会社名 | 花王株式会社 |
業種 | 化学 |
従業員数 | 連32566名 単7861名 |
従業員平均年齢 | 40.8歳 |
従業員平均勤続年数 | 17年 |
平均年収 | 8108000円 |
1株当たりの純資産 | 1561.67円 |
1株当たりの純利益(連結) | 231.94円 |
決算時期 | 12月 |
配当金 | 152円 |
配当性向 | 77.1% |
株価収益率(PER) | 32.4倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 17.3% |
営業活動によるCF | 2015億円 |
投資活動によるCF | ▲459億円 |
財務活動によるCF | ▲1045億円 |
研究開発費※1 | 117億円 |
設備投資額※1 | 150.99億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1276.13億円 |
株主資本比率※2 | 56.2% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。 (1)会社の経営基本方針当社グループは、「豊かな共生世界の実現」をパーパス(社会における存在意義)に掲げ、生活者・顧客の立場にたって、心をこめた“ESG視点でのよきモノづくり”を行い、世界中の人々のこころ豊かな未来と、人と地球が共に生きる持続可能な共生世界の実現に貢献することを目指しています。私たちは、企業理念である「花王ウェイ」をグループ全員で共有し、考え方や行動の拠り所として日々実践し、清潔・美・健康の領域を中心に、時代の変化に対応しながら130年余り事業を展開してきました。2009年には、人類だけでなく自然界にもよき存在であるようにと「環境宣言」を行い、自然と調和するこころ豊かな毎日を目指して、その歩みをさらに一歩進めました。2019年にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(以下、KLP)を発表し、ESGを経営の根幹に据えることを宣言しました。しかし今、私たちが使命に掲げる「豊かな共生世界」を実現するための土台である人の生命に危機が及んでいます。そして今後もその脅威は、私たちの生活を根幹から脅かす存在であり続けることが予想されます。このような中、私たちはこの切実な社会的課題に花王らしいアプローチで取り組んでいきます。生活や生態に加え、人の生命を守ることを強く意識し、未来のいのちを守る会社になっていきます。「きれいを こころに 未来に」をコーポレートスローガンに掲げ、地球が生きる場として持続的にきれいに保たれること、社会が持続的に豊かであること、そして人が危害から守られて笑顔で暮らせること、これらすべてを実現するために貢献していきます。結果として、これらが財務的な成果、そしてステークホルダーへの還元へと繋がり、この仕組み自体が持続していきます。今後も花王グループは、より高いレベルでの企業価値向上を目指していきます。 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標① 長期経営戦略当社グループは2030年までにあるべき姿として、持続的な利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献との両立によって、これまでの『グローバルで存在感のある会社「Kao」』になるという将来像をさらに一歩進め、『グローバルで存在価値のある企業「Kao」』を目指します。ESGを通じて将来にわたって、人・社会・地球にとって価値のある存在になっていきます。私たちは、環境(E)においては、ゼロ浪費、カーボンゼロ、さらにその先のカーボンネガティブを目指します。社会(S)においては、無駄な消費がなくなることを願い、その人に寄り添った唯一無二のパーソナライズを進めていきます。そして、ガバナンス(G)をしっかりと効かせながら、志を共にする仲間と共に正道を歩んでいきます。最小限の資源で最大の価値を生み出す、”Maximum with minimum”を経営の指針として、より良い明日をつくるために今後も我々は成長し続けます。 グローバルで存在価値のある企業「Kao」■持続可能な社会に欠かせない企業■高社会貢献&高収益グローバル企業■ステークホルダーへの成長レベル還元 ② 中期経営計画 ■2024年度の進捗と今後の計画2024年度は昨年着手した大規模な構造改革の効果が顕著に発現して利益が回復してきた中で、積極的なマーケティング投資を行い、コアブランドの競争優位性を高め、市場シェアと利益率向上の両立を実現することができました。その結果として、中期経営計画「K27」の目標としているROIC(投下資本利益率)、EVA(経済的付加価値)、営業利益、海外売上高において、2024年度は計画を上回る実績となりました。成長ドライバー領域※に関しては、昨年にグローバル拡大の道筋をつくった「スキンプロテクション」のビジネスにおいて、日本・欧州・北米・南米・アジアでの伸長も寄与し、売上高は2021年度の233億円から2024年度は432億円に拡大しました。