会社名 | 株式会社リコー |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連78665名 単5041名 |
従業員平均年齢 | 45.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 20年 |
平均年収 | 8602008円 |
1株当たりの純資産 | 696.15円 |
1株当たりの純利益(連結) | 78.11円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 38円 |
配当性向 | 111.5% |
株価収益率(PER) | 46.29倍 |
自己資本利益率(ROE)(単体) | 4.71% |
営業活動によるCF | 1368億円 |
投資活動によるCF | ▲793億円 |
財務活動によるCF | ▲455億円 |
研究開発費※1 | 32.77億円 |
設備投資額※1 | 36.58億円 |
販売費および一般管理費※1 | 611.1億円 |
株主資本比率※2 | 35.4% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)変わることと変わらないこと当社グループが変わらずに大切にしているものがあります。それは創業の精神である「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」からなる「三愛精神」です。「“はたらく”に歓びを」を「使命と目指す姿」と定め、“はたらく”に寄り添い変革を起こし続けることで、人ならではの創造力の発揮を支え、持続可能な未来の社会をつくることを目指しています。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。 (2) リコーの中期展望当社グループは、2023年3月に、同年4月からスタートする第21次中期経営戦略(以下、21次中経)を発表しました。使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指しています。注力している領域は、働く人をタスクから解放するプロセスオートメーション、創造性を高めるワークプレイスエクスペリエンス、ワークプレイスの基盤となる環境を構築するITサービス、の3つです。この注力領域において、グローバルの顧客基盤や、ワークプレイス領域における課題把握力・提案力、そして魅力的な自社IPといった強みを活かしながら、ワークプレイスサービスプロバイダーとして、お客様に寄り添いながら継続的に価値を創造し、提供します。 ◆将来財務(ESG)の視点ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、「ESGグローバルトップ企業」を目指し、お客様や株主・投資家の皆様からの高まるESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めます。21次中経では、事業を通じた4つの社会課題解決と、それを支える3つの経営基盤強化の7つのマテリアリティ(重要社会課題)に取り組んでいます。また、これら7つのマテリアリティに対する評価指標として16のESG目標(将来財務目標)を設定しています。マテリアリティとESG目標は、グローバルなESGの潮流への対応と経営戦略の実行力向上の観点で設定しており、16のESG目標は各ビジネスユニット、機能別組織にブレークダウンして展開しています。「事業を通じた社会課題解決」では、お客様の“はたらく”を変革するデジタルサービスを提供し生産性向上と価値創造を支援しています。また、脱炭素社会、循環型社会の実現にも引き続き注力し、当社グループの強みである技術力と顧客接点力を活かし、地域・社会システムの維持発展、効率化に貢献しています。「経営基盤の強化」では、人権問題への対応の強化、デジタルサービスの会社への変革に向けたデジタル人材の量・質の確保、デジタルサービス関連特許の強化等に取り組んでいます。また、社会課題解決に貢献する事業とその貢献金額を明確化し、2025年度までの売上高目標を設定しました。今後もESGと事業成長の同軸化の取り組みを加速させていきます。2025年度の目標額、並びに2023年度及び2024年度における実績額は、以下表のとおりです。 マテリアリティ社会課題解決型事業21次中経目標(2025年度末)実績2023年度2024年度“はたらく”の変革オフィスサービススマートビジョン 等10,170億円9,260億円10,060億円地域・社会の発展GEMBA(オフィス以外を対象とした保守・サービス)自治体ソリューション教育ソリューション 等320億円200億円280億円脱炭素社会の実現循環型社会の実現環境配慮型複合機商用印刷シリコーントップライナーレスラベルラベルレスサーマル 等4,280億円3,150億円4,100億円 ◆21次中経基本方針中長期目標を達成するために掲げた「①地域戦略の強化とグループ経営の進化」「②現場・社会の領域における収益の柱を構築」「③グローバル人材の活躍」という3つの基本方針は継続して取り組んでいます。 基本方針① 地域戦略の強化とグループ経営の進化オフィスプリンティング以外の収益を積み上げ高収益な体質に変革していくために、顧客接点における価値創造能力の向上、当社グループ内でのシナジー発揮、継続した収益改善のために環境変化への対応力をつけていくことを重視し取り組みを進めました。この収益構造の変革に向けて、特に注力すべき価値提供領域を「プロセスオートメーション」「ワークプレイスエクスペリエンス」「ITサービス」と定め、地域ごとの特性を重視しながらリソースを集中的に投下し、サービス分野のストック収益を積み上げる戦略を実行しています。 