会社名 | 株式会社日清製粉グループ本社 |
業種 | 食料品 |
従業員数 | 連9574名 単344名 |
従業員平均年齢 | 41.8歳 |
従業員平均勤続年数 | 15.5年 |
平均年収 | 8688705円 |
1株当たりの純資産 | 1682.11円 |
1株当たりの純利益 | 106.74円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 45円 |
配当性向 | 101.9% |
株価収益率(PER) | 19.67倍 |
自己資本利益率(ROE) | 6.9% |
営業活動によるCF | 731億円 |
投資活動によるCF | ▲309億円 |
財務活動によるCF | ▲195億円 |
研究開発費※1 | 7.38億円 |
設備投資額※1 | 294.5億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1363.41億円 |
株主資本比率※2 | 72.4% |
有利子負債残高(連結)※3 | 870.44億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針 当社グループは、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是に、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」を企業理念として、1900年の創業以来、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続してまいりました。また、グループ各社は「健康」を常に念頭においた製品やサービスの開発と提供に努め、「信頼」を築き上げるという決意をこめて「健康と信頼をお届けする」をコーポレートスローガンとしております。 これらの基本的な理念のもと、当社グループは長期的な企業価値の極大化を経営の基本方針とし、コア事業と成長事業へ重点的に資源配分を行いつつ、グループ経営を展開しております。 また、企業価値を高める規律としてのガバナンス(G)を強化し、環境(E)・社会(S)への取組みを事業戦略と深く関連させたサステナビリティ経営を推進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、株主、顧客、取引先、社員、社会等の各ステークホルダーから積極的に支持され続ける企業グループとして発展を目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標 当社グループは、「事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進」、「ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進」、「ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行」の3点を基本方針とする5年間(2022年度から2026年度)の中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の達成に向けて取り組んでおります。最終年度である2026年度の数値目標につきましては、売上高9,000億円、営業利益480億円、EPS(1株当たり当期純利益)110円としておりますが、来期の業績進捗等を踏まえた上で、当該数値目標の修正要否を検討し、その結果を2024年度第2四半期決算時に公表する予定としております。今後もEPS成長を継続することで、株主の皆様に対して、適切なTSR(株主総利回り)の実現を目指してまいります。 「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の概要(2022年度~2026年度) <基本方針> ①事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進 120年以上の歴史の中で築いてきた高い技術力と生産性、お客様からの信頼に裏付けされた強固な販売基盤等、当社グループの強みを活かせる事業領域において、今後も事業ポートフォリオの再構築を行い、4つの戦略(事業競争力強化戦略、研究開発戦略、新規事業開発・M&A戦略、デジタル戦略)を柱にグループ全体及び各事業の競争力を強化します。 ②ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進 当社グループの第一の存在意義は、主要食糧である小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給にあることを認識し、すべてのステークホルダーを大切にし、世の中から信頼される企業を目指します。 ③ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行 持株会社である当社をはじめ各事業の経営トップの責務として、企業価値の極大化を追求し、社会の動きに合わせESG課題に主体的に取り組んでまいります。とりわけ世界の持続可能性に関わるE(環境)への対応を経営の最重要事項に位置付けます。 <環境政策> 当社グループでは、2050年にグループの自社拠点におけるCO2排出量実質ゼロを目指す長期目標を設定し、その通過点として2030年度までにグループの自社拠点におけるCO2排出量50%削減(2013年度比)を掲げております。目標達成に向けては、従来の取組みを超えた積極的なCO2排出量削減を行う必要があり、ロードマップに基づいて最大限の省エネ設備及び再生可能エネルギー設備の導入を行うとともに、オフサイト(当社グループ以外)の設備への投資や出資等によるエネルギー調達も検討してまいります。また、食品廃棄物、容器包装廃棄物、水使用量の削減への対応についても循環型社会形成に資する中長期目標を設定しており、目標達成に向け計画的に取組みを推進してまいります。 <資本政策> 小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。中期経営計画期間5年間で得られる営業キャッシュ・フロー及び政策保有株式売却等で得られるキャッシュについては、将来に向けた成長投資及びサステナブル投資、維持更新等の通常投資、株主還元等に適切に配分してまいります。 (3) 経営環境及び対処すべき課題 国内外の食品業界では、食糧インフレ、コストインフレは落ち着きつつありますが、人件費や物流費等は引き続き上昇することが見込まれ、金融・為替市場の先行きにも不透明感があることから、今後もインフレ環境は継続するものと想定されます。また、中長期的には、世界の持続可能性に関わる地球温暖化や、人権問題等の社会課題への意識の高まり、デジタル技術やフードテック等の技術革新の急速な進展等、事業環境が大きく変化していくことも想定されます。 