今後、2027年に740億円を目指し、さらなるグローバル成長を計画しています。化粧品事業は、注力6ブランドの拡大に向けてマーケティング費用を積極的に投入し、高付加価値製品のグローバル展開を強化しています。また、ケミカル事業は、売上の6割を占める海外市場において2021年度から2024年度にかけて売上高CAGR(年平均成長率)11.6%で成長をしています。安定収益領域※に関しては、国内で圧倒的なシェアを有しており、高い収益性とキャッシュ・フロー創出力で、成長ドライバー領域への投資原資を創出しています。強固なブランド力を活かし、他社に先行して実施してきた戦略的値上げを継続することで、ファブリックホームケア事業を中心に収益性を向上させながら販売数量増を達成しています。事業変革領域※に関しては、ヘアケア事業の変革が進展し、成長ドライバー事業領域への展開に向けて強化を進めています。4月に発売した「melt」においては、DX活用によって「よきモノづくり」を高速化し、開発期間を従来の4分の1に短縮することを実現しました。花王グループ社員が一丸となって、中期経営計画「K27」は計画通りに推移しています。メリハリある人的資本投資により、社員活力を最大化するとともに、迅速に意思決定ができる人財を重要なタスクに集める「組織のスクラム型運営」によって、花王の「よきモノづくり」の質・スピードが着実に上がっています。さらに、タイのチャロン・ポカパン(CP)グループとの協業をはじめ、他社との共創による事業構築を進め、花王グループが有する技術資産の最大化を加速していきます。これらの戦略により、業績をさらに向上させ、長期的な価値創造を実現することを目指してまいります。※安定収益:ファブリックケア、ホームケア、パーソナルヘルス/成長ドライバー:スキンケア、ケミカル、化粧品、業務用衛生製品/事業変革:ヘアケア、サニタリー ③ 目標とする経営指標当社グループは、EVA(経済的付加価値)及びROIC(投下資本利益率)を経営の主指標としています。その本質は、株主等の資金提供者の視点を持って、資本を効率的に活用し利益を生み出すことにあります。EVAを継続的に増加させていくことが企業価値の増大につながり、株主だけでなく全てのステークホルダーの長期的な利益とも合致するものと考えています。そして事業規模の拡大を図りながら、EVAを増加させることを事業活動の目標としており、個別事業の評価、設備や買収等の投資評価、年度ごとの業績管理や報酬制度等に活用しています。さらにROICにより事業ポートフォリオマネジメントを強化することで、EVA経営の深化を図っています。ROICは、各事業における資本コストに対する意識を高めるとともに、それぞれの特性や競争環境を踏まえた管理を可能にします。事業別に利益と併せて資本効率も重視することにより、成長事業への重点投資と健全なポートフォリオの改善を実施し、EVAの向上を目指します。 (3)会社の対処すべき課題2024年は、ポストコロナの経済が本格的に稼働し始めたものの、地政学リスクのさらなる拡大に伴う国際社会の多軸化・分断化が依然として継続しました。国内でも、訪日外客数がコロナ禍前の水準を超える等、明るい兆しが見えてきていますが、消費者心理に影響を及ぼし得る円安や物価高騰には引き続き注視が必要で、先行き不透明な経済状況にあります。このような状況の中で、花王グループは、社会課題の解決に軸足を据えて、環境に負の影響を与える既存の大量生産・大量消費型のビジネスから脱却し、無駄なモノはつくらず、お客様に長く愛される魅力ある商品を生み出し続ける循環型モデルへ転換しなければなりません。花王は、構造改革と成長戦略を軸に中期経営計画「K27」を2023年8月に発表しました。高付加価値化による価格改定の実施やTCR(トータル・コスト・リダクション)強化、ROIC(投下資本利益率)の全社導入を進め、大規模な構造改革を断行し、さらなるグローバル化を進めてまいります。そして、「グローバル・シャープトップ※」事業を擁立する企業を目指し、戦略的なポートフォリオマネジメントを行いながら、成長に向けた投資やM&A、そして、事業再編をスピード感をもって推進していきます。※グローバル・シャープトップ:顧客の重大なニーズに、エッジの効いたソリューションで世界No.1の貢献をすること |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。 (1)経営成績の分析注:以下、「実質」とは為替変動の影響を除く増減率を表示しています。また、数量等には製品構成差を含んでいます。下記表内の2023年12月期と増減率の営業利益以下の下段数値は、2023年度に実施した構造改革に係る影響を除いた「コア利益」に基づいて算出しています。 売上高(億円)営業利益(億円)営業利益率(%)税引前利益(億円)当期利益(億円)親会社の所有者に帰属する当期利益(億円)基本的1株当たり当期利益(円)2024年12月期16,2841,4669.01,5101,1041,078231.942023年12月期15,3266003.963846243994.371,1477.51,185883860184.95増減率6.3%144.3%-136.6%139.1%145.7%145.8%実質3.3%27.8%-27.4%25.1%25.3%25.4% 当期の世界経済は、欧州や中東の地政学リスクや大国間の国際的な緊張によって回復が妨げられました。