大塚ホールディングス株式会社の基本情報

会社名大塚ホールディングス株式会社
業種医薬品
従業員数連34388名 単151名
従業員平均年齢44.1歳
従業員平均勤続年数4.5年
平均年収10456264円
1株当たりの純資産1989.83円
1株当たりの純利益130.92円
決算時期12月
配当金110円
配当性向84%
株価収益率(PER)40.4倍
自己資本利益率(ROE)6.6%
営業活動によるCF2832億円
投資活動によるCF▲1905億円
財務活動によるCF▲602億円
研究開発費※152.38億円
設備投資額※172.36億円
販売費および一般管理費※18073.55億円
株主資本比率※289.1%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社は、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道(Commitment)」、「実証(Actualization)」、「創造性(Creativity)」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。 引き続き、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 第3次中期経営計画の位置づけと主な施策 第3次中期経営計画は、「独自のトータルヘルスケア企業として世界に躍進~成長の5年間~」と位置づけ、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業をコア事業として、新たな価値創造と既存事業価値の最大化に取り組み、また資本コストを意識した経営を実践し、持続的な成長を目指しました。<業績目標>年平均成長率10%以上の事業利益成長? 医療関連事業・ニュートラシューティカルズ関連事業の主力製品・ブランドの着実な成長により実現(オーガニックな成長)? 積極的な研究開発投資を行い、次期中期経営計画以降の収益を牽引する新薬開発の継続  (注)事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費+持分法による投資損益-研究開発費 <事業戦略>既存事業価値の最大化と新たな価値創造① 主力製品・ブランドへの戦略的な取り組みにより成長を加速・医療グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」「ロンサーフ」)、ニュートラシューティカルズ主要3ブランド(「ポカリスエット」「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランド)、ニュートラシューティカルズ育成3ブランド(デイヤフーズ社ブランド、「エクエル」「ボディメンテ」)を成長ドライバーと位置付け、戦略的な取り組みを強化② 次世代の事業・製品への取り組み・医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業における持続的成長を牽引する新製品群の上市と育成医療関連事業:“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出ニュートラシューティカルズ関連事業:環境変化を見据えた新しいコンセプトの創出、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦による、高利益率体制の継続 <財務方針> 資本コストを意識した経営の実践・成長投資と株主還元の両立・将来への成長投資と株主還元資金の確保・規律ある経営実践に向け、加速するグローバル展開を支えるための経営基盤の整備 (2) 第3次中期経営計画の進捗 第3次中期経営計画の最終年である2023年度の進捗は、以下のとおりです。<業績目標の進捗>  2023年度の売上収益は、すべての事業セグメントで増収となり、2,018,568百万円(前期比16.1%増)となりました。主な要因は、医療関連事業において、持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」のグローバル4製品、及び導出品に対するロイヤリティ・マイルストーン収入の伸長が業績を牽引したことによります。さらに、ニュートラシューティカルズ関連事業においても、健康意識が高まる中、「ポカリスエット」の日本・海外の売上が伸長したことに加え、「ネイチャーメイド」が伸長しました。また、その他の事業のファインケミカル分野が好調に推移しました。 研究開発費投資前事業利益は、620,358百万円(同37.8%増)となりました。主な要因は、グローバル4製品及び導出品に対するロイヤリティ・マイルストーン収入の増収による売上総利益の増加、販売費及び一般管理費を適正にコントロールしたことによるものです。 研究開発費は、研究開発が順調に進捗したことにより、前期比で増加しました。主な増加要因は、新規作用機序を有する抗精神病薬に係る住友ファーマ株式会社との共同開発及び販売に関するライセンス契約締結に基づく開発費、非小細胞肺がんを対象として開発中のzipalertinib/TAS6417、及びIgA腎症を対象として開発中のsibeprenlimab/VIS649が順調に進捗したことや為替影響があったことによります。 