会社名 | 野村ホールディングス株式会社 |
業種 | 証券、商品先物取引業 |
従業員数 | 連27242名 単177名 |
従業員平均年齢 | 43歳 |
従業員平均勤続年数 | 4年 |
平均年収 | 13761056円 |
1株当たりの純資産 | 871.28円 |
1株当たりの純利益(単体) | 44.89円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 57円 |
配当性向 | 127% |
株価収益率(PER) | 20.99倍 |
自己資本利益率(ROE)(単体) | 5.19% |
営業活動によるCF | ▲6786億円 |
投資活動によるCF | ▲8486億円 |
財務活動によるCF | 16796億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 129.78億円 |
販売費および一般管理費※1 | -円 |
株主資本比率※2 | 23.7% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (1)経営の基本方針① 経営の基本方針 当社は、「経営の基本方針」を取締役会で策定し、以下のとおり定めております。[経営目標]野村グループは、社会からの信頼および株主・顧客をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高めることを経営目標とする。『グローバル金融サービス・グループ』として国内外の顧客に付加価値の高いソリューションを提供するとともに、当グループに課せられた社会的使命を踏まえて経済の成長や社会の発展に貢献していく。企業価値の向上にあたっては、経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図るものとする。 [グループ経営の基本観](1)新たな事業領域におけるビジネスの拡大をいち早く実現することにより、自ら新しい成長モデルを構築する。また、的確なコスト・コントロールおよびリスク・マネジメントにより、市場環境に左右されにくい収益構造を実現する。(2)顧客やマーケットの声に真摯に耳を傾け、ビジネスの可能性を広く捉えながら、金融・資本市場を通じた付加価値の高い問題解決策を顧客に提供し、あらゆる投資に関して最高のサービスを提供する会社を目指す。(3)法令・諸規則の遵守と適正な企業行動を重視し、日々の業務執行においてコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を実践する。野村グループ各社は、顧客の利益を尊重し、業務に関する諸規制を遵守する。(4)経営に対する実効性の高い監督機能の確保および経営の透明性の向上に努める。(5)事業活動を通じて証券市場の拡大に貢献するとともに、企業市民として、経済・証券に関する教育機会の提供を中心とした社会貢献活動に積極的に取り組む。(注) 当社および当社の連結子会社は「野村」として表示しておりますが、「経営の基本方針」については原文に沿って「野村グループ」として表示しております。 ② パーパス 2024年4月、当社は、2025年12月に創立100周年を迎えるにあたり、創業の精神や企業理念を受け継ぎつつ、次の100年につながるグループ経営の基礎となる野村のパーパスを策定しました。 パーパス金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する 野村は創立以来、金融資本市場の発展に寄与すべく、挑戦を続けてきました。急激に変化し複雑化する環境において、今後も当社の持つ知識やノウハウといった付加価値を提供し、金融資本市場を通じた多様な豊かさを実現していくために、さらなる取組みを進めていきます。「世界と共に挑戦し」には、さまざまなステークホルダーのより良い未来に向けた想いを実現するために、皆様と一緒に歩んでいくこと、当社においてはグループ全体で理想の姿を追求し、挑戦を続けていくことへの決意を込めました。「実現する」という言葉は、「豊かな社会の実現」に向けた野村のより強いコミットメントを示しています。 ③ 経営ビジョン 2024年5月、当社は、パーパスに沿った経営戦略を推進することを目的として、2030年度に向けた新経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を定めました。 野村は、幅広い金融サービスの提供を通じ、リスクマネーを循環させ、金融資本市場の発展、お客様への最適なソリューションの提供に取り組んでまいります。 (2)経営環境 当期においては、世界的なインフレの鎮静化が続く一方、景況感については地域ごとのばらつきが見られ、市場の変動要因となりました。米国においては、夏場に景気失速への一時的な警戒感が高まり、世界的な株価急落を引き起こしました。2024年11月の米大統領選挙では共和党のトランプ氏が勝利し、当初は将来の減税政策や規制緩和を先取りする形で株高要因とみなされた一方、2025年1月の大統領就任以降は関税率の引き上げについての発言および実際の発動が株安を誘発する局面が断続的に発生しました。中国では、不動産市場の停滞が続いているなかで、財政出動による景気テコ入れ策への期待感から、秋口以降は株価が底堅く推移しました。欧州では相対的な株価の弱さが続いていましたが、年明け以降、ウクライナ戦争の終結に向けた期待感によって株価上昇が目立ちました。 この間、金融政策については、米FRB(連邦準備制度理事会)が2024年9月から利下げ局面に入りました。ただし、米国景気の堅調さを背景に、先行きの追加利下げ余地については限定的との見方が広まり、長期金利はむしろ秋口から年明けにかけて上昇しました。ECB(欧州中央銀行)は、2024年6月から利下げ局面に入っています。 日本では、インフレ率が夏場にかけては低下したものの、その後は粘着性を増しました。春闘賃上げ率は、2024年に5.3%に達しましたが、2025年も5%超という強い基調になることが見込まれています。日本銀行は、賃金・物価の好循環が強まっているとの認識のもと、政策金利を2024年7月に0.25%へ、2025年1月に0.50%へと引き上げました。ドル円レートは主に日米の市場金利の格差を反映しながら変動しましたが、おおむね横ばい圏内での推移となりました。株価は、企業の利益率の改善を背景に、2024年度中は長期的な上昇局面を維持しました。 (3)対処すべき課題 野村を取り巻く経営環境は大きな変化の只中にあります。引き続き、適正な財務基盤の維持と、資本効率の改善等を通じた経営資源の有効活用を図りながら、機動的に対応してまいります。また、既存ビジネスの拡大とお客様へのさらなる付加価値の提供を目指し、常に新たな取組みも実践します。 ① 中長期の優先課題 野村では、グループ全体の持続的成長の実現を追求しており、収益の安定化・多様化、資本効率性を意識した事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。 「野村を今立っている場所とは違うところ、次のステージに進める」という考えのもと、その実現に向けた戦略のひとつとして「パブリックに加え、プライベート領域への拡大・強化」を打ち出しました。この戦略に基づき、コアビジネステーマとして、資産管理ビジネスの推進、インベストメント・マネジメント部門の強化、ホールセールビジネスにおける成長と安定化に取り組むとともに、デジタルアセットビジネスを含むデジタル金融サービスやサステナブル・ファイナンスを含むサステナビリティ分野等の新領域を開拓・強化してまいりました。また、構造改革を通じた全社的なコスト・コントロールを推進しています。加えて、これらの事業の基盤となるコーポレート機能の高度化・効率化、ガバナンス体制やリスク・マネジメントの強化、人材マネジメント戦略の進化、行動規範・コンプライアンスのより一層の浸透、デジタルを活用した業務効率化やサイバーセキュリティに関する取組みも推進しています。なお、ビジネスの各部門の取組みについては、「②部門別の課題」もご参照ください。 当社は、2024年5月に公表したとおり、2030年度に向けた経営の方向性を示すものとして、経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」および経営定量目標としてROE8~10%+、5,000億円超の税引前当期純利益の達成を掲げております。達成に向けた注力テーマとして、(ⅰ)日本のフランチャイズを活かしたグローバル戦略の深化、(ⅱ)安定収益の飛躍的な成長、(ⅲ)“プラットフォーム”提供戦略の更なる推進に取り組んでまいります。 なお、当社ではPBR(株価純資産倍率)を下図のように分解して整理しております。ROE絶対水準の最大化は、その主要な要素のひとつです。中長期の優先課題の解決を通じて、企業価値の向上を目指します。 ② 部門別の課題 各部門の課題、取組みは以下のとおりです。 [ウェルス・マネジメント部門] ウェルス・マネジメント部門は、資産管理によるストック型ビジネスへと転換を図ってきた結果、収益構造が大きく変化するなど一定の成果が出てきています。日本の家計の金融資産全体に占める有価証券比率の向上に向けて、多様化する資産管理のニーズに応えていくことが課題だと考えておりますが、全国の野村證券株式会社の本支店・営業所やデジタル等の接点を通じて、包括的な資産管理サービスを提供することで、お客様一人ひとりが目指すゴールを共に実現することを目指しております。今後とも、ウェルス・マネジメントビジネスの進化に向けて、パートナー(営業担当者)のスキルアップを継続して図るとともに、野村グループの総合力を最大限に活用し、幅広い商品・サービスの充実に努めてまいります。 [インベストメント・マネジメント部門] インベストメント・マネジメント部門は、伝統的資産からオルタナティブ資産までのさまざまなアセットクラスからなる商品・サービスを通じて、幅広い投資家の多様な投資ニーズに対するソリューションを提供しています。お客様の多様な運用ニーズに応える高品質な投資商品を提供することを通じて、社会課題の解決につながる投資の好循環を実現することを目指しています。日本の豊富な個人金融資産と日本政府の資産運用立国実現プランによる政策のあと押し、プライベート資産への投資の伸びしろ、サステナビリティ関連投資に対する高水準の資金需要と投資家意識の高まりを成長機会として捉えています。運用報酬率に下方圧力が継続する中、運用力向上、パブリック市場ビジネスにおける運用資産残高拡大と商品やサービスの高付加価値化、オルタナティブ資産など報酬率の高い成長分野における運用基盤の拡充、効率化とコスト・コントロールを戦略課題として取り組んでいます。 なお、2025年4月に公表したとおり、当社は、オーストラリアの金融サービスグループであるMacquarie Group Limitedとの間で、同社の米国におけるパブリック・アセットマネジメント事業を展開する資産運用会社を有するMacquarie Management Holdings, Inc.の全株式の買収、および欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業にかかる株式100%を取得することに合意しました(取得価額:約18億米ドル(注))。本件取得は、各国金融当局等からの承認などを前提に、2025年12月末までに完了する予定です。(注)クロージング時点の対象事業の運用資産残高や運転資本、負債等の状況により、取得価額は調整される可能性があります。 [ホールセール部門] ホールセール部門においては、お客様のニーズのさらなる高度化やテクノロジーの発展に加えて、不透明なマーケットおよびマクロ環境などが当社のビジネスに影響を及ぼす可能性があります。