で前年に財務状況の悪化が生じた取引先に対しての販売停止等がありましたが、回復に向けて新たな取引先との契約を完了し、2024年8月より輸出を再開しています。 〔不動産事業〕首都圏のオフィス賃貸市場では、稼働率および平均賃料水準は回復傾向にあり、特に都心5区の中でも渋谷区のオフィス空室率は他区と比較して低く、それに伴い賃料も上昇傾向にあります。そのような中、売上収益は、「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス稼働率の向上、インバウンド需要の継続による「サッポロファクトリー」のアウトドアブランド商品の需要増、および催事イベントの好調、また、私募ファンドへのエクイティ投資による配当収入等により、前期から増収となりました。事業利益は、人件費高騰等による管理費用増加や、2024年1月にオープンした「ホテル創成札幌 Mギャラリーコレクション」の開業コストの計上がある一方、売上収益の増収効果により前期から増益となりました。営業利益は、2023年の不動産売却益の反動等により、前期から減益となりました。 ■売上収益 246億円(前期比29億円、13.4%増) ■事業利益 78億円(前期比21億円、35.7%増) ■営業利益 73億円(前期比15億円、17.2%減) ②財政状態の状況当連結会計年度末における資産、負債、資本の状況とそれらの増減の要因は次のとおりです。 (単位:百万円)区分2023年12月期2024年12月期増減額流動資産176,353193,91817,565非流動資産487,220471,045△16,175資産合計663,573664,9631,390流動負債191,204207,00715,803非流動負債289,121260,799△28,323負債合計480,325467,805△12,520資本合計183,248197,15713,909負債及び資本合計663,573664,9631,390(資産)資産合計は、減損損失によるのれん及び投資有価証券の売却によるその他の金融資産(非流動)の減少等があった一方、有形固定資産の増加等によって、前連結会計年度末と比較して14億円増加し、6,650億円となりました。(負債)負債合計は、社債及び借入金(流動)及びリース負債(非流動)の増加等があった一方、社債及び借入金(非流動)の減少等によって、前連結会計年度末と比較して125億円減少し、4,678億円となりました。(資本)資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加等によって、前連結会計年度末と比較して139億円増加し、1,972億円となりました。(各種財務指標)流動比率は、流動資産が176億円増加し、流動負債が158億円増加したことにより、前連結会計年度の92.2%から93.7%に1.4ポイント増加しております。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度の27.5%から29.5%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したこと等によるものです。親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、前連結会計年度の5.0%から4.1%に減少しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益が減少したこと等によるものです。ネットD/Eレシオは、前連結会計年度の1.1倍から0.9倍に減少しております。これは、社債及び借入金(固定)の減少等によりネット有利子負債が減少し、親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したことによるものです。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ69億円、40%増加し、当連結会計年度末には241億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (単位:百万円)区分2023年12月期2024年12月期増減額営業活動によるキャッシュ・フロー45,44636,109△9,337投資活動によるキャッシュ・フロー△16,439△5,83610,602フリー・キャッシュ・フロー29,00730,2731,266財務活動によるキャッシュ・フロー△27,140△25,3721,769現金及び現金同等物に係る換算差額△432,0352,078現金及び現金同等物の増減額(△減少)1,8246,9365,113現金及び現金同等物の期首残高15,38017,2041,824現金及び現金同等物の期末残高17,20424,1406,936(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、361億円(前期は454億円の収入)となりました。これは主に、法人所得税等の支払額又は還付額62億円、利息の支払額32億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費226億円、減損損失及び減損損失戻入益134億円、税引前利益116億円の増加要因があったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、58億円(前期は164億円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が206億円、有形固定資産の売却による収入が56億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の売却による収入が30億円あった一方、有形固定資産の取得による支出177億円、投資不動産の取得による支出175億円があったことによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、254億円(前期は271億円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の増加額が71億円あった一方、長期借入金の返済による支出が174億円、コマーシャル・ペーパーの減少額が80億円、リース負債の返済による支出が40億円、配当金の支払額が37億円あったことによるものです。 なお、当連結会計年度末のセグメント別の設備投資額等の内訳は、以下のとおりです。 (単位:百万円) 酒類食品飲料不動産その他全社又は消去連結合計EBITDA(注) 2024年12月期30,4196,34413,99919△6,73344,047 2023年12月期26,6244,42011,26115△6,29136,029 増減3,7951,9242,7383△4428,018設備投資(支払ベース) 2024年12月期14,0502,26619,201-1,44036,957 2023年12月期12,2103,42611,852-1,43528,923 増減1,841△1,1607,349-58,034減価償却費及び償却費 2024年12月期12,2462,9146,150-1,31222,622 2023年12月期11,1952,7865,477-1,51420,971 増減1,051128673-△2021,651(注) EBITDA(事業利益+減価償却費)算出の際の減価償却費につきまして、飲食店舗の家賃にかかる使用権資産の減価償却費を除いております。 (2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。 ①重要性がある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。 ②当連結会計年度の経営成績の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。 ③経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。 ④事業戦略と見通し〔2025年見通し〕「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、「中期経営計画(2023~26)」の3年目として、構造改革は継続しつつ、2025年以降の成長戦略の実行を確かなものにしていきます。次期は、2024年度に引き続き原材料価格上昇に加え、物流費の高騰が見込まれます。このような中、当社グループは構造改革の断行と成長の加速により更なる収益力の強化を図ります。国内の酒類事業や食品飲料事業は、更なる原材料や運搬費の高騰が見込まれますが、国内酒類事業では、価格改定に加えてコスト削減等の対応を図りその影響を吸収するとともに、食品飲料事業では、主力事業であるレモンの着実な成長と収益改善策により、収益力強化を図ります。不動産事業では、保有・関与物件に係る有形・無形の資産価値向上および投資運用事業の推進により資産効率を高め、恵比寿・札幌のまちづくりを通じた企業価値の向上に努めます。海外事業は、主にサッポロブランドの成長を図るとともに、コスト構造改革を断行してまいります。以上により、当社グループ全体の売上収益、事業利益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、当期と比較して増収増益となる見通しです。 〔酒類事業〕(国内酒類)次期は、2026年10月の酒税改定を見据えてビールへの取り組みをさらに強化すると共にRTDを中心に事業の成長を目指してまいります。特にビール事業においては当社独自の「個性」・「物語」・「資産」をさらに強みに変えるブランド投資により、改めてビールの魅力の追求と向上を図ってまいります。2024年に引き続き、原材料等の高騰や市場でのインフレ等により、国内酒類の業績に強く影響を与えるものの、価格改定や品種ミックス改善に加えて、コストコントロールに努めること等により、その影響を吸収する見通しです。 (海外酒類)アメリカにおいては、収益性の改善を喫緊の課題と認識しており、生産拠点のオペレーションコストを抜本的に見直す構造改革を断行します。また、サッポロブランドの成長に向けた取り組みは継続し、その魅力を一層広めてまいります。カナダにおいては、プレミアムブランドのビール及びRTDやノンアルコールビールの強化に引き続き注力するとともに、コスト構造改革を進めることで事業の効率性を高めて更なる収益性の向上に努めます。 (外食)需要回復に転じた2023年~2024年の基調を維持し、更に強固な経営基盤の構築を図るべく、既存店の強化を柱としながら、YEBISU BAR、銀座ライオンLEOなど注力業態の展開を進めます。引き続き原材料や諸コストの上昇が見込まれますが、適時・適切な価格改定、顧客体験価値向上の取組を通じ、収益性とブランド訴求力を高めていきます。 (国内食品飲料)2024年に引き続き、原材料やエネルギーコスト、物流費等の高騰が見込まれますが、主力であるレモン事業の着実な成長とR&Dを中心にリソース集中に向けた取り組みを加速させます。また、変動販売費の削減等、収益改善策の実行により収益力の強化を図ります。 (海外飲料)海外飲料は、2024年に引き続き原材料等の高騰の影響を受けるものの、価格改定、原材料の調達改善等によりその対策を講じます。シンガポールでは現在の市場シェアを維持しつつ、効率性向上による利益最大化を図ります。また、マレーシア、中東等の成長余地のある国や地域で販売及びマーケティングの体制を強化することで、グループの成長ドライバーとしていきます。 〔不動産事業〕次期は、保有・関与物件に係る有形・無形の資産価値向上および投資運用事業の推進により資産効率を高め、恵比寿・札幌のまちづくりを通じた企業価値の向上に努めます。 ⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。 ⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析ⅰ)キャッシュ・フローの分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。 2023年12月期2024年12月期親会社所有者帰属持分比率(%)27.529.5時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)73.097.5キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)6.17.5インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)21.311.3親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分÷資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額÷資産合計キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い(注)1 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。 2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。 3 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。 ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。現在そして将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関等からの借入れによって調達しています。 ⑦経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。今後の方針につきましては、「中期経営計画(2023~26)」の基本方針である「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、経営課題への取り組みを推進します。 (3)生産、受注及び販売の実績①生産実績当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(kl) 前期比(%)酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等)807,8290.3酒類事業(ワイン・焼酎・RTD等)126,94024.4食品飲料事業(飲料水等)301,235△9.5 ②受注実績当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円) 前期比(%)酒類事業388,1623.0食品飲料事業117,950△1.6不動産事業24,60213.4報告セグメント計530,7142.4その他69△52.6合計530,7832.3(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)国分グループ本社㈱73,85414.277,81214.7 |
※本記事は「サッポロホールディングス株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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