事業利益は、想定以上の売上成長と販売費及び一般管理費を適正にコントロールした結果、312,553百万円(同78.7%増)となり、第3次中期経営計画の業績目標である「年平均成長率10%以上の事業利益成長」を大きく超えて、年20%強の高水準を達成しました。 <事業戦略の進捗> 既存事業の売上収益は順調に伸長し、製品価値最大化に向けた医療グローバル4製品を中心とした承認申請・取得やエリア拡大、ニュートラシューティカルズ主要3ブランドを中心とした市場浸透やエリア拡大等は、以下の通り順調に進捗しました。新たな価値創造に向けた研究開発もコア領域を中心に進捗し、第4次中期経営計画以降を見据えた積極的な投資を進めました。  医療関連事業において、成長ドライバーのグローバル4製品は前期比で大幅に伸長しました。アンメット・ニーズの解決に貢献する後期開発パイプラインの中で、ブレクスピプラゾールは、米国においてアルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(攻撃的行動及び発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の適応症を有する初めての抗精神病薬として承認を取得しました。超音波腎デナベーションシステムは、米国において高血圧の新たな治療選択肢として、腎デナベーションデバイスとして初めて承認を取得しました。新製品育成についても着実に進捗しております。・「エビリファイ メンテナ」に続く新たな製剤であるアリピプラゾール2カ月持続性注射剤について、2023年4月、米国で統合失調症と双極性Ⅰ型障害の効能で承認を取得しました。・「レキサルティ」は、米国においてアルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(攻撃的行動及び発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の適応症で2023年5月に承認を取得し、日本においても2023年10月に承認申請しました。また、日本において大うつ病の適応症で2023年12月に承認を取得しました。・「サムスカ/ジンアーク」は、経口水利尿薬としての医療現場における価値が向上し、さらに世界初の常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬として日本・米国・欧州で患者さんに貢献しています。・「ロンサーフ」は、米国においてベバシズマブ併用療法で切除不能な進行・再発大腸がんを適応症として2023年8月に承認を取得しました。  ニュートラシューティカルズ関連事業において、売上収益は順調に成長しながらも事業利益率12%以上を維持し、前期に続き、売上収益、事業利益ともに過去最高となりました。引き続き、高成長市場においてブランドを確立することにより、さらなる事業規模の拡大と収益性の向上を目指します。・「ポカリスエット」は、生活者の健康管理意識の高まりとともに水分・電解質補給の重要性が浸透しています。また、新エリアへの展開を進めています。・「ネイチャーメイド」は、健康意識の高まりによる需要が拡大する中、消費者の生活スタイルに合わせた新たなアプローチに取り組んでいます。・ニュートリション エ サンテ社ブランドは、フードサービス*やEコマースの拡大を進めています。* 公共機関や学校等における給食サービス  ROEは、AVP-786に係る減損損失等の影響により2023年度は5.3%となりましたが、2024年度は資本効率の向上につとめます。 (3) 経営環境及び対処すべき課題 2023年度を最終年度とした第3次中期経営計画期間には、新型コロナウイルス感染拡大の影響とロシア・ウクライナや中東情勢に伴う地政学的リスクの高まりにより、社会情勢は一層不透明さを増し、当社グループの事業活動においても一定の影響を受けました。2023年は、コロナ禍で自粛されていた社会活動が再開されたことに伴い、新たな事業環境に対応するマーケティング活動や営業活動等を積極的に進めてまいりました。一方で、原材料価格の高騰、為替変動による物価上昇等にも対処してまいりました。  根本的なヘルスケア業界を取り巻く事業環境は、高齢化、高額医薬品の発売、感染症対策等による医療費の増加傾向が続き、日米欧諸国において治療に対する医療コストへの関心が高まっております。限られた財源の中で、医療指針が医療コストと治療効果のバランスの中で捉えられ、薬価制度の改革やジェネリック医薬品の浸透が進む一方、AIや機械学習、遺伝子治療等の新テクノロジーが台頭してきています。このような中、病気に対する日々の予防を含む健康への意識が一段と高まりを見せております。当社グループは“大塚だからできる”新たな社会への貢献に引き続き取り組むとともに、これらの健康意識の高まりを成長機会と捉え、持続的成長の実現に向けて進んでまいります。 当社グループは、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道」「実証」「創造性」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と、世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気づいていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。  