引き続きお客様へ高度なサービスと付加価値を提供し続けるために、各ビジネスライン、国内外および他部門との連携を強化していくほか、ビジネスの領域を広げて収益の安定を図ります。また、成長の見込まれる分野において、効率的に財務リソースを活用し、生産性を意識した選択的成長を実現するとともに、コストの最適化に注力します。 グローバル・マーケッツでは、徹底したリスク管理のもとでお客様に流動性の提供を継続してまいります。また、日本の強固な事業基盤とグローバル・プロダクトの競争力を活かし、ビジネス・ポートフォリオの多角化、グローバル連携の強化とクロスセルの拡大、ストラクチャード・ファイナンスやソリューション・ビジネス、インターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)およびエクイティ・ビジネスなどの成長分野における収益機会の追求、そして、マクロ・プロダクトにおけるフロー・ビジネスの強化をさらに推し進めてまいります。 一方、インベストメント・バンキングでは、事業環境の変化にともないお客様のビジネス活動やニーズが変化する中、国内外で業界再編・事業再編に関するアドバイザリーや資金調達に加え、金利・為替ビジネスなどのソリューション・ビジネスをシームレスに提供することを加速させてまいります。日本における強みも活かしてグローバルにアドバイザリー・ビジネスの拡大に注力するとともに、市場ならびにお客様にとって重要なテーマであるサステナビリティ関連のビジネスを引き続き強化しております。またグループワイドな連携を強化し、幅広いサービスやプロダクト、アドバイスをお客様へご提供できるように注力してまいります。 [バンキング部門] 2025年4月1日付けでバンキング部門を新設いたしました。 各国におけるインフレの進行、金利環境の変化、資産運用立国の実現に向けた動きの加速といった大きな潮流の中、野村グループの銀行・信託機能を活用することでより多様かつ質の高いサービスを提供する取組みを強化することが重要であると考えております。バンキング部門は、傘下のエンティティである野村信託銀行とNomura Bank (Luxembourg) S.A.のそれぞれの強みである「プライベート」「オーダーメイド」といった特長を活かし、お客様の資産形成や円滑な資産承継等のさまざまなニーズに応えてまいります。 [リスク・マネジメント、コンプライアンスなど] 野村では、経営戦略の目的と事業計画を達成するために許容するリスクの種類と水準をリスク・アペタイトとして定め、それをリスク・アペタイト・ステートメントとして文書化しています。そのうえで、事業戦略に合致し、適切な経営判断に資するリスク管理体制を継続的に強化していくことにより、財務の健全性の確保および企業価値の向上に努めています。 野村では、リスク・アペタイト・ステートメントにおいて、3つの防衛線による管理体制のもと、すべての役職員が自らの役割を認識し、能動的にリスク管理に取り組むことを明記しています。またグループ会社を含む役職員への継続的な研修の実施等を通じ、金融のプロフェッショナルとしてリスクに関する知識を深め、リスクを正しく認識・評価し、適切に管理する企業文化、すなわちリスク・カルチャーの醸成に努めています。 コンプライアンスの観点からは、野村がビジネスを展開している各国の法令諸規則を遵守するための管理体制の整備に引き続き取り組むとともに、すべての役職員がより高い倫理観を持って自律的に業務に取り組めるよう社内の制度やルールの見直しを継続的に実施しております。 また、野村では、法令諸規則の遵守にとどまらず、すべての役職員が高い倫理観を持ち、自信と誇りをもって働くことができ、社会から真に信頼される会社を目指し、野村の一員として取るべき行動の指針である野村グループ行動規範を策定し、研修その他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(以下「コンダクト」)を推進する取組みを日々進めております。毎年8月実施の「野村創業理念と企業倫理の日」においては、全社で過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、過去の不祥事を振り返ったうえでのコンダクトの在り方に関するディスカッション、行動規範を遵守することへの宣誓を行っております。行動規範は、野村を取り巻く社会・経済情勢の変化やステークホルダーの期待によりよく応えることができるよう、定期的に見直すこととしています。なお、創立100周年に向けた取組みのひとつとして、2024年に野村のパーパス「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」を策定しました。パーパスの策定および浸透に向けて、Nomuraパーパス・ジャーニープロジェクトを立ち上げ、役職員一人ひとりが自身のパーパスについて考え、部下や上司、仲間と徹底的に議論することを重視しており、このことは、行動規範の重要な要素である、各役職員がいかに判断して具体的にどう行動すべきか、を改めて考え直す良い機会となり、各人の行動規範への意識をさらに高める契機となっております。 以上の課題に対処し、解決することを通じて、金融資本市場の安定とさらなる発展とともに、野村の持続的な成長に尽力してまいります。 (野村證券株式会社に対する金融庁による課徴金納付命令について) 2024年9月、当社の連結子会社である野村證券株式会社において、2021年3月の国債先物取引に関して法令違反に該当する事実が認められたとして、証券取引等監視委員会から金融庁に対して課徴金納付命令の勧告が行われ、2024年10月、金融庁から野村證券株式会社に対して課徴金納付命令が発出されました。これに関し、野村證券株式会社は、法令遵守体制および内部管理体制のより一層の強化・充実を図り、信頼回復を目指すべく、フロントにおける再発防止策(第1の防衛線)、コンプライアンスにおける再発防止策(第2の防衛線)および内部監査部署による検証(第3の防衛線)等から構成される再発防止策を策定のうえ、実行に移しております。また、本件を受けて、役員報酬の自主返上の申し出があり、報酬委員会は報酬の減額を決議しております。 (野村證券株式会社の元社員の起訴・逮捕について) 2024年10月、野村證券株式会社の元社員が広島県警察により逮捕され、11月に広島地方検察庁により起訴された件に関し、野村は、お客様の大切なご資産をお預かりする金融機関として、このようなことは二度とあってはならないと重く受け止めております。野村證券株式会社では、お客様に安心してサービスをご利用いただくために、予兆検知や行動管理の観点でこれまで講じてきた対策をさらに強化することとし、厳格かつ実効性を高めた対応策を定め、実行に移しております。本対応策は、業務改革推進委員会の設置、「お客様のご自宅への訪問」に関する監督強化、社員の業務活動におけるモニタリング強化および不正検知のために社員が職場から一定期間離れる制度のウェルス・マネジメント部門への拡大等から構成されております。これら対応策の十分性に関して外部専門家による評価を受け、再発防止に向けた土台の整備が進捗していることを確認し、識別された課題について助言を受ける等、実効性ある再発防止に努めております。また、本件を受けて、役員報酬の自主返上の申し出があり、報酬委員会は報酬の減額を決議しております。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績の概況 以下の業績の概況は、「第1[企業の概況] 1[主要な経営指標等の推移]」および「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]」の部とあわせてご覧ください。また、以下の内容には、一部、将来に対する予測が含まれており、その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれています。野村の実際の経営成績はここに記載されている将来に対する予測と大きく異なる可能性があります。 エグゼクティブ・サマリー① 全体の業績について 当期の収益合計(金融費用控除後)は、前期比21.2%増の1兆8,925億円、金融費用以外の費用計は同10.3%増の1兆4,205億円となりました。税引前当期純利益は4,720億円、当社株主に帰属する当期純利益は3,407億円となりました。自己資本利益率は10.0%となり、また、当期のEPS(注)は前期の52.69円から111.03円となっております。なお、2025年3月末を基準日とする普通配当は、1株当たり24円といたしました。また、当社は2025年12月25日に創立100周年を迎えることを記念して、2025年3月31日を基準日とする記念配当を1株当たり10円とし、年間での配当は1株につき57円といたしました。(注)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益 ② 当期における主な取組み、実績についての評価等 当期は、グループの戦略として掲げる「パブリックに加え、プライベート領域への拡大・強化」が確実に進展し、安定収益の拡大やホールセール部門収益の多様化、コスト・コントロールなど、中長期的な取組みがさらに進展しました。 ウェルス・マネジメント部門では、包括的な資産管理ビジネスの提供がさらに進展し、純増を伴ってストック資産が拡大したことでストック収入が増加し、税引前当期純利益は1,708億円と11年ぶりの高水準となりました。 インベストメント・マネジメント部門では、オルタナティブ運用資産残高が過去最高を更新し、資金純流入を伴って運用資産残高が拡大しました。事業収益は前期比19%増、投資損益も増加し、部門収益・税引前当期純利益ともに2021年4月の部門設立以降で最高となりました。 ホールセール部門はすべてのビジネスライン・地域で収益が伸長しました。グローバル・マーケッツでは、エクイティ・プロダクト、エグゼキューション、証券化商品が好調で、アジア・中東で展開するインターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)も大幅増収となりました。インベストメント・バンキングでは、高水準のコーポレートアクションが継続した日本でECMやM&Aが大幅増収となり、欧州のM&Aや全地域のソリューション・ビジネスも伸長し、収益は日本・海外ともに比較可能な2017年3月期以降で最高となりました。 ③ 資本政策と株主還元の考え方 当社は、適正な資本比率を確保しつつ、最適な資本配分を通じて持続可能な成長を実現したいと考えております。経営ビジョン達成に向けた布石として、コスト水準は抑制しながらも、パブリックに加え、プライベート領域のビジネスを拡大する為の成長投資も行うことで、投資と株主還元のバランスを図るとともに、当社の生産性向上と収益源の拡大を通じた株主価値の最大化を目指しています。 配当については、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向を40%以上とすることを重要な指標の1つとして設定しており、また、自己株式取得による株主還元分を含めた総還元性向を50%以上とすることを、株主還元上の目処としています。各期の株主還元の総額は、バーゼル規制強化をはじめとする国内外の規制環境の動向、連結業績をあわせて総合的に勘案し、決定することとしています。 詳細は「第4[提出会社の状況] 3[配当政策]」をご参照ください。 ④ 事業セグメント別の概況各部門の状況については以下のとおりです。 2025年3月期のウェルス・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比12.2%増の4,515億円、金融費用以外の費用は同0.4%増の2,807億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同39.2%増の1,708億円となりました。