株式会社ニコンの基本情報

会社名株式会社ニコン
業種精密機器
従業員数連20069名 単4634名
従業員平均年齢42.1歳
従業員平均勤続年数13.9年
平均年収8510441円
1株当たりの純資産1072.45円
1株当たりの純利益(連結)17.86円
決算時期3月
配当金50円
配当性向0%
株価収益率(PER)12.3倍
自己資本利益率(ROE)(連結)-1.4%
営業活動によるCF482億円
投資活動によるCF▲699億円
財務活動によるCF▲198億円
研究開発費※154.79億円
設備投資額※192.23億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※245.1%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻く事業環境は、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (業績等の概要) (1)業績」に記載のとおりでありました。当社グループは、2022年4月7日に中期経営計画(2022~2025年度)を発表し、折り返し地点を迎えました。中期経営計画の概要は以下のとおりです。 ・ありたい姿今回の中期経営計画策定にあたっては、まず2030年のありたい姿をイメージし、その実現に向けて2025年に到達するべき目標を定め、その実現に向けた施策を積み上げています。2030年の社会は、人々の価値観や人生観が変化し、気候変動や資源不足など社会環境が変わり、Industry5.0到来などテクノロジーの革新も続くと予想しています。このようなメガシフトが起こるなか、人間が生活のための“労働”を機械に任せ、より創造的な「自己実現のための仕事」と「価値を追求する消費」に注力できるようになるための「人と機械の共創」が進むものと考えています。ニコンには、ものづくりを革新するテクノロジーや高度なソリューションをグローバルに広げる力・ブランド、そしてステークホルダーからの支持といった3つの強みがあります。これらを活かし、2030年の「人と機械が共創する社会」に新たな価値を提供し続けたいと考え、2030年のありたい姿を「人と機械が共創する社会の中心企業」としました。これに向けて、まずはお客様としっかり伴走し、お客様の欲しいモノやコトの「本質」を理解した上で、お客様のイノベーションを支える存在を目指します。 ・全体方針本中期経営計画は、2022年度から2025年度までの4年間を対象期間としています。2030年へ向けて、「お客様の欲しいモノやコトをお客様にとって最適な方法で実現」する存在になることを「2025年のありたい姿」に定めました。具体的には、まず『「ソリューション提供」の強化』のため、プロダクトアウト的発想から脱却し、お客様に寄り添い、そのニーズを的確に把握し、完成品・サービス・コンポーネントを一体でソリューションとして提供します。また、それぞれの事業における「成長ドライバー」による利益成長と「サービス・コンポーネント」ビジネスの拡大によって利益の安定化に努めます。そして、光学・EUV関連コンポーネント、材料加工・ロボットビジョン、デジタル露光、映像コンテンツ、細胞受託生産・創薬支援の5つの「成長ドライバー」に注力します。 <中期経営計画の全対像> ・中期経営計画の進捗状況2023年度を経て、折り返し地点を迎えた本計画ですが、ありたい姿や数値目標など、本計画の大枠は堅持しています。前半2年は増収が続き、2023年度時点で本計画最終年度の目標である売上収益7,000億円を2年前倒しで達成することができました。主に映像事業とヘルスケア事業、そして2022年度の途中で連結子会社化したドイツのNikon SLM Solutions AG(以下、SLM社)が増収に貢献しました。一方、事業を取り巻く環境の変化を踏まえ、事業別の収益構成は見直しました。クオリティオブライフ領域の映像事業・ヘルスケア事業は収益の拡大を追求する一方、インダストリー領域の精機事業などは収益計画を下方に修正しました。また、2030年のありたい姿の実現に向けて、成長投資の中身を見直し、オーガニック成長のための投資を拡大すると共に、経営管理の強化を図る方針です。 <中期経営計画の進捗概況> ・各事業の戦略と進捗映像事業では、ターゲット層であるプロ・趣味層に対して、ミラーレスカメラを中心とする高付加価値製品を提供する事業戦略の下、市場の拡大もあり、新製品のミラーレスカメラ「Z 8」、「Z f」の販売が好調に推移しています。更なるラインアップの拡充や、業務用動画分野で独自の顧客と技術を持つ米国のRED.com,LCC(以下、RED社)を完全子会社化して動画機能を強化し、中高級機市場で安定収益確保を目指します。精機事業においては、FPD露光装置分野では、技術開発の推進、高精細化と高生産性の追求により、メジャープレーヤーとしての地位と安定的な収益を確保します。また半導体露光装置分野では、主要顧客の生産計画に備えるとともに、三次元化などのニーズに個別対応することで新たな顧客の獲得を目指します。顧客の要求に応えながら製品競争力を強化、新製品投入により顧客拡大を推進していきます。ヘルスケア事業においては、生物顕微鏡では、世界の大手光学顕微鏡メーカーとして、市場の7割を占める民間企業の開拓を進め、民間企業への売上比率を5割超へ拡大しています。世界トップクラスのシェアを誇る網膜画像診断機器は、診断の高度化や在宅化・遠隔診断などに対応します。細胞受託生産では、大手製薬企業から再生医療ベンチャーまで幅広い顧客のプロジェクトを支援し、中長期的な事業成長の基盤を築きます。売上1,000億円、営業利益100億円規模を安定達成できる体制を確立していきます。コンポーネント事業では、光学コンポーネント、EUV関連コンポーネント、エンコーダなどで、拡大する先進需要に対応した将来製品の採用が進展しています。完成品・サービス・コンポーネント一体の「ソリューション提供」体制強化を進めています。デジタルマニュファクチャリング事業では、2030年に向けて、社会において宇宙ビジネス拡大、製造業のデジタル化、カーボンニュートラルなどの変化が予想され、技術面では高出力レーザーや人工知能(AI)、小型・多機能センサーなどの技術革新が想定されています。