医療関連事業は、“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出により、課題解決に向けた様々な取り組みを進めています。治療満足度の低い疾患が多く残されている精神・神経、がん、循環器・腎領域を中心に、多様な事業のシナジーを活かした独自のアプローチにより、革新的な新薬の創出を目指します。また、医療の最適化に向けた体系的なソリューションについて挑戦してまいります。さらに、アライアンスやオープンイノベーション、ベンチャーキャピタルとの協業等による創薬基盤の強化、創薬モダリティの多様化に取り組み、持続的な進化と成長を目指してまいります。  ニュートラシューティカルズ関連事業は、健康への意識が高まる中、医療関連事業で培われたサイエンス・ノウハウを活かしながら、顕在化されていないニーズや社会課題に対して新しいコンセプトのソリューションを提案し、世界の人々の健康維持・増進による健康寿命の延伸に貢献することを目指します。グローバルにおける環境変化を見据え、最新のサイエンスやテクノロジーと独自のビジネスモデルを組み合わせて、新たな価値の創造、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦を進めます。健康を取り巻く様々な社会課題に対して、課題の顕在化から啓発活動を継続的に実施し、各ブランドからそのソリューションをこれからも提案し続けます。さらに外部機関との連携を強化し、これらの活動を推進してまいります。 財務方針としては、資本コストを意識した経営の実践に向けて、両事業とも既存事業最大化に向けた投資および次期中期経営計画以降を見据えた新規事業への積極的な投資をするとともに、シェアードサービスの拡大、IT基盤の強化、グループ内金融の推進、プロキュアメントの最適化をはかり、規律ある経営実践に向けた取り組みを進めています。  また、当社グループは、企業理念のもと、事業を通じた社会課題の解決に取り組み、自らの持続的な成長と健康でサステナブルな社会の実現を目指します。  2024年度から2028年度までを対象期間とする第4次中期経営計画の策定を進めており、2024年6月7日に公表を予定しています。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当社グループは、当連結会計年度よりIAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を適用しており、遡及適用後の数値で前連結会計年度との比較分析を行っております。この基準の適用による当連結財務諸表に与える重要な影響はありません。なお、会計方針の変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(4)会計方針の変更」に記載しております。 (1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況 当社グループは、経常的な収益力を示す指標として事業利益を採用しております。 事業利益とは、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費を控除した額に持分法による投資損益を加減算した額であります。(単位:百万円) 前連結会計年度(2022年12月期)当連結会計年度(2023年12月期)増減額増減率売上収益1,737,9982,018,568280,57016.1%研究開発費投資前事業利益450,147620,358170,21037.8%事業利益174,917312,553137,63678.7%営業利益150,323139,612△10,710△7.1%税引前当期利益172,954142,655△30,298△17.5%当期利益137,280125,499△11,780△8.6%親会社の所有者に帰属する当期利益133,906121,616△12,290△9.2% 研究開発費275,230307,80432,57411.8%減損損失41,521172,419130,898315.3%  これまで当社グループは、「トータルヘルスケア企業」として、健康の維持・増進、病気の診断から治療までを担う事業を展開してまいりました。地政学的リスク等の影響により社会環境が変化する中、不確実性の高い世界がもたらす社会課題を先取りし、環境変化で生まれた新しい技術やニーズを取り入れながら、健康意識の高まりを成長機会と捉え、「トータルヘルスケア企業」の真価を発揮し、引き続き、持続的成長の実現に向けた取り組みを進めてまいります。  当連結会計年度の売上収益は、すべての事業セグメントで増収となり、2,018,568百万円(前期比16.1%増)となりました。主な要因は、医療関連事業において、持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」のグローバル4製品、及び導出品に対するロイヤリティ・マイルストーン収入の伸長が業績を牽引したことによります。この結果、日本のV2-受容体拮抗剤「サムスカ」の心不全・肝硬変における体液貯留の効能の独占販売期間満了に伴う減収を超えて、売上収益は大幅に伸長しました。さらに、ニュートラシューティカルズ関連事業においても、健康意識が高まる中、「ポカリスエット」及び「ネイチャーメイド」が引き続き伸長しました。 研究開発費投資前事業利益は、620,358百万円(同37.8%増)となりました。