サッポロホールディングス株式会社の基本情報

会社名サッポロホールディングス株式会社
業種食料品
従業員数連6610名 単110名
従業員平均年齢46.8歳
従業員平均勤続年数21.4年
平均年収8990000円
1株当たりの純資産2095.63円
1株当たりの純利益193.8円
決算時期12月
配当金47円
配当性向24.3%
株価収益率(PER)32.1倍
自己資本利益率(ROE)9.6%
営業活動によるCF454億円
投資活動によるCF▲164億円
財務活動によるCF▲271億円
研究開発費※110億円
設備投資額※1134億円
販売費および一般管理費※11412.06億円
株主資本比率※240.7%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)サッポログループの経営理念サッポログループは、「潤いを創造し 豊かさに貢献する」を経営理念に掲げ、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」ことを経営の基本方針として、企業活動を実践しています。時代とともに変容する“豊かさ”の本質によりいっそう向き合い、明日につながる、自然、社会、心の“豊かさ”に貢献していきます。 (2)中期経営計画(2023~26)1876年の創業以来、様々なイノベーションを発揮し、お客様に潤いと豊かさをもたらす商品やサービスをお届けしてきた当社グループは、2026年に創業150周年を迎えます。150年を越えて独自の存在価値を発揮し続けるために、2023年~2026年までの4か年の経営計画を策定し、推進しております。本計画は「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」を基本方針とし、そのポイントは、事業ポートフォリオの見直しと、各事業のポジショニングに沿ったグループマネジメントを実現し、資本効率を高め企業価値を向上させていくことです。詳細は以下のとおりです。 (構造改革)不確実性の高い環境に適応するべく、各事業を市場環境、独自の強み、サステナビリティ、収益性、シナジー、リソース配分の6つの視点から考察し、企業価値向上の実現に向け、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでおります。事業整理に位置付けた事業は速やかに整理を進め、再編に位置づけた事業は抜本的な見直し等、構造改革を断行しております。 (強化・成長)海外酒類は2022年に子会社化したSTONE BREWING CO.,LLCの拠点を活用した「SAPPORO PREMIUM BEER」の現地製造開始とあわせ、マーケティング投資によるブランド強化を行います。海外飲料はシンガポールを起点にマレーシア、中東等での売上拡大を目指します。国内酒類は黒ラベル・ヱビスへの集中投資によるビールカテゴリーの強化を行うとともに、RTDは2023年に稼働を開始した自社製造拠点を活用した成長を目指します。不動産は恵比寿・札幌エリアでの保有物件の価値向上を行い、まちづくりを推進することにより、収益と効率を向上させます。 (財務目標)・ROE:8%・EBITDA年平均成長率(CAGR):10%程度・海外売上高年平均成長率(CAGR):10%程度 (主な非財務目標)・温室効果ガス排出削減(いずれも2022年比) スコープ1、2 2030年 42%削減(2026年 21%削減) スコープ3 2030年 25%削減(2026年 12.5%削減)  ※SBT認定済・女性役員比率、女性管理職比率:12%以上 (3)財務戦略「持続的成長と資本効率重視」をテーマに、構造改革・事業成長による収益力強化と、資産や事業ポートフォリオの見直しにより資本効率を高め企業価値向上を確かなものにします。財務の健全性は、現状格付けを維持することを基本とします。投資については、営業キャッシュフローとのバランスを取りながら、海外への投資を優先することで成長促進を図ると共に、サステナビリティ関連の投資も推進します。なお、M&A等の成長投資の機会には、現状格付を確保できる範囲で機動的に対応します。株主の皆様への利益還元は、経営上の重要政策と位置付けており、業績や財務状況を勘案して安定した配当を行うことを基本方針としています。今後の配当水準につきましては、連結配当性向30%以上を基本に、現状水準を下限として、企業価値向上を伴わせた配当水準の向上を図ります。なお、特殊要因にかかる一時的な損失や利益計上により、当期利益が大きく変動する場合は、その影響を考慮して配当金額を決定することがあります。 (4)対処すべき課題①中期経営計画(2023~26)の推進とモニタリングについて当社グループは、「中期経営計画(2023~26)」の達成に向けて、内部運用ならびに外部開示の2つの観点からモニタリング体制を構築し、運用しております。内部運用の観点では、各事業セグメントにおける構造改革および成長戦略に関する具体的なアクションプランの進捗について、取締役会等を通じて綿密なモニタリングを行い、計画達成の裏付けを強化しております。また、外部開示の観点では、当社グループの取り組みを、従来以上に具体的に分かりやすく、且つタイムリーにステークホルダーの皆様にお伝えすることで、計画達成の蓋然性に対する信頼性の向上に努めております。 ②サステナビリティ経営の推進について「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。 ③DXの推進について大きな環境変化が続く中で、サッポログループでは新たな時代のニーズに即した価値を創出する手段として、DXを推進しております。以下のとおり「サッポログループDX方針」を策定し、グループ内でのDX・IT人財の育成と活用を進めております。 「サッポログループDX方針」方針① お客様接点を拡大:お客さまとつながり、理解を深め、寄り添うこと方針② 既存・新規ビジネスを拡大:お客さま起点で考えぬかれた新たな価値の創造と、稼ぐ力を増強すること方針③ 働き方の改革:サッポログループにかかわるあらゆるステークホルダーと共に成長し続けるため自分たちの仕事をもっと楽に、もっと楽しく、働くことに誇りを持てるものにしていくこと DX推進体制グループのDX・ITに関する経営資源配分の支援・調整・確認を行い、方向性を決定するための機関として、DX・IT担当役員を委員長とする「グループDX・IT委員会」を2022年4月1日付で設置しております。 