会社名 | 日産化学株式会社 |
業種 | 化学 |
従業員数 | 連3137名 単2011名 |
従業員平均年齢 | 40.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 15.7年 |
平均年収 | 8439283円 |
1株当たりの純資産 | 1641.05円 |
1株当たりの純利益 | 272.82円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 164円 |
配当性向 | 66.1% |
株価収益率(PER) | 20.98倍 |
自己資本利益率(ROE) | 17.1% |
営業活動によるCF | 337億円 |
投資活動によるCF | ▲187億円 |
財務活動によるCF | ▲221億円 |
研究開発費※1 | 4.4億円 |
設備投資額※1 | 68.31億円 |
販売費および一般管理費※1 | 565.72億円 |
株主資本比率※2 | 67.8% |
有利子負債残高(連結)※3 | 403.46億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 中長期的な会社の経営戦略並びに会社の対処すべき課題当社グループは、2022年4月に長期経営計画「Atelier2050」ならびに6ヵ年の中期経営計画「Vista2027」を始動しました。 Vista2027では、「新製品開発の更なる強化」、「事業計画の精緻化」、「業務効率の改善・強化」を課題として捉え、4つの基本戦略に基づき各種の施策を実行してきました。 第1の戦略「事業領域の深掘りとマーケティング力の向上」では、食品事業などで生じる廃棄物中の油脂を分解処理する、微生物製剤「ビーナスオイルクリーン」が、微生物死骸の不溶物や油脂が固形化したオイルボールを分解する機能も有することを新たに見出し、食品用途以外への提案を開始しました。需要拡大が期待される二次電池分野では、電気自動車向け二次電池で、その構成材料として当社製品が採用されました。第2の戦略「サステナブル経営の推進」では、レスポンシブル・ケア活動の継続的強化として、2022年設置の気候変動対策委員会を中心に、気候変動対策に関する組織横断的な取り組みを進めております。2023年度は、GHG(温室効果ガス)排出量を費用として捉えるインターナル・カーボンプライシング(ICP)を活用した管理会計を開始しました。当社での設備投資計画の策定においては、損益に加え、GHG排出量の削減も考慮し、投資に対して総合的な経営判断を行う仕組みへと転換しました。また、サステナブル調達に関しては、サプライヤーに対するアンケート調査を実施する中で、当社が定める自主基準に未達の取引先に、改善の協力を仰いだ結果、基準未達企業数は減少しました。第3の戦略「価値創造・共創プロセスの強化」では、人的資本経営の拡充に向けて、価値の創造・共創を促す基盤・環境づくりを推進しております。「誠実」という当社の強みを維持しながら、多様な人材が目標に向かって挑戦し、自己の成長を図る組織を実現するため、人材育成や環境整備を進めることを目的としています。具体的には、人材育成の強化として、職域別の人材開発会議およびキャリア対話を開始するとともに、イントラプレナー(企業内起業家)育成プログラムや10% Challenge(年間労働時間の10%を用い、通常業務外などのテーマ領域へ挑戦する仕組み)での取り組みを行いました。とくに、キャリア対話の中では、キャリア志向に配慮した人材の適正配置を推進し、生産性や定着率の向上を目指します。第4の戦略「現有事業のシェア・利益の拡大」では、化学品セグメントは、高純度硫酸設備の増強工事が順調に進捗し、需要拡大に呼応する増販体制を構築しました。機能性材料セグメントは、視野角特性と色再現性に優れる光IPS(In-Plane Switching)式液晶ディスプレイ用配向材「レイアライン」が、スマートフォン、IT(情報技術)、そして車載向けで引き続き高い市場シェアを堅持しました。また、半導体向け前工程用材料を製造する韓国子会社NCK Co.,Ltd.の第2製造拠点が完成し、顧客承認用の製品製造を開始しました。農業化学品セグメントは、製品の供給体制強化のために設立したインド子会社Nissan Bharat Rasayan Private Limitedにおける殺菌剤「ライメイ」および殺虫剤「グレーシア」のプラントが稼働し、原体の出荷を開始しました。また、国内では、稲作農家を悩ませる難防除水田雑草に対し優れた効果を有する除草剤「ベルダー」の原体工場が完工しました。農薬登録を受け次第、販売をスタートします。ヘルスケアセグメントは、新たなジェネリック原薬のプロジェクトが本格始動し、当社による原薬製造に向けた協業先との技術協力合意に至りました。また、核酸創薬でも大きな進展があり、2024年4月の当社ニュースリリースのとおり、株式会社三和化学研究所との間で核酸創薬の戦略的提携に合意しました。当社の独自技術で設計された核酸化合物を、知見や経験の豊富な提携先が薬効および安全性評価を行うことで、新規医薬品の候補化合物創出を加速します。 上記のとおり、当社グループにおける中期経営計画は着実に進捗し、その成果は実を結んでいます。 一方、2023年度は、そのVista2027の前半3ヵ年となるStageⅠの2年目にあたりましたが、ある特定の事業や領域で計画に対する乖離がありました。