基本方針② 現場・社会の領域における収益の柱を構築デジタルサービスの領域を拡げ、より幅広いお客様に価値を提供していくため、「現場・社会」領域での収益の柱の構築を21次中経の基本方針として掲げています。商用印刷事業を中心に進捗しており、リコーグラフィックコミュニケーションズの当連結会計年度の業績は前年度比で増収・増益となっています。引き続き「現場・社会」領域での収益の柱の構築に取り組むと同時に、事業ポートフォリオマネジメントを通じて、出口プロセスへの移行を判断した事業については適切な出口戦略を探索しながら、注力する事業領域を見極めていきます。 基本方針③ グローバル人材の活躍事業構造を変化させ、グローバルでの提供価値を拡大させるためには、社員の活躍が不可欠です。当社グループでは社員の能力やスキルを資本と捉え、人に対して積極的に投資をしていく人的資本戦略を策定しています。 ◆企業価値向上プロジェクト目指す姿の実現に向けて2023年4月から企業価値向上プロジェクトに取り組んでいます。株主・投資家・アナリストの皆様との対話や資本市場目線での分析など、様々な角度から企業価値向上に向けて当社グループが取り組むべき課題について検討を進めました。低PBRの最大の要因は収益性の低さにあり、今後デジタルサービスの会社として成長を実現するためには、各事業のビジネスモデルに適合した収益構造の実現が必要であることから、抜本的な収益構造変革を推し進めています。具体的に、① 本社改革、② 事業の「選択と集中」の加速、③ オフィスプリンティング事業の構造改革、④ オフィスサービス事業の利益成長の加速 の4つの領域で収益構造の変革に取り組んでいます。 ① 本社改革R&D投資は、デジタルサービスと親和性の高いワークプレイス領域によりフォーカスしていきます。また、顧客接点でより多くの価値を創造するデジタルサービス型へグループの経営体制をシフトしています。 ② 事業の「選択と集中」の加速デジタルサービスの会社への変革・資源配分の最適化に向けて、従前より進めていた事業ポートフォリオマネジメントの取り組みをさらに加速しています。当社グループの強みが生きる「ワークプレイス」を注力領域として、リソースを戦略的に配分し、事業ポートフォリオマネジメントで出口プロセスへの移行を判断した事業については出口戦略の検討とその実行を進めています。 ③ オフィスプリンティング事業の構造改革オフィスプリンティング市場は縮小するという認識のもと、売上高が減少したとしても収益を確保するための体質強化を進めています。東芝テック株式会社(以下、東芝テック)との合弁会社組成に加え、当該合弁会社への沖電気工業株式会社(以下、OKI)の参画を発表し、開発・生産の効率化やSCMの最適化などの取り組みを進めています。 ④ オフィスサービス利益成長の加速デジタルサービスのコアであるオフィスサービス事業については、お客様におけるオフィスサービスの導入率の向上やストック売上成長率の向上といった利益成長のメカニズムを意識しながら、継続的な収益性向上に取り組みます。また、提供価値最大化のため販売・サービスや支援業務については、インサイドセールス等も活用しながら、顧客との関係性を重視したデジタルサービスの会社として相応しい体制へと見直します。 デジタルサービスの会社としての利益成長を着実に進めるための継続的な収益改善とあわせ、中長期の視点を見据えた成長施策にも取り組むことで、継続的な企業価値向上を実現していきます。 ◆成長を支える資本政策当社グループは、ステークホルダーの皆様の期待に応えながら、株主価値・企業価値を最大化することを目指しています。専門家の意見も取り入れながら様々な手法・複数の視点で当社グループの資本コストを把握し、株主の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。 企業価値最大化の実現に向けて、厳正な事業ポートフォリオ管理のもとで、各ビジネスユニットを投下資本利益率(以下、ROIC)や市場性などで評価した上で、合理的な判断・意思決定を行い、経営資源配分の最適化に取り組んでいます。当社グループでの事業ポートフォリオマネジメントでは、収益性と市場性という従来型のポートフォリオの切り口に加えて、「デジタルサービス親和性」という観点からも評価を行っています。この3つの観点において、各ビジネスユニット・事業を客観的に評価し、成長加速、収益最大化、戦略転換、事業再生の4つに分類し、デジタルサービスの会社として必要な経営基盤の強化に努めています。また、中長期的に目指すROE 10%超を継続できる資本収益性の実現に向け、資本コストを上回る収益性を追求するため、各ビジネスユニット・部門にてROICツリーを用いた施策管理を実施しています。さらに、それらの主要施策を全社のROICツリーに採用し、単純に財務数値化できないグループ本部の施策についてはKPIとして目指す内容を言語化した上で、「リコー版ROICツリー」として定期的にモニタリングし、財務目標と施策の関連、KGI*1とKPIマネジメントを実施しています。なお、当連結会計年度のROIC*2は、3.2%となりました。*1 KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標*2 ROIC(投下資本利益率) = (営業利益-法人所得税費用+持分法による投資損益) / (親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債) 「リコー版ROICツリー」の概略損益計算書(P/L)に加えて、貸借対照表(B/S)も意識したKPIを設定し、個々の組織と全社の両視点でKPIマネジメントを実施。 