日産自動車株式会社の基本情報

会社名日産自動車株式会社
業種輸送用機器
従業員数連133580名 単24034名
従業員平均年齢41.2歳
従業員平均勤続年数15年
平均年収8771496円
1株当たりの純資産1599.28円
1株当たりの純利益110.47円
決算時期3月
配当金20円
配当性向19.8%
株価収益率(PER)5.51倍
自己資本利益率(ROE)7.7%
営業活動によるCF9608億円
投資活動によるCF▲8126億円
財務活動によるCF▲1315億円
研究開発費※16099億円
設備投資額※14861億円
販売費および一般管理費※114981.96億円
株主資本比率※238.4%
有利子負債残高(連結)※363506.22億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針及び経営戦略等当社グループは、「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。」というコーポレートパーパスを定めた。これは長年にわたり掲げてきた企業ビジョン「人々の生活を豊かに」を踏まえ、創業以来大切にしてきた“他がやらぬことをやる”という精神を引き継ぎながら、日産は何のために存在するか、どのように役割を果たすのか、企業としての存在意義を明確化したものである。そして、サプライヤーや販売会社の皆様との関係をさらに強化し、共にビジネスモデルを発展させていく。グローバルなあらゆる事業活動を通じて企業として成長し、経済的に貢献すると同時に、世界をリードする自動車メーカーとして、社会が直面する課題の解決に貢献することも私たちの使命である。日産は、お客さま、株主、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーを大切に思い、将来にわたって価値ある持続可能なモビリティの提供に努める。さらに、持続可能な社会の発展に貢献し、「ゼロ・エミッション」「ゼロ・フェイタリティ」社会を目指し、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現することを目標としている。この目標に向け、2021年11月には、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表し、2030年度に向けて、当社が進むべき道を示した。さらに、2024年3月に、自社の価値と競争力を向上させる新たな経営計画「The Arc」を発表した。当社は新型車の積極的な投入、電動化の推進、開発・生産方式の革新、新技術の採用や戦略的パートナーシップなどで構成される本計画により、販売台数の増加と収益性の向上を目指す。本計画は、2020年度から2023年度にかけて実行した事業構造改革「Nissan NEXT」と長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の架け橋となるもので、2024年度から2026年度までの中期の取り組みと、2030年度までの中長期の取り組みから構成されている。中期の取り組みとしては、地域毎に最適化した戦略を通じて販売台数を拡大し、電動車両とエンジンを主動力源とするICE車のバランスの取れたポートフォリオ、主要市場での販売増、財務規律の徹底によって、事業基盤を堅固なものとする。続いて、中長期的には、電動化を加速させ、パートナーシップや新たな収益機会を活用しながら最終的な目標達成に向けて取り組む。そして、2026年度末までに年間販売台数を100万台増加させ、営業利益率は2026年度までに6%以上、2030年度には8%を目指す。<バランスの取れた商品ポートフォリオ>当社は今後3年間で30車種の新型車を投入するが、そのうち16車種を電動車両、14車種をICE車とし、バランスの取れたポートフォリオで多様なお客さまのニーズと市場毎に異なる電動化のペースに対応する。2024年度から2030年度の間には、計34車種の電動車両を投入してすべてのセグメントをカバーし、グローバル全体における電動車両のモデルミックスは2026年度に40%、2030年度には60%になる見込みである。<市場毎に最適化された戦略>主要市場において2026年度までに実行する主な取り組みは以下のとおりである。アメリカズ- 地域全体の販売台数を2023年度比で33万台増加させ、米国では統合型カスタマーエクスペリエンスの向上のために2億米ドルを投資- 米国とカナダで、7車種の新型車を投入- 米国で乗用車モデルラインアップの78%を刷新し(日産ブランド)、e-POWERとプラグインハイブリッドを搭載したモデルを投入 中国- 日産ブランド車のラインナップの73%を刷新し、新エネルギー車8車種を投入(4車種の日産ブランド車を含む)- 販売台数を20万台増加し、2026年度に年間販売台数100万台を目指す- 2025年から輸出を開始し、第一段階として10万台レベルを目指す- 継続して合弁パートナーと生産能力を最適化 日本- 乗用車モデルラインアップの80%を刷新し、5車種の新型車を投入- 電動車のモデルミックスを70%へ向上(乗用車)- 販売台数を2023年度比で9万台増加させ、2026年度に年間60万台の販売を目指す アフリカ、中東、インド、欧州、オセアニア- 地域全体で販売台数を2023年度比で30万台増加- 欧州:6車種の新型車を投入。EVの販売構成比を40%へ向上(乗用車)- 中東:5車種の新型SUVを投入- インド:3車種の新型車を投入し、10万台レベルの輸出を目指す- オセアニア:1トンピックアップとCセグメントクロスオーバーEVを投入- アフリカ:2車種の新型SUVを投入。