DX推進戦略2022年から2023年にかけて「DX・IT人財育成プログラム(DXP)」を通じて、200名のDX・IT推進基幹人財の育成を実施してまいりました。2024年以降は高度デジタル人財の育成強化、市民開発ツールの積極展開などの環境整備により育成人財の成果創出を推進してまいります。 ④グループ価値向上のための中長期経営方針サッポログループ「中期経営計画(2023~26)」の公表(2022年11月)後、IR及びSR活動等を通じ、資本市場から様々なご意見をいただきました。それらも踏まえ、当社では、2023年9月に社外有識者を含めた構成の「グループ戦略検討委員会(以下、「本委員会」という)」を設立し、第三者のアドバイザーを含めた多面的、客観的な視点も加え、現中期経営計画の先にある中長期的な企業価値向上のための経営方針について議論をしてきました。今般、当社は本委員会からの提言も踏まえ、2024年2月の取締役会において「グループ価値向上のための中長期経営方針」を決議いたしました。その概要は以下のとおりです。 ・中長期的な企業価値向上のためにより一層の経営リソース集中を進めます。競争優位な強みを有する事業と、その事業とシナジーを明確に見出せる事業に集中し、創業来のDNAである酒類の市場創造力に磨きをかけることで、世界をフィールドに豊かなビール体験、顧客体験を創造する企業として成長、資本収益性を向上させます。 ・資本効率の改善を重要課題と捉え、ROE10%以上の達成を目指します。また、ROICを社内管理指標とし、事業別のWACCに基づいた事業継続判断基準の厳密化と、ROICツリーを用いた事業モニタリングを徹底します。さらに、外部から取り込む資本も活用して財務安定性を高めるとともに、政策保有株式の削減を前倒しし、酒類事業に向けた成長投資の機動力を高めていきます。 今後上記諸点の検討を進め、後日、より具体的な取り組み内容を開示する予定です。 <サッポログループの変革の方向性イメージ>
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績等の概要①業績                                        (単位:百万円) 売上収益事業利益(※)営業利益親会社の所有者に帰属する当期利益2023年12月期518,63215,63311,8208,7242022年12月期478,4229,31210,1065,450増減率(%)8.467.917.060.1※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。 <売上収益>売上収益は、食品飲料事業が減収となった一方で、酒類事業において業務用市場が順調に回復したことや、2022年8月末に連結子会社化したSTONE BREWING CO.,LLC(以下、Stone社)が当社グループへ加入し通年寄与したこと等により、全体では前期比8.4%増、402億円増収の5,186億円となりました。 <事業利益>事業利益は、国内酒類事業の増収効果や、外食事業及び国内食品飲料事業の構造改革効果等により、前期比67.9%増、63億円増益の156億円となりました。 <営業利益>営業利益は、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したことに伴う減損損失の計上があった一方で、事業利益が改善したことや、投資不動産の売却等により、前期比17.0%増、17億円増益の118億円となりました。 <親会社の所有者に帰属する当期利益>親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増益等により、前期比60.1%増、前期比33億円増益の87億円となりました。また、基本的1株当たり利益は111.99円(前期69.96円)となり、親会社所有者帰属持分比率は27.5%(前期26.0%)となりました。 以下、報告セグメント別の概況は記載のとおりです。 〔酒類事業〕 売上収益は、業務用市場の順調な回復、価格改定、北米での好調な販売、2022年8月末にStone社が当社グループに加わったこと等により、前期から増収となりました。 事業利益は、原材料高騰等により変動費が増加したものの、業務用市場の回復等の増収効果及び外食事業の構造改革効果により、前期から増益となりました。 営業利益は、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したことに伴う減損損失の計上があった一方で、事業利益が前期から増益したこと等により、前期から増益となりました。  ■売上収益 3,769億円(前期比422億円、12.6%増) ■事業利益  160億円(前期比83億円、107.2%増) ■営業利益   90億円(前期比1億円、0.8%増) 酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。 (国内酒類)新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、業務用市場は回復基調にあった一方で、家庭用市場は軟調に推移しました。日本国内のビール類(ビール・発泡酒・新ジャンルの総称)の総需要は前期比99%程度、ビールの総需要は前期比107%程度になったと推定されます。2023年10月の酒税改定を踏まえ、ビール強化とRTD(※)強化により一層注力しています。そのような中、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、前期比102%になりました。業務用商品の売上数量では、前期比123%となりました。また、家庭用商品では、酒税改正に伴う発泡酒・新ジャンル市場の縮小影響や、業務用市場の回復影響を受けながらも、黒ラベル缶の売上数量が前期比104%、RTD缶の売上数量が前期比116%となり、引き続き好調に推移しました。 (海外酒類)カナダでは、新型コロナウイルス感染症対策により経済再開が進み、業務用市場は前期より回復傾向にありましたが、インフレ進行の影響等によりビール類総需要は前期を下回ったと推定されます。