主な要因は、前述のグローバル4製品及び導出品に対するロイヤリティ・マイルストーン収入の増収を受け売上総利益が増加したこと、一方で、新規事業への投資を加速する中で既存事業への投資を効率化することで販売費及び一般管理費を適正にコントロールし販売管理費率を低減したことによります。 研究開発費は、307,804百万円(同11.8%増)となりました。主な増加要因は、新規作用機序を有する抗精神病薬に係る住友ファーマ株式会社との共同開発及び販売に関するライセンス契約締結に基づく開発費、非小細胞肺がんを対象として開発中のzipalertinib/TAS6417、及びIgA腎症を対象として開発中のsibeprenlimab/VIS649が順調に進捗したことや為替影響があったことによります。 想定以上の売上成長と販売費及び一般管理費を適正にコントロールした結果、事業利益は312,553百万円(同78.7%増)と大幅な増益となりました。 営業利益は、139,612百万円(同7.1%減)となりました。主な要因は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの治療を目的として開発中のAVP-786、デイヤフーズ社および住友ファーマ株式会社との提携品等に係る減損損失として当連結会計年度で合計172,419百万円を計上した影響です。 なお、当期利益は125,499百万円(同8.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は121,616百万円(同9.2%減)となりました。  セグメントの業績は次のとおりです。(単位:百万円) 医療関連事業ニュートラシューティカルズ関連事業消費者関連事業その他の事業調整額連結売上収益1,364,358483,46337,081176,395△42,7302,018,568事業利益278,05759,65217,8237,717△50,697312,553 (参考-前連結会計年度)(単位:百万円) 医療関連事業ニュートラシューティカルズ関連事業消費者関連事業その他の事業調整額連結売上収益1,137,857437,04735,880169,227△42,0141,737,998事業利益151,87554,1957,1359,047△47,337174,917 (医療関連事業) 当連結会計年度における売上収益は1,364,358百万円(前期比19.9%増)、事業利益は278,057百万円(同83.1%増)となりました。 <主要製品の状況>●グローバル4製品 当社グループがグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、726,850百万円(前期比17.4%増)となりました。 ・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」 米国では、服薬アドヒアランスに課題がある双極Ⅰ型障害や統合失調症患者に対する製品の有用性の訴求や、対面による情報提供活動により処方数が伸長し、為替影響もあり増収となりました。日本では、統合失調症に加え、双極Ⅰ型障害の情報提供活動を強化し、売上収益は順調に増加しています。これらの結果、売上収益は202,464百万円(前期比22.4%増)となりました。 ・抗精神病薬「レキサルティ」 大うつ病補助療法及び統合失調症に加えて、2023年5月より、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの治療薬として販売する米国では、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに関する疾患啓発活動を積極的に進め、また、DTC*広告を実施しております。対面による情報提供活動の強化により処方数が伸長し、為替影響もあり増収となりました。日本では、統合失調症の情報提供活動の強化により新規処方数が伸長し、売上収益は増加しました。これらの結果、売上収益は212,509百万円(前期比25.6%増)となりました。* Direct to consumer ・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」 日本では、常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)に対する処方数が伸長し、治療経験のある患者が1万例を超えております。一方、心不全・肝硬変における体液貯留の効能においては、後発医薬品発売の影響を受け大幅減収となりました。低ナトリウム血症の治療薬として販売する米国でも、後発医薬品発売の影響を受け大幅減収となりました。これらの結果、売上収益は48,230百万円(前期比45.1%減)となりました。・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」 米国では、ADPKD治療薬として、継続的な疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により処方数が伸長し、為替影響もあり大幅増収となりました。これらの結果、売上収益は183,541百万円(前期比31.7%増)となりました。 ・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」 米国では、2023年8月に大腸がんにおけるベバシズマブ併用療法の適応追加が承認され、NCCNガイドライ ン*による併用療法の推奨ならびに為替の影響もあり大幅増収となりました。