AセグメントのICE車を拡大<EVの競争力>これらの新型車を投入していくため、当社は新たなアプローチで、手頃な価格で収益性の高いEVの商品化を実現していく。複数のEVのファミリー開発、パワートレインの一体化、次世代モジュラー生産、グループソーシング、バッテリーの革新などにより次世代EVのコストを30%削減(現行アリア比)し、2030年度までにEVでICE車と同等のコストとすることを目指す。ファミリー開発では、メインモデルをベースに開発する後続モデルの開発費を50%、トリム部品のバリエーションを70%削減し、開発期間を4ヶ月間短縮する。また、次世代モジュラー生産方式を採用することで、車両生産ラインを短縮し、台当たりの生産時間を20%短縮していく。また、革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを行うとともに、カーボンニュートラルの実現に貢献するニッサン インテリジェント ファクトリーを国内外の工場に拡大し、2026年度から2030年度にかけて、日本の追浜工場と日産九州、英国のサンダーランド工場、米国のキャントン工場とスマーナ工場で導入を開始する。世界初の電気自動車生産ハブEV36Zeroについては、英国のサンダーランド工場から、米国のキャントン工場、デカード工場、スマーナ工場、日本の栃木工場、日産九州に2025年度から2028年度にかけて採用していく。<新技術>「The Arc」の計画下では、知能化技術もさらに進化させ、高速道路から一般道、敷地内、最終目的地までドアツードアの自動運転技術を実現する次世代プロパイロットを投入する予定である。また、当社はさまざまなお客さまのニーズに対応する多様なEVを提供するため、ニッケル、コバルト、マンガン(NCM)リチウムイオンバッテリーを進化させ、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーと全固体電池(ASSB)を投入し、多様なバッテリーをそのラインナップへ追加していく。NCMリチウムイオンバッテリーでは、アリア比で急速充電時間を50%削減し、エネルギー密度は50%向上させる。国内で開発、生産するLFPバッテリーはサクラ比でコストを30%削減する。これらの進化したNCMリチウムイオンバッテリー、LFPバッテリー、全固体電池を搭載したEVは、2028年度に投入する予定である。<戦略的パートナーシップ及び新たなビジネス機会>当社は競争力を維持し、グローバルな商品ポートフォリオや技術を提供するために、戦略的にパートナーシップを活用していく。欧州、ラテンアメリカ、ASEAN、インドにおいては、ルノー及び三菱自動車工業株式会社とのアライアンスを引き続き活用する。また、中国の現地資産をフルに活用し、中国とその他の国々のニーズを満たしていく。日本と米国においては、新たなパートナーシップを模索していく。それらのスマートパートナーシップの活用、EVの競争力向上、イノベーションによる差別化、新たな売上の機会などを通じて、EV移行と長期的な収益ある成長を目指す。<財務規律の徹底:レジリエントで収益性の高い業績を実現>当社は財務規律を徹底しながら、研究開発費と設備投資額を総売上高の7%から8%の範囲に維持し、バッテリー設備へは4,000億円以上を投資することを計画している。また、電動化への投資は段階的に増加し、2026年度までに全体の70%以上を占めるようになる。これらの投資を適切に管理することで、すべてのステークホルダーに価値を提供していく。「The Arc」は、当社の競争力を強化し、持続可能な収益性を実現するための包括的な計画である。本計画を通じて、「Nissan Ambition 2030」を実現するために必要な確固たる基盤を構築していく。<経営指標の改善に向けて>2024年3月末時点の当社株価は608円30銭、PBRは0.4倍程度と割安な水準であると認識している。当社は、株主還元と資本効率の向上、財務フレキシビリティの維持、そして将来の成長に向けて、継続的に財務パフォーマンスを改善することに取り組んでいる。前述のとおり、「The Arc」において、販売台数については2023年度比で100万台増加、営業利益率については2026年度までに6%以上、2030年度には8%を目指すことを発表した。当社は、電動化への投資を行った後も、M&A実行前フリーキャッシュフローはポジティブを維持し、自己株式取得と配当金の増配により、株主総還元率を30%以上確保することを目指す。また、ネットキャッシュは1兆円レベルと健全な水準を維持することを目指している。 2023年度では、ルノーグループからの5%の自己株式取得と年間配当金による株主総還元率は、約46.2%となる。また、2024年4月1日の自己株式取得と2024年度の配当見通しでは、株主総還元率30%以上を見込んでいる。「The Arc」は、当社の競争力を強化し、持続可能な収益性を実現する。その結果、投資家やアナリストが私たちの基盤となるパフォーマンスと戦略の進展を評価し、株価とPBRの改善に寄与するものと考えている。 当社は90年にわたり、他がやらぬことに挑戦してきた。人にワクワクを提供する、先進のモビリティを提供するグローバルカンパニーであり続けるために、人・地域・社会に寄り添いながら、事業を展開していく。次世代プロパイロットに代表される運転支援技術に加え、アクティブセーフティとAI技術を融合させたシステムで、ゼロ・フェイタリティの目標へさらに近づくことを目指している。