また、インフレの長期化と金融引き締めが消費や投資の回復を鈍らせました。日本では、物価高が続く中で賃上げの動きが広がり、内需の回復が経済成長を支える重要な鍵となっています。このように経営環境は不透明な状況が続きました。当社グループの主要市場である日本のコンシューマープロダクツ(トイレタリー及び化粧品)市場は、小売店の販売実績や消費者購入調査データによると前期を上回りました。当社グループは、花王グループ中期経営計画「K27」の達成のため、顧客の重大なニーズに、エッジの効いたソリューションで世界No.1の貢献をする「グローバル・シャープトップ戦略」を着実に推進しています。売上高は、前期に対して6.3%増の1兆6,284億円(為替3.0%増、実質3.3%増(内訳:数量等1.7%増、価格1.5%増))となりました。営業利益は、1,466億円(対前期866億円増)、営業利益率は9.0%となりました。税引前利益は1,510億円(対前期872億円増)、当期利益は、1,104億円(対前期642億円増)となりました。基本的1株当たり当期利益は231.94円となり、前期の94.37円より137.57円増加(前期比145.8%増)しました。当社グループが経営指標としているROIC(投下資本利益率)は9.2%となり、EVA(経済的付加価値)は、NOPAT(税引後営業利益)が大幅に増加する中、資本コストも若干増加しましたが、前期を183億円上回り332億円となりました。 当期の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替の換算レートは、次のとおりです。 第1四半期(1-3月)第2四半期(4-6月)第3四半期(7-9月)第4四半期(10-12月)米ドル148.22円[132.29円]155.72円[137.30円]149.44円[144.49円]152.30円[147.84円]ユーロ160.99円[141.98円]167.68円[149.50円]164.04円[157.23円]162.55円[159.01円]中国元20.63円[19.33円]21.51円[19.58円]20.84円[19.94円]21.19円[20.45円] 注:[ ]内は前期の換算レート 〔セグメント別の概況〕セグメントの業績 売上高営業利益(上段)コア営業利益(下段)通期増減率通期増減(億円)2023年12月期(億円)2024年12月期(億円)(%)実質(%)2023年12月期2024年12月期(億円)利益率(%)(億円)利益率(%) ファブリック&ホームケア製品3,4913,7577.66.850714.568418.2177 51014.6174 サニタリー製品1,7341,686(2.8)(5.4)(306)(17.6)734.4379 (91)(5.2)164 ハイジーン&リビングケア事業5,2255,4434.22.82013.975813.9556 4198.0339 ヘルス&ビューティケア事業3,9294,2407.94.140510.33448.1(60) 42810.9(84) ライフケア事業563559(0.7)(2.6)(53)(9.4)6311.3116 (13)(2.3)76 化粧品事業2,3862,4412.30.0(54)(2.3)(37)(1.5)17 532.2(90)コンシューマープロダクツ事業12,10312,6824.82.44994.11,1288.96298877.3241ケミカル事業3,6614,05910.96.12366.43468.51112486.899小 計15,76416,7416.23.3735-1,475-7401,135-340セグメント間消去又は調整(439)(457)--(134)-(8)-12612-(20)合 計15,32616,2846.33.36003.91,4669.08661,1477.5319 販売実績(億円、増減率%)通期日本アジア米州欧州合計 ファブリック&ホームケア製品2023年3,00345138-3,4912024年3,27944335-3,757増減率9.2(1.8)(8.1)-7.6実質9.2(7.3)(14.5)-6.8サニタリー製品2023年8049291-1,7342024年765921--1,686増減率(4.9)(0.9)--(2.8)実質(4.9)(5.7)--(5.4)ハイジーン&リビングケア事業2023年3,8071,38038-5,2252024年4,0441,36435-5,443増減率6.2(1.2)(9.5)-4.2実質6.2(6.2)(15.8)-2.8ヘルス&ビューティケア事業2023年2,0533451,0125193,9292024年2,1213671,1256274,240増減率3.36.211.220.77.9実質3.30.73.211