デジタルサービスの会社への変革に向けて、リスク評価に基づき適切な資本構成を目指し、投資の原資に借入れを積極的に活用しながら、負債と資本をバランスよく事業に投資していきます。オフィスプリンティング事業などの成熟し安定した収益を生む事業には負債を積極的に活用し、リスクの比較的高い成長事業には資本を中心に配分する考えです。なお、2025年度は、経営環境の不確実性が残る想定のもと、格付や資金調達リスクを鑑みた資本構成で、成長のための資本を確保します。以降は、成長投資領域の安定事業化とあわせ、新たな成長投資戦略に伴う事業構造変化を考慮し、柔軟に最適資本構成を調整していく考えです。事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への変革に向けた成長投資については、欧米におけるワークプレイスエクスペリエンス領域やアプリケーションサービス領域でのM&A投資など、事業成長のための投資を着実に進めています。財務規律を考慮しつつ企業価値最大化に向けた成長投資を継続します。投資原資は、営業キャッシュ・フローを中心に有利子負債も活用しながら戦略的に実施します。 株主還元方針については、引き続き総還元性向50%の方針を堅持していきます。総還元性向 50%を目安とした上で、配当利回りを意識し毎年利益拡大に沿った継続的な増配を目指します。さらに、自己株式取得などの追加還元策は、経営環境や成長投資の状況を踏まえながら、最適資本構成の考え方に基づき、機動的かつ適切なタイミングで実施し、TSR*の向上を実現していきます。この株主還元方針を踏まえ、2024年2月7日から2024年8月30日の期間に 300億円の自己株式取得を実施しました。内訳は、前連結会計年度に 75億円、当連結会計年度に 225億円となります。なお、2024年9月30日に当該自己株式の消却を実施しました。また、2024年12月3日に 300億円の自己株式取得を実施し、2025年1月31日に当該自己株式の消却を実施しました。また、翌連結会計年度の配当見通しについては、当連結会計年度から1株当たり 2円増配し年間 40円を予定しています。* TSR(Total Shareholder Return):株主総利回りは、キャピタルゲインと配当をあわせた、株主にとっての総合投資利回り (3)翌連結会計年度の見通し当連結会計年度は、世界経済はインフレの鈍化もあり緩やかな成長は見せているものの、経済摩擦の増加やインフレの継続、為替相場の変動など、不透明な状況が続いています。また、米国の新たな関税政策はグローバルなサプライチェーンに大きな影響を与えることになります。翌連結会計年度の業績見通しについては、連結売上高 25,600億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は 560億円としました。今般の新たな関税政策の導入に伴い、営業利益で 130億円程度の影響が生じる見込みです。この試算値は今後の前提の変化によって変更が生じる可能性がありますが、生産・商物流・投入商品・価格政策・販売チャネルなどの各軸で対策を機動的に実行し、影響の軽減に取り組みます。加えて付加価値の高いストック契約の獲得などオフィスサービス事業での利益成長を図り、オフィスプリンティング事業においても効率的なMIF(市場稼働機)マネジメント・顧客ターゲティングの徹底により収益維持・改善に取り組みます。企業価値向上プロジェクトの活動を確実に実行することに加え、組織力を強化し環境変化への対応力を高めながら、デジタルサービスの会社として相応しい収益構造へと変革を進めていきます。 |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」に記載しております。 (2) 経営成績経営を取り巻く経済環境当連結会計年度の世界経済は、インフレ率の低下を受けた中央銀行の金融緩和政策に支えられる形で、緩やかな成長を続けました。日本経済も、物価や賃金が上昇し、プラス金利が定着するなど、デフレからの脱却傾向が明確になりました。しかしながら、米国での政権交代以降、その通商政策の影響から世界経済や地政学を巡る不確実性が高まり、金融資本市場の変動も大きくなっています。このような経済情勢の中で、当社グループのメイン市場であるオフィスにおいても、リモートワークをはじめとする新しい働き方が定着し、AIやITの進化に伴って業務プロセスも変わり続けています。それによる顧客課題・ニーズも時代とともに変化し、プリンティング需要は減少傾向にあるものの、デジタルサービスの需要はより高まってきています。一方で、局所的な地政学リスクの高まりによる輸送費・部品費の高騰は続いており、賃金と物価上昇の圧力に対する各国の金融政策動向など、世界経済は依然として不透明な状況です。なお、主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 152.65円(前連結会計年度に比べ 8.12円の円安)、対ユーロが 163.86円(同 7.12円の円安)となりました。 当連結会計年度の業績当連結会計年度は当社グループ(当社及び関係会社)にとって、3カ年の21次中経の2年目となります。当社グループの使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指して取り組みを進めました。当社グループが注力している領域は、はたらく人を単純作業から解放するプロセスオートメーション、創造性を高めるワークプレイスエクスペリエンス、そしてワークプレイスの基盤となる環境を構築するITサービスの3つです。この注力領域において、グローバルの顧客基盤や顧客の課題把握力・提案力に優れた販売・サービス体制、そして魅力的な自社IP*といった強みを活かしながら、変容するワークプレイスにおいて一貫したサービスをグローバルに提供しています。