革新的な技術で次世代のクルマづくりをサポートし、カーボンニュートラルの実現に貢献するニッサン・インテリジェント・ファクトリーやEV36Zero、そして、次世代モビリティサービスを通じて、より多くの人の自由な移動を実現し、エネルギーマネジメントサービスを通じて、エネルギーをより効率的に活用していくことを目指している。社会に貢献するという強い意志と、その取り組みを支える企業文化のもと、当社はこれからも、目標に向かってイノベーションをドライブし続け、移動の可能性を広げ、次世代のために素晴らしい未来の実現を目指す。 (2) 2023年度の経営環境及び主要な経営指標2023年度は、新型コロナウイルスの鎮静化や半導体の供給不足の解消などにより、経済活動は正常化に向かった。しかしながら、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東での紛争勃発などに伴い、地政学リスクはさらに高まり、急激な為替変動やインフレーションなどの影響もあいまって、事業環境は絶えず変化した。当社は、引き続き地政学的リスクの高まり、急激な円安、物流費の高騰、インフレーションや電動化に伴う市場の分断化などの影響を受けた。こうした環境下で、当社グループの当期の経営成績、業績目標とその達成度は下記のとおりとなった。当社グループのグローバル小売台数は前年度比4.1%増の344万2千台となり、売上高は12兆6,857億円と前連結会計年度に比べ2兆890億円(19.7%)の増収となった。営業利益は5,687億円と前連結会計年度に比べ1,916億円(50.8%)の増益となった。2020年5月にスタートした「Nissan NEXT」は、当社固有の課題に対応すべく、それまでの事業規模拡大による成長戦略から転換し、収益性を重視しながらコストを最適化することで、持続的な成長と安定的な収益確保を目指すものであった。当社は一歩一歩、着実に取り組みを進めた結果、全ての地域で販売の質を重視しながら、着実に成果を挙げることができた。生産能力と商品ポートフォリオの最適化に取り組み、いずれも20%削減した。また、新型車を積極的に投入し、12車種を発売し、アリアとサクラの投入によりEVのラインアップを充実させ、e-POWERをB、Cセグメントへと拡大した。アライアンスにおいては、より高い価値を生み出すコラボレーションに焦点を当て、新たな章を開いた。最終的に、新型コロナウイルスの感染拡大、供給制約、その他市場の変化により、販売台数の目標を達成することはできなかったが、「Nissan NEXT」の目標はほぼ達成することができ、最も重要なことは将来に向けた強固な基盤が確立されたことである。 (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当連結会計年度における事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりである。 ・元会長らの不正行為に関連した事項当社の元代表取締役が金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)で起訴されるとともに、元代表取締役会長においては会社法違反(特別背任罪)でも起訴された。併せて当社自身も金融商品取引法違反により起訴された。当社はこの事態を重く受け止め、独立第三者及び独立社外取締役で構成されるガバナンス改善特別委員会を設置し、2019年3月27日に同委員会からガバナンスの改善策及び、将来にわたり事業活動を行っていくための基盤となる健全なガバナンス体制の在り方についての提言をまとめた報告書を受領した。これを受け、当社は指名委員会等設置会社へ移行した。当社は、2019年9月9日の取締役会において、監査委員会よりゴーン氏らの不正行為に関する社内調査の報告を受けた。2019年9月9日付の「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」と題する適時開示に記載したとおり、本報告では、ゴーン氏らによる不正行為を認定している。そのうち、ゴーン氏の会社資産の私的流用等及び販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為は、以下のとおりである。2019年9月9日以降、当有価証券報告書提出日時点において、下記の内容に特段の変更は生じていない。今後、下記の内容に重要な進展が生じた場合には、法令等に基づき開示する。 A) ゴーン氏の会社資産の私的流用等ゴーン氏は、以下を含む様々な方法で当社の資産を私的に流用した。・将来性のある技術に投資するとの名目で子会社Zi-A Capital社を設立させ、同社の投資資金のうち約2,700万米ドルを、ブラジル(リオデジャネイロ)及びレバノン(ベイルート)所在のゴーン元会長個人のための住宅の購入に流用したほか、会社資金で秘密裏に購入又は賃借した住宅を私的に利用した。・2003年から10年以上にわたり、実体のないコンサルティング契約に基づくコンサルタント報酬名目で実姉に合計75万米ドルを超える金銭を支払った。・コーポレートジェットを自身及び家族の私的用途に使用した。・会社の資金を家族の旅費支払いや、個人的な贈答品支払いなどに充てた。・業務上の必要性がないにもかかわらず自身の出身国の大学への200万米ドルを超える寄付を会社資金で行わせた。・2008年、ゴーン氏は個人的に締結した為替スワップ契約のもと約18億5,000万円の含み損を抱え、事実と異なる取引内容を取締役会に説明したうえ為替スワップ契約を当社に承継させて、かかる含み損を当社に承継させた(金融当局の指摘を受け、2009年、当該為替スワップ契約は秘密裏にゴーン氏の関連企業に再承継された)。・2018年4月以降、三菱自動車工業株式会社との間で設立した合弁会社であるNissan-Mitsubishi B.V.