そのような中、当社グループでは、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続するために、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給という社会的使命を果たしていくとともに、2024年度は、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進、豪州製粉事業・インドイースト事業の業績回復施策の推進、研究開発戦略における目に見える成果の実現、自動化省人化施策の効果発現を最優先課題として取り組んでまいります。 <2024年度の最優先課題>①事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進 事業競争力強化戦略の重点テーマである「国内製粉、加工食品、酵母事業のコアビジネス(中核事業)としての継続、発展」、「成長事業である海外事業、中食・惣菜事業の収益拡大」、「健康・バイオ事業、エンジニアリング事業、メッシュクロス事業、新規事業の成長」に引き続き取り組んでまいります。 コアビジネス(中核事業)においては、利益成長を実現するために必要な投資を行うとともに、国内加工食品事業では商品開発体制の再構築を行い、成長が期待される市場への拡販に注力してまいります。また、成長事業においては、伸長が見込める市場への投資を加速させ、事業ポートフォリオの再構築を実行してまいります。 ②豪州製粉事業・インドイースト事業の業績回復施策の推進 豪州製粉事業においては、インフレ環境における需要の停滞等が懸念されますが、4つの施策(継続的なコスト削減、強みを活かせる主力製品での売上拡大、収益性の高い市場の選択、ブランド化)を推進し収益を確保していくとともに、中期経営計画で掲げている2026年度に2021年度比で42百万豪州ドル(※)の増益目標に向けて取り組んでまいります。また、インドイースト事業においては、原材料コストの上昇等が懸念されますが、2024年度も販売シェアの拡大を図り、工場の稼働率を向上させるとともに、適正な価格改定を行うことで、目標とする中期経営計画期間中でのグループ収益への貢献を目指してまいります。 (※)約40億円(1豪州ドル=95円)。2022年度第2四半期に行った減損損失の計上に伴うのれんを含む固定資産の 償却費負担減少の影響を除く。 ③研究開発戦略における目に見える成果の実現 当社グループでは、研究開発戦略を事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進のための重要な取組みと位置付け、当社と各事業会社が相互に連携し、研究開発力を磨いてまいりました。2024年度は、研究成果の実用化に向けて対応を進め、製粉事業や加工食品事業等において市場ニーズに合った新製品の創出に取り組むことで、国内・海外における競争優位性の確保に努めてまいります。 ④自動化省人化施策の効果発現 当社グループでは、デジタル技術やロボット技術を活用し、従前より自動化、省人化の対応を進めてまいりました。2024年度は、各事業において、当社グループが長年にわたり培ってきた技術力と最先端技術の融合、活用を図ることで、自動化、省人化に向けた取組みのスピードをこれまで以上に加速させてまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。当社グループはこれら見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これら見積り及び仮定と実績が異なる場合があります。① 棚卸資産 棚卸資産は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、取得原価と正味売却価額のいずれか低い価額で測定しております。また、需要の変化によって過剰又は滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。市況の変動や需要動向により、追加の評価減が必要となる可能性があります。② 貸倒引当金 当社グループは、金銭債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、必要な貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。③ 投資有価証券の減損 当社グループでは投資有価証券を所有しておりますが、市場価格のない株式等以外のものについては時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。当社グループでは、市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合には減損処理し、30%から50%の下落の場合には、当該有価証券発行会社の業績等を勘案し必要に応じ減損処理しております。市場価格のない株式等については、その実質価額が取得価額に比べ著しく下落した場合、回復の見込が確実と認められる場合を除き、減損処理しております。 当社グループでは投資有価証券について必要な減損処理をこれまでに行ってきており、現状では減損すべき投資有価証券はありませんが、将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。④ 企業結合 当社グループは、企業結合により取得した企業又は事業の取得原価は、時価で算定しております。取得原価は、受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なものの企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して配分しております。取得原価が、企業結合日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額をのれんとして会計処理しております。 取得した資産、特に無形資産の時価の算定は、多くの場合、経営者の重要な判断を必要とします。当社グループは、独立の第三者による評価結果を利用し、入手可能な過去の情報と将来の見通し及びその仮定に基づいて時価を算定しております。経営者は、これらの判断及び評価は合理的であると判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって実際の結果と異なる可能性があります。⑤ 固定資産の減損 当社グループは、固定資産の帳簿価額が回収不能であると判断された場合、回収可能価額まで減額しております。減損の兆候が生じた資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、減損損失を認識するかどうかの判定を行っております。割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、減損処理が必要と判断し、当該資産又は資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い金額としております。