*自社IP(Intellectual Property):企業が自らの努力で生み出した知的財産で、ライセンス使用料等収益の源泉となる等の経済価値を有するもの 当連結会計年度は、企業価値向上プロジェクトに最優先で取り組みました。デジタルサービスの会社として成長を実現するために、① 本社改革、② 事業の「選択と集中」の加速、③ オフィスプリンティング事業の構造改革、そして ④ オフィスサービス事業の利益成長の加速の4つの領域で収益構造の変革を進めました。 当連結会計年度の連結売上高は、25,278億円となりました。オフィスプリンティング事業では主に海外でハード・ノンハードの売上が減少しましたが、同事業における東芝テックとの開発・生産に関する合弁会社「エトリア株式会社」(以下、ETRIA)の組成、オフィスサービス事業の成長や円安の影響等もあり前連結会計年度に比べ 7.6%増加となりました(為替影響を除くと 4.4%の増加)。地域別では、国内は、法改正対応やセキュリティ関連需要を背景にスクラムシリーズが引き続き伸長したことに加え、パソコンの買い替え需要の増加やそれに伴うITサービス・アプリケーションサービスの拡販も進み、オフィスサービス事業を中心に売上が増加しました。加えて、東芝テックとの複合機等の開発・生産に関する事業統合の効果もあり、前連結会計年度と比べ 11.3%の増加となりました。海外では、米州において、オフィスプリンティング事業でハード・ノンハードともに売上が減少しました。一方で、オフィスサービス事業において2022年9月に買収したCenero,LLC.(以下、Cenero)の貢献によりワークプレイスエクスペリエンスが拡大したことや、新製品の販売等によりプロダクションプリンターの売上がハード・ノンハードともに伸長したことに加え、円安の影響もあり、前連結会計年度比 4.1%の増加となりました(為替影響を除くと 1.4%の減少)。欧州・中東・アフリカにおいても、オフィスプリンティング事業でハード・ノンハードともに売上が減少しました。一方でオフィスサービス事業においては、ストック収益につながるITサービスやDocuWare GmbH(以下、DocuWare)のクラウドサービスが順調に拡大しました。また、プロダクションプリンターの伸長や、円安の影響もあり、前連結会計年度比 3.9%の増加となりました(為替影響を除くと 0.6%の減少)。その他の地域においては、中国での産業用インクジェットヘッドの販売好調等による売上の増加や円安の影響もあり、前連結会計年度比 14.8%の増加となりました(為替影響を除くと 9.9%の増加)。以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 5.5%の増加となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 0.4%の増加となります。 売上総利益は、オフィスプリンティング事業において売上の減少により利益が減少したものの、オフィスサービス事業や商用・産業印刷事業の成長、体質強化や円安の影響等により増加しました。結果、前連結会計年度に比べ 5.9%増加し 8,686億円となりました。 販売費及び一般管理費は、オフィスサービス等での事業成長経費に加え、企業価値向上プロジェクトの一環として海外でのオフィスプリンティング事業の販売・サービス体制の構造改革や、当社及び国内グループ会社でのセカンドキャリア支援制度の実施に伴う一時費用を計上し、増加しました。海外での構造改革を中心に効果はあったものの、円安の影響により、前連結会計年度に比べ 6.4%増加し 8,189億円となりました。 その他の収益には、当連結会計年度に、当社の中国子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断に伴い、過年度に受領していた土地の立退補償金のうち提携協議書解除に伴う違約金への充当分を計上しております*。 *2024年11月25日付で開示した「当社の子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断および通期業績予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください 以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べて 18億円増加し 638億円となりました。 金融収益及び金融費用は、為替差益の増加の一方、支払利息の増加により前連結会計年度に比べ費用が増加しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の利益増加により前連結会計年度に比べ増加しました。 税引前利益は前連結会計年度に比べ 18億円増加し 700億円となりました。 法人所得税費用は、前連結会計年度から横ばいの 239億円となりました。 以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べて 15億円増加し 457億円となりました。 