欧州においては、処方数の伸長や為替の影響があり、売上収益は増加しました。また、同年7月に同併用療法が承認されました。日本では、論文掲載等による同併用療法の認知向上に伴い、売上は堅調に推移しています。これらの結果、売上収益は80,105百万円(前期比39.3%増)となりました。* 世界的に広く利用されているがん診療ガイドライン (ニュートラシューティカルズ関連事業) 当連結会計年度における売上収益は483,463百万円(前期比10.6%増)、事業利益は59,652百万円(同10.1%増)となりました。 <主要製品の状況> 当社グループが主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、312,998百万円(前期比14.8%増)となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、27,851百万円(同2.3%減)となりました。 ●主要3ブランド 水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、日本では、2023年4月の価格改定の影響で販売数量は一時的に減少しましたが、従来から継続している水分・電解質補給の啓発活動や、過去最高気温となった今夏*1の日常生活での熱中症対策への関心の高まりによる利用促進に加え、スポーツイベントや温浴施設でのブランド接点や飲用体験の増加等もあり、販売数量は伸長しています。海外では、各地の文化や状況に応じた啓発により水分・電解質補給の重要性が浸透している中、長年の取り組みを通じてブランドイメージを構築したことにより、販売数量が伸長しています。これらの結果、ブランド全体の販売数量は伸長し、増収となりました。 ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、米国では、ブランドや品質に対する高い信頼性を背景にシェアが拡大*2したことに加え、ソーシャルメディアでのマーケティング活動や為替の影響もあり増収となりました。 欧州を中心に健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、フードサービス*3やEコマースの拡大を進めています。事業再編の影響により現地通貨ベースでは減収となりましたが、「Gerble」等の主力製品の成長や為替の影響等により、日本円ベースでは増収となりました。*1 気象庁:今夏(2023年6月~8月)の全国平均気温は1898年の統計開始以来最も高かった*2 IRI Data:Market Advantage; Calendar YTD 12/31/2023, Food, Drug, Mass Excluding Amazon and Costco*3 公共機関や学校等における給食サービス ●育成3ブランド プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米の乳代替チーズ市場の競合環境激化等の影響により減収となりましたが、独自技術を活かした製品ラインアップの拡充及び流通拡大に取り組んでいます。 女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、日本では、女性の健康に関するセミナーの開催等、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、Eコマースの定期契約件数が順調に伸長し、増収となりました。 植物由来の乳酸菌B240*4を含有する「ボディメンテ」は、減収となりましたが、2023年12月より大事な日に向けて日頃からの体調管理を提案する新たなコミュニケーションを開始し、コアユーザーの育成や製品認知の向上と利用拡大に取り組んでいます。*4 Lactiplantibacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬㈱が有効性を確認した乳酸菌 (消費者関連事業) 当連結会計年度における売上収益は37,081百万円(前期比3.3%増)、事業利益は持分法投資利益の増加等により17,823百万円(前期比149.8%増)となりました。 ウォーター類は、主力製品「クリスタルガイザー」において、日本では、価格改定の影響もあり販売数量は減少しましたが、軽量ボトル・軽量キャップ、50%リサイクルペットボトルによる環境への取り組みを発信したブランド価値の訴求等により、売上収益は前期並に推移しています。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、既存品のユーザー拡大に加え、2023年3月に発売した「マッチ 塩レモンソーダ」と2023年10月に発売した「マッチ ビタミンみかん」の好調を受け、販売数量が伸長しました。 (その他の事業) 当連結会計年度における売上収益は176,395百万円(前期比4.2%増)、事業利益は7,717百万円(同14.7%減)となりました。 機能化学品分野は、半導体市場の回復遅れや中国の市場停滞もありましたが、売上収益は前期並に推移しています。ファインケミカル分野は、抗生剤中間体の販売増加等により、増収となりました。 運輸・倉庫分野は、物流のデータ連携によるトータルヘルスケア物流プラットフォーム強化により、新規の外部顧客の獲得及び取扱数量が堅調に推移している一方、国際輸送の運賃単価の下落があり、売上収益は微減となりました。 ※ その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。https://www.otsuka.com/jp/ir/library/materials.html ② 財政状態の状況(単位:百万円) 前連結会計年度(2022年12月31日)当連結会計年度(2023年12月31日)増減額流動資産1,192,0301,326,797134,766非流動資産1,910,6082,034,446123,838資産合計3,102,6383,361,244258,605流動負債539,193667,233128,040非流動負債301,076257,692△43,383負債合計840,269924,92684,657資本合計2,262,3692,436,317173,948 a. 資産 当連結会計年度末における総資産は3,361,244百万円(前連結会計年度末は3,102,638百万円)となり、258,605百万円増加しました。その内訳は、流動資産が134,766百万円の増加、非流動資産が123,838百万円の増加であります。(流動資産) 当連結会計年度末における流動資産は1,326,797百万円(前連結会計年度末は1,192,030百万円)となり、134,766百万円増加しました。その主たる内訳は、現金及び現金同等物が41,707百万円、売上債権及びその他の債権が50,660百万円、棚卸資産が26,073百万円、未収法人所得税が16,656百万円増加したこと等によるものであります。(非流動資産) 当連結会計年度末における非流動資産は2,034,446百万円(前連結会計年度末は1,910,608百万円)となり、123,838百万円増加しました。その主たる内訳は、無形資産が88,815百万円減少したものの、有形固定資産が42,683百万円、のれんが43,606百万円、持分法で会計処理されている投資が36,819百万円、その他の金融資産が20,465百万円、繰延税金資産が65,442百万円増加したこと等によるものであります。無形資産について、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの治療を目的として開発中の「AVP-786」、デイヤフーズ社及び住友ファーマ株式会社との提携品等に係る減損損失140,722百万円が計上され、減少要因となったものの、円安の影響は各資産に対して、総じて増加要因となりました。なお、為替の影響以外の増加要因として、有形固定資産は設備投資により、のれん、商標権及び販売権等はボナファイドヘルス LLC(以下、「ボナファイドヘルス社」)等の買収により、繰延税金資産は棚卸資産の未実現利益消去、無形資産の減損損失の税効果増加により、それぞれ増加しております。b. 負債 当連結会計年度末における負債合計は924,926百万円(前連結会計年度末は840,269百万円)となり、84,657百万円増加しました。その内訳は、流動負債が128,040百万円の増加、非流動負債が43,383百万円の減少であります。(流動負債) 当連結会計年度末における流動負債は667,233百万円(前連結会計年度末は539,193百万円)となり、128,040百万円増加しました。その主たる内訳は、仕入債務及びその他の債務が8,013百万円、社債及び借入金が42,984百万円、未払法人所得税が26,599百万円、その他の流動負債が51,518百万円増加したこと等によるものであります。社債及び借入金の増加の主な要因は、社債のうち1年以内償還予定を流動負債に振り替えたことによるものであります。(非流動負債) 当連結会計年度末における非流動負債は257,692百万円(前連結会計年度末は301,076百万円)となり、43,383百万円減少しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が24,575百万円、その他の金融負債が13,741百万円減少したこと等によるものであります。c. 資本 当連結会計年度末における資本は2,436,317百万円(前連結会計年度末は2,262,369百万円)となり、173,948百万円増加しました。その主たる内訳は、親会社の所有者に帰属する当期利益121,616百万円の計上、配当金の支払54,265百万円等により利益剰余金が68,148百万円、主として円安の影響によりその他の資本の構成要素が100,440百万円増加したこと等によるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は513,341百万円となり、前連結会計年度末より41,707百万円増加しました。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、283,232百万円となりました。一方で、将来の持続的成長に向けて、医療関連事業及びニュートラシューティカルズ関連事業において設備投資等を行ったこと、ニュートラシューティカルズ関連事業においてボナファイドヘルス社の買収を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△190,538百万円となりました。