財務指標では、4つの重要業績評価指標KPIのうち、3項目となる売上高営業利益率(目標20%以上)、配当性向(目標55%維持)および総還元性向(目標75%維持)は、いずれも目標を達成しましたが、自己資本当期純利益率ROEは目標18%以上に対し17%にとどまり、未達となりました。収益では、前期比減収減益となり、売上高や営業利益の最高値連続更新が途切れる結果となりました。これは、需要、原材料、為替など、著しい外的環境の変化や自然災害の影響に加えて、業績をけん引する事業の偏りや利益率向上に貢献する成長エンジンとなるべき新製品の創出の遅延によるものと、重く受け止めております。 2024年度は、Vista2027の後半3ヵ年となるStageⅡの計画を見直す年になります。当社グループが社会に選ばれ、求められる会社であり続けるため、StageⅠの乖離要因の解析や課題の抽出を徹底的に行い、戦略や施策、そしてその行動計画を丁寧に見直し、持続的成長に向けた計画を策定いたします。 当社は、企業理念である、「社会が求める価値を提供し、地球環境の保護、人類の生存と発展に貢献する」を事業活動の基本とし、コーポレートスローガンとして、「未来のための、はじめてをつくる。」を掲げ、変革する志のもと、新製品創出および事業拡大に注力しております。これからも、当社グループは、経営の健全性と透明性の向上、経営意思決定の迅速化、コンプライアンスの徹底、リスク管理や内部統制システムの強化を推進することで、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループの実現に総力を挙げて取り組んでまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、株主からの受託資本の運用効率を示す指標である「自己資本当期純利益率(ROE)」、高付加価値企業としての指標となる「売上高営業利益率」を最重要指標と認識し、今後も収益力の一層の強化に向けた事業展開を推進してまいります。自己資本当期純利益率(ROE)につきましては、2022年4月に始動した中期経営計画「Vista2027」のStageⅠにおいて2022年度以降は18%以上を維持することを目標としております。なお、2022年4月に始動した中期経営計画「Vista2027」では、重要業績評価指標(KPI)を以下のように定めております。 財務指標(2022年~2027年)売上高営業利益率20%以上自己資本当期純利益率(ROE)18%以上配当性向55%維持(2021年度44.9%から引き上げ)総還元性向75%維持 非財務指標(2027年)日産化学サステナブルアジェンダ(社会課題解決に貢献する製品・サービスの合計売上高/全体売上高)55%以上維持GHG排出量の削減2018年度比30%以上(2030年度目標を3年前倒し)社員意識調査の人材育成に関する質問への肯定回答率65%以上研究所女性総合職比率18%以上 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の国内景気は、円安を追い風とするインバウンド需要が増加したほか、年度前半では個人消費や自動車の輸出が回復基調を示しましたが、期末に向けて、個人消費が低迷したことに加え、自動車減産等が影響し、回復は限定的となりました。このような状況のもと、当社グループの事業につきましては、化学品セグメントは、基礎化学品、ファインケミカルともに減収となりました。機能性材料セグメントでは、半導体材料は減収となりましたが、ディスプレイ材料が好調でした。農業化学品セグメントは、増収となりました。ヘルスケアセグメントは、減収となりました。この結果、当期間における業績は以下の結果となり、売上高、各利益ともに前年同期を下回りました。11月に発表した業績予想に対しては、経常利益は上ぶれたものの、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は下ぶれました。 (単位:百万円、百万円未満切捨て) 2023年3月期(実績)2024年3月期(実績)前年比増減 2024年3月期(業績予想)業績予想比増減売上高228,065226,705△1,360 227,500△795営業利益52,28348,201△4,081 48,600△399経常利益55,79351,629△4,164 51,300+329親会社株主に帰属する当期純利益41,08738,033△3,053 38,400△367 セグメント別概況は以下のとおりであります。 化学品セグメント基礎化学品では、硝酸製品(金属溶解・表面処理剤等)が増収となりました。メラミン(接着剤等)は、構造改革に伴い昨年度第3四半期に販売を終了した結果、減収となりました。ファインケミカルでは、環境化学品(プール・浄化槽用殺菌・消毒剤等)と「テピック」(粉体塗料硬化剤、封止材等)が、市況下落の影響を受けて減収となりました。この結果、当セグメントの売上高は355億62百万円(前年同期比34億71百万円減)、営業利益は48百万円(同13億30百万円減)となりました。業績予想比では、売上高は30億円、営業利益は8億円の下ぶれとなりました。なお、基礎素材であるアンモニアの生産量は前連結会計年度を下回りました。 機能性材料セグメントディスプレイ材料では、「サンエバー」(液晶配向材用ポリイミド)が増収となりました。半導体材料では、半導体用反射防止コーティング材(ARCR*)及び多層材料(OptiStackR*)が顧客の稼働低調を受けて減収となりました。