当期包括利益は、在外営業活動体の換算差額の減少等により、前連結会計年度に比べ減少し 429億円となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 (単位:百万円) 前連結会計年度自 2023年4月1日至 2024年3月31日当連結会計年度自 2024年4月1日至 2025年3月31日増減金額(%)金額(%)金額(%)デジタルサービス売上高計1,852,847100.01,930,109100.077,2624.2 外部顧客向け1,852,847 1,930,109 77,2624.2営業損益40,8022.232,2981.7△8,504△20.8デジタルプロダクツ売上高計484,430100.0584,626100.0100,19620.7 外部顧客向け95,943 157,065 61,12263.7営業損益17,3763.628,7414.911,36565.4グラフィックコミュニケーションズ売上高計262,127100.0292,663100.030,53611.6 外部顧客向け262,127 292,663 30,53611.6営業損益15,4895.923,1597.97,67049.5インダストリアルソリューションズ売上高計113,587100.0113,209100.0△378△0.3 外部顧客向け111,743 112,192 4490.4営業損益△322△0.3△1,821△1.6△1,499-その他売上高計45,616100.056,245100.010,62923.3 外部顧客向け26,327 35,847 9,52036.2営業損益△10,522△23.1△5,597△10.04,925-消去又は全社営業損益△800 △12,951 △12,151 a. デジタルサービス当連結会計年度のオフィスサービス事業は、国内において、法改正対応やセキュリティ関連需要を背景にスクラムシリーズが引き続き伸長したことに加え、パソコンの買い替え需要の増加やそれに伴うITサービス・アプリケーションサービスの拡販を進めることができました。並行して、中堅中小企業のお客様に向けて、セキュリティを確保しながら生産性向上を実現する商材の拡充も進めました。サイボウズ株式会社と共同開発したクラウド型の業務アプリケーションツール「RICOH kintone plus」を利用することで削減された時間・コストを算出できる「RICOH 導入効果測定プラグイン」 や、HENNGE株式会社と提携し、複数のクラウドサービスを利用するお客様の環境においてシングルサインオン、アクセス制御等を実現するクラウドセキュリティサービス「HENNGE One for RICOH」の提供を開始しました。米州においては、ドキュメント関連業務のアウトソーシングサービスにおいて業務効率化とプライシングコントロールを行うことで収益性の改善を進めました。また、Ceneroによる当社既存顧客へのソリューション提案を積極的に進め、ワークプレイスエクスペリエンスが堅調に拡大しました。欧州・中東・アフリカにおいては、景気弱含みの影響により、一部商談の延期や長期化等が発生しましたが、ストック収益につながるITサービスやDocuWareのクラウドサービスが順調に拡大しました。また、2024年4月に買収したドイツのNatif.ai GmbH(以下、natif.ai)のAIを活用した先進的な画像認識やOCR技術を掛け合わせ、より幅広い業務領域への対応を進めました。 デジタルサービスの売上高は、前連結会計年度に比べ 4.2%増加し 19,301億円となりました(為替影響を除くと 1.2%の増加)。オフィスプリンティング事業はノンハードが弱含みで推移し、また海外を中心にハードの販売が伸び悩んだこと等により売上が減少しました。一方、オフィスサービス事業では、地域ごとに異なる顧客ニーズに対応したサービスや施策の展開により各地で売上が増加し、継続的な収益基盤となるストック売上高も前連結会計年度と比較し 14%増加となりました。オフィスサービス事業の成長により利益が増加したものの、オフィスプリンティング事業の売上減少や、企業価値向上プロジェクトの一環として取り組む販売・サービス体制見直しに伴う費用計上により、デジタルサービス全体の営業利益は 322億円となり、前連結会計年度に比べ 85億円減少しました。 b. デジタルプロダクツ 前連結会計年度に複合機の生産調整の影響を受けた一方、当連結会計年度は生産・販売体制が正常化し稼働率が向上したことで、コストダウンが順調に進展しました。また、お客様の生産性向上・DXを支援する複合機・プリンターを中心に、デジタルサービスの成長に寄与するエッジデバイスの製品群を強化しました。2024年7月、当社と東芝テックは複合機等の開発・生産を担う合弁会社ETRIAの組成を完了しました。また、2025年2月には、新たに3社目となるOKIのETRIAへの参画を発表しました。ETRIAは、参画各社の複合機・プリンターの基幹部分の共通化や、部品や材料の共同購買、生産拠点の相互活用を進め、競争力の高い製品の安定的な供給体制を構築し、モノづくり体質の強化を目指します。参画各社の製品ブランドや販売チャネルを維持しながら、ETRIAが生み出す競争力のある高品質・高付加価値な製品を提供し、お客様の生産性向上やDX支援に貢献します。オフィス向けの複合機・プリンターでは、2024年9月に発売した、環境負荷低減に配慮し、小規模の事業所や店舗・病院等限られたスペースに設置可能なA4カラープリンター「RICOH P C375/C375M」、A4カラープリンター複合機「RICOH P C370SF」、A4カラー複合機「RICOH IM C320F」をはじめとして、様々なお客様の幅広い業務やお困りごとに対応できる豊富なラインナップを強化しました。また、働き方が多様化する中で、コミュニケーションの生産性と創造性の向上に貢献するエッジデバイスの新製品として、ハイブリッドな働き方に最適なコラボレーションボード「RICOH Collaboration Board W5500/W6500/W7500」及び、複眼の360度カメラが一体となったWEB会議用マイクスピーカー「RICOH Meeting 360 V2」等の発売により、オフィスだけではなく生産現場・教育現場・医療現場等様々な場所で働くお客様のコミュニケーションの効率化に貢献しました。