また、アメリカでも同様にインフレ進行の影響があり、前期を下回ったと推定されます。そのような中、海外ブランドのビールの売上数量は、カナダでの業務用市場の回復に加えて、アメリカにおいてStone社の売上が加わったこともあり、前期を上回りました。また、注力している北米でのサッポロブランドビールの売上数量は、前期比104%となり、前期に引き続き過去最高を記録しました。なお、2023年7月にANCHOR BREWING COMPANY, LLC(以下、Anchor社)の解散を決議しました。Anchor社は、業績不振が継続していたことから、中期経営計画において事業整理の対象として位置付けておりました。成長ドライバーとなるアメリカにおいては、構造改革を断行することでリソースをシフトし、Stone社とのシナジー創出により、サッポロブランドビールを中心としたさらなる成長を目指します。なお、2023年12月より「SAPPORO PREMIUM BEER」のStone社での製造を一部開始しております。 (外食)新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、外食市場は回復基調が続いています。そのような中、当社グループの外食事業は2019年比の既存店売上が106%となり、価格改定、来客数の回復、インバウンド層やシニア層の獲得により新型コロナウイルス拡大前の水準まで回復に至りました。 ※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイ等のアルコール飲料 〔食品飲料事業〕売上収益は、2022年11月の自動販売機オペレーター子会社の清算に伴う稼働台数の減少や2022年4月にカフェ事業を売却した影響等もあり、前期から減収となりました。事業利益及び営業利益は、価格改定や構造改革による効果が寄与したものの、原材料高騰の影響や海外飲料における滞留債権に対する貸倒引当金の計上等の影響を受け、前期から減益となりました。  ■売上収益 1,199億円(前期比30億円、2.4%減) ■事業利益   16億円(前期比1億円、7.5%減) ■営業利益   17億円(前期比6億円、25.4%減) (国内食品飲料)新型コロナウイルスの5類移行に伴い、業務用市場や自動販売機における需要はほぼ回復したものの、国内における飲料総需要は、前期比99%に留まったものと推定されます。そのような中、当社グループの国内飲料の売上金額は価格改定効果もあり、売上金額はレモン事業の主力ブランドであるキレートレモンが前期比109%、国産素材にこだわった無糖茶が前期比160%と好調のコーン茶を中心に堅調に推移しましたが、飲料全体では商品改廃や自動販売機稼働台数減少等により、前期比93%となりました。レモン食品の売上金額は、主力ブランドのポッカレモン100が前期比102%となり、売上金額全体では前期比105%と好調に推移しました。 (海外飲料)シンガポールにおいて、家庭用チャネルを中心とした売上金額が堅調に推移し、価格改定効果も貢献したことで、前期比106%となりました。また、注力エリアであるマレーシアの総需要は、コロナ禍以降の需要の回復が一段落し低調であったものの、当社グループでは販売体制の強化を進めたことで売上金額は前期比107%となりました。中東等への輸出事業においては、財務状況の悪化が生じた取引先に対しての販売停止等があり、売上金額は前期比93%となりました。 〔不動産事業〕首都圏のオフィス賃貸市場は、コロナ禍により低下した稼働率は横ばい、平均賃料水準は軟調に推移し回復には至っておりません。そのような中、売上収益は、大型複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」における「センタープラザ」の2022年11月のリニューアル開業による増収効果、多目的ホール「The Garden Hall/Room」の稼働率の増加等により、前期から増収となりました。事業利益は、2022年より開始した「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス棟の空調機能更新工事に伴う稼働率の低下により、前期から減益となりました。営業利益は、事業利益が前期から減益となった一方で、投資不動産の売却等により、前期から増益となりました。  ■売上収益 217億円(前期比10億円、4.7%増) ■事業利益  58億円(前期比7億円、10.5%減) ■営業利益  89億円(前期比34億円、62.9%増) ②財政状態の状況 当連結会計年度末における資産、負債、資本の状況とそれらの要因は次のとおりです。 (単位:百万円)区分2022年12月期2023年12月期増減額流動資産179,431176,353△3,079非流動資産459,687487,22027,533資産合計639,118663,57324,455流動負債219,515191,204△28,311非流動負債252,402289,12136,719負債合計471,917480,3258,408資本合計167,201183,24816,047負債及び資本合計639,118663,57324,455(資産)資産合計は、投資有価証券の償還によるその他の金融資産(流動)の減少等があった一方、有形固定資産の増加、出資によるその他の金融資産(非流動)の増加等によって、前連結会計年度末と比較して245億円増加し、6,636億円となりました。(負債)負債合計は、社債及び借入金(流動)の減少等があった一方、社債の発行による社債及び借入金(非流動)の増加、設備投資に伴うその他の金融負債の増加等によって、前連結会計年度末と比較して84億円増加し、4,803億円となりました。(資本)資本合計は、期末配当の実施による利益剰余金の減少等があった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、在外営業活動体の換算差額の変動によるその他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末と比較して160億円増加し、1,832億円となりました。