このようなトレンドを踏まえ、SLM社の大型部品造形用金属3Dプリンターの拡販により、防衛・宇宙航空市場へ本格的に参入する計画です。こうしてものづくりの世界に革新をもたらし、売上成長を目指します。 ・基盤戦略と進捗本計画に掲げた事業戦略を実行するには、経営基盤の強化が極めて重要です。「創造(事業)を通じた社会への貢献」を掲げたサステナビリティ戦略に注力しています。企業理念である「信頼と創造」に基づき、事業が環境・社会に与える影響を評価・改善し続けることで社会の期待に「信頼」で応えつつ、事業を通じて、より積極的に環境・社会課題の解決やSDGs達成に貢献する価値を「創造」していきます。人的資本経営についても順調に進んでいます。ありたい姿の実現に向けた最も重要な経営資源と認識して、顧客に伴走する次世代人材を獲得し、育成、活躍してもらい、成長戦略を実現するための採用戦略、採用ブランディングを強化するなど、優秀な人材のさらなる獲得に向けて力を入れています。今後も更に多様な人材の活躍推進、従業員エンゲージメント強化に力を入れていきます。一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)、ものづくり、経営管理については、さらなる整備を進めていきます。DX、ものづくり、ともに重点的に資本配分していくとともに、グループガバナンスの強化、グローバルコンプライアンスの体制整備に尽力していきます。 <経営基盤強化> ・資本配分当社グループは研究開発型企業として成長することが、ステークホルダーから期待されていると認識しており、配分可能原資の大半を成長投資やR&Dに振り向け、持続的な企業価値向上を目指しています。成長加速のための戦略投資につきましては、2023年9月にSLM社、2024年4月にRED社の100%子会社化を実施したことから、大型M&Aは一区切りとして当初計画から1,100億円削減する一方、R&D、設備投資を合計800億円増額し、オーガニック成長を目指します。また、株主還元を重視し、追加で300億円以上の自己株式取得を実施する計画としています。設備投資では、EUV関連コンポーネントの増産に向けた対応や、ビジネス開発と先進R&Dを集約する環境配慮型新本社の建設を進めています。 <資本配分:持続的な成長に向けた投資と株主還元強化をともに推進> ・「信頼と創造」の基にニコンは、2030年に到来する「人と機械が共創する社会」をしっかりと支える企業を目指しています。本業を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献し、従業員には自己実現の機会を提供します。そして、事業の成長と企業価値の向上を通じて、株主を含む全てのステークホルダーの期待にお応えしていく、そうした未来を目指します。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 業績当連結会計年度における市場・顧客動向について、映像事業においては、デジタルカメラ市場は中高級機の販売が好調で市場全体の販売台数・金額とも堅調に推移しました。 精機事業においては、FPD関連分野は中小型パネル用、大型パネル用とも顧客の設備投資は低調に推移しました。また、半導体関連分野の設備投資は、全体では改善のきざしは見られたものの顧客や最終製品ごとにばらつきのある状況が続きました。 ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野の市況は総じて堅調に推移したものの、金利上昇等により一部顧客に需要減退が見られました。 コンポーネント事業においては、光学部品やエンコーダ関連市場が最終ユーザーによる在庫や投資の調整の影響を受け、EUV関連市場も半導体市況減速の影響から低調に推移しました。 デジタルマニュファクチャリング事業においては、半導体、電子部品市場の設備投資は低調に推移しました。また、金属アディティブマニュファクチャリング分野においては、大型で生産効率の高い装置への移行が進みましたが、市場全体としては拡大の踊り場となりました。 このような外部環境の下、当社グループは、中期経営計画(2022~2025年度)の方針に基づき、主要事業である映像事業、精機事業での安定収益確保、顧客の多様化・拡大や、高付加価値サービスの提供などに努めました。映像事業では、業務用シネマカメラ分野で独自の顧客と技術を持つ米国のRED.com, LLCの子会社化を発表し、2024年4月には完全子会社化を完了して、業務用動画機市場開拓にむけ大きな一歩を踏み出しました。戦略事業に位置付けているデジタルマニュファクチャリング事業では、子会社化した金属3DプリンターメーカーNikon SLM Solutions AG(以下、「SLM社」)を含むアディティブマニュファクチャリング事業をグローバルに統括するNikon Advanced Manufacturing, Inc.を米国に設立し、事業拡大を図りました。また、経営基盤強化のための人材確保やコーポレート・ガバナンスの強化にも取り組みました。 このような状況の下、当社グループの連結業績は、売上収益は7,172億45百万円、前期比891億40百万円(14.2%)の増収、営業利益は397億76百万円、前期比151億32百万円(27.6%)の減益、税引前利益は426億69百万円、前期比143億90百万円(25.2%)の減益、親会社の所有者に帰属する当期利益は325億70百万円、前期比123億74百万円(27.5%)の減益となりました。 セグメント情報は次のとおりです。なお、「第5[経理の状況][連結財務諸表注記]6.事業セグメント(1)報告セグメントの概要(報告セグメントの変更に関する事項)」に記載のとおり、当連結会計年度より報告セグメントに変更があり、以下の前期比較においては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。 映像事業においては、フルサイズミラーレスカメラ「Z 8」、「Z f」等を中心に、プロ・趣味層をターゲットとした中高級機及び交換レンズの拡販に注力しました。平均販売単価の上昇や円安効果もあり、当事業の売上収益は2,797億37百万円、前期比23.2%増、営業利益は465億42百万円、前期比10.3%増となりました。 精機事業においては、FPD露光装置分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも装置の販売台数が減少したことにより、減収減益となりました。半導体露光装置分野は、新品装置の販売台数が増加したことにより、増収増益となりました。この結果、当事業の売上収益は2,193億79百万円、前期比7.9%増、営業利益は151億79百万円、前期比38.2%減となりました。 ヘルスケア事業においては、円安効果に加え、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野での堅調な販売により事業全体としては増収となりました。一方、物価高騰によるコスト増加に加え、アイケアソリューション分野の在外子会社に関して第2四半期連結会計期間に計上した引当金及びその関連費用の影響もあり、事業全体として減益となりました。この結果、当事業の売上収益は1,078億89百万円、前期比8.5%増、営業利益は53億88百万円、前期比53.5%減となりました。コンポーネント事業においては、デジタルソリューションズ事業は、光学部品やエンコーダの販売が減少したことにより減収減益となりました。カスタムプロダクツ事業は、EUV関連市場減速に伴う、EUV関連コンポーネントの販売減少等の影響により減収減益となりました。この結果、当事業の売上収益は470億5百万円、前期比11.4%減、営業利益は168億29百万円、前期比23.8%減となりました。デジタルマニュファクチャリング事業においては、産業機器事業は、X線の新製品やレーザーレーダの販売が堅調に推移し増収となりましたが、不採算製品の整理等の一時費用を計上した結果、減益となりました。アドバンストマニュファクチャリング事業は、SLM社の連結子会社化により増収となりましたが、研究開発などの先行投資に加え、事業立ち上げに伴う一過性費用や、SLM社の連結子会社化による無形資産の償却により赤字幅は拡大しました。この結果、当事業の売上収益は、599億37百万円、前期比42.4%増、営業損失は158億1百万円(前年同期は101億57百万円の営業損失)となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益426億69百万円、減価償却費及び償却費356億66百万円の計上に加えて仕入債務及びその他の債務の増加、棚卸資産の減少があった一方、前受金の減少、売上債権及びその他の債権の増加、法人所得税の支払いがあり、307億67百万円の収入(前年同期は15百万円の収入)となりました。当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の売却による収入が167億40百万円あった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が552億15百万円あり、414億5百万円の支出(前年同期は1,121億46百万円の支出)となりました。当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の増加が400億65百万円あった一方、配当金の支払が173億10百万円、リース負債の返済による支出が110億89百万円、社債の償還による支出が103億31百万円、SLM社等の完全子会社化に伴う非支配持分からの子会社持分取得による支出が78億71百万円あり、89億38百万円の支出(前年同期は562億10百万円の支出)となりました。また、現金及び現金同等物に係る換算差額は148億83百万円の増加となりました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ46億93百万円減少し、2,066億44百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)(百万円)前期比(%)映像事業173,58227.4精機事業98,7893.6ヘルスケア事業36,4880.7コンポーネント事業55,473△12.5デジタルマニュファクチャリング事業46,416105.6合計410,74816.1 (注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含んでおります。 (2) 受注状況当連結会計年度における受注残高は、次のとおりであります。なお、精機事業を除いては見込生産を主としておりますので記載を省略しております。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)(百万円)前期比(%)精機事業151,541△15.0合計151,541△15.0 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)(百万円)前期比(%)映像事業279,73723.2精機事業219,3797.9ヘルスケア事業107,8898.5コンポーネント事業47,005△11.4デジタルマニュファクチャリング事業59,93742.4その他3,2982.2合計717,24514.2 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一による経営基盤の強化を目指し、2017年3月期有価証券報告書における連結財務諸表からIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記] 3.重要性がある会計方針、4.見積り及び判断の利用」をご参照ください。 (2) 財政状態の分析当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて968億43百万円増加し、1兆1,471億10百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が46億93百万円減少した一方、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産が522億33百万円、売上債権及びその他の債権が256億83百万円、棚卸資産が79億58百万円増加したためです。