ウェルス・マネジメント部門では、お客様一人ひとりが目指す未来の実現に向かって、お客様のニーズに沿った包括的な資産管理サービスを充実させることで、ウェルス・マネジメントサービスの強化に取り組んでまいりました。当期は不透明感の強いマーケット環境でしたが、対面チャネルを中心に投資信託の買付が増加し、フロー収入等は増加しました。加えて、継続的に取り組んできたお客様の資産全体に対する資産管理サービスにより、預り資産の拡大にともなうストック収入も大幅に増加しました。また、ワークプレイス(職域)サービスによる接点拡大を通じて、持続的な顧客基盤の構築、部門の中長期的なサービス拡大を目指していますが、現役世代のお客様を含め、ワークプレイスサービスを提供するお客様を順調に拡大することができております。今後は、サービスを必要とする多くのお客様に、対面によるコンサルティングや、デジタルツール等を用いた非対面サービス、資産形成ニーズへの対応を含むワークプレイスサービスなど、幅広い形でウェルス・マネジメントサービスを提供してまいります。 2025年3月期のインベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比24.9%増の1,925億円、金融費用以外の費用は同9.5%増の1,029億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同48.8%増の896億円となりました。安定収益である事業収益および税引前当期純利益は、2021年4月の部門設立以降で最高となりました。インベストメント・マネジメント部門では、運用資産の拡大と高付加価値化による事業収益の成長を目指してきました。当期の資金純流入は2.6兆円と、前期に引き続き高水準となりましたが、日本株市場の下落など市場要因もあり、当期末の運用資産残高は前期末比微増の89.3兆円にとどまりました。一方、期中平均の運用資産残高でみると当期は前期比で大きく増加したことが、事業収益の拡大につながりました。また、自社のアクティブ運用や、ウェルス・マネジメント向けのプライベート資産運用ビジネスといった高付加価値分野が伸長したことも、事業収益の増加に寄与しました。特に、オルタナティブ運用資産残高は、前期末比40.2%増の2兆6,082億円となりました。また、投資家に合った投資スタイルでバランスよく投資できる「のむラップ・ファンド」は安定した資金流入が継続し、純資産総額が1兆円を突破しました。 2025年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比22.1%増の1兆579億円、金融費用以外の費用は、同9.8%増の8,917億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同208.4%増の1,663億円となりました。グローバル・マーケッツは、リスク管理を徹底しながら、マクロ環境や金融政策および米国の選挙などに絡むマーケットの不透明感を背景とした投資家のポートフォリオのリバランス取引やヘッジ取引などに対して流動性を提供しました。また、顧客アクティビティやマーケットの機会を適切に捉え、特に証券化商品、エクイティ・プロダクト、およびインターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)を中心に収益を積み上げました。インベストメント・バンキングは、地域ごとに違いはあったものの、グローバルに顧客活動が増え、ニーズが多様化する中で、サービスやソリューションの提案に尽力した結果、案件が増加しました。特に、日本ではアドバイザリーとエクイティ・ファイナンスおよびエクイティ・ソリューション、海外地域ではアドバイザリーとプライベートクレジットを含むソリューションが堅調だったことが増収につながりました。 主要なパフォーマンス指標の進捗 《経営指標》自己資本利益率(ROE)・税引前当期純利益 当社は、2030年度に向けた経営の定量目標としてROE8~10%+、5,000億円超の税引前当期純利益の達成を最も重視する経営指標として設定しています。 国内でコーポレートガバナンス・コードが導入された後、日本企業においては資本コストを意識した経営の重要性が高まっております。加えて、金融業界においては、世界的な金融規制の枠組みのもとで、さらなる資本の有効活用が求められています。そのため、当社では、経営資源の最適配分という観点がより一層重要になるということに鑑み、2020年5月に開催された取締役会での決定を踏まえ「経営の基本方針」を改定するとともに、2021年3月期より、重要な経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図ることとしました。 ROEは当社株主に帰属する当期純利益を前期末当社株主資本合計および当期末当社株主資本合計の平均で除した値と定義しています。ROEの開示は、企業価値の向上や、投資家の皆様が当社の経営状況や資本の有効活用の状況を把握するためにも有益だと考えています。 ROEの目標水準としては、当社に求められる資本コストを意識し、2031年3月期において8~10%+の水準を掲げております。一方で、ROEは必ずしも財務の健全性を反映するものではないと考えられることから、ROE向上を企図した過度な資本効率の追求を行うことのないよう、財務健全性に十分に配慮した上での企業価値の創造を重視し、ROEの向上に努めております。なお、2025年3月期のROEは、2024年3月期の5.1%から上昇し、10.0%となりました。 あわせて、持続的成長の実現に向けて、企業価値の向上と当社の経営状況をより具体的に理解できるよう、2030年度に向けた経営の定量目標として5,000億円超の税引前当期純利益の達成を掲げております。2025年3月期の税引前当期純利益は、4,720億円となりました。 普通株式等Tier1比率 野村グループが遵守しなくてはならないグローバル金融規制は複数ありますが、なかでもバーゼル委員会および金融庁が定める自己資本規制は、当社のビジネスの在り方に、直接影響を及ぼすものです。そのため当社は、連結普通株式等Tier1比率を11%以上に維持することを掲げ、厳しいマーケットストレス等がかかった際のバッファーを含む財務健全性についても考慮しております。なお、2025年5月に公表したとおり、新たに上限を設定することとし、連結普通株式等Tier1比率のターゲットレンジとして11%~14%を掲げております。 2025年3月31日現在の連結普通株式等Tier1比率は、2024年3月31日現在の16.29%から減少し、14.52%となりました。当社の普通株式等Tier1比率の詳細と算定方法については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (5)流動性資金調達と資本の管理」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。 《事業セグメント別の指標》ウェルス・マネジメント部門ウェルス・マネジメント部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、ストック資産、ストック資産純増、フロービジネス顧客数、ワークプレイスサービス提供数の4項目を設定し、ビジネスの持続的な推進と発展を目指しています。これらの指標の開示は、ウェルス・マネジメント部門のお客様との接点における進捗とともに持続可能な成長性を投資家の皆様が把握するに際して有益だと考えています。 (単位:兆円) 2023年3月期 2024年3月期 増減率 2025年3月期 増減率ストック資産 ……………………… 18.7 23.0 23.0% 23.5 2.3% (単位:十億円) 2023年3月期 2024年3月期 増減率 2025年3月期 増減率ストック資産純増 ………………… 580.5 702.0 20.9% 1,374.0 95.7% ※後述の定義変更にともない、2024年3月期以前を遡及修正(単位:千件) 2023年3月期 2024年3月期 増減率 2025年3月期 増減率フロービジネス顧客数 …………… 1,446 1,692 17.0% 1,644 △2.9%ワークプレイスサービス提供数 ……………… 3,489 3,627 4.0% 3,883 7.0% ストック資産は、投資信託や投資一任、保険、レベルフィーなど、お預り資産に対し運用管理費用等の手数料を頂戴する資産の総額に関連ローンを加算して算出しています。当該ローン金額は2025年3月末の連結財務諸表の貸付金として報告されているうちの約9,927億円です。2025年3月末時点のストック資産残高は23.5兆円であり、ストック資産拡大の取組みおよび市場要因により、2024年3月末時点の23.0兆円より0.5兆円、2.3%増加しています。 ストック資産純増は、ストック資産の買付・流入金額から売却・流出金額を差引した金額であり、時価変動を除いたストック資産の拡大を測るための指標です。なお、ストックビジネスの進捗を正確に把握できるよう、当期より、投信分配金による純減を含まないよう定義を遡及的に修正しております。資産管理ビジネスの浸透により2025年3月期のストック資産純増年度累計は13,740億円と2024年3月期の7,020億円を95.7%上回っています。 フロービジネス顧客数は、事業年度内にフロービジネス(フロー収入が発生するビジネス)を提供した顧客数の累計であり、フロー収入の拡大を実現するために重要な顧客基盤の拡大を測るための指標です。先行き不透明感の高まりを背景に、期末に向けて積み上がりが鈍化した結果、2025年3月末時点のフロービジネス顧客数は164.4万件と2024年3月末の169.2万件を2.9%下回っています。 ワークプレイスサービス提供数は、持株会会員数、持株会由来口座数(現会員除く)、企業型DC加入者など、職域に関連するサービスの提供数を合算した数字であり、職域ビジネスを通じた顧客基盤の拡大を測るための指標です。2025年3月末時点のワークプレイスサービス提供数は388.3万件です。2024年3月末の362.7万件より25.5万件、7.0%増加しており、持株会会員数の増加を中心に、持続的な成長に繋がる顧客基盤の拡大を実現しています。 インベストメント・マネジメント部門インベストメント・マネジメント部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、運用資産残高および資金純流入を設定しております。運用資産残高は、インベストメント・マネジメント部門における運用ビジネスの収益源であり、運用ビジネスの進捗状況を把握する上で有効であると考えております。また、運用プロダクトがどの程度投資家の皆様に受け入れられたか把握する上で、重要な指標になります。資金純流入は、運用資産残高の増減から市場要因等を除いた運用ビジネスの進捗動向を把握する上で有効であると考えております。運用資産の拡大、それによる部門収益拡大目標の達成における施策の効果を確認する上で、重要な指標になります。 (単位:十億円) 2023年3月31日 2024年3月31日 増減率 2025年3月31日 増減率資金純流入 ………………………… △760 3,760 - 2,648 △29.5% (単位:兆円) 2023年3月31日 2024年3月31日 増減率 2025年3月31日 増減率運用資産残高 ……………………… 67.3 89.0 32.2% 89.3 0.4% 資金純流入は、資金流入額から資金流出額を差し引いた額となります。