(以下「NMBV」)から、給与・契約金名目での取締役会決議を欠く支払い合計780万ユーロを受領した。 B) 販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為ゴーン氏は、国外の知人から私的な資金援助を得ていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該知人の経営する企業に対し、自身とその直属の特定少数の部下が承認すれば金銭支出が可能となる予備費予算(CEOリザーブ)を使用して、特別ビジネスプロジェクト費用などの名目で合計1,470万米ドルの支払いを行わせた。また、国外の販売代理店の関係者からゴーン氏自身又はその関係企業に対して数千万米ドルの支払いがなされていることを当社取締役会及び関係部署に秘したまま、当社子会社から当該販売代理店に対し、CEOリザーブを使用して、販売奨励金名目で合計3,200万米ドルの支払いを行わせた。 金融庁長官から、2019年12月13日付で審判手続開始決定通知書を受領した。これにつき、当社は、課徴金に係る事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を2019年12月23日に提出した。その後、2020年2月27日付で金融庁長官から24億2,489万5,000円の課徴金納付命令の決定の送達を受けた。 2022年3月3日、当社は東京地方裁判所から金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出罪)により、罰金2億円に処するとの有罪判決を受けた。当社は、当社に対する当該判決を厳粛に受け止め、判決の主文並びに理由として述べられた事項を慎重に検討した結果、当該判決に対する控訴を行わないことを決定した。その後、当社及び検察官のいずれも刑事訴訟法が定める控訴期間内に控訴しなかったため、当該判決は確定した。上記課徴金に関して、金融商品取引法第185条の8第6項の規定に基づき、当該刑事裁判の判決による罰金額である2億円を控除し、課徴金の総額を22億2,489万5,000円に変更する処分が2022年4月26日付で行われた。当該課徴金については、すでに全額納付済である。 また、ゴーン氏がNMBV及び他の当社の子会社に対してアムステルダム地方裁判所に提起した不当解雇訴訟において、NMBVは、ゴーン氏がNMBVから不正に着服した資金の返還を求めゴーン氏に対し反対請求を提起した。アムステルダム地方裁判所は、2021年5月20日に出された判決においてゴーン氏の請求を棄却し、ゴーン氏に対し約500万ユーロの返還を命じたが、ゴーン氏は2021年8月20日に控訴状をアムステルダム高等裁判所に提出した。その後NMBVが提出した交差控訴及び防御の結果、2022年8月23日にアムステルダム高等裁判所による判決が出され、ゴーン氏の請求は大部分が棄却されるとともに、ゴーン氏に対し約420万ユーロの返還が命じられた。上告期限の経過により判決は確定した。 ゴーン氏による会社資金の不正使用により購入された住居の一部については、売却が完了している。 当社は、既に英領バージン諸島においてゴーン氏及びその関係者を相手に、豪華ヨットに対する仮処分命令を申立て、同命令を得た上で、損害賠償等を求めて訴訟を提起し、また日本国内においても、2020年2月12日にゴーン氏に対し、2022年1月19日に当社元代表取締役ケリー氏に対し、損害賠償請求訴訟を提起しているが、本社内調査結果を踏まえ、今後も、ゴーン氏らの責任を明確にすべく、ゴーン氏らの法令違反や不正行為によって被った損害の回復のため法的措置を含めた必要な対応をとっていく方針である。 指名委員会の選出による経営層の新体制が2019年12月に発足、内部監査による監督機能を強化したこと、などに見られるように、種々の再発防止策に取り組んでいる。当社は、2020年1月16日に東京証券取引所に提出した改善状況報告書に記載した改善措置の継続的実施を含め、これからも必要な改善を随時検討するなど、引き続きガバナンスの向上に努めるとともに、企業風土の改革、企業倫理の再構築、企業情報の適切な開示、コンプライアンスを遵守した経営に努めていく所存であることを表明している。 ・公正取引委員会からの勧告に関連した事項2024年3月7日、当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受けた。これは、当社が、下請法の適用対象となる事業者36社との取引において、当該事業者から割戻金を受け取った行為の一部が、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の違反と判断されたものである。本勧告において下請代金の減額に該当すると判断された割戻金の総額は、2021年1月から2023年4月までの約30億円である。当社は、既に、本勧告の対象下請事業者に対して、下請代金の減額に該当すると判断された金額を返金するとともに、割戻金の運用自体も廃止した。当社は、本勧告を大変重く受け止めている。サプライヤーの皆様との強固な信頼関係なくして双方の事業の発展は成し得ない。法令の遵守状況についての定期的な点検、並びに役員や下請取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施などを通じて、法令遵守体制を強化するとともに、再発防止策の徹底に取り組み、今後の取引適正化を図っていく。