日産化学株式会社の基本情報

会社名日産化学株式会社
業種化学
従業員数連3283名 単2044名
従業員平均年齢40.6歳
従業員平均勤続年数15.8年
平均年収8452697円
1株当たりの純資産1711.83円
1株当たりの純利益(連結)313.26円
決算時期3月
配当金174円
配当性向65.3%
株価収益率(PER)14.18倍
自己資本利益率(ROE)(連結)18.7%
営業活動によるCF591億円
投資活動によるCF▲176億円
財務活動によるCF▲356億円
研究開発費※15.89億円
設備投資額※14.46億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※268.1%
有利子負債残高(連結)※3399.6億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 中長期的な会社の経営戦略並びに会社の対処すべき課題 当社グループは、2022年度に6ヵ年の中期経営計画Vista2027を始動しました。前半3ヵ年(2022年度~2024年度)のStageⅠにおいて、最終年度の2024年度営業利益は568億円と最高益を更新しましたが、数値目標に対して未達となりました。その要因を分析し、主要課題は新製品・新事業の創出、適切な経営資源配分、化学品セグメントの収益性改善であると捉えました。これらの解決に向け、M&A(合併・買収)を含め戦略投資を積極的に行うことで、事業ポートフォリオの拡充、現有事業の拡大および製品開発期間の短縮を図ります。また、化学品セグメントでは、2024年度にサブセグメントであるファインケミカルの固定資産を減損処理しました。2025年度以降、不採算製品の見極めや種々のコストダウンをさらに進め、2027年度には営業利益率5%以上を確保します。 2025年4月、当社グループは、後半3ヵ年(2025年度~2027年度)にあたるStageⅡをスタートさせました。最終年度(2027年度)の数値目標を売上高2,930億円、営業利益650億円と定め、最重要課題を新製品の創出としたうえで、基本戦略として次の3つを掲げました。(1)「現有事業の利益拡大」(2)「2030年を見据えた新製品の開発」(3)「事業基盤の強化」 第1の戦略「現有事業の利益拡大」では、成長が見込まれる機能性材料および農業化学品セグメントへM&Aを含めて経営資源を集中的に投下し、既存製品や新製品の販売・開発を進め、利益の最大化を図ります。戦略の具体的施策として、機能性材料セグメントでは、半導体材料の次世代製品創出に呼応した組織改定を2025年4月に行いました。今後、研究部門を中心に段階的に人員や評価設備を増大、かつ半導体向け研究・開発の機能を拡充し、顧客満足度の高い製品・サービスを提供します。農業化学品セグメントでは、2027年までに当社開発原体を含む農薬新製品(除草剤2種、殺ダニ剤1種、殺虫剤1種)を相次ぎ上市し、国内販売シェア1位を堅持することに加え、海外向け販売をさらに伸ばします。化学品セグメントでは前述の施策に加え、高収益性製品の普及拡大、ヘルスケアセグメントではファインテック事業での原薬増販および新規原薬の受託製造販売に取り組みます。 第2の戦略「2030年を見据えた新製品の開発」では、2028年度以降を視野に入れ、新たな成長の柱となる製品創出を目指します。環境エネルギー領域では、二次電池材料、水素エネルギー材料やペロブスカイト太陽電池用材料などの創出に注力します。情報通信領域では、ターゲット材料を明確化し、半導体向けの実装材料、光導波路材料、電子機器放熱材およびCIS(CMOSイメージセンサー)や位相差フィルム用配向材の開発を加速します。ライフサイエンス領域の創薬研究では、新規動物薬の創出加速に向け有機合成研究員を増員するとともに良好関係にある協業先とパートナーシップを高めた共同研究開発に合意しました。また、新農薬原体や核酸医薬品創出の開発ステージアップに注力するとともに、将来有望なバイオ分野については、新たなコア技術の獲得、外資企業との協業を推進します。 第3の戦略「事業基盤の強化」では、当社グループの企業理念およびあるべき姿の実現のため、人材育成を推進し、研究開発の基盤や機能を拡充します。人材育成では、挑戦・共創を実践する人材、目利き力を備えた人材輩出の基盤となる組織風土づくりのため、人材開発の本質は「社員一人ひとりが自発的に自己研鑽を積み、自己の成長を図ること」と認識し、研修制度を充実することで社員をバックアップします。また、データサイエンティストの育成、マテリアルズ・インフォマティクス(データ駆動型研究)による素材・材料の探索、最先端技術を活用した解析技術などを通して、事業を支える研究開発の基盤や機能の増強および早期化・効率化を図ります。加えて、IPランドスケープによる市場分析などにより、知的財産の面から事業拡大を支援し、事業の競争優位性を向上するための特許戦略を実行します。 