なお当該資金流出額は、分配金による流出額を含まない額となります。2025年3月期の資金純流入は2.6兆円となりました。投資信託ビジネスでは、マネー・リザーブ・ファンド等のマネーファンドからの資金流出がありましたが、ETF、オルタナティブ投資、バランス型投信等への資金流入がありました。投資顧問・海外ビジネス他では、国内機関投資家から外国株式、国内債券等への資金流入がありました。 運用資産残高は、野村アセットマネジメント、ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント、ウエルス・スクエアの運用資産の単純合計(グロス)から重複資産を控除したものに加えて、インベストメント・マネジメント部門傘下の運用会社の運用資産に対する第三者による投資額を含むものとなります。2025年3月末の運用資産残高は、日本株市場の下落など市場要因があったものの、資金純流入により前期末比微増の89.3兆円となりました。 ホールセール部門ホールセール部門では経費率と収益/調整リスク・アセットを主要なパフォーマンス指標として採用しています。これらKPIの開示は投資家に対してコストおよびリソース運用の効率性を示すうえで有効であり、マネジメントはビジネスにおけるコスト削減と収益力の評価に活用しています。 2023年3月期 2024年3月期 増減 2025年3月期 増減経費率 ……………………………… 96% 94%△2% 84%△10%収益/調整リスクアセット ……… 6.5% 6.8%0.3% 7.6%0.8% 経費率は、対象期間の金融費用以外の費用を同期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)で除して算出しており、部門運営の効率性を確認するために使用しています。2025年3月期は、前期比で金融費用以外の費用が10%増加した一方、収益合計が22%増加したため、前期に比べて改善しました。収益は、グローバル・マーケッツとインベストメント・バンキング双方において増加しました。グローバル・マーケッツではエクイティ・プロダクト、エグゼキューション、証券化商品、インターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)が大きく伸長し、インベストメント・バンキングではECM(エクイティ・キャピタル・マーケット)、アドバイザリー、およびソリューション・ビジネスで大きく伸長したことにより増加しました。費用の増加は、主に業績にともなう変動費の増加と業績関連費用の増加によるものです。2024年3月期は、収益が全体の費用を上回るペースで増加したため、前期に比べて改善しました。インベストメント・バンキングが主要ビジネスにおいて成長したことに加え、スプレッド・プロダクトとエクイティ・プロダクトを中心とするグローバル・マーケッツの業績が改善した一方、主に業績にともなう変動費の増加とインフレによる固定費の増加により、費用が増加しましたが、前期と比べて比率が改善しました。 収益/調整リスク・アセットは、対象期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)を部門が使用する同期間の調整リスク・アセット(各会計期間の日次平均)で除して算出しており、使用リソースに対する収益率をそれぞれ確認するために使用しています。調整リスク・アセットは、(1)バーゼルⅢ規制のリスク・アセットと、(2)バーゼルⅢ規制の資本調整項目を当社が内部で設定する最低資本比率で除したリスク・アセット相当額の合計です。各部門の活動に起因する控除額は内部の資本比率(12.5%)で除したうえで各部門のリソース使用額にチャージしたものを、調整リスク・アセットとしています。当社の収益/調整リスク・アセットは、計算手法等の違いにより他社の提示している同様の指標とは定義が異なる可能性があります。当社の信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は金融庁の承認を経て基礎的内部格付手法および標準的手法によりそれぞれ算出しています。市場リスク相当額については、内部モデル方式により算出しています。ホールセール部門のリスク・アセット(RWA)の調整RWAへの換算は、社内の最低自己資本比率目標を反映して調整しています。また、収益/調整リスク・アセットは、RWAに適用される調整が当社の事業部門に帰属するRWAの適切な金額を(規制上の資本として計算されるRWAとは対照的に)把握することを目的としたものであり、当社内部でのリスク許容度を反映した推定値であるという点で、その有用性が制限される可能性があり、当該調整は実際のリソースの用途については正確に反映していない可能性もあります。2025年3月期の収益/調整リスク・アセットの増加は、調整リスク・アセットの増加以上の収益の増加によるもので、グローバル・マーケッツではエクイティ・プロダクト、エグゼキューション、証券化商品、インターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)が大きく伸長し、インベストメント・バンキングではECM(エクイティ・キャピタル・マーケット)、アドバイザリー、およびソリューション・ビジネスが大幅に伸長したことにより増加しました。2024年3月期の収益/調整リスク・アセットの増加は、調整リスク・アセットの増加以上の収益の増加によるもので、主にグローバル・マーケッツのスプレッド・プロダクトとエクイティ・プロダクト、インベストメント・バンキングの主要ビジネスの業績が改善したことにより増加しました。 バンキング部門2025年4月1日付けで、バンキング部門を新設しました。新しい事業セグメントとしてのバンキング部門の指標については、2026年3月期から開示します。経営成績 損益概況 野村の主要な連結損益計算書情報は以下のとおりであります。 2023年3月期(百万円)2024年3月期(百万円)2025年3月期(百万円)金融収益以外の収益: 増減率 増減率委託・投信募集手数料279,857364,09530.1%407,01111.8%投資銀行業務手数料113,208173,26553.1%212,23422.5%アセットマネジメント業務手数料271,684310,15414.2%378,19621.9%トレーディング損益563,269491,611△12.7%580,09918.0%プライベートエクイティ・デット投資関連損益14,50411,877△18.1%7,634△35.7%投資持分証券関連損益△1,4269,612-444△95.4%その他130,940175,82434.3%223,26427.0%金融収益以外の収益合計1,372,0361,536,43812.0%1,808,88217.7%純金融収益△36,45925,562-83,603227.1%収益合計(金融費用控除後)1,335,5771,562,00017.0%1,892,48521.2%金融費用以外の費用1,186,1031,288,1508.6%1,420,52110.3%税引前当期純利益149,474273,85083.2%471,96472.3%法人所得税等57,79896,63067.2%124,70929.1%当期純利益91,676177,22093.3%347,25595.9%差引:非支配持分に帰属する当期純利益(△損失)△1,11011,357-6,519△42.6%当社株主に帰属する当期純利益92,786165,86378.8%340,736105.4%自己資本利益率(ROE)3.1%5.1% 10.0% 2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。この増加は、主にウェルス・マネジメント部門およびインベストメント・マネジメント部門においてアセットマネジメント業務手数料が増加したことおよびホールセール部門においてトレーディング損益が増加したことによります。委託・投信募集手数料は、投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料およびM&Aアドバイザリーフィーの増加が収益増加に寄与しました。アセットマネジメント業務手数料は期中平均の運用資産の増加にともない、増加しました。トレーディング損益は、フィクスト・インカムビジネスおよびエクイティビジネスが増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益23億円が含まれております。この収益は主にクレジット・スプレッドが拡大したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇が限定的で減収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、為替損益が増加しております。 2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。この増加は、主にウェルス・マネジメント部門において委託・投信募集手数料が増加したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料の増加が収益増加に寄与しました。アセットマネジメント業務手数料は運用資産の増加にともない、増加しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失の回収の剥落により減収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による損失額138億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレッドが縮小したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇により増収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、為替損益が増加しております。 純金融収益は、トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、ならびに、金利の期間構造とボラティリティに左右されます。純金融収益は、トレーディング業務と不可分な1つの要素であり、野村は、特にグローバル・マーケッツについて、純金融収益と金融収益以外の収益との合計額で、ビジネス全体の収益性を評価しております。2025年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比12%増加、また、金融費用も前期比10%増加し、その結果、2025年3月期の純金融収益は2024年3月期から増加しました。2024年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比135%増加、また、金融費用も前期比126%増加し、その結果、2024年3月期の純金融収益は2023年3月期から増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、人件費の増加により前年度比で増加しました。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、人件費の増加により前年度比で増加しました。 野村は、日本においてさまざまな税金を課されており、グループ通算制度を適用しております。このグループ通算制度は、国税だけを対象としています。国内の法定実効税率は、2023年3月期、2024年3月期、2025年3月期において、31%となっております。