取引先との関係をさらに強化し、双方に価値を創造し、法令遵守の徹底のための更なる取り組みの一環として、法令違反の疑いなどがある場合に、取引先から匿名で意見を集約するホットラインを外部に設置する。さらに、モノづくり部門、並びに、関連部署の担当者からなる社長直轄の「パートナーシップ改革推進室」を新設した。このチームは、積極的に取引先のもとに足を運び、懸念事項を正しく理解し、頂いた声を速やかに社内にフィードバックして、必要な対応を迅速に講じることができるようにする。各部署の通常窓口に加え、新たに2つのルートを設けることで、取引先の状況把握、法令遵守の徹底をより一層図っていきたいと考えている。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりである。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度のグローバル全体需要は前連結会計年度に比べ8.6%増の8,454万台となった。当社グループのグローバル小売台数は前連結会計年度に比べ4.1%増の344万2千台となった。売上高は12兆6,857億円となり、前連結会計年度に比べ2兆890億円(19.7%)の増収となった。営業利益は5,687億円となり、前連結会計年度に比べ1,916億円(50.8%)の増益となった。営業外損益は1,334億円の利益となり、前連結会計年度に比べ49億円の減益となった。経常利益は7,022億円となり、前連結会計年度に比べ1,867億円(36.2%)の増益となった。特別損益は1,029億円の損失となり、前連結会計年度に比べ101億円の改善となった。税金等調整前当期純利益は5,992億円となり、前連結会計年度に比べ1,968億円(48.9%)の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は4,266億円となり、前連結会計年度に比べ2,047億円(92.3%)の増益となった。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により9,609億円増加、投資活動により8,127億円減少、財務活動により1,316億円減少した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により951億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し1,118億円(5.6%)増加の2兆1,262億円となった。 ③ 生産、受注及び販売の状況a.生産実績会社所在地生産台数(台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日  本596,694724,838128,14421.5% 米  国555,924605,65249,7288.9% メキシコ412,098607,089194,99147.3% 英  国260,532325,45864,92624.9% タ  イ79,99793,60513,60817.0% インド218,482124,627△93,855△43.0% 南アフリカ26,89125,136△1,755△6.5% ブラジル53,17158,7615,59010.5% アルゼンチン26,81629,6462,83010.6% エジプト18,11212,084△6,028△33.3%合計2,248,7172,606,896358,17915.9% (注) 台数集約期間は2023年4月から2024年3月までである。 b.受注状況当社グループの受注生産は僅少なので受注状況の記載を省略する。 c.販売実績(小売り)仕向地販売台数(小売台数:台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日本 454,449484,19529,7466.5% 北米 1,023,4981,262,110238,61223.3% 内、米国764,086915,712151,62619.8% 欧州 308,449361,37252,92317.2% アジア1,170,992910,055△260,937△22.3% 内、中国1,045,197793,768△251,429△24.1% その他 347,816424,52576,70922.1%合計 3,305,2043,442,257137,0534.1% (注) 1 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2023年1月から2023年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2023年4月から2024年3月までである。2 中国には合弁会社である東風汽車有限公司の販売台数が含まれる。 d.販売実績(連結売上)仕向地販売台数(連結売上台数:台)増減前年同期比前連結会計年度当連結会計年度(台)(%) 日  本 456,415473,51717,1023.7% 北  米 1,063,9331,340,587276,65426.0% 内、米国802,266977,028174,76221.8% 欧  州 310,683363,92653,24317.1% アジア207,190153,669△53,521△25.8% 内、中国498217721,575.5% その他 412,544453,91541,37110.0%合計 2,450,7652,785,614334,84913.7% (注) 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2023年1月から2023年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2023年4月から2024年3月までである。 (2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであり、原則として連結財務諸表に基づいて分析したものである。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものである。 ① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。連結財務諸表を作成するにあたって、重要な見積りは以下のとおりである。なお、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の適用に伴い、翌連結会計年度に重要な影響を及ぼす可能性のある一部の項目については、第5[経理の状況]の1[連結財務諸表等]の(重要な会計上の見積り)に記載している。 a.製品保証引当金当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、類似の費用特性を有する製品グループごとに保証経過期間における発生費用総額に対して、過去実績に基づく保証期間内の費用発生パターンを見積もり、引当金を算定している。当社グループは、製品の安全を最優先課題として、研究開発・製造から販売サービスまで最善の努力を傾けているが、実際の製品の不具合等により発生した保証費用の発生パターンの実績が見積りと乖離した場合、引当金の追加計上が必要となる可能性がある。b.退職給付費用当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率、退職率及び死亡率などの年金数理計算上の基礎率及び年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されている。ただし、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外子会社においては、年金資産の期待運用収益率ではなく、利息純額として年金数理計算上の割引率と同じ指標が用いられている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度における経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討結果は、次のとおりである。(業績)a.売上高連結売上高は前連結会計年度に対し2兆890億円(19.7%)増加し、12兆6,857億円となった。これは主に、販売台数の増加、台当たり正味売上高の改善及び為替変動によるものである。b.営業利益連結営業利益は5,687億円となり、売上高営業利益率は4.5%となった。前連結会計年度の3,771億円の利益に対し1,916億円(50.8%)の増益となった。これは主に、販売台数の増加、台当たり正味売上高の改善及び固定費の徹底管理によるものである。c.営業外損益連結営業外損益は1,334億円の利益となり、前連結会計年度の1,383億円の利益に対し、49億円の減益となった。これは主に、持分法による投資利益の減少によるものである。d.特別損益連結特別損益は1,029億円の損失となり、前連結会計年度の1,130億円の損失に対し、101億円の改善となった。これは主に、当連結会計年度に一過性の訴訟関連損失及び減損損失を計上したものの、前連結会計年度においてはロシア市場からの撤退に関連する損失等を計上したことによるものである。e.法人税等法人税等は1,497億円となり、116億円(7.2%)の減少となった。これは主に、当社において繰延税金資産の回収可能性を判断する際の企業分類の見直しを行ったことによるものである。f.親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は4,266億円となり、前連結会計年度に比べ2,047億円(92.3%)の増益となった。 (事業セグメント)a.自動車事業当社グループのグローバル小売台数は344万2千台となり、前連結会計年度に比べ13万7千台(4.1%)の増加となった。日本、北米、欧州等中国以外の地域は前連結会計年度に比べ17.2%増加したものの、中国市場では減少した。日本国内では前連結会計年度に比べ6.5%増の48万4千台、メキシコとカナダを含む北米では前連結会計年度に比べ23.3%増の126万2千台、欧州では前連結会計年度に比べ17.2%増の36万1千台、中国では前連結会計年度に比べ24.1%減の79万4千台、その他地域は前連結会計年度に比べ14.2%増の54万1千台となった。自動車事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は11兆7,825億円となり、前連結会計年度に比べ2兆957億円(21.6%)の増収となった。営業利益は2,216億円となり、前連結会計年度に比べ1,786億円(415.9%)の増益となった。これは主に、販売台数の増加に加え、台当たり正味売上高の改善及び固定費の徹底管理によるものである。なお、当連結会計年度におけるセグメント間の取引消去額を含む自動車事業の営業利益は2,600億円となった。 b.販売金融事業販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1兆1,618億円となり、前連結会計年度に比べ1,380億円(13.5%)の増収となった。営業利益は3,087億円となり、前連結会計年度に比べ32億円(1.0%)の減益となった。