デジタルプロダクツの売上高は、前連結会計年度に比べ 63.7%増加し 1,570億円となりました。またセグメント間売上高を含む売上高では 20.7%増加の 5,846億円となりました。前連結会計年度は複合機の生産調整の影響を受けましたが、当連結会計年度は生産・販売量の正常化により増収となりました。売上の増加に加え、A3複合機の生産量増加による製品ミックスの改善や生産・開発の体質強化の継続により利益が改善しました。また、ETRIA組成による東芝テックとの複合機等の開発・生産に関する事業統合も、売上高、営業利益の増加に寄与しています。結果として、デジタルプロダクツ全体の営業利益は 287億円となり、前連結会計年度に比べ 113億円増加しました。 c. グラフィックコミュニケーションズ商用印刷市場のお客様においては、印刷物のデジタル化・ペーパーレス化による小ロットでの発注の増加や、より多様化する印刷物に対し複雑化する作業工程への対応が求められています。また、印刷現場における人手不足から、オペレーションの効率化に対する要望が高まっています。当連結会計年度は、ドイツのデュッセルドルフで開催された世界最大規模の国際印刷・メディア産業展「drupa2024」に出展し、お客様の環境にあわせて業務の自働化・効率化・可視化を実現する製品やサービスを紹介しました。世界中の様々な商用・産業印刷のお客様から100件以上の受注獲得や、多くの関心をいただく等、実りあるパートナーシップの強化につながりました。2024年9月、コピー/スキャナー機能を搭載したモノクロプロダクションプリンター「RICOH Pro 8420S/8410S/8400S」、「RICOH Pro 8420Y/8420HT/8410Y/8410HT」の合わせて5機種7モデルを発売しました。高速出力、高画質に加えて、新たな自動原稿送り装置の採用で名刺や領収書等小サイズ原稿の読み取り対応やスキャンスピードが向上しました。また、オフィス向け複合機と共通の操作部を採用していることで、様々なアプリケーションの利用が可能なため、官公庁やオフィスでの大量出力業務や、商用印刷等に幅広く活用いただけます。さらに、機器本体には再生プラスチックや電炉鋼板を使用しており、お客様の環境経営への取り組みにも寄与します。グラフィックコミュニケーションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 11.6%増加し 2,926億円となりました(為替影響を除くと 7.0%の増加)。商用印刷事業では、新製品の拡販やdrupaにおける受注案件の納入等によりプロダクションプリンターの販売が欧米を中心に増加したことに加え、ノンハード売上も堅調に成長しました。産業印刷事業ではサイングラフィック用途の需要の増加を背景にインクジェットヘッドの販売が増加しました。売上高の増加、前連結会計年度に実施した構造改革の効果に加え、円安効果もありグラフィックコミュニケーションズ全体の営業利益は 231億円となり、前連結会計年度に比べ 76億円増加しました。 d. インダストリアルソリューションズ当連結会計年度は、サーマル事業では、成長性の高い社会課題解決型製品拡販による収益拡大を進めました。当社グループは長年培った感熱紙の技術により、剥離紙を用いない感熱ラベルとしてシリコーントップライナーレスラベル(以下、SLL)を販売しています。SLLは、剥離紙を用いないため、紙の使用量を削減し(省資源)、環境負荷低減(CO2排出削減)に貢献する製品です。近年の環境意識の高まりから食品等の用途において好調に推移しました。また、当社グループが開発した、サーマルインクをコーティングすることで、フィルム、紙、段ボール等の様々なメディアに直接印字が可能な「ラベルレスサーマル」を使用した商品パッケージの導入が、大手コンビニエンスストアの食品用ラベルを中心に進んでいます。本製品により、従来使用していた紙ラベル等の間接資材がなくなることにより作業工程の効率化が進み、お客様の生産性の向上を実現します。産業プロダクツ事業では、長年製造業として培ってきた技術を活かし、製造現場におけるミス・不良品の撲滅、生産効率の向上、人手不足の解消を目指しています。当連結会計年度は、これらの各種製品の拡販に加え、モノづくり強化と設計プロセスの変革を通して、収益力強化に注力しました。なお、2024年9月には、車載ステレオカメラやプロジェクター用光学レンズモジュール等の開発・製造・販売を行っていたオプティカル事業の譲渡が完了しました。インダストリアルソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 0.4%増加し 1,121億円となりました(為替影響を除くと 2.7%の減少)。サーマル事業において、国内ではSLL販売が好調に推移したものの、欧州では市況の停滞と価格競争により販売が伸び悩みました。産業プロダクツ事業では、オプティカル事業の譲渡が影響し減収となりました。購買・生産効率化によるコストダウンやプライシングコントロールもあり利益が改善しましたが、オプティカル事業の譲渡に伴う環境対応等の一過性費用の影響により、インダストリアルソリューションズ全体の営業損益は 18億円(損失)となり、前連結会計年度に比べ利益が 14億円減少しました。 e. その他その他の売上高は、前連結会計年度に比べ 36.2%増加し 358億円となりました(為替影響を除くと 32.9%の増加)。カメラ関連事業が新製品の貢献等により好調で増収増益となりました。加えて、新規事業創出のための先行投資においても、企業価値向上プロジェクトの一環として「選択と集中」を進めたこと等により、その他全体の営業損益は 55億円(損失)となり、前連結会計年度に比べ 49億円改善しました。 