なお、2025年度税制改正により、繰延税金資産および繰延税金負債を計算する法定実効税率は、2025年4月1日に開始する事業年度以降に解消すると見込まれる一時差異等について31%から31.5%に増加しております。海外子会社は現地で課税を受けており、通常国内より低い税率が適用されています。そのため野村の各期の実効税率は、各地域での損益状況や、各地域で適用される特有の税務上の取扱いにも影響を受けています。 2025年3月期の実効税率は26.4%となりました。この実効税率26.4%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、評価性引当金の増減により5.3%実効税率が引き下げられたことがあげられます。 2024年3月期の実効税率は35.3%となりました。この実効税率35.3%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目の影響により2.5%実効税率が引き下げられた一方で、損金に算入されない費用項目の増加により6.0%実効税率が引き上げられたことがあげられます。 2023年3月期の実効税率は38.7%となりました。この実効税率38.7%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目の影響により4.7%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当金の増減により11.3%実効税率が引き上げられたことがあげられます。 事業セグメント別経営成績 野村の業務運営および経営成績の報告は、ウェルス・マネジメント部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門の区分で行われており、この部門体制に基づき、事業別セグメント情報を開示しております。2024年4月1日付けで、ビジネスの実態に合わせて「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称いたしました。 経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社利益(損失)の持分額、本社勘定、その他財務調整項目等は、事業セグメント別情報においては、“その他”として表示されています。2025年4月1日付けで、バンキング部門を新設しました。2023年3月期、2024年3月期および2025年3月期の財務情報等の記載は既存の3部門(ウェルス・マネジメント部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門)に基づいており、2025年4月1日以降にかかる戦略および目標を含む記載は新たな4部門に基づいております。 営業目的で保有する投資持分証券評価損益の一部は、セグメント情報には含まれておりません。なお、事業セグメント別経営成績については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 21 セグメントおよび地域別情報」にも記載がございます。また、そこでは、連結財務諸表数値と事業セグメント別数値の調整計算についても説明がありますのでご参照ください。 ウェルス・マネジメント部門 ウェルス・マネジメント部門の経営成績 (単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期増減率(%) 2025年3月期増減率(%)金融収益以外の収益297,496 395,90033.1 440,55311.3純金融収益2,695 6,461139.7 10,93469.2収益合計(金融費用控除後)300,191 402,36134.0 451,48712.2金融費用以外の費用266,695 279,6824.9 280,7360.4税引前当期純利益33,496 122,679266.2 170,75139.2 2025年3月期のウェルス・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に投資信託残高報酬の増加により、全体として増加しました。 2024年3月期のウェルス・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信手数料の増加により、全体として増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、2024年3月期に比べ横ばいでした。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、収益増加にともなう賞与の増加により、増加しました。 下の表は、2024年3月期、2025年3月期の商品別の金融収益以外の収益構成の内訳を示しています。 (単位:百万円) 2024年3月期 2025年3月期増減率(%)委託・投信募集手数料173,461 183,5985.8 株式委託手数料80,239 72,249△10.0 投資信託募集手数料54,857 65,85220.0 その他手数料38,365 45,49718.6トレーディング損益55,919 52,483△6.1投資銀行業務手数料23,066 27,32318.5投資信託残高報酬124,446 156,73225.9その他19,008 20,4177.4金融収益以外の収益395,900 440,55311.3 2025年3月期の委託・投信募集手数料は、投資信託募集手数料の増加により増加しました。2025年3月期の投資信託残高報酬は、ストック収入の増加により増加しました。 ウェルス・マネジメント部門顧客資産残高 下の表は、2024年3月末、2025年3月末のウェルス・マネジメント部門顧客資産残高と、その内訳を示しています。ウェルス・マネジメント部門顧客資産にはウェルス・マネジメント部門の顧客の預かり資産および変額年金保険商品に関連する資産が含まれています。 (単位:兆円) 2024年3月31日期首顧客資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末顧客資産残高株式78.0 31.1 △27.0 20.4 102.5債券18.5 13.6 △18.4 6.4 20.1株式型投資信託10.2 3.8 △3.6 2.9 13.3債券型投資信託6.8 0.8 △0.3 0.0 7.3外国投資信託1.2 0.5 △0.1 0.2 1.8その他7.5 1.8 △0.8 0.1 8.6合計122.2 51.6 △50.2 30.0 153.6 (単位:兆円) 2025年3月31日期首顧客資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末顧客資産残高株式102.5 41.1 △38.4 △13.0 92.2債券20.1 20.5 △23.7 3.8 20.7株式型投資信託13.3 5.4 △5.0 △0.4 13.3債券型投資信託7.3 0.7 △0.5 △0.8 6.7外国投資信託1.8 0.7 △0.2 △0.3 2.0その他8.6 2.5 △1.1 △1.1 8.9合計153.6 70.9 △68.9 △11.8 143.8 2025年3月末のウェルス・マネジメント部門顧客資産残高は、2024年3月末に比べ減少しました。2025年3月末の株式関連資産残高は、株価の下落により時価評価益が減少し、92.2兆円となりました。また、2025年3月末の投資信託残高は、2024年3月末の22.4兆円から0.4兆円減少し、22.0兆円となりました。 2024年3月末のウェルス・マネジメント部門顧客資産残高は、2023年3月末に比べ増加しました。2024年3月末の株式関連資産残高は、資金が流入し24.5兆円増加し、102.5兆円となりました。また、2024年3月末の投資信託残高は、2023年3月末の18.2兆円から4.2兆円増加し、22.4兆円となりました。 インベストメント・マネジメント部門 インベストメント・マネジメント部門の経営成績 (単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期増減率(%) 2025年3月期増減率(%)金融収益以外の収益120,096 149,57524.5 181,01021.0純金融収益8,463 4,568△46.0 11,463150.9収益合計(金融費用控除後)128,559 154,14319.9 192,47324.9金融費用以外の費用85,064 93,94510.4 102,8829.5税引前当期純利益43,495 60,19838.4 89,59148.8 2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の増加およびアセットマネジメント・ビジネスにおける手数料の増加により増加しました。 2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の増加およびアセットマネジメント・ビジネスにおける手数料の増加により増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、主に賞与による人件費の増加により増加しました。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、主に賞与による人件費の増加により増加しました。 インベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)の内訳は以下のとおりです。 (単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期増減率(%) 2025年3月期増減率(%)事業収益(1)120,664 137,24913.7 163,68819.3投資損益(2)7,895 16,894114.0 28,78570.4収益合計(金融費用控除後)128,559 154,14319.9 192,47324.9 (1) 投資損益を除く部門収益であり、主にアセット・マネジメント事業からの収益(アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益を除く)、野村バブコックアンドブラウン株式会社の航空機リース関連事業収益およびプライベート・エクイティ等の投資事業における管理報酬により構成(2) 部門収益のうち投資に起因するものであり、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社への投資、プライベート・エクイティ等の投資事業における投資にかかる損益(公正価値の変動、資金調達コストおよび配当金を含む)により構成 下の表は、2024年3月末、2025年3月末のインベストメント・マネジメント部門の運用会社別の運用資産残高を示しています。 (単位:十億円) 2024年3月31日 期首運用資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末運用資産残高野村アセットマネジメント69,092 31,019 △28,614 19,514 91,011ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント他3,868 1,799 △1,098 1,019 5,588単純合計72,960 32,818 △29,712 20,533 96,599グループ運用会社間の重複資産△5,688 △2,061 1,680 △1,529 △7,598合計67,272 30,757 △28,032 19,004 89,001 (単位:十億円) 2025年3月31日 期首運用資産残高 期首調整(注) 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末運用資産残高野村アセットマネジメント91,011 △2,837 34,509 △33,369 △1,264 88,050ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント他5,588 0 1,091 △1,382 249 5,546単純合計96,599 △2,837 35,600 △34,751 △1,015 93,596グループ運用会社間の重複資産△7,598 2,837 △952 1,552 △97 △4,258合計89,001 0 34,648 △33,199 △1,112 89,338 (注)2024年4月1日付の米州の組織再編成にともない、野村アセットマネジメントの単純合計およびグループ運用 会社間の重複資産から同額の運用資産残高が減少しております。 2025年3月期の運用資産残高は、2024年3月末に比べ横ばいでした。 2024年3月期の運用資産残高は、株価の上昇による時価要因に加え、幅広い商品への資金流入により増加しました。 下の表は、2023年、2024年、2025年それぞれの3月末時点の、野村アセットマネジメントの日本の公募投資信託市場におけるシェア(純資産残高ベース)を示しています。 2023年3月31日 2024年3月31日 2025年3月31日公募投資信託合計27% 26% 25%株式型投資信託25% 25% 24%公社債型投資信託44% 44% 44%(出所)一般社団法人投資信託協会の統計データを基に作成 2025年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、62.1兆円と、対前期比0.8兆円、1%減少しました。その内訳は、1.6兆円の資金流入と2.4兆円の運用減によるものです。市場要因による運用減の中、主に「東証銀行業株価指数連動型上場投信」といった上場投資信託や「のむラップ・ファンド」で残高が増加しました。 2024年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、62.9兆円と、対前期比15.0兆円、31%増加しました。その内訳は、1.5兆円の資金流入と13.4兆円の運用増によるものです。主に「TOPIX連動型上場投信」、「日経225連動型上場投信」といった上場投資信託で残高が増加しました。 ホールセール部門 ホールセール部門の経営成績 ホールセール部門の経営成績はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングにより構成されています。また、グローバル・マーケッツはフィクスト・インカムとエクイティにより構成されています。 (単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期増減率(%) 2025年3月期増減率(%)金融収益以外の収益809,681 875,6648.1 1,015,80316.0純金融収益△37,301 △9,517- 42,135-収益合計(金融費用控除後)772,380 866,14712.1 1,057,93822.1金融費用以外の費用743,011 812,2369.3 891,6569.8税引前当期純利益29,369 53,91183.6 166,282208.4 2025年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、スプレッド・プロダクトにより増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、エクイティ・プロダクトおよびエグゼキューションにより増収となりました。またインベストメント・バンキングは、日本ビジネスおよび海外ビジネスともに増収となりました。 2024年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、スプレッド・プロダクトにより増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、すべての地域でエクイティ・プロダクトが増収、またエグゼキューションは市場出来高の増加を背景に日本が好調で、増収となりました。またインベストメント・バンキングは、日本ビジネスを中心に増収となりました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加等により、前期から増加しました。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加、そして株価の上昇にともなう繰延報酬の増加等により、前期から増加しました。 次の表は、ホールセール部門における収益合計(金融費用控除後)における、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングの内訳表であります。 (単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期増減率(%) 2025年3月期増減率(%)ホールセール部門 収益合計(金融費用控除後): グローバル・マーケッツ656,298 707,1137.7 874,62223.7インベストメント・バンキング116,082 159,03437.0 183,31615.3収益合計(金融費用控除後)772,380 866,14712.1 1,057,93822.1 グローバル・マーケッツ 野村は長年にわたって主に国内外の機関投資家を対象として、債券・株式や為替およびそれらのデリバティブ商品のセールスとトレーディングをグローバルに展開してきました。近年では、より多様化・複雑化するお客様からのご要望にお応えするため、トレーディング能力と商品組成能力の強化に取り組み、国内外の機関投資家のみならず、ウェルス・マネジメント部門およびインベストメント・マネジメント部門にさまざまな高付加価値商品を提供すると同時に、インベストメント・バンキングとも協働し、付加価値の高いソリューションを提供しています。また、国内外の機関投資家に加えて、国内の富裕層・諸法人や地域金融機関、国内外の政府機関や金融機関・事業法人などと強固な関係を構築し、ビジネスを拡大しております。これにより、お客様がどのような商品を求めているかを把握し、そのニーズに合わせた商品を国内外のプロダクトラインにおいて迅速に開発・提供することが可能となっております。 2025年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2024年3月期の4,203億円から4,992億円となりました。スプレッド・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2024年3月期の2,868億円から3,754億円となりました。エクイティ・プロダクトおよびエグゼキューションが好調で増収となりました。 2024年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2023年3月期の4,024億円から4,203億円となりました。スプレッド・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2023年3月期の2,539億円から2,868億円となりました。すべての地域のエクイティ・プロダクトが好調で増収となりました。 インベストメント・バンキング 野村は、引受け、アドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しています。アジア、欧州、米国といった世界の主要な金融市場で、債券、株式、その他の引受業務を行っており、日本国内、クロスボーダーおよび海外のM&A/財務コンサルティング業務を継続的に強化してきました。また、グローバルでのオーダーメイド型サービス提供による、顧客との強固で長期的な関係を構築することを追求しております。 2025年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、引受・売出手数料およびM&Aアドバイザリーフィーの増加により前期比で増収となりました。 2024年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、引受・売出手数料の増加により前期比で増収となりました。 その他の経営成績 その他の経営成績には、経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社損益の持分額、本社勘定、その他の財務調整が含まれております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 21 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。 その他の経営成績における税引前当期純利益は、2023年3月期、2024年3月期、それぞれ734億円、474億円、2025年3月期は、469億円と2024年3月期に比べ横ばいでした。 2025年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益14億円、デリバティブ資産に対するカウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益8億円がその他の業績に含まれております。 2024年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失121億円、デリバティブ資産に対するカウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益72億円がその他の業績に含まれております。 2023年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失54億円、デリバティブ資産に対するカウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益47億円がその他の業績に含まれております。 地域別経営成績 地域別の収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益(損失)については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 21 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。 キャッシュ・フロー 「(5)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。 (2)トレーディング業務の概要トレーディング目的資産負債 トレーディング目的資産および負債の内訳については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定 および 3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。 トレーディングのリスク管理 野村はトレーディング業務における市場リスクの測定方法として、バリュー・アット・リスク(VaR)を採用しております。① VaRの前提・信頼水準:95%・保有期間:1日・商品の価格変動等を考慮 野村は、開示に使用する保有期間1日のVaRの信頼水準は95%を使用しております。2025年3月期の保有期間1日のVaRデータは以下のとおりです。 ② VaRの実績 2024年3月31日(億円)2025年3月31日(億円)株式関連3320金利関連2621為替関連2115小計8056分散効果△25△18バリュー・アット・リスク(VaR)5538 2025年3月期最大値(億円)最小値(億円)平均値(億円)バリュー・アット・リスク(VaR)693552 (3)重要な会計方針および見積もり 重要な会計方針は当社の連結財務諸表の作成に最も重要な影響を与える会計方針であり、適用にあたって経営者による会計上の見積もりに関する最も困難かつ主観的で複雑な判断を必要とするものを指します。見積もりはその性質上、経営者の判断を必要とする仮定やその時点で利用可能な情報の範囲に依拠しています。将来の実績はこれらの見積もりと乖離する可能性があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。 下表は、重要な会計方針やこれらの会計方針の適用に含まれる重要な会計上の見積もり、見積もりの要素、経営者による仮定と判断、当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響について当期特に重要なものを要約したものです。適用された重要な会計方針および重要な会計上の見積もりの詳細については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記]1 会計処理の原則および会計方針の要旨」および下表に含まれる各連結財務諸表注記をご参照ください。 重要な会計方針重要な会計上の見積もり経営者による重要な主観的仮定または判断当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響 金融商品の公正価値評価 連結財務諸表注記 2 公正価値測定 金融商品の公正価値の見積もり 野村が保有する金融商品は主に公正価値で評価されております。これらの金融商品の公正価値は観察可能な市場価格のみならず、評価手法の選択や仮定といった判断をともなう要素の影響を受けます。 この判断は、特定の金融商品にかかる未実現損益または累積的その他の包括利益の金額および計上時期に影響を与えます。 適切な評価手法の選択・活発な市場において観察可能な市場価格によって公正価値評価される金融商品については、野村は一般的に、当該金融商品の公正価値を決定するため、レベル1のインプットとして当該価格を使用します。 ・このような観察可能な価格が入手できない金融商品については、レベル2もしくは3のインプットにより公正価値が測定されます。異なる評価手法および仮定が適用された場合、公正価値の測定結果は異なりうるため、適切な評価手法の選択と評価手法に適用される仮定の検証に重要な判断が含まれます。評価手法を選択する際には、これらの金融商品が取引される特定の状況や市場、信頼性のあるインプットの利用可能性、関連する観察可能なインプットの使用の最大化、観察不能なインプットの使用の最小化などのさまざまな要因が考慮されます。 レベル3インプットの重要性・市場で観察不能なインプットが用いられる、公正価値レベル3の金融商品の公正価値評価は、より多くの判断を必要とします。 ・これらの金融商品の公正価値は、流動性、経済環境および特定の金融商品に影響を与えるリスクに対する認識を含む、市場参加者が価格を決定する際に使用する仮定についての経営者の判断に基づいて決定されます。 当社の評価手法および公正価値の階層における金融商品の分類に関する方針については、連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 当連結会計年度において公正価値レベル3の金融商品(デリバティブ負債相殺後資産)の公正価値は前連結会計年度の1,041十億円から1,330十億円に増加しました。毎期経常的に公正価値評価される資産の合計に対するレベル3に分類された資産の比率は、2025年3月31日現在で6%(2024年3月31日現在で6%)となりました。 レベル3インプットに関する定性的、定量的な情報およびそれらが公正価値測定に与える影響についての詳細については連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 一定の金融商品および取引先に対するエクスポージャー 市場環境は、野村が一定のエクスポージャーを有するさまざまな金融商品に影響を与え続けています。また、野村は通常の業務においても、特別目的事業体などの取引先に対し、一定のエクスポージャーを有しております。 レバレッジド・ファイナンス 野村は、顧客にレバレッジド・バイアウト、レバレッジド・バイインにかかる貸付金を提供しています。通常このような資金提供はコミットメントを通じて行われることが多く、野村は実行済および未実行コミットメントの双方においてエクスポージャーを有しております。次の表は、2025年3月31日現在において未実行コミットメントがあるレバレッジ・ファイナンスのエクスポージャーを実行済および未実行分に分けて、対象企業の地域別に表しております。 (単位:百万円) 実行済残高 未実行コミットメント残高 合計欧州27,512 134,266 161,778米州17,687 210,526 228,213アジア・オセアニア450 28,665 29,115合計45,649 373,457 419,106 特別目的事業体 野村が行う特別目的事業体との関与は、これらの事業体を組成すること、またマーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケット・メーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。特別目的事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。 変動持分事業体への関与に関するより詳しい説明は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 7 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。 新しい会計基準の公表 「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨:会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。 (4)繰延税金資産の状況 ① 繰延税金資産・負債の主な発生原因 2025年3月31日現在、連結貸借対照表上、その他の資産-その他として記載されている繰延税金資産、およびその他の負債として記載されている繰延税金負債の内訳は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2025年3月31日繰延税金資産 減価償却、その他の償却、および固定資産の評価38,105子会社・関連会社株式投資310金融商品の評価差額123,754未払退職・年金費用6,571未払費用および引当金86,813繰越欠損金462,392リース負債45,937その他19,994繰延税金資産小計783,876控除:評価性引当金△571,017繰延税金資産合計212,859繰延税金負債 子会社・関連会社株式投資120,341金融商品の評価差額107,997海外子会社の未分配所得3,014固定資産の評価22,930使用権資産41,413その他5,760繰延税金負債合計301,455繰延税金資産(負債)の純額△88,596 ② 繰延税金資産の算入根拠 繰延税金資産は、米国会計基準に基づき、将来において実現すると予想される範囲内で認識しており、将来において実現が見込まれない場合には評価性引当金を計上しております。なお、将来の課税所得の見積期間は納税単位ごとに個別に判断し、適正な期間見積もっております。 ③ 過去5年間の課税所得および見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額 当社は、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行し、野村證券株式会社を含む主要子会社は当制度に含まれております。上記①に記載されている繰延税金資産のうち、日本の通算グループにおける繰延税金資産(負債)の純額は△97,245百万円となっており、野村の連結財務諸表における繰延税金資産(負債)の純額の大部分を占めております。 以下の過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)では、2021年度以前についてはグループ通算制度への移行前の連結納税グループの合算数値を記載し、2022年度以降については通算グループの合算値を記載しております。 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値) (単位:百万円) 2019年度2020年度2021年度2022年度2023年度日本の通算グループ(連結納税グループ)合算値134,721214,001233,50886,143239,034 (注) 法人確定申告書上の繰越欠損金控除前の課税所得であり、その後の変動は反映しておりません。 見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額 日本の通算グループについては、5年を課税所得見積もり期間とし、見込み税引前当期純利益合計および見込み調整前課税所得合計はそれぞれ、645,908百万円、780,038百万円となっております。 (5)流動性資金調達と資本の管理資金調達と流動性管理 概況 野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。このリスクは、市場において有担保あるいは無担保調達が不可能になる、野村の信用格付が低下する、予定外の資金需要の変化に対応できない、迅速かつ最小の損失での資産の流動化ができない、あるいは、グループ会社間の自由な資金移動が妨げられる規制資本上の制約に関する変化等、市場全体の事情や野村固有の事情により発生します。資金流動性リスク管理については、経営会議が定める流動性リスク・アペタイトに基づくことを基本方針としております。野村の資金流動性管理は、市場全体が流動性ストレス下にある場合において、またそれに加えて野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合においても、それぞれ1年間、および30日間にわたり、無担保による資金調達が困難な場合においても、保有資産を維持しつつ業務を継続することができる十分な資金流動性を常に確保することを主な目的としております。また、金融庁の定める流動性カバレッジ比率(以下「LCR」)および安定調達比率(「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性のうち流動性にかかる健全性の状況を表示する基準」)(以下「NSFR」)の充足が求められております。 野村は、主な流動性維持の目的を達成可能とする、さまざまな資金流動性リスク管理フレームワークを定めております。このフレームワークには、(1)余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持、(2)流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用、(3)資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散、(4)野村グループ各社に対する与信枠の管理、(5)流動性ストレステストの実行、(6)コンティンジェンシー・ファンディング・プランに関することが含まれております。 