StageⅡでは、前述の戦略遂行に加え、持続可能な社会に貢献するため、当社のマテリアリティ(重要課題)要素の重要業績評価指標(KPI)である、「日産化学サステナブルアジェンダ(社会課題解決に貢献する製品・サービス)の連結売上高に占める割合」の2027年度目標を60%以上へ、「食料問題への貢献」の2027年度目標を2021年度比+25%以上へ、それぞれ引き上げました。「気候変動の緩和」に資する温室効果ガス排出量削減においては、StageⅡ期間内に、硝酸プラントから排出する亜酸化窒素の削減設備を完工し、2027年度までに2018年度比で30%の削減を実現します。 当社グループは、これまで安定した業績と積極的な株主還元などにより、市場から一定の評価を得てきたと認識しています。より一層期待される企業へと成長戦略を描き、強固な事業ポートフォリオの確立を目指すことに加え、経営の健全性と透明性の向上、経営意思決定の迅速化、リスク管理や内部統制システムの強化、コンプライアンスの徹底、社会・環境を配慮した事業活動の推進を通し、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループの実現に総力を挙げて取り組んでまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、株主からの受託資本の運用効率を示す指標である「自己資本当期純利益率(ROE)」、高付加価値企業としての指標となる「売上高営業利益率」を最重要指標と認識し、今後も収益力の一層の強化に向けた事業展開を推進してまいります。なお、2025年4月に始動した中期経営計画「Vista2027 StageⅡ」では、数値目標を以下のように定めております。 非財務指標気候変動の緩和温室効果ガス(GHG)排出量2018年度比30%以上削減ダイバーシティの推進研究員に占める女性総合職比率18%以上人々の豊かな暮らしに役立つ新たな価値の提供連結売上高に占める社会課題解決に貢献する製品・サービスの合計売上高60%以上人材の確保・育成社員意識調査の設問、人材育成に対する肯定回答者65%以上 経営指標売上高営業利益率ROE配当性向総還元性向20%以上18%以上55%以上75%以上
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の国内景気は、インバウンド需要の拡大や所得環境の改善が進む一方で、食品や原材料の価格の高止まりなどを背景に緩やかな回復に留まりました。このような状況のもと、当社グループの事業につきましては、化学品セグメントは、基礎化学品、ファインケミカルともに増収となりました。機能性材料セグメントは、半導体材料が好調に推移したことに加え、無機コロイドおよびディスプレイ材料が増収となりました。農業化学品セグメントは、増収となりました。ヘルスケアセグメントは、減収となりました。 この結果、当期間における業績は以下の結果となり、売上高、各利益ともに前年同期および2月に発表した業績予想を上回りました。 (単位:百万円、百万円未満切捨て) 2024年3月期(実績)2025年3月期(実績)前年比増減 2025年3月期(業績予想)業績予想比増減売上高226,705251,365+24,659 247,600+3,765営業利益48,20156,833+8,631 55,000+1,833経常利益51,62958,018+6,389 55,900+2,118親会社株主に帰属する当期純利益38,03343,043+5,009 40,900+2,143 セグメント別概況は以下のとおりであります。 化学品セグメント 基礎化学品では、高純度硫酸(半導体用洗浄剤)が増収となりました。ファインケミカルでは、環境化学品(プール・浄化槽用殺菌・消毒剤等)やファインオキソコール(化粧品原料等)が増収となりました。 この結果、当セグメントの売上高は378億35百万円(前年同期比22億72百万円増)、営業利益は1億79百万円(同1億31百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は7億円の下ぶれ、営業利益は1億円の上ぶれとなりました。なお、基礎素材であるアンモニアの生産量は前連結会計年度を下回りました。 機能性材料セグメント ディスプレイ材料では、「サンエバー」(液晶配向材用ポリイミド)が増収となりました。半導体材料では、半導体用反射防止コーティング材(ARCR*)および多層材料(OptiStackR*)が顧客の稼働回復を受けて大幅な増収となりました。無機コロイドでは、「スノーテックス」(電子材料用研磨剤、各種表面処理剤等)やオルガノシリカゾル・モノマーゾル(各種コート剤、樹脂添加剤)が増収となりました。 この結果、当セグメントの売上高は1,000億98百万円(前年同期比155億30百万円増)、営業利益は289億80百万円(同64億49百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は27億円の上ぶれ、営業利益は7億円の上ぶれとなりました。* ARCR、OptiStackRはBrewer Science, Inc.の登録商標です。 農業化学品セグメントフルララネル(動物用医薬品原薬)は増収となりました。国内向け農薬は、2月より販売が開始された「ベルダー」(水稲用除草剤)に加え、「アルテア」(水稲用除草剤)や「グレーシア」(殺虫剤)が堅調に推移しました。一方、「ラウンドアップ」(非選択性茎葉処理除草剤)は減収となりました。海外向け農薬は、「タルガ」(除草剤)は減収となりましたが、「ライメイ」(殺菌剤)および「グレーシア」が伸長しました。 この結果、当セグメントの売上高は862億26百万円(前年同期比41億12百万円増)、営業利益は255億71百万円(同21億73百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は1億円の下ぶれ、営業利益は1億円の下ぶれとなりました。 ヘルスケアセグメント 「リバロ」(高コレステロール血症治療薬)原薬は国内、海外ともに減収となりました。「ファインテック」(課題解決型受託事業および共同開発型事業)は増収となりました。 この結果、当セグメントの売上高は59億93百万円(前年同期比3億6百万円減)、営業利益は18億93百万円(同9億21百万円減)となりました。業績予想比では、売上高は2億円の下ぶれ、営業利益は4億円の下ぶれとなりました。卸売セグメント当セグメントの売上高は1,171億55百万円(前年同期比133億60百万円増)、営業利益は40億89百万円(同3億88百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は48億円の上ぶれ、営業利益は4億円の上ぶれとなりました。 その他のセグメント当セグメントの売上高は291億75百万円(前年同期比9億92百万円減)、営業利益は5億94百万円(同22百万円増)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。 ② 受注実績当社グループは原則として、受注生産方式を採用しておりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前連結会計年度比(%)金額(百万円)化学品セグメント37,8356.4機能性材料セグメント100,09818.4農業化学品セグメント86,2265.0ヘルスケアセグメント5,993△4.9卸売セグメント117,15512.9その他のセグメント29,175△3.3セグメント間の内部売上高(消去)△125,1188.0合計251,36510.9 (注) 上記の金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、無形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末比73億5百万円増の3,307億63百万円となりました。負債は、社債、コマーシャルペーパーが増加したことなどにより、前連結会計年度末比20億77百万円増の945億82百万円となりました。また、純資産は前連結会計年度末比52億27百万円増の2,361億80百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比0.2ポイント増加し、70.5%になりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、運転資金の増減などから法人税等の支払額を控除した結果、591億78百万円の収入(前連結会計年度は337億1百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、工場などの設備投資を中心に176億12百万円の支出(前連結会計年度は187億41百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金の支払、自己株式の取得による支出などにより356億50百万円の支出(前連結会計年度は221億1百万円の支出)となりました。現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、換算差額の減少額12億15百万円を調整した結果、前連結会計年度末に比較し46億99百万円増加しており、これに新規連結に伴う現金及び現金同等物の増減額17百万円を加味した結果、274億54百万円(前連結会計年度末は227億38百万円)となりました。 以上の営業活動・施策により、中期経営計画「Vista2027」の前半3ヵ年(2022年度~2024年度)のStageⅠにて掲げた以下の経営目標に対し、各指標は順調に推移しました。 経営目標2024年度実績売上高営業利益率20%以上22.6%ROE18%以上18.7%配当性向21年度:45%、22年度以降:55%維持55.5%株主総還元性向19年度:72.5%、20年度以降:75%維持82.0% (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

※本記事は「日産化学株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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