これは主に、ポートフォリオの拡大や為替変動による増益影響はあったものの、金利上昇に伴う調達コストの増加及び市場の徐々な正常化に伴う貸倒引当金の繰入額の増加によるものである。 (地域セグメント)a.日本日本国内市場の全体需要は前連結会計年度に比べ3.2%増加し453万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ6.5%増の48万4千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント増の10.7%となった。この結果、日本地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は4兆9,479億円と、前連結会計年度に比べ1兆96億円(25.6%)の増収となった。営業利益は1,081億円となり、前連結会計年度に比べ2,584億円の改善となった。これは主に、インフレーションはあったものの、国内販売については新型「セレナ」等の新車投入による台数の増加及び台当たり正味売上高の改善、輸出については台数の増加及び為替変動の影響によるものである。b.北米メキシコとカナダを含む北米市場の全体需要は前連結会計年度に比べ13.1%増加し1,880万台となり、当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ23.3%増の126万2千台となった。この結果、北米地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は7兆2,793億円と、前連結会計年度に比べ1兆3,302億円(22.4%)の増収となった。営業利益は3,345億円となり、前連結会計年度に比べ215億円(6.0%)の減益となった。これは主に、販売台数の増加、原材料価格の減少及び為替変動の影響はあったものの、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。米国市場の全体需要は前連結会計年度に比べ12.4%増加し1,568万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ19.8%増の91万6千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント増の5.8%となった。c.欧州ロシアを含む欧州市場の全体需要は前連結会計年度に比べ12.3%増加し1,635万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ17.2%増の36万1千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ0.1ポイント増の2.2%となった。この結果、欧州地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆8,705億円と、前連結会計年度に比べ4,738億円(33.9%)の増収となった。営業損失は173億円となり、前連結会計年度に比べ127億円の悪化となった。これは主に、「日産ジューク」、「キャシュカイ」、新型「エクストレイル」等の販売台数の増加、原材料価格の減少はあったものの、販売費用の増加及びインフレーションによるものである。d.アジア中国を除くアジア市場の小売台数は前連結会計年度に比べ7.6%減の11万6千台となった。アジア地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆6,078億円と、前連結会計年度に比べ1,689億円(11.7%)の増収となった。営業利益は1,092億円となり、前連結会計年度に比べ233億円(27.1%)の増益となった。これは主に、輸出台数の増加及び原材料価格の減少によるものである。中国市場の全体需要は、前連結会計年度に比べ6.0%増加し2,475万台となった。当社グループの小売台数は前連結会計年度に比べ24.1%減の79万4千台となり、市場占有率は前連結会計年度に比べ1.3ポイント減の3.2%となった。これは主に、小型商用車事業の売却、価格競争の激化、及びICE車から新エネルギー車へのシフトが加速したことによるものである。なお、合弁会社である東風汽車有限公司の業績は、持分法による投資損益として営業外損益に計上している。 e.その他大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等における当社グループの小売台数は、前連結会計年度に比べ22.1%増の42万5千台となった。中南米市場の小売台数は前連結会計年度に比べ23.9%増の16万7千台、中東市場の小売台数は前連結会計年度に比べ26.8%増の15万2千台、南アフリカ等のアフリカ市場の小売台数は前連結会計年度に比べ13.1%減の5万5千台となった。大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は1兆5,146億円と、前連結会計年度に比べ3,487億円(29.9%)の増収となった。営業利益は273億円となり、前連結会計年度に比べ572億円(67.7%)の減益となった。これは主に、販売費用の増加及びインフレーションによるものである。 (資本の財源及び資金の流動性についての分析)当社グループは、グローバルに展開するグループ会社の資金状況を当社にて一括管理し、グループの資金効率を高めている。当社グループの資金需要としては、自動車事業における研究開発費及び設備投資と、販売金融事業における金融資産の取得原資などがある。