無機コロイドでは、「スノーテックス」(電子材料用研磨剤、各種表面処理剤等)やオイル&ガス材料(シェールオイル・ガス採掘効率向上材)が減収となりました。この結果、当セグメントの売上高は845億67百万円(前年同期比19億61百万円増)、営業利益は225億30百万円(同29億19百万円減)となりました。業績予想比では、売上高は1億円の上ぶれ、営業利益は8億円の下ぶれとなりました。* ARCR、OptiStackRはBrewer Science, Inc.の登録商標です。 農業化学品セグメントフルララネル(動物用医薬品原薬)は増収となりました。国内向け農薬では、「グレーシア」(殺虫剤)は堅調に推移しましたが、「ラウンドアップ」(非選択性茎葉処理除草剤)が減収となりました。海外向け農薬では、「グレーシア」は伸長しましたが、「ライメイ」(殺菌剤)は減収となりました。この結果、当セグメントの売上高は821億13百万円(前年同期比5億29百万円増)、営業利益は233億98百万円(同2億67百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は19億円の下ぶれ、営業利益は1億円の上ぶれとなりました。 ヘルスケアセグメント「リバロ」(高コレステロール血症治療薬)原薬は、海外向けを中心に減収となりました。「ファインテック」(課題解決型受託事業)では、ジェネリック原薬販売が減少しました。この結果、当セグメントの売上高は63億円(前年同期比3億73百万円減)、営業利益は28億14百万円(同1億75百万円減)となりました。業績予想比では、売上高は4億円、営業利益は2億円の上ぶれとなりました。卸売セグメント当セグメントの売上高は1,037億94百万円(前年同期比47億28百万円増)、営業利益は37億1百万円(同0百万円減)となりました。業績予想比では、売上高は29億円、営業利益は4億円の上ぶれとなりました。 その他のセグメント当セグメントの売上高は301億67百万円(前年同期比37億82百万円増)、営業利益は5億72百万円(同3億7百万円減)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。 ② 受注実績当社グループは原則として、受注生産方式を採用しておりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)前連結会計年度比(%)金額(百万円)化学品セグメント35,562△8.9機能性材料セグメント84,5672.4農業化学品セグメント82,1130.6医薬品セグメント6,300△5.6卸売セグメント103,7944.8その他のセグメント30,16714.3セグメント間の内部売上高(消去)△115,8017.9合計226,705△0.6 (注) 上記の金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、商品及び製品、建物及び構築物、機械装置及び運搬具が増加したことなどにより、前連結会計年度末比247億42百万円増の3,234億58百万円となりました。負債は、短期借入金の増加により、前連結会計年度末比153億65百万円増の925億54百万円となりました。また、純資産は前連結会計年度末比93億76百万円増の2,309億3百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比2.8ポイント減少し、70.3%になりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、運転資金の増減などから法人税等の支払額を控除した結果、337億1百万円の収入(前連結会計年度は352億26百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、工場などの設備投資を中心に187億41百万円の支出(前連結会計年度は196億43百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金の支払、自己株式の取得による支出、長期借入金の増加などにより221億1百万円の支出(前連結会計年度は250億30百万円の支出)となりました。現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、換算差額の増加額2億31百万円を調整した結果、227億38百万円(前連結会計年度末は296億47百万円)となり、前連結会計年度末に比較して69億9百万円減少しました。 以上の営業活動・施策により、中期経営計画「Vista2027」の前半3ヵ年(2022年度~2024年度)のStageⅠにて掲げた以下の経営目標に対し、ROEは達成していないものの、他の指標は順調に推移しました。 経営目標2023年度実績売上高営業利益率20%以上21.3%ROE18%以上17.1%配当性向21年度:45%、22年度以降:55%維持60.1%株主総還元性向19年度:72.5%、20年度以降:75%維持86.2% (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 |
※本記事は「日産化学株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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