f. 消去又は全社消去又は全社の配賦不能費用には、上記セグメントに帰属しない損益を計上しております。当連結会計年度に国内でのセカンドキャリア支援制度の実施に伴う一時費用を計上したこと等により、営業利益が前連結会計年度に比べ 121億円減少しました。 (注)事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。 生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりです。① 生産実績前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。事業の種類別セグメントの名称前連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)(百万円)当連結会計年度(自2024年4月1日 至2025年3月31日)(百万円)前連結会計年度比(%)デジタルサービス---デジタルプロダクツ429,701495,98915.4グラフィックコミュニケーションズ176,315192,5599.2インダストリアルソリューションズ103,780106,0122.2その他37,98441,5299.3合計747,780836,08911.8 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。また、サービスに係る生産実績は含まれておらず、製造に係る生産実績としております。 ② 受注実績当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。 ③ 販売実績前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。事業の種類別セグメントの名称前連結会計年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)(百万円)当連結会計年度(自2024年4月1日 至2025年3月31日)(百万円)前連結会計年度比(%)デジタルサービス1,852,8471,930,1094.2デジタルプロダクツ95,943157,06563.7グラフィックコミュニケーションズ262,127292,66311.6インダストリアルソリューションズ111,743112,1920.4その他26,32735,84736.2合計2,348,9872,527,8767.6 (注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。2 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先はありませんので、記載を省略しております。 (3) 財政状態資産合計は、前連結会計年度末に比べ 709億円増加し 23,571億円となりました。前連結会計年度末と比較してETRIAの組成に伴い東芝テックからの承継資産等が増加しました。為替及び東芝テックからの承継資産の影響を除いた試算では 251億円の増加となります。主要通貨の当連結会計年度の期末日レートは、対米ドルが 149.52円(前連結会計年度に比べ 1.89円の円高)、対ユーロが 162.08円(同 1.16円の円高)となりました。資産の部では、現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べ 136億円増加しました。また、natif.aiの買収やETRIA組成によりのれん及び無形資産が 203億円増加したことに加え、リース債権等の金融資産が流動資産と非流動資産を合わせ 169億円増加しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ 813億円増加し 13,023億円となりました。社債及び借入金が流動負債と非流動負債を合わせ 910億円増加しました。資本合計は、前連結会計年度末から 103億円減少し、10,547億円となりました。資本の部では、ETRIA組成や株式会社PFU(以下、PFU)及びElixirgen Scientific Inc.(以下、Elixirgen Scientific)の完全子会社化に伴い、結果として、資本剰余金が増加し、非支配持分が減少しました。一方で、円高により在外営業活動体の換算差額が減少したことに加え、株主還元策として 524億円の自己株式の取得を行い、前連結会計年度に取得した自己株式と合わせて 599億円の消却を実施しました。結果として親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 86億円減少し 10,301億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ 1.7ポイント減少し 43.7%となりました。 (4) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 112億円増加し 1,368億円の収入となりました。当連結会計年度は、当社の中国子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断に伴う預り金の返還等による支出の増加があったものの、営業債権の減少や営業債務の増加等運転資本の改善により、結果として現金収入が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 184億円減少し 793億円の支出となりました。