これらの必要資金を安定的に確保するため、運転資金効率の改善を含めた自動車事業の営業キャッシュ・フローの向上やグループ内の余剰資金の活用により、内部資金を最大限に利用している。また、外部調達としては、銀行借入やコマーシャルペーパー及び社債の発行のほか、販売金融事業では保有金融債権の流動化も行い、各地域での金融市場の特性や状況に応じて調達手法を最適に組み合わせることで、低コストでの資金調達を実現している。なお、研究開発費及び設備投資については、電動化、モビリティ革新、グローバルなエコシステムの構築といった重点分野に集中して投入している。また、販売金融事業における自動車ローンや自動車リースを中心とした金融資産の取得については、常に資産の質を重視して管理している。株主への配当については、収益及びキャッシュ・フロー等の状況を総合的に勘案し決定している。流動性について、当社グループは、地政学的リスクや金融市場の想定外の変化にも対応できるよう、常に十分な流動性の確保を図っている。当社グループは従来から世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、自動車事業と販売金融事業を合わせたグループ全体での未使用のコミットメントラインとして2024年3月末時点で2兆1,823億円を保有している。また、2024年3月末時点での自動車事業における手元資金は2兆143億円である。これらにより当社グループの流動性は十分に高い水準にあると考えている。当社グループによる無担保資金調達に係わるコスト及びその発行の可否は、一般に当社グループに関する信用格付によっている。ムーディーズ(Moody’s)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)及び格付投資情報センター(R&I)による2024年5月末時点での当社の長期信用格付は以下のとおりである。なお、これらの格付は当社グループの債券の売買・保有を推奨するものではない。また、当社グループの金融債務やコミットメントラインについて、格付の見直しにより強制的に返済の必要が生じたり新たな借入が制限される条件が付されているものはない。 Moody’sS&PFitch RatingsR&I長期格付Baa3BB+BBB-A なお、当社グループは、事業の中核と位置付けているサステナビリティの推進に必要となる資金を調達するため、2022年7月にサステナブル・ファイナンス・フレームワークを策定し、フレームワークに基づき2022年度に資金調達を行った。本フレームワークを通じて調達した資金は、バッテリーを含む電動車の開発や生産、EVエコシステム・スマートシティの実現に向けた技術開発やインフラ整備、より安全で持続可能なモビリティの開発など、幅広い取り組みに使用されている。 なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は以下のとおりである。 営業活動営業活動による収入は9,609億円となり、前連結会計年度の1兆2,211億円の収入に比べて2,602億円減少した。これは主として、自動車事業の収益の改善があった一方で、事業拡大に伴う当連結会計年度の販売金融債権の増加によるものである。投資活動投資活動による支出は8,127億円となり、前連結会計年度の4,470億円の支出に比べて3,656億円支出が増加した。これは主として、設備投資の増加と、販売金融事業のリース車両の取得が増加したことによるものである。財務活動財務活動による支出は1,316億円となり、前連結会計年度の6,706億円の支出に比べて5,391億円の支出が減少した。これは主として、販売金融事業の資金調達が増加したことによるものである。なお、当連結会計年度における自動車事業のフリーキャッシュフローは前連結会計年度に比べ1,363億円改善し、3,230億円のプラスとなった。また、当連結会計年度末における自動車事業のネットキャッシュは1兆5,460億円となり、前連結会計年度末から3,328億円増加した。 セグメント別の内訳は以下のとおりである。前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー492,095728,9561,221,051投資活動によるキャッシュ・フロー△305,347△141,694△447,041小計:フリーキャッシュフロー186,748587,262774,010財務活動によるキャッシュ・フロー△104,199△566,408△670,607 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー698,060262,839960,899投資活動によるキャッシュ・フロー△375,028△437,636△812,664小計:フリーキャッシュフロー323,032△174,797148,235財務活動によるキャッシュ・フロー△298,193166,642△131,551 対前年度増減(百万円) 自動車事業及び消去販売金融事業連結計営業活動によるキャッシュ・フロー205,965△466,117△260,152投資活動によるキャッシュ・フロー△69,681△295,942△365,623小計:フリーキャッシュフロー136,284△762,059△625,775財務活動によるキャッシュ・フロー△193,994733,050539,056

※本記事は「日産自動車株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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