.24.1ライフケア事業2023年421113915632024年40221522559増減率(4.5)234.29.432.0(0.7)実質(4.5)219.91.819.9(2.6)化粧品事業2023年1,535500772742,3862024年1,665391793062,441増減率8.4(21.8)2.611.82.3実質8.4(26.7)(4.6)2.90.0コンシューマープロダクツ事業2023年7,8172,2261,26679412,1032024年8,2322,1251,39193512,682増減率5.3(4.6)9.917.74.8実質5.3(9.7)2.08.42.4ケミカル事業2023年1,3398676118443,6612024年1,3841,0506839424,059増減率3.421.011.811.710.9実質3.413.64.83.56.1セグメント間売上高の消去2023年(388)(32)(1)(19)(439)2024年(386)(37)(1)(32)(457)売上高2023年8,7683,0621,8771,62015,3262024年9,2303,1372,0731,84516,284増減率5.32.410.513.96.3実質5.3(3.3)2.95.23.3 注:コンシューマープロダクツ事業は、外部顧客への売上高を記載しており、ケミカル事業ではコンシューマープロダクツ事業に対する売上高を含めています。地域別の売上高は、販売元の所在地に基づき分類しています。 売上高 対前年同期比分析 増減率(%) 為替(%)実質(%) 数量等(%)価格(%) ファブリック&ホームケア製品7.60.86.83.33.6 サニタリー製品(2.8)2.6(5.4)(8.1)2.7 ハイジーン&リビングケア事業4.21.42.8(0.5)3.3 ヘルス&ビューティケア事業7.93.84.14.00.1 ライフケア事業(0.7)1.9(2.6)(2.9)0.3 化粧品事業2.32.30.0(1.6)1.7コンシューマープロダクツ事業4.82.42.40.61.8ケミカル事業10.94.86.15.60.5合 計6.33.03.31.71.5 注:ケミカル事業の売上高は、セグメント間取引を含んでいます。 売上高に占める海外に所在する顧客への売上高の割合は、前期の44.3%から44.5%となりました。 コンシューマープロダクツ事業売上高は、前期に対して4.8%増の1兆2,682億円(為替2.4%増、実質2.4%増(内訳:数量等0.6%増、価格1.8%増))となりました。世界では、生活者の低価格志向が継続する一方で、品質や機能に優れたコストパフォーマンスの高い製品への需要が高まっています。日本市場では、インフレが継続し慎重な消費が続いています。中国市場では、経済の減速等により個人消費の低迷が続きました。このような中、DXによるマーケティング手法の高度化、高付加価値製品の提案やその価値に見合った価格設定等に取り組みました。以上の結果、日本の売上高は、前期に対して、5.3%増の8,232億円となりました。アジアの売上高は、4.6%減の2,125億円(実質9.7%減)となりました。米州の売上高は、9.9%増の1,391億円(実質2.0%増)となり、欧州の売上高は、17.7%増の935億円(実質8.4%増)となりました。営業利益は、2023年から始めた構造改革の取り組み等により稼ぐ力が向上し、1,128億円(対前期629億円増)となりました。 当社は、〔ハイジーン&リビングケア事業〕、〔ヘルス&ビューティケア事業〕、〔ライフケア事業〕、〔化粧品事業〕を総称して、コンシューマープロダクツ事業としております。 〔ハイジーン&リビングケア事業〕売上高は、前期に対し4.2%増の5,443億円(為替1.4%増、実質2.8%増(内訳:数量等0.5%減、価格3.3%増))となりました。ファブリック&ホームケア製品の売り上げは、前期に対して7.6%増の3,757億円(為替0.8%増、実質6.8%増(内訳:数量等3.3%増、価格3.6%増))となりました。スクラム型の組織運営により商品開発のスピードアップと高付加価値化の推進が順調に進みました。ファブリックケア製品の売り上げは前期を上回りました。日本では、10月まで猛暑が続き洗濯頻度の増加等により市場が伸長する中、衣料用洗剤等の新製品・改良品が好調に推移し、シェア・数量ともに拡大しました。また、衣料用漂白剤「ワイドハイター」が好調に推移し、柔軟仕上げ剤は回復傾向にあります。ホームケア製品の売り上げは、前期を上回りました。日本では、食器用洗剤「キュキュット」の改良等により、シェアが継続して伸長したほか、「マジックリン」ブランドの新製品・改良品が好調に推移しました。特にトイレ用クリーナーが大きくシェアを伸ばしました。ファブリック&ホームケア製品の営業利益は、684億円(対前期177億円増)となりました。サニタリー製品の売り上げは、前期に対して2.8%減の1,686億円(為替2.6%増、実質5.4%減(内訳:数量等8.1%減、価格2.7%増))となりました。生理用品「ロリエ」の売り上げは、前期を上回りました。