経営会議は、野村の資金流動性に関する重要事項についての決定権を有しており、財務統括責任者(以下「CFO」)は、経営会議の決定に基づき、野村の資金流動性管理に関する業務を執行する権限と責任を有しております。 ① 余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持 野村は、野村グループ内で資金流動性を有効に活用することを可能とするため、野村グループ各社の余剰資金の集中管理を行っております。資金の使用に関しても、野村では、無担保で提供される資金を一元的に管理しており、内部で上限を設けております。この上限は、CFOによって決定され、経営会議において各部門へ配分が行われます。ファイナンス部門において、資金流動性の管理を行う組織であるグローバル・トレジャリーは、使用状況についてモニタリングを行い、経営会議へ報告しております。 また、グループ会社間の資金移動を円滑なものにするため、規制対象ブローカーあるいは銀行における資金調達は限定的にしか行っておりません。野村は、無担保による資金調達の当社あるいは主要規制外発行体への集中を積極的に行っております。このことにより、野村は調達コストを最小化し、投資家からの認知度を高め、さまざまなグループ会社間の資金供給のフレキシビリティを高めております。 潜在的な資金流動性必要額を考慮し、十分な資金流動性を確保するために、野村は、現金ならびに売却や担保提供することで流動性資金を供給することができる流動性の高い担保未提供資産等で構成される流動性ポートフォリオを維持しており、グローバル・トレジャリーにて他の資産と区別して管理をしております。流動性ポートフォリオの金額は、2025年3月31日現在、10兆1,567億円となっており、ストレスシナリオを考慮した資金流動性必要額を満たしております。 以下の表は2024年3月31日、2025年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳をアセットタイプ別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。 (単位:十億円) 2024年3月31日年間平均2024年3月31日2025年3月31日年間平均2025年3月31日現預金(1)3,741.83,629.94,395.54,196.3国債4,029.44,348.64,765.25,475.4その他(2)423.4439.5501.3485.0流動性ポートフォリオ8,194.68,418.09,662.010,156.7(1)現預金には、現金、現金同等物および必要に応じて即時利用可能な中央銀行、市中銀行への預金を含みます。(2)その他にはMMF、米国政府機関債などのアセットタイプが含まれています。 以下の表は2024年3月31日、2025年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳を通貨別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。 (単位:十億円) 2024年3月31日年間平均2024年3月31日2025年3月31日年間平均2025年3月31日円1,964.81,702.32,522.72,868.2米ドル4,341.14,601.74,912.44,840.2ユーロ933.21,023.51,101.31,234.6英国ポンド549.4659.8667.1662.5その他(1)406.1430.7458.4551.2流動性ポートフォリオ8,194.68,418.09,662.010,156.7(1)その他には豪ドル、カナダドル、スイスフランなどの通貨が含まれています。 野村は流動性ポートフォリオの要件をグローバル基準、および各主要オペレーティングエンティティによって評価しています。野村は、主に当社および野村證券株式会社、他の主要なブローカー・ディーラー、銀行子会社およびその他の関連会社で流動性ポートフォリオを管理しています。流動性ポートフォリオの保有量とエンティティを決定する際に、野村グループ内で自由に流動性を移す能力に影響を及ぼすかもしれない法規制、税制を考慮しています。規制の制限の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 18 法的規制」を参照してください。 以下の表は2024年3月31日、2025年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオをエンティティ別に表示したものです。 (単位:十億円) 2024年3月31日2025年3月31日当社および野村證券株式会社(1)1,495.22,439.4他の主要なブローカー・ディーラー3,592.54,219.8銀行子会社(2)1,319.91,784.4その他の関連会社2,010.41,713.1流動性ポートフォリオ8,418.010,156.7(1)野村證券株式会社は日本のブローカー・ディーラーであり、日本銀行に口座を維持し、日本銀行のロンバード貸付制度を直接利用することにより、同日資金調達が可能です。当社における余剰流動性資金は必要な時に即時解約可能な短期社内貸付により、野村證券株式会社に貸し出しております。(2)ノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)、ノムラ・シンガポールLIMITEDおよびノムラ・バンク・ルクセンブルク S.A. ② 流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用 流動性ポートフォリオに加えて、主にトレーディング資産で構成される有担保資金調達の際の追加担保として使用可能な担保未提供資産を2025年3月31日現在、2兆4,322億円所有しております。グローバル・トレジャリーは、その他担保未提供資産のモニタリングを行っており、流動性ストレス下においては、当該資産を現金化し、野村グループの流動性供給のために利用することができます。なお、流動性ポートフォリオとその他担保未提供資産の合計は、12兆5,889億円となりました。これは、野村の1年以内に満期の到来する無担保債務の合計に対して、262.1%に相当します。 (単位:十億円) 2024年3月31日2025年3月31日その他担保未提供資産3,175.62,432.2流動性ポートフォリオ8,418.010,156.7合計11,593.612,588.9 ③ 資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散 野村は、保有資産を継続して維持していくうえで必要となる長期性資金を確保するために、長期無担保債務の額、および株主資本を十分な水準に維持するように努めております。また、無担保調達資金の借換えリスクを低減させるために、資金調達を行う市場やプロダクト、投資家、通貨および返済期限の分散にも努めております。 野村は、さまざまな種類の債券を発行することによって、資金調達手段の分散を図っております。これらには、仕組ローンや仕組債が含まれ、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしたリターンが付いております。野村は、資金調達方法の多様性が増すように仕組ローンや仕組債を発行しております。これらについて、野村は、通常、デリバティブや原資産に対する支払い義務をヘッジすることにより、無担保調達債務と同様の効果を得ております。なお、日本円以外の長期債務比率は、2024年3月31日現在59.4%から2025年3月31日現在62.4%に増加しております。 a.短期無担保債務 野村の短期無担保債務は、短期銀行借入(長期銀行借入のうち、満期まで1年未満のものを含む)、その他の短期借入、コマーシャル・ペーパー、銀行業務受入預金、譲渡性預金、および償還まで1年以内の社債で構成されております。銀行業務受入預金および譲渡性預金は、銀行子会社の預金および譲渡性預金を表しております。短期無担保債務には、長期無担保債務のうち残存期間が1年以内となったものを含んでおります。 以下の表は、2024年3月31日、2025年3月31日現在の野村の短期無担保債務明細を表示したものです。 (単位:十億円) 2024年3月31日2025年3月31日 短期無担保債務3,961.44,802.3 短期銀行借入177.5369.2 その他の短期借入356.0304.4 コマーシャル・ペーパー224.8113.8 銀行業務受入預金1,880.92,371.4 譲渡性預金232.4262.8 償還まで1年以内の社債1,089.81,380.7 b.長期無担保債務 野村は、常に十分な長期性資金を確保し、適切なコストでの調達および適切な長期債務償還プロファイル維持を満たすために、満期や通貨の分散を行い定期的に長期性資金の調達を行っております。 野村の長期無担保債務には、米国発行登録および登録ミディアム・ターム・ノートプログラム、ユーロ・ミディアム・ターム・ノートプログラム、国内発行登録およびさまざまな発行プログラムより発行される普通社債や劣後社債が含まれております。 日本のグローバルな金融サービスグループとして、野村は、世界中のさまざまな市場と資金調達センターへのアクセスを持っております。主として当社、野村證券株式会社、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスN.V.、NBI、ノムラ・インターナショナル・ファンディング Pte. Ltd.、および野村グローバル・ファイナンス株式会社が外部からの借入、債券発行その他資金調達を行っております。使用通貨や保有資産の流動性に合わせた資金調達や、必要に応じた為替スワップの使用により、調達構造の最適化を図っております。 野村は、市場や投資家のタイプごとに、効率的かつ十分に多様化された資金調達を行うために、さまざまなプロダクトや通貨による調達をしております。野村の無担保債務の大部分は、発行コストの上昇や債務償還満期を早める財務制限条項(格付、キャッシュ・フロー、決算あるいは財務レシオ)は、付されておりません。 以下の表は、2024年3月31日、2025年3月31日現在の野村の長期無担保債務明細を表示したものです。 (単位:十億円) 2024年3月31日2025年3月31日 長期無担保債務10,254.910,807.4 長期銀行業務受入預金243.0471.4 長期銀行借入3,408.43,272.8 その他の長期借入292.3306.0 社債(1)6,311.26,757.2(1)編纂書810「連結」に定義される変動持分事業体の要件を満たす“連結変動持分事業体(VIE)が発行する社債”と編纂書860「譲渡とサービシング」(以下「編纂書860」)により、会計上担保付金融取引として取り扱われる譲渡取消にともなう担保付借入を含んでおりません。 c.償還プロファイル プレーン・バニラ物(プレーン・バニラ債および長期借入金)の調達に関しては、平均残存年数が3年以上となるように努めており、2025年3月31日現在の平均残存年数(残存期間1年超のものの平均)は、4.1年となっております。また、仕組ローンや仕組債については、その大部分が、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしており、これらの償還確率は、内部数理モデルによって継続的に評価され、グローバル・トレジャリーによりモニターされております |
※本記事は「野村ホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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