会社名 | 株式会社ニコン |
業種 | 精密機器 |
従業員数 | 連19444名 単4388名 |
従業員平均年齢 | 42.5歳 |
従業員平均勤続年数 | 14.5年 |
平均年収 | 8639269円 |
1株当たりの純資産 | 1185.35円 |
1株当たりの純利益 | 124.96円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 50円 |
配当性向 | 40% |
株価収益率(PER) | 12.3倍 |
自己資本利益率(ROE) | 11% |
営業活動によるCF | 307億円 |
投資活動によるCF | ▲414億円 |
財務活動によるCF | ▲89億円 |
研究開発費※1 | 37.95億円 |
設備投資額※1 | 83.61億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1463.79億円 |
株主資本比率※2 | 50.6% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻く事業環境は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1) 業績」に記載のとおりでありました。 当社グループは、2022年4月7日に、中期経営計画(2022~2025年度)を発表しました。中期経営計画の概要は以下の通りです。 ■ありたい姿今回の中期経営計画策定にあたっては、まず2030年のありたい姿をイメージし、その実現に向けて2025年に到達するべき目標を定め、その実現に向けた施策を積み上げています。2030年の社会は、人々の価値観や人生観が変化し、気候変動や資源不足など社会環境が変わり、Industry5.0到来などテクノロジーの革新も続くと予想しております。このようなメガシフトが起こるなか、人間が生活のための“労働”を機械に任せ、より創造的な「自己実現のための仕事」と「価値を追求する消費」に注力できるようになるための「人と機械の共創」が進むものと考えています。ニコンには、ものづくりを革新するテクノロジーや高度なソリューションをグローバルに広げる力・ブランド、そしてステークホルダーからの支持といった3つの強みがあります。これらを活かし、2030年の「人と機械が共創する社会」に新たな価値を提供し続けたいと考え、2030年のありたい姿を「人と機械が共創する社会の中心企業」としました。これに向けて、まずはお客様としっかり伴走し、お客様の欲しいモノやコトの「本質」を理解した上で、お客様のイノベーションを支える存在を目指します。 ■全体方針本中期経営計画は、今年度から2025年度までの4年間を対象期間としています。2030年へ向けて、「お客様の欲しいモノやコトをお客様にとって最適な方法で実現」する存在になることを「2025年のありたい姿」に定めました。このありたい姿を実現する上で、当社は、「完成品販売中心のビジネスからの進化」および「映像・精機事業に並ぶ収益の柱の育成」の2つの経営課題に取り組むため、全社方針として「完成品・サービス・コンポーネント一体の「ソリューション提供」強化」を掲げております。 まず『「ソリューション提供」の強化』のため、プロダクトアウト的発想から脱却し、お客様に寄り添い、そのニーズを的確に把握し、完成品・サービス・コンポーネントを一体でソリューションとして提供します。また、「主要事業」である映像事業、精機事業につきましては、顧客接点と提供価値を拡大することにより、安定収益の確保に努め、「戦略事業」であるヘルスケア事業、コンポーネント事業等の収益拡大に取り組みます。さらには、それぞれの事業における「成長ドライバー」による利益成長と「サービス・コンポーネント」ビジネスの拡大によって利益の安定化に努めます。具体的には、光学・EUV関連コンポーネント、材料加工・ロボットビジョン、デジタル露光、映像コンテンツ、細胞受託生産・創薬支援の5つの「成長ドライバー」に注力します。 ■各事業の戦略映像事業では、レンズ交換式カメラ市場は縮小傾向ですが、新興国市場や若い世代・女性を含め、プロ・趣味層の市場は堅調に推移するものと想定しており、当社グループは、こうした顧客層に対して、ミラーレスカメラを中心とする高付加価値製品を提供する事業戦略を堅持します。精機事業においては、FPD露光装置分野では、次世代パネルに対応する技術開発を推進し、高精細化と高生産性を追求することで、メジャープレーヤーとしての地位と安定的な収益を確保します。また半導体露光装置分野では、主要顧客の生産計画に備えるとともに、三次元化などのニーズに個別対応することで新たな顧客の獲得を目指します。また、検査・計測など周辺装置の拡販にも注力します。ヘルスケア事業においては、生物顕微鏡では、世界の大手光学顕微鏡メーカーとして、さらなるデジタル化などに対応します。また、世界トップクラスのシェアを誇る網膜画像診断機器は、診断の高度化や在宅化・遠隔診断などに対応します。細胞受託生産では、大手製薬企業や有力ベンチャーとのアライアンスを強化して、中長期的な事業成長の基盤を築きます。コンポーネント事業では、半導体製造の様々な工程において、微細化、高密度化、高耐久性などの要求が高まる中、光学コンポーネント、EUV関連コンポーネントの引き合いは強まっています。着実に需要が拡大していくものと予測しており、顧客のイノベーションを支えながら、ともに成長することを目指します。デジタルマニュファクチャリング事業では、2030年に向けて、社会において宇宙ビジネス拡大、製造業のデジタル化、カーボンニュートラルなどの変化が予想され、技術面では高出力レーザーや人工知能(AI)、小型・多機能センサーなどの技術革新が想定されています。こうした背景を踏まえ、材料加工とロボットビジョンを成長ドライバーとし、当社グループが持つ光応用技術で、ものづくりの世界に革新をもたらし、売上成長を目指します。 ■中期経営計画の実行を支える基盤戦略中期経営計画に掲げた事業戦略を実行するには、経営基盤の強化が極めて重要です。まずサステナビリティ戦略です。企業理念である「信頼と創造」の言葉をもとに、事業が環境・社会に与える影響を評価・改善し続けることで社会の期待に「信頼」で応えつつ、事業を通じて、より積極的に環境・社会課題の解決やSDGs達成に貢献する価値を「創造」していきます。