前連結会計年度は、アイルランドのITサービス会社 PFH Technology Groupの買収による支出、当連結会計年度はnatif.aiの買収による支出、オプティカル事業の売却による収入等があり、結果として現金支出が減少しました。以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 297億円増加し 575億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 373億円減少し 455億円の支出となりました。当連結会計年度は、株主還元策として自己株式の取得による支出、PFUやElixirgen Scientificの完全子会社化による支出があった一方で、借入等資金調達の実施による収入等があり、結果として現金支出が減少しました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 122億円増加し 1,818億円となりました。 当社グループでは、事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。資本政策の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) リコーの中期展望 ◆成長を支える資本政策」をご覧ください。 (参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期親会社所有者帰属持分比率48.7 %48.7 %43.3 %45.4 %43.7 %時価ベースの親会社所有者帰属持分比率42.8 %36.5 %28.1 %35.7 %38.1 %債務償還年数1.8 年2.9 年5.4 年2.8 年3.2 年インタレスト・カバレッジ・レシオ47.1 倍26.9 倍13.2 倍32.3 倍26.1 倍 親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/支払利息 ※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 ※キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち社債及び借入金を対象としております。 当社グループの流動性と資金源泉は次のとおりです。現金及び資産負債総合管理 事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。その方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、グローバルキャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等を設定しております。当社グループはリスクの低減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリバティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。 資金源泉 当社グループは主に手元資金及び現金同等物の活用と併せて、様々な信用枠及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しております。流動性と資金源泉の必要額を判断する際、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の残高、並びに営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は 1,818億円、信用枠は 3,832億円であり、そのうち未使用残高は 3,581億円でありました。当社は 1,500億円(信用枠 3,832億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。これらは信用枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能です。当社及び一部の連結子会社は、銀行借入及び社債の発行により資金を調達しております。また、当社グループはグローバルでキャッシュマネジメントシステムを活用してグループ資金を効率的に管理しております。当社は大手格付機関(スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、及び格付投資情報センター(以下「R&I」))から格付を取得しております。2025年6月20日現在、当社の格付はS&Pが長期BBB及び短期A-2、R&Iが長期A+及び短期a-1となっております。 必要資金及び契約債務 当社グループは現金及び現金同等物、営業活動により創出が見込まれる資金、並びに借入金・社債等の調達資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッシュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に設定している信用枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の業務にとって必要な資金、及び事業拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的にキャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり大きくないと考えております。 |
※本記事は「株式会社リコー」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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