(各種財務指標)流動比率は、流動資産が31億円減少し、流動負債が283億円減少したことにより、前連結会計年度の81.7%から92.2%に10.5ポイント増加しております。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度の26.0%から27.5%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の増加等により親会社の所有者に帰属する持分が増加した一方、有形固定資産の取得等により資産合計が増加したことによるものです。親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、前連結会計年度の3.3%から5.0%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益が増加したことによるものです。ネットD/Eレシオは、前連結会計年度の1.4倍から1.1倍に減少しております。これは、親会社の所有者に帰属する持分が増加し、社債及び借入金(流動)の減少等でネット有利子負債が減少したことによるものです。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18億円、12%増加し、当連結会計年度末には172億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (単位:百万円)区分2022年12月期2023年12月期増減額営業活動によるキャッシュ・フロー7,81445,44637,631投資活動によるキャッシュ・フロー△46,137△16,43929,698フリー・キャッシュ・フロー△38,32329,00767,330財務活動によるキャッシュ・フロー36,465△27,140△63,606現金及び現金同等物に係る換算差額△131△4388現金及び現金同等物の増減額(△減少)△1,9881,8243,812現金及び現金同等物の期首残高17,36815,380△1,988現金及び現金同等物の期末残高15,38017,2041,824(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、454億円(前期は78億円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産及び無形資産除売却損益37億円、利息の支払額21億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費210億円、税引前利益121億円、減損損失及び減損損失戻入益73億円の増加要因があったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、164億円(前期は461億円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入が74億円あった一方、有形固定資産の取得による支出165億円、投資有価証券の取得による支出107億円、投資不動産の取得による支出105億円があったことによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、271億円(前期は365億円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入が250億円、社債の発行による収入が200億円あった一方、長期借入金の返済による支出が215億円、コマーシャル・ペーパーの減少額が170億円、短期借入金の減少が163億円、社債の償還が100億円あったことによるものです。 なお、当連結会計年度末のセグメント別の設備投資額等の内訳は、以下のとおりです。 (単位:百万円) 酒類食品飲料不動産その他全社又は消去連結合計EBITDA(注) 2023年12月期26,6244,42011,26115△6,29136,029 2022年12月期18,8984,38511,49518△4,91629,879 増減7,72535△234△2△1,3756,149設備投資(支払ベース) 2023年12月期12,2103,42611,852-1,43528,923 2022年12月期6,3912,14412,785-1,00622,326 増減5,8191,282△933-4296,597減価償却費及び償却費 2023年12月期11,1952,7865,477-1,51420,971 2022年12月期11,8432,6175,036-1,73821,234 増減△648169441-△224△263(注) EBITDA(事業利益+減価償却費)算出の際の減価償却費につきまして、飲食店舗の家賃にかかる使用権資産の減価償却費を除いております。 (2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。 ①重要性がある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。 ②当連結会計年度の経営成績の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。 ③経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。 ④事業戦略と見通し〔2024年見通し〕 次期は、「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、「中期経営計画(2023~26)」の2年目として、構造改革に目処をつけ、2025年以降の成長戦略の実行を確かなものにしていきます。 2023年に引き続き、原材料高騰による物価上昇が見込まれることに加え、「物流の2024年問題(ドライバーの時間外労働の規制強化)」の影響により、物流費が高騰する見通しです。 このような中、当社グループは構造改革の断行と成長の加速により更なる収益力の強化を図ります。国内の酒類事業や食品飲料事業においては、更なる原材料や運搬費の高騰が見込まれますが、価格改定に加えて、コスト削減や不採算事業の抜本的な見直し等の構造改革で収益性改善に努めてまいります。不動産事業では、恵比寿及び札幌エリアのコア物件の価値向上を通じて、長期的な時間軸により総合的な資産価値向上を図ります。