当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて301億2百万円増加し、4,620億19百万円となりました。これは主に、前受金が279億61百万円減少した一方、社債及び借入金が326億86百万円、仕入債務及びその他の債務が156億21百万円、その他の金融負債が41億86百万円増加したためです。当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて667億41百万円増加し、6,850億91百万円となりました。これは主に、SLM社等の完全子会社化により資本剰余金が61億56百万円減少した一方、在外営業活動体の換算差額の増加によりその他の資本の構成要素が528億77百万円増加したためです。 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 (3) 経営成績の分析当連結会計年度における売上収益は、映像事業におけるミラーレスカメラ及び交換レンズの販売数量増加、精機事業における半導体露光装置の販売台数増加、デジタルマニュファクチャリング事業におけるSLM社の売上拡大等が寄与し、891億40百万円増の7,172億45百万円(前連結会計年度は6,281億5百万円)となりました。売上原価は、増収に伴い、682億67百万円増の4,071億98百万円(前連結会計年度は3,389億31百万円)となりました。販売費及び一般管理費は、労務費や研究開発費の増加や、SLM社の連結子会社化による無形資産の償却に伴う減価償却費の増加等により、368億28百万円増の2,680億56百万円(前連結会計年度は2,312億28百万円)となりました。その他営業収益は、過年度に連結子会社において引当計上していた費用の戻入等により、3億67百万円増の35億76百万円となりました。その他営業費用は、主にデジタルマニュファクチャリング事業における固定資産の減損損失計上により、4億56百万円減の57億92百万円となりました。これらの結果、営業利益は397億76百万円(前連結会計年度は549億8百万円の営業利益)となり、151億32百万円の減益となりました。税引前利益は151億32百万円の営業減益の影響により、426億69百万円(前連結会計年度は570億58百万円の税引前利益)となり、143億90百万円の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用105億35百万円の計上により325億70百万円(前連結会計年度は449億44百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。なお、当社グループの課題につきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」を、またセグメント別の分析は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (1)業績」をそれぞれご参照ください。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、一定の財務健全性の確保を前提に置きながら、自己資本比率55%~60%を目安として、投資資本の運用効率を重視し、持続的な成長のために資本コストを上回る収益が見込める投資(戦略投資、R&D、設備投資)に資金を活用することで企業価値の最大化を実現すると同時に、安定的な株主還元を実施することで株主の要求にも応えることを資本管理の方針としております。運転資金や経常的に発生する設備投資資金については、現在保有する現金や預金で賄い、持続的成長に向けた投資については、配分可能な現金や預金、及び営業活動から創出されるキャッシュ・フローを源泉とした資金で賄うことを原則としております。また、機動的な資本配分を実現するため、国内外のグループ会社が保有する資金をグローバル・キャッシュ・マネージメント・システムにより効率的に管理することでグループ内の資金の流動性を高め、これを有効活用しております。なお、当社は市場の混乱や、当社が事業を遂行する上でのリスクに晒されているため、こうした要因が資金繰りを圧迫する事態への備えとして十分な手元流動性(現預金、コミットメントライン等)の確保に努めており、事業環境に急激な変化を与え得る様々な不確実性を前提としても当面安定的な経営が可能な状態にあります。 当社グループの資金状況は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますとおり、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは307億67百万円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは414億5百万円の支出であったため、106億38百万円のマイナスのフリー・キャッシュ・フローとなりました。また、有利子負債を控除したネットキャッシュ残高は144億72百万円になりました。なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は620億円を予定しており、主に生産能力の最適化と設備の維持・更新を図るためのものであります。また、当連結会計年度後1年間の研究開発投資は810億円を予定しております。当該設備投資及び研究開発投資の資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とした資金の範囲で賄うことを予定しております。設備投資計画の詳細につきましては、「第3[設備の状況]3[設備の新設、除却等の計画]」をご参照ください。 以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月24日)現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は百万円未満を四捨五入して記載しております。

※本記事は「株式会社ニコン」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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