財務活動につきましては、借入金及びリース負債を返済し、配当金の支払額が△55,653百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△60,260百万円となりました。 これらの結果、営業活動によるキャッシュ・インフローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウトフローを上回り、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より増加し、513,341百万円となりました。  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、283,232百万円(前期比71,384百万円増)となりました。当連結会計年度の主な内容は、税引前当期利益142,655百万円、減価償却費及び償却費97,777百万円、減損損失及びその戻入益172,419百万円、売上債権及びその他の債権の増減額△31,802百万円、法人所得税等の支払額△80,982百万円となっております。 当連結会計年度における前期比71,384百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、「AVP-786」、デイヤフーズ社及び住友ファーマ株式会社との提携品等に係る減損損失が計上され、税引前当期利益が減少したものの、医療関連事業のグローバル4製品及び導出品に対するロイヤリティ・マイルストーン収入の伸長が業績を牽引し、営業活動キャッシュ・フローの増加に大きく寄与し、法人所得税等の支払額が45,732百万円増加したこと等の影響によるキャッシュ・フローの減少を上回ったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、△190,538百万円(同108,963百万円支出増)となりました。当連結会計年度の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△90,736百万円、無形資産の取得による支出△23,937百万円、女性の健康分野に特化した製品の製造販売を行うボナファイドヘルス社等の買収による子会社の取得による支出△71,043百万円等であります。当連結会計年度における前期比108,963百万円のキャッシュ・フロー減少(支出増)の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が29,787百万円増加したこと、子会社の取得による支出が71,043百万円増加したことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、△60,260百万円(同35,213百万円支出減)となりました。当連結会計年度の主な内容は、短期借入金の増減額(△は減少)27,954百万円、長期借入金の返済による支出△11,935百万円、リース負債の返済による支出△20,545百万円、配当金の支払額△55,653百万円であります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)医療関連事業190,713122.2%ニュートラシューティカルズ関連事業220,995107.0%消費者関連事業21,577103.5%その他の事業77,735102.4%合計511,020111.3%(注)1.ニュートラシューティカルズとは、栄養「Nutrition」+薬「Pharmaceuticals」の造語であり、科学的根拠をもとに開発された医薬部外品や機能性食品及び栄養補助食品等を取り扱うセグメントです。2.金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。b. 受注実績 連結子会社は主として受注見込みによる生産方式をとっております。 c. 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)医療関連事業1,364,358119.9%ニュートラシューティカルズ関連事業483,325110.6%消費者関連事業37,066103.4%その他の事業133,818105.1%合計2,018,568116.1%(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報 当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。  当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は513,341百万円であり、社債及び借入金の合計額138,625百万円を上回っております。  当社グループにおける経常的な資金需要としましては、主に事業の拡大に伴う運転資本の増加、生産設備の増強・更新に伴う設備投資及び研究開発投資がありますが、基本的に営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。一方、事業の買収等に伴う非経常的な資金需要につきましては、必要に応じて外部から調達しております。

※本記事は「大塚ホールディングス株式会社」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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