「信頼」としては、例えば2050年度のカーボンニュートラルに向け、2025年度までに事業所からの温室効果ガスを46.5%削減するという高い目標を掲げ、取り組んでいます。「創造」としては、事業戦略を通じて脱炭素や資源循環、健康といった領域に貢献する技術・製品・サービスなどを提供していきます。また、従業員一人ひとりが日々の業務を通し、社会課題やサステナビリティについて考える機会を増やし、活動していきます。次に、人的資本経営です。ありたい姿の実現に向けて、人材は最も重要な経営資源です。必要な人材を獲得し、育成、活躍してもらいます。成長戦略実現のための採用戦略、採用ブランディングを強化するなど、優秀な人材のさらなる獲得に向けてこれまで以上に力を入れていきます。そして、若手・キャリア採用者・グローバル人材・専門人材などを組み合わせ、一人ひとりの生産性を高めたいと考えています。従業員にとっては、プロフェッショナルとしての能力を身に付けることができる、それを発揮することで自己実現ができ、充実感が得られる会社でありたいと考えています。そして、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。ニコンのDXは、お客様視点と従業員視点の両側から展開していきます。お客様との関係では、個人・法人のお客様に対してデジタルを活用したアカウント営業やデジタル・サービスの展開を図り、お客様の満足度を高めるとともに、収益の拡大を目指します。従業員との関係では、業務プロセスのデジタル化を通じて、従業員がより高度な仕事に取り組める環境をつくるとともに、いつでもどこでもフレキシブルに仕事ができるデジタルインフラを整備します。 ■資本配分当社グループは研究開発型企業として成長することが、ステークホルダーから期待されていると認識しており、配分可能原資の大半を成長投資やR&Dに振り向け、持続的な企業価値向上を目指します。 戦略投資では、成長加速のためのM&Aに加え、人的資本への投資も行います。R&Dはソリューション提供強化や成長ドライバーのスケール化に重点的に配分し、設備投資では、EUV関連コンポーネントの増産に向けた対応や細胞受託生産関連の投資を予定しています。 ■「信頼と創造」の基にニコンは、2030年に到来する「人と機械が共創する社会」をしっかりと支える企業を目指しています。本業を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献し、従業員には自己実現の機会を提供します。そして、事業の成長と企業価値の向上を通じて、株主を含む全てのステークホルダーの期待にお応えしていく、そうした未来を目指します。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 業績当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和される一方で、長期化するウクライナ情勢に伴う資源高や、インフレ抑制のための各国における政策金利上昇等の影響を受けました。 事業別では、映像事業においては、デジタルカメラ市場は半導体不足等による部品調達問題が改善し、出荷数量が回復しました。精機事業においては、 FPD関連分野は中小型パネル用、大型パネル用、いずれの設備投資も縮小の動きが見られました。また、半導体関連分野の設備投資は堅調に推移していましたが、第3四半期以降は調整局面に入りました。ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で市況は総じて好調に推移しました。コンポーネント事業においては、デジタルソリューションズ事業では、光学部品・光学コンポーネントやエンコーダ関連市場が堅調に推移し、カスタムプロダクツ事業では、EUV関連市場が好調に推移しました。 当社グループでは、2022年4月に発表した中期経営計画のもと、主要事業である映像事業、精機事業では、お客様とのタッチポイントの拡大や、顧客ニーズを的確に把握した製品・サービス等の提供による安定収益確保に注力しました。また、戦略事業であるヘルスケア事業、コンポーネント事業などでは、収益拡大のため、有望市場での新たな価値創造を目指したソリューションの提供や新領域、受託事業の拡大に取り組みました。加えて、デジタルマニュファクチャリング事業拡大のため、SLM Solutions Group AG(以下、「SLM 社」)を連結子会社化するなど、M&Aやアライアンスにも取り組みました。 さらには、経営基盤強化に向けて、サステナビリティ戦略、人的資本経営、顧客・従業員重視のDX戦略に注力してまいりました。このような状況の下、当社グループの連結業績は、売上収益は6,281億5百万円、前期比884億94百万円(16.4%)の増収、営業利益は549億8百万円、前期比49億74百万円(10.0%)の増益、税引前利益は570億58百万円、前期比37百万円(0.1%)の減益、親会社の所有者に帰属する当期利益は449億44百万円、前期比22億65百万円(5.3%)の増益となりました。 セグメント情報は次のとおりです。なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント (1) 報告セグメントの概要 (報告セグメントの変更に関する事項)」に記載のとおり、当連結会計年度より報告セグメントに変更があり、以下の前期比較においては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。 ① 映像事業プロ・趣味層をターゲットとした中高級機及び交換レンズの拡販に注力し、フラッグシップモデルのフルサイズ ミラーレスカメラ「Z 9」やミラーレスカメラ用交換レンズの販売が好調に推移しました。平均販売単価の上昇や円安効果もあり、当事業の売上収益は2,271億円、前期比27.4%増、営業利益は422億13百万円、前期比121.4%増となりました。 ② 精機事業FPD露光装置分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも装置の販売台数が減少したことにより、減収減益となりました。半導体露光装置分野は、新品装置の販売台数が増加したことにより、増収増益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は2,032億62百万円、前期比3.8%減、営業利益は243億86百万円、前期比38.2%減となりました。 ③ ヘルスケア事業ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野では、新型コロナウイルス感染症や電子部品等の需給ひっ迫の影響による前期からの商品出荷繰り越し及び好調な受注状況を背景に、また、円安効果もあり、事業全体として大幅な増収増益となりました。これらの結果、当事業の売上収益は993億94百万円、前期比35.7%増、営業利益は115億82百万円、前期比164.1%増となりました。 ④ コンポーネント事業デジタルソリューションズ事業は、光学部品・光学コンポーネントやエンコーダの販売が好調に推移しました。カスタムプロダクツ事業は、EUV関連コンポーネントの販売が大きく伸び、増収増益となりました。アディティブマニュファクチャリング(以下、「AM」)を行う米国のMorf3D Inc.の固定資産等の減損損失を計上しましたが、当事業の売上収益は539億67百万円、前期比32.0%増、営業利益は146億71百万円、前期比15.3%増となりました。 ⑤ 産業機器・その他産業機器事業は、半導体、電子部品、EV関連市場等の活況を背景に、画像測定システムや工業用顕微鏡、X線/CT検査装置の販売が好調に推移したことにより、増収増益となりました。SLM社の連結子会社化による増収もあり、産業機器・その他の売上収益は443億82百万円、前期比23.1%増、営業利益は36億26百万円、前期比22.4%増となりました。 (注) 事業別の営業損益には、当社グループ内取引において生じた損益を含んでおります。 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益570億58百万円、減価償却費及び償却費290億56百万円、減損損失43億89百万円の計上があった一方、前受金の減少、棚卸資産の増加、売上債権及びその他の債権の増加があり、15百万円の収入(前年同期は313億51百万円の収入)となりました。当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、SLM社の連結子会社化に際しての株式の取得等による支出が768億77百万円、有形固定資産の取得による支出が231億39百万円、無形資産の取得による支出が98億84百万円あり、1,121億46百万円の支出(前年同期は3億85百万円の支出)となりました。当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に自己株式の取得による支出が300億1百万円、配当金の支払が145億22百万円あり、562億10百万円の支出(前年同期は261億51百万円の支出)となりました。また、現金及び現金同等物に係る換算差額は94億1百万円の増加となりました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ1,589億40百万円減少し、2,113億37百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)(百万円)前期比(%)映像事業136,21228.5精機事業95,3215.2ヘルスケア事業36,21912.7コンポーネント事業63,37630.1産業機器・その他22,57943.7合計353,70720.6 (注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含んでおります。 (2) 受注状況当連結会計年度における受注残高は、次のとおりであります。なお、精機事業を除いては見込生産を主としておりますので記載を省略しております。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)(百万円)前期比(%)精機事業178,370△9.4合計178,370△9.4 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)(百万円)前期比(%)映像事業227,10027.4精機事業203,262△3.8ヘルスケア事業99,39435.7コンポーネント事業53,96732.0産業機器・その他44,38223.1合計628,10516.4 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1) 重要な会計方針及び見積り当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一による経営基盤の強化を目指し、2017年3月期有価証券報告書における連結財務諸表からIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.見積り及び判断の利用」をご参照ください。 (2) 財政状態の分析当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて107億1百万円増加し、1兆502億67百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が1,589億40百万円減少した一方、SLM社の連結子会社化に伴うのれん等の増加により有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産が1,035億78百万円、棚卸資産が383億31百万円、売上債権及びその他の債権が236億68百万円、繰延税金資産が50億44百万円増加したためです。当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて76億83百万円減少し、4,319億17百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が120億28百万円、未払法人所得税が40億75百万円、社債及び借入金が39億58百万円増加した一方、前受金が394億64百万円減少したためです。当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて183億84百万円増加し、6,183億51百万円となりました。