また、海外事業では、北米酒類、海外飲料の売上拡大を図るとともに、Stone社とのシナジーを最大限に創出し、グループの成長ドライバーにしていきます。これらの取り組みにより、グループ全体の収益力向上に努めます。 以上により、売上収益、事業利益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、当期と比較して増収増益となる見通しです。 〔酒類事業〕(国内酒類) 次期は、2023年10月の酒税改定を踏まえたビール強化とRTD強化により一層注力します。RTDは売上の成長と共に、仙台工場のRTD生産設備により、生産性向上に努めます。2023年に引き続き、原材料等の高騰は国内酒類の業績に強く影響を与えるものの、品種ミックス改善に努めること等によりその影響を吸収する見通しです。 (海外酒類) アメリカにおいては、Stone社での「SAPPORO PREMIUM BEER」の製造を本格化させるとともに、シナジー効果を最大限に創出していきます。また、サッポロブランドのマーケティング投資の拡大により、さらなる成長を目指すとともに、その魅力を一層広めてまいります。カナダにおいては、プレミアムブランドのビール及びRTDの強化に引き続き注力するとともに、コスト構造改革を進めることで事業の効率性を高めて更なる収益性の向上に努めます。 (外食) 需要が大きく回復に転じた2023年の基調を維持し、更に強固な経営体制の構築を図るべく、既存店の強化を柱に、YEBISU BAR、銀座ライオンといった注力業態へのリソースシフトを進めます。引き続き原材料や諸コストの上昇が見込まれますが、適時・適切な価格改定、顧客体験価値向上の取組みを通じ、収益確保を目指します。 〔食品飲料事業〕(国内食品飲料) 次期は、成長領域であるレモン事業へのリソース集中に向けた取り組みを加速させます。原材料等の高騰が2023年に引き続き見込まれますが、価格改定に加えて、更なるコスト削減や不採算事業の見直し等の構造改革を実行することにより収益力の強化を図ります。 (海外飲料) 海外飲料は、原材料等の高騰の影響を受けるものの、価格改定等によりその対策を講じます。シンガポールを起点にマレーシア、中東等の成長余地のある国や地域で販売及びマーケティングの体制を強化することで、グループの成長ドライバーとしていきます。 〔不動産事業〕次期は、恵比寿及び札幌エリアのコア物件の価値向上とまちづくりの推進により競争力強化を図りながら、サッポログループの価値向上に努め、長期的な時間軸で総合的な資産価値の向上に努めます。 ⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。 ⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析ⅰ)キャッシュ・フローの分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。 2022年12月期2023年12月期親会社所有者帰属持分比率(%)26.027.5時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)40.073.0キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)37.96.1インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)4.521.3親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分÷資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額÷資産合計キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い(注)1 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。   2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。   3 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。 ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。現在そして将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関等からの借入れによって調達しています。 ⑦経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。今後の方針につきましては、「中期経営計画(2023~26)」の基本方針である「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、経営課題への取り組みを推進します。 (3)生産、受注及び販売の実績①生産実績当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(kl) 前期比(%)酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等)805,1156.8酒類事業(ワイン・焼酎・RTD等)102,0113.7食品飲料事業(飲料水等)332,990△7.2 ②受注実績当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円) 前期比(%)酒類事業376,86212.6食品飲料事業119,922△2.4不動産事業21,7024.7報告セグメント計518,4868.4その他1464.3合計518,6328.4(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)国分グループ本社㈱62,06113.073,85414.2

※本記事は「サッポロホールディングス株式会社」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント