NTN株式会社の基本情報

会社名NTN株式会社
業種機械
従業員数連21996名 単5581名
従業員平均年齢42.1歳
従業員平均勤続年数20.1年
平均年収7241974円
1株当たりの純資産439.89円
1株当たりの純利益(単体)-44.9円
決算時期3月
配当金11円
配当性向0%
株価収益率(PER)15.72倍
自己資本利益率(ROE)(連結)-9.6%
営業活動によるCF456億円
投資活動によるCF▲259億円
財務活動によるCF▲187億円
研究開発費※1196.56億円
設備投資額※1321.62億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※222.9%
有利子負債残高(連結)※32819.57億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針NTNグループは、企業理念の実践を通じて、「なめらかな社会※」の実現を目指します。ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され必要とされる企業として、人権の尊重とコンプライアンスを重視し、事業活動に取組んでまいります。※「なめらかな社会」:人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会 <企業理念>新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する 1.独創的技術の創造2.客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供3.着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献4.グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成 <ステークホルダーへの姿勢>従業員顧客取引先地域社会株主環境多様性と個性を尊重し、従業員が安全で健康的に働き、活躍できる職場環境づくりに努めます。お客様と誠実に向き合い、安全・安心で信頼性の高い商品・サービスを提供することにより、お客様の満足を追求します。公正で自由な環境のもと、取引先との相互信頼に基づく良好なパートナーシップを構築し、共に成長・発展をはかります。事業を行う地域の文化や慣習を尊重し、事業活動を通じて、地域社会の期待に応え、長期的な信頼関係を構築します。持続的な利益の創出による株主への利益還元に努め、積極的なコミュニケーションを通じて、長期的な信頼関係を構築します。事業活動において自然との調和をはかり、環境負荷低減に寄与する技術と商品・サービスの提供を通じて、地球環境に貢献します。 (2) 経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題「なめらかな社会」の実現に向けて、当社グループが優先的に取組むべき13項目のマテリアリティを特定し、対応施策の策定を行い、その進捗状況を定期的に確認しています。昨年4月、当社は約10年後に目指す姿として、新たに「2035年度の姿と目標指標」を設定しました。OEMと補修の両輪で安定的に稼ぐ事業構造へ変革することで、景気変動下においても株主資本コストを安定して上回るROEの継続と、カーボンニュートラルの達成及び豊かな人づくりの実現を目指します。これらの「経済的価値」と「環境・社会的価値」を当社グループのステークホルダーとともに向上させることで企業価値を高め、ステークホルダーをはじめとした社会から信頼され、必要とされる企業を目指してまいります。 [中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalの概要]昨年4月から3年間の中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalを開始しました。「事業構造の変革(Transformation)の加速」という前中期経営計画の基本方針は変えず、前中期経営計画で果たせなかったNTNの再生を完了させる期間と位置づけています。NTNの再生のために、生産再編を中心とする事業構造改革を実行するとともに、「SQCCD」※の強化を通じて「稼ぐ力」の向上に注力しております。※ Safety(安全)、Quality(品質)、Compliance(法令遵守)、Cost(コスト)&Cash(キャッシュ)、 Delivery(納期)&Development(開発) 1.基本戦略(1) デジタル技術と経営資源の融合AIをはじめとするデジタル技術は更に進化し、ビジネスへの活用も拡大しています。それらのデジタル技術と当社が培った経営資源を融合し、事業構造の変革を加速することで、NTNの再生を成し遂げます。 (2) 生産再編本中期経営計画の3年間で、事業構造改革に繋がる生産再編の企画、具体化及び実行を進め固定費圧縮と競争力の向上を目指します。生産再編に必要な構造改革費用を確保するとともに、株主還元、債務返済等に適切に資金を配分した上で、2035年度に向けた成長が加速できるよう成長投資、カーボンニュートラル、情報化投資等に資金を振り分けます。 (3) 「安全、品質、法令遵守、コスト・キャッシュ、納期・開発」に関する企業理念の定着化推進「創業者の精神」、「企業理念」、「NTNスピリット」に代表される当社グループの企業理念体系を従業員に定着させるため、「安全、品質、法令遵守、コスト・キャッシュ、納期・開発」の頭文字をとった「SQCCD」を事業運営の柱となるポリシーと位置づけ、日頃から全世界の従業員が身近な心構えとして活用できるように徹底しています。 2.事業別戦略OEM向け利益率向上と補修向け供給力強化を目的に、昨年4月に市場軸組織から商品軸組織へ大幅な組織変更を行いました。これまで市場軸組織で分散していた軸受事業を集約することでOEM向けと補修向け一体で稼ぐ事業へ変革するとともに、当社グループの売上の6割を占める自動車向け等速ジョイント(CVJ)とアクスル軸受の利益体質の強化を図ります。また、持続的成長を実現するため、「新たな領域への展開」に関わる研究開発組織を集約し、「コア技術を活かした他社優位性商品の実現」を活動軸に、マーケティングから開発、生産を一気通貫で運営する「未来創造開発本部」を昨年4月に設置しました。市場・顧客ニーズに合致した商品・サービスの創出を加速します。(1) 軸受他事業自動車OEMや産業機械OEM、補修向け等様々な市場に販売している軸受製品を、商品軸で管理する事業組織に集約、変更することで、OEMと補修一体で稼ぐビジネスモデルへ変革します。OEM向けと補修向けの生産能力の最適配分、及び資産効率の最大化を図り、事業構造の変革を進めることで、補修向けの販売拡大と軸受事業の利益拡大を推進します。また、電動化・EV用新商品開発による利益ある新規案件の獲得や、お客様の設備の状態監視ビジネスの拡大等、新たな領域における事業拡大を通じて、ハードの売り切りからソフト・サービスを加えたビジネスへ変革を目指します。また、成長分野である、次世代モビリティ・モジュール、ロボット周辺モジュール、自然エネルギー商品を基軸に、市場ニーズに合致した、機能・品質・コストに優れたモジュール商品、ユニット商品を開発し、新事業となる商品の創出と育成を加速します。<取組み状況>補修市場への供給強化に向けて、当社和歌山製作所や株式会社NTN三重製作所に整備した生産ラインを利益率の高い補修向け製品の生産に活用するとともに、汎用品在庫即納システム「FIRST」の完成品在庫を拡充し、世界中のお客様への迅速な納入につなげています。産機OEMビジネスは、主力8業種を拡大、維持に分類※するとともに、新たに挑戦する業種を設定しました。拡大業種は生産能力の強化と販売促進、維持業種は原価及び売価の改善、挑戦業種は市場調査に基づき、ターゲット地域・顧客の選定、アプローチ等を推進しています。加えて、多面的な顧客分析を実施のうえ重要顧客を設定し、最大利益が得られる生産能力配分を決定する仕組みの構築に取組んでいます。自動車OEM向けでは、電動化・EV用として、従来より高水準の高速、低トルク、耐電食性等の各ニーズに適応する軸受開発を進め、これらの量産を順次開始しています。内燃機関(ICE)車向け軸受の需要が減少する一方で、上記の高付加価値軸受やモジュール商品・ユニット商品の開発と拡販が全体の利益改善に寄与しています。  ※ 拡大業種:工作機械、回転電気(モーター)、航空・宇宙   維持業種:建設機械、農業機械、変減速機、鉄道車両、風力発電 (2) CVJアクスル事業設計改革、調達・物流改革、事業再編に取組むことで筋肉質な事業基盤を構築するとともに、自動車の駆動領域の要となるCVJとアクスル軸受の両製品を扱う強みを活かして、電動化をはじめ新たなニーズに対応した事業展開を加速します。調達・物流・もの造り改革による原価低減とグローバル供給体制・サプライチェーン再構築等の活動を通じて技術力と価格競争力の両立を追求します。販売ではお客様に寄り添った提案と適正価格の販売に拘り、顧客満足度と利益率の向上を図ります。また、拡大するEV市場に対しては、大型/高角・高効率/軽量化/低フリクション化等のニーズを捉えた差別化商品の開発とスピーディな市場への投入を行います。部品・完成品の調達・供給網再構築による利益の最大化を目指す一方で、生産再編等を推進します。<取組み状況>CVJとアクスル軸受の利益体質を強化すべく、欧州・中国・カナダにおいて工場の統廃合等の再編計画を既に実行段階に移しており、また米国においても2025年度より実行に移していきます。新製品ではCFJ(高効率固定式等速ジョイント)の量産が欧州でも立ち上がり、更なる販売拡大を図るため、原価低減活動に取組んでいます。CVJアクスル事業の顧客戦略の一つであるパートナーシップ強化についても順調で、国内顧客の内製CVJの引き受けが完了した他、新規プロジェクトにおける新製品の共創活動や、成長市場であるインドにおける研究開発体制の強化を進めています。一方、EVシフトの鈍化やグローバル市場の景気低迷により、足元の利益改善が停滞している状況です。急速に変化する事業環境に対応すべく昨年より継続している材料価格等のコスト上昇分を確実に売価転嫁することを徹底するとともに、生産再編を早期に完了させることで、より強固な事業基盤の形成を図ります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等① 長期ビジョン及び中期経営計画に関する目標約10年後に目指す姿として、新たに「2035年度の姿と目標指標」を設定しました。OEMと補修の両輪で安定的に稼ぐ事業構造へ変革することで、景気変動下においても株主資本コストを安定して上回るROEの継続と、カーボンニュートラルの達成、並びに豊かな人づくりの実現を目指します。それに向けて、2024年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalでは、最終年度の目標として下表のとおり目標値を設定しております。 目標とする経営指標(連結)2025年3月期実績2027年3月期目標売上高825,587百万円830,000百万円営業利益22,959百万円50,000百万円営業利益率2.8%6.0%特別損益△19,068百万円△5,000百万円当期純利益△23,801百万円21,500百万円棚卸資産回転率3.4回4.5回ROIC2.6%6.2%ROE△9.6%8.0%自己資本比率27.2%30.0%ネットD/Eレシオ1.00.7 ② CO2排出量削減に関する目標「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般[指標及び目標]」に記載のとおりであります。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、一部の地域において足踏みがみられたものの、持ち直しが継続しました。日本経済については、個人消費で一部足踏みが残りましたが、設備投資、雇用情勢は持ち直しまたは改善の動きがみられ、景気は緩やかに回復しました。海外においては、米国経済は、通商政策など政策動向による影響が懸念されたものの、景気は拡大しました。中国経済は、政策効果により生産が持ち直しているものの、景気は足踏み状態となり、アジアのその他新興国経済は、タイや韓国で景気の弱含みがみられましたが、緩やかに回復しました。欧州経済は英国やドイツなど一部に景気の足踏みがみられたものの、持ち直しの動きがみられました。かかる状況下、2024年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalで掲げた「事業構造の変革(Transformation)の加速」の継続とNTN再生の完了を目指し、生産再編を中心とする事業構造改革の実行と、「SQCCD」※の強化を通じた「稼ぐ力」の向上に注力してまいります。※ Safety(安全)、Quality(品質)、Compliance(法令遵守)、Cost(コスト)&Cash(キャッシュ)、Delivery(納期)&Development(開発) 当連結会計年度の売上高は825,587百万円(前連結会計年度比1.3%減)となりました。損益につきましては、営業利益は売価転嫁や比例費の削減などはありましたが、規模減の影響などにより22,959百万円(前連結会計年度比18.4%減)となりました。経常利益は、為替差損計上の影響などにより10,475百万円(前連結会計年度比47.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は、特別損失の計上や税効果の影響などにより23,801百万円(前連結会計年度は10,568百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。なお、営業利益の主な増減要因は、以下のとおりであります。規模効果    △34,031百万円人件費       2,678百万円比例費       4,729百万円売価レベル   13,154百万円為替        5,962百万円経費他      2,316百万円 セグメントの業績につきましては、以下のとおりであります。1) 日本販売につきましては、軸受他事業においては、補修市場向けで減少し、OEM市場向けでも産業機械向けおよび自動車向けともに減少しました。CVJアクスル事業においては、自動車のOEM市場向けでは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は354,480百万円(前連結会計年度比2.7%減)となりました。セグメント損益は売価転嫁や為替の影響などはありましたが、販売規模減の影響などがあり、11,207百万円のセグメント利益(前連結会計年度比26.4%減)となりました。2) 米州販売につきましては、軸受他事業においては、補修市場向けで増加し、OEM市場向けでは産業機械向けで増加し、自動車向けで減少しました。CVJアクスル事業においては、自動車の補修市場向けおよびOEM市場向けともに客先需要の低減などにより減少しました。全体としては、売上高は271,889百万円(前連結会計年度比1.6%減)となりました。セグメント損益は売価転嫁や比例費の削減などはありましたが、販売規模減の影響などがあり、395百万円のセグメント損失(前連結会計年度は198百万円のセグメント損失)となりました。3) 欧州販売につきましては、軸受他事業においては、補修市場向けで減少し、OEM市場向けでも産業機械向けおよび自動車向けともに減少しました。CVJアクスル事業においては、自動車の補修市場向けおよびOEM市場向けで客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は190,517百万円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。セグメント損益は売価転嫁や比例費の削減などはありましたが、固定費の増加や販売規模減の影響などがあり、4,163百万円のセグメント損失(前連結会計年度は2,227百万円のセグメント損失)となりました。4) アジア他販売につきましては、軸受他事業においては、補修市場向けで減少し、OEM市場向けでも産業機械向けおよび自動車向けともに減少しました。CVJアクスル事業においては、自動車の補修市場向けおよびOEM市場向けともに客先需要の低減などにより減少しました。全体としては、売上高は168,557百万円(前連結会計年度比3.2%減)となりました。セグメント損益は比例費の削減などがありましたが、販売規模減の影響などがあり、14,757百万円のセグメント利益(前連結会計年度比6.6%減)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況営業活動の結果得られた資金は45,623百万円(前連結会計年度比19,480百万円、29.9%の減少)となりました。主な内訳は減価償却費42,379百万円の収入、法人税等の支払額10,793百万円の支出であります。投資活動の結果使用した資金は25,960百万円(前連結会計年度比990百万円、4.0%の増加)となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出23,535百万円であります。財務活動の結果使用した資金は18,708百万円(前連結会計年度比11,504百万円、38.1%の減少)となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出46,723百万円に対して、長期借入れによる収入34,000百万円であります。これらの増減に換算差額△508百万円を算入しました結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は127,712百万円となり、前連結会計年度末に比べ445百万円(0.3%)の増加となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年度比(%)日本314,45697.0米州202,54991.2欧州133,74099.1アジア他78,73492.6合計729,48095.2 (注) 上記金額は平均販売価格により表示しております。 2) 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年度比(%)受注残高(百万円)前年度比(%)日本217,20599.744,433104.6米州258,47892.3113,66495.8欧州189,83599.542,297113.7アジア他148,30490.852,19293.1合計813,82495.5252,58699.3 (注) 上記金額は平均販売価格により表示しております。 3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年度比(%)日本354,48097.3米州271,88998.4欧州190,51798.5アジア他168,55796.8セグメント間取引消去△159,85792.9合計825,58798.7 (注) 相手先別の販売実績は、総販売実績の100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容当社グループに関する経営成績等の状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」 1 (1) 連結財務諸表 の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の項目が連結財務諸表の作成に影響を及ぼすと考えております。1) 収益の認識基準当社グループの顧客との契約から生じる収益は、約束した財又はサービスを顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識しております。2) 貸倒引当金の計上基準当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて、回収不能となる見込額を貸倒引当金として計上しております。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。3) 有価証券の減損処理当社グループは、金融機関や販売又は仕入に係る取引会社の株式を保有しております。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来、株式市場が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。4) 繰延税金資産の回収可能性の評価当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。 5) 退職給付費用及び負債の前提条件当社グループは、退職給付費用及び債務を割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率、及び年金資産の期待運用収益率などに基づいて合理的に見積もっております。これらの前提条件が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なる可能性があります。その影響は発生の都度、負債に計上され、将来にわたって規則的に費用計上されるため、費用及び負債に影響を及ぼす可能性があります。6) 固定資産の減損処理当社グループが有する固定資産のうち、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされるものについては、損益報告や経営計画などの企業内部の情報、経営環境や資産の市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、資産又は資産グループ別に減損の兆候の有無を確認し、企業環境の変化や経済事象の発生によりその帳簿価額の回収が懸念されているかなど、減損損失の認識を判定しております。この判定により減損損失を認識すべきと判断した場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行っております。経営・市場環境といった企業外部要因等の変化により、回収可能価額が変更された場合には、減損損失の金額の増加又は新たな減損損失の認識の可能性があります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1) 売上高の分析当連結会計年度の売上高は825,587百万円となり、前連結会計年度に比べ10,698百万円(1.3%)減少しました。為替の影響による増加額26,442百万円を考慮しますと、実質では37,140百万円の減少となりました。なお、海外売上高は614,912百万円となり、前連結会計年度に比べ11,348百万円(1.8%)減少しました。売上高に占める海外売上高の割合は74.5%(米州33.1%、欧州20.3%、アジア他21.1%)となり、前連結会計年度に比べ0.4ポイント低下しました。2) 売上原価、販売費及び一般管理費の分析当連結会計年度の売上原価は684,221百万円となり、対売上高比率は82.9%と前連結会計年度に比べ0.3ポイント上昇しました。また、販売費及び一般管理費は118,406百万円となり、対売上高比率は14.3%と前連結会計年度に比べ0.3ポイント上昇しました。3) 営業利益の分析当連結会計年度の営業利益は22,959百万円となり、前連結会計年度に比べ5,190百万円(18.4%)減少しました。売上高営業利益率は2.8%となり、前連結会計年度に比べ0.6ポイント低下しました。4) 営業外収益及び費用の分析当連結会計年度の営業外収益及び費用は、12,485百万円の費用超過となりました。収益は受取利息1,898百万円、持分法による投資利益856百万円、受取配当金101百万円などにより5,896百万円となり、前連結会計年度に比べ284百万円の増加となりました。費用は支払利息8,968百万円、為替差損4,397百万円などにより18,381百万円となり、前連結会計年度に比べ4,621百万円の増加となりました。5) 経常損益の分析当連結会計年度の経常利益は10,475百万円となり、前連結会計年度に比べ9,526百万円(47.6%)減少しました。売上高経常利益率は1.3%となり、前連結会計年度に比べ1.1ポイント低下しました。6) 特別損益の分析当連結会計年度の特別利益は、有形固定資産売却益747百万円を計上し、前連結会計年度に比べ3,817百万円減少しました。また特別損失は、減損損失11,735百万円、事業再編損7,171百万円、独占禁止法関連損失909百万円を計上し、前連結会計年度に比べ11,802百万円増加しました。7) 親会社株主に帰属する当期純利益の分析当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は23,801百万円(前連結会計年度は10,568百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。売上高当期純利益率は△2.9%(△は親会社株主に帰属する当期純損失、前連結会計年度の売上高当期純利益率は1.3%)となりました。 8) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析当社は2024年4月より約10年後に目指す姿として、新たに「2035年度の姿と目標指標」を設定しました。OEMと補修の両輪で安定的に稼ぐ事業構造へ変革することで、景気変動下においても株主資本コストを安定して上回るROEの継続と、カーボンニュートラルの達成、並びに豊かな人づくりの実現を目指します。さらに、それに向けて、2024年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalにおける最終年度の目標値、及び当連結会計年度における実績は下表のとおりであります。 目標とする経営指標(連結)2025年3月期実績2027年3月期目標売上高825,587百万円830,000百万円営業利益22,959百万円50,000百万円営業利益率2.8%6.0%特別損益△19,068百万円△5,000百万円当期純利益△23,801百万円21,500百万円棚卸資産回転率3.4回4.5回ROIC2.6%6.2%ROE△9.6%8.0%自己資本比率27.2%30.0%ネットD/Eレシオ1.00.7 この結果を受け、中期経営計画最終年度の目標値、さらには2035年度の姿に向けて、翌連結会計年度において比例費の削減や売価転嫁などの施策を推進し、これらの実現に向けて一層注力してまいります。なお、事業活動におけるCO?排出量削減の状況については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般[指標及び目標]」に記載のとおりであります。 事業形態別の業績につきましては、以下のとおりであります。前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)(単位:百万円)事業形態外部顧客への売上高営業利益軸受他事業346,77717,699CVJアクスル事業489,50810,449連結合計836,28528,149 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(単位:百万円)事業形態外部顧客への売上高営業利益軸受他事業340,70313,680CVJアクスル事業484,8839,279連結合計825,58722,959 (a) 軸受他事業客先需要の低減などにより売上高は340,703百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。営業損益は売価転嫁や配賦方法の見直しによる共通費の減少などはありましたが、販売規模減の影響などにより13,680百万円の営業利益(前連結会計年度比22.7%減)となりました。(b) CVJアスクル事業客先需要の低減などはありましたが、為替の影響もあり売上高は484,883百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。営業損益は売価転嫁や比例費の削減などはありましたが、販売規模減の影響や配賦方法の見直しによる共通費の増加などにより9,279百万円の営業利益(前連結会計年度比11.2%減)となりました。 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社では、営業活動で獲得したキャッシュ・フローと、投資活動で支出したキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローを重要な指標の1つとしています。この指標を基に成長投資や運転資金への充当、または、負債の返済や新たな資金調達の要否を検討するとともに、フリー・キャッシュ・フロー創出のための施策を立案・推進し、財務体質の強化を図っています。また、財務体質の強化を図る指標として、自己資本比率、ネットD/Eレシオ等を使用しています。また、当社グループが事業活動を維持拡大するために必要な資金を安定的に確保するため、営業活動で獲得した自己資金と外部資金を有効に活用しています。外部からの資金については、調達コストの低減を図りながら資金調達手段の多様化と資本効率の向上を目的に、金融機関からの借入、社債の発行、営業債権の流動化を行っています。取引金融機関とは長年に亘って築き上げてきた良好な関係を維持しており、資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。更に、当社の一部子会社間については、当社グループが保有する資金をグループ内で効率的に活用するグローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを金融機関と構築し、2022年9月より運用しております。それにより資金の偏在をならし、資金の効率化や流動性の確保を図っています。 1) 財政状態の分析流動資産は前連結会計年度末に比べ29,067百万円(5.2%)減少し、533,861百万円となりました。これは主に、商品及び製品の減少8,943百万円、受取手形及び売掛金の減少8,592百万円、仕掛品の減少6,333百万円によります。固定資産は前連結会計年度末に比べ24,761百万円(7.1%)減少し、322,563百万円となりました。これは主に機械装置及び運搬具の減少11,196百万円、無形固定資産の減少5,673百万円、建物および構築物の減少5,177百万円、繰延税金資産の減少3,961百万円、投資有価証券の増加965百万円によります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ53,827百万円(5.9%)減少し、856,425百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ62,607百万円(17.4%)増加し、422,513百万円となりました。これは主に1年内償還予定の社債の増加40,000百万円、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の増加22,035百万円、短期借入金の増加15,578百万円、未払費用などのその他の減少2,664百万円によります。固定負債は前連結会計年度末に比べ84,310百万円(31.3%)減少し、185,213百万円となりました。これは主に社債の減少50,000百万円、転換社債型新株予約権付社債の減少22,084百万円、長期借入金の減少13,599百万円によります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ21,704百万円(3.4%)減少し、607,726百万円となりました。純資産合計は前連結会計年度末に比べ32,123百万円(11.4%)減少し、248,699百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少29,383百万円、為替換算調整勘定の減少1,989百万円によります。 なお、自己資本比率は27.2%(前連結会計年度末比1.8ポイント低下)となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は439.89円(前連結会計年度末比57.94円減)となりました。有利子負債は前連結会計年度末に比べ8,072百万円(2.2%)減少し、353,992百万円となりました。為替の影響による増加額2,157百万円を考慮しますと実質では10,229百万円の減少となりました。なお、有利子負債依存度は41.3%(前連結会計年度末比1.5ポイント上昇)となりました。正味運転資本は111,348百万円となり前連結会計年度末比91,672百万円減少しました。また流動比率は126.4%(前連結会計年度末比30.0ポイント減少)となりました。棚卸資産回転率は3.4回(前連結会計年度末比0.2回増加)、総資産回転率は1.0回(前連結会計年度末比0.1回増加)となりました。2) キャッシュ・フローの分析営業活動の結果得られた資金は45,623百万円(前連結会計年度比19,480百万円、29.9%の減少)となりました。主な内訳は減価償却費42,379百万円の収入、法人税等の支払額10,793百万円の支出であります。投資活動の結果使用した資金は25,960百万円(前連結会計年度比990百万円、4.0%の増加)となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出23,535百万円であります。財務活動の結果使用した資金は18,708百万円(前連結会計年度比11,504百万円、38.1%の減少)となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出46,723百万円に対して、長期借入れによる収入34,000百万円であります。これらの増減に換算差額△508百万円を算入しました結果、当期末における現金及び現金同等物は127,712百万円となり、前連結会計年度末に比べ445百万円(0.3%)の増加となりました。なお、営業活動による資金と投資活動による資金を合算したフリー・キャッシュ・フローは19,663百万円となりました。また、売上高営業キャッシュ・フロー比率は5.5%となりました。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について「第2 事業の状況」「3.事業等のリスク」及び「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に記載しています。

※本記事は「NTN株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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