これは主に、自己株式の消却等により資本剰余金が394億30百万円、自己株式が96億86百万円減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により利益剰余金が262億36百万円、在外営業活動体の換算差額の増加によりその他の資本の構成要素が207億93百万円増加したためです。 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 (3) 経営成績の分析当連結会計年度における売上収益は、精機事業を除く全セグメントで大幅増収し、884億94百万円増の6,281億5百万円(前連結会計年度は5,396億12百万円)となりました。精機事業は、FPD露光装置において顧客の設備投資が縮小したことに伴い販売台数が減少し、79億54百万円の減収となった一方、映像事業は、中高級機カメラへのシフトが進展したことによる平均販売単価の上昇や円安効果もあり、488億66百万円の増収となりました。ヘルスケア事業はライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野の売上拡大が寄与し、261億51百万円の増収となりました。売上原価は、映像事業における中高級機カメラの販売台数増加や円安影響に伴う増加、ヘルスケア事業におけるライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野の売上拡大に伴う増加の結果、353億90百万円増の3,389億31百万円(前連結会計年度は3,035億41百万円)となりました。販売費及び一般管理費は、労務費や研究開発費、宣伝広告費及び販売促進費の増加や、SLM社の取得関連費用の計上等により、417億63百万円増の2,312億28百万円(前連結会計年度は1,894億65百万円)となりました。その他営業収益は、前連結会計年度に計上した遊休地の売却に伴う土地売却益の剥落等により、21億13百万円減の32億9百万円となりました。その他営業費用は、主にMorf3Dにおける固定資産及びのれんの減損損失計上により、42億54百万円増の62億47百万円となりました。これらの結果、営業利益は549億8百万円(前連結会計年度は499億34百万円の営業利益)となり、49億74百万円の増益となりました。税引前利益は49億74百万円の営業増益の影響や持分法投資増益の一方、前連結会計年度に計上した投資有価証券評価益の剥落等もあり、570億58百万円(前連結会計年度は570億96百万円の税引前利益)となり、37百万円の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用137億75百万円の計上により449億44百万円(前連結会計年度は426億79百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。なお、当社グループの課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を、またセグメント別の分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要) (1)業績」をそれぞれご参照ください。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、一定の財務健全性の確保を前提に置きながら、自己資本比率55%~60%を目安として、投資資本の運用効率を重視し、持続的な成長のために資本コストを上回る収益が見込める投資(戦略投資、R&D、設備投資)に資金を活用することで企業価値の最大化を実現すると同時に、安定的な株主還元を実施することで株主の要求にも応えることを資本管理の方針としております。運転資金や経常的に発生する設備投資資金については、現在保有する現金や預金で賄い、持続的成長に向けた投資については、配分可能な現金や預金、及び営業活動から創出されるキャッシュ・フローを源泉とした資金で賄うことを原則としております。また、機動的な資本配分を実現するため、国内外のグループ会社が保有する資金をグローバル・キャッシュ・マネージメント・システムにより効率的に管理することでグループ内の資金の流動性を高め、これを有効活用しております。なお、当社は市場の混乱や、当社が事業を遂行する上でのリスクに晒されているため、こうした要因が資金繰りを圧迫する事態への備えとして十分な手元流動性(現預金、コミットメントライン等)の確保に努めており、事業環境に急激な変化を与え得る様々な不確実性を前提としても当面安定的な経営が可能な状態にあります。 当社グループの資金状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますとおり、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは15百万円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは1,121億46百万円の支出であったため、1,121億31百万円のマイナスのフリー・キャッシュ・フローとなりました。また、有利子負債を控除したネットキャッシュ残高は532億40百万円になりました。なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は700億円を予定しており、主に生産能力の最適化と設備の維持・更新を図るためのものであります。また、当連結会計年度後1年間の研究開発投資は690億円を予定しております。当該設備投資及び研究開発投資の資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とした資金の範囲で賄うことを予定しております。設備投資計画の詳細につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。 以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は百万円未満を四捨五入して記載しております。 |
※本記事は「株式会社ニコン」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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