日本では、高付加価値の新製品「しあわせ素肌 もちふわfit」等が好調に推移し、売り上げが伸長しました。中国の売り上げは「スーパースリムガード」等の新製品が好調に推移し、前期を上回りました。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、前期を下回りました。日本の売り上げは、中国向け等の輸出が減少したことで前期を下回りましたが、シェアは伸長しました。中国では市場縮小や競争激化の影響を受けました。サニタリー製品の営業利益は、2023年に実施したベビー用紙おむつ事業の構造改革効果、ブランド力強化の活動に加え、ペットケア事業譲渡益の計上等により73億円(対前期379億円増)となりました。ハイジーン&リビングケア事業の営業利益は、758億円(対前期556億円増)となりました。 〔ヘルス&ビューティケア事業〕売上高は、前期に対して7.9%増の4,240億円(為替3.8%増、実質4.1%増(内訳:数量等4.0%増、価格0.1%増))となりました。スキンケア製品の売り上げは前期を上回りました。日本では「ビオレ」のメイク落としや、UVケア製品、シート関連の新製品等が好調に推移しました。「グローバル・シャープトップ戦略」のもと展開しているUVケア製品を含む「スキンプロテクション」のビジネスは計画通り進捗しています。また、2023年11月に買収したプレミアムスキンケアブランド「Bondi Sands」の売り上げも寄与しています。ヘアケア製品の売り上げは前期を上回りました。日本では「ケープ」の新製品、リブランディングした「エッセンシャル」が好調に推移したほか、新ヘアケアブランド「melt」、「THE ANSWER」が計画を上回り、新プレミアム戦略を着実に推進しています。欧米では、「JOHN FRIEDA」の新製品が好調に推移しました。ヘアサロン向け製品の売り上げは、米国の「ORIBE」がEコマースを中心に好調に推移し、欧州では「GOLDWELL」も伸長したことで前期を上回りました。パーソナルヘルス製品の売り上げは、前期を下回りました。営業利益は、成長のためのマーケティング費用や欧米子会社で構造改革費用を計上したこと等により344億円(対前期60億円減)となりました。 〔ライフケア事業〕売上高は、前期に対して0.7%減の559億円(為替1.9%増、実質2.6%減(内訳:数量等2.9%減、価格0.3%増))となりました。業務用衛生製品の売り上げは、前期を上回りました。日本では外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品・清掃品の需要が高まりましたが、消毒剤の市場縮小が続き、売り上げはほぼ横ばいでした。米国では新製品による新規顧客の獲得等で、売り上げは前期を上回りました。なお、2024年8月1日にキリンビバレッジ株式会社への茶カテキン飲料「ヘルシア」に関する事業譲渡が完了しました。営業利益は、事業譲渡益の計上等により63億円(対前期116億円増)となりました。 〔化粧品事業〕売上高は、前期に対して2.3%増の2,441億円(為替2.3%増、実質0.0%増(内訳:数量等1.6%減、価格1.7%増)、なお、中国及び前期に実施した日本の化粧品ブランド統廃合による返品引当金等の影響を実質からさらに除くと約4%増)となりました。日本の売り上げは、市場が順調に推移する中、「KANEBO」がけん引し、「ソフィーナiP」、「キュレル」、「SENSAI」等も好調に推移したことで、前期を上回りました。中国を除くアジアでは、OMO(Online Merges with Offline)の取り組みをより一層強化することで、「キュレル」、「KATE」等が好調に推移しました。一方、中国においては、市場伸長鈍化に加え競争環境激化が続く中、出荷抑制による流通在庫の適正化を実施しました。その結果、アジア全体の売り上げは前期を大幅に下回りました。欧州の売り上げは、「SENSAI」の最高峰シリーズや唇用エイジングケア美容液「トータルリップトリートメントスティック」が好調に推移したこと、また、「MOLTON BROWN」が堅調に推移したこと等により、前期を上回りました。営業利益は、37億円(対前期17億円増)の損失となりました。 ケミカル事業売上高は、前期に対して10.9%増の4,059億円(為替4.8%増、実質6.1%増(内訳:数量等5.6%増、価格0.5%増))となりました。油脂製品では、顧客の需要が回復基調にある中、新規設備の稼働、販売数量の増加、原料価格の上昇に伴う販売価格の改定により、売り上げは伸長しました。機能材料製品は、自動車関連分野等の一部対象市場の停滞と海外での競争激化の影響が続いており、売り上げはほぼ前年並みとなりました。情報材料製品では、ハードディスクや半導体関連等の対象分野の需要の回復を着実に捉えて、売り上げは伸長しました。営業利益は、電子材料分野などの高付加価値製品の拡販等による増収と油脂製品を中心とした利幅の改善が貢献し、346億円(対前期111億円増)となりました。 (2)財政状態の分析当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定が行われたことに伴い、確定の内容を反映した数値を用いて前連結会計年度との比較・分析を行っています。 (連結財政状態) 前連結会計年度2023年12月末当連結会計年度2024年12月末増減資産合計(億円)17,69518,672977負債合計(億円)7,5757,684109資本合計(億円)10,12010,988868親会社所有者帰属持分比率55.6%57.1%-1株当たり親会社所有者帰属持分(円)2,116.012,296.69180.68社債及び借入金(億円)1,3851,311(74) 資産合計は、前期末に比べ977億円増加し、1兆8,672億円となりました。主な増加は、現金及び現金同等物661億円、営業債権及びその他の債権121億円、棚卸資産109億円です。負債合計は、前期末に比べ109億円増加し、7,684億円となりました。主な増加は、営業債務及びその他の債務225億円であり、主な減少は、引当金118億円です。資本合計は、前期末に比べ868億円増加し、1兆988億円となりました。主な増加は、当期利益1,104億円、在外営業活動体の換算差額486億円であり、主な減少は、配当金714億円です。なお、親会社所有者帰属持分比率は、前期末の55.6%から57.1%となりました。親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は10.5%となりました。 (3)キャッシュ・フローの分析(連結キャッシュ・フローの状況) 通期増減(億円)2023年12月期(億円)2024年12月期(億円)営業活動によるキャッシュ・フロー2,0252,016(9)投資活動によるキャッシュ・フロー(1,093)(459)634フリー・キャッシュ・フロー(営業活動+投資活動)9321,557625財務活動によるキャッシュ・フロー(800)(1,046)(246) 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,016億円となりました。主な増加は、税引前利益1,510億円、減価償却費及び償却費884億円、営業債務及びその他の債務の増減額110億円であり、主な減少は、法人所得税等の支払額276億円、引当金の増減額123億円、事業譲渡益106億円です。投資活動によるキャッシュ・フローは、△459億円となりました。主な増加は、有形固定資産の取得による支出574億円、無形資産の取得による支出101億円であり、主な減少は、事業譲渡による収入118億円です。営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、1,557億円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、△1,046億円となりました。安定的かつ継続的な配当を重視しており、またEVA及びROIC視点から資本効率の向上を目的として、自己株式の取得及び消却も弾力的に行っていきます。当期の主な内訳は、非支配持分への支払いを含めた支払配当金715億円、リース負債の返済による支出216億円、短期借入金の増減額143億円です。当期末の現金及び現金同等物の残高は、為替変動による影響を含めて前期末に比べ661億円増加し、3,577億円となりました。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸表規則」)第312条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS会計基準」)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 (5)資本の財源及び資金の流動性についての分析使用権資産を含む重要な資本的支出の2025年度の予定額は、約880億円であり、主に当社グループ内の資金を有効活用する予定であります。なお、計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。 (6)生産、受注及び販売の実績当社グループの生産・販売品目は、産業界向けのケミカル製品から一般消費者向けのコンシューマー製品まで極めて多種多様であり、それら製品の在庫をほぼ一定の必要水準に保つように、主として見込み生産を行っております。従って、生産実績は販売実績に類似しております。生産及び販売の実績については、「(1) 経営成績の分析」に記載のとおりであります。 (7)経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (8)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、達成状況は、「(1) 経営成績の分析」に記載のとおりであります。 |
※本記事は「花王株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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