減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において見積もられる将来キャッシュ・フローは、合理的な仮定に基づいております。また、使用価値の算定に際して用いられる割引率は、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映しております。 経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、及び回収可能価額の見積りに関する評価を行っており、これらの判断及び評価は合理的であると判断しております。当社グループには、現状では減損すべき固定資産はありませんが、将来の企業環境の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることとなった場合には減損処理が必要となる可能性があります。⑥ 繰延税金資産 当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。しかしながら、繰延税金資産の回収見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩又は追加計上により利益が変動する可能性があります。⑦ 退職給付に係る負債 当社グループの退職一時金制度及び既退職の年金受給者を対象とする確定給付企業年金制度における退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の給付水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。割引率は期末における複数の格付機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債等の市場利回りに基づき、長期期待運用収益率は保有している年金資産の運用方針や過去の運用実績等に基づき決定しております。実績が前提条件と異なる場合、又は、前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。 (2) 財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容① 当連結会計年度の経営成績の概況及び分析 当連結会計年度につきましては、昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、人流の増加やインバウンド需要の回復等、経済活動の再開により景気は緩やかに回復しております。また、ウクライナ情勢等の影響により高騰した、小麦をはじめとした穀物相場が落ち着いてきたことにより、当社グループを取り巻く事業環境は明るさを取り戻しつつあります。 このような中、当社グループは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を確保し、各事業において安全・安心な製品をお届けするという使命を果たすとともに、2026年度を最終年度とする「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の達成に向けて、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進、食糧インフレへの対応、豪州製粉事業の業績回復、環境政策及びデジタル戦略を当期の最優先課題として取り組んでまいりました。 その一環として、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進を図るべく、昨年5月に、製粉事業の子会社である日清製粉株式会社において、2025年5月頃の稼働に向け、水島工場の建設に着手しました。あわせて、岡山工場及び坂出工場を閉鎖する予定としております。また、米国子会社であるMiller Milling Company,LLCにおいて、ロサンゼルス工場の増強が昨年11月に完了するとともに、2025年初頭の稼働に向け、サギノー工場の増設に着手しました。さらに、本年5月には、日清製粉株式会社の鶴見工場の敷地内に収容力47,000トンの原料小麦サイロを増設することを決定しました。今後も、将来の成長に向けた投資を積極的に実施してまいります。 また、当社グループのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)への取組みを推進し、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の施策を事業戦略に反映していく体制をより一層強化するために、「サステナビリティ委員会」を昨年10月に新設しました。環境政策に関しては、2030年度までのグループの自社拠点におけるCO2排出量50%削減(2013年度比)に向け、日清製粉株式会社においてオフサイトコーポレートPPAを締結し、製粉工場として日本最大規模を誇る鶴見工場で消費される電力のすべてを、昨年11月から実質的に再生可能エネルギーに切り替えました。これにより、年間約27,000トンのCO2削減につながります。 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、製粉事業における小麦粉価格改定の実施や熊本製粉株式会社の新規連結効果、食品事業や中食・惣菜事業での製品価格改定の実施等により、8,582億48百万円(前期比107.5%)となりました。利益面では、各事業において前期のコスト上昇に価格転嫁が後追いとなった部分も含めた価格改定の実施に加え、国内製粉事業における副産物のふすま販売価格の堅調な推移及び熊本製粉株式会社の新規連結効果、豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少、食品事業の業績回復及び中食・惣菜事業の堅調な業績等により、営業利益は477億91百万円(前期比145.6%)、経常利益は499億92百万円(前期比151.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は317億43百万円(前期は103億81百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 (前期比較) (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期差前期比売上高798,681858,24859,567107.5%営業利益32,83147,79114,959145.6%経常利益33,05149,99216,941151.3%親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失(△)△10,38131,74342,124- セグメント別の経営成績及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 2024年3月期 売上高・営業利益 (単位:百万円) 売上高営業利益実績前期差実績前期差製粉事業458,22638,44428,57010,951食品事業201,07313,0858,3562,319中食・惣菜事業153,5736,0865,3962,112その他45,3751,9515,409△337調整--57△87連結計858,24859,56747,79114,959 (注1)売上高はセグメント間取引消去後です。 (注2)営業利益の調整額はセグメント間取引消去等です。 1) 製粉事業 (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期差前期比売上高419,782458,22638,444109.2%営業利益17,61828,57010,951162.2% 国内製粉事業につきましては、人流の増加やインバウンド需要の回復等により、出荷は前年を上回りました。 また、輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で昨年4月に5.8%引き上げられ、10月に11.1%引き下げられたことを受け、それぞれ昨年6月と本年1月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。 海外製粉事業につきましては、豪州における製品価格改定及び米国子会社における為替換算の影響等により売上高は前年を上回りました。 この結果、製粉事業の売上高は、国内における業務用小麦粉の価格改定や昨年1月に連結子会社化した熊本製粉株式会社の新規連結効果等により、4,582億26百万円(前期比109.2%)となりました。営業利益は、国内製粉事業における副産物のふすま販売価格の堅調な推移、熊本製粉株式会社の新規連結効果、豪州製粉事業の前期の減損損失計上に伴うのれん等の償却費の減少等により、285億70百万円(前期比162.2%)となりました。 2) 食品事業 (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期差前期比売上高187,988201,07313,085107.0%営業利益6,0378,3562,319138.4% 加工食品事業につきましては、国内において、原材料等のコスト上昇に伴う対応として実施した製品価格改定等により、売上高は前年を上回りました。 酵母・バイオ事業につきましては、国内において、原材料価格やエネルギー価格の高騰を受け、イーストの価格改定を実施したことや、インドイースト事業における販売数量の増加等により、売上高は前年を上回りました。 健康食品事業につきましては、医薬品原薬等の出荷増により、売上高は前年を上回りました。なお、昨年10月よりお客様一人ひとりの生活習慣や健康状態にフィットしたサプリメントを提供する「パーソナルニュートリション事業(サービス名:ユアフィット)」を新たに開始しました。 この結果、食品事業の売上高は2,010億73百万円(前期比107.0%)となりました。営業利益は、業績回復等により、83億56百万円(前期比138.4%)となりました。 3) 中食・惣菜事業 (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期差前期比売上高147,487153,5736,086104.1%営業利益3,2845,3962,112164.3% 中食・惣菜事業につきましては、人流の増加やインバウンド需要の回復等に伴い販売が堅調に推移したことや原材料等のコスト上昇に伴う対応として実施した製品価格改定等により、売上高は1,535億73百万円(前期比104.1%)と前年を上回りました。営業利益は、製品価格改定や生産性の改善等により、53億96百万円(前期比164.3%)となりました。 4) その他事業 (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期差前期比売上高43,42345,3751,951104.5%営業利益5,7465,409△33794.1% エンジニアリング事業につきましては、売上高は前年を下回りました。 メッシュクロス事業につきましては、太陽光パネル向けスクリーン印刷用資材等の出荷増により、売上高は前年を上回りました。 この結果、その他事業の売上高は453億75百万円(前期比104.5%)、営業利益は、エンジニアリング事業における大型工事の減少等により、54億9百万円(前期比94.1%)となりました。 ② 当連結会計年度の財政状態の概況及び分析 (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期末差流動資産330,069365,07235,002固定資産383,805461,62977,824資産合計713,874826,702112,827流動負債150,262163,57113,308固定負債125,112146,74921,637負債合計275,375310,32134,946純資産合計438,499516,38177,881負債純資産合計713,874826,702112,827 当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりです。 流動資産は3,650億72百万円で、現金及び預金と受取手形、売掛金及び契約資産の増加等に伴い、前年度末に比べ350億2百万円増加しました。固定資産は4,616億29百万円で、保有している投資有価証券の時価評価の増加等に伴い、前年度末に比べ778億24百万円増加しました。この結果、資産合計は8,267億2百万円となり、前年度末に比べ1,128億27百万円増加しました。 また、流動負債は1,635億71百万円で、未払費用及び流動負債その他の増加等に伴い、前年度末に比べ133億8百万円増加しました。固定負債は1,467億49百万円で、繰延税金負債の増加等に伴い、前年度末に比べ216億37百万円増加しました。この結果、負債合計は3,103億21百万円となり、前年度末に比べ349億46百万円増加しました。純資産合計は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加、配当金の支出による減少、その他の包括利益累計額の増加等により、前年度末に比べ778億81百万円増加し、5,163億81百万円となりました。 ③ 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (3) キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フローの状況 (単位:百万円) 2023年3月期2024年3月期前期差営業活動によるキャッシュ・フロー23,42273,19449,772投資活動によるキャッシュ・フロー487△30,944△31,431財務活動によるキャッシュ・フロー△10,625△19,539△8,914現金及び現金同等物に係る換算差額9591,9991,039現金及び現金同等物の増減額14,24324,70910,465現金及び現金同等物の期末残高82,971107,68124,709 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 税金等調整前当期純利益488億50百万円に、非資金損益項目である減価償却費229億99百万円等を足し戻した資金増加が、売上債権及び契約資産の増加や法人税等の支払等の資金減少を上回ったことにより、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは731億94百万円の資金増加(前連結会計年度は234億22百万円の資金増加)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 有形及び無形固定資産の取得に291億91百万円を支出したこと等により、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは309億44百万円の資金減少(前連結会計年度は4億87百万円の資金増加)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 株主の皆様への利益還元といたしまして配当に124億96百万円を支出したこと等により、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは195億39百万円の資金減少(前連結会計年度は106億25百万円の資金減少)となりました。 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は1,076億81百万円となりました。 ② 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当連結会計年度末の有利子負債(リース債務含む)残高は883億円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループの資金は、当面充分な流動性を確保しております。 当社グループは、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」に基づき、小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。持続的成長、EPS(1株当たり当期純利益)成長を実現するために、環境投資、デジタル投資、新規事業開発・M&A投資、研究開発投資、人材育成を含めた成長投資を促進するとともに、長期的スタンスで安定した配当を継続し、増配はタイミングを見据えて積極的に検討してまいります。投資資金が余剰となった場合などは、更なる株主還元を検討してまいりたいと考えております。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。 そのための資金は、内部及び外部の両財源より調達してまいります。内部からの資金捻出は、既に導入しておりますキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を利用した国内連結子会社の資金の一元管理、及び政策保有株式の縮減を含めた資産の圧縮に引き続き取り組むことにより、外部からは当社グループの健全な財務体質を背景に有利子負債等により、調達してまいります。 (4) 中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の数値目標及び資本政策 当社グループは、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続していくために、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」を2022年10月に策定いたしました。 <数値目標及び実績>(*年平均成長率)基準年度(2021年度実績)当連結会計年度(2023年度実績)最終年度(2026年度)売上高6,797億円8,582億円9,000億円5年CAGR* 5.8%営業利益294億円478億円480億円5年CAGR 10.3%EPS(1株当たり当期純利益)59円107円110円5年CAGR 13.3%ROE4.0%6.9%7.0% 当連結会計年度の業績につきましては、「(2) 財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容」をご参照ください。 <資本政策> 小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。・EPS(1株当たり当期純利益)の成長と適切なTSR(株主総利回り)の実現を目指してまいります。・連結ベースでの配当性向40%以上を基準とし、増配はタイミングを見据えて積極的に検討してまいります。 なお、翌連結会計年度より、長期的スタンスで安定した配当を継続するために、親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結ベースでの配当性向40%以上を基準として配当を行うことを基本方針といたします。・社会的責任を踏まえ、財務の安定性を確保し、政策保有株式の保有について見直しを行い、資本効率の向上を目指してまいります。 (5) 生産、受注及び販売の実績a 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)増減率(%)金額(百万円)金額(百万円)製粉408,546440,7277.9食品114,095120,7865.9中食・惣菜139,094144,2043.7その他15,38317,02810.7合計677,120722,7476.7 (注)1 金額は、期間中の平均販売価格等により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 b 受注実績 重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。 c 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)増減率(%)金額(百万円)金額(百万円)製粉419,782458,2269.2食品187,988201,0737.0中食・惣菜147,487153,5734.1その他43,42345,3754.5合計798,681858,2487.5 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱ファミリーマート106,44713.3111,10513.0 主要な原材料価格及び販